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新たな収益認識基準 — 不動産業

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新たな収益認識基準 — 不動産業
Applying IFRS 不動産業
新たな収益認識基準
— 不動産業
2015 年 3 月
目次
概要 ............................................................................................... 3
1.
IFRS 第 15 号の要約 ................................................................... 4
2.
発効日及び経過措置 .................................................................... 5
3.
適用範囲 .................................................................................... 6
4.
顧客との契約の識別..................................................................... 8
4.1 契約の変更......................................................................... 9
5.
契約における履行義務の識別 ...................................................... 10
5.1 「区別できる」か否かの判断 ................................................. 10
5.2 実質的に同一で、移転パターンが同じである、一連の区別できる財
又はサービス ............................................................................ 12
6.
取引価格の算定 ........................................................................ 14
6.1 変動対価 .......................................................................... 14
6.2 現金以外の対価 ................................................................ 17
6.3 重要な金融要素 ................................................................ 17
7.
取引価格の各履行義務への配分.................................................. 18
7.1 相対的な独立販売価格の比率による配分方法の例外 ............. 19
8.
履行義務の充足 ........................................................................ 22
8.1 一定期間にわたり充足される履行義務 .................................. 22
8.2 ある一時点で移転される支配 ............................................... 26
9.
測定及び認識に関するその他の論点 ............................................ 27
9.1 製品保証 .......................................................................... 27
9.2 不動産プロジェクト・コスト .................................................... 27
10. 開示 ....................................................................................... 29
10.1 顧客との契約 .................................................................... 29
10.2 重要な判断 ....................................................................... 30
10.3 契約獲得コスト又は履行コストに関して認識された資産 ............ 30
10.4 実務上の便宜 ................................................................... 30
11. 次のステップ.............................................................................. 31
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
1
重要ポイント
• IFRS 第 15 号は、さまざまな業界に属するすべての企業に適用される収益認
識に関する単一の基準書である。新たな収益認識基準書は、現行の IFRS か
ら大幅に変更されている
• 収益認識の新基準は顧客との契約から生じる収益に適用され、IFRS における
すべての収益認識に関する基準や解釈指針(IAS 第 11 号、第 18 号並びに
IFRIC 第 15 号のような関連する解釈指針)に置き換わるものである
• さらに IFRS 第 15 号は、たとえば、契約の獲得及び履行に関連する一定のコ
スト並びに不動産や設備などの特定の非金融資産の売却など、一般的には
収益とは捉えられていない一定の項目に関する会計処理も定めている
• 変動対価の見積りや契約における履行義務の識別に関する規定は、不動産
物件の管理及び開発サービスに係る収益認識方法に変更をもたらす可能性
がある
• 不動産物件を売却する企業は一般的に当該物件の支配を移転した段階で収
益及び関連する利益を認識することとなる。支配の移転、すなわち収益認識
が一定期間に渡るものであるのか一時点で認識されるものであるかについて
は判断が必要となる
• IFRS 第 15 号は、2018 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用され、早
期適用も認められる
[テキストを入力] 概要
国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、「両審議会」と
いう)が共同で公表した新たな収益認識基準である IFRS 第 15 号「顧客との契約から生
じる収益」の適用により、不動産企業は、収益認識に関する会計処理や実務の変更が求
められる可能性がある。当該収益認識新基準は、不動産企業が現在使用している業界
固有の規定をはじめ、従来の IFRS 及び米国基準(US GAAP)におけるすべての収益認
識基準に置き換わるものである。不動産企業は、IAS 第 11 号の「工事契約」と IAS 第
18 号の「収益認識」のいずれの適用範囲であるかを今後検討する必要がなくなる。また
関連する IFRIC 第 15 号「不動産の建設に関する契約」も IFRS 第 15 号に置き換わるこ
とになる。
IFRS 第 15 号は、顧客との契約から生じるすべての収益に関する会計処理を定めてい
る。同基準書は、IAS 第 17 号「リース」など他の IFRS の適用範囲に含まれる契約を除き、
顧客に財又はサービスを提供する契約を締結するすべての企業に適用される。また、
IFRS 第 15 号は有形固定資産、無形資産など、一定の非金融資産の売却から生じる利
得及び損失の認識及び測定モデルも定めている。
本稿では、新たな収益認識基準が不動産業に及ぼす主な影響を考察する。本稿では、
以下に該当する企業に焦点を当て、IFRS 第 15 号の収益認識モデルの概要を説明
する。
•
•
•
不動産を所有、運営、売却する企業
物件管理サービスを提供する企業
住宅を建設・販売する企業
本書は、EY の刊行物「Applying IFRS:IFRS 第 15 号「顧客との契約から生じる収益」
(以下、「Applying IFRS 第 15 号」)(2015 年 4 月)1 を補足するものであり、当該刊行
物と併せてお読みいただきたい。
不動産企業は、両審議会の収益認識に関する共同移行リソースグループ(TRG)が行っ
ている議論にも注視されたい。両審議会は、利害関係者の新たな収益認識基準の適用に
資するため、TRG を創設した。また、TRG の議論を参考に、利害関係者から提起された本
基準適用上の論点やその他の事項に関して、追加の解釈指針、適用指針や教育の必要
性について判断する。なお、TRG が両審議会に対して正式な提言を行ったり、適用ガイダ
ンスを発行することはなく、また、TRG が検討した見解は強制力を有するものではない。
本書における弊法人の見解は、最終的なものでない点に留意されたい。この新たな収益
認識基準書に関する研究が進み、また多くの企業が同基準書の適用を開始するとともに
新たな論点が特定され、そうしたプロセスを通じて弊法人の見解が変わる可能性もある
ことを申し添えておく。
1 http://www.shinnihon.or.jp/services/ifrs/issue/ifrs-others/other/applying-ifrs-2015-04.html
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
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1. IFRS 第 15 号の要約
IFRS 第 15 号は、収益及び関係するキャッシュ・フローを認識及び測定するため企業が
適用すべき規定を定めている。その基本原則は、顧客への財又はサービスの移転と交
換に、企業が権利を得ると見込む対価を反映した金額で、収益を認識することである。
IFRS 第 15 号に定められる原則は、以下の 5 つのステップを用いて適用される。
1. 顧客との契約を特定する
2. 契約における履行義務を識別する
3. 取引価格を決定する
4. 取引価格の各履行義務への配分
