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(57)【要約】 【課題】 P450モノオキシゲナーゼ遺伝子
JP 2005-278637 A 2005.10.13 (57)【 要 約 】 【 課 題 】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 大 腸 菌 等 の 微 生 物 宿 主 内 で 安 定 的 に 機 能 発 現 させる方法を提供する。 【 解 決 手 段 】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生 物 、 又 は シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付加した融合タンパク質を生産可能な微生物を培養し、培養物又は菌体からシトクローム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 採 取 す る こ と を 特 徴 と す る シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼの生産方法。 【選択図】 なし (2) JP 2005-278637 A 2005.10.13 【特許請求の範囲】 【請求項1】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生 物 を 培 養 し 、 培 養 物 又 は 菌 体 か ら シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 採 取 す る こ と を 特 徴 と す る シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【請求項2】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 細 菌 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 1 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法。 【請求項3】 10 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 、 又 は そ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 1 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法。 【請求項4】 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン を バ リ ン に 置 換 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 3 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オキシゲナーゼの生産方法。 20 【請求項5】 微 生 物 が 、 大 腸 菌 で あ る 請 求 項 1 乃 至 4 の い ず れ か 一 項 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オキシゲナーゼの生産方法。 【請求項6】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融 合 タ ン パ ク 質 を 生 産 可 能 な 微 生 物 を 培 養 し 、 培 養 物 又 は 菌 体 か ら 、 活 性 の あ る シ ト ク ロ ー ム P4 50モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 含 む 融 合 タ ン パ ク 質 を 採 取 す る こ と を 特 徴 と す る シ ト ク ロ ー ム P4 50モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【請求項7】 融 合 タ ン パ ク 質 が 、 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseと の 間 に 30 切 断 部 位 を 含 む 融 合 タ ン パ ク 質 で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 6 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P4 50モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【請求項8】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 細 菌 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 6 又 は 7 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生産方法。 【請求項9】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 、 又 は そ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 6 又 は 7 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 40 生産方法。 【請求項10】 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン を バ リ ン に 置 換 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る 請 求 項 9 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オキシゲナーゼの生産方法。 【請求項11】 微 生 物 が 、 大 腸 菌 で あ る 請 求 項 6 乃 至 1 0 の い ず れ か 一 項 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノオキシゲナーゼの生産方法。 50 (3) JP 2005-278637 A 2005.10.13 【請求項12】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生 物 。 【請求項13】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融 合 タ ンパク質を生産可能な微生物。 【請求項14】 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融 合 タ ンパク質。 【請求項15】 請 求 項 1 4 に 記 載 の 融 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る DNA。 10 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は生触媒工学、すなわち生変換反応による有用物質合成領域に属するものである 。より具体的には、本発明は、産業上有用な有機化合物の合成に使われている酵素である シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ( 以 下 、 単 に 「 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 」 と い う 場 合 がある。)を、機能を損なわない形で安定的に生産する方法を提供する。元来不安定な酵 素 で あ る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を コ ー ド す る 遺 伝 子 を 安 定 的 に 微 生 物 内 で 機 能 発 現 す る ことにより、種々の有用な生変換反応を効率的に行うことができる。 【背景技術】 20 【0002】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 細 菌 か ら 植 物 や 哺 乳 動 物 に 至 る 広 範 囲 の 生 物 種 に 分 布 し て い る 酸 素 添 加 酵 素 で あ り 、 酸 素 分 子 を 還 元 し て 1分 子 の 水 を 作 る と 共 に 、 残 り の 酸 素 原 子 を 様 々 な 有 機 化 合 物 (基 質 )に 導 入 し て 、 酸 化 生 成 物 に 変 換 す る 反 応 ( 一 原 子 酸 素 添 加 反 応 ) を 触 媒 す る 鉄 ・ イ オ ウ 酵 素 で あ る 。 哺 乳 動 物 に お け る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 非 常 に よく研究されており、生体内に取り込まれた薬物や環境汚染毒物を酸化し水溶性を高め、 体外への排出を促進する生体防御の役割を担う鍵酵素であり、また、生体内の二次代謝産 物 の 生 合 成 に お い て 水 酸 化 反 応 等 を 担 う 鍵 酵 素 で も あ る 。 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 シ ト ク ロ ム P450本 体 タ ン パ ク 質 ( CYP) 以 外 に 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 を 必 要 と す る 複 合 酵 素 で あ る 。 す な わ ち 、 P450が 活 性 を 発 揮 す る に は 、 NAD(P)Hか ら 電 子 を 伝 達 し て く る タ ン パ ク 30 質として、細菌や真核生物のミトコンドリアでは フェレドキシンレダクターゼとフェレ ド キ シ ン の 介 在 を 必 要 と し 、 哺 乳 動 物 の 肝 臓 ミ ク ロ ソ ー ム で は NADPH-P450レ ダ ク タ ー ゼ の 介 在 を 必 要 と す る 。 