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アロマトリートメントによる介護ストレス軽減の取り組み

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アロマトリートメントによる介護ストレス軽減の取り組み
アロマトリートメントによる介護ストレス軽減の取り組み
申請者
新川
宏美
助成対象年度(2011 年度
提出
2012 年 8 月 29 日
前期)
アロマトリートメントによる介護ストレス軽減の取り組み
Ⅰ
はじめに
最近の在宅療養は、療養者の医療依存度が高かったり、また、介護者自身が高齢であっ
たり、介護準備が整わないうちに開始されたりと、介護を担う家族の精神的、身体的負担
が大きいことがある。家族介護者の介護負担は、心身の疲労蓄積により介護者自身が病に
倒れたり、精神的な追い込まれにより療養者に対する虐待に発展したりすることもある。
在宅療養を継続において、家族介護者の介護負担軽減、心身のストレス軽減は重要な課題
であると考える。家族介護者のストレス対処に関する縦断的研究 1 ) では、介護者ネットワ
ークを通じて、話したり書いたりする自己表現によりストレスコーピングを果たすことで、
家族介護者の健康改善に役立てられることを示している。しかし、高齢の介護者のインタ
ーネット利用の難しさ、介護により時間的、精神的ゆとりがなくネットワーク参加ができ
ないという現状もある。
今回、介護者のストレスコーピングの援助の一つとして、自宅でのアロマトリートメン
トを取り入れることを考えた。アロマトリートメントとは、植物油と精油のブレンドオイ
ルを手・足など身体の一部に塗布し、マッサージを施す行為である。アロマトリートメン
トには、香りによる癒す効果と人の温もりを伴うタッチングによるオキシトシン作用 2 )の
効果があるとされ、他者との信頼関係構築がされやすく、短時間でリラックスが図られス
トレス軽減に繋がると期待される。この介入はアロマセラピストが訪問看護師と同行し、
療養者に対する訪問看護の間、介護者に対してアロマトリートメントを施行し、リラック
スを図り、他者とゆっくり話できる機会を提供することより介護ストレスの軽減を目指す
ものである。
本研究の目的は、家族介護者のストレスの軽減において、アロマセラピストによる定期
的アロマトリートメントの効果を明らかにすることである。
Ⅱ
方法
1.
期間
2011 年 9 月より 2012 年 2 月まで
対象
2.
訪問看護の利用者の家族介護者で以下の条件を満たす者

利用者と同居している者

代替介護者のいない者

研究参加に同意した者

パッチテストで使用オイルに対しアレルギー反応がないと確認された者

疾患を有する場合は事前に主治医の許可が得られた者

3.
年齢・性別は問わない
介入
1)実施者:(公社)日本アロマ環境協会認定セラピスト
アロマトリートメント実践経験 1~5 年の者
2)実
6名
施:訪問看護に同行し、訪問看護サービス提供時間内に実施する。
1 回 30 分,2 週間に 1 回,全 10 回
3)内
容:①トリートメント内容
A ブレンド:気分が落ち着く香り( ゼラニウム、ティーツリー、プチグレン )
B ブレンド:感情表出の香り (スィートオレンジ、ペパーミント)
ベースオイルはホホバオイル。上記ブレンドを1%に希釈して用いる。
②オイル選択・マッサージ部位の選択
毎回実施前に、対象者と実施者で検討し、身体状態に合わせてオイル選
択・マッサージ部位の選択を行う。
③訪問看護サービス実施中に自宅の希望の場所で実施する。
4.
評価
1)主観的評価
①介護負担感:初回トリートメント実施時と 10 回目トリートメント終了後に評価
Zarit 介護負担尺度短縮版 J-ZBI-8 3 ) 資料参照 1 )
介護ストレスチェックシート
4)
資料参照 2 )
②アロマトリートメント効果
フェイススケール:毎回トリートメントの前と後
感想:毎回トリートメントの後
質問紙調査:10 回目トリートメント終了後
2)客観的評価
①セラピストの観察記録(身体観察、対象者の言動等)
②中間及び終了後 2 回の訪問看護師とセラピストによる合同カンファレンス 記録内容
5.
倫理的配慮
対象者に対して、文書を用いて研究の主旨、個人情報の保護、途中辞退、今後の訪問看
護に影響のないこと等を説明し、研究参加の同意を書面で得た。研究協力者であるアロマ
トリートメントセラピストにおいては、本研究で知り得た対象者の個人情報の保護、他の
活動への情報の活用をしないことの同意を書面で得た。
Ⅲ
結果
1.
対象の概要
1)対象者の概要
人数(名)
年齢
性別
続柄
40 歳
2
50 歳
2
60 歳
3
70 歳
3
男性
0
女性
10
娘
5
妻
4
母
1
介護年数
半年
1
1~2 年
4
5 年以上
5
2)被介護者の背景
介護度
認知症有無
医療的処理
人数(名)
要介護度1
1
要介護度2
1
要介護度3
1
要介護度4
1
要介護度5
6
有り
4
なし
6
気管内吸引
2
経管栄養
5
膀胱留置カテーテル
1
人工呼吸器療法
1
在宅酸素療法
2
ネブライザー吸入
1
2. アロマトリートメント実施状況
実施状況
実施回数
10 回
7名
9回
1 名(訪問看護終了のため)
4回
1 名(介護者の体調不良)
2回
1 名(介護者の体調不良)
使用オイル
A ブレンド
20 回(23.5%)
B ブレンド
61 回(71.8%)
ホホバオイルのみ
4 回(4.7%)
施術部位(毎回の施術で複数部位あり)
3.
