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「根管内吸引を用いた根管洗浄法」(PDF)

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「根管内吸引を用いた根管洗浄法」(PDF)
口 病 誌2005,72/113
原
著
根 管 内吸 引 を用 いた根管洗浄法
洗浄効果の評価
福
元
康
恵
東 京 医科歯 科大 学大 学院 医歯 学総 合研 究科 口腔機 能再構 築 学系 専攻
摂食 機能保 存 学講 座 歯髄 生物 学分 野
(主任 ・指 導:須 田英 明教授)
(2004年12月9日
Intracanal
受 付)
Aspiration Technique for Root Canal Irrigation
Evaluation of Smear Layer Removal
FUKUMOTO
Pulp
Division
of Oral
Biology
and
Health
Sciences,
(Chief
Endodontics,
Yasue
Department
Graduate
School,
and Director
: Prof.
of Restorative
Tokyo
Medical
Sciences
,
and Dental
University
SUDA Hideaki)
A new irrigation
technique
(intracanal
aspiration
technique , IAT) was developed to minimize the
extrusion of root canal irrigant. Fifteen instrumented
canals of extracted canines were divided into one
control and four experimental
groups of 3 teeth each. Each root was fixed in a case and surrounded
with
colored saline agar to measure the meter value of the Root ZX and to evaluate the extrusion of the irrigant .
In control teeth, no irrigation was performed. In Groups 1 and 2 , the root canal was irrigated using TAT with
an aspiration needle placed 2 or 3 mm short of the apex. In Groups 3 and 4 , the root canal was irrigated in
a conventional
manner with a washing needle placed 2 or 3 mm short of the apex . The file folder of a Root
ZX was attached to the aspiration needle in Groups 1 and 2, and to a washing needle in Groups 3 and 4. Each
canal was irrigated with 9 ml of 14% EDTA solution and 6 ml of 6% NaClO in experimental
groups , and
the meter value of the Root ZX during irrigation was recorded. After the irrigation , cleanliness of the canal
was evaluated using a SEM and extrusion of NaClO by discoloration
of the agar .
Irrigation using IAT was more effective for removing smear layer compared to the conventional method