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 部 分 的 な 構 造 の 変 化 に よ り 多 彩 な 化 合 物 の代謝に多様化された酵素で、バイオテクノロジーの分野において既存の方法では難しい と思われている化合物の酸化処理が可能になると考えられている。したがって、本酵素は 、 新 し い 有 機 ( 低 分 子 ) 化 合 物 ( た と え ば , 位 置 /立 体 特 異 的 に 導 入 さ れ た 水 酸 化 物 な ど )の合成や、分解処理が難しい環境負荷物質の処理への応用に期待されている。 【0003】 細 菌 を は じ め と す る 微 生 物 の P450研 究 は 哺 乳 動 物 に 比 べ る と 遅 れ て い た が 、 細 菌 の ゲ ノ ム 解 析 の 進 展 と 相 ま っ て 、 細 菌 の P450研 究 が 今 日 、 盛 ん に な っ て き て い る 。 細 菌 で 最 も よ 40 く 研 究 さ れ て い る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 シ ュ ー ド モ ナ ス ・ プ チ ダ 由 来 の P450camで 、 本 酵 素 は 、 樟 脳 ( camphor) を 基 質 と し て 、 5位 に 水 酸 基 を 導 入 す る 反 応 を 触 媒 す る こ と が 明 ら か に さ れ て お り 、 P450cam遺 伝 子 を 導 入 ・ 発 現 し た 組 換 え 細 菌 を 用 い た 解 析 も 広 く 実 施 さ れ て い る ( Poulos, T.L., Finzel, B.C., and Howard, A,J., High-resolution cr ystal structure of cytochrome P450cam. J . M o l . B i o l . , 1 9 5 , 6 8 7 - 7 0 0 ( 1 9 8 7 )) 。 ま た 、 高 脂 血 症 薬 プ ラ バ ス タ チ ン ( pravastatin;三 共 株 式 会 社 商 品 名 メ バ ロ チ ン ) は 、 コ ン パ ク チ ン ( compactin) カ ル ボ ン 酸 の 立 体 特 異 的 な 水 酸 化 反 応 に よ り 合 成 さ れ る が 、 こ の 反 応 を 担 う 酵 素 は 、 土 壌 細 菌 ス ト レ プ ト マ イ セ ス ・ カ ル ボ フ ィ ラ ス ( Streptmyces carb ophilus) 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る ( Matsuoka, T., Miyakoshi, S., Tanzaw a, K., Nakahara, K., Hosobuchi, M., and Serizawa, N., Eur. J. Biochem., 184, 707 50 (4) JP 2005-278637 A 2005.10.13 -713, 1989) 。 【0004】 P450酵 素 は 、 肝 ミ ク ロ ソ ー ム 画 分 の も の に 関 し て は 広 く 研 究 が 行 わ れ 、 試 験 用 酵 素 も 売 り 出 さ れ て い る 。 ま た 、 放 線 菌 ス ト レ プ ト マ イ セ ス ・ セ リ カ ラ ー ( Streptomyces coelico lor) の ゲ ノ ム 配 列 が す で に 決 定 さ れ 、 本 細 菌 が 18個 の P450配 列 を 持 っ て い る こ と が 明 ら か に な っ た こ と も あ り ( D. C. Lamb et al, The cytochrome P450 complement (CYPome) of Streptomyces coelicolor A3 (2), J. Biol. Chem. 277, 24000-24005, 2002) 、 放 線 菌 や 他 の 細 菌 の P450を 用 い た 研 究 も 最 近 、 盛 ん に な り つ つ あ る 。 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シゲナーゼ遺伝子は、植物や動物由来のものと比べて、細菌(放線菌も細菌)由来のもの は、大腸菌内で機能発現しやすいことがわかっていた。真核生物由来のもの(前者)が膜 10 酵素であるのに対して、原核生物由来のもの(後者)が細胞質内の可溶性酵素ということ が 、 そ の 最 大 の 理 由 で あ る と 考 え ら れ る 。 細 菌 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム ( Bacillus megat erium) や ミ ク ロ テ ト ラ ス ポ ラ ( Microtetraspora) 属 放 線 菌 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ遺伝子が大腸菌内で機能発現し、基質となる有機低分子化合物が水酸化されることが報 告 さ れ て い る ( 小 川 順 ら , Bacillus megaterium由 来 の シ ト ク ロ ム P450 BM-3変 異 型 酵 素 を 用 い る パ ラ ヒ ド ロ キ ノ ン 類 の 酵 素 合 成 , 日 本 農 芸 化 学 会 2003年 大 会 講 演 要 旨 , p. 38, 2 003、 及 び 、 有 澤 章 ら , 放 線 菌 シ ト ク ロ ム P450お よ び 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 を 共 発 現 さ せ た 大 腸 菌 に よ る 微 生 物 変 換 系 , 日 本 農 芸 化 学 会 2003年 大 会 講 演 要 旨 , p. 38, 2003) 。 し か し、細菌由来の同酵素でさえ、組換え大腸菌内で かなりの部分が正常に機能していない だ け で な く 、 正 常 に 機 能 し て い た 酵 素 も し だ い に 失 活 し て い く こ と が 観 察 さ れ た 。 P450モ 20 ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 酵 素 そ の も の が 不 安 定 酵 素 で あ る と 考 え ら れ て い る ( H. Joo, Z. Lin, and F. H. Arnold, Laboratory evolution of peroxide-mediated cytochrome P450 hydr oxylation. Nature 399, 670-673, 1999) 。 【0005】 発 明 者 が 所 属 す る 研 究 機 関 で あ る (株 )海 洋 バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 所 で は 、 積 水 化 学 工 業 (株 )と の 共 同 研 究 に よ り 、 免 疫 抑 制 剤 FK506と 結 合 す る タ ン パ ク 質 で あ る PPIase( ペ プ チ ジ ル プ ロ リ ル cis-transイ ソ メ ラ ー ゼ ) 遺 伝 子 を 好 熱 性 古 細 菌 ピ ロ コ ッ カ ス ・ ホ リ コ シ ( Pyrococcus horikoshii) 等 よ り 単 離 し た 。 本 PPIaseは 、 古 細 菌 の 不 安 定 な 酵 素 で あ る ロ ダ ネ ー ゼ ( rhodanese) や 、 不 溶 化 し や す い 鶏 卵 の リ ゾ チ ー ム 抗 体 の Fab断 片 等 を 、 本 来 の 立 体 構 造 に 巻 き 戻 し 可 溶 化 さ せ る こ と が で き た ( 特 開 平 10-91号 公 報 ) 。 し か も 、 ロ ダ 30 ネ ー ゼ は 本 PPIase共 存 下 で 100℃ ま で 安 定 で あ っ た 。 し た が っ て 、 本 PPIaseは 高 温 で も 安 定な分子シャペロンであることがわかった。また、安定的に機能発現させたいタンパク質 の N末 に 、 前 記 PPIaseま た は 大 腸 菌 の シ ャ ペ ロ ニ ン GroELを 融 合 さ せ る こ と に よ り 、 そ の タ ンパク質が本来の立体構造に巻き戻されることがわかった。この融合タンパク質系を用い て 、 毒 性 の 強 い B型 肝 炎 ウ ィ ル ス 表 面 抗 原 や 不 溶 性 の ヒ ト IgGの 重 鎖 等 を コ ー ド す る 遺 伝 子 が、安定的に組換え大腸菌内で機能発現されることがわかった(特許文献1、特許文献2 ) 。 最 近 、 三 井 化 学 も PPIaseの シ ャ ペ ロ ン 活 性 に 着 目 し 、 大 腸 菌 の PPIaseを 利 用 す る こ と により、大腸菌で生産が難しかったヒトのミッドカインや組織プラスミノーゲン活性化因 子 ( TPA) の 生 産 量 の 増 強 に 成 功 し た と 発 表 し て い る ( 日 経 バ イ オ テ ク 、 2003年 5月 21日 ) 。 40 【0006】 細 菌 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム ( Bacillus megaterium) BM-3株 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ( P450 BM-3) は 、 P450ド メ イ ン と NADPH-P450レ ダ ク タ ー ゼ ド メ イ ン が 結 合 し た 、 大 変 珍 し い 構 造 を 有 す る 酵 素 で あ る 。 本 酵 素 の 塩 基 配 列 は 、 DDBJ Accession No. J04832 に 登 録 さ れ て い る 。 本 酵 素 は 元 々 、 C12∼ C20の 飽 和 脂 肪 酸 の ω 末 端 ( メ チ ル 基 側 ) の 1位 、 2位 ま た は 3位 を 水 酸 化 す る 酵 素 で あ っ た が 、 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン が バ リ ン に 変 異 し た も の ( 以 下 、 こ の 変 異 酵 素 を 「 F87V」 と い う 場 合 が あ る 。 ) は 、 ナ フ タ レ ン や 2-ブ ロ モフェノール等の芳香族化合物を広く基質として認識し 水酸基を導入することができた ( 小 川 順 ら , Bacillus megaterium由 来 の シ ト ク ロ ム P450(BM-3)変 異 型 酵 素 を 用 い る パ ラ ヒ ド ロ キ ノ ン 類 の 酵 素 合 成 , 日 本 農 芸 化 学 会 2003年 大 会 講 演 要 旨 , p. 38, 2003、 及 び 、 Q 50 (5) JP 2005-278637 A 2005.10.13 . -W. Li, U. Schwaneberg, P. Fischer, and R. D. Schmid, Directed evolution of th e fatty-acid hydoroxylase P450 BM-3 into an indole-hydroxylating catalyst. Chem . Eur. J. 6, 1531-1536, 2000) 。 【0007】 【 特 許 文 献 1 】 特 開 平 2004-24102号 公 報 【 特 許 文 献 2 】 国 際 公 開 第 02/052029号 パ ン フ レ ッ ト 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 そ の 構 造 だ け で な く 、 基 質 特 異 性 や 反 応 特 異 性 に 関 し て も 10 非常に多様であるので、生変換反応による有用物質合成領域への応用、すなわち、産業利 用可能な様々な有機低分子化合物の合成に利用されることが期待されている酵素である。 ま た 実 際 に 、 高 脂 血 症 薬 プ ラ バ ス タ チ ン ( pravastatin; 三 共 株 式 会 社 商 品 名 メ バ ロ チ ン ) の 製 造 に 、 放 線 菌 が 有 す る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 機 能 が 利 用 さ れ て い る 。 一 方 で 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 失 活 し や す く タ ー ン オ ー バ ー が 悪 い 不 安 定 酵 素 と し て 有 名 で 、異種宿主中で安定的に生産する方法は知られていなかった。そのため、外来遺伝子とし て P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 導 入 ・ 発 現 し た 組 換 え 微 生 物 を 利 用 し て 、 有 用 な 有 機 化合物の実際の工業生産を行った例はほとんど存在しないと思われる。本発明では、実際 の 工 業 生 産 を 可 能 に す る た め 、 外 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 安 定 的 に 機 能 発 現 する方法を開発することを課題としている。 20 【課題を解決するための手段】 【0009】 分 子 シ ャ ペ ロ ン と し て は 、 GroEL等 の シ ャ ペ ロ ニ ン や PPIase( ペ プ チ ジ ル プ ロ リ ル cis-t ransイ ソ メ ラ ー ゼ ) 等 多 く の も の が 知 ら れ て い る が 、 発 明 者 ら は 好 熱 性 の 古 細 菌 由 来 の PP Iaseに 着 目 し た 。 そ の 理 由 は 、 古 細 菌 由 来 の PPIaseは 、 失 活 し に く く 、 構 造 的 に も 真 正 細 菌 由 来 の PPIaseと 異 な っ て い る こ と 、 さ ら に は 、 ロ ダ ネ ー ゼ 遺 伝 子 等 の 大 腸 菌 で の 機 能 発 現 に 実 績 が あ る か ら で あ る 。 シ ャ ペ ロ ニ ン ま た は PPIaseを 利 用 し た タ ン パ ク 質 の 安 定 的 生 産 の 研 究 が 盛 ん に 行 わ れ て き た こ と は 「 背 景 技 術 」 で 述 べ た と お り で あ る 。 一 方 、 P450モ ノオキシゲナーゼに関する研究はきわめて盛んであることは言うまでもない。試しに、「 PPIase」 及 び 「 P450」 を キ ー ワ ー ド と し て 、 米 国 NCBI( National Center for Biotechnol 30 ogy Information) の Entrez-PubMedで 検 索 す る と 、 そ れ ぞ れ 、 2,364件 、 及 び 、 16,433件 ヒ ッ ト し た 。 と こ ろ が 、 「 PPIase & P450」 で 同 デ ー タ ベ ー ス を 検 索 す る と 、 2件 し か ヒ ッ ト が な く 、 し か も こ の 2件 は 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 安 定 化 に は 全 く 関 係 の な い 文 献 で あ っ た 。 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 安 定 化 は 、 ニ ー ズ が 多 い は ず に も か か わ ら ず 、 今 ま で PPIaseを 利 用 し た 方 法 が 存 在 し な か っ た の は 、 こ の 方 法 の 開 発 が 困 難 で あ る こ と を 物 語 っ て い る 。 本 発 明 者 ら は 、 古 細 菌 の PPIaseを 利 用 す る だ け で な く 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 中 で は 例 外 的 に 、 1 つ の ペ プ チ ド が P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の ホ ロ 酵 素 で あ る 真 正 細 菌 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ に 着 目 し て こ れ を P450モ ノ オ キ シゲナーゼのモデルとして利用することにより、本発明を完成するに至った。 【0010】 40 すなわち、本発明は以下の(1)∼(15)を提供するものである。 【0011】 ( 1 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生 物 を 培 養 し 、 培 養 物 又 は 菌 体 か ら シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 採 取 す る こ と を 特 徴 と す る シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【0012】 ( 2 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 細 菌 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る ( 1 ) に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方法。 【0013】 50 (6) JP 2005-278637 A 2005.10.13 ( 3 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 、 又 は そ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る ( 1 ) に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方法。 【0014】 ( 4 ) バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン を バ リ ン に 置 換 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る ( 3 ) に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノオキシゲナーゼの生産方法。 10 【0015】 ( 5 ) 微 生 物 が 、 大 腸 菌 で あ る ( 1 ) 乃 至 ( 4 ) の い ず れ か 一 項 に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P4 50モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【0016】 ( 6 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融 合タンパク質を生産可能な微生物を培養し、培養物又は菌体から、活性のあるシトクロー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 含 む 融 合 タ ン パ ク 質 を 採 取 す る こ と を 特 徴 と す る シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【0017】 ( 7 ) 融 合 タ ン パ ク 質 が 、 シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseと の 20 間に切断部位を含む融合タンパク質であることを特徴とする(6)に記載のシトクローム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 【0018】 ( 8 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 細 菌 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る ( 6 ) 又 は ( 7 ) に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ーゼの生産方法。 