5. 各履行義務が充足された時点で(又は充足されるにつれて)収益を認識する
企業が、黙示的な契約条件を含む契約条件及びすべての事実と状況を検討するに際
し、判断が必要となる。さらに、企業は IFRS 第 15 号の規定を、類似の特徴を有し、か
つ類似の状況におかれている契約に対して首尾一貫して適用しなければならない。
期中及び年度の両方において企業は、一般的に現行の IFRS より多くの情報の開示が
求められる。年度の開示には、企業の顧客との契約、重要な判断(及びその判断の変
更)、契約の獲得コスト又は履行コストに関して認識した資産に関する定性的及び定量
的情報が含まれる。
[テキストを入力] 2. 発効日及び経過措置
IFRS 第 15 号は 2018 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用される。早期適用は
IFRS に準拠して報告している企業及び IFRS の初度適用企業には容認されているが、そ
の場合にはその旨を開示しなければならない。
USGAAP を適用する上場企業には 2017 年 12 月 15 日以後開始する事業年度より適
用される。ただし、米国上場企業については早期適用は認められていない。2
すべての企業は完全遡及適用アプローチ又は修正遡及適用アプローチのいずれかを用
いて IFRS 第 15 号を遡及的に適用しなければならない。
•
両審議会は、企業が完全遡及適用アプローチを容易に適用できるように一定の実務
上の便宜を定めている
•
修正遡及適用アプローチにおいては、適用年度より IFRS 第 15 号を用いた財務諸
表が作成されるが、比較年度については遡及的に修正されない。つまり企業は、企
業による履行が引き続き要求される契約(すなわち完了していない契約)に関しては、
累積的なキャッチアップ調整を、適用開始日を含む事業年度の利益剰余金期首残
高(又は適切な場合には、資本の他の内訳項目)の修正として認識しなければなら
ない。さらに IFRS 第 15 号の適用に伴い適用開始年度に対し、現行基準(すなわち、
IAS 第 18 号、IAS 第 11 号及び関連する解釈指針)と比べて影響を受けた財務諸
表の表示科目ごとの金額を開示しなければならない
発効日及び経過措置についての詳細は「Applying IFRS 第 15 号」 セクション 1 を参照
されたい。
2 米国の非上場企業は、2017 年 12 月 15 日より後に開始する事業年度から新基準書を適用することが求めら
れ、 2016 年 12 月 15 日より後に開始する事業年度に関しては早期適用も認められる。
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新たな収益認識基準
— 不動産業
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3. 適用範囲
IFRS 第 15 号は、適用範囲から明確に除外されている以下の契約を除く、通常の事業の
過程で財又はサービスを提供するために締結されるすべての顧客との契約に適用さ
れる。
•
•
•
•
IAS 第 17 号「リース」の適用範囲内のリース契約
IFRS 第 4 号「保険契約」の適用範囲内の保険契約
IFRS 第 9 号「金融商品」(又は IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」)、IFRS
第 10 号「連結財務諸表」、IFRS 第 11 号「共同契約(ジョイント・アレンジメント)」、
IAS 第 27 号「個別財務諸表」及び IAS 第 28 号「関連会社及びジョイント・ベン
チャーに対する投資」の適用範囲内の金融商品及びその他の契約上の権利又は
義務
同業他社との非貨幣性項目の交換取引で、顧客又は潜在的な顧客への販売を容
易にするためのもの
賃貸人にとって極めて重要なのは、不動産物件のリースより生じる賃貸収益は IAS 第
17 号の適用範囲であり、IFRS 第 15 号の適用範囲ではないということである。しかし、
最終的なリース基準の決定次第では、サービスコストについては IFRS 第 15 号に従って
分離して会計処理する必要があるかもしれない。
企業は、一部が IFRS 第 15 号の適用範囲に含まれるが、他の一部が他の基準書の適
用範囲に含まれる取引を締結することがある。その場合、まず他の基準に規定される分
離及び(又は)測定方法を適用し、その後に IFRS 第 15 号が規定する取引価格の各履
行義務へ配分を実施することが求められる(セクション 7 参照)。対価合計額を収益と非
収益要素に分離することが求められるのは新しいことではない。しかし現在の IFRS と異
なり、対価の区分に関して、より具体的な規定が定められている。
不動産を売却した企業が、一定の期間に渡って売却した物件の運営管理を支援すること
に合意することがある。例えば、物件を売却した企業が、物件を取得した企業に対して事
前に合意した最低賃料水準と実際の賃料水準の差額を支払う、又は事前に合意した投
資回収水準を達成するのに必要な金額を支払うことに合意するといった場合である。具
体的な事実や状況にもよるが、現行の IFRS の下では取得した企業がこのような保証を
偶発債務、引当金、金融負債又は収益取引の一部として会計処理する場合がある。
このような保証を他の会計基準の範囲であると判断した場合には、IFRS 第 15 号は、ま
ず企業に当初測定又は区分に関する規定が他の会計基準に存在しているかどうか検討
することを求めている。例えば、その保証が金融負債であるとした場合に、IAS 第 39 号
「金融商品:認識及び測定」に従い、この金融負債を公正価値で当初認識しなければなら
ない。もしその保証が引当金であるとした場合、IAS 第 37 号「引当金、偶発負債及び偶
発資産」に従い報告期間の期末日において債務を決済するのに必要な費用の最善の見
積金額にて当初に認識しなければならない。いずれの場合においても対価の見積額を
差し引いた部分は顧客との契約のその他の要素へ配分される(例えば資産の移転を含
むその他の履行義務)。つまり、企業が収益をいつの時点で認識すべきかを決定する際
には、保証内容を考慮する必要はない。
[テキストを入力] この保証について IAS 第 18 号が適用される場合には、保証の存在が、リスクと経済価
値が取得企業へ移転していない、もしくは売却企業について所有に通常関連する範囲で
の継続的な関与があることを示しているかもしれない。いずれの場合においても収益認
識はできないこととなる。これとは対照的に IFRS 第 15 号では、保証の存在それ自体は
物件売却による収益及び関連する利益を認識できるか否かに影響を与えない。その代
わりに変動対価に関する規定を適用するのか、顧客へ支払われるべき対価を表している
のかを検討しなければならない(詳細はセクション 5 と 6 を参照されたい)。
弊法人のコメント
最終化されたリース会計基準にもよるが、リース契約に含まれるサービス(例えば
共有部分のメンテナンス)による収益のうち、リース要素以外の部分については、
IFRS 第 15 号に従って収益を認識しなければならないかもしれない。これらのサー
ビスはリース契約とは区分して会計処理しなければならず、関連する賃貸収益と比
較して潜在的に異なる収益認識パターンとなりうることを示している。両審議会が
リースプロジェクトを完成させるにあたり、決定内容が変更される可能性もあるため、
不動産の貸手はこの分野の動向を常に見守っていく必要がある。
不動産の売却及び移転取引については、IFRS 第 15 号が適用されることが明示されて
いる一方で、セールアンドリースバック取引については引き続き IAS 第 17 号の規定が
適用される。
両審議会が現在進めているリースプロジェクトにより、セールアンドリースバック取引に関
しては、現行の IAS 第 17 号の規定に置き換わる新たな規定が定められる見込みである。
IASB はリースの新基準を 2015 年に公表する予定である。
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4. 顧客との契約の識別
IFRS 第 15 号は、それぞれの顧客との契約に適用される。契約は、書面、口頭、又
は商習慣により黙示的な場合があるが、いずれの場合も法的強制力を有しており、
かつ、弊法人の刊行物「Applying IFRS 第 15 号」のセクション 3.1 で説明している
ように、特定の要件を満たすものなければならない。企業は特定の要件を満たす場
合には、同一の顧客と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約を結合し単一の契
約として会計処理しなければならない。
回収可能性の評価は、顧客との契約の有無を判断する要件の一つに含められる。
つまり、企業は、権利を得ると見込む対価(すなわち取引価格)を回収できる可能性
が高いと結論付ける必要がある。回収可能性について評価する際に、企業は、顧
客が期限到来時に期待される対価を支払う能力と意図だけを考慮する。
弊法人のコメント
ほとんどの不動産契約においては、書面により締結した契約により移転する物件又
は決められた支払いと交換に提供されるサービスが明示されている。このためほと
んどの契約要件の評価は、単純なものとなる。
しかし、不動産を売却すると同時に買主に資金を提供する企業にとっては回収可
能性の評価は困難なものになる。IFRS 第 15 号では、売主による資金提供の条件
及び借手の契約履行能力が、回収可能性の基準を満たしているか、又は黙示的
な値引きを示唆するものであるかを判断する際に役立つ適用ガイダンスは限られ
た範囲でしか提供されていない。
黙示的な値引きや減損損失がいつの時点で発生しているか(セクション 6.2 参照)
あるいは、契約に新基準の適用範囲と考えられるべき十分な実質が不足していな
いかどうかについて重要な判断が求められる。
IFRS 第 15 号は契約の要件を満たさない契約に関する会計処理についても規定し
ている(弊法人 の刊行 物「A p pl y in g I F RS 第 15 号」 のセクショ ン 3.4 を参
照 されたい)。
[テキストを入力] 4.1 契約の変更
契約の変更とは、契約の範囲又は価格(あるいはその両方)の変更をいう。住宅又
は集合住宅の工事期間中の変更注文やアップグレードなどの既存の契約の変更
は、契約変更の典型である。
企業は、当該変更によって独立した契約が創出されるのか、それとも契約変更を既
存の契約の一部として会計処理すべきなのかを判断しなければならない。契約の変
更が別個の契約として会計処理されるためには、2 つの要件が満たされなければな
らない。
(1)追加の財及びサービスが区分できる
