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参考資料(先行事例・観光) [PDFファイル/2.61MB]

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参考資料(先行事例・観光) [PDFファイル/2.61MB]
第3回観光振興・交流人口拡大検討会
参考資料~先行事例調査~
2013年6月9日
宮城大学地域連携センター
先行事例の調査~目次~
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
□成功のプロセス
□観光振興先行事例
①観光振興事例
②ブランド化事例
③食育事例
④古民家事例
⑤都市農村交流事例
静岡県掛川市
島根県雲南市吉田町
福井県小浜市
宮崎県西米良村小川地区
岩手県久慈市山形町
先行事例の調査~成功のプロセス~
ページ番号:00
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
【取組のきっかけ】
【主体】
【短期的取組】
【長期的取組】
【成果】
掛川茶を軸にした
まちおこし
商工会議所
地元NPO法人
地域ブランド商品開発
を目的とした組織づくり
掛川茶のブランド化と
観光地化
地域住民の一体感、
県支援事業に採用
雇用機会の場の
減少・喪失
地域内団体
行政・地域住民
インフラ整備による住環
境の向上
農産品販売と農業の担
い手育成
地元人材の雇用機
会の増加
伝統的食文化の
継承者不足
行政
地域住民
食のまちづくり条例
策定
食育のための拠点整備
と食育プログラムの実施
観光客入込客数の
増加
急激な
過疎化
行政
地区住民
古民家活用をコンセプト
にした総合計画策定
古民家を活かした体験
型観光の運営
Uターン・Iターン者の
雇用
短角牛の地位向上
による地域活性化
畜産農家
地域外顧客
食材加工品工場
の建設
工場や牧場での滞在型
観光プログラム開発
県の体験型教育
の土台
共通する成功ポイント
地域内に眠る魅力
継続的な運営体制
地域文化の保全
多業種間連携
全国屈指の生産量を誇る茶
の栽培・短角牛の飼養など
他地域にはない独自性
専門部会を設けるなど、主
体的に取り組むための組織
づくり
新たに文化を創出するので
はなく既存の文化を活かす
産業区分の枠組みにとらわ
れない多業種間連携による
新商品開発
地域外の視点
牽引するリーダー
既存施設の有効活用
拠点施設の建設
外部コンサルの招聘などによ
る地域課題の掘り起し
主体運営にむけた、リーダー
シップのとれる人材
地域内の魅力を地域外に発
信するための既存施設の有
効利用
長期的視点に立った、拠点
施設の機能配置
地域住民の一体感
イベント開催に積極的な地
域住民の参加
直感的なキャッチコピー
言葉だけでその“まち”をイ
メージできるキャッチコピー
ページ番号:01
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
観光振興先行事例①観光振興~静岡県掛川市~
1.地域の概要
2.地域の観光資源・観光施設の概要
○観光・交流拠点の状況
区分的にも地域的にもばらばらに存在しているため、まとまりが感じられず、地域の活性
化に結びついていなかった。
○地勢
面積:265k㎡
人口:11万6千人(2010年)
○産業
主要な産業として、緑茶の栽培が挙
げられ全国屈指の産出量を誇る。
また東名高速道路を始めとする交通
の利便性から、製造業出荷額は1兆円
を超え県内第4位の地位を持つ工業都
市となっている。
○観光
観光交流客数は静岡県全体で年間
約140百万人であり、掛川市は全体の
約1.5%の200万人程度となっている。
○特徴
掛川市は二宮尊徳ゆかりの地として
「道徳と経済の両立」に象徴される報徳
思想が根付いている。
観光対象
区分
既存観光資源
自然資源
観光資源Ⅰ
(価値が減じないもの)
人文資源Ⅰ
(歴史的価値の高いもの)
掛川城
大日本報徳社
複合資源
観光資源Ⅱ
(価値が未保証のもの)
観光施設
人文資源Ⅱ
(価値が未保証のもの)
掛川花鳥園
資生堂企業資料館・アートハウス
加茂花菖蒲園
ねむの木子ども美術館
二の丸美術館
川坂屋(旧日坂宿)
小夜の中山
無形社会資源
(風俗、衣食住等)
掛川祭
宿泊施設、
レクリエーション施設等
つま恋
ならここの里