【0019】 ( 9 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 、 又 は そ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る ( 6 ) 又 は ( 7 ) に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ 30 ーゼの生産方法。 【0020】 ( 1 0 ) バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 一 部 を 改 変 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン を バ リ ン に 置 換 し た シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る こ と を 特 徴 と す る ( 9 ) に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P450 モノオキシゲナーゼの生産方法。 【0021】 ( 1 1 ) 微 生 物 が 、 大 腸 菌 で あ る ( 6 ) 乃 至 ( 1 0 ) の い ず れ か に 記 載 の シ ト ク ロ ー ム P4 50モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 。 40 【0022】 ( 1 2 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生物。 【0023】 ( 1 3 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融合タンパク質を生産可能な微生物。 【0024】 ( 1 4 ) シ ト ク ロ ム P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融合タンパク質。 【0025】 50 (7) JP 2005-278637 A 2005.10.13 ( 1 5 ) ( 1 4 ) に 記 載 の 融 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る DNA。 【発明の効果】 【0026】 本 発 明 は 、 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 利 用 す る こ と に よ り P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 大腸菌等の微生物宿主内で安定的に機能発現させる方法を提供する。そのような組換え微 生物を用いて、生変換反応による産業上有用な有機(低分子)化合物の合成が可能になる 。 【発明を実施するための最良の形態】 【0027】 以下、本発明を詳細に説明する。 10 【0028】 最 初 に P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と PPIaseに つ い て 説 明 す る 。 【0029】 1 . P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 細 菌 か ら 植 物 や 哺 乳 動 物 に 至 る 広 範 囲 の 生 物 種 に 分 布 し て い る 酸 素 添 加 酵 素 で あ り 、 酸 素 分 子 を 還 元 し て 1分 子 の 水 を 作 る と 共 に 、 残 り の 酸 素 原 子 を 様 々 な 脂 溶 性 の 有 機 ( 低 分 子 ) 化 合 物 (基 質 )に 導 入 し て 、 酸 化 生 成 物 に 変 換 す る 反 応 ( 一 原 子 酸 素 添 加 反 応 ) を 触 媒 す る 鉄 ・ イ オ ウ 酵 素 で あ る 。 哺 乳 動 物 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ーゼは非常によく研究されており、本酵素は、生体内に取り込まれた薬物や環境汚染毒物 を酸化し水溶性を高め、体外への排出を促進する生体防御の役割を担う鍵酵素(肝臓ミク 20 ロ ソ ー ム 型 P450) で あ り 、 ま た 、 生 体 内 の 二 次 代 謝 産 物 の 生 合 成 に お い て 水 酸 化 反 応 等 を 担 う 鍵 酵 素 ( ミ ト コ ン ド リ ア 型 P450) で も あ る 。 ゲ ノ ム 配 列 の 解 析 か ら P450は 、 ヒ ト で は 約 57種 類 、 細 菌 で は 、 ア グ ロ バ ク テ リ ウ ム ・ ツ メ フ ァ シ エ ン ス ( Agrobacterium tumefaci ens) が 5種 類 、 放 線 菌 ス ト レ プ ト マ イ セ ス ・ セ リ カ ラ ー ( Streptomyces coelicolor) が 1 8種 類 、 ス ト レ プ ト マ イ セ ス ・ エ バ ー ミ チ リ ス ( S. avermitilis) が 33種 類 、 マ イ コ バ ク テ リ ウ ム ・ ツ ベ ル ク ロ シ ス が 20種 類 あ る こ と が 知 ら れ て い る 。 な お 、 大 腸 菌 は P450を 有 し ていない。 【0030】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 シ ト ク ロ ム P450本 体 タ ン パ ク 質 ( CYP) 以 外 に 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 を 必 要 と す る 複 合 酵 素 で あ る 。 す な わ ち 、 P450が 活 性 を 発 揮 す る に は 、 NAD(P)H 30 から電子を伝達してくるタンパク質として、細菌や真核生物のミトコンドリアでは フェ レドキシンレダクターゼとフェレドキシンの介在を必要とし、哺乳動物の肝臓ミクロソー ム で は NADPH-P450レ ダ ク タ ー ゼ の 介 在 を 必 要 と す る 。 ま た 、 CYPそ の も の も き わ め て 多 様 で あ る 。 す な わ ち 、 CYPフ ァ ミ リ ー 間 の ア ミ ノ 酸 配 列 の 相 同 性 は 40% 以 下 で あ り 、 共 通 部 分 は 、 ヘ ム 鉄 と 結 合 す る シ ス テ イ ン 残 基 部 分 と 両 末 端 の 共 通 配 列 部 分 で あ る 。 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が diversozymeと 言 わ れ る 所 以 で あ る 。 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 部 分 的 な構造の変化により多彩な化合物の代謝に多様化された酵素で、先端の生物工学(バイオ テクノロジー)を活用することにより、既存の方法では難しいと思われている化合物の酸 化処理が可能になると期待されている。したがって、本酵素は、新しい有機(低分子)化 合 物 ( た と え ば , 位 置 /立 体 特 異 的 に 導 入 さ れ た 水 酸 化 物 な ど ) の 合 成 や 、 分 解 処 理 が 難 40 し い 環 境 負 荷 物 質 の 処 理 へ の 応 用 に 期 待 さ れ て い る 。 ま た 、 作 物 植 物 に 新 た な P450モ ノ オ キシゲナーゼを導入して残留農薬の分解を促すことなども期待されている。 【0031】 細 菌 を は じ め と す る 微 生 物 の P450研 究 は 哺 乳 動 物 に 比 べ る と 遅 れ て い た が 、 細 菌 の ゲ ノ ム 解 析 の 進 展 と 相 ま っ て 、 細 菌 の P450研 究 が 今 日 、 盛 ん に な っ て き た 。 細 菌 で 最 も よ く 研 究 さ れ て い る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 シ ュ ー ド モ ナ ス ・ プ チ ダ 由 来 の P450camで 、 本 酵 素 は 、 樟 脳 ( camphor) を 基 質 と し て 、 5位 に 水 酸 基 を 導 入 す る 反 応 を 触 媒 す る こ と が 明 ら か に さ れ て お り 、 P450cam遺 伝 子 を 導 入 ・ 発 現 し た 組 換 え 細 菌 を 用 い た 解 析 も 広 く 実 施 さ れ て い る ( Poulos, T.L., Finzel, B.C., and Howard, A,J., High-resolution crysta l structure of cytochrome P450cam. J. Mol. Biol., 195, 687-700 (1987)) 。 ま た 、 50 (8) JP 2005-278637 A 2005.10.13 高 脂 血 症 薬 プ ラ バ ス タ チ ン ( pravastatin;三 共 株 式 会 社 商 品 名 メ バ ロ チ ン ) は 、 コ ン パ ク チ ン ( compactin) カ ル ボ ン 酸 の 立 体 特 異 的 な 水 酸 化 反 応 に よ り 合 成 さ れ る が 、 こ の 反 応 を 担 う 酵 素 は 、 土 壌 細 菌 ス ト レ プ ト マ イ セ ス ・ カ ル ボ フ ィ ラ ス ( Streptmyces carbophi lus) 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ で あ る ( Matsuoka, T., Miyakoshi, S., Tanzawa, K ., Nakahara, K., Hosobuchi, M., and Serizawa, N., Purification and characterizat ion of cytochrome P-450sca from Streptomyces carbophilus. ML-236B (compactin) in duces a cytochrome P-450sca in Streptomyces carbophilus that hydroxylates ML-236 B to pravastatin sodium (CS-514), a tissue-selective inhibitor of 3-hydroxy-3-me thylglutaryl-coenzyme-A reductase. Eur. J. Biochem., 184, 707-713, 1989) 。 