(2)追加の財及びサービスに関する対価は、当該財及びサービスの独立販売価格を
反映している(セクション 7 を参照)
独立販売価格を決定する際には、企業は事実と状況に応じていくらか柔軟に対処す
ることができる。詳細については弊法人の刊行物「Applying IFRS 第 15 号」の 3.3.1
を参照されたい。
独立した契約として会計処理するための要件を満たさない契約変更は、既存の契
約の変更とみなされる。その場合、(a)原契約を終了し、新規契約を締結したものと
するか、あるいは(b)原契約を継続しているものとするかのいずれかで取り扱われ
る。(a)又は(b)のいずれにより会計処理されるかは、契約変更後に提供される財
又はサービスが区分できるかどうかにより決定され、以下のように会計処理される。
独立販売価格に見合う
金額で区別可能な財又は
サービスが追加される
契約変更のみが、別個の独
立した契約として取り扱わ
れる。
•
契約変更による追加的に提供される財又はサービスが既に提供した財又は
サービスと区分可能であるが、独立販売価格を反映していない場合には、原
契約の終了と新規契約の締結として将来に向かって会計処理される。このとき、
残りの契約対価を、残りの履行義務に配分する
•
契約変更による追加的に提供される財又はサービスが既に提供した財又は
サービスと区分できない場合には、原契約の継続として会計処理する。すなわ
ち、契約変更時点において、すでに部分的に充足されている単一の履行義務
の一部を構成し、このような契約の変更については累積的なキャッチアップを
ベースとした会計処理を行う
契約における履行義務の識別に関する詳細は、セクション 5 を参照されたい。
弊法人のコメント
不動産会社は、移転する残りの財又はサービスが区分可能であるか、また独立
販売価格に見合った価格であるかを判断するために、契約変更時点における財
又はサービスを慎重に評価する必要がある。結論によっては、会計処理は著しく
影響を受けることになるため、この評価は重要である。
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新たな収益認識基準
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5. 契約における履行義務の識別
企業は顧客との契約を識別した時点で、契約において約定したすべての財又はサービ
スを識別し、約定した財又はサービス(もしくは約定した財又はサービスの組み合わせ)
のうちどの部分を独立した履行義務として取り扱うか判断するため、契約条件や取引
慣行を評価する。
FRS 第 15 号は、生産した財の販売や購入した財(すなわち不動産)の再販、顧客に向
けた契約で取り決められた作業の履行(例:不動産管理)及び顧客に代わって行う不動
産の建設や開発をはじめとする約定された財及びサービスに該当すると考えられる、
不動産会社に共通する複数の活動を識別している。
独立した履行義務とは、以下に該当する財又はサービスを移転する約束を表す。
•
区別できる財又はサービス(あるいは財又はサービスの組合せ)
あるいは
•
実質的に同一で、顧客への移転のパターンが同じである、一連の区別できる財
又はサービスを構成する
5.1 「区別できる」か否かの判断
IFRS 第 15 号では、約定した財又はサービス(あるいは財又はサービスの組合せ)が区
別できるか否かを判断する際の 2 段階アプローチについて定めている。
•
個々の財又はサービスのレベルでの評価(すなわち、財又はサービスがそもそも
区別され得るのか)
•
財又はサービスが契約に含まれる他の約定から区別して識別できるか否かの評価
(すなわち、財又はサービスが契約の観点から見た場合に区別できるか)
当該要件が満たされる場合、当該財又はサービスは区分して個別に会計処理する必
要がある。当該要件が満たされる場合、当該財又はサービスは区別されなければなら
ない。つまり、取引価格はこれらの履行義務に配分し、収益を認識するには、それぞれ
の履行義務が充足されなければならない。
多くの場合、財又はサービスは区別できるものとすることができるが、契約との関係で
はその区別ができないこともある。IFRS 第 15 号には、財又はサービスが別個に識別
可能ではなく、1 つの履行義務として結合しなければならないか否かを判断するための
要因が定められている。そうした要因が存在している場合は、財及び(又は)サービス
は、契約内の他の財又はサービスから区別して識別可能であることを示唆すること
になる。
•
企業は、その財又はサービスを契約に含まれる他の約定した財又はサービスと結
合し、顧客が契約した対象物であるアウトプットを表す財又はサービスの組合せに
統合するという重要なサービスを提供していない
•
その財又はサービスは、契約に含まれる他の約定した財又はサービスを大きく改
変又はカスタマイズをしない
•
その財又はサービスが、契約における他の約定した財又はサービスに大きく依存
していない、又は密接に相互関連していない
約定した財又はサービスが区別できない場合、企業は、区別できる財又はサービスの組
合せが識別されるまで、当該財又はサービスを他の約定した財又はサービスと結合しな
ければならない。区別できるものの組合せを単一の履行義務として会計処理する。次の
例で説明する。
[テキストを入力] 例示 5-1 — 住宅の建設
住宅建築会社 B 社は、同社が所有する土地に、ある顧客向けに新築住宅を建設す
る契約を結ぶ。工事が完了した時点で住宅と土地の所有が顧客に移転される。住宅
建築会社 B 社は、プロジェクト全体の管理を担当し、設計作業、資材の調達、土木や
基礎工事、骨組及び漆喰、機械電気工事、内装工事(例:窓、戸やタンス類など)、及
び仕上作業をはじめとする、提供すべき財及びサービスを識別する。
分析
住宅建築会社 B 社はまず、様々な財及びサービスのそれぞれについて、単独で、あ
るいは他の容易に入手できる資源と組み合わせで、顧客が便益を享受できるかどう
かを評価する。同社は、他の請負業者もこれらの財及びサービスを区別して他の顧
客に日々販売していると判断する。したがって、顧客は財及びサービスのそれぞれ
から(単独で、あるいは容易に入手できる他の資源と組み合わせで)経済的便益を
創出できる。ただし、各々の不動産に適合する形で提供されなければならない。よっ
て同社は、財及びサービスは区別できると判断する。
次いで財及びサービスが契約との関係で区別できるかどうかを判断する。同社は、
契約により、様々な財及びサービス(インプット)を新築住宅(結合アウトプット)に統
合するという重要なサービスを提供するとしている。したがって契約の個々の財及び
サービスを移転するという同社の約定は、契約の他の約定と別個に識別可能となる
ものではない。すなわち、様々な財及びサービスの全てが完成時に顧客に移転さ
れる。
区別できる財又はサービスを識別するための要件が両方とも満たされていないこと
から、住宅建築会社 B 社は、財及びサービスは区別できるものではないと判断し、契
約における全ての財とサービスを単一の履行義務として会計処理する。セクション 8
で履行義務の充足に関して説明しているので、参照されたい。
開発業者が提供する娯楽施設類(例:プール、ゴルフ・コースやヘルス・クラブ施設)
は IFRS 第 15 号に従ってどのように会計処理すべきかは定かではない。娯楽施設類
は、不動産プロジェクトの個々の所有区分の販売に合わせて販売もしくは移転される
ことが多い。これらの取引を評価する際、企業は以下を検討する必要がある。
•
•
関係する当事者(例:顧客及び住宅管理組合)
•
約定(潜在的な履行義務)はどの当事者に向けたものなのか
独立した履行義務の有無及びそれらはどのようなものか(例:財又はサービス)
弊法人のコメント
全ての不動産企業は、契約の中に独立した履行義務が存在するかを判断しなけれ
ばならない。我々は、住宅施工業者、集合住宅の開発業者さらには不動産販売以
外にも不動産管理サービスを提供する企業にとって、これらの判断はより複雑なも
のになると考えている。というのも、これらの契約の性質上、企業は独立した履行義
務を示す(もしくは、示さない場合もあるが)複数の活動の実施を要求されるか
らである。
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新たな収益認識基準
— 不動産業
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5.2 実質的に同一で、移転パターンが同じである、一連の区別できる
財又はサービス
実質的に同一で、顧客への移転パターンが同じである一連の区別できる財及びサービ
スは、以下の要件のいずれもが満たされる場合には、顧客に対する単一の履行義務と
して会計処理しなければならない。
不動産管理サービスを提
供する企業は、どの活動
が一連の区別できるサー
ビスを構成するかを判断す
る必要がある。
•
企業が連続して移転することを約定した一連の財又はサービスに含まれる各区別
できる財又はサービスは、個別に会計処理されるならば(セクション 8.1 を参照)、
一定期間にわたり充足される履行義務を表す
•
企業は、一連の財又はサービスに含まれるそれぞれに区別できる財又はサービ
スについて、同じ測定方法を用いて履行義務の充足に向けて進捗度を測定する
(セクション 8.1.4 を参照)
不動産管理サービス(例:メインテナンス、清掃、リース、事務作業及び支援サービス)
は、両方の要件を満たす可能性が高い。しかし、不動産管理サービス契約には通常、
複数の基本的な活動が定められ、サービス契約の中のどの活動が両方の要件を満
たすかを決定するには、相当の判断が要求される可能性がある。以下に、不動産管
理契約における履行義務を不動産企業がどのように評価するかその方法を
説 明す る。
例示 5-2 — 不動産管理契約における履行義務の識別
不動産管理会社 R 社は、地域のショッピング・センターに対し、不動産管理サービス
を提供する 5 年契約を、不動産所有会社 S 社と結ぶ。契約上は、不動産管理会社
R 社は以下の機能を果たすことが求められる。
•
四半期ごとに不動産から得られるリース収益の 5%を報酬として、ショッピング・
センターの日々の運営を管理する
•
新たなリース契約については 1 平方フィート当たり CU5、リース契約の更新につ
いては 1 平方フィート当たり CU3 を報酬として、リース仲介サービスを提供する
不動産管理会社 R 社は、独立した履行義務の有無を識別するため、契約に従って
提供される各サービスを評価する。同社はまた、単一の履行義務として会計処理す
る要件を満たしているかどうか(またサービスは複数の履行義務になるのか)を判
断するため、サービスのそれぞれの部分を構成する基本的な活動を検討する。