and extrusion of the irrigant was minimized. In addition, the Root ZX measurement
during IAT could
monitor the extent of the irrigant in the apical canal.
I.緒
根 管 治 療 を行 う際,従
す る7)だ け で な く,そ
言
の 影 響 は 顔 面 に腫 脹 や 血 腫 と し て
現 れ る こ と も あ る8)。
来 用 い られ て い る根 管 洗 浄 法 で
著 者 ら は,洗
浄 液 が 根 尖 孔 外 に溢 出 し に くい根 管 内 吸
は 根 尖 部 の 十 分 な 洗 浄 が 困 難 で あ る と報 告 さ れ て い
引 洗 浄 法(Intracanal
る1)。こ れ は,根 尖 部 の解 剖 学 的 形 態 が 複 雑 で狭 小 な た
新 た に 開 発 し た9)。 こ れ は,吸 引 針 を 根 尖 付 近 ま で 挿 入 し
め2),一 般 的 な シ リ ン ジ とニ ー ドル を用 い る方 法1),あ る
い は 超 音 波 装 置 を用 い る 方 法3)で も洗 浄 液 が根 尖 部 へ 到
尖 部 へ の 流 入 を 促 し,吸
達 しに くい こ とに よ る。 根 尖 部 を十 分 に洗 浄 す るた め に
方 法 で あ る 。 洗 浄 液 の 根 尖 孔 外 へ の 溢 出 に つ い て,洗
は根 管 洗 浄 針 を で き る だ け根 尖 付 近 まで 挿 入 す べ きで あ
針 を 根 尖 付 近 に 挿 入 す る 従 来 法(Conventional
る4,5)が,相 反 的 に 洗 浄 液 が 根 尖 孔 外 へ 溢 出 し や す く な
tion method,CIM)とIATと
る6)。次 亜 塩 素 酸 ナ ト リウ ム溶 液(NaClO)の
で は 洗 浄 液 を 流 量9.0ml/minで
よ うな 生 体
為 害 性 の あ る洗 浄 液 が 溢 出 す る と,根 尖 歯 周 組 織 を傷 害
て 陰 圧 を 生 じ さ せ,根
Aspiration
Technique,IAT)を
管 上 部 か ら供 給 さ れ た 洗 浄 液 の 根
引 針 先 端 か ら洗 浄 液 を 吸 引 す る
irriga-
を 比 較 検 討 し た 結 果,IAT
送 液 し た場 合 で も根 尖
孔 外 へ の 溢 出 が な か っ た の に 対 し,CIMで
(13)
浄
は 流 量2.0
14口
病誌
ml/min以
平 成17年3月
上 で 洗 浄 液 の 溢 出 が 観 察 され た。
本 研 究 の 目 的 は,IATとCIMの
ス ミヤ ー 層 除 去 効 果
な らび に洗 浄 液 の 根 尖 孔 外 溢 出 を比 較 検 討 す る こ とで あ
る。
II.方
実 験 に は0.01%チ
顎 犬 歯15本
モ ー ル 液 中 に 保 存 し た ヒ ト抜 去 上
を 用 い,歯
た 。 ま ず,ゲ
法
冠 を 除 去 し て 全 長 を18mmと
ー ツ グ リ ッ デ ン ド リ ル(#1∼4,マ
根 管 口 付 近 を 形 成 し た 後,ト
タ)に
ラ イ オ ー トZXTM
装 着 し た ニ ッ ケ ル チ タ ン 製GTロ
ルTM(#20/.06∼.10,Dentsply
を 用 い,ク
パ ー.10と
F(モ
リ
ー タ リー フ ァ イ
Maillefer,Switzerland)
ラ ウ ン ダ ウ ン 法 に てMAF#20で
管 を6%NaClO1mlに
尖 側3mmを
尖 孔 径 が#50で
し,根
次 い で6%NaClO6mlで2分
Fレ ギ ュ ラ ー ハ ー ド,ジ
ー
よ る根 管 洗 浄 中 の ル ー トZXTM F メ ー ター 値 を測 定 し,
一 元 配 置 分 散 分 析 を用 い ,有 意 水 準5%で 統 計 学 的 に 解
グ ザ フ ァイ ン
時 重 合 レ ジ ン(ユ
ニ フ ァス ト
植 立 し た 。NaClOの
根 管 洗 浄 後,イ メー ジ ス キ ャナ ー(GT9600,エ
根尖孔外 への溢 出につい て
蝕 検 知 液(40μl/生
食100ml,ク
間洗 浄 した。 各 洗 浄 液 に
析 した 。
