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『改訂版 生物基礎』の特徴

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『改訂版 生物基礎』の特徴
10
生物基礎
306x210
改訂版
316
生基/ 316(A5 判・232 頁+折込)
授業しやすく,学習しやすい工夫
81118_キ生物基礎改
改訂版 生物基礎
ク修正(93→92mm)、BIOLOGY文字間修正
授業がしやすい見開き構成はもちろんのこと,学習しやすい工夫を随所に盛り込んでいま
す(①∼⑤)。
81118_キ生物基礎改
2節
第
エネルギーと代謝
①導入文で学習内容を明確に
すべての節始めに,その節で学
習する内容を示した導入文を入
れています。学習目的が明確に
なり,スムーズに授業に入るこ
とができます。
生物は,化学反応によって物質を変化させ,エ
5
ネルギーを取り出して利用している。ここでは,
生命活動に必要なエネルギーは有機物から取り出
5
されていったん ATP に蓄えられること,化学反
100 µm
ATP の結晶
81118-1-2-ATP の結晶スケール .a
応には酵素がはたらいていることを学習しよう。
1
生命活動とエネルギー
10
▏
A 代謝とエネルギーの出入り ▏生物は,体外から取り入れた物質を,
さまざまな化学反応によって他の物質につくり変えて利用している。これ
10
たい しゃ
ら生体内での化学反応全体を 代 謝 という。
代謝のうち,複雑な物質
を単純な物質に分解し,エ
ネルギーを取り出す過程を
エネルギー
複雑な物質
エネルギー
か
こ きゅう
呼吸など
化は 呼 吸 で,生物は,呼
吸によって取り出したエネ
エネルギー
エネル
15
受け渡
複雑な物質
エネルギー
複雑な物質
エネルギー
エネルギー
ルギーを生命活動に利用し
物質の合成など
異 化 という。代表的な異
エネルギーを
受け渡す分子
い
②太字語句のルビで
読み方も正確に
初出の太字語句にはすべてルビを
振っています。
同化
異化
15
ている。一方,単純な物質
から複雑な物質を合成し,
エネルギーを蓄える過程を
単純な物質
単純な物質
20
⬆ 図 13 異化と同化
●
どう か
81118-1-2- 異化と同化
(69.9*53)
.ai
同 化 という。同化の例としては,光合成における糖の合成があげられる。
単純な物質
このように,代謝においてはエネルギーの出入りや変化が起こる。また,
このとき,エネルギーの受け渡しをする分子がはたらいている
(図 13)
。
③略語の正式名称も掲載
DNA や ATP など,アルファベット
の略称が用いられている物質につい
て,英語で正式名称を入れています。
▏
B エネルギーの通貨- ATP ▏一般的に,細胞内での代謝によるエネル
さん
ギーのやりとりは,ATP
(アデノシン三 リン酸 )
とよばれる分子を仲立ちと
adenosine triphosphate
して行われている。
36
4
さん
第1編 生物と遺伝子
25
整理の問題……………………………………………… 180
第5章 生態系とその保全……………………………… 181
観察&実験
1. 生態系とその成り立ち ……………………………… 182
思考学習
真核細胞と原核細胞の観察… 34
2. 物質循環とエネルギーの流れ ……………………… 188
食作用の観察……………… 130
3. 生態系のバランスと保全 …………………………… 194
◆詳しい内容を,丁寧な記述と豊富な図・写真でわかりやすく解説した教科書。
整理の問題……………………………………………… 210
◆生物への興味・関心や生物学的な思考力が高まる工夫をした教科書。
種子の形態の観察………… 159
光合成によって生成される
展 ………………………………… 87
発生の進行とパフの位置変化 発 有機物……………………… 44 身近な照葉樹と夏緑樹の葉の