キウイフルーツカントリーJapan
【掛川市観光マップ】
3.地域における地域資源活用の実践例
○「交流型産業創造会議」設立
2007年11月、掛川市の観光・交流の活発
化と、その戦略としての地域ブランド創造ビ
ジネス計画の推進主体として、「交流型産
業創造会議」が掛川商工会議所内に設立
された。
○「交流型産業創造会議」の役割
観光産業の枠を超えた業種横断的な産
業間の連携を図り、企業経営におけるマー
ケティング思考に基づいた地域ブランド商
品・サービスの開発を行っている。
○今後の展望
同会議は現在「掛川ブランド戦略委員
会」として活動を継続している。
~地域ブランド商品開発~
交流型産業創造会議
地域ブランド商品・サービスの開発
⇒「掛川のまちを活性化しようとしたとき、『外から
来た人に楽しんでもらおう』という視点に立てば、1
次、2次、3次という産業の区別はいりません。(中
略)私たちは『文化』を4次産業として捉え、報徳と
いう文化と、1次、2次、3次産業が一体となれば、
掛川のエリアブランドの価値はさらに上がると考え
ました。」(大野良一委員長)
地酒「積小為大」
掛川GREENTEA
オードパルファムふじのくに
~地域サービス開発~
掛川散歩「きっと掛川は、もっとおもしろい」
ページ番号:02
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
観光振興先行事例①観光振興~静岡県掛川市~
4.地域ブランド商品①
5.地域ブランド商品②
~地酒「積小為大」~
~掛川GREENTEAオードパルファムふじのくに~
○ブランド商品開発の概要
2008年に、交流型産業創造会議の実績第1
号として発売された。
同会議が地元酒造メーカーとタイアップして、
新たな日本酒を開発し、そのブランド名として
二宮尊徳の格言の一つである「積小為大」(大
事を為すにも小事の積み重ねがものをいう)を
用いたものである。
同会議は、地元企業のバックアップを行い、
商品開発することで地域の活性化を促してい
る。
【掛川GREENTEAオードパルファムふじのくに】
【地酒「積小為大」】
○ブランド商品開発の概要
交流型産業創造会議では、『茶のまち、音まち、香りまち、心豊かな報徳のまち』をコン
セプトに、 特産品の深蒸し茶「掛川茶」と資生堂掛川工場とのコラボ商品として、日本初
の緑茶の香水『掛川グリーンティオードパルファムふじのくに』(商標登録)を開発した。
農業・工業・観光産業・文化まで1次から4次産業が連携して、地域ブランド創造ビジネ
スという形で展開をしている。
6.地域サービス~掛川散歩「きっと掛川は、もっとおもしろい」~
○取組の背景
掛川市は2002年に全国に先駆けて「スローライフシティ」を宣
言した。また、2004年にはNPO法人スローライフ掛川が設立さ
れ田園サイクリングなどの各種イベントが開催されていた。
○取組の概要
交流型産業創造会議では、①自然・景観・街並みの交流型
産業化、②既存産業の交流型産業化、③文化・名物の交流型
産業化、等を提案し検討している。また、同会議で、富士山静
岡空港を見据えた誘客戦略として、県内活動を支援する「魅力
ある観光地づくり推進事業」に企画提案し、「ゆるゆる地形の自
然空間を活かしたサイクルツーリズム」と、「掛川の流儀・マイン
ド・ライフスタイルを活かした報徳思想の商品化」が採用された。
○取組の発展
掛川観光協会・ビジターセンターを掛川駅構内に開設し、旅
行者への案内、豊かな出会いと魅力ある交流を提案している。
また施設内では深蒸し掛川茶の無料呈茶サービスを行ってい
る。また、掛川市では、サイクリングロードを整備すると共に、
「Bike Friendly STATION」(自転車の無料整備ポイント)を市
内の商店と協力して配置している。
【掛川散歩メインページ】
【観光ルート】
※写真:掛川観光協会HPより引用
ページ番号:03
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
観光振興の先行事例②ブランド化島根県雲南市吉田町(旧吉田村)
1.地域の概要
○歴史
雲南市吉田町(2004年に吉田村が町村合
併)は、広島県に近い山間地域で、かつては
薪炭や製材など林業が盛んであったが、エ
ネルギー転換や低価格の外国山材の輸入
に伴い地域経済が衰退した。
○地勢
面積:113.9k㎡
人口:2,047人