2,ジ ー シ ー)を 用 い て 透 明 プ ラ ス チ ッ ク ケ ー ス(22×32×
評 価 す る た め,う
に て寒 天 の 変 色 状 態 をJPEG画
ラ レ)
理 ソ フ トPhotoshop
根 周 囲 に 流 し 込 み,寒
用 い,根 尖 を中 心 と した 一 辺10mmの
天 が 完 全 に 硬 化 し た 後,根
管 内の
被 験 歯 は 無 作 為 に コ ン トロ ー ル 群 と1∼4の
レ ック ス
よ び 第2群
す な わ ち,洗
て 流 量3ml/minで
0.19mm,プ
ラ ン ト針
F,ニ
設 置 し た 。 ま た,洗
(外 径0.55mm,内
ル ダ ー(モ
正方 形 内 にお け
浄 液 はマ ス タ ー フ
Instru-
径0.41mm,内
頬 舌 的 に割 断 した 。通 法
位置 の
立)に て
観 察 した 。
各SEM像
径
の象 牙細 管 の 開 口状 態 と管 間 象 牙 質 の 構 造
につ い て は,Torabinejadら10)の
方 法 に準 じ て以 下 の と
お りに ス コア 化 し た。
0:ほ
フ ァイ ル ポ
リ タ)を 装 着 し て,根 管 洗 浄 中 の ル ー トZXTM
洗 浄 し,根 尖 側5mmを
根 管 壁 を走 査 型 電 子 顕 微 鏡(SEM,S-4500,日
プ ロ)の 先 端 は 根 尖 か ら12
ル モ)に
統 計 学 的 に解 析 した 。
に従 い 試 料 を作 製 し,根 尖 か ら0,1,2,3mmの
浄 液 を吸 引 す るた め の 吸 引 針
径0.30mm,テ
7.0,Adobe,USA)を
そ の 後,被 験 歯 を ケ ー ス か ら取 り出 して 根 管 を精 製 水
10mlで
はIAT9)に
洗 浄 針 へ 送 液 した 。
洗 浄 液 を 根 管 内 に 送 り込 む 洗 浄 針(外
mmに
実験 群 に
Fデ ジ タ ル 送 液 ポ ン プ(Cole-Parmer
ment,USA)に
分 析 を用 い,有 意 水 準5%で
コ ン トロ ー ル群 で は抜 去 歯 植 立 後 の
て 根 管 洗 浄 し た(図1)。
F(version
る変 色 域 面 積 の割 合 を測 定 した 。 結 果 は,一 元 配 置 分 散
シ リコ ン 印 象 材 を探 針 に て 除 去 した 。
根 管 洗 浄 は 行 わ な か っ た 。 第1お
プ ソ ン)
像 と して 記 録 し,画 像 処
で 着 色 し た寒 天 生 理 食 塩 液 を プ ラ ス チ ッ ク ケ ー ス 内 の 歯
分 け た(各 群n=3)。
端 から
リ
コ ン 印 象 材(エ
8mm)に
引 針(b)先
洗 浄 し た 後,シ
根 管 を 精 製 水10mlで
根 管 に 満 た し,即
ら供 給 さ れ,吸
去 歯,g:着
ァイル を用 いて確 認 し
た 。 次 い で,各
シ ー)を
洗 浄 液 は洗 浄 針(d)か
吸 引 され る。
て 洗 浄 した。 そ
あ る こ と をKフ
実験 模式 図
時 重 合 レ ジ ン,
d:洗 浄 針,e:プ
ラ ス チ ッ ク ケ ー ス,f:抜
色 寒 天,h:不
関電 極
テー
除 去 し て 根 管 長 を15mmと
図1根
管 内 吸 引 洗 浄 法(IAT)の
ー トZXTM F,b:吸
引 針,c:即
a:ル
な る よ う に根 管 形 成 した 。 各 フ ァ イ ル を交 換
す る 際 に は,根
の 後,根
し
ニ ー)で
ぼす べ て の 象 牙 細 管 が 閉 塞 し,管 間 象 牙 質 の溶 解
は な い。1:半 数 以 上 の 象 牙 細 管 が 開 口 し,管 間 象 牙 質 の
F
路 を 構 築 し た 。な お,吸 引 針 先 端 の 位 置 は 根 尖 か ら2mm
溶 解 は な い 。2:す べ て の 象牙 細 管 が 開 口 し,管 間 象 牙 質
の 溶 解 は な い。3:す べ て の 象 牙 細 管 が 開 口 し,管 間 象 牙
あ る い は3mmと
引 針 に 装 着 し た 吸 引 装 置(ミ
質 が一 部 溶 解 して い る。4:す
吸 引 圧 は 一20kPaと
管 間 象 牙 質 が 大 き く溶 解 して い る。
(モ リ タ)の メ ー タ ー 値 を 測 定 で き る よ う に 図1に
ニ ッ クW,新