有用成分の再吸収と老廃物の濃縮………………………………… 109
DNA の抽出 ………………… 59 比較……………………… 173
糖尿病患者における血糖濃度……………………………………… 124
体細胞分裂の観察…………… 82 生態系における土壌動物の
海岸の岩場における生態系のバランス…………………………… 196
パフの観察…………………… 86 はたらき………………… 187
血液凝固の観察…………… 103
◇この教科書の構成要素
ブタの腎臓の観察………… 108
心臓の拍動数の測定……… 118
参 考
●生物の世界の階層性……… 27
索 引 …………………………………………………… 229
…………………………… 198
コラム
●腎臓と肝臓の役割分担… 113
思考学習
●ヒトの神経系…………… 115
●日本で見られるさまざまな生物……………………23
観察&実験
●洗濯用洗剤に含まれる
「酵素」
………………………38
…学習内容に関連した観察・実験題材
●「遺伝子の本体」の研究の歴史………………………60
真核細胞と原核細胞の観察… 34 食作用の観察……………… 130
● DNA の構造の研究の歴史 …………………………65
種子の形態の観察………… 159
光合成によって生成される
●分化した細胞の遺伝情報についての研究の歴史 89
有機物……………………… 44 身近な照葉樹と夏緑樹の葉の
●梗塞と線溶………………………………………… 103
DNA の抽出 ………………… 59 比較……………………… 173
●自律神経系のバランス…………………………… 116
体細胞分裂の観察…………… 82 生態系における土壌動物の
●屋久島に見られる垂直分布……………………… 175
パフの観察…………………… 86 はたらき………………… 187
●外来生物が増える理由……………………………
200
A
血液凝固の観察…………… 103 身近な河川や湖沼の水質調査
●インフルエンザ………… 137
展 ………………………………… 87
発生の進行とパフの位置変化 ●葉の構造と葉緑体…………
43 ●ヒトのいろいろな器官系
発
展
有用成分の再吸収と老廃物の濃縮…………………………………
109
140
…本文をより深く理解できる,「生物基礎」範囲外の関連項目
149
●クロレラと共生するミドリゾ
●植物の生活形……………
糖尿病患者における血糖濃度………………………………………
124
の種類……………………… 33
69
●膜に見られる共通構造……
●腎臓と肝臓の役割分担…
113
●固定と染色…………………
15 83
……………………………
161
●相同染色体…………………
造……………………………
85
●酵素の基質特異性-多種類の
●ヒトの神経系……………
115
●生物の世界の階層性………
27 85
ATP アデノシン三リン酸
●暖かさの指数……………
●細胞周期と分化……………
88
酵素が必要な理由-……… 41 ●発生と遺伝情報の発現…… 173
●体温の調節……………… 125
●生物の特徴の一部だけをもつ
●照葉樹・夏緑樹の葉の環境117
●ヒトゲノム計画とその後の研究
●光合成の過程………………
45 ●神経伝達物質……………
アデノシン
アデニン
リボース ●特定外来生物…………… 200
●原尿生成における血圧の調節
高エネルギーリン酸結合
159
の種類………………………
69 ……………………………
(塩基)
(糖)109●遷移と生物の多様性……
●人手が入ることで守られる
……………………………
160
●体内に取りこんだタンパク質
発 展
の内容は,
「生物基礎」の学習指導要領に示されていないものですが,興味・関
里山の生物の多様性…… 205
●硬骨魚類における塩分濃度の
とアミノ酸の関係…………
76 ●三宅島における植生の遷移
心に応じて学習することができる内容です。
調節………………………83 110
…………………………… 161
●相同染色体…………………
●細胞周期と分化…………… 85