最 近 、 ロ ド コ ッ カ ス 属 ( Rhodococcus sp.) NCIMB 9784由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ( P450R 10 hF) の 構 造 が 、 P450本 体 タ ン パ ク 質 、 及 び フ ェ レ ド キ シ ン レ ダ ク タ ー ゼ と フ ェ レ ド キ シ ン 部分(電子伝達タンパク質)がすべて繋がった1つのポリペプチドであることが発見され た 。 こ の 酵 素 の 遺 伝 子 を 発 現 し た 大 腸 菌 は 、 7-エ ト キ シ ク マ リ ン ( 7-ethoxycoumarin) の O-脱 ア ル キ ル 化 反 応 を 触 媒 す る こ と が 報 告 さ れ て い る ( Roberts, G.A., Grogan, G., Gre ter, A., Flitsch, S.L., and Turner, N.J., Identification of a new class of cytoc hrome P450 from a Rhodococcus sp. J. Bacteriol., 184, 3898-3908 (2002)) 。 【0032】 細 菌 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ は 、 P450ド メ イ ン と NADPH-P450レ ダ ク タ ー ゼ ド メ イ ン が 結 合 し た 、 大 変 珍 し い 構 造 を 有 す る 酵 素 で あ る 。 本 酵 素 の 塩 基 配 列 は 、 DDBJ Accession No. J04832に 登 録 さ れ て い る 。 本 酵 素 は 元 々 、 C12∼ C2 20 0の 飽 和 脂 肪 酸 の ω 末 端 ( メ チ ル 基 側 ) の 1位 、 2位 ま た は 3位 を 水 酸 化 す る 酵 素 で あ っ た が 、 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン が バ リ ン に 変 異 し た も の ( F87V) は 、 ナ フ タ レ ン や 2-ブ ロ モ フェノール等の芳香族化合物を広く基質として認識し 水酸基を導入することができた( 小 川 順 ら , Bacillus megaterium由 来 の シ ト ク ロ ム P450(BM-3)変 異 型 酵 素 を 用 い る パ ラ ヒ ド ロ キ ノ ン 類 の 酵 素 合 成 , 日 本 農 芸 化 学 会 2003年 大 会 講 演 要 旨 , p. 38, 2003、 及 び 、 Q. -W. Li, U. Schwaneberg, P. Fischer, and R. D. Schmid, Directed evolution of the fatty-acid hydoroxylase P450 BM-3 into an indole-hydroxylating catalyst. Chem. Eur. J. 6, 1531-1536, 2000) 。 【0033】 2 . PPIase 30 PPIase( ペ プ チ ジ ル プ ロ リ ル cis-transイ ソ メ ラ ー ゼ ) は 、 ペ プ チ ド 中 の プ ロ リ ン イ ミ ド結合の回転を速めてタンパク質の折り畳みを促進する酵素で、免疫抑制剤のシクロスポ リ ン Aと 結 合 す る シ ク ロ フ ィ リ ン 、 FK506と 結 合 す る FKBP、 こ れ ら と 結 合 し な い パ ー ブ リ ン の 3種 類 が あ る 。 超 好 熱 古 細 菌 の ゲ ノ ム は PPIaseと し て FKBP遺 伝 子 し か 有 し て い な い 。 超 好 熱 古 細 菌 の PPIaseは 他 の 生 物 種 の PPIaseに は な い 、 変 性 タ ン パ ク 質 の 凝 集 を 阻 止 し て 折 り た た む シ ャ ペ ロ ン 活 性 を 有 す る ( A. Ideno, T. Yoshida, T IIDA, M. Furutani, and T . Maruyama. FK506-binding protein of the hyperthermophilic archaeum, Thermococcu s sp. KS-1, a cold-shock-inducible peptidyl-prolyl cis-trans isomerase with acti vities to trap and refold denatured proteins. Biochem J. 357(Pt 2):465-71, 2001 ) 。 ま た タ ン パ ク 質 が 熱 凝 集 す る こ と を 抑 制 す る 凝 集 抑 制 活 性 も 有 し て い る ( A. Ideno, 40 M. Furutani, Y. Iba, Y. Kurosawa, and T. Maruyama. FK506 binding protein from th e hyperthermophilic archaeon Pyrococcus horikoshii suppresses the aggregation of proteins in Escherichia coli. Appl Environ Microbiol. Feb;68(2):464-469, 2002. )。これらの性質はその高い熱安定性と併せて、変性しやすいタンパク質の安定化やタン パク質生産の際生じる不活性型タンパク質の再活性化など産業分野への応用が期待されて いるものである。 【0034】 発 明 者 が 所 属 す る 研 究 機 関 で あ る (株 )海 洋 バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー 研 究 所 で は 、 積 水 化 学 工 業 (株 )と の 共 同 研 究 に よ り 、 免 疫 抑 制 剤 FK506と 結 合 す る タ ン パ ク 質 で あ る PPIase遺 伝 子 を 好 熱 性 古 細 菌 ピ ロ コ ッ カ ス ・ ホ リ コ シ ( Pyrococcus horikoshii) 等 よ り 単 離 し た 。 本 P 50 (9) JP 2005-278637 A 2005.10.13 PIaseは 、 古 細 菌 の 不 安 定 な 酵 素 で あ る ロ ダ ネ ー ゼ ( rhodanese) や 、 不 溶 化 し や す い 鶏 卵 の リ ゾ チ ー ム 抗 体 の Fab断 片 等 を 、 本 来 の 立 体 構 造 に 巻 き 戻 し 可 溶 化 さ せ る こ と が で き た ( 特 開 平 10-91号 公 報 ) 。 し か も 、 ロ ダ ネ ー ゼ は 本 PPIase共 存 下 で 100℃ ま で 安 定 で あ っ た 。 し た が っ て 、 本 PPIaseは 高 温 で も 安 定 な 分 子 シ ャ ペ ロ ン で あ る こ と が わ か っ た 。 ま た 、 安 定 的 に 機 能 発 現 さ せ た い タ ン パ ク 質 の N末 に 、 前 記 PPIaseま た は 大 腸 菌 の シ ャ ペ ロ ニ ン G roELを 融 合 さ せ る こ と に よ り 、 そ の タ ン パ ク 質 が 本 来 の 立 体 構 造 に 巻 き 戻 さ れ る こ と が わ か っ た 。 こ の 融 合 タ ン パ ク 質 系 を 用 い て 、 毒 性 の 強 い B型 肝 炎 ウ ィ ル ス 表 面 抗 原 や 不 溶 性 の ヒ ト IgGの 重 鎖 等 を コ ー ド す る 遺 伝 子 が 、 安 定 的 に 組 換 え 大 腸 菌 内 で 機 能 発 現 さ れ る こ と が わ か っ た ( 特 許 文 献 1 、 特 許 文 献 2 ) 。 最 近 、 三 井 化 学 も PPIaseの シ ャ ペ ロ ン 活 性 に 着 目 し 、 大 腸 菌 の PPIaseを 利 用 す る こ と に よ り 、 大 腸 菌 で 生 産 が 難 し か っ た ヒ ト の ミ ッ ド 10 カ イ ン や 組 織 プ ラ ス ミ ノ ー ゲ ン 活 性 化 因 子 ( TPA) の 生 産 量 の 増 強 に 成 功 し た と 発 表 し て い る ( 日 経 バ イ オ テ ク 、 2003年 5月 21日 ) 。 【0035】 次 に 、 本 発 明 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 に つ い て 説 明 す る 。 【0036】 本 発 明 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 生 産 方 法 は 、 古 細 菌 由 来 の PPIaseの シ ャ ペ ロ ン 活 性 を 利 用 す る こ と に よ り 、 機 能 の あ る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 安 定 的 に 生 産 す る こ と が で き る 。 古 細 菌 由 来 の PPIaseの シ ャ ペ ロ ン 活 性 を 利 用 す る 方 法 と し て は 、 以 下 の 二 通 り の 方 法がある。 【0037】 20 第 一 の 方 法 は 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生 物 を 培 養 し 、 培 養 物 又 は 菌 体 か ら P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 採 取 す る こ と を 特 徴 と す る も のである。 