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帰化アサガオ類を 中心とした 難防除雑草の 生態と防除
National Agriculture and Food Research Organization 農業・食品産業技術総合研究機構 帰化アサガオ類を 中心とした 難防除雑草の 生態と防除 澁谷知子 中央農業総合研究センター 生産体系研究領域 2011.10.27 (発表当日のスライドを若干変更しています) 本発表は、農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等 の確立のための技術開発」および農研機構研究課題「生物情報に基づく帰化雑草の 侵入・まん延警戒システムと長期的雑草管理法の構築」の成果をもとに行われました。 農研機構は食料・農業・農村に関する研究開発などを総合的に行う我が国最大の機関です 1 本日の話題 1.帰化アサガオ類の生態と防除 1)圃場周辺での防除 防除時期・防除方法と注意事項 2)圃場内での防除 生態から見たポイントと防除時期 2.その他の難防除雑草の生態と防除 (イヌホオズキ類・ホオズキ類・オオオナモミ・ アレチウリ) 2 1. 帰化アサガオ類の生態と防除 マルバルコウ 大豆畑を覆うマルバルコウ 3 圃場周辺のマルバルコウ(大豆生育期) 圃場周辺のホシアサガオ(水稲収穫後) 4 水路フェンスに絡みつくマルバルコウ(防除後に後発生あるいは再生) 5 1) 圃場周辺の防除 圃場周辺の防除の重要性 輸入 外国の雑草種子が 混じっている飼料 雑草種子が 含まれる飼料 雑草の侵入蔓延経路 堆厩肥 から? 雑草侵入 運搬中に 落下? 種子生産 ・蔓延 広げるのは 農業機械? 人? 水? 侵入初期に防除 侵入初期の多くは圃場 周辺で発生しています。 ここで防除しないと・・・ 圃場の中や地域 全体で蔓延したら 大問題です! 種子を増やさない→ 花が咲いたら直ちに防除 6 1) 圃場周辺の防除 防除時期 花が咲いたら直ちに防除 播種から開花までの期間 ⑤マルバアサガオ 開花から結実までの期間 # :結実なし * : 開花なし # # ④マルバルコウ 10月中旬播種は全種 降霜までに開花せず # # ③ホシアサガオ * # ②マメアサガオ # ①マルバ アメリカアサガオ # つくば市における 試験結果 # # 0 15 5/15 30 45 6/14 60 75 7/14 90 105 8/13 120 135 9/12 150 165 10/12 180 195 11/11 210 225 12/11 240 255 4/15 7 1) 圃場周辺の防除 防除方法と注意点 刈取りによる防除 切り取り処理前 1週間後 切った下から 伸びたつる 高さ5cmで刈り取っても、節が数個残されている。 ⇒節からつるが伸び、1週間後には1m近くになる。 ⇒地際から刈り取るか抜き取る 8 1) 圃場周辺の防除 防除方法と注意点 非選択性茎葉処理除草剤による防除 [株元20cmだけに処理] 大きすぎなければ 上の方まで枯れる グルホシネート液剤処理16日後の写真 [株元から30cm以上先端に処理] かかった部分だけ枯れる 株元まで十分に散布してください グルホシネート液剤処理16日後の写真 9 2) 圃場内での防除 生態からみたポイント 生育が良い時期は2~3週間ごとに防除が必要 気温が高いと(24℃→28℃)・・・ 初期生育量(5週間)が約2~4倍! つるも早く出るので要注意!! 〈6~7月大豆播種〉 アサガオ類も 土中で発芽開始 だらだら発生するので、 ↓約1週間 大豆への絡みつき防止には、 出芽(子葉展開) 2~3週間ごとに防除必要 ↓約2~3週間 4~6葉期(草高 約10cm)ここまでに防除したい ↓約1週間 つる化(草高 50cm~)つるになると大問題 いつまで防除を続ければよいか 10 2) 圃場内での防除 生態からみたポイント 120 光環境が10%以下になる約2週間前まで防除が必要 播種の遅れなどで大豆が畦間 を覆わずに明るい場合は、 大豆の ずっと防除が必要 相対光量子束密度 大 100 豆 畑 の 80 畦 間 の 60 光 の 強 さ 40 ( 裸 地 20 に 対 す 0 る 0 % ) 草高/条間比≒1 50%以下では アサガオは正常 