上肢~肩
33 回(25.4%)
背中~腰
32 回(24.7%)
下肢
41 回(31.5%)
顔・頭
24 回(18.4%)
介護負担
1)Zarit 介護負担尺度の短縮版 J-ZBI-8 のアンケート結果
①介入前後のアンケート結果とレーダー図
(点)
対象者1
対象者 2
対象者 3
対象者 4
対象者 5
対象者 6
対象者7
介入前
12
11
13
19
7
23
15
介入後
10
10
8
23
5
19
13
-2
-1
-5
+4
-2
-4
-2
対象者7
対象者1
25
20
15
10
5
0
対象者6
対象者2
介入前
対象者3
対象者5
介入後
対象者4
②質問項目の結果
Zarit
質問1
質問2
質問3
質問4
質問5
質問6
質問7
質問8
対象者1
1→1
0→1
3→3
2→2
3→2
0→2
0→0
1→1
対象者2
0→1
0→0
4→3
0→1
2→2
4→3
1→1
0→0
対象者3
1→1
1→1
2→1
2→1
1→1
2→2
1→0
3→1
対象者4
3→3
3→3
2→3
3→3
3→3
1→3
1→2
3→3
対象者5
0→0
0→0
1→1
1→1
3→3
0→0
1→0
1→0
対象者6
3→3
2→2
4→4
4→3
4→2
4→2
0→0
2→3
対象者7
2→2
2→1
2→1
2→2
2→2
2→1
1→1
2→2
2)ストレスチェックのアンケートの結果
①介入前後のアンケート結果とレーダー図
(点)
対象者1
対象者2
対象者3
対象者4
対象者5
対象者6
対象者7
介入前
16
4
8
11
9
7
21
介入後
13
3
5
14
6
4
14
対象者1
25
20
15
10
5
0
対象者7
対象者2
介入前
対象者6
対象者3
対象者5
介入後
対象者4
②質問項目の結果
ストレスチェッ
質問1
質問2
質問3
質問4
質問5
質問6
質問7
質問8
質問9
質問10
対象 者1
2→1
2→1
2→2
0→0
0→0
2→2
1→0
2→2
2→1
0→2
対象 者2
0→0
0→0
0→0
0→0
0→0
1→1
0→0
0→0
1→0
2→2
対象 者3
1→0
1→0
1→1
0→0
0→0
1→1
0→0
1→1
1→1
2→1
対象 者4
2→1
1→1
2→1
1→1
0→1
1→3
1→2
1→1
3→2
0→0
対象 者5
1→1
1→0
1→0
1→1
0→0
1→0
1→1
2→0
1→1
0→0
対象 者6
1→0
1→0
0→0
0→0
0→0
2→2
0→0
0→0
3→2
0→0
対象 者7
3→2
3→1
3→2
1→0
0→0
2→2
3→2
2→1
2→2
2→2
ク
4.
10 回実施終了者の選択部位・選択オイルとストレスチェックの関係
ストレス度点数評価
参考資料 3 )
人数
選択オイル
(人) A
評価(点)
レベルⅠ
B
選択部位
ホホバ
上肢~
背部~
下肢
(回) (回) (回) 肩(回) 腰(回) (回)
4
3
35
2
13
10
26
顔・頭
(回)
4
(0~10)
レベルⅡ
2
12
8
0
8
11
2
15
1
4
6
0
7
7
3
4
7
19
49
2
28
28
31
23
(11~20)
レベルⅢ
(21~30)
合計
5.
アロマとリートメント実施毎の評価
10 回もしくは 9 回まで終了した対象者 8 名に対して施術前後のフェイススケール表、毎
回の施術時の主訴、変化するフェイススケールの要因、選択したオイル、施術直後の感想、
施術中の様子、訪問中の言動、セラピストからのセルフケアアドバイスについて経過図を
作成する。資料参照 4 )
6.
主観的評価
1)10 回終了時のアンケート結果
人数(名)
あった
受けた時のみ
ない
2
5
0
あった
受けた時のみ
ない
5
2
0
あった
ない
7
0
良かった
自 宅 以 外 が良 い
7
0
受けたい
受けたくない
7
0
食事
睡眠
身体に変化があった
精神的に変化があった
介護疲労軽減に効果あった
自宅で受けられてことについて
今後も定期的に受けたいか?
疲 労 回 復 ・ストレス軽 減に必 要 と思 われるも
話すこ
癒しの
と
時間
3
6
運動
その他
1
0
のは何 ですか?(複 数 回 答 可)
1
5
2)セラピストの記録シートから抽出した主観的評価の質的分析結果
身体的快感を実感
安定安楽を実感
・ 血行が良くなった
・ 気持ちよかった
・ 指先までポカポカしてきた
・ 最高です
・ 体があたたまり腰の痛みが軽くなった
・ アロマの時はリラックスできてうれしい
・ 肩がポカポカしてきた
・ 体だけでなく精神的にも軽くなった
・ 体が軽くなってすっきりした
・ 毎回アロマの後は気持ちがすっきりする
・ 頭が軽くなった
・ まるで天国です。
・ 頭がすっきりして視界が広がった
・ 気持ちよくて眠ってしまった
・ 視界が良くなりすっきりした
・ 頭が気持ちよくて寝てしまいました
・ 目がはっきり見える
・ いい香りで落ち着く
・ 肌荒れが良くなった
・ 鼻の通りが良くなった
幸福感の取り戻し
・ 毛が生えてきた。
・ いい思いをさせてもらって有難うございます
・ 頭が特に気持ち良かった
・ こんなにしてもらって幸せです
・ 足が軽くなった
・ こんな素敵な時間をありがとうございます
・ 肩甲骨が気待落いい
・ この時間だけを楽しみにしてました
・ 腕がすっきりした
・ 頭が軽くなって支えてもらっている感じです
・ 首がすっきりして首が長くなった感じ
・ 頭がすっきりして幸せな気分
・ 肩が軽くなった
・ おばあちゃんにやさしくできた
・ 腰が楽になった
・ おばあちゃんに笑顔で接することが出来た
・ 肩の痛みが取れた
・ 最近落ち込むことが少なくなった
・ 足の裏が気持ちいい
アロマの取り込みと受け入れ
疲労蓄積の自覚
・ 気持ちがいいホットタオルの作り方を教えて
欲しい
・ 腰が凝っていることに気付いた
・ 顔のマッサージを自分で行っている
・ 凝りや疲れに気付いた
・ これで終わるのは寂しい
・ 左の脹脛と肩が辛いことが分かった
・ これ終わるのは名残惜しい
・ 二の腕が凝っていることに気づいた
・ これがずっと続くといい
・ 左肩も凝っていることに気付いた
7.