【0038】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ と 古 細 菌 由 来 の PPIaseの 両 者 を 生 産 可 能 な 微 生 物 は 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 発 現 す る ベ ク タ ー と 古 細 菌 由 来 の PPIase遺 伝 子 を 発 現 す る ベ ク タ ーを作製し、これらを同一の宿主に導入することにより作製できる。 【0039】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ が 酵 素 活 性 を 発 揮 す る た め に は 、 酵 素 本 体 の 他 に 電 子 伝 達 タ ン パク質も必要であり、また、酵素本体と電子伝達タンパク質は通常別々のタンパク質とし 30 て 生 産 さ れ る 。 従 っ て 、 ベ ク タ ー 作 製 の 際 に は 、 通 常 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 だ けではなく、電子伝達タンパク質をコードする遺伝子も挿入しておく必要がある。 【0040】 使 用 す る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 は 、 植 物 や 動 物 な ど の 真 核 生 物 由 来 の も の で あ っ て も よ い が 、 細 菌 由 来 の も の で あ る こ と が 好 ま し い 。 細 菌 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 は 特 に 限 定 さ れ な い が 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の 遺 伝 子 ( DDBJ Acc ession No. J04832) 、 ロ ド コ ッ カ ス 属 NCIMB9784由 来 の 遺 伝 子 ( GenBank Accession No. AF459424) 、 シ ュ ー ド モ ナ ス ・ プ チ ダ 由 来 の 遺 伝 子 ( P450cam、 DDBJ Accession No. M12 546) な ど を 使 用 す る の が 好 ま し い 。 ま た 、 天 然 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 の 配 列 を一部改変した遺伝子を使用してもよい。このような配列の一部改変した遺伝子としては 40 、 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン を バ リ ン に 置 換 し た 酵 素 を コ ー ド す る 遺 伝 子 ( DDBJ Accession No. J04832の 塩 基 配 列 に お い て 、 261番 目 の ア デ ニ ン が グ ア ニ ン に ( ア ミ ノ 酸 に は 影 響 し な い ) 、 262番 目 の チ ミ ン が グ ア ニ ン に 置 き 換 わ り 、 そ の 結 果 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラニンがバリンに置き換わる。)を挙げることができる。 【0041】 使 用 す る PPIaseを コ ー ド す る 遺 伝 子 は 、 古 細 菌 由 来 の も の で あ れ ば 特 に 限 定 さ れ ず 、 例 え ば 、 ピ ロ コ ッ カ ス ・ ホ リ コ シ ( Pyrococcus horikoshii) 由 来 の 遺 伝 子 [遺 伝 子 番 号 PH1 399; http://www.ncbi.nlm.nih.gov/]、 メ タ ノ バ ク テ リ ウ ム ・ サ ー モ オ ー ト ト ロ フ ィ カ ム ( Methanobacterium thermoautotrophicum) 由 来 の 遺 伝 子 [遺 伝 子 番 号 MTH1125; http:// 50 (10) JP 2005-278637 A 2005.10.13 www.ncbi.nlm.nih.gov/]な ど を 使 用 す る こ と が で き る 。 【0042】 宿主とする微生物は、両方の遺伝子を発現させることのできる微生物であれば特に限定 されないが、大腸菌であることが好ましい。 【0043】 大腸菌等の微生物内における上記の二つの遺伝子の発現は、遺伝子工学実験の常法に基 づいて行うことができる。大腸菌や放線菌等の種々の微生物のベクターの情報や外来遺伝 子 の 導 入 ・ 発 現 法 は 、 多 く の 実 験 書 に 記 載 さ れ て い る の で ( た と え ば 、 Sambrook, J., Ru ssel,D. W., Molecular Cloning A Laboratory Manual, 3 r d Edition, CSHL Press, 200 1; Hopwood, D. A., Bibb, M. J., Chater, K. F., Bruton, C. J., Kieser, H. M., Lyd iate, D. J., Smith, C. P., Ward, J. M., Schrempf, H. 10 Genetic manipulation of St reptomyces: A laboratory manual, The John Innes Institute, Norwich, UK, 1985) 、 それらに従ってベクターの選択、遺伝子の導入、発現を行うことができる。 【0044】 微生物の培養及び菌体等からの酵素の採取は、常法に従って行うことができる。 【0045】 第 二 の 方 法 は 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融 合 タ ン パ ク 質 を 生 産 可 能 な 微 生 物 を 培 養 し 、 培 養 物 又 は 菌 体 か ら 、 活 性 の あ る P450モ ノ オ キシゲナーゼを含む融合タンパク質を採取することを特徴とするものである。必要に応じ て 、 こ の 融 合 タ ン パ ク 質 か ら P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 遊 離 さ せ 、 採 取 す る こ と も で き る 20 。 【0046】 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の N末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIaseを 付 加 し た 融 合 タ ン パ ク 質 を 生 産 可 能 な 微 生 物 は 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 の 5'末 端 側 に 古 細 菌 由 来 の PPIase遺 伝子を付加した融合遺伝子を発現するベクターを作製し、それを宿主微生物に導入するこ とにより作製できる。 【0047】 使 用 す る P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 及 び 古 細 菌 由 来 の PPIase遺 伝 子 は 、 第 一 の 方 法 と同様のものでよい。 【0048】 30 上 述 し た よ う に 、 P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 発 現 す る ベ タ ク ー に は 通 常 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 も 挿 入 し て お く 必 要 が あ る の で 、 融 合 遺 伝 子 を 発 現 す る ベ ク タ ー は 、 P4 50モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 、 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 、 及 び 古 細 菌 由 来 の PPIase遺 伝 子の三者を含むことになる。このようなベクターの作製には、図1に示すプラスミドを使 用するのが好ましい。 【0049】 具 体 的 に は 、 古 細 菌 由 来 の PPIase遺 伝 子 の 後 に 適 当 な 長 さ の リ ン カ ー を 介 し て 、 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 を 繋 ぐ 。 リ ン カ ー 部 分 に λ フ ァ ー ジ の att配 列 を 加 え て お け ば 、 λ フ ァ ー ジ の 部 位 特 異 的 組 換 え 系 ( attB x attP ま た は attL x attR) を 利 用 し て 、 対 応 す る att配 列 に 囲 ま れ た P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 容 易 に 挿 入 す る こ と が で き る 。 こ の 40 部 位 特 異 的 組 換 え 実 験 に は 、 イ ン ビ ト ロ ジ ェ ン 社 の Gateway Technologyキ ッ ト を 用 い る こ とができる。電子伝達タンパク質は種々のものを用いることができるが、たとえば、ロド コ ッ カ ス 属 NCIMB 9784由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ( P450− フ ェ レ ド キ シ ン レ ダ ク タ ー ゼ−フェレドキシンの融合タンパク質のような構造をしている)におけるフェレドキシン レダクターゼ−フェレドキシン部分を用いればよい。 【0050】 ま た 、 融 合 タ ン パ ク 質 中 の 古 細 菌 由 来 の PPIaseと P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 間 に は 、 酵 素などによって切断される部位が挿入されていることが好ましい。