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排泄問題ワークショップ Phase3:開発者へのインタビュー調査 第 1 回
排泄問題ワークショップ Phase3:開発者へのインタビュー調査 ■第 1 回 株式会社ママリー(自動排泄処理装置の開発・販売) 日 時:2012 年 2 月 20 日(月)14:30~16:30 場 所:株式会社ママリー (港区海岸 1-7-8・東京都立産業貿易センタービル 601) ヒアリング対象者:北林 光也 氏 (株式会社ママリー・営業本部長) 《ヒアリング先に選定した経緯》 ・排泄問題は当事者の大きな問題となっている。排泄問題ワークショップでは、Phase1における技術開発 者へのヒアリングにて自動排泄処理装置である「マインレット夢」に関する情報を頂いた。また Phase 2では、「緊急時にがっちりガードしてくれるおむつ」「出ても匂いが出ないように飲む薬で対応してし まいたい」 「座っている間に自然に排泄が出来てしまうもの」等についての研究開発が望まれるとの要望 が出された。 排尿のみならず排便についても処理できるという機器の開発経緯や利用方法、利用状況などを伺うべく、 ヒアリング対象として選定した。 《ヒアリング概要》 1.商品誕生の背景 ・ 「マインレット夢」の設計・開発は、もともとは株式会社Eとあるメーカーが共同で行ってきた。現在は 株式会社ママリーにて全てを引き継ぎ、一部社員もママリーに移行した。 ・開発は 1990 年代から開始していたが、2000 年過ぎにようやく第 1 号となる機種が完成した。当時の技術 開発者(健常者)自ら体験をし得た経験から、自信を持って発売にこぎ付けたが、実際にユーザーに使 用していただくと多くの問題点が判明。自由に体位を変えられない方などに褥瘡(床づれ)などの症状 が見られたため、回収をしてさらなる開発に取り組んだ。 ・ここ数年いくつかの企業で類似商品を国際福祉機器展などにも出品しているが、褥瘡が防げないなどの 理由で、未だ国内ではほとんど発売されていない状況であった。 ・老々介護の現場も多くあり介護労力の軽減のため、夜間のオムツ交換をしなくても済むように使用方法 はできるだけ簡易に、また洗浄水タンクや汚水タンクなどの軽量化にも取り組んでいる。 2.製品の説明(マインレット夢のデモンストレーションとその説明) 【機器について】 ・おむつカップに専用カバーを取り付け、紙オムツの要領で利用者に取り付ける。利用者は極力仰向けに 寝ている状態で装着する。利用者はいつでもおむつカップ内で排泄(排尿・排便)可能。また、寝返り、 キャッチアップ、背上げ状態での食事なども可能。 ・排泄物をセンサーが 0.5 秒で感知し、温水と温風を当ててカップ内の排泄物を機器内のタンクに流し出 す。また、シャワートイレのように温水にて陰部洗浄・温風にて速やかに乾燥させるタイプの完全自動 排泄処理装置である。エアータオルのように乾燥させ、終了まで便で約 2 分、尿は約 1 分しかかからな い。乾燥の不十分さの解消のために、微風乾燥が 24 時間断続的に続いている。 ・1 回の便は 5 回洗浄で 450CC の洗浄水、尿は 150CC 程度の洗浄水で流せるようになったため、洗浄タンク の軽量化にも成功している。 (節水型の自動洗浄トイレは 3,000CC で初期の頃は 12,000CC 使用していた) ・排泄物は機器内の 15 個の消臭フィルターと 5 つのミストフィルターが入っており、匂い・チリまで全て 取る。匂いが外部に漏れることはほとんどない。 ・マインレット夢のコンセプトとして、「排泄時の不快感の解消」「介護時の羞恥心が軽減することから、 飲食制限をせずにすみ、気兼ねに飲食・排泄が出来る」機器であるということがある。また介護者にと っては、おむつ交換の回数が減ることによる、排泄介護労力の軽減からくる精神的な安心感があげられ る。 ・東京都産業労働局「平成 22 年度東京都トライアル発注制度」認定商品 ・公益財団法人 東京都中小企業振興公社「ニューマーケット開拓支援事業」対象商品 ・公益財団法人 東京都中小企業振興公社「事業可能性評価制度」事業可能性評価あり 3.マインレット夢の抱える問題点と改善に向けて ・開発元の経営難などから、利用者への使い方の説明やサポート、メンテナンスが十分にできず、ここ3 年ほど国際福祉機器展には出していなかったが、今年からは(株)ママリーとして出展予定。 ・ユーザーの利用時間は平均 13.5 時間(一般的には夕食後に装着し、翌朝朝食前にはずすケースが多い) であるが、手間がかからず放っておいてもキレイな状態に保ったまま全て完全自動で排泄処理が行われ ることもあって油断をすると 24 時間に突入してしまう。以前ケアマネから寝たきりに繋がる・介護放棄 につながるとの意見が出されたが、その可能性は十分考えられるので、必ず専門家の監督のもとで極力、 介護の手薄な時間帯(例えば夜間帯など)に限って使ってもらうように指導している。 ・ヒューマニーなど尿だけを自動吸引できる機器とは明確に棲み分けが出来る。 「マインレット夢」は、特 に頻尿や排便で大変な思いをされている方(介護者、要介護者共に)に適した機器である。 ・利用できない方もいる(徘徊老人の方、拘縮でオムツを利用できない方、うつぶせの状態になってしま う方、極度な肥満の方など)ので、事前にヒアリングチェックを行った上で利用していただくようにし いている。また、機器改善に向けて、ユーザー一人ひとりの利用状況などをモニタリングしている。 ・夜中に汚水タンクや洗浄水の交換が極力無いように改良しているが、消臭フィルターがあるので、現状 ではこれ以上は極端には小さくできないが、改善開発中である。 ・4 月中には新しいタイプのオムツ(専用カバーと呼んでいる)を含む装着具が開発される予定である。 ・専用カバーは市販の紙オムツを改良したもので 1 枚 300 円くらいになるが、使用中のオムツ替えは必要 なくなるので、毎日オムツを利用している人であれば、現在よりも安いコストで利用できると思う。 【4 月より介護保険が適用されること】 ・2012 年 4 月の介護保険法の改正に伴い、現在は購入品だが、福祉用具のレンタル対象に自動排泄処理装 置(尿または便が自動吸引される機器)が参入される。レンタルでの利用が開始されると、カップなど は購入していただき、本体は消毒して再利用する。問題はフィルターなどの消毒方法についてであるが、 現在関係機関と詰めている段階である。 ・定価は¥598,000 と高いものであり、今まで 400 人ほどが利用しているが、値段の割には利用期間が短い (お亡くなりになるケースが多かった)ために、レンタルでの利用が可能となることを機に、今後はよ り多くのユーザーに利用してもらいさらなる改善方法などのニーズを拾っていきたい。 《参考資料》 ・マインレット夢 チラシ 2 種 ・マインレット夢 パンフレット ・マインレット夢 機器説明ファイル 2 種 ・マインレット夢 利用者カード