リン酸
リン酸173
●暖かさの指数……………
……………………………… 91
への適応………………… 174
●ヒトゲノム計画とその後の研究
さん けつ ごう
酸 結 合 とよばれることが
ADP
目 次
●動物のからだの成り立ち… 97
●開放血管系と閉鎖血管系…100
⬆図
●
14 ATP と ADP
ある。この結合が切れて,●酸素と二酸化炭素の運搬…101
目 次
④本文と図を
●タンパク質合成の過程…… 74
セットで学びやすく
●遺伝情報の変化と形質の変化
本文に関連する図や写真は,必ず
真核細胞の共通構造……… 32 ……………………………… 77
本文と同じ見開きに配置していま
●膜に見られる共通構造……
33 ●減数分裂と DNA 量の変化
……………………………… 83
●酵素のはたらきと外的条件
す。参照しながら関連づけて読む
……………………………… 39 ●細胞の分裂回数と染色体の構
ことができ,学びやすくなってい
造…………………………… 85
●酵素の基質特異性-多種類の
5
ます。
酵素が必要な理由-……… 41 ●発生と遺伝情報の発現…… 88
●分子系統樹………………… 25
●電子顕微鏡で見ることのできる
●炭素循環と窒素循環の違い
●光合成の過程……………… 45
●神経伝達物質…………… 117
●酸素を用いず有機物からエネル
●自己・非自己の認識…… 133
●呼吸の過程………………… 47
…………………………… 191
●生態系における有機物の収支
ギーを取り出すはたらき… 48
105 ……………………………
さん
81118-1-2-ATP
と ADP.ai
(72*47.75)192
●塩基の相補性を支える結合
●特定外来生物……………
200
リン酸 ,同図下)と
リン酸 に分解されるとき
ATP が ADP
(アデノシン二●原尿生成における血圧の調節
……………………………… 64
adenosine diphosphate
…………………………… 109
●硬骨魚類における塩分濃度の
にエネルギーが放出される。
調節……………………… 110
0
●照葉樹・夏緑樹の葉の環境
アデノシン二リン酸
に●体液のイオン組成………
さん
10
3
リン酸発
展
…………………………… 185
192
●体液のイオン組成……… 105
●生産力ピラミッド………
………………………………
64
●タンパク質を構成するアミノ酸
●種子の散布型と植生の遷移
こう
ケール .ai
●植物の生活形……………
リン酸
リン酸149
…………………………… 136
191
●開放血管系と閉鎖血管系…100
●抗体の構造………………
ギーを取り出すはたらき…
48
●光の強さと光合成……… 151
●酸素と二酸化炭素の運搬…101 ●生態系における有機物の収支
139
●花粉症が起こるしくみ…
●塩基の相補性を支える結合
●細胞を構成する物質………
67 ●土壌………………………
152
結合は 高 エネルギーリン
4
●クロレラと共生するミドリゾ
ウリムシ…………………… 51
のリン酸が結合した化合
ATP のリン酸どうしの
●インフルエンザ………… 137
●葉の構造と葉緑体………… 43
合した アデノシン に 3 個
5
もの-ウイルス…………… 31
p.36 ∼ 37 エネルギーと代謝
…………………………… 198
アデニン
A心臓の拍動数の測定……… 118
エネルギーの出入りや ATP な
目 次
どの基本事項について,図を
用いながら解説しています。
アデニン
ブタの腎臓の観察…………
108
への適応………………… 131
174
……………………………… 47
91 ●炎症のしくみ……………
●呼吸の過程…………………
●ヒトのいろいろな器官系 140
●炭素循環と窒素循環の違い133
●動物のからだの成り立ち… 97 ●自己・非自己の認識……
●酸素を用いず有機物からエネル
❶
物である
(図 14 上)
。
……………………………
●減数分裂と
DNA 量の変化 159