高齢化率:38%
【表 年齢別構成人口(2010年)】
年齢別
構成人口
0~14
15~64
65歳
以上
旧吉田村
183
1,076
788
市全体
5,096
23,010
13,811
2.地域における地域資源活用の背景
○急速な過疎化
吉田村は、1950年代に5.000人いた人口が、
2,049人に減少した。
かつての主たる産業である製炭業が、エネ
ルギー革命の煽りをうけためである。
○自治体農政の支援
島根県では、「地域貢献型集落営農育成・
確保支援事業」を展開し、地域農業の維持
にむけた施策を行っていた。
3.地域における地域資源活用の実践例~吉田
ふるさと村~
○「吉田ふるさと村」の設立
吉田村の抱える問題、特に過疎化への対策
として、地域の雇用創出を目的として地域の
産業を振興することを目的として、1985年に設
立された。
○村民が株主となる住民参加型まちおこし
「吉田ふるさと村」は、株式会社形態の第三
セクターとして設立された。
設立時の出資金1,500万円のうち3分の1を
吉田村が、残りは村内に設立趣意書を配布し、
1株5万円公募を行い、農協や商工会などの
団体ほか、多数の村民の共同出資により設立
された。
○企業理念
「市場(農協)に出して儲かるものは農家自ら
市場に出してもらう。ふるさと村は、形が悪いが
安心して口にできる農産物にこだわり、それを
引き受ける」
吉田村
地域団体
村民
吉田ふるさと村
地域雇用促進と
地域農業の維持
【吉田村俯瞰写真】
4.地域における地域資源活用の取組~「吉田ふるさと村」の事業展開~
①取組の概要
企業理念に基づき、展開方針として高齢者の
生きがいを創出することを目的としている。農作
物の買い取り価格を、10年間の平均価格より少
額上乗せした水準に設定している。それによって、
契約農家は安心して農業にいそしみながら「収
穫の喜び」を得つつ、「小遣い稼ぎ」が可能となっ
ている。
①事業展開内容
1.インフラ整備
吉田村には、水道業者が存在せず、水道が破
損した際には村から離れた業者に委託するしか
なく、「よしだふるさと村」最初の取組として、水道
事業を行った。
2.農産加工品の販売
地元農家で栽培された野菜や米を使用して
農産加工品を製造・販売を行っている。
3.観光ツアーの販売
都市との観光交流によるまちの活性化と定住
化を目的として、島根県の第3種旅行業に登録
し、観光ツアーの販売をしている。
4.農作物の生産
営農農家への指導だけではなく、「吉田ふる
さと村」自身でも、農作物の生産を行っている。
5.その他
・温泉宿泊施設「清嵐荘」の指定管理
・雲南市民バスの運用
・たまごかけご飯「飯匠おたまはん」の経営
【「吉田ふるさと村」組織図】
農産加工部
水道部
吉田ふるさと村
バス事業部
【吉田ふるさと村】
観光事業部
広報部
【農産物生産風景】
観光振興先行事例②ブランド化島根県雲南市吉田町(旧吉田村)
ページ番号:04
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
5. 「吉田ふるさと村」~たまごかけご飯専用醤油「おたまはん」~
○開発背景
農業を活性化させるために、「吉田ふるさと村」
では様々なオリジナル商品を開発してきた。
オリジナル商品の開発・販売においては、地域
住民だけでなく、元村民と連携を図りながら開発
のアドバイスを受けたり、また、そういった人脈を
販路として活用していた。
「おたまはん」の開発は、村の鶏卵業者から「卵
とセットで売れるような商品がほしい」との要望を
受けて、検討・試作が始まった。
○取組の概要
商品開発会議で、たまごかけご飯専用醤油の
開発を行うことに決定した。
先行事例のない分野であり、商品開発の手本
がなかった。その為、「試食をしては試食をする」
の繰り返しの中から、たまごかけご飯に合う味を
探し求め、「おたまはん」が完成した。
「おたまはん」完成までには1年2カ月の時間を
要した。
○米と有精卵をセットで付加価値化
「おたまはん」というユニークなコンセプトと
ネーミング、また厳選された材料を使い添加物
を使用していない安全性、味などが評価され
順調に出荷数は伸びていった。
より高付加価値な商品とするため、吉田村の
「コシヒカリ」、「有精卵」による「たまごかけごは
んセット」を開発した。
結果として、「吉田ふるさと村」の農産品が、
「安心安全でかつ、美味しい」という評価に繋