し,吸
鋭 工 業)の
他 方,第3お
よ び 第4群
す な わ ち,洗
はCIMで
した 。
根 管 洗 浄 を行 っ た 。
浄 針 に フ ァ イ ル ホ ル ダ ー を 装 着 し,先
根 尖 か ら2mmあ
る い は3mmに
の 位 置 は 根 尖 か ら12mmと
よ び 吸 引 圧 は 第1お
第1∼4群
示す 回
の 根 管 は14%EDTA溶
を評 価 した 。3名
が討 議 し
て意 見 の一 致 す る ス コ ア を決 定 し た 。 得 られ た ス コ ア に
した 。 送 液 の た め の 流 量 お
つ い て は,各 観 察 部 位 ご と に一 元 配 置 分 散 分 析 を用 い,
と同 一 と した 。
液9mlで3分
の歯 科 医 師 が,全SEM像
の評 価 者 に よ る評 価 が 異 な っ た 場 合 に は,3名
設 置 した 。 吸 引 針 先 端
よ び 第2群
上 記 の 評 価 に は 二 重 盲 検 法 を用 い,洗 浄 実 験 に参 加 し
て い な い3名
端 を
べ て の 象 牙 細 管 が 開 口 し,
有 意 水 準5%で
間,
(14)
統 計 学 的 に解 析 した 。
口 病 誌2005,72/115
図2根
管 洗 浄 中 に ル ー トZXTM
*:p<0.05(Fisher's
F
が 示 した メ ー タ ー 最 小 値
PLSD)
A:寒
B:寒
A:ス
尖 周 囲 の 着 色 寒 天100mm2当
合
*:p<0.05(Fisher's
PLSD)
お け る 根 管 象 牙 質 のSEM像
コ ア3(第1群),C:ス
コ ア4(第1群)
す 。図4に
果
は各 実 験 群 に お け る100mm2当
積 の 割 合 を示 す 。 第3群
各 実 験 群 にお い て,根
管 洗 浄 中 に ル ー トZXTM
した メ ー ター 最 小 値 を図2に
示 す 。 第4群
F が示
ス コ ア2,3,4と
評 価 され た根 尖 部 根 管 象 牙 質SEM像
の代 表 例 を 図5に 示 す 。図6に
よ び第3群
た りの 脱 色 面
の脱 色 面 積 の 割 合 は,ほ か の 群
と比 較 して有 意 に大 き か っ た(p<0.05)。
は他 群 よ り も
有 意 に大 きい 値 を示 した(p<0.05)。
根 尖 周 囲 の 寒 天 の脱 色 は,第1お
た りの 脱 色 面 積 の 割
図3根
管洗 浄後 の着 色寒 天 の脱 色
天 の脱色 が認 め られ なか った代 表例
天 の脱 色が認 め られ た代表 例(第3群)
図5根
尖 か ら0mmに
コ ア2(第2群),B:ス
III.結
図4根
で観察 さ
は,SEM観
察 の結 果 得 ら
れ た 各 群 の 洗 浄 ス コ ア を示 す 。 コ ン トロー ル 群 で は,す
れ た 。 根 管 洗 浄 後 の寒 天 の 脱 色 状 態 の 代 表 例 を図3に 示
べ て の 被 験 部 位 に お い て ス ミヤ ー 層 が 象 牙 質 表 面 を 覆
(15)
16口
病誌
平 成17年3月
図6
SEM観
察 に よ る ス ミヤ ー 層 除 去 ス コ ア
図 中 の 異 な る ス ー パ ー ス ク リプ トは有 意 差 が あ る こ と を 示 す(p<0.05,Fisher's
PLSD)。
い,象 牙 細 管 の 開 口 は観 察 さ れ な か った 。 す べ て の観 察
効 果 を得 る た め に は,ア
部 位 に お い て,第1,2,3群
ニ ー ドル を使 用 し,そ の 先端 を根 尖 部 に一 致 させ る必 要
お よ び第4群
の ス コ ア は コ ン トロ ー ル群
が あ る14)。
よ り も有 意 に高 くな った(p<0.05)。
IIII.考
ピカ ル シ ー トに合 っ た サ イ ズ の
根 管 洗 浄 の効 果 を高 め るた め,超 音 波 装 置 を根 管 形 成
察
中 あ る い は根 管 形 成 後 に使 用 す る方 法 が あ る。 こ の 方 法
はRichman15)に
根 管 洗 浄 の 効 果 は,単 に洗 浄 液 が 根 管 全 体 に行 きわ た
よ っ て 根 管 治 療 に 導 入 され た 。 他 方,