このような切断部位と しては、実施例で構築したトロンビン切断部位を例示できるが、これに限定されるわけで は な い 。 融 合 タ ン パ ク 質 か ら P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ を 遊 離 さ せ る 方 法 は 特 に 限 定 さ れ な 50 (11) JP 2005-278637 A 2005.10.13 いが、切断部位を挿入した場合には、その切断部位を切断する酵素等を作用させればよい 。 【実施例】 【0051】 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に 限定されるものではない。 【0052】 〔実施例1〕 共発現系用プラスミドの構築 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ( monooxygenase) ( DDB J Accession No. J04832) の 変 異 酵 素 で あ る F87V( 87番 目 の フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン を バ リ ン に 10 置 換 し た も の ) は 、 そ の 構 造 遺 伝 子 を PCRに よ り 増 幅 し 、 ベ ク タ ー プ ラ ス ミ ド pUC18の EcoR I− BamHI部 位 に ク ロ ー ニ ン グ し た 。 以 後 、 こ の プ ラ ス ミ ド を pUC18-F87Vと 呼 ぶ 。 PCRに よる増幅の条件は以下の通りである。 【0053】 PCR増 幅 に 用 い た プ ラ イ マ ー Primer1 (36mer) 5'- gTgAAAgAggAATTCCATgACAATTAAAgAAATgCC -3'( 配 列 番 号 1 ) Primer2 (42mer) 5'- CgggATTCTTAATgATgATgATgATgATgCCCAgCCCACACg -3'( 配 列 番 号 2 ) 下 線 部 は EcoRIサ イ ト ( Primer1) 、 BamHIサ イ ト ( Primer2) を そ れ ぞ れ 示 し て い る 。 20 【0054】 PCR増 幅 条 件 94℃ 2分処理後、94℃ 15秒、61℃ 30秒、68℃ 4分を25サイクル行っ た 。 KOD Plus DNA polymerase (TOYOBO)を 用 い た 。 【0055】 ピ ロ コ ッ カ ス ・ ホ リ コ シ ( Pyrococcus horikoshii) 由 来 の PPIase遺 伝 子 は PCRに よ り 増 幅 し 、 ベ ク タ ー プ ラ ス ミ ド pET21aベ ク タ ー の NdeI-HindIII部 位 に ク ロ ー ニ ン グ し た 後 、 PP Iase遺 伝 子 と こ れ に 隣 接 す る T7プ ロ モ ー タ ー を SphI− SalIで 切 り 出 し 、 pACYC184の 同 部 位 に ク ロ ー ニ ン グ し 、 PPIase発 現 プ ラ ス ミ ド を 作 製 し た 。 以 後 、 こ の プ ラ ス ミ ド を pACPhFK1 と 呼 ぶ ( Ideno, A., Furutani, M., Iba, Y., Kurosawa, Y., and Maruyama, T., FK50 30 6 binding protein from the hyperthermophilic archaeon Pyrococcus horikoshii supp resses the aggregation of proteins in Escherichia coli. Appl Environ Microbiol. 68(2):464-469 (2002)) 。 【0056】 大 腸 菌 JM109(DE3)株 を は じ め に pACPhFK-1 で 形 質 転 換 し た 。 得 ら れ た 大 腸 菌 を 用 い て コ ン ピ テ ン ト セ ル を 作 製 し 、 更 に pUC18-F87Vで 形 質 転 換 し た 。 こ の 操 作 に よ り 、 pACPhFK-1 と pUC18-F87Vの 2 つ を 有 し た 大 腸 菌 JM109(DE3)/ pACPhFK-1 / pUC18-F87Vが 得 ら れ た 。 【0057】 ま た 比 較 の 対 象 と し て PPIase遺 伝 子 を 持 た な い 大 腸 菌 も 作 製 し た 。 こ れ は PPIase遺 伝 子 が 入 っ て い な い ベ ク タ ー で あ る pACYC184と pUC18-F87Vの 2 プ ラ ス ミ ド を 有 す る JM109(DE3)/ 40 pACYC184/ pUC18-F87Vで あ る 。 【0058】 〔実施例2〕 共発現系による化合物の生変換能力の解析 構 築 し た 共 発 現 系 JM109(DE3)/ pACPhFK-1 / pUC18-F87V及 び P450単 独 発 現 系 JM109(DE3) / pACYC184/ pUC18-F87Vは 各 々 LB培 地 ( ア ン ピ シ リ ン 100 μ g/ml及 び ク ロ ラ ム フ ェ ニ コ ー ル 25 μ g/mlを 含 む ) 4 mLで 16時 間 、 30℃ で 培 養 し た 。 こ の 前 培 養 液 全 量 を M9+ グ ル コ ー ス 培 地 ( ア ン ピ シ リ ン 100 μ g/ml及 び ク ロ ラ ム フ ェ ニ コ ー ル 25 μ g/mlを 含 む ) 100 mLに 全 量 植 菌 し 、 4時 間 培 養 し た 。 こ の 培 養 液 に 誘 導 物 質 と し て IPTGを 1 mMに な る よ う 加 え 、 更 に 30℃ で 16時 間 培 養 し た 。 そ の 後 集 菌 し 、 10 mMト リ ス バ ッ フ ァ ー ( p H= 7.5) 40 mLに 懸 濁 、 基 質 と し て イ ン ド ー ル を 1 mM、 ま た は 5 mMに な る よ う 添 加 し た 。 30℃ で 16時 間 振 盪 50 (12) JP 2005-278637 A 2005.10.13 培 養 し 基 質 と の 反 応 を 行 わ せ た 後 、 細 胞 懸 濁 液 と 等 量 、 す な わ ち 40 mLの メ タ ノ ー ル を 入 れ 、 30分 間 攪 拌 し た 。 次 に 8,000回 転 で 5分 間 遠 心 を 行 い 、 上 清 80 μ lを HPLCで の 解 析 に 用 いた。 【0059】 イ ン ド ー ル は P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ (F87V)に よ り 水 酸 化 反 応 を 触 媒 さ れ 、 イ ン デ ィ ゴ に 変 換 さ れ る 。 共 発 現 系 、 及 び P450単 独 発 現 系 で の イ ン デ ィ ゴ 生 成 を HPLCで 検 出 、 比 較 し た結果を表1に示す。実験は3回行い、その平均値が示してある。なお、インドール及び イ ン デ ィ ゴ に お け る HPLCで の 保 持 時 間 は そ れ ぞ れ 、 9 .5 分 、 及 び 、 4 .8 分 で あ っ た 。 【0060】 【表1】 10 【0061】 表 1 に 示 す よ う に 、 PPIaseと の 共 発 現 系 は P450単 独 発 現 系 と 比 較 し 、 1 m Mイ ン ド ー ル 20 を 基 質 と し た 場 合 で 約 1 . 7 倍 、 5 m Mイ ン ド ー ル で 約 3 . 3 倍 の 変 換 効 率 を 示 し た 。 【0062】 〔実施例3〕 融合タンパク質作製用発現プラスミドの構築 バ チ ル ス ・ メ ガ テ リ ウ ム BM-3株 由 来 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 変 異 酵 素 で あ る F87V は 、 そ の 構 造 遺 伝 子 1.3 kbを PCRに よ り 増 幅 し た 。 用 い た プ ラ イ マ ー の 配 列 を 以 下 に 示 す 。 【0063】 Primer1 (30mer) 5'- GGAGCTCACAATTAAAGAAATGCCTCAGCC-3'( 配 列 番 号 3 ) Primer2 (36mer) 30 5'- CGCCTCGAGTTAATGATGATGATGATGATGCCCAGC -3'( 配 列 番 号 4 ) 下 線 部 は SacIサ イ ト ( Primer1) 、 XhoIサ イ ト ( Primer2) を そ れ ぞ れ 示 し て い る 。 【0064】 PCR増 幅 条 件 94℃ 2分処理後、94℃ 15秒、61℃ 30秒、68℃ 4分を25サイクル行っ た 。 KOD Plus DNA polymerase (TOYOBO)を 用 い た 。 【0065】 サ ー モ コ ッ カ ス 属 ( Thermococcus sp.) KS-1由 来 の PPIase遺 伝 子 18 kbは PCRに よ り 増 幅した。用いたプライマーの配列を以下に示す。 【0066】 40 Primer3 (28mer) 5'- GGCCATGGGAAAAGTTGAAGCTGGTGAT -3'( 配 列 番 号 5 ) Primer4 (26mer) 5'- CCACTAGTAGCTTCTGAGTCCTCCTC -3'( 配 列 番 号 6 ) 下 線 部 は NcoIサ イ ト ( Primer3) 、 SpeIサ イ ト ( Primer4) を そ れ ぞ れ 示 し て い る 。 【0067】 PPIase遺 伝 子 と P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 遺 伝 子 の 間 に ト ロ ン ビ ン 切 断 部 位 を 構 築 す る た め 、 相 互 に 相 補 的 な 次 の 配 列 を 持 つ 2本 の オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド (Throm-F、 Throm-R)を 合 成 し ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ せ 2本 鎖 DNA断 片 を 作 製 し た 。 