がり、ひいては村全体のブランドイメージを形成
した。
○さらなるブランド化の構築
「おたまはん」により全国的な知名度が高まっ
た吉田村だが、さらなるブランド化を図り、「日
本たまごかけごはんシンポジウム」を2005年より
毎年開催している。シンポジウムを行うことで、
吉田村は「たまごかけごはん」の村というイメー
ジが定着していった。
6.「吉田ふるさと村」~地域資源
を活かした観光ツアー販売~
○開発背景
「吉田ふるさと村」観光事業部は、「吉田村」と「都市部」と
の「交流人口拡大」を狙い2009年に設立され、2010年に島根
県の第3種旅行業に登録した。「交流人口の拡大」が「定住人
口の拡大」に繋がることを期待して、主に着地型観光商品の
企画・販売を行っている。
○取組の概要
吉田村を含めた奥出雲地方は、豊富な森林資源(木炭)、
良質な砂鉄、良質な土があったため、かつて「たたら製鉄」で
栄えた地域であった。最盛期の江戸時代には全国に流通する
鉄の6~7割がこの奥出雲地方で生産されたと言われている。
吉田村にはその頃の町並みや日本で唯一現存するたたら
場の遺構「菅谷たたら高殿」等が残っている。また、雲南市を
流れる一級河川斐伊川流域には、出雲神話で有名な「スサノ
オノミコトのヤマタノオロチ退治」伝承地が数多く点在していて、
これらの地域資源を活かしたツアーを定期的に行っている。
【第8回日本たまごかけごはんシンポジウムチラシ】
【シンポジウム最優秀作品】
7.取組の成果
【観光ツアーチラシ】
○担い手・雇用の促進
吉田村では、「吉田ふるさと村」での事業を通じて、担い手の育成が進
んでいる。「吉田ふるさと村」では、農産品の生産も行っており、そこでは
地元の農家の協力を得ながら、地元の若手(農業未経験者)を2名雇用
し、学びながら農業の担い手として育てている。
○一級品のものづくり
「吉田ふるさと村」では、市場(農協)と連携をとりながら、加工品の開
発・販売を行うことで、農家の生産品すべてを買い取れる仕組みづくりを
している。そのため、農家が「生きがい」をもって農業を行え、よりよい農
産品の生産へと繋がっている。
○吉田村のブランドイメージ醸成
「おたまはん」の成功により、村全体の農産品の評価が高まった。この機
運を逃さぬように、「おたまはん」の多種類化や村ゆかりの人気アニメキャ
ラに特別住民票を交付するなどして、PR活動を活発化させている。
○成功のポイント
吉田村の成功の鍵は「吉田ふるさと村」の経営組織にある。現在でも地
域住民の大半が「吉田ふるさと村」の株を所有しており、「吉田ふるさと
村」の活動を積極的に関与できる体制になっている。
観光振興先行事例③食育~福井県小浜市~
1.地域の概要
○歴史
小浜市は、福井県南部、若狭湾のほぼ中
央に位置する自然環境の豊かな町である。
古代より、大陸の玄関口として栄え、仏教
文明の伝来ルートであったことから、市内に
は国宝の明通寺をはじめとした寺社仏閣が
あり、“文化財の宝庫”や“海のある奈良”と
形容されている。
○地勢
面積:24k㎡
人口:3.1万人
○食文化
豊かな食文化を有する地域であり、朝廷に
食材を提供する御食国であった。現在でも、
若狭湾では様々な魚介類が育まれ、水産業
や食品加工業が盛んであるほか、農業分野
でも有機栽培や伝統野菜のブランド化等が
進められている。
○箸文化
日本食文化の象徴である塗箸の一大産地
でもあり、地域伝統産業の若狭塗箸が占め
る国産塗箸の生産シェアは9割を占める。
2.地域における地域資源活用の実践例
【表 小浜市統計データ】
項目
2010年
小浜市
県内シェア
31,340人
3.9%
農業就業人口
971人
4.1%
漁業就業人口
256人
12.7%
総世帯数
11,477世帯
4.2%
農業経営体数
776経営体
3.9%
1,310戸
4.8%
自給的農家
554戸
6.7%
販売農家
756戸
3.9%
林業経営体数
85経営体
3.3%
漁業経営体数
157経営体
12.9%
人口
総農家数
ページ番号:05
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
○「食のまちづくり」の背景
古来より伝わる食文化や若狭塗り箸などの伝
統産業を大切に後世へ継承していき、食育や
地産地消の観点をまちづくりの柱としたいとい
う想いが地域内に高まっていた。
○住民参加の下地づくり