●遷移と生物の多様性…… 160
●体内に取りこんだタンパク質A ………………………………
参 ●酵素のはたらきと外的条件
83
考
●三宅島における植生の遷移
とアミノ酸の関係…………
76 ●細胞の分裂回数と染色体の構
アデニン
………………………………
39
基)と リ ボ ー ス(糖)が 結
5
●土壌………………………
(リボース) 152
●遺伝情報の変化と形質の変化
A
●種子の散布型と植生の遷移
………………………………
77
アデニン
▲
●細胞を構成する物質……… 67
●電子顕微鏡で見ることのできる
●タンパク質を構成するアミノ酸
真核細胞の共通構造………
32
改訂版 生物基礎
ウリムシ…………………… 25
51 ●タンパク質合成の過程……
●光の強さと光合成………
151
74
●分子系統樹…………………
海岸の岩場における生態系のバランス……………………………
196
ATP は, ア デ ニ ン(塩
…身近な話題や科学史をまとめた読み物
●顕微鏡発達の歴史……………………………………18
…生物学的な思考力を養う考察問題
●体温の調節……………… 125
●生物の特徴の一部だけをもつ
もの-ウイルス……………
31
発
巻末資料 生物図鑑 ……………………………………… 211
身近な河川や湖沼の水質調査
…本文の理解を助ける関連事項
●固定と染色………………… 15
探究活動 5 オオクチバスの生態についての調査 … 206
●人手が入ることで守られる
図版内文字 abc
里山の生物の多様性……
205
図版内文字 abc
●炎症のしくみ…………… 131
●抗体の構造……………… 136
●花粉症が起こるしくみ… 139
●生産力ピラミッド……… 185
発 展
の内容は,
「生物基礎」の学習指導要領に示されていないものですが,興味・関
心に応じて学習することができる内容です。
生物は,異化によって放出されたエネルギーを用いて,いったん ATP
4
を合成する。そして,ATP
の分解によって放出されるエネルギーを利用
目 次
目 次
5
して生命活動を営んでいる
(図 15)
。ATP は,物質の合成・筋収縮など細
複雑な物質
単純な物質
A
エネルギーを
エネルギー
15
アデニン
胞内でのさまざまな生命活動においてエネルギーの受け渡しにはたらく物
受け渡す物質
5
質であり,「エネルギーの通貨」として重要な役割を果たしている。
問 1 ATP が
「エネルギーの通貨」
とよばれる理由は何か。
エネルギー
物質の合成
ATP
エネルギー
エネルギー
0
5
発光
リン酸
エネルギー
呼吸
エネルギー
生命活動への利用
有 機 物
筋収縮
(運動)
ADP
CO2,H2O
⬆ 図 15 ATP とエネルギーの利用 合成された ATP は,すべてその細胞内で利用されて
●
ADP になる。ADP はエネルギーを受け取り,再び ATP に合成される。このように ATP は細
胞内で繰り返しエネルギーの受け渡しにはたらく。
❶アデノシンにリン酸 1 個が結合した物質は,遺伝情報の発現に重要な役割をもつ RNA
81118-1-2-ATP とエネルギーの利用 .ai(115.5*54)
(▶ p.70)の構成成分の
1 つでもある。
図版内文字 abc
⑤補足的な内容は脚注で
本文の内容に関連した補足情報を
脚注に掲載しています。脚注なの
で,本文の流れを妨げません。
図版内文字 abc
第1章 生物の特徴
37
5
▏
B 代謝と酵素 ▏生体内では,生命活動を支えるために非常に多くの化
丁寧な図で文章の理解をサポート
学反応が行われている。通常ではもっと高い温度でしか起こらないような
反応が常温で速やかに起こっているのは,それぞれの化学反応を進める酵
素が存在しているからである。酵素の存在により,何千もの化学反応が 1
■文章を補う図を入れて説明をわかりやすく
つの細胞内で整然と起こっている。酵素自体は,反応の前後で変化しない
文章だけでは理解しにくい部分には,視覚的にイメージしやすくなる図を入れていますので,内容の理解が深まります。