客観的データ
訪問看護師とセラピストのカンファレンス記録とセラピスト の毎回の記録シートでと
らえた評価の質的分析結果
気が張り固まっている
疲れで体が固まっている
・ 肩全体がこわばり辛そう
・ 体はかなり頑張っている
・ 肩は右の張りが強く本人も自覚している
意欲気力の限界
・ 何をしていいかわかなくなる涙ながらに話し、厳しい状況がうかがえる
・ 夫と二人の時間が煮詰まっている様子
・ やることがあるのに手がつかない
気配りの人
・
自分 ことより母親のことや周りことを気にかけている様子
・ セラピストの心配をしてくれる
・ 笑顔だが介護に来てくれるスタッフにとても気を使っている印象
我を抑えて頑張る
・ やりたいこともできず疲れてしまうとかなりストレスがたまっている様
子
・ 習っていたフラダンスは、介護や自分の体調で出来なくなった
・ 夜中の吸引や子供の塾の送迎にさらに忙しくなっている様子
体の緊張の解きほぐし
アロマを楽しむ
・ アロマを受けるときに大好きなショパンの曲をかけて→自分で環境を考
えていた
・ 足を洗って待っていた。
リラックスする
・ 施術中からだの力が抜けていく感じ。
・ 胸と頭の時に寝息を立てていたのでかなり疲れがたまっていると思われ
る。
・ 浅かった呼吸がトリートメントしていると徐々に深くなってくる
内面の吐露
会話を楽しむ
・ 朗らかでよく笑っていた
・ 施術後はよくおしゃべりをされ「24 時間の介護を忘れてしまいそうと
・ 自分ことを聞いてくれることを快く思っている様子。
心の内を語る
・ 封印していた父親の話をし涙ぐむ
・ 介護の大変さをねぎらう言葉をかけると一気に介護の大変さを吐き出す
・ 身体的なことだけでなく精神的なことも話すようになる
自分自身への関心
自分の体を労わる
・ 手にハンドクリームをつけるようになる
・ 肩のマッサージ機を使うようになり、体が軽くなったという
・ 冷え対策を自分で考えて行っている
身なりを気遣う
・ 初めて化粧をしていた
・ 美容院に行き綺麗なヘアスタイルで表情もさっぱりしている
・ 美容に関心を持ち、心の余裕が感じられる
先や外に眼を向ける
今後への関心
・ 明るい話題が多く気持ちもふっきれ前向きになってきていると感じる
・ 海外旅行にも行きたい、ショートステイ利用も前向きに考えている
家の外への関心
・他の介護者について介護が大変か聞いてくる
8.
セラピストと訪問看護師によるカンファレンス内容
セラピストと訪問看護師によるアロマトリートメントの評価カンファレンスは 2 回行わ
れた。内容は以下のとおりである。
中間カンファレンス(開始後 2 ヵ月)

対象別アロマトリートメントのねらいの共有

初期段階の評価

今後実施において考慮すべき課題
終了後カンファレンス

課題への取り組み

セラピストによる客観的評価
Ⅰ)ねらいの共有
対象者それぞれにおいて、被介護者の身体状況、必要な介護内容、介護者の身体状況、
介護者の家庭環境、被介護者との関係性等が異なっており、それぞれアロマトリートメン
トに期待するところは異なっていた。訪問看護師が情報として持つ対象者を取り巻く背景、
療養上の課題、今後の見通し等を共有した上で、それぞれに対するアロマトリートメント
実施のねらいを明確にした。
2)実施に考慮すべき課題
初期段階での評価では、リラックス効果・身体状態の自覚等があることが出された。そ
れと同時に、今後アロマトリートメントを継続していく上で、アロマトリートメントの効
果があがるための課題も示された。
①効果を上げるための環境整備の必要がある
②感情表出によるマイナス面を考慮する
③調査研究終了後セラピスト不在でも自身でストレス対処をする
3)評価
終了後のカンファレンスで、全体的に捉えたアロマトリートメントの評価をセラピスト
の客観的観察、訪問看護師の間接的・客観的観察を中心に行った。全体的評価として下記
の 4 点が挙げられた。
①入自体の肯定的受け入れ
②ストレス軽減:リラックスの具体的内容
身体の解きほぐし
会話や他者との交流を楽しむ
香りの持続的効果(残り香効果)
感情表出の肯定的面の強調
③自分らしさの取り戻し・自分自身に対する関心・自分を大切に思う気持ち
④自分自身で負担感を軽減しようとする介護者
Ⅳ
考察
1.
対象家族介護者の介護負担
負担の大きい現状:対象家族介護者が介護にあたっている要介護者の状態は、要介護 1
以上であり、
「 歩行ができない」もしくは認知症症状により見守りが常に必要である。また、
医療的処置があるために要介護者をひとりにすることが難しい環境にある。介護年数はほ
とんどが年単位であり、慢性的に負担が蓄積されている。介護者は全員女性であり、また
年齢が半数以上が 60 歳以上であり、介護負担の身体への影響が大きい人々である。また、
要介護者の病状の悪化や介護者自身の入院加療の理由でアロマトリートメントを途中中止
となっている対象者がいることから、病状的に不安定な状況で、長期間慢性的なストレス
下にある体力的には弱い家族介護者の現状がつかめた。
また、セラピストによる客観的評価から【疲れで体が固まっている】【意欲気力の限界】
が出されているように、体の影響のみならず、限界状態に来ている負担感のある介護者で
ある。
介護者の求める安楽:ストレスレベルの低い者は感情表出を促すと言われている香りを
選択していることから、負担感軽度のうちに感情表出をすることで、ストレス対応できる
と考えられる。一方、ストレスレベルの高い者は気分が落ち着く香りを選択する傾向にあ
ることは、すでに自らが行う感情表出では対応できないために、直接的に安楽を求めてい
たと考えられる。その時々の身体的疲労や気持ちの変化を考慮し、その状態にあった香り
を選択して効果を得ていたと考えられる。先行研究で、自己表現がストレス軽減につなが
ることを示していたことから考えられることと同様、介護により生じる感情、思い、考え
を表出することの重要性が示されたと言える。しかし、負担感が大きすぎる時には、感情
表出ではストレス対応できないと考えられるため、状況をよく把握し、直接気分の安定を
図る支援を行うことも重要であろう。
また、アロマトリートメント実施部位の希望においては、ストレスレベルが軽度の者は、
四肢または体幹のアロマトリートメントを望むが、高いものは、顔・頭部を望んでいた。
精神的緊張が持続し、感情表出が少ない状況では、顔面の表情筋の動きが少なく、また、
そのために顔面や頭部表面の血液循環が停滞しがちになると考えられる。顔・頭部の アロ
マトリートメントを望むのは、ストレス下にある者の生理的な欲求であると推察される。
アロマトリートメント実施において、香りやアロマトリートメント実施部位は実施者の
希望に沿って行った。リハビリテーションや運動プログラムのように一定の事前に定めら
れた内容で進められる介入ではなく、実施内容についてアロマトリートメントを受ける者
の希望を優先してその都度決めていく介入は、
「自分のためのアロマトリートメント」であ
るということを意識づけることになったと考えられる。
2.