同社は、リース仲介サービスと管理サービスとは区別できるものであると判断する
(すなわちリース仲介サービスと管理サービスとが、単一の履行義務として結合さ
れることはない)。すなわち、両方のサービスが区別でき、また契約の観点でも区別
できるものと判断される。というのも同社は、サービスを統合するという重要なサー
ビスを提供してはおらず、一方のサービスにより他のサービスが著しく改変されたり、
カスタマイズされたりすることはなく、さらに、サービスがお互いに大きく依存する、
又は密接な相互関係があるとはいえないからである。不動産の日々の管理を遂行
するのに必要となる活動は、テナントと交渉を行い、リース契約を
結ぶのに必要とされる活動とは区別できる独立した活動である。
[テキストを入力] 例示 5-2 — 不動産管理契約における履行義務の識別(続き)
管理サービスの分析
不動産管理会社 R 社は、不動産の日々の運営を管理するために遂行しなければな
らない活動を評価する。同社は、メインテナンス、清掃、セキュリティ、造園、除雪、テ
ナント関係の管理や事務作業及びサポート作業をはじめ、不動産管理サービス全体
に関係する数多くの活動を識別する。これらの活動はそれぞれが個々には区別でき
るが、同社は、管理サービスの最終的な目的は、不動産が意図した通りに営業し、
運営されるために必要となる活動を遂行することであることから、契約との関係では
それらは区別できるものにはならないと結論付ける。
さらに同社は、管理サービスは、その内容は実質的に同じで不動産所有会社 S 社に
対する同一の移転パターンを伴う一連のサービスに該当すると判断する。日々発生
する具体的な活動(例:造園は夏期に実施されるが、除雪作業は冬期に実施される)
は若干の変化を伴うが、不動産管理のサービス全体は、契約における一定期間に
わたり実質的に同一で、同じ移転パターン(すなわち日々の移転)を伴う。さらにそれ
ぞれの区別できるサービスは、一定期間にわたり(すなわち、一時点ではなく、契約
期間にわたり)履行される履行義務を表し、進捗(例えば時の経過)の測定に同じ方
法を用いており、よって要求される要件を満たすことになる。
リース仲介サービスの分析
不動産管理会社 R 社は、リース仲介サービスを構成する活動を評価する。同社は、
今後の空室状況の確認、新たなテナントの特定、プロポーザルの作成、リース契
約の交渉及びリース契約書類作成など、リース過程で発生する複数の活動を識別
する。これらの活動のうち一定部分は区別できるものになるかもしれないが(例:
リース契約書類作成は外部委託できる)、同社は契約の関係ではそれらは別個に
なることはないと結論付ける。というのもリース仲介サービスの最終的な目的は、
不動産の全体の入居率を維持するために、テナントと個々のリース契約を締結す
ることにあるからである。
弊法人のコメント
上記の通り、企業はまず、契約のいずれのサービスが区別できるものになるか、そ
して、独立した履行義務を示すことになるかを判断する必要がある。次いで、それら
のサービスが実質的に同一であり、移転パターンも同じであって、かつ上述の 2 つ
の要件を満たすか(したがって 1 つの履行義務に結合されなければならないか)ど
うかを判断するための評価を行う必要がある。不動産管理者が不動産の日々の管
理運営以上の活動を実施している場合には、この評価に関して相当の判断が必要
となる。
商業施設等の不動産の管理者は、例えば季節限定のテナントを探し出してリース
契約を締結、現地でのイベントの誘致あるいは周辺地域の宣伝することなどに責任
を負う可能性がある。ある企業が、これらの活動は独立した履行義務を表すと判断
し、契約がこれらのサービスの独立した販売価格を表す別個の収益を定めていな
い場合、基本となる管理報酬は、各独立した履行義務に配分されなければならない
(セクション 7 を参照)。
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
13
6. 取引価格の算定
取引価格は、顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込む対
価の金額であり、第三者のために回収する金額は除かれる。権利を得る金額とは、現
在の契約に従って企業が権利を有する金額をいうが、契約価格とは異なることがある
(例えば、企業が値引きを提示する見込み又は意図がある場合など)。
企業が値引き又はその他の割引を提示している又は受け入れる用意があると結論付
ける場合、取引価格は明示された契約価格より低くなることがある。そのような値引き
又は割引は、企業が、取引価格を導き出すために契約開始時点で見積り、契約価格
から減額することになる、ある種の変動対価となる(下記 6.2 を参照)。見積取引価格
は、回収可能性の評価に通じる。次の例でこれらの概念を説明する。
契約金額
値引き―企業が契約価格の減額を提示する
又は受け入れる金額
取引価格
CU2,000,000
(CU200,000)
CU1,800,000
契約で定められた対価には、固定対価及び(又は)変動対価が含まれる。取引価格を
決定する際、企業は変動対価を見積らなければならず、変動対価には制限が課せられ
る(セクション 6.1.1 を参照)。不動産企業は契約開始時点で不動産管理契約及び一定
の不動産売買契約における変動対価の見積りにより、重要な変更を求められる可能性
がある。取引価格にはまた、現金以外の対価の公正価値、重要な金融要素の影響(す
なわち貨幣の時間的価値)及び顧客に支払われた、また支払われる対価の影響が含
まれる。
6.1 変動対価
取引価格は、割引、クレジット、値引き、インセンティブ又は業績ボーナスにより金額及
び時期が変動することがある。さらに、対価は、将来の事象の発生又は不発生により
決定されることもあれば、基礎となる測定値(例えば売上、利益、営業業績など)に占め
る割合を基に決定されることもある。
企業は「期待値」法(すなわち、確率加重した金額の合計)又は「最も可能性の高い金
額」を示す方法(すなわち、単一の最も可能性の高い結果)のうち、いずれか企業が権
利を得る対価の金額をより適切に予測できる方法を用いて変動対価を見積らなければ
ならない。すなわち、いずれの方法を採用するかは「任意の選択」ではなく、企業は選
択した方法を、契約全体を通じて一貫して適用し、各報告期間期末の末日に見積取引
価格を見直す。
両審議会は、企業が権利を得る金額が 2 つの起こり得る金額のうち 1 つに対してのみ
である場合(例:企業は特定の業績ボーナスを全額受領するか、もしくは何も受領しな
いかのいずれかとなり、その一部を受領することはない契約)、「最も可能性の高い金
額」を示す方法の方が、その状況をより適切に予測できる、と指摘している 3。以下で、
不動産企業が不動産の売却により、将来の利益配当から生じる変動対価を見積る例
を説明する。
3
[テキストを入力] IFRS 15.53(b)
例示 6-1 — 変動対価の見積り
不動産開発会社 D 社は、原価 CU1.9 百万の新築商業不動産を CU2 百万で販売す
るが、そこには不動産から生じる初年度分の将来の営業利益のうち 5%を受領する
権利が付いている。同社は、継続的な追加的履行義務を有していない。不動産の業
績(すなわち、予想される賃貸料で不動産全体のテナントを確保する買手の能力)に
基き受領される対価については数多くの起こり得る結果があると判断する。買手は
現在、不動産の 50%に関し有望なテナントと賃貸借契約を締結している、もしくは入
居の意思表明を受領している。
「分析」:不動産開発会社 D 社は、「期待値」法又は「最も可能性の高い金額」を示す
方法のうち、いずれの方法が受領する変動対価をより適切に予測できることになるか
を判断しなければならない。同社は、複数の結果が起こり得ることから、「期待値」法
の方が変動対価をより適切に予測できると判断する。
不動産開発会社 D 社が買手の現在の賃貸借契約から、以下のような将来の利益配
当を見積る。
将来利益
確率
CU 500,000
10%
CU 250,000
70%
CU
20%
0
本例示では、下記で説明する制限により、契約開始時点で取引価格に含まれる金額
が制限されることはない(すなわち、重要な収益の戻入れが生じる可能性は非常に少
ないと仮定する)。確率加重見積りを用いて不動産開発会社 D 社は、当該変動対価に
関 連 し て 生 じ る CU225,000[ ( CU500,000x10% ) + ( CU250,000x70% ) +
(CU0x20%)]を取引価格に含め、取引価格は CU2,225,000 になる。
不動産開発会社 D 社は、翌報告期間末時点で取引価格の見積りを見直す。買手が
不動産の 75%に関し入居の意思表明を受領している、もしくは賃貸借契約を締結し
ていることを受け、同社は今のところ将来の利益配当 CU500,000 を受領する可能
性は 75%、CU250,000 を受領する可能性は 25%と判断する。その結果、同社の変
動対価の見積りは、CU437,500[(CU500,000x75%)+(CU250,000x25%)]に見
直され、追加収益 CU212,500(CU2,437,500 —CU2,225,000)が認識される。
6.1.1
不動産の販売又は不動産
管理契約から生じる変動
対価を会計処理する際に
は、そこに課せられる制限
を考慮する必要がある。
変動対価の見積りの制限
変動対価を取引価格の見積りに含めるためには、企業はまず、変動性に関する不確
実性が解消する段階で重要な収益の戻入れが生じる可能性は非常に少ない、と結
論付けられなければならない。両審議会は、重要な収益の戻入れを生じさせる要因
を以下のように定めている。
•
対価の金額が、企業の影響力が及ばない要因(例:市場の変動性、第三者の判
断又は行動、気象状況)に非常に影響されやすい
•
対価の金額に関する不確実性が長期間にわたり解消しないと見込まれる
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
15
•
類似した種類の契約についての企業の経験(又は他の証拠)が限定的である、
又は当該経験(又は他の証拠)の予測価値が限定的である
•
企業には、同様の状況における類似の契約について、さまざまな価格譲歩や支
払条件の変更を行なってきた慣行がある
•
契約上の対価はさまざまな金額になることが考えられ、かつその変化の幅も広い 4
両審議会が提供しているこれらの指標は、全てを網羅するものではない。したがって、
他の要因であっても評価を行う上で考慮すべき場合がある。さらにこれらの指標のい
ずれかが存在するからといって、必ずしも変動対価の見積りの変更により、重要な収
益の戻入れが生じる可能性が非常に高くなるということはない。
例えば、制限が変動対価の見積りにどのように影響するかを判断する際、不動産販売
