Comments
Description
Transcript
トランペット吹きの休日の鑑賞
音楽科全校授業研究会 第 3 学 年 3 組 音 楽 科 学 習 指 導 案 平成10年10月13日(火)5校時 場 所 音 楽 室 Ⅱ,Ⅰ 授 業 者 佐 藤 崇 <授業研究のテーマ> 【子どもたちの音楽に対する感性を揺さぶる教材の工夫】 ○実物に触れたり,演奏したりする場の設定 【表現と鑑賞の関連を図る題材構成の工夫】 ○実物に触れたり,演奏したりする活動を経ての鑑賞活動 1 2 題材名 ひびき合いをかんじて 題材の目標 (1) 声や音の重なり合う響きに関心をもち,楽しんで聴いたり表現したり できる。 <関心・意欲・態度> (2) 旋律の重なりや響きを感じ取り,バランスを工夫して表現することが できる。 <音楽的な感受や表現の工夫> (3) 音の重なり合う響きを聴き合って合唱奏することができる。 <表現の技能> (4) 楽器の特徴や音色に気を付けて聴いたり,合奏全体の響きを味わって 聴いたりすることができる。 <鑑賞の能力> 3 題材について 音の響き合いに関する学習は,これまでに輪唱や部分二部合唱を通して, 音の重なりを感じ取らせてきている。3年生では,リコーダーの学習も加わ り,楽器の輪奏よる2声の響き合いも経験している。 本題材では,歌と楽器・二部合唱・二重奏などによる響きの違いを感じ取 りながら,強弱や情景が表れる歌い方を工夫したり,トランペットやオーケ ストラによる演奏を聴いて響きの美しさを味わわせていったりしていく。 「トランペットふきの休日」の鑑賞では,聴くだけの鑑賞にとどまらず,表 現活動と意図的に関わらせていきたい。そのために,トランペットに触れる 場や発音原理を学ぶ場,トランペットの構造を知る場等を設け,自由に子ど もたちがトランペットについて学習することができる場と時間を保証してい きたい。それらの経験をふまえて,再度鑑賞させることにより,子どもの内 面では,今までの聴き方とは違う鑑賞が行われるはずである。そのことが, 子どもの音楽に対する感性をさらに豊かにすると考える。 また,この鑑賞で学んだ,楽器の響き合いを次の合唱奏の表現に生かして いけるように,鑑賞を題材構成の中間に位置付けた。 4 本題材で扱う楽曲 (表)雪のおどり(小林 純一作詞/市川 都志春作曲) (A) (表)パフ(芙龍明子作詞/ピーター ヤーロウ・レナード リプトン作曲) (B) (鑑)トランペットふきの休日(ルロイ アンダソン作曲) (C) 5 楽曲について (A)雪のおどり この曲は,舞い降りる雪を小人に見立てて,美しいメルヘンの世界を描き 出している。 旋律は,A( a,a')B( b,b')の4つのフレーズから成り,各フレーズとも Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ/V 7 -Ⅰの和音進行で統一されていて簡潔である。この曲は, 1オクターブの音域内で八分音符と四分音符のみで構成されていることか ら,歌唱だけでなく楽器でも無理なく演奏できる。階名唱をもとに,2部合 唱や2部合奏をして和音の響き合いを感じ取らせることができる教材であ る。 (B)パフ この曲は,少年と魔法の竜との心温まる交流を描いたものである。 旋律は,a,b,a,b'の4つの平易なフレーズからなり,3年生の子どもが リコーダーで演奏するのに適している。この教材では,リコーダーによる2 部の重なりの美しさを感じ取らせていく。 (C)トランペットふきの休日 アメリカの作曲家ルロイ アンダソン( 1908 ~ 1975)の作品である。アン ダソンの作品は,現代風な感覚で描写性をもった曲が多く,しかもユーモア に富んだものが多い。1年生の鑑賞教材「おどるねこ 」「タイプライター」 は,その一例である。 この曲は,トランペット吹きの若者が仕事から解放された休日に,心ゆく までトランペットを楽しんでいる様子を描いたものである。3本のトランペ ットを中心にオーケストラが美しい響きをつくりだしている。軽快なテンポ とトランペットの歯切れのよいリズムに思わず体を動かしたくなる曲であ る。 