アロマトリートメントの即時効果
主観的評価―幸福感の取戻し:アロマトリートメント実施前後のフェイススケールによ
る主観的評価は、毎回のアロマトリートメントの評価では、前後ともに 0、または 1 と変
わらない評価をした以外は、安楽を示す評価に変化していた。アロマトリートメントの即
時的な効果を示しているものと言える。しかし、毎回良い評価へ変わっているにもかかわ
らず、次回には元と同じレベルの評価となっている。アロマトリートメント自体の効果が
持続するとは言えない。
実施後の感想で語られた言葉の質的分析結果からは、【身体的快感を実感】【疲労蓄積の
自覚】という身体に目を向けたものと、【安定安楽を実感】【幸福感の取戻し】という気持
の変化を捉えたものがあった。身体的快感の中では特に視力の回復感が得られたことが特
徴である。また、自分自身に対する他者の援助に感謝をし、さらに要介護者にも優しくで
きるようになっていることが示されている【幸福感の取戻し】は、介護負担を軽減させて
いることの表れとすることができよう。
これらのことから、単に身体的な安楽が得られるのみでなく、他者との関係 などにも影
響する幸福感を取り戻していることがわかった。ただし、この幸福感の取戻しは継続的な
ものではなく、アロマトリートメントを受けている時だけの事である。介護者に対して関
心を示していることが介護から一時的にでも離れ、介護者にも影響を及ぼすような幸福感
となっていると考えられる。
客観的評価―緊張の解きほぐし:セラピストによる介護者の変化の記録内容を質的に分
析した結果から、アロマトリートメント実施後の変化を捉えた客観的評価の特徴が示され
た。
【体の緊張の解きほぐし】に示されるように筋の緊張がとり、眠り始めることが 多くあ
ったのは、アロマトリートメントの身体面への大きな影響と捉えられる。これは、日常的
に身体的負担が大きいからこそ、このような変化が見られたと考えられる。介護から一時
開放されると言うこと自体が休息になっていることを考えると、アロマトリートメントの
みによる効果とは言い切れない。しかし、
【内面の吐露】にあるように、セラピストとの会
話を楽しみ、過去の経験や感情を語ることのように、精神面への影響は大きいと考えられ
る。アロマトリートメントはセラピストとの 1 対 1 の関係の中で行われるため、このよう
な場を設定し、時間を確保すると言う環境は、ストレス軽減の重要な要素であると考えら
れる。
3.
長期的な視点で捉える介入の効果
アロマトリートメントの受け入れ:介入前にはアロマトリートメントについての認識も
なく、研究者からの働きかけで研究協力という形でアロマトリートメントを受けることと
なった。実施においては、途中辞退なく、毎回のアロマトリートメントも予定時間を欠く
ことはなく、終了後も会話が続いていたりということもあった。終了時のアンケートの結
果では、全員介護疲労軽減に効果があったとしていた。また、全員アロマトリートメント
を定期的に受けたい希望していた。他者との関わりを介護者が受け入れられていること自
体が、アロマトリートメント実施の効果であると考える。
介護負担と被介護者の病状:アロマトリートメント介入前後における Zarit 介護負担尺
と測定値、ストレスチェック測定値によると、対象者 4 以外は負担の軽減が図られたこと
がわかった。対象者 4 は介入前の負担感とストレスの値も高いこともあり、毎回実施後に
は主観的評価は良くなってはいるものの、長期的に見ると負担軽減にはつながらなか った
かもしれない。要介護者の秒所、介護者自身の体調、ストレス耐性、療養環境の変化等多
様な要因が影響していると考えられるため、各対象者毎にどのような療養上の変化をもた
らす要因が加わっていたかを含めた経過図を作成した。
対象者 4 は、7 回目あたりより、被介護者のイライラが強まり、それが介護者に強く影
響し、介護者のイライラにつながっていたと考えら得る。被介護者は病状が進行し、この
時期は動かない体で意思表示をする事にもどかしさを感じており、被介護者自身が大変不
安定であった。その原因は病気が慢性的、かつ進行性であること、そして、病状の進行に
対する不安や苛立ちが強くなることがあり、このような状況にある患者の介護にあたる家
族介護者の負担感には特に注目する必要があると考える。
他の対象者に置いては、被介護者の風邪、転倒など、被介護者の身体的状態の悪化はそ
の時々の介護者のストレスチェック測定に影響していることがわかるが、訪問看護師や主
治医による医療的対応により、一時的なものとなっていることから、負担の継続や蓄積に
は至らなかったと考えられる。
介護者自身のストレス対応:セラピストによる客観的評価とカンファレンスで検討され
た内容には、介護者自身にもたらされた変化が示されている。
客観的評価の“自分自身への関心”の【自分の体を労わる】
【身なりを気遣う】は、介護
疲労を緩和するために積極的に自分の身体のために何かを行うようになったり、また美容
院に行ったりお化粧をしたりと言うように、外見にも気を使うようになったりしたことを
示している。さらには、今後のことや、他の介護者のことにも目を向け、今までにない前
向きな発言もあった。
カンファレンスでの評価された内容には、「自分らしさの取り戻し・自分自身に対する
関心・自分を大切に思う気持ち」がまとめられ、アロマトリートメントを受けることで、
他者から介護者の身体や生活を大切にされる経験をし、それにより自分自身に目を向け、
大切にしようと思うようになったと考えられる。
また、今回のアロマトリートメントは 10 回までと開始時より終了が決まっていた。中
間カンファレンスでは、終了後のことを考慮した働きかけが必要と言う考え方でセラピス
トが介護者にかかわり、介護者自身が自分の安楽を得るためのセルフケアについて具体的
に方法を説明していった。終了後には、自分で介護負担感を軽減しようとする変化が見ら
れた。
介護者に対するアロマトリートメントの実施は、身体的な安楽や緊張の解きほぐしを得
ることにより、気持ちの上でも感情表出が効果的に行われるようになり、ストレスフルな
状況にある自分を自覚し、さらに、他者から介護者個人に関心を持たれると言う経験も重
なり、自分自身を大切にしようとするように至ったと考えられる。
4. 家族介護者への支援
家族介護者への計画的支援:患者に対してケアを行う訪問看護師は、患者の事を通して