る だ けで は な く,根 管 内 の洗 浄 液 が 滞 留 し続 け る こ とな
Martin16)は 感 染 根 管 モ デ ル を用 い た 実験 に よ り,根 管 形
く新 鮮 な 洗 浄 液 に交 換 さ れ る こ とで さ ら に 向 上 す る6)。
シ リ ン ジ とニ ー ドル を用 い て 根 尖 付 近 に洗 浄 液 を送 り込
成 時 に超 音 波 洗 浄 を行 う と,根 管 の 殺 菌 効 果 と洗 浄 効 果
が 向 上 した と報 告 し,Cunninghamら17,18)もNaClOと
超
む従 来 法(CIM)に
音 波 装 置 を併 用 して 根 管 形 成 す る と清 掃 効 果 が 高 ま った
よ る根 管 洗 浄 で は,洗 浄 針 の 外 径 と
根 管 径 との相 対 関 係 が適 切 か ど うか が 洗 浄 効 果 に影 響 を
と報 告 して い る。さ らに,Goodmanら19)は
与 え る6,11)。
従 来 法 で根 管 洗 浄 を効 果 的 に行 うた め に は,
用 い た研 究 で,機 械 的 に清 掃 で き な か った 根 管 壁 の 残 渣
根 尖 孔 の サ イ ズ を#40あ
を超 音 波 洗 浄 で 除 去 で き る こ とを示 唆 して い る。しか し,
る い は#30以
上 にすべ きであ る
とい う報 告11,12)や,細 い 根 管 で は根 尖3mmに
下顎大 臼歯 を
根 管 形 成 時 に お け る超 音 波利 用 の有 無 は根 管 清 掃 度 に影
お ける洗
響 を与 え な い とい う報 告 もあ る20,21)。
浄 効 果 は疑 わ し い とす る報 告13)があ る。細 い根 管 に対 し,
ニ ー ドル を用 い る と良 好 な洗 浄
根 管 形 成 後 に超 音 波 洗 浄 を行 っ た研 究 に 関 して,Jen-
効 果 が 得 られ る との 報 告 もあ るが5,6),そ の場 合 に は 洗 浄
senら22)は 残 渣 の 除 去 効 果 が 向 上 した と報 告 し,Sabins
液 の流 量 を少 な くして も根 尖 に加 わ る圧 が 大 き くな るた
ら23)も根 管 形 成 後30秒
め,根 尖 孔 外 へ 洗 浄 液 が 溢 出 す る危 険 が あ る6)。この 問 題
去 に有 効 で あ った と報 告 し て い る。 し か し,根 管 形 成 後
を解 決 す る た め,Goldmanら
の 根 管 洗 浄 に 超 音 波 装 置 を併 用 して も,根 尖 部 の ス ミ
30G(外
径0.31mm)の
は根 管 洗 浄 用 の特 殊 な ニ ー
の超 音 波 洗 浄 が 根 管 内 の 残 渣 除
ドル を考 案 した4)。この ニ ー ドル は先 端 が 閉 じて お り,側
ヤ ー 層 は 除 去 で きな か った とい う報 告 もあ る24)。
また,超
方 に 開 口 した 多 数 の 孔 か ら洗 浄 液 が 流 出 す る の で,洗 浄
音 波 に よ る根 管 洗 浄 で 危 惧 さ れ る点 と して,洗 浄 液 の 根
液 の 圧 が 根 尖 方 向 に加 わ りに くい。 米 田 ら も同様 の ニ ー
尖 孔 外 へ の 溢 出,洗 浄 チ ップ に よ る根 管 象 牙 質 の過 剰 な
ドル を考 案 し14),こ の ニ ー ドル を 用 い る と洗 浄 液 の 根 尖
切 削 な どが 挙 げ られ る25)ため,こ れ らの 点 に十 分 配 慮 す
へ の 圧 が 減 少 した と報 告 し て い る。 こ の方 法 で 高 い洗 浄
る必 要 が あ る。
(16)
口 病 誌2005,72/117
根 尖 部 象 牙 質 で は,単 位 面 積 当 た りの 象 牙 細 管 数 が 非
SEM観
察 よ り,こ れ らの 群 で は洗 浄 液 が 根 尖 まで 到 達
常 に少 な い26)。さ ら に,細 管 径 も小 さ く,と き に石 灰 化 し
して い た と考 え られ た た め,根 管 洗 浄 時 に は良 電 導 体 で
て い る27)ため,根 尖 部3mmの
あ る洗 浄 液(NaClO,EDTA)が
洗 浄 効 果 を評 価 す るの は,
根 尖 とニ ー ドル先 端 と
