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平面配置スピーカシステムのための 3Dサウンド生成方法
平面配置スピーカシステムのための 3Dサウンド生成方法 会津大学 コンピュータ理工学部 情報システム学部門 上級准教授 黄 捷 研究背景 映画「アバター」が火付け役となり、家庭用3Dテレビへの 注目が一気に高まった。 もっとリアルなAVの世界を楽しむためには映像と同様に 音も3Dでなければならない。 • 5.1チャンネルホームシアターシステムが放送の標準 フォーマットとなり、普及しつつある。しかし、現行の5.1 チャンネルシステムは音像が水平方向に広がるだけで あるため、もっとそれ以上に上下方向にも音像が移動 するシステムが必要となる。 従来の3Dサウンドシステム ヘッドホンによるバイノーラルシステム スピーカによるトランスノーラルシステム 3次元に立体配置するスピーカシステム 本技術の特徴 • 平面配置のスピーカのままで、3次元の音像を再現で きる技術である。 ヘッドホンによるバイノーラルシステム バイノーラル再生の原理 2チャンネル録音したソースを両耳にて忠実に再現する y 実音源でない場合は頭部伝達関数によって擬似的に再現する y 実測 HRTFs 実環境 仮想 音源 実音源 擬似環境 HRTF-r HRTF-l 再生環境 内蔵マイク ヘッドホン HRTF-r HRTF-l バイノーラル再生 ダミーヘッド 受聴者 頭部伝達関数HRTFは音源から耳までの伝達関数で、主に頭部及び外耳などの影響を受 け、音源の方向によって変化する。 スピーカによるトランスノーラルシステム ヘッドホン用2チャンネルソースをスピーカシステムにより再現する y スピーカの信号は両耳へ届くので、逆フィルタ―によるクロストークキャン セル処理が必要となる。 { クロストークは完全には打ち消すことは困難である { スピーカ位置から耳への伝達関数も測定する必要がある { 頭の位置は固定する必要がある { 環境の反響音も考慮に入れる必要がある y R HR(θ,α) HLL HRL 仮想 音源 RLR HL(θ,α) HRR バイノーラル ソース G HRR - HRL - HLR HLL G L G=1/(HLLHRR-HLRHRL) 音像 (θ,α) 3次元に立体配置するスピーカシステム 全空間の音像イメージをカバーできるようにスピーカを空間上に立体的 に配置する必要がある y スピーカの音量をVBAP (vector based amplitude panning法) によっ て決める y 一般家庭で高い位置のスピーカの設置が難しい y 全空間の音像をカバーするシステムは チャンネル数が多数必要である 音像 (θ,α) y 受聴者 全空間を カバーする スピーカ 従来技術とその問題点 y 3次元に立体配置するスピーカシステム 一般家庭で多数のスピーカを高い位置に配置するのはまだ 難しい y ヘッドホンによるバイノーラルシステム 音場は他の人と共有できない。長時間装着すると圧迫感があ る。 y スピーカによるトランスノーラルシステム 逆フィルタ処理で音の歪が生じやすく、受聴位置も厳しく制限 される。 平面配置スピーカによる3-Dサウンド 左のスピーカ群には左のHRTFL y 右のスピーカ群には右のHRTFR y HRTFの効果と矛盾のない様に最適なスピーカのエネルギー配分を決める y HTRFL LS SL L 0.5 音源 信号 + 0.5 C BC 受聴者 R SR HTRFR HR 平面配置スピーカによる3-Dサウンド スピーカグループ内のエネルギー配分を音像方向の前後によって決める y スピーカグループ間のエネルギー配分を音像方向の左右によって決める y 音像の仰角が一定の値以上の場合は必ず2つ以上のスピーカにエネルギー を配分する HTRFL y クロストークはスピーカ群を LS 使うことによって軽減される SL L ので、逆伝達関数による キャンセル処理が 0.5 音源 必要なく、受聴の C + 信号 BC 0.5 スイートスポットも 受聴者 広くなる y R SR HTRFR HR スピーカのエネルギー配分を決める方法 y いくつかの基準方向についてのエネルギー配分 仰角90の角度の音像を生成するために は前後、左右の偏りがないように全ての スピーカにエネルギーを配分する 方位角0度、仰角15度の音像を生成する ためにはLとRのスピーカにだけエネルギー を配分する。 SR R 1/6 SR R 1/2 1/4 (0,15) C C 1/6 (-,90) 1/6 L 1/4 1/2 SL L SL (ここで、Cスピーカにエネルギーを配分しな いのは、Cのスピーカ位置の影響が強すぎ るので、抑える必要があるから) スピーカのエネルギー配分を決める方法 y そのほかの角度は基準方向の音量分配の線形結合で決める (285,15) R SR 各基準方 5チャンネルシステムの場合のAPの基準となる音像方向 向のスピー カエネル ギー配分 0 30 120 240 330 0 75 180 285 Ep(q, a) 0 0 0 0 0 15 15 15 15 90 (0,15) C C (180,15) (-,90) L SL (75,15) 実際 の配 L 置ス SL ピー カ位 SR 置 R Total 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1/2 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1/2 1/2 0 0 1/6 0 0 1/6 0 1/4 1/2 1/2 1/2 1/2 1/4 1/2 1/6 1 1 3Dサウンドシステムによる定位結果 y 8チャンネル、無響室での定位結果 新技術の特徴・従来技術との比較 y スピーカを高く配置する必要がない。 y 逆フィルタが必要ないので、処理が簡単で、音の歪も 少ない。また、スイートスポットも広い。 y 既存のシステムで再生できるので、コンテンツ生成シ ステム以外は新たにシステムを導入する必要がない。 y 音響環境による影響を受けにくい システムの構成と使い方 y システムの使い方 製作者 音源 ソース エンドユーザー 3D サウンド システム 5チャンネル メディア 標準 5チャンネル システム 想定される業界 y 映画 y ゲームソフト y テレビ番組 y 音楽コンテンツ y 市場規模 現在標準のシステムがそのまま使えるので、市場規模 は大きい。 実用化に向けた課題 y 現在、アルゴリズムを実装して、システムの効果を検証 中で、音像定位の改善に取りかかる段階である。 y 今後、さらにテストを加え、実用化に向けて、仰角定位 精度を10度以内までに向上できるよう技術を確立する 必要もある。 企業への期待 y 3Dサウンドなどこれから音響分野への展開を考えて いる企業には、本技術の導入が有効と思われる。 y これから実際に応用できるシステムの開発をしていく ので、企業からのフィードバックは非常に役に立つも のである。 本技術に関する知的財産権 y 発明の名称 : 立体音響生成システム、その制御方法及び制御プ ログラム y 出願番号 : 特願2009-297581 y 出願人 : 公立大学法人会津大学 y 発明者 : 黄 捷 お問い合わせ先 会津大学 産学官連携コーディネーター(本杉 常治) TEL 0242−37−2511 FAX 0242−37−2546 e-mail ubic-adm@ubic-u-aizu.pref.fukushima.jp