家族介護者に話しかけることが多いため、介護者にのみ関心を持って接するセラピストの
役割は重要であると考える。患者を介さず家族に向き合う機会は、訪問看護師単独での訪
問看護では十分作り出すことは難しい。医療的処置があったり、重症の要介護者の場合、
また、家族介護者が高齢であったり、代替介護者がない場合など、家族介護者への関心を
高く持ち、家族介護者のための計画的な支援を検討することが必要であると考える。その
ためには、まず、家族の負担状況やストレスの程度などを的確にスクリーニングし、支援
の必要な家族を把握することが必要である。今回使用した負担感尺度やストレスチェック
シートなど、客観的で簡便に用いることができるスクリーニングツールを導 入することで、
積極的に介入が必要な療養者および家族を見出すことができると考える。
家族介護者を支える地域社会:家族介護者の負担感軽減のための介入にアロマトリート
メントを活用したが、家族介護者への関心を高め、負担感や緊張の続く介護生活の中で感
情を表出することができれば、アロマトリートメントと同様の良い影響は得られると考え
られる。セラピストに代わって、近隣住民やボランティアなどによる声掛け、茶話会など
で、介護生活前の日常を取り戻すことが可能であると考える。身体的負担感を軽減するた
めには、主治医や訪問看護師等医療者による家族介護者の健康管理と、サービス導入で対
応できると考えられるが、自分自身の取戻しや日常性の取戻しは、生活圏での人間関係が
必須と考える。
また、アロマトリートメント、マッサージ、ヨーガ、ダンス等の介護者向けの介入が容
易に受けられるような社会状況も今後検討していくことが必要と考える。介護保険や医療
保険の対象ではないが、地域の住民、高齢者に対する自治体等によるサービスとして、家
族介護者が利用しやすい体制ができることを期待する。
Ⅴ結論
家族介護者のストレスの軽減において、アロマセラピストによる定期的アロマトリート
メントの効果について次の点が明らかになった。
●家族介護者の現状
長期間慢性的なストレス下にあって体力的には弱く、介護ストレスを上手に発散できてい
ない負担感のある介護者であることがわかった。
●精油と施術部位の選択
ストレスレベルの低い人たちは感情表出の香りを選び、ストレスレベルの 高い人たちは気
分の落ち着く香りを選択していた。施術部位に関してはストレスレベルの人たちは顔・頭
部を選択し効果があったことから精油や部位は本人の希望に 基づいて行ったほうが効果的
である。
●アロマトリートメントの効果
体の緊張の解きほぐしにより身体的安楽の実感が得られたことが顕著であった 。また介
護している自分に関心を持ってもらい大切にされたことにより、自身を大切する事に気づ
き、自分を労わるセルフケア行動や介護生活の折り合いのつけ方を身に着けることができ
るようになった。つまり、介護負担はなんら変わっていないにも係わらず、
“負担感”が軽
減されているのがわかった。
●定期的なアロマトリートメントの必要性
アロマトリートメントを受けることによって毎回安楽を示す評価となっていたが、次回
には元と同じレベルとは限らないことから定期的にケアを行うことの必要性が明らかにな
った。
●アロマトリートメントを効果的に受けるための環境
訪問看護師が被介護者にサービス提供している時間に自宅でアロマトリートメントを
受けられたことは介護者が一番安心してリラックスできる環境だった。
●スクリーニングツールの導入
介護負担感尺度のツールを用いることで、積極的に介入が必要な介護者を見出すことが
できる。
在宅療養を支える上で介護者の健康と介護する気持ちを維持し、ソーシャル・サポート
が豊かに受けられるシステム作りをしていくことと、介護保険外でのサービスも在宅支援
を支えるチームとして参加し、介護者支援を担っていくことが必要になってくると思われ
る。
謝辞
本調査の実施にあたりにご協力いただいた介護者の皆様、アロマセラピストの皆様、な
らびに本研究をまとめるにあたりご指導頂きました本田彰子先生に 心より感謝を申し上げ
ます。また本研究を進めるにあたり、公益財団法人
在宅医療助成
勇美記念財団による
助成金を賜りましたことに深甚なる謝意を表します。
参考文献
1)
石川利恵ほか:在宅介護者のストレス対処に関する縦断的研究、 長野県看護大学
2000 年
2)
山口創著:皮膚という「脳」(2010)東京書籍
3)
荒井由美子ほか:Zarit 介護負担尺度日本語版(」一 ZBI)および短縮版(J 一 ZBI_8)
2004 年
4)
渡辺俊之著:介護者と家族の心のケア(2009)金剛出版
5)
ケモタイプ精油事典:ナードジヤパン編集(2007)
6)
安珠著:ストレスケアのためのアロマテラピー(2002)東京堂出版
7)
色映みほ:幸せを呼び込むアロマテラピー事典(2010)毎日コミュニケーション
ズ
1)参考資料
短縮版(J―ZB1 8)質問内容
1、介護を受けている方の行動に対し,困ってしまうと思うことがありますか
いつも思う
よく思う
時々思う
たまに思う
思わない
たまに思う
思わない
たまに思う
思わない
たまに思う
思わない
2、介護を受けている方のそばにいると腹が立つことがありますか
いつも思う
よく思う
時々思う
3、介護があるので,家族や友人と付き合いづらくなっていると思いますか
いつも思う
よく思う
時々思う
4、介護を受けている方のそばにいると,気が休まらないと思いますか
いつも思う
よく思う
時々思う
5、介護があるので,自分の社会参加の機会が減ったと思うことがありますか
いつも思う
よく思う
時々思う
たまに思う
思わない
6、介護を受けている方が家にいるので,友達を自宅によびたくてもよべないと思ったことがありますか
いつも思う
よく思う
時々思う
たまに思う
思わない
たまに思う
思わない
7、介護をだれかに任せてしまいたいと思うことがありますか
いつも思う
よく思う
時々思う
8、介護を受けている方に対して, どうしていいかわからないと思うことがありますか
いつも思う
よく思う
時々思う
たまに思う
思わない
2)参考資料
渡辺俊之氏による介護ストレスチェックシート
1 気分が晴れない
ない
少しある
ある
かなりある
2 イライラしている
ない
少しある
ある
かなりある
3 自信がない
ない
少しある
ある
かなりある
4 損をしているといつも思う
ない
少しある
ある