根 管 口付 近 や 根 中央 部 を評 価 す る よ り も難 しい 。 本 研 究
の 間 を満 た して メ ー タ ー値 が0.5を
で は,根 尖 部 の 根 管 の 洗 浄 効 果 を歯 冠 側 と同 じ基 準 で評
る。 これ に対 し,第4群
価 す る た め に,便 宜 的 に根 尖3mmを
さ れ て お らず,根
本 来 の 根 尖 部3mmの
除 去 した 。た だ し,
洗 浄 効 果 を調 べ る た め に は,さ
ら
な る研 究 が必 要 で あ る。
示 した もの と思 わ れ
で は 根 尖 部 の ス ミヤ ー層 は除 去
管 洗 浄 中 の メ ー タ ー値 は0.5を
示 さな
か っ た こ とか ら,洗 浄 液 は根 尖 に到 達 しな か っ た もの と
考 え られ る。 この よ う に,根 管 形 成 後 に根 管 洗 浄 を行 う
臨 床 で 根 管 洗 浄 を行 う場 合,一 般 に はニ ー ドル を装 着
した シ リ ンジ の 押 子 を術 者 が 押 して洗 浄 液 を送 液 す る た
際 に ル ー トZXTM F が 示 す メ ー ター 値 は,洗 浄 液 の 根 尖
へ の到 達 度 を示 して お り,根 管 長 測 定 時 と は異 な る挙 動
め,そ の 際 の 流 量(ml/min)は
を示 す と考 え られ る。
者 らが 臨 床 経 験:2∼20年
術 者 に 依 存 して い る。 著
目 の歯 科 医 師36名
と こ ろ,平 均 流 量 は約3.46m1/minで
本 研 究 で は洗 浄 液 の 流 量 を3.0ml/minに
た,東
で調 査 した
あ っ た9)。そ こで,
図4お
よび 図6よ
り,IATで
洗 浄 す る とNaClOは
根
尖 孔 外 へ溢 出 す る こ とな く根 尖 まで 到 達 す る こ とが 示 さ
設 定 した 。 ま
京 医 科 歯 科 大 学 歯 学 部 附 属 病 院 に お け る歯 科 用 ユ
れ,さ らに 根 尖 部 に お け る洗 浄 液 の 位 置 を ル ー トZXTM
ニ ッ トの バ キ ュー ム 吸 引 圧 を予 備 実 験 で 測 定 し た と こ
と し,か つ根 尖 孔 径 が大 き い場 合 に 観 察 さ れ た が,細
ろ,平 均 約 一20kPaで
根 管 に つ い て は さ らな る研 究 が 必 要 で あ る。IIIII
圧 は-20kPaに
第1お
あ っ た こ とか ら,本 研 究 で の 吸 引
設 定 した 。
よび 第2群
のSEMに
.結
よ る ス コ ア か ら,IATで
洗 浄 した 際 の ス ミヤ ー 層 除 去 効 果 は,CIMで
F
で モ ニ タ ー で きた 。 この 現 象 は 良 電 導 性 の溶 液 を洗 浄 液
洗浄針 を根
IATを
い
論
用 い て 根 管 洗 浄 を行 う と,洗 浄 液 が 根 尖 孔 外 か
尖 付 近 に設 置 し た場 合 と同 様 に 高 い こ とを 示 した 。 す な
ら溢 出 す る こ とな く,根 尖 部 に お け る根 管 象 牙 質 の ス ミ
わ ち,CIMで
ヤ ー 層 が 除 去 可 能 で あ っ た 。 さ らに,根 管 洗 浄 時 の ル ー
は洗 浄 針 先 端 が 根 尖 に近 い ほ ど根 尖 部 の洗
浄 効 果 が 高 い とい う従 来 の 報 告4,5)と合 致 した 。
寒 天 の脱 色 はNaClOの
トZXメ
漂 白効 果 に よ り起 こ る と考 え
ー タ ー 値 を測 定 す る こ とで,洗 浄 液 の 根 尖 へ の
到 達 をモ ニ タ リ ング す る こ とが 可 能 で あ った 。
られ るた め,本 研 究 で は,根 尖 周 囲 の 着 色 寒 天 の 脱 色 面
積 を測 定 す る こ とでNaClOの
び第4群
溢 出 を調 べ た 。 第2お
文
1)
で は根 尖 周 囲 の寒 天 の脱 色 は 観 察 さ れ ず,こ れ
らの群 で はNaClOは
の溢 出 量 は第3群
よ る根 管
tron
場 合,洗 浄 針 先 端 を根 尖 孔 か
3)
験9)と異 な り,本 研 究 で は 根 尖 周 囲 を寒 天 に よ り封 鎖 し
設置
Cameron,
W.