~住民参加~
小浜市では、食のまちづくりに向けて、市民
一人一人がまちづくりに参加できるよう12地区
ごとに「いきいきまちづくり委員会」が立ち上が
るよう促した。これは各地区の特色を活かした
「地区振興計画」を策定させるものであった。
○「小浜市食のまちづくり基本計画」
各地区委員会の活動で策定された「地区振
地区振興計画
興計画」の集大成として「小浜市食のまちづく
り基本計画」が策定された。地区から提案され
小浜市食のまち
た900ものプロジェクトを市が整理し、関係課と
調整し実施計画としてまとめ上げたものである。
づくり基本計画
○夢づくりコミュニティ支援事業
各地区委員会の組織体制を実践活動に向
け再整備し、地区住民の自らの手で地区振興
計画の実践を行う段階を設け、市では、「夢づ
くりコミュニティ支援事業」としてその活動を支
援している。
食のまちづくり
いきいき
まちづくり委員会
夢づくりコミュニ
ティ支援事業
【小浜市俯瞰写真】
【若狭塗箸】
3.地域における地域資源活用の取組
○取組の背景
まちづくりの成功事例は、どのような事例でもも
ともとその土地にあったもの、地域固有の歴史、
文化、風土から出発していることに着目し、小浜
市において「食」をメッカとしたまちづくりを行った。
○取組の概要
2001年に全国初となる食をテーマにした自治
基本条例である「食のまちづくり条例」を制定し
た。また、2002年には、「食のまちづくり課」を設
置するとともに、交流拠点として「御食国若狭お
ばま食文化館」を建設した。
2004年に、小浜市では「食育文化都市宣言」
を行い、「食育推進計画」を策定した。さらに、そ
の計画を整理・発展したものとして、2012年に
「小浜市元気食育推進計画」を策定した。
【食のまちづくり】
農林水産業の振興
食品産業の振興
食育
「健康」「教育」「産業」
「食文化」「協働」
の5つの柱
「食」をメッカとした
まちづくり
健康福祉への貢献
環境を守る運動
食を通じた教育
文化学習等
「食のまちづくり条例」制定
「御食国若狭おばま食文化館」建設
「小浜市元気食育推進計画」策定
観光振興先行事例③食育~福井県小浜市~
4.食育「教育」~小浜市こどもの食育応援隊~
○「キッズ・キッチン」
・「料理を教えず、料理で教える」教育プログ
ラム
・幼稚園・保育園に通う子供が対象
・子供を対象とした「基礎編」と親子参加を前
提とした「拡大編」の二つのカリキュラム
・子供自身が「ひとりでできる」という自信が
つくことで、自立心と社会性を兼ね備えた
人材を育成する場
・私立と公立の保育園・幼稚園の全年長児
が「キッズ・キッチン」に参加する「義務食
育」体制をとっている。
○「ジュニア・キッチン」
・小学生を対象とした教育プログラム
・小浜市の伝統料理の調理体験を行う
○運営体制
・小浜市からの委託業務として運営
・講義のマニュアル化による、市民の講師参
加の容易さと講義内容の同一性の確保
【「キッズ・キッチン」の様子】
ページ番号:06
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
5. 食育「産業」~おばま観光局~
○食育ツーリズム
・観光協会と連携し、「キッズ・キッチン」「ジュ
ニア・キッチン」などの食育事業と農林業体
験、食育セミナーなどを核にした教育旅行
のプログラム開発
○市民農園等を活用した消費者の啓発
・農業体験に加え、調理体験を組み込み、市
民向けの体験・参加型プログラムの開発
○一次産業活性化
・環境保全型農業の推進
・間伐の推進と間伐材の漁礁化
○地産地消や6次産業化、農商工連携の推進
・若狭おばまブランド認証制度、地産地消を
すすめる店認定制度
・郷土食文化の「達人」認定
・飲食店に「若狭塗箸」の設置
・福祉施設と共同し、昔ながらの塩作りの復
活と商品化
【「ジュニア・キッチン」の様子】
6.観光交流拠点~御食国若狭おばま食文化館~
○活動拠点
・「キッズ・キッチン」をはじめとする、小浜市が取り組んでいる食のまちづくりに関する事業
の活動拠点としての役割
○情報の発信
・狭義の「食」ではなく、食材にこだわった農林漁業の振興、食文化を支える食品産業や箸
産業の育成、などの広範な分野にわたる「食のまちづくり」をコンセプトにした各種展示、
体験教室等のプログラム展開
○施設概要
・ミュージアムとキッチンスタジオ、工房(若狭塗箸政策等)で形成される「ミュージアム棟」