かなりある
5 飲酒やたばこが増えている
ない
少しある
ある
かなりある
(
)
6 睡眠が十分にとれない
ない
少しある
ある
かなりある
(
)
7 人と会うのが面倒
ない
少しある
ある
かなりある
8 文句ばかり言っている
ない
少しある
ある
かなりある
9 体がすっきりしない
ない
少しある
ある
かなりある
10 病気を持っている
ない
少しある
ある
かなりある
3)参考資料
渡辺氏による介護ストレスチェックシート評価
0~10 点
「そのまま介護を続けることが可能」
11~20 点
「介護ストレスがかかっており、介護生活に工夫が必要」
21~30 点
「ストレスから精神症状や身体症状に移行しつつあり、
場合によっては専門家の治療が必要」
4)参考資料
アロマトリートメント実施経過図
対象者1
前
4
後
0
主訴
3
3
0
0
1
2
3
↑
↑
↑
疲労・睡眠不足
全身的な疲れ
3
1
0
0
4
↑
庭仕事で筋肉痛、
FS 要因
腰痛強い
精油
頭
B
直後の感想(心)
(体)
最高、夢心地
眠くなった
A
優しくなれる
首が軽くなる
施術中の様子
頭
B
A
浅く眠る
自分より人の心配をする
アドバイス
1
0
1
0
6
7
8
9
↑
↑
↑
↑
↑
睡眠がとれる
腰痛軽度
鎮痛剤で腰痛緩和
右肩の痛み
1
0
10
鎮痛剤不用
↑
睡眠が十分取れる
夜のトイレ介助が多い 以降オムツやポータブルトイレの使用で介護が楽になる
頭
A
いい気持ち笑顔になれる いい気持ち
体が温まる
1
0
0
5
トイレ介助で腰痛出現
施術部位(頭・顔)
言動
4
頭
B
頭
A
いい気分
体がホカホカ
浅く眠る
肩が軽い
頭 or 顔
頭 or 顔
B
A
気持ちがいい
いい思い
腰が楽
顔
A
素敵な時間をありがとう
腰が楽
物音で体に力が入る 物音がしても起きない 寝息を立てる
初めて化粧
フェイシャルの希望
入浴時のアロマ
対象者1
施術直後の感想 2、3 回目「おばあちゃんに優しく出来た」「おばあちゃんに笑顔で接することが出来る」4回目以降は「体が温まる」「腰が楽」「いい思い」
客観的観察 施術後は肉体的なことより精神的なことについて多く語られた。「おばあちゃんに優しく出来た」ということは日頃は感情を抑え、頑張っていると思
われる。被介護者のケアが終わるころ物音で肩に力が入ったので常に気にされているのだと思った。7回目以降化粧や美容室に行く、フェイシャルを希
望されるなど美容に関心を持ち心のゆとりが感じられる
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 4回目:一日数十回のトイレ介助で腰を痛める 5回目:鎮痛剤が効いて腰痛が軽減 6回目:夜のトイレ介助
と腰痛の辛さが大きい 7回目:被介護者がオムツやポータブルトイレを使うようになりトイレ介助が減った
対象者2
前
2
後
1
0
主訴
2
0
0
1
0
0
1
0
1
2
3
4
5
6
7
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
足の浮腫み
足の浮腫み
腰とお尻の疲れ
FS 要因
寝不足
腰と足の疲れ・冷え
不眠・腰痛
2
1
0
1
0
0
腰・背中の凝り
8
9
↑
↑
風邪気味
被介護者が風邪
1
0
10
↑
腰痛・咽頭痛
痛みなく眠れる
B
B
体調不良
施術部位(頭・顔)
精油
B
B
直後の感想(心)
(体)
施術中の様子
B
気持ちよく眠ってしまいたい
足が温かい
足と腰が楽
好きな音楽をかけてる
B
B
リラックスできて嬉しい
足や背中がポカポカ
呼吸が深くなる 音楽をかけてウトウト
言動
B
B
B
気持ちよかった
気持ちよかった
腰が凝っているのが分かった 体が温まる
寝ている
眠るように受ける
血行が良くなった
TV を付けるが寝る
香りを焚いている
アドバイス
腰部のストレッチ
背中がホコホコする
背中の時涙を流す
背中をやってほしい 加湿器は被介護者だけ
寝前の深呼吸
肩こりのケア
アロマサシェの作り方
腰痛ケア
対象者2
施術直後の感想 2回目、4回目、8回目は「気持ちがいい」「アロマの時はリラックス出来てとても嬉しい」「凄く気持ちよかった」他の回は「足が温かくなる」「腰
が凝っていたことが分かった」「背中がほこほこしている」
客観的観察 初回は緊張していたのか呼吸が浅く、終わってからもお茶を入れたりリラックスする様子ではなかった。2 回目以降は自分で用意していた音楽をか
け眠るように施術を受けている。またアロマポットを買って普段から香りを楽しんだりとリラックスする方法を自分なりに考えている。8回目以降は施術部位
の希望がある。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 8回目:介護者が風邪気味
対象者3
前
後
2
1
主訴
2
2
0
0
2
1
1
0
1
0
0
2
1
1
0
1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
疲労からの倦怠感
足のツリ
特になし
特になし
不眠・全体的な疲労感
足裏のあれ
足ののツリ・胃痛
足裏のあれ
足の疲れ
全身疲労
FS 要因
被介護者の転倒・風邪気味
施術部位 (頭・顔)
精油
B
直後の感想(心)
B
気持ちよかった
幸せな気分
B
B
言動
看護師と話をする
介護の苦労を話す
アドバイス
香りでの気分転換 不眠のケア
B
B
軽くなって楽
介護の話しをする
足浴して待っている
足裏のケア
B
肌荒れがよくなり嬉しい
楽になった
緊張して緩まない
B
気持ちよかった
(体)
施術中の様子
B
肌荒れケア
足は気持ちがいい
A
ホッとできる
リラックスできた
足が軽い
力が抜けない 体が緩み楽しい話題
苦労話をする
足裏のケア
セルフケアをしている
足裏改善している
冷え対策
冷え対策
足浴はしていない
ストレッチ
皮膚あれ悪化
対象者3
施術直後の感想 1 回から3回目まで「気持ちよかった」「幸せな気分」4 回から 7 回目は「足が楽になった」「足が軽くなった」9,10 回目は「ひとときホッと出来た」
「リラックスできた」
客観的観察 大変な気配りタイプで初回は緊張感が強く感じられた。常に周囲に気を使い体がなかなか緩まず自分自身に意識が向かない様子。5回目以降、