5
ため何度も再利用され,少量でも多くの反応を促進することができる。
p.40 代謝における酵素のはたらきの例
酵素のはたらきが連続して起こるようすを模式
図で示すことで,代謝が連続的な反応であるこ
とがイメージしやすくなっています。
代謝はふつう,いくつもの連続した反応から成り立っている。図 17 の
例では,物質 A から B → C → D を経て最終産物 E となるので,4 段階の
反応を経ている。それぞれの反応を進めるときには異なった酵素がはたら
くので,この場合は 4 種類の酵素がはたらいている。
改訂版 生物基礎
酵素A
酵素B
反応 A
物質A
酵素C
反応 B
▏
C DNA の遺伝情報 ▏遺伝情報は DNA のどこに存在するのだろうか。
10
酵素D
反応 C
物質B
物質C
DNA を構成するリン酸,糖
(デオキシリボース)
,塩基は,すべての生
反応 D
物質D
物質E
⬆4図
17 代謝における酵素のはたらきの例
物の DNA で共通している。一方で,DNA に含まれる●
種類の塩基の並び
81118-1-2- 酵素のはたらきの例改 .ai(115.5*26.6)
えん き はい れつ
方
(塩 基 配 列 )
は生物によって異なっており,実際,遺伝情報はこの塩基配
▏
C 酵素がはたらく場所 ▏酵素の中には,唾液などに含まれるアミラー
5
列に存在する
(図 6)
。DNA の塩基配列は,生物がもつさまざまな形質を
ゼのような消化酵素のように,細胞外に分泌されてはたらく酵素もあるが,
現すための遺伝情報として重要な役割を果たしている。
多くの酵素は細胞内ではたらいている。細胞内ではたらいている酵素は,
細胞内に一様に分布しているの
インスリン(▶p.122)をつくる遺伝子の塩基配列の一部
塩基配列
※
1
A
T
G
G
C
参 考
ATGGCCCTGT GGATGCGCCT
CCTGCCCCTG
動物細胞
ではなく,それぞれ特定の場所
体内に取りこんだタンパク質とアミノ酸の関係
呼吸に関する酵素群
(ミトコンドリア)
に存在している。例えば,呼吸
31 CTGGCGCTGC TGGCCCTCTG GGGACCTGAC
▲
私たちは,肉や卵,大豆などタンパク質を含むさまざまな食品を食べてい
に関連した酵素群はミトコンド
61 CCAGCCGCAG CCTTTGTGAA
CCAACACCTG
T
A
C
C
G
p.64 各種物質の合成など
る。しかし,私たちのからだを構成するタンパク質は,食品に含まれていた
リアにあり,光合成に関連した
91 TGCGGCTCAC ACCTGGTGGA AGCTCTCTAC
に関する酵素群
塩基配列と遺伝情報
植物細胞
(細胞質基質)
121 CTAGT・・・ ものではなく,私たちの体内で合成されたものである。食品としてのタンパ
※数字は先頭の塩基が何個目かを示す
遺伝情報が存在する
「塩基配列」とは具体的
酵素群は葉緑体にある
(図
18)
。
にどこのことなのかを,DNA
の模式図をも
ク質と,私たちのからだを構成するタンパク質の関係は,どのようになって
このように,酵素が細胞内の
⬆ 図 6 塩基配列と遺伝情報
●
とにわかりやすく示しています。
81118-2-1- 塩基配列と遺伝情報 .ai(115.5*33.5)
いるのだろうか。
特定の場所に存在してはたらく
光合成に関する酵素群
15
20 5
問 2 ある DNA の 2 本のヌクレオチド鎖の一方が,GCCTGTAAC の塩基配列をも
(葉緑体)
タンパク質は,アミノ酸が多数結合してできている。ヒトなどの動物の場
ことで,代謝が秩序立てて行わ
つ場合,これと対になるヌクレオチド鎖の塩基配列はどのようになるか。
合,摂取したタンパク質は,胃や腸などの消化器官で最終的にアミノ酸にま
⬆ 図 18 細胞内ではたらく酵素
れるようになる。
●
81118-1-2- 細胞内ではたらく酵素 .ai
(62.5*51)
発 展
で分解(消化)される。消化によって生じたアミノ酸は小腸で吸収され,糖な
塩基の相補性を支える結合