以 下 こ の 2本 鎖 DNA断 片 を Throm断 片 と 呼 ぶ。 50 (13) JP 2005-278637 A 2005.10.13 【0068】 Throm-F 5'- GGACTAGTCTGGTTCGGCGTGGATCC CATATG GAATTCGG -3'( 配 列 番 号 7 ) Throm-R 5'- CCGAATTC CATATG GGATCCACGCCGAACCAGACTAGTCC -3'( 配 列 番 号 8 ) こ の 断 片 は SpeI( ACTAGT) 、 BamHI(GGATCC)、 NdeI(CATATG)、 EcoRI(GAATTC)の 制 限 酵 素 サ イ ト を 含 ん で い る 。 上 記 Throm-F及 び Throm-Rの 配 列 に お い て こ れ ら の サ イ ト は 下 線 で 示している。 【0069】 上 述 の 方 法 で 増 幅 し た PPIase遺 伝 子 は NcoI及 び SpeI、 Throm断 片 は SpeIと EcoRIで 各 々 10 処 理 し 、 ベ ク タ ー プ ラ ス ミ ド pET21dの NcoI-EcoRIサ イ ト へ タ ン デ ム に 挿 入 し た 。 得 ら れ た 発 現 プ ラ ス ミ ド の SacI− XhoIサ イ ト へ 更 に P450遺 伝 子 を ク ロ ー ニ ン グ し 、 PPIaseと P450の 融 合 タ ン パ ク 質 遺 伝 子 発 現 系 を 構 築 し た 。 以 下 、 こ の プ ラ ス ミ ド を pFusionP450と 呼 ぶ 。 p FusionP450の マ ッ プ は 図 2 に 示 さ れ て い る 。 な お 、 プ ラ ス ミ ド pFusionP450に よ り 作 ら れ る FKBPと P450の 分 子 間 に は リ ン カ ー ペ プ チ ド が あ り ( ア ミ ノ 酸 配 列 TSLVPRGSHMEFEL) ト ロンビン切断部位(下線部)を有している。 【0070】 比 較 対 象 と し て 、 P450遺 伝 子 の み を pET21dの SacI− XhoI部 位 へ ク ロ ー ニ ン グ し た プ ラ ス ミ ド pETP450も 作 製 し た 。 【0071】 20 〔 実 施 例 4 〕 融 合 タ ン パ ク 質 法 に よ る F87Vの 安 定 発 現 大 腸 菌 BL21 (DE3)株 を pFusionP450ま た は pETP450で 形 質 転 換 し 、 各 々 LB培 地 ( ア ン ピ シ リ ン 100 μ g/mlを 含 む ) 3 mLで 4時 間 、 30℃ で 培 養 し た 。 こ の 前 培 養 液 全 量 を LB培 地 ( ア ン ピ シ リ ン 100 μ g/ml含 む ) 40 mLに 全 量 植 菌 し 、 3時 間 培 養 し た 。 こ の 培 養 液 に 誘 導 物 質 と し て IPTGを 0.5 m Mに な る よ う 加 え 、 更 に 30℃ で 16時 間 培 養 し た 。 そ の 後 集 菌 し 、 10 m Mリ ン 酸 ナ ト リ ウ ム バ ッ フ ァ ー ( p H= 8.0) 2 m Lに 懸 濁 、 氷 上 で 超 音 波 破 砕 を 行 い 32,000 回 転 で 30分 間 超 遠 心 を 行 い 、 得 ら れ た 上 清 を 無 細 胞 抽 出 液 と し た 。 BL21(DE3)/pFusionP45 0ま た は /pETP450よ り 調 製 し た 無 細 胞 抽 出 液 の タ ン パ ク 質 濃 度 を 測 定 し 、 約 6 μ gを SDS/PA GEゲ ル ( 7.5-15% ) で 泳 動 し た 。 得 ら れ た バ ン ド を 解 析 し た と こ ろ 、 pFusionP450を 用 い た 系 は pETP450の 系 と 比 較 し て 約 2.7倍 量 の P450が 発 現 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 30 【0072】 次 に 、 P450単 独 発 現 系 及 び PPIase-P450融 合 タ ン パ ク 質 の 無 細 胞 抽 出 液 に つ い て 、 P450 の 熱 安 定 性 を 検 討 し た 。 実 際 に は 、 前 も っ て 、 各 無 細 胞 抽 出 液 の P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 活 性 を 測 定 し 、 60℃ 、 20分 の 処 理 を 行 っ た 後 に 、 残 存 活 性 を 測 定 し た 。 活 性 の 測 定 は 、 0. 1 Mリ ン 酸 ナ ト リ ウ ム バ ッ フ ァ ー (pH8.0)に 無 細 胞 抽 出 液 ( タ ン パ ク 量 200∼ 400μ g) 及 び 基 質 と し て ラ ウ リ ン 酸 ナ ト リ ウ ム を 最 終 濃 度 0.5 m Mに な る よ う 加 え 、 NADPH( 終 濃 度 0.2 μ M) を 添 加 後 素 早 く 混 合 し 、 分 光 光 度 計 で 340 nmに 示 さ れ る NADPHの 吸 光 度 の 減 少 を 追 う ことによって行った。各々の無細胞抽出液の活性を熱処理前と後で比較した結果、表2に 示 す よ う に 、 PPIaseと の 融 合 タ ン パ ク 質 化 し た P450BM-3モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ F87V[大 腸 菌 ( pFusionP450)の 無 細 胞 抽 出 液 ]の 方 が 、 単 独 の P450BM-3モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ F87V[大 腸 菌 (p 40 ETP450)の 無 細 胞 抽 出 液 ]よ り も 熱 安 定 性 に 優 れ て い る こ と が 判 明 し た 。 【0073】 【表2】 50 (14) JP 2005-278637 A 2005.10.13 【0074】 〔 実 施 例 5 〕 融 合 タ ン パ ク 質 法 に よ る P450camの 安 定 発 現 シ ュ ー ド モ ナ ス ・ プ チ ダ 由 来 の P450cam( DDBJ Accession No. M12546) は 、 そ の 構 造 遺 伝 子 1.3 kbを PCRに よ り 増 幅 し た 。 用 い た プ ラ イ マ ー の 配 列 を 以 下 に 示 す 。 【0075】 Primer1 (30mer) 5'- GGACTAGTATGACGACTGAAACCATACAAA-3'( 配 列 番 号 9 ) Primer2 (30mer) 5'- CATATGTTATACCGCTTTGGTAGTCGCCGG -3'( 配 列 番 号 1 0 ) 下 線 部 は SpeIサ イ ト ( Primer1) 、 NdeIサ イ ト ( Primer2) を そ れ ぞ れ 示 し て い る 。 10 【0076】 PCR増 幅 条 件 94℃ 2分処理後、94℃ 15秒、61℃ 30秒、68℃ 4分を25サイクル行っ た 。 KOD Plus DNA polymerase (TOYOBO)を 用 い た 。 〔 実 施 例 3 〕 で 構 築 し た 発 現 プ ラ ス ミ ド の SpeI− NdeIサ イ ト に こ の 断 片 を ク ロ ー ニ ン グ し 、 融 合 プ ラ ス ミ ド pFusionP450camを 作 製 し た 。 ま た 比 較 対 象 と し て P450cam遺 伝 子 を pET21aに ク ロ ー ニ ン グ し た pETP450camプ ラ ス ミ ド も 作 製 し た 。 大 腸 菌 BL21 (DE3)株 を pFusionP450camま た は pETP450camで 形 質 転 換 し 、実施例4と同様の手法で培養、無細胞抽出液を調製した。各無細胞抽出液のタンパク質 濃 度 を 測 定 し 、 約 6 μ gを SDS/PAGEゲ ル ( 7.5-15% ) で 泳 動 し 得 ら れ た バ ン ド を 解 析 し た と こ ろ 、 pFusionP450camを 用 い た 系 は pETP450の 系 と 比 較 し て 約 2.1 倍 量 の P450camが 発 現 していることが明らかとなった。 【図面の簡単な説明】 【0077】 【 図 1 】 PPIase− P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ − 電 子 伝 達 タ ン パ ク 質 の 融 合 タ ン パ ク 質 生 産 用 プラスミドの構造を示す図である。 【 図 2 】 PPIase-P450モ ノ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ の 融 合 タ ン パ ク 質 生 産 用 プ ラ ス ミ ド pFusionP450 の構造を示す図である。 20 (15) 【図1】 【図2】 【配列表】 2005278637000001.app JP 2005-278637 A 2005.10.13 (16) JP 2005-278637 A 2005.10.13 フロントページの続き 7 (51)Int.Cl. C12N FI 9/90 C12N テーマコード(参考) 9/90 (72)発明者 井手野 晃 岩手県釜石市平田第3地割75番1 株式会社海洋バイオテクノロジー研究所内 (72)発明者 小川 順 京都府京都市北区上賀茂榊田町28 メルベーユ346 301号室 (72)発明者 清水 昌 京都府京都市右京区常盤山下町6−9 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA07 BA08 CA02 CA07 DA06 EA04 4B050 CC03 CC04 CC05 DD02 LL05 4B065 AA01Y AA17Y AA26X AB01 AC14 BA02 CA27 CA28 CA60