・医食同源の観点から、癒しの場として設置された「濱の湯棟」
・地場産品にこだわった伝統料理を提供する「濱の四季」の併設
○小浜市直営レストラン「濱の四季」
・調理体験教室などのサポートをしている食生活改善推進委員有志15名によって運営
・「食文化とは、新しいものを守り基本を崩してはいけないが、新しいニーズにも対応してい
かなければ文化ではない」の考えから、新メニューの開発を積極的に行い、「わかめソフト
クリーム」「鯖サンド」、「OBAMAバーガー」などを商品化
【御食国若狭おばま食文化館】
【濱の四季】
【鯖サンド】
7.取組の成果
○観光客入込客数
・1990年まで140万程度の推移で
あったが1999年には76万人に落
ち込んでいた。
・「食のまちづくり」の開始と共に観
光客入込客数は増加傾向にあり、
近年は年間150万人ほどで推移し
ている。
○観光消費額
・1999年は64億円であった。
・2007年は84億円となっており、8年
間で約130%増加した。
観光振興先行事例④古民家~宮崎県西米良村小川地区~
1.地域の概要
○歴史
西米良村小川地区は、江戸時代中期から
明治維新に至るまでの200年間、旧米良領
主(菊池氏)が居住したことで、小川地区は
西米良村の中心地となっていた。
領主が居住した城址(小川城址公園)、宝
永元年に再建された約500年の歴史を有す
る鎮守神社が残されている。
○人口
村全体:1,241人(高齢化率41.5%)
小川地区:95人(高齢化率67.4%)
○農業経営
村面積の96%が山林を占めており、コメの
生産は丘陵を切り開いた「棚田」により行わ
れる。また、米の確保を補う雑穀生産として
「ゴハ」と呼ばれる焼畑による農業を行われ
ている。
【表 西米良村統計データ】
区分
1995年
世代数
人口
65歳以上
高齢化率
ページ番号:07
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
2.地域における地域資源活用の実践例
2010年
657
573
1,543
1,241
493
515
32.0
41.5
【表 年齢別構成人口(2010年)】
年齢別
構成人口
0~14
15~64
65歳
以上
小川地区
2
29
64
村全体
141
24
525
○「長期総合計画」の策定
1994年に急速な人口予測結果が示したこと
から、西米良村は地域振興の計画を策定した。
○「平成の桃源郷」
豊かな自然資源と、旧米良領主菊池氏の薫
陶を活かしたまちづくりを実践し、「ワーキング
ホリデー制度」や「8つの庄建設プロジェクト」と
いった施策を展開した。
○「カリコボーズの休暇村・米良の庄」
2001年の第4次長期総合計画で「8つの庄建
設プロジェクト」を再構築し、「菊池氏の薫陶・
生涯現役元気村「カリコボーズの休暇村・米良
の庄」を基本コンセプトと制定した。
○「平成の桃源郷・小川作小屋村づくり」
第4次計画における「8つの庄建設プロジェク
ト」の「語り部の庄」整備計画に位置付けられる。
・急速な人口減少予測 etc…
平成の桃源郷
豊かな資源
菊池の薫陶
カリコボーズの
休暇村・米良の庄
【事業策定フロー】
3.地域における地域資源活用の取組
○地区イベント「カリコボーズの山菜まつり」
○小川作小屋村準備委員会の設立
2000年より始まった「カリコボーズの山菜まつ
2007年に小川地区住民代表及び西米良村
り」は、2013年に第14回を迎えた。
役場小川地区担当班を中心に設立された。
小川地区で採れる山菜を地区住民が持ち寄り、
準備委員会では、全大会の下に、分野別に検
その場で調理実演し、来訪者にふるまわれる他、
討を進める3つの専門部会を設け、それぞれの
小川地区に伝わる「小川米良神楽」が披露され1
部会において、組織形態・体験プログラム・施
日1,000人~1,500人を集めている。
設で提供する農産加工品・集落全体の景観づ
役場の提案から始まったが、徐々に地区住民が、
くり等について検討を行うことになった。
準備、運営を手掛けるようになり、現在では地区
○準備委員会の継続的開催を支えた体制
住民が主体のイベントとして運営されている。
西米良村では役場職員による地区住民の活
○「平成の桃源郷・小川作小屋村づくり」
動をサポートする体制が整えられており、所属
小川地区での「カリコボーズの山菜まつり」の活
する課に関係なく、各地区8名程度で編成され