DNA が二重らせん構造をとるうえで,4
種類の塩基が A と T,G と C が互いに対に
ど他の栄養分とともに血流を通じて全身の細胞に運ばれる。各細胞は,運ば
40 第1編 生物と遺伝子
10
H
O
合することによって,その生物特有のタンパク質を合成する
(図Ⅰ)。
N
なるよう相補的に結合することは,非常に重
H
食品に含まれる
タンパク質
水素結合 チミン
要である。このように相補的に結合するのは, アデニン
塩基の構造に関係がある。
H
すい そ けつ ごう
対になるようゆるやかに結合する
(水 素 結 合 )
。
H
グアニン
細胞内
H
O
DNA の糖とリン酸は強い結合でつながっ
ているのに対し,A と T,C と G は,互いに
N
15
O
シトシン
⬆ 図Ⅰ 塩基間にできる水素結合
●
A と T は水素結合をする部分を 2 つずつもっ 図では各塩基の構造式は省略し,
81118-2-1- 水素結合 .ai
(42.3*40.25)
消化器官
ているが,C と G は 3 つずつもっているため,水素結合に関係のある元素だけを
示している。H どうしは結合しな
A は T と,C は G と結合したときに安定な いため,A と T,G と C ともに決
構造になる。
まった向きで結合する。
▶ p.76 参考 体内に取りこんだタンパク質とアミノ酸
64 第1編 生物と遺伝子
の関係
食品として取りこまれたタンパク質が体内で分
解され,遺伝情報にもとづいて再合成されるよ
うすをわかりやすく示しています。
10
れてきたアミノ酸を取りこみ,自らの遺伝情報に対応させて,それらを再結
全身の細胞
遺伝情報にもと
づいてアミノ酸
が再結合される
20
消化・運搬
アミノ酸に分解される
からだを構成するタンパク質
見
⬆ 図Ⅰ タンパク質の分解と合成
●
つまり,体内に取りこまれたタンパク質は,いったんアミノ酸の状態にま
で分解され,その後,遺伝情報にもとづいて細胞内で必要なタンパク質につ
81118-2-2- タンパク質の分解と合成 .ai
(108.5*67.5)
6
くり替えられる。豚肉とヒトの筋肉では,構成するアミノ酸の数や配列に違
キ生基礎 - 図版 template.ai
いがある。豚肉を食べても,その豚肉はそのまま私たちのからだの一部には
ならないのである。
キ生基礎 - 図版 template.ai
15
よる調節
度は,一定の範囲内に保たれて
腎臓によるろ過と再吸収,肝臓
5
や分解などによって,体液の成
背側から撮影した腎臓
(X 線写真に着色)
れていることを学習しよう。
▏
C 免疫にかかわる細胞や器官 ▏免疫にはからだのさまざまな部分がか
かわっている。例えば,異物の侵入を防ぐ皮膚や粘膜,免疫反応を行う細
肝臓の役割
胞
(免疫担当細胞)
,その細胞を体内で循環させる循環系やリンパ系などの
■統一的な図を用いて図どうしの関係性を明確に
器官系などがある
(図 27)
。異物を排除し,安定した生命活動を行うために,
胞が安定した生命活動を営むためには,これらの成分の濃
種イオンやグルコース,タンパク質などの多くの物質が含
10
5
からだはどのようなしくみを備えているのだろうか。動物がもつ免疫のは
で安定していなければならない。しかし,細胞の生命活動
「生物の体内環境の維持」の分野では,各器官の位置がわかりやすいように同じ人体のイラストを用いています。
たらきについて,これからくわしく見ていこう。
の濃度は変化してしまう。そこで,さまざまな器官系がは
3
り,体液の濃
腎 臓
第
節
からだの水分
いる。体液の
らく器官の中
る
(図 8)
。
臓器で,太い
好中球
(▶p.129)
生物はどのようにエネルギーを利用しているの
ており,心臓
(▶p.129)
ホルモンによる調節-内分泌系
ギーに変えて有機物をつくるはたらきであること,
5
いる。腎臓は,
甲状腺
呼吸は有機物から生命活動に必要なエネルギーを
▏
▏内分泌系では, 視床下部
A 内分泌腺とホルモン
や,ナトリウ
❶