者及び不動産管理者は、類似する契約に関する経験、長期契約の後半に見られる不
確実性の高まりや支配の及ばない、市場その他の要因をはじめ、多岐にわたる要因を
考慮する必要がある。したがって、全ての企業は、自らの結論に達した理由(検討した
裏付けとなる証拠及び裏付けには至らない証拠)を十分かつ遅滞なく文書化しておく
べきである。
企業が、重要な収益の戻入れを生じさせる変動対価の見積りの変更が発生する確率
は非常に低いと結論付けることができない場合、取引価格に織り込まれる変動対価の
額は制限されることになる。さらに、契約に変動対価が含まれる場合、企業は、各報告
期間末時点で存在する状況を描写するために契約期間全体にわたる取引価格の見
積り及び制限の評価の両方を見直さなければならない。
以下で、変動対価の見積りの制限がどのように課せられるかを説明する。
例示 6-2 — 変動対価の見積りの制限を評価する
不動産の買手が契約見込みのテナントとの交渉を開始したばかりであるという点を
除き、事実関係は例示 6-1 と同じであると仮定する。買手はスペースの重要な部分
について賃貸借契約を未だ締結しておらず、交渉も極めて難航している。利益は、賃
貸借契約が主要な中核テナントと締結されるかどうかに大きく左右される。
分析
不動産開発会社 D 社は「期待値」法を用いて、将来に CU1,500,000 の利益配当
を受領する確率は 25%、CU250,000 となる確率は 50%、ゼロとなる確率は 25%と
見積る。(制限を考慮する前の)確率加重見積りを用いて、不動産開発会社 D 社は、
変 動 対 価 CU500,000[ ( CU1,500,000x25% ) + ( ( CU250,000x50% ) +
((CU0x25%)]を取引価格に含める。しかし、企業は、少なくとも重要な収益の戻入
れが発生する可能性がほとんどないと考えられる金額を受け取る確率は 75%と見
積っているため、取引価格に含まれる変動対価は CU250,000 に制限される。
4 IFRS
[テキストを入力] 15.57
6.1.2 価格譲歩
セクション 4 で説明しているように、契約が新たな収益認識基準の適用範囲内となる
かどうかを判断する前に、企業が、財又はサービスの移転との交換で権利を得ると
見込む対価(例えば、取引価格)を回収する可能性が高いかどうかを評価する必要
がある。取引価格を決定するとき、企業は、契約開始時点で、明記された契約価格
より低い金額を受け入れる意図あるいは意思があるのか(例:値引きを提示するの
か、あるいは受け入れるのか)を考えなければならない。値引きはある種の変動対
価であり、したがって、企業が契約に従って権利を得ると見込む金額を見積るときに
考慮しなければならない。
弊法人のコメント
両審議会はその「結論の根拠 5」で、対価の合計(固定対価と変動対価の合計)に
対しどの程度の収益の戻入れの可能性があるかを企業は評価しなければならない
と言及する一方で、金額の重要性の評価に関する定性的な規定は盛り込んでいな
い。したがってこの評価を行う上で、企業は相当の判断を求められることになる。
6.2 現金以外の対価
新たな収益認識基準では、企業が(財又はサービスの形態をとる)現金以外の対価を
受領する、又は受領を見込む場合、現金以外の対価の公正価値(IFRS 第 13 号「公正
価値測定」に従って測定される)は取引価格に含められる。企業が現金以外の対価の
公正価値を合理的に見積ることができない場合は、顧客に約定された財又はサービス
の独立した販売価格の見積りを参照するなどにより、現金以外の対価を間接的に測
定しなければならない。
6.3 重要な金融要素
対価の受領と財又はサービスの顧客への移転のタイミングが一致しない場合(すな
わち、対価が前払いされる、又はサービスが提供された後に支払われる場合)、重
要な金融要素が存在している可能性がある。
契約における金融要素が重要でなければ、企業はこの要素について取引価格を調整
する必要はない。さらに企業は、顧客による支払いと企業による財又はサービスの移
転の間の期間が 1 年より長い場合を除き、契約に重要な金融要素が含まれるか否か
を評価する必要はない。
契約にとって金融要素が重要であると判断した場合、約定対価の金額を割り引くこと
で取引価格を算定する。企業は、顧客と別個の金融取引を締結するならば使用するで
あろう割引率と同じ利率を適用する。割引率は、契約における借手の信用特性を反映
したものでなければならない。そのため、別個の財務契約における市場条件とは整合
しない金利は、契約に明記された金利であっても使用することは容認されない。一定
の制限が課せられることにはなるが、重要な金融要素であると判断される前払いが存
在する場合、取引価格に反映する必要がある。
5
IFRS 15.BC217
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
17
7. 取引価格の各履行義務への配分
履行義務を識別し、取引価格を算定したら、次は当該取引価格を各履行義務に配分す
る。通常、当該配分は、独立販売価格に比例して(すなわち相対的な独立販売価格に
基づき)行われる。ただし、2 つの例外規定が存在する(セクション 7.1 を参照)。なお、
契約開始後は独立販売価格の変動に関して、取引価格の配分を見直さない。
相対的な販売価格の比率を基準として取引価格を配分するには、企業はまず、各履行
義務の独立販売価格(すなわち、契約開始時点の企業が独立した財又はサービスとし
て販売するときの価格)を決めなければならない。通常、財又はサービスが個別に販売
される場合の客観的な価格が、独立販売価格の最善の証拠を提供するとされている。
しかし、多くの場合、客観的な独立販売価格は容易に入手可能ではない。そのような
場合、企業は、合理的に入手可能となる情報に基づいて独立販売価格を見積る必要
がある。
独立販売価格を算定する場合、企業は可能な限り客観的な情報を使用しなければなら
ない。客観的な独立販売価格がない場合、企業は合理的に入手可能な情報を考慮し
て独立販売価格を見積る必要がある。考えられる見積方法としては、調整後市場評価
アプローチ、予想コストにマージンを加算するアプローチ、残余アプローチが挙げられる。
企業は、類似した状況において、首尾一貫した見積方法を適用しなければならない。
したがって不動産販売会社は IFRS 第 15 号に従って、不動産とそれに関連するサー
ビスの独立販売価格を個別に見積り、契約で受領される対価の合計金額を、相対的
な独立販売価格の比率を基準として配分する必要がある。
弊法人のコメント
第三者に管理サービスを定期的に提供する企業は、そうした見積を行うプロセスを
すでに備えているであろう。しかし独立した形ではそうしたサービスを提供すること
がほとんどなく、不動産の販売に関連してのみ、そうしたサービスを提供する企業
は、独立販売価格を見積る新たなプロセスを構築し、その見積りの合理性を裏付
けるのに十分な文書化を行う必要がある。
相対的な独立販売価格の比率による配分法では、企業が契約における履行義務に関
する独立販売価格を決定し、契約における全ての履行義務の独立販売価格の合計に対
する各履行義務の独立販売価格の比率に基づき取引価格をそれらの履行義務に配分
する。
[テキストを入力] 7.1 相対的な独立販売価格の比率による配分方法の例外
IFRS 第 15 号には、相対的な独立販売価格の比率に基づく取引価格の配分方法に
関し、2 つの例外規定が設けられている。
例外規定の 1 つは、契約における値引きは、独立した履行義務の全てに比例的に配
分するのではなく、値引きが関係する特定の財又はサービスにのみ配分することが要
求される。この例外規定を適用する上で、企業は通常の不動産契約においては充足
される可能性が低い、一定の要件 6 を満たさなければなない。
もうひとつの例外規定は、以下の2つの要件 7 が満たされる場合には、すべての変動
対価を契約に含まれる特定の履行義務、すなわち、契約に含まれる履行義務のうち、
1つ又は複数(ただし、すべてではない)の履行義務もしくは単一の履行義務の一部を
構成する一連の区別できる財又はサービスに含まれる一つ又は複数(ただし、すべて
ではない)の区別できる財又はサービスに配分しなければならない。
不動産管理者は、一定の
要件が満たされる場合、
変動対価を、関連する
サービスが提供される期
間に配分する。
•
変動対価の支払条件が、履行義務を充足する又は区別できる財又はサービスを
移転するための企業の努力(あるいは履行義務の充足又は区別できる財又は
サービスの移転から生じる特定の結果)に明確に関連している
•
変動対価の全体を特定の履行義務又は区別できる財又はサービスに配分するこ
とが、企業が約定した財又はサービスを顧客に移転することとの交換に権利を得
ると見込んでいる対価の額を反映する金額で収益を配分するという、収益認識基
準の全体的な目的と整合する
両審議会は「結論の根拠 8」でその例として、ホテル管理サービスを 1 年間にわたり提
供する契約において、変動性のある対価がホテルの業績を基礎として決定される(す
なわち、実質的に同一で、顧客への移転パターンも同じである一連の区別できる財又
はサービスで構成される単一の履行義務)契約を取り上げている。この例では、契約
期間のある一期間にサービスを移転する企業の努力に明確に関連する変動対価は、
そのサービスが他の期間に提供されるサービスと区別できる場合には、履行義務全
体に配分するのではなく、その区別される期間に対してのみ配分されている。
以下の例示は、不動産管理者が提供するサービスが単一の履行義務に該当するか
どうかを判断する場合のこの例外規定の適用方法を説明している。
6
IFRS 15.82
IFRS 15.85
8
IFRS 15.BC285
7
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
19
例示 7-1 — 不動産管理報酬
2018 年 1 月 1 日、E 社はショッピング・センター・オーナーと不動産管理サービスを
提供する 1 年契約を締結する。同社は、契約で決められているショッピング・セン
ターの四半期ごとのリース収益の 5%を管理費として受領する。これは一種の変動
対価になる。
分析
E 社は、管理サービスは、一定期間にわたり認識される単一の履行義務にあたると
結論付ける。
これは実質的に同一で顧客への移転のパターンが同じである一連の区別できる
サービスを提供することとなる(すなわちサービスが一定の期間にわたり顧客に移
転し、E 社は進捗度の測定に経過時間を用いる)ためである。
取引価格は、各四半期にそれぞれに配分される。四半期ごとの管理費は、各四半
期の履行義務を充足する同社の努力と明確に関連しているためである。さらに、配
分は、企業が約定したサービスを顧客に移転することとの交換に権利を得ると見込