動の実績と、2005年時点で高齢化率71%に達し
る「地区担当班」に割り当てれられる。この体制
た小川地区の状況を危惧して、西米良村から小
は、地区住民にとっても、住民の要望が役場に
川地区へ「平成の桃源郷・小川作小屋村づくり」
届きやすいという利点があった。
への事業依頼があった。この事業では、西米良
また、役場職員だけでなく、小川地区公民館
特有の「作小屋」という伝統的生活の仕組みを
長がリーダーとして、事業の準備から立ち上げ
活かした集落の活性化を目的としている。
まで地区住民を牽引していた。
西米良村が抱える問題
役場職員
地区住民
カリコボーズの山菜まつり
平成の桃源郷
小川作小屋村づくり
小川作小屋村
準備委員会
【第14回「カリコボーズの山菜まつり」チラシ】
ページ番号:08
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
観光振興先行事例④古民家活用~宮崎県西米良村小川地区~
4.平成の桃源郷・小川作小屋作り
~おがわ作小屋村~
○おがわ作小屋村の基本方針
「雇用の場の確保と若者の定住化」
○小川作小屋村運営協議会
作小屋村の運営組織として発足し、「おが
わ作小屋村」の指定管理者として小川城址
および新施設の管理・運営を行っている。
公民館の外部組織として位置づけられ、任
意団体となっている。公民館長、各団体員、
役場食を役員としてつけている。
○施設概要
「おがわ作小屋村」は小川城址公園内に開
館した。施設内では、古民家を用いた御食
事処と宿泊、農村文化の体験施設等が一体
となって運営されている。
○「おがわ作小屋村」-本家
本家では、田舎料理である「おがわ四季御
膳」をはじめ近接する事務所兼加工所で作ら
れた特産品の販売を行っている。
○「おがわ作小屋村」-休憩所
休憩所は、多目的施設として利用しており、
散策に訪れた来客者の休憩所、工芸品の加
工場、体験・交流施設として整備されている。
○「おがわ作小屋」-小川民俗資料館
1990年に整備された施設であり、小川地区
に残る農機具等の民俗資料のほか、菊池一
族関係資料を所蔵・展示している。
○「おがわ作小屋」-民話の宿
民話の宿は、5人用コテージが12棟用意さ
れている。また、隣接する「民話館」では宿泊
者の食事提供、地域内イベントや研修に活
用できる施設となっている。
【本家】
【民話の宿】
5.おがわ作小屋村「おがわ四季御膳」
○「おがわ四季御膳」の開発
御食事処の看板メニューでもある「おがわ四季御膳」は、山菜など
地域の食材を活用した16種の地元料理で構成される。
御食事処で提供されるメニューは、当初、田舎料理を基本とした
定食メニューの提供を予定していた。
オープン2週間前に観光コンサルタントより、東京都檜原村の宿を
参考にした「16種類の小皿料理」が提案されたことで開発された。
○「おがわ四季御膳」演出面の利点
16種もの小皿があるため、演出面においても華やかであり、盛り
つけの手間が省ける。
小皿のため、食べている人が飽きない、また、毎月6~7品のメ
ニューが変わるためリピーターが期待できる。
地産地消を進めていくにあたって、確保が困難な地元食材を有
効に活用できる。
○「おがわ四季御膳」外部評価の活用
郷土料理店でのチェック依頼や、県内の地域づくりネットワーク協
議会の席での試食会などを行っている。
【おがわ四季御膳】
6.おがわ作小屋村「おがわ作小屋村アイス」
8.取組の成果
○売店部門・地元食材を活かしたオリジナルアイスの
開発・販売
姉妹都市との交流を通じて知り合った菊池市のア
イス事業者とタイアップした商品である。
おがわ作小屋村で植栽された木から採れる実を
利用したアイスの開発である。
これまでに、地域特産品である、柚子や米良茶等
を活用し10種類の商品開発を行った。
○オープン後の反響
2009年にオープン初年度には、約2
万人の来客数を記録した。
【表 おがわ作小屋村(小川城址公園)来客数】
【おがわ作小屋村アイス】
7.おがわ作小屋村「交流拠点」
○地域の交流拠点としての活用
地区住民の家族が帰省時の食事会の場
や、地域内で法事があった場合の、法事
の料理提供、村内の祭り時の料理提供、
地区内のイベント開催場所として活用され
ている。
観光施設でありながら、地域活動を結節
する拠点としての役割を果たしている。
【おがわ作小屋村施設内】
年度
来客数
2004
6,084