被介護者が看護師と散歩に出かけると介護苦労の話しが出る。夫がいると話しづらいのだろう。6 回目より足のセルフケアを始め肌荒れが良くなってくる
のを喜んでいる。そして以前より身体の力が抜けている。9 回目の数日前に被介護者が転倒し頭部打撲し体調も崩す。介護疲れの為か足のあれも酷くな
っている。10 回目に初めて A のオイルを選択。表情は一見して元気そうだが肩、背中にこわばりを感じる。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 5回目:気にしていた肌荒れが改善している 6回目:更に肌荒れ改善 9回目:被介護者の転倒と発熱
対象者4
前
後
3
1
↑
主訴
肩こり
2
1
1
0
0
2
0
3
3
0
0
0
3
4
5
6
7
8
9
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
足の冷えとだるさ
足のだるさ
顔の乾燥
顔の乾燥
リラックスしたい・肩こり
被介護者と2人の時間が長い
施術部位(頭・顔)
顔・頭
精油
A
気持ちがいい
気持ちがいい
(体)
頭が気持ちがいい
意識がなくなった
足全体が気持ちがいい
施術中の様子
言動
寝てしまった
寝てしまう
寝ていた
寝ていた
顔・頭
A
気が付いたら寝てた
被介護者がイライラ
顔・頭
A
A
全く覚えてない
起こされて気が付きました
寝ていた
いびきをかく
熟睡
熟睡
自分でもストレスを発散しなければ
足つぼ
下肢の筋トレ
イライラする
被介護者のイライラ
10
↑
肩こり・リラックスしたい
家事を親が手伝ってくれる
顔・頭
A
顔・頭
A
気が付いたら寝てた この時間だけを楽しみにしていた
首が気持ちがいい
ウトウトしている
アドバイス
顔・頭
肩こり・リラックスしたい
2
0
0
2
FS 要因
直後の感想(心)
5
4
乾燥ケア
リラックス法
熟睡
熟睡
待ち望んでいた
冷え対策
対象者4
施術直後の感想 「今日も寝てしまいました」「途中で意識がなくなりました」「寝てしまって全く覚えていない」「これだけを楽しみにしてきました」初回より「次は
背中をお願いしたい」と。
客観的観察 初回に不調を伺うと特に問題はないと答えるが、精神面でのストレスは被介護者に気遣ってか話しづらそうにしていた。2 回目はニコニコしながら
もフェイススケール4を選んでいたので笑顔の裏には色々とストレスをためているのだろうと思った。24 時間介護しているので外の空気を吸ったり、歩い
たり、ゆっくりお風呂に入ったりということが難しいかと思われる。5 回目以降、被介護者を気にしない2階での施術を提案。フェイシャルを希望される。
眉間の深いしわや毎回熟睡している様子を見ていると介護の大変さを感じ、疲れが溜っているようにも思える。被介護者の介護スタッフへの態度が悪
く恐縮している様子。笑顔で話されるがとても人に気を使いストレスがかなり溜まっているように思われる。施術後色々話をされることもストレス発散にな
っているのかもしれない。「自分で少しストレスを発散する方法を見つけないと、昔弾いていたエレクトーンを引こうかな」と自分をケアする言葉が聞かれ
る。10回目はピークの時より体の緩みが感じられる。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 7回目:被介護者と2人きりになる時間が増える 8回目:被介護者がイライラして介護スタッフへの不満を顔に
出すことに気を使う 9回目:介護者自身もイライラしてくる
対象者5
前
後
1
0
主訴
1
0
1
2
↑
左肩こり
1
0
1
0
2
2
0
0
5
6
7
8
9
10
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
上半身の疲れ
肩腰のこり
頭
B
腕・頸・肩こり
咳が出て辛い
頭
B
B
直後の感想(心)
寝不足
肩こりと頭痛
寝不足リラックスしたい 精神的な疲れ
被介護者昼夜逆転
頭
B
夜間の吸引が増える
息子受験中
頭
B
視界が広がった
頭のツボが気持ちいい
視界が開ける
施術中も話が止まらない
言動
B
B
B
肩こりケア
首がすっきり
肩が軽くなる
指先までポカポカ
すぐ寝る
アロマを受けれて嬉しい
アドバイス
肩こり
B
B
気持ちよく眠くなる
(体)首がすっきりして長くなった
施術中の様子
1
0
4
体調不良
精油
1
0
0
3
FS 要因
施術部位(頭・顔)
2
1
0
マッサージはどうやるの
眼精疲労ケア
普段も首が楽
リラックス法
首がすっきりした
すぐ寝る
凝りが分かった
間もなく寝る
温めることの気持ち良さを知った
冷え対策
肩こりケア
冷え対策
腕のストレッチ
対象者5
施術直後の感想 5 回、9 回目は「気持ちがいい」「今まで気がつかなかったコリや疲れに気がついた」「眠くなった」他の回は「痛みが取れた」「肩がポカポカす
る」「視界が良くなる」
客観的観察 体の変化を的確に感じているためお伝えしたセルフケアも意識して普段から行っている。またその効果を実感しているので更に実践されて健康
維持に敏感になってきた様子。8回目被介護者が昼夜逆転し夜間寝不足のためかなり、疲れている様子。9 回目は施術中ほぼ寝ていたのでよほど疲
れていたのだろう、夜中の吸引に息子の送り迎え。パワフルで家族のために生きている方だと思った。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 5回目:介護者の体調不良
対象者6
前
4
後
1
0
主訴
1
2
3
↑
↑
↑
疲れ
足がだるい
足の疲れ
1
0
1
4
5
↑
↑
足の痛み
FS 要因
3
2
1
0
0
6
↑
介助で腰を痛めた
足のだるさ
2
1
0
0
0
7
8
9
10
↑
↑
↑
↑
足のだるさ
車いす移乗で痛める
とても疲れている 足のだるさ軽度
腰が痛い・足がだるい
被介護者の機嫌が悪い 夫が休みで楽
施術部位(頭・顔)
精油
B
直後の感想(心)
B
B
B
気持ちがいい
(体)
施術中の様子 トイレ介助に付き添う
言動
B
B
B
気持ちがいい
足が軽くなった
足が軽くなった
足がホカホカする 足が軽くなり楽
アドバイス
B
すっきりした
気持ちがいい
封印していた父の話で涙
大変なのは私だけじゃないのね
冷え対策
化粧をしている
看護師に対応を頼む
下肢のケア
A
気持ちがいい
足が軽い
セラピストの心配をする
化粧しようかしら?