んでいる対価の額を反映する金額で収益を配分するという、収益認識基準の全体
的な目的とも整合する。
例えば、不動産により創出されるリース収益は、2018 年第 1 四半期が CU2.0 百万
である場合には、E 社は 2018 年 3 月期に関し CU100,000(CU2.0 百万円 x5%)
の収益を認識する。
弊法人のコメント
不動産管理者は、企業が 1 つの履行義務しか含まれないと判断した契約も含め、
変動対価の配分に関する例外規定が、不動産の業績に一定率を乗じたものに基
づき変動対価が決定される契約にも適用されるかを判断するため、その契約を評
価する必要がある。例外規定の適用(したがって別個の期間にサービスを移転す
る企業の努力に明確に関連する管理費を認識すること)は比較的容易である、と
考える企業もあるだろう。しかし、契約の中には、単一の履行義務であっても、それ
に係る収益の流れが複数存在することがある。例えば変動対価以外にも、契約に
は、企業が選択した進捗度の測定方法(例:経過期間)を用いて一般的に契約期
間にわたり認識される固定報酬が含まれることもある。
一部の不動産管理契約には、基礎となる管理報酬とは異なる期間にわたる不動産
の業績を基に決められるインセンティブ報酬(例:四半期対年度決算)が含まれる場
合がある。以下の例示は、こうした契約から生じる収益を認識する際に企業が直面
する複雑性と要求される重要な判断について説明している。
[テキストを入力] 例示 7-2 — インセンティブを基に決定される報酬
E 社は不動産の年次の営業純利益(NOI)の 2%を報酬として受領するという以外、
事実関係は例示 7-1 と同じであるとする。ショッピング・センターの入居状況は安定
しており、契約期間の間にテナントによる著しい空室が生じることは見込まれない。
ショッピング・センターは 12 月から 3 月にかけて定期的に大雪に見舞われることの
ある地域に位置しており、年によっては多大な除雪費用が生じる。
分析
E 社は、変動対価となるインセンティブ報酬を評価する。不動産の運営費用の大半
は予測可能であるが、同社は、除雪費用の変動によって不動産の NOI は大きく影
響を受けると判断する。NOI の潜在的な変動性に鑑みて、同社は期待値法を使用
し、不動産が CU1.2 百万、CU1.5 百万及び CU1.8 百万の NOI を創出する可能
性は全て同じ(すなわち 33.3%)と結論付ける。この手法では、同社はまず、
CU30,000[0.02x((CU1.2 百万 x33.3%)+(CU1.5 百万 x33.3%)+(CU1.8 百万
x33.3%))]をインセンティブ報酬から稼得すると見積る。
このシナリオではインセンティブ報酬は不動産の年次 NOI を基に決定される。しか
し、同社は、変動対価の一部については、基礎となるサービスが遂行される具体
的な期間(四半期等)に認識する必要があるかどうかを判断しなければならない。
同社は、インセンティブ報酬の重大な戻入れが年度末までに発生する可能性は非
常に少ないものであるかどうかを検討する。この評価は、契約に特有の事実と状
況を考慮して行わなければならない。
E 社は契約開始時点では、除雪費用が NOI に大きく影響することから、インセン
ティブ報酬の重大な戻入れが年度末までに発生する可能性は非常に少ないと結
論付けることはできない。除雪費用は、企業の影響力が及ぶことのない要因(例:
将来の気象状況)から生じる。したがって同社は、年次のインセンティブ報酬の認
識に制限を課す。すなわち、インセンティブ報酬の重大な戻入れが発生する可能
性が非常に少ない NOI を見積った上で稼得される報酬のみを、配分可能な取引価
格に含める。この評価を行う上で、同社は、最低でも CU30,000(CU1,5 百万
x0.02)を稼得する機会が 66.6%であっても、結果が「戻入れの可能性が非常に低
い」にはならないと結論付ける。よって同社は、少なくとも 100%の確率で受領され
る と 考 え る 金 額 を 算 出 し 、 取 引 価 格 に 含 ま れ る 金 額 を CU24,000
(CU1,200,000x0.02)に制限する。その後、各報告期間の期末時点で取引価格
の見積りと変動対価に課せられる制限の評価を見直していく。
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
— 不動産業
21
8. 履行義務の充足
企業は、約定した財又はサービスの支配を顧客に移転し、履行義務を充足した時にの
み収益を認識する。支配は一定期間にわたり移転されることもあれば、ある一時点で移
転されることもある。
財又はサービスの支配とは、その使用を指図できる能力、及び残存する便益(すなわち、
財又はサービスにより生み出されるキャッシュ・インフローに対する権利、又はキャッ
シュ・アウトフローの減少)のほとんど全てを獲得できる能力をいう。また、他の企業が財
又はサービスの使用を指図し、それらの便益を享受することを妨げる能力も意味する。9
支配の移転時点で収益を認識するアプローチは、現在の IFRS における「リスクと経済価
値」モデルとは異なるものである。IAS 第 18 号は現在、財の販売から収益を認識するに
は、5 つの要件が満たされていなければならないと定めている。これらの要件によると、
販売された財 10 に対する所有又は有効な支配に通常見られるような継続的な管理上の
関与が存在していてはならないということは確かである。継続的な管理上の関与の存在
は、財の支配が買手に移転していないことを示唆する可能性があるが、IFRS 第 15 号で
はそれだけで収益の認識が排除されるものではない。
一定期間にわたり履行され
ることになる履行義務に関
する IFRS 第 15 号の要件
は、IFRIC 第 15 号の現行
の規定とは異なるため、両
者の会計処理結果は異な
る可能性がある。
IFRS 第 15 号は、企業は契約開始時点で、約定された財又はサービスの支配が一定期
間にわたり移転するのかどうかを判断しなければならないと定めている。一定期間にわ
たり充足されない場合、当該履行義務はある一時点で充足される。支配がいつの時点で
買手に移転しているかを判断するための指標を含むこれらの概念については、以下の
セクションで詳述する。
8.1 一定期間にわたり充足される履行義務
以下の要件のうちいずれかが満たされる場合は、企業は財又はサービスの支配を(ある
一時点ではなく)一定期間にわたり移転することになる。
•
企業が履行するにつれ、顧客はその履行による便益を受け取り、消費する
•
企業の履行が、資産(例:仕掛品)を創出するか又は増価させ、顧客が当該資産の
創出又は増価につれてそれを支配する
•
企業の履行により企業にとって代替的な用途がある資産が創出されず、かつ企業
が現在までに完了した履行に対して支払を受ける法的に強制可能な権利を有してい
る
8.1.1
企業が履行するにつれ、顧客は便益を受け取ると同時に消費する
一定のケースでは、顧客が企業の履行と同時にその便益を受領し消費しているかという
評価は簡単である(例:日々の清掃業務の場合、顧客による受領と消費が同時であること
は明白である)。しかし、同時に受領と消費が発生しているかどうかが明白ではない状況
では、IFRS 第 15 号は、「他の企業が顧客に対する残りの履行義務を履行するとした場合
に、当該他の企業は、企業が現在までに完了した作業を実質的にやり直す必要がないと
企業が判断する場合 11」、一定期間にわたる収益認識が適切である、と定めている。
9
IFRS 15.33
IAS 18.14
11
IFRS 15.B4
10
[テキストを入力] この判断を行うにあたり企業は、残りの履行義務の移転を制限する実務上又は契約上
の制限については考慮しない。
不動産管理及びその他サービスを提供する不動産企業は、慎重に契約を評価して、履
行されるサービスを顧客(すなわち不動産オーナー)が受領すると同時に消費すること
になるかを判断する必要がある。日々実施される、また繰り返し実施される保守点検や
清掃、事務管理、サポート機能などのサービスについては、一定期間にわたる収益認
識の要件を満たすことは明らかである。しかし、リースや開発活動など、他のサービス
については不動産オーナーが受領と同時に消費するのか、又は他の企業が現在まで
に完了した作業を実質的にやり直す必要がないかどうかの決定は、相当の判断を要す
る。これらの判断は、契約に含まれる履行義務の数(すなわち単一か複数か)について
の企業の結論にも影響される(セクション 5 を参照)。
8.1.2
資産の創出又は増価につれて、顧客が当該資産を支配する
財又はサービスの支配が時間の経過と共に移転するかどうかを判断するための 2 番
目の要件は、資産の創出又は増価につれて顧客がその資産を支配しているかどうかで
ある。例えば、工事契約の中には、契約対象物が建設されるに応じて、顧客が当該仕
掛工事を所有することを定めた条項を含むものもある。
多くの国や地域で、集合住宅の個々の所有区分は、完成又はほぼ完成した時点で購
入者が所有可能になる。しかし IFRS 第 15 号は、支配の定義を、所有区分を所有及び
使用(居住)する購入者の能力に限定していない。IFRS 第 15 号は第 33 項で、以下の
通り定めている。
IFRS 第 15 号からの抜粋
33 資産の便益とは、次のような多くの方法で直接又は間接に稼得できる潜在的な
キャッシュ・フロー(インフロー又はアウトフローの節減)である。
(a) 財の製造又はサービス(公共サービスを含む)の提供のための当該資産
の使用
(b) 他の資産の価値を増大させるための当該資産の使用
(c) 負債の決済又は費用の低減のための当該資産の使用
(d) 当該資産の売却又は交換
(e) 借入金の担保とするための当該資産の担保差入れ
(f) 当該資産の保有
一部の国や地域では、未完成の集合住宅を担保として差し入れる、又は売却あるいは
交換することも可能である。したがって、この要件は、一部の住宅開発企業においては充
足する可能性があるため、具体的な事実と状況を慎重に検討しなければならない。
工事契約へのこの要件の適用についてはエンジニアリングや建設サービスを説明する
次回の刊行物で詳しく解説する予定である。
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新たな収益認識基準
— 不動産業
23
8.1.3
代替的な用途のない資産及び支払いを受ける権利
支配が一定期間にわたり移転する 3 つめの要件については、以下の 2 つの要件を充足
する必要がある。
•
企業の履行により企業にとって代替的な用途がある資産が創出されない
•
企業は現在までに完了した作業について、支払を受ける法的に強制可能な権利を
有している
代替的な用途のない資産