study
of
J.
of
EDTA.
and
smear
J. Endod.
Becce,
Radiol.
Oral
Endod.
J.
Grady,
endodontic
J.:
28
clinical
New
1995
.
Goldman,
L.
method
treatment.
effielectron
: 47-53,
H.,
Oral
1994.
the
J.
elec-
Med.
: a scanning
Kronman,
and
Oral
affecting
Int.
removal
scanning
: 359-367,
endodontics
study.
layer
Surg.
78
Factors
M.,
H.
Smear
comparative
Endod.
ultrasonic
Goldman,
C.:
A
J.
of
Endod.
2
B.,
irrigation
: 257-260,
1976.
5)
Abou-Rass,
ness
F の根 管 長 測 定 精 度 に関 し,in vitroお よ
of
vivoに お い て8割 以 上 の 歯 で 測 定 誤 差 が0.5mm
of
root
Oral
以 内 で あ っ た との報 告 が あ る28,29)。
これ まで,根 管 洗 浄 時
に洗 浄 液 が ル ー トZXTM
Beeler,
salts
study.
J. A.:
of
during
びin
and
irrigants.
Oral
Clausen,
す る と洗 浄 液 が 溢 出 す る 危 険 性 の あ る こ とが 示 唆 さ れ
た。
ル ー トZXTM
R.
microscopy
4)
A.,
comparative
different
microscopic
ciency
L.
A
using
canal
Pathol.
ら2mmの
位 置 に設 置 す る と多 量 の 洗 浄 液 が 根 尖 孔 外
へ 溢 出 す る こ とが 明 ら か と な っ た。 す な わ ち 前 回 の 実
C.:
2000.
Garberoglio,
root
Morgan,
J.
: 739-743,
by
洗 浄 で は洗 浄 液 が根 尖 孔 外 へ 溢 出 しに くい こ とが確 認 さ
た に もか か わ らず,洗 浄 針 先 端 を根 尖 か ら2mmに
S.,
removal
26
2)
れ た。 これ に対 し,CIMの
M.
layer
よ りも
有 意 に 少 な か っ た 。 これ らの 結 果 よ り,IATに
O'Connell,
Baumgartner,
根 尖 孔 外 へ ほ とん ど溢 出 しな か っ
た と考 え られ た 。 また,第1群
献
よ
6)
M.
four
canal
Radiol.
Druttman,
F の 電 極 と して 機 能 す る こ とは
irrigant
報 告 され て い な い。 第1,2,3群
で は,洗 浄 液 を送 液 す
る前 の メ ー タ ー 値 は2∼3で 安 定 し て お り,ニ ー ドル 先 端
7)
reports.
が根 尖 に到 達 して い な い こ とを示 して い た 。 根 管 洗 浄 の
8)
54
: 323-328,
C.
S.
and
and
Int.
and
Gernhardt,
C.
M.:
1,2,3群
chlorite
used
J.
R.,
C.
J.
W.:
as
an
effectivethe
of
Pathol.
J.
R.:
22
An
in
K.,
vitro
methods
of
: 174-178,1989
Complications
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.
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and
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で は メ ー タ ー値 は0.530)に 近 い 値 と な った 。
Surg.
replacement.
canal
M.
methods
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of
Hð¹lsmann,
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Piccinino,
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