2006
5,685
2008
5,089
2010
19,046
2012
23,000
○売上高
2011年度は「おがわ四季御膳」のヒット
もあり、約2100万円の売上を記録した。
○Uターン・Iターン者の雇用
作小屋村がオープンしてから、10人
のUターン・Iターン者を雇用した。
観光振興先行事例⑤都市農村交流~岩手県久慈市山形町~
1.地域の概要
○歴史
岩手県北東部沿岸にあり、1889年に成立。
2006年に旧久慈市と合併し、久慈市となる。
○地勢
面積:295k㎡(久慈市全体の47.4%)
人口:2,804人(久慈市全体の7.6%)
○産業
産業別就業者数では、第1次産業就業者
が39.2%と最も高く、久慈市全体を約32%上
回っている。
○地域食文化
伝統的に「ひえ」を主食としている。また、
代表的な郷土料理として「まめぶ」がある。
○山形村短角牛
全国の短角牛の60.3%を岩手県で飼養して
おり、その中でも久慈市は飼養頭数450頭で
県内1位となっている。近年は飼養頭数の減
少から、「やまがた村短角牛応援団現地交
流会」を通し都市との交流を図るほか、オー
ナー制度の導入などの取組も行われている。
○知名度
現在NHKで放映中の朝ドラ「あまちゃん」の
ロケ地であり、観光需要が高まっている。
ページ番号:09
資料作成:宮城大学地域連携センター
観光振興・交流人口拡大検討会参考資料
2.地域における地域資源活用の実践例
【表 山形町統計データ】
項目
2010年
山形町
久慈市
2,804人
36,872人
15歳未満
10.3%
14.1%
15~64歳
52.8%
59.5%
65歳以上
36.9%
26.4%
面積
295.49k㎡
623.14k㎡
産業別就業者数
1,313人
16,282人
第1次産業
39.2%
9.8%
第2次産業
22.2%
27.8%
第3次産業
38.5%
62.2%
人口
地域活性化
山形村短角牛
バッタリ―村
総合農舎山形村
3.都市農村交流の取組~バッタリー村~
○「バッタリー」について
地域伝統工芸品である、製穀・製粉器具である。
○取組の成果
県内外から多くの人たちが来訪し、ヤギや、ミニ
ブタ、チャボ等の家畜を飼養し触れ合いの場を
提供している。また、リピーターが多く、地元住民
と来訪者の交流の輪を広がり、意見交換会など
を通じて地域内の活性化に繋がっている。中に
は料理研究家もおり、山形村短角牛の調理法な
どを提案している。また、レシピ集も自費出版さ
れている。
久慈市が取り組む教育旅行もバッタリー村の活
動が原型とされるほか、町内で取り組んでいる農
村民泊もバッタリー村の活動の一つである。
○都市農村交流の背景
地域の活性化を目的として、地域特産品で
ある山形村短角牛の地位向上・ブランド化を
図ることで、町内の都市農村交流に繋げる。
○都市農村交流に向けた課題
①繁殖センターの整備
~地元特産品~
②地域内購買価格を設定
③オーナー制度(短角牛応援団)の導入
④粗飼料多給飼養
⑤消費拡大
⑥素牛確保に向けた第2繁殖センターの整備
○都市農村交流の取組
・バッタリ―村
「与えられた自然を生かし、この地に住む
・家畜を飼養し触れ合いの場の提供
ことに誇りをもち、一人一芸何かを作り、都
・オリジナルレシピの開発
会のあとを追い求めず、独自の生活文化の
中から創造し、集落の協働と和の精神で生
活を高めよう」(バッタリー村憲章)
○地域食材加工の取組
・総合農舎山形村
・地域で採れる食材を用いた冷凍食
1994年設立。出資額4,000万円。旧山形
品の生産
村50%、旧陸中農業協同組合37.5%、流通
・地元人材の職員雇用
業者1社12.5%の3社による第3セクター。
4.食材加工の取組~総合農舎山形村~
○取組の背景
素材作りの段階から安全性を第一に考え、
「体にやさしく、しかもおいしい」をテーマに
した農畜産物の加工を推進している。
○取組の概要
豊かな自然環境を保ちながら、第1次産業
の復興を図るほか、町内のさまざまな活動
や情報を提供する総合発信基地となって
いる。また、短角牛をはじめとして、地域で
採れる安全な食材を中心にして、冷凍食
品等の150アイテムを生産している。
○取組の成果
雇用は32名、全員地元から雇用している。
【バッタリー村の様子】
【商品情報】
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