企業が契約上又は実務上のいずれかにより、資産を容易に他の用途に使用すること
(例えば他の顧客に販売すること)から制限を受けている場合には、企業が創出する資
産は他に転用可能とはならない。企業は契約の開始時点でこの評価を行わなければな
らず、実質的に履行義務を変更するような契約変更を当事者が承認しないかぎり、その
評価を見直してはならない。
両審議会は、資産を他の用途に使用する企業の能力に対する契約上の制限は、実態
を伴うものでなければならないと定めている。これはたとえば、企業が別の買い手に特
定の所有区分を売却しようとした場合に、買手が約定された資産に対する権利を行使で
きる場合にあてはまる。一方、企業が契約違反を犯さず又は多大な追加費用を発生さ
せることなく、異なる所有区分を買手に売却できる場合には、契約上の制限は実態を伴
うものではないことになる。
さらに、実務上の制約は、企業が所有区分を他の用途に使用したならば重要な経済的
損失を負う場合にのみ存在することになる。所有区分の再設計や変更のために多大な
費用が発生する、又は所有区分が大幅に減額された価格で販売される場合、著しい経
済的損失が生じるかもしれない。
国や地域の法律又は判
例が、支払に対する強制
可能な現在の権利を有す
るかどうかの企業の結論
に影響することがある。
現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利
契約期間の間に少なくともすでに遂行した作業に関する報酬を受領する権利を有して
いる場合、企業は現在までに完了した履行に関し支払を受ける強制可能な権利を有
していることになる。契約によるもの、あるいは法律によるものであるかに関係なく、企
業が契約の不履行以外の理由で買手から契約を解約されるような状況でも、この支
払に対する権利が存在する場合にのみ、該当する。
この要件を満たすには、企業が権利を得る金額は、合理的な利益マージンを含む、現
在までに移転された財又はサービスの販売価格に近似するものでなければならない。
合理的な利益マージンに関する報酬は、契約の履行完了時に予想される利益マージン
と同額である必要はないが、少なくとも以下のいずれかを反映するものでなければなら
ない。
•
解約前に契約に従って、企業の履行範囲を合理的に反映する、契約の予想利益
マージンの一定割合
•
類似の契約に関する企業の資本コストの合理的なリターン
IFRS 第 15 号は、契約に支払スケジュールが記載されたとしてもそれ自体は、現在まで
に完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を企業が有しているということを
示唆するものではないことを明確にしている 12。企業は支払スケジュールを覆す可能性
のある情報を検証する必要があり、それにより現在までに完了した履行の支払に対する
企業の実際の権利を検討することができる(例:契約が理由なしに解約された場合の買
手に支払の履行を継続させ、強制できる企業の法的権利)。
12
[テキストを入力] IFRS 15.B13
しかし IFRS 第 15 号は以下のようにも述べている。
IFRS 第 15 号からの抜粋
B11 一部の契約では、顧客が契約の存続期間中の所定の期間にだけ契約を解約
する権利を有している場合や、顧客が契約を解約する権利を全く有していない場合が
ある。顧客がその時点で契約を解約する権利がないのに契約を解約しようとする場合
(顧客が約束した義務を履行しなかった場合を含む)には、契約(又は他の法律)によ
り企業に、契約で約定した財又はサービスを引き続き顧客に移転し、当該財又はサー
ビスと交換に約束された対価を支払うよう顧客に要求する権利が与えられる場合があ
る。そうした状況では、企業が現在までに完了した履行に対する支払を受ける権利を
有している。これは企業が契約に従って義務の履行を継続して、顧客に義務の履行
(約束された対価の支払を含む)を要求する権利を有しているからである。
不動産開発業者が実務でこの要件を満たしているかどうかを立証することが困難とな
る場合がある。
弊法人のコメント
IFRIC 第 15 号には、不動産の建設から生じる収益の会計処理について 3 つの
方法が示されている。どの方法が適切となるかは、契約が工事契約であるか、
サービス提供の契約であるか、また財の販売に関する契約であるか、により異な
る。契約の種類を決めるための判断は、現在の不動産会計における複雑な分野
の 1 つである。しかし IFRS 第 15 号の規定は、財又はサービスを提供する、顧
客との契約全てに適用されることから、このような分野の判断は必要でなくなる。
IFRS 第 15 号の適用により、収益認識のタイミングに変更が生じない企業がある一
方で、重大な影響が出る企業があるかもしれない。それは、現行基準において、
(工事契約又はサービス提供契約など)一定期間にわたり収益認識要件を満たし
ている契約の中にも、IFRS 第 15 号における一定期間にわたる収益認識要件を満
たさず、一時点で収益認識することになる場合や、逆に、現行基準では、一時点で
収益認識をしている契約の中にも、IFRS 第 15 号における一定期間にわたる収益
認識要件を満たすことになり、一定期間にわたり収益認識をすることとなる場合も
考えられるためである。
8.1.4 進捗度の測定
履行義務が一定期間にわたり充足される場合、IFRS 第 15 号は契約における進捗度
の測定に関し、インプット法とアウトプット法の 2 つの方法を定めている。IFRS 第 15 号
は、選択した進捗度の測定に関する見積りを継続的に更新することを求めているが、
その方法の変更は認めていない。履行義務は、企業が選択する方法(すなわちイン
プット法もしくはアウトプット法)を用いて、完全に充足するまで会計処理されること
になる。
インプット法では、「収益の認識を、履行義務を充足するための企業の労力又はイン
プットが、当該履行義務の充足のための予想されるインプット合計に占める割合に基づ
いて行う 13」。
13
IFRS 15.B18
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IFRS 第 15 号はインプットとして、消費した資源、費やした労働時間、発生したコスト、経
過時間などを挙げている。またインプットが均等に消費される場合には、収益を定額で
認識することが適切となる場合がある、と述べている。
アウトプット法では、収益は、「現在までに移転した財又はサービスの顧客にとっての価値
の直接的な測定と、契約で約定した残りの財又はサービスとの比率に基づいて 14」認識さ
れる。アウトプットの測定値としては、現在までに完了した履行の調査、達成した成果の鑑
定評価、達成したマイルストーンや経過期間が挙げられる。
IFRS 第 15 号は、いずれの方法が優先されるべきか述べていないが、類似の状況にお
ける類似の契約に対しては、選択した方法を継続して適用しなければならないと定めて
いる。企業が進捗度を測定する合理的な基礎を有していない場合、両審議会は、不確
実性の存在があまりに大き過ぎるため、収益は進捗が測定できるようになるまでは認識
されないこととした。だが、企業が履行義務の結果を合理的に測定することができない
状況も存在するが(例えば、契約の初期段階)、企業が履行義務を充足する段階で発生
した費用の回収を見込んでいる場合は、企業は、履行義務の結果を合理的に測定でき
るようになるまでは、発生した費用の範囲でのみ収益を認識しなければならない。
8.2 ある一時点で移転される支配
一定期間にわたり財又はサービスが移転されることとなる要件のいずれもが充足されな
い場合、支配はある一時点で移転されることになる。多くの状況では、その一時点がい
つであるのかを判断することは比較的容易である。しかし、その判断がより複雑になる
状況もある。
両審議会は、約定された資産の支配が移転しているかどうかを判断する際に企業が検
討すべき指標を定めている。
•
•
•
•
•
企業が、資産に対する支払を受け取る現在の権利を有している
顧客が資産の法的所有権を有している
企業が、資産の物理的所有を移転している
顧客が資産の所有に伴う重要なリスク及び経済価値を有している
顧客が資産を検収している
これらの指標のいずれもが、単独で決定的となるものではない。両審議会はまた、これ
らの指標はチェックリストの役割を果たすものではなく、顧客が支配を獲得しているか否
かを判断するために、それら指標の全部が存在していなければならないということでは
ないことを明確にした。
企業は支配が移転されたか否かの判断に際し、すべての関連する事実と状況を考慮
する必要がある。例えば、契約の買戻オプションの存在は、顧客が物理的に所有して
いても、資産の支配を獲得していないことを示す場合がある。
弊法人のコメント
多くの不動産取引では、買手が資産の法的権限を獲得し物理的に所有している場
合に支配は移転したことになる。しかし、法的権限の移転は要求されないことから、
一部の企業は、その具体的な事実と状況から、支配は法的権限の移転前のある
一時点ですでに移転していると結論付けることがある。こうした事例では、具体的
な事実と状況に関する判断と検討が求められる。
[テキストを入力] 14
IFRS 15.B15
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9. 測定及び認識に関するその他の論点
IFRS 第 15 号には、不動産企業にとって実務の変更を迫る製品保証や契約コスト(例え
ば、不動産プロジェクト・コスト)に関する規定を定めた適用指針が含まれている。
9.1 製品保証
製品保証は、明示的に又は商慣行により黙示的に、財又はサービスの販売契約に含ま
れることが一般的である。IFRS 第 15 号では、以下の 2 種類の製品保証が取り扱われ
ている。
•
引き渡される製品が契約に定められる通りの製品であるという保証(「品質保証型
の製品保証」と呼ばれる)。両審議会は、品質保証型の製品保証は、顧客に追加
の財又はサービスを提供するものではない(すなわち、独立した履行義務ではな
い)と結論付けた。こうした製品保証を提供することにより、売手企業は実質的に
製品の品質を保証しているのである。例えば、住居用集合住宅の施工業者及び
開発業者は、工事の欠陥及び設備の不具合に対して一定期間の様々な製品保
証を提供している。IFRS 第 15 号は、このような製品保証を IAS 第 37 号に従っ
て会計処理しなければならないと定めている
•
引き渡される製品が契約に定められる通りの製品であるという保証に加えて、顧
客にサービスを提供する保証(「サービス型の製品保証」と呼ばれる)。顧客が製
品保証を別個に購入するオプションを有している場合、又は製品保証が販売時に
存在していた欠陥を修理する以上のサービスを提供する場合、企業はサービス