トランペットに親しみをもたせるとともに,3本のトランペットとオーケ ストラの音の響き合いを感じ取らせていく。 6 指導区分と時間配当(7時間扱い) 第1次 音の重なりの響きを感じ取り,歌い方を工夫する。(A) ・・・・・・・・2時間 第2次 トランペットについて知り,その音色に気を付けて聴く 。(C) ・・( 2時間 本時1/2) トランペットに親しみ ,楽器の響き合いを感じ取って聴く。 ( C) 第3次 音の重なり合う響きを聴き合って合唱奏をする。(B) ・・・・・・・・3時間 7 本時の指導 (1) 本時のねらい トランペットの発音法や構造を知り,その音色に気を付けて聴くことがで きる。 (2) 学習の方向(下線 は,子どもたちの音楽に対する感性を揺さぶる教 材の工夫,下線 は,題材構成の工夫③) 本時は,トランペットの発音法や構造を知り,その音色に気を付けて聴く 時間である。 最初に,曲名を伏せ,鑑賞させる。鑑賞中は,曲に反応して自由に体を動 かしてもよいこととする。鑑賞後 ,感想をカードに書かせる 。ここでは , 「ト ランペットふきの休日」のトランペットが活躍し,楽しく明るい曲趣である ことをとらえさせる。次に ,「トランペット吹きの若者が仕事から解放され た休日に,心ゆくまでトランペットを楽しんでいる様子」という粗筋を知ら せた後,トランペットについて学習する。 最初に,トランペットの歴史,発音の仕組みを教師の解説とトランペット 演奏で確認する。続いて,トランペットに実際に触れたり,音を出したり, 調べたりする場と時間を設ける。ここでは,子どもたちの興味・関心を大切 にし,自由に吹いたり,触ったりさせる。また,子どもたちのトランペット に対する興味・関心が生かせる活動にするために十分に時間を確保する。 次に,再度「トランペット吹きの休日」を鑑賞させる。その際,トランペ ットに触れたり,吹いてみたりしたことを想起させた上で,鑑賞させる。 最後に,次時は,3本のトランペットの音の重なりの響きに気を付けて鑑 賞していくことを告げる。 (3) 学習過程 学 習 の 流 れ 予想される 子どもの反応 1 1・どんな曲だろう。 1 本時は,鑑賞をしてい ・早 く 聴いて みた い くことを知らせる。感じ な。 たことを自由に鑑賞カー ・曲 名 は何と いう の ドに記入できるように曲 かな。 名は伏せておく。 ・ど ん な楽器 が出 て ・鑑賞中は,曲に反応して くるかな。 自由に体を動かしてもよ いことを確認する。 2・ テ ンポの 速い 曲 2・トランペットが活躍し だ。 楽しく明るい曲趣である ・と っ ても明 るく 楽 ことをとらえさせる。 しい曲だ。 ・じっくり鑑賞させ,カー ・運 動 会で流 れて い ドに気が付いた点を記入 たぞ。 させる。 3・ ト ランペ ット が 3・鑑賞カードをもとに気 た く さん出 てき ま 付いたことを発表させる した。 ・「 トランペット吹きの休 ・運 動 会で聴 きま し 日」の曲趣 ,「軽快なテ 学習の流れを 確認する。 2「トランペット ふきの休日」を 鑑賞する。 3 感想を発表す る 学習上の配慮事項 (※評価の観点) た。 ンポと軽快なリズム 」, 「うきうきして体を動かし たくなる」等々をまとめ る。 4 学習内容を確 4 4・活躍していたトランペ 認する。 ットのことを詳しく知 り,音色に気を付けて鑑賞 トランペットのことを知り,音色に気 していくことを確認し,学 をつけてきこう 習内容「トランペットのこ とを知り,音色に気を付け てきこう」を板書する。 5 ト ラ ン ペ ッ ト 5 ・ どん な楽 器なん 5・最初に,トランペット を知る だろう。 の歴史,発音の仕組みを ・ ト ラ ン ペ ッ ト の ・ ず いぶ ん古 いんだ 教師の解説とトランペッ 歴史 なあ。 ト演奏で確認する。 ・ 合 図に 使っ ていた ・トランペットの歴史は古 んだ。 く,有史以前にまで遡る ことができることを解説 する。 ・ ト ラ ン ペ ッ ト の ・ リ コー ダー のよう ・トランペットの古い形で 祖先 な 穴が 空い ている ある木製コルネット,セ ぞ。 