A
香りのイメージで痛みが取れた
オイルの作り方
話をしながら笑顔
会話中に表情が良くなる
笑顔多い
ショートステイに前向き
アロマの楽しみ方
冷え対策
対象者6
施術直後の感想 5 回まで「足が軽くなった」「足がポカポカする」「足が楽になった」、6 回目以降は「気持ちがよかった」「すっきりした」
客観的観察 初回は施術中も訪問看護にも気を使いケアに加わり、落ち着かずリラックスとは程遠い状態。3回目には「私より大変?」「他の方はお化粧して
いるの?」「大変なのは私だけではないのですね」と他の家族介護者のことを気にするようになる。4回目には化粧をされ自分のことにも目が向くように
なったのかもしれない。5 回目ごろより訪問看護師に頼めることはお願いし、人に少しゆだねることが出来るようになってきた。7回目のとき「昨日足が
辛くなったのでアロマの香りとトリートメントされている自分をイメージしたら痛みがひいた」と聞いてイメージして痛みが和らいだということはその痛みは
精神的な要因が大きいのではないかと思った。8回目の時介護量が増えた上、被介護者の機嫌が悪くかなりの疲労が伺える。オイルの選択も初めて
A がいいと選ばれたのにはやはりいつもとは違う心理的状態にあったのか。10 回目には「行かれるようになったら絶対海外旅行に行きたい」など自分
のやりたいことについて話したり、今まで利用しようとしなかったショートステイについても考えるようになり、心の中で何かが変化があったのか前向きな
言葉も聞かれるようになる。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 5回目:車いす移乗で腰を痛める
8回目:被介護者の体調悪化と機嫌の悪さ
対象者7
前
後
3
1
0
主訴
1
2
↑
↑
肩首のこり・疲労感
1
0
3
肩こり
↑
肩こり・足の疲れ
5
↑
↑
腰・肩こり・足の冷え
FS 要因
1
0
0
4
6
↑
風邪・咳が辛い
頭
精油
B
直後の感想(心)
(体)
施術中の様子
言動
頭
↑
肩・腰こり・腕痛み 首・肩こり
A
緊張ぎみ
話しのあとウトウト
他に聞きたいことは?
アドバイス
B
幸せな気分
視界が明るい 視界がはっきり
B
気持ちがいい
0
8
↑
0
9
10
↑
↑
全身の疲労感 身体・精神的な疲れ
孫の面倒をみる
目がすっきりはっきり
時々深呼吸
10 分ほどでウトウト
B
鼻が通る
頭
B
A
冷え対策
呼吸が浅く早い
ストレッチをやるようにしている
A
B
気持ちも軽くなる
体が軽くなる
介護の辛さを一気に話す
肩・首こり
保険の担当が知らないうちに代わる
リラックスしました
明るい話題が多い
肩こりケア
2
1
頭
A
すっきりした
肩がポカポカ
頭
2
0
7
被介護者も体調不良
施術部位(頭・顔)
4
3
体が軽くなる
横になると大きなため息
落ち込みがなくセルフケアをしている
体が軽くなる
自分の気がつかない凝りを実感
気持ちに集中できない 緊張が取れ笑顔
やる気が起きないと泣く
リラックスの仕方 リラックスの仕方
リラックスの仕方
対象者7
施術直後の感想 「頭もすっきりして視界も広がる」「幸せな気分」「リラックスできた」「体だけでなく精神的にも軽くなった、いい香りで落ち着く」
客観的観察 初回は緊張していたが3回目は施術中ウトウトし始め、話題は前向きな明るい話となる。セルフケアも取り入れ自分自身へ目が向くようになる。5
回目には体調を崩していても介護をしなければならない辛い状況を一気に話す。誰かに話すことによって気持ちが落ち着いた様子。肉体的にも精神
的にも疲労があると呼吸も早くなる。6 回目の前は自分の体調の悪さも重なり「母親の言動に耐えきれ得ず、攻撃的になり、疲れて嫌になって死んで
しまいたいことがある」などかなり厳しい状況であることもうかがえコンサルテーションを長めにする。6~7 回目の間がシュートステイで一カ月間あく。9
回目は「やることがあるのに全く手がつかず、自分で何をしいたらいいのか分からない」精神的疲労が伺え施術中もなかなかリラックスできない。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 5回目:介護者の体調不良 7回
目:介護以外の身体的疲労
9回目:介護以外の精神的疲労
対象者8
前
後
主訴
3
3
3
0
0
0
2
1
2
3
4
↑
↑
↑
↑
肩こり・ふくらはぎがだるい
肩こり・ふくらはぎがだるい
1
0
0
5
↑
肩こり・すふくらはぎがだるい ふくらはぎのだるさ
FS 要因
1
0
→入院
肩こり。足のだるさ
1
0
1
0
1
6
7
8
9
↑
↑
↑
↑
足のだるさ・胃痛・不眠
微熱
足がつり・痛い
頭部打撲全身不調
足の疲れ・肩こり
眠剤で眠れる
胃に違和感
施術部位 (頭・顔)
精油
頭
B
直後の感想(心)
言動
B
幸せです
(体)
施術中の様子
B
B
まるで天国です
肩も足も軽くなる
ホホバのみ
B
気持ちがいい 本当に気持ちがいい
肩こりケア(手浴)
B
肩こりケア(運動) 肩こりケア
衣類の脱借も協力的
B
本当に最高です
足裏が最高
ウトウトする
左側が辛いことが分かった
B
気分がすっきりする
足が軽くなった
介護の話しをする
整体でも肩こり良くならず
アドバイス
10
表情穏やかでリラックスしている
2階のベッドで寝たいけど心配
ス トレッチ法
ケアしているが肩こりが改善しない
ストレッチ法
ストレッチ法
対象者8
施術直後の感想 「凄く気持ちがいいこんなにしてもらって幸せです」「まるで天国」「アロマの後は気持ちがよく気分がすっきりします」「軽くなって良かったけ
どこれがずっと続くといいのだけど」
客観的観察 介護に対して悲観的な言葉は聞かれない。被介護者の近くで寝ているから休まらないが不眠も仕方がないと思っている。被介護者の体調の変
化が睡眠状況に影響している様子。4 回目の後、尿路感染で入院。退院後、一時は胃痛や食欲不振、転倒などで精神的な落ち込みが感じられたが
眠剤で眠れるようになり表情も穏やかとなる。7回目より施術中ウトウトし、リラックスできている様子。表情も穏やかで施術を体で味わっているようにも
思える。9回目にはマッサージ機で首肩足をほぐしたり、入浴もきちんとするようになったが疲れやコリは改善しないと言われる。左の肩の張りが強い。
フェイススケールの各回の変化に影響する要因 4回目と5回目の間で介護者入院(尿路感染)
その後不眠が解決
*訪問看護利用者が終了したため研究も 9 回で終了となる。
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