型の製品保証を提供している。両審議会は、この種類の製品保証は、区別できる
サービス(すなわち独立した履行義務)であると決定した。したがって、企業は、製
品保証の独立販売価格の見積りを基に取引価格の一部を製品保証に配分する。
その後、製品保証サービスが提供される期間にわたり、配分された金額について
収益を認識する。サービス型の製品保証は、不動産業界では稀であろう
不動産開発活動に関係して提供される賃料収入保証は、製品保証との関係で検討さ
れることが多い。賃料収入保証は、引渡時点の財又はサービス(例えば製品の欠陥)
に対する製品保証ではないことから、IFRS 第 15 号の下では独立した履行義務又は
IFRS 第 15 号の適用範囲とはならない金融負債又は引当金となる(詳細はセクション
3 を参照されたい)。
9.2 不動産プロジェクト・コスト
IFRS 第 15 号は、不動産の
売却活動に係るコストにつ
いて適用指針を改訂して
いる。
[テキストを入力] IFRS 第 15 号では、契約を獲得するための増分コスト(すなわち、契約を獲得していな
ければ発生していなかったであろうコスト)は、回収が見込まれる場合、資産計上される。
増分コストの回収には、直接的に回収される場合(すなわち契約に基づく返還を通じた
回収)と間接的に回収される場合(すなわち契約から得られるマージンを通じた回収)が
ある。IFRS 第 15 号では、実務上の便宜として、償却期間が1年以内である資産化され
た契約獲得コストについては、直ちに費用として認識することが容認されている。
IFRS 第 15 号では、資産化が要求される可能性のある増分コストの例として販売手数
料が挙げられている。例えば、不動産仲介業者に支払われる販売手数料は、一定期間
中に達成した不動産の売却に直接的に関連しており、資産化が要求される増分コスト
である可能性が高い。これとは対照的に、他の定量的又は定性的指標(例えば利益、1
株当たり利益、業績評価)に基づく一部のボーナスやその他の報酬は、契約獲得のた
めの増分コストではないため、資産化の要件を満たさない可能性が高い。同様にモデ
ル・ルームや広告宣伝費・販売間接費用などの費用も、IFRS 第 15 号における資産化
要件を満たさない可能性が高い。
IFRS 第 15 号には、他の基準書の適用範囲に含まれない契約を履行する際に発生す
るコストに関する規定も含まれる。多くの不動産企業に関しては、契約を履行するため
の費用(例えば、材料費や労務費など建物を建設するためのコスト)はすでに別の基準
書(例えば IAS 第 16 号「有形固定資産」)の適用範囲内となっており、そのため IFRS
第 15 号の適用範囲からは除外される。IFRS 第 15 号はまた、その規定に従って資産
化された資産の償却及び減損に関する規定も定めている。
2015 年 1 月
新たな収益認識基準
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10. 開示
IFRS 第 15 号の開示規定の目的は、顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フ
ローの性質、金額、時期及び不確実性を財務諸表利用者が理解できるように、企業が
十分な情報を開示することである。この目的を達成するために、顧客との契約に IFRS
第 15 号を適用する際の、重要な判断、その判断の変更、顧客との契約を獲得又は履
行するためのコストから認識された資産についての、定性的及び定量的情報の開示が
要求されている。これらの規定については以下のセクションで詳細に解説する。
10.1 顧客との契約
10.1.1
収益の分解
IFRS 第 15 号の開示規定ではまず、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及
び不確実性が経済的要因によってどのような影響を受けるのかを説明できる区分に収
益を分解することが求められる。IFRS 第 15 号では収益の分解方法について規定して
いないが、適用指針では以下のような区分が例示されている。
IFRS 第 15 号からの抜粋
B89 適切である可能性のある区分の例として、次のものがあるが、これらに限定さ
れるわけではない。
(a) 財又はサービスの種類(例えば、主要な製品ライン)
(b) 地理的区分(例えば、国又は地域)
(c) 市場又は顧客の種類(例えば、政府と政府以外の顧客)
(d) 契約の種類(例えば、固定価格と実費精算契約)
(e) 契約の存続期間(例えば、短期契約と長期契約)
(f) 財又はサービスの移転の時期(例えば、一時点で顧客に移転される財又はサー
ビスから生じる収益と一定期間にわたり移転される財又はサービスから生じる
収益)
(g) 販売経路(例えば、顧客に直接販売される財と仲介業者を通じて販売され
る財)
不動産企業は、この開示規定を満たす最善の方法を判断するにあたり、他の公表文
書(例:プレス・リリース、その他の開示書類)における収益の分解方法のみならず、具
体的な事実と状況についても検討する必要がある。
10.1.2
契約残高
契約残高に関する開示は広範に及び、利用者が、特定の報告期間に認識された収益
と全ての契約資産及び負債の合計残高の変動との関連性を理解できるようにするこ
とを意図している。
[テキストを入力] 例えば、要求される開示としては以下のような項目を挙げることができる。期首時点の
契約負債残高に含まれていた当報告期間に認識された収益、前期に充足(又は一部充
足)された履行義務から生じた、当報告期間に認識された収益(例:取引価格の変更、
通常の支払時期と比較した場合の履行義務の充足の時期についての説明、当期の契
約資産及び負債残高の著しい変動(例えば企業結合、累積的なキャッチアップ調整、減
損損失など)に関する説明)。
10.1.3
履行義務
企業は、残りの履行義務に配分された取引価格の合計額を開示し、定量的及び定性的
開示の両方を用いて当該金額を認識すると予想される時期について説明しなければな
らない。
10.2 重要な判断
IFRS 第 15 号では、取引価格の算定、履行義務への取引価格の配分及び履行義務が
充足される時期についての重要な会計上の見積り及び判断について、明示的に開示す
ることが要求されている。
例えば、不動産企業において法的所有権の移転が完了する前に一時に収益を認識す
る取引については、いつの時点で資産の支配を顧客に移転することになるかを評価す
る上で行った重要な判断について開示しなければならない。
10.3 契約獲得コスト又は履行コストに関して認識された資産
IFRS 第 15 号は、契約の獲得又は履行コストに係る資産に関する情報の開示を求めて
いる。これらの開示は、資産として認識されるコストの種類(例:販売手数料)及びそれら
の資産が事後的にどのように償却されるか、あるいは減損されるかを説明することを意
図している。
10.4 実務上の便宜
IFRS 第 15 号にはいくつかの実務上の便宜が定められている。それにより IFRS 第
15 号を完全に適用した場合と異なる財務業績がもたらされる可能性がある。そのた
め、企業は適用初年度及びその後の期間の年次財務諸表において、実務上の便宜
を用いた旨を開示しなければならない。例えば、重要な金融要素が存在するかどうか
の判断に際して実務上の便宜の使用を選択する場合、企業はその事実を開示しなけ
ればならない。
弊法人のコメント
IFRS 第 15 号により、企業の財務諸表(特に年次財務諸表)で要求される開示の量
は大幅に増加する。
不動産企業の中には、IFRS 第 15 号を適用した収益認識のタイミングに変更がな
かったとしても、新たな開示規定により、要求される情報を収集・開示するために会
計システム、内部統制、会計方針及び手続を変更するために相当な追加的労力が
求められる。開示規定が拡充され、これらの開示に必要なデータを捕捉する新しい
システムが必要になる可能性がある点に鑑みるに、新基準への移行導入計画にお
いて開示に関する部分に優先的に取り組もうと考える企業もあろう。
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新たな収益認識基準
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31
11. 次のステップ
本書が、不動産企業の IFRS 第 15 号の規定に関する理解の一助となり、収益認識に
関する会計方針や当該基準書が実務にもたらす影響を検討する際の参考となれば幸
いである。
企業は、会計方針、会計システムや財務報告に対する内部統制を変更する必要があ
るかどうか、事前に検討しておくべきである。
また不動産企業には、両審議会、合同移行リソース・グループ(TRG)及び IFRS 第 15
号の一般的な取引への適用を議論するために米国公認会計士協会(AICPA)が創設し
た業界タスクフォースの議論の行方を見守っていただきたい。15
15
AICPA は、US GAAP の下での収益認識に関する新たな会計処理ガイドの開発に資する 16 の業種別の作
業グループを創設した。ただし、それらは権威を有するものではない。詳細は、以下を閲覧されたい。
http://www.aicpa.org/interestareas/frc/accountingfinancialreporting/revenuerecognition/pages
/r evenuerecognition.aspx
[テキストを入力] EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory
EYについて
EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなど
の分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質な
サービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私た
ちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリー
ダーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして
地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークで
あり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独
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さい。
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