ルパン,ナチュラルトラ ・面白い音がするぞ。 ンペットの写真と音色を ・ 木 を使 って いたん 音楽ソフトを使って説明 だ。 する。( Microsoft Musical Instruments をテレビに映 す 。) ・ ト ラ ン ペ ッ ト の ・ リ コー ダー とは違 ・トランペットは,唇を震 音の出る仕組み うんだ。 わせて音を出すこと,そ ・唇を震わすんだ。 れを楽器で大きく響かせ ・ 楽 器を 付け ると大 ていることを教師の演奏 き く, きれ いに響 によって確認する。 くようになったぞ。 6 ト ラ ン ペ ッ ト に 6・触ってみたいな。 6・トランペットについて 触 れ た り , 吹 い ・ ト ラン ペッ トって もっとくわしく知ること てみたりする。 重 いん だな あ。 ができるように以下のよ ・ 唇 を震 わせ て音を うなテーマ別コーナーを 出 すの は, 難しい 設け,自由に回らせる。 トランペットを吹 ぞ。 トランペットを吹こう こう ・ 息 を入 れる だけで ・トランペットを音楽室Ⅰ 音 が鳴 るん ではな に10台準備しておき, いんだ。 自由に試させる。その際, ・ や った !音 が出た 順番を守り,楽器を大切 ぞ!! に扱うことを確認する。 トランペットの歴 史,仕組みを知ろ う 実際の長さを知ろ う 野菜もトランペッ トになる?! 7 ・昔 の トラン ペッ ト の 音 をもう 一度 聴 いてみよう。 ・ボ ヤ ッとし てい る 音だなあ。 ・今 の 楽器の 方が 明 るくて鋭い音だ。 ・別 の 楽器も 調べ て みたいな。 ・昔 は ,演奏 する の が 難 しかっ たん じ ゃないのかな。 トランペットの歴史,仕組 みを知ろう ・楽器の博物館(教育芸術 社)のソフトを使い,由 来と歴史について調べさ せる。また,トランペッ トの祖先の楽器の写真と 音色を確かめさせる。 ・ソフトは,マウスで簡単 に動かすことができるが 不都合があった場合には 助けを求めるように声掛 けをする。 実際の長さを知ろう ・伸 ば すとこ んな に ・トランペットは,管を丸 長いんだ。 めてあるが,実際に伸ば ・1 . 4mも ある ん すとどれくらいの長さに だね。 なるのかを実感させるた ・ゴ ム ホース でも ト めに,ゴムホースで作っ ラ ン ペット と同 じ たトランペットを展示す よ う な音が する ん る。ゴムホーストランペ だ。 ットも音出しをしてよい ・先 生 に吹い ても ら こととする。 おう。 野菜もトランペットにな る?! ・人 参 や大根 でも い ・唇がしっかり震えていれ い音がする。 ば,人参や大根でもトラ ・びっくりしたなあ。 ンペットになることを確 ・う ま く鳴ら ない か かめさせる。音を出すの ら 先 生にお 願い し が難しく,音が鳴らない よう。 場合には,教師が演奏し て聴かせる。 ※トランペットの発音法や 構造を知ろうと意欲的に 試す活動に取り組んでい るか。(観察) 再 度 「 ト ラ ン 7・ 音 を出す だけ で 7・6の活動で知り得たこ ペット吹きの休 も難しかったのに, と,経験したことをもと 日」を鑑賞する 。 あ ん なに上 手に 吹 に,鑑賞できるように, けるなんてすごい。 6の活動を想起させた上 ・き れ いな音 で, よ で鑑賞活動に入る。 く吹けるな。 ※トランペットの音色に気 ・音 が きれい に重 な を付けて鑑賞することが っ て ,よく 響い て できたか。 いる。 ( 観察,発言 ,鑑賞カード) 8 まとめをする 。 8 ・ きれ いな 音色だ ったなあ。 ・ こ の次 は, 3本の ト ラン ペッ トの音 の 重な りを 聴いて いくんだ。 ・楽しみだ。 8・本時の学習の目当てが 達成できたことを認める と共に,次時は,3本の トランペットの音の重な りの響きに気を付けて鑑 賞していくことを告げ, 期待感をもたせる。 トランペットを知ろうで使うソフト 【トランペットの形】 【トランペットの仲間と祖先】 【マウスピース】