に生育できない 大豆の 草高/条間比≒1.46 10%以下では アサガオは 生育できない 20 40 播種後日数 地域や栽培様式によって 大豆畦間の暗くなる速さは違う 60 80 防除手段の組み合わせ例(2~3週間ごとに防除) ①土壌処理剤(出芽個体数を減らす) ②ベンタゾンの全面処理(大豆2葉期から) ③中耕培土 ④非選択性茎葉処理剤の畦間処理 11 2. その他の難防除雑草の生態と防除 イヌホオズキ類 黒紫色になる 大豆畑のヒロハフウリンホオズキとホソバフウリンホオズキ 12 大豆畑のオオオナモミ 圃場周辺の オオオナモミ 水稲刈り後のオオオナモミ 13 大豆畑のアメリカツノクサネム 大豆畑のクサネム(在来種) 14 大豆畑を覆うアレチウリ 15 防除困難な特徴 除草剤が効きにくい 土壌処理剤が効きにくい 生育期茎葉処理剤(ベンタゾン)が効きにくい 短日性で種子繁殖 早く出芽したものは大きく生育して多量の種子生産 遅く出芽したものはすぐ開花して確実に種子生産 大豆の草冠から上に出やすい つる性・大型 生育期間が長い いつまでも茎葉が緑色・液果 16 【参考資料】ペンシルバニア州立大学のHPより 日本で登録があるものをカタカナ表示した。 日本では使用できる濃度が低いので直接比較できない。 アレチ オナモミ ヨウシュ ウリ 類 チョウセン シロザ アサガオ 土壌処理剤 単 剤 14 種 日本の除草剤は少ない マメ科の雑草も問題 一年生 イヌ アサガオ ホオズキ 類 ヒユ類 メトラクロール リニュロン アラクロール ジメテナミド 後で説明 トリフルラリン ★フルミオキザジン 混合剤8種 10=95-100%, 9=85-85%, 8=75-85%, 7=65-75%, 6=55-65%, N=55%以下か全く効果なし 17 【参考資料】ペンシルバニア州立大学のHPより 日本で登録があるものをカタカナ表示した。 日本では使用できる濃度が低いので直接比較できない。 茎葉処理剤 単 剤 13 種 日本の除草剤は少ない アレチ オナモミ ヨウシュ ウリ 類 チョウセン シロザ アサガオ マメ科の雑草も問題 一年生 イヌ アサガオ ホオズキ 類 ヒユ類 ベンタゾン グリホサート グルホシネート イマザモックス 日本では 畦間処理のみ、 畦間・株間処理のみ(2011.10.12付登録拡大)、★北海道のみ 10=95-100%, 9=85-85%, 8=75-85%, 7=65-75%, 6=55-65%, N=55%以下か全く効果なし 限られた技術で効果的に防除するために・・・生態を知る必要がある 18 新規土壌処理除草剤フルミオキサジンの特徴 広葉雑草対象土壌処理剤「フルミオキサジン」 アサガオ類・イヌホオズキ類に対しても効果が期待 【問題点】・イネ科雑草には効果がない ・アメリカでの登録より日本では低濃度 ・種子の休眠で効果が低いかもしれない ・散布器具(ホース)洗浄が非常に大変 ・現在は効果的な地域のみで販売 (2010,2011年度は北海道だけだった) ★使用にあたっては、薬剤の特徴を理解し、使用者・ 指導者・メーカーの協力体制を確立することが必要 19 ナス科イヌホオズキなどの防除 除草剤が効かない場合、 その理由を解明する。 散布法?土壌条件? 後発生? イヌホオズキ類・ホオズキ類 畦畔・播種前 耕起等でしっかり防除 大豆出芽前土壌処理剤 まずはここで防除! ○リニュロン、ジメテナミド→効果が高い 畦間・株間処理(茎葉兼土壌処理剤) ○リニュロン→効果が高い 全面処理できるベンタゾンの効果が低い (種間・種内で異なる) 畦間処理(非選択性茎葉処理剤) →効果が高い 20 オオオナモミの防除 土壌処理剤の効果は期待できない ベンタゾンは効果ある(小さいうちに処理) 侵入初期に非選択性茎葉処理剤あるいは 機械的(手取り含む)に防除 マメ科の雑草 アメリカツノクサネム等の防除 土壌処理剤の効果は期待できない ベンタゾンも効果なし 侵入初期に非選択性茎葉処理剤あるいは 機械的(手取り含む)に防除 21 アレチウリの防除(特定外来生物指定) 警戒すべき雑草 侵入初期に徹底防除!! 土壌処理剤効果なし ベンタゾンも効果なし 非選択性茎葉処理剤や 手取りで侵入初期の種子生産前に徹底防除 生きた植物体(発芽可能な種子含む)の移動が 規制されている⇒地方環境事務所と連絡とりあう 侵入初期の防除が重要 22