取り出すはたらきであることを学習しよう。
節し,それら
れる。ホルモンは, 内 分 泌 腺 とよばれる
25
脳下垂体
に尿として排
器官の細胞でつくられ,体液中に分泌され
光合成
● 図1
8 ヒトの腎臓・肝臓とそのはたらき ⬆
体内環境の維持
のう か すい たい
こう じょう せん
(▶p.129,133)
造血幹細胞
骨髄でさまざ
まな血球細胞
T 細胞
葉緑体は,緑色をした粒状の細胞小器
に分化する※
(▶p.132,134)
ATP を合成し,その
ATP を利用して,
官で,内部には,チラコイドとよばれる
リンパ球
生物が光エネルギーを利用して
の組織や器官にはたらきかける。ヒトの内
光合成の過程
(背面)
甲状腺
て,血液循環によって全身をめぐり,特定
81118-3-2- ヒトの腎臓と肝臓 .ai(66.4*85.25)
81118-1-1- 葉緑体スケール .ai
葉緑体
(電子顕微鏡写真に着色)
樹状細胞
発 展
ない ぶん ぴ せん
2 µm
副甲状腺
気管
ホルモン を分泌することで,指令が送ら
比較的小さな
副腎
10
脳 下 垂 体 をはじめ,
甲 状(H
腺 ・2O)
分泌腺には,
二酸化炭素
(CO2)と水
から炭水化物などの有機物を合成するはたら
へん平な袋状の構造が発達している。チ
ふく こう じょう せん
ふく じん
キ生基礎
- 図版 template.ai
ぞう
こう ごう
せい
すい臓
B 細胞
副 甲 状 腺 ・ きを
副 腎 ・光
す合
い成
臓 などがあり
(図
5
ラコイドの膜
(チラコイド膜)
には,クロ
という。光合成によって,光エネルギーは有機物中の化学エ
キ生基礎 - 図版 template.ai
(▶p.132,134)
18)
,体内環境の維持に重要なはたらきを
ロフィルなどの光合成色素が存在し,光
▶ p.119
ネルギーに変えられる。光合成は,植物細胞内にある葉緑体で行われるは
する
(表 3)
。
⬆ 図 18 ヒトのおもな内分泌腺
●
ヒトのおもな内分泌腺
リンパ節
多数のリンパ
球が集まる
マクロファージ
20
だろうか。光合成は光エネルギーを化学エネル
の約 20 %が腎
リンパ管
リンパ液が流れる
胸腺
T 細胞を分化・
成熟させる
改訂版 生物基礎
,腹部の背側
おもな免疫担当細胞とその成り立ち
15
光合成と呼吸
ん ぞう
肝 臓 が重要な
3
肝 臓
血液中のグル
コースやタン
パク質の濃度
の調節,尿素
の合成など
量や体液のイ
オン濃度の調
節,老廃物の
排出など
◀ p.104
ヒトの腎臓・肝臓と
そのはたらき
▶
p.29
エネルギーを吸収する。チラコイド膜が
外膜
内膜
葉
ひ臓
多数のリンパ球が
集まる。異物の除
去,古くなった赤
血球の破壊など
骨髄
白血球の増殖・
分化,
リンパ球
の生成
たらきで,葉緑体にはクロロフィルという緑色の色素が含まれている。 NK 細胞
⬇ 表 3 ヒトのおもなホルモン
●
(▶p.130)
81118-3-3- ヒトの内分泌腺 .ai(45.4*56.25)
層状に重なった部分をグラナといい,チ
植物が太陽の光エネルギーを受け取ると,葉緑体では,その光エネル
免疫反応を行うこれらの細胞は
ホルモン
おもなはたらき
内分泌腺
視床下部
脳下垂体
前葉
チラコイド
DNA
グラナ
ストロマ
⬆ 図Ⅰ 葉緑体の構造
●
ラコイドと内膜の間を満たしている基質
いずれも白血球の一種である
人体のイラストは,本文中および
p.140 ∼ATP
141 の
「参考 ヒ
放出ホルモン
81118-1-3- 葉緑体の構造 .ai(48.6*36)
15
ギーを利用して
ADP
とリン酸から
が合成される。そして,合成され
ホルモン分泌の促進と抑制
※すべての血球細胞と血小板は,
10
放出抑制ホルモン
トのいろいろな器官系」
も含めて統一的な図を使用していま
部分をストロマという
(図Ⅰ)
。 造血幹細胞が
分化してつくられる
す。器官
を示す場合,器官のみを示すのではなく,
た
ATP(臓器)
のエネルギーを利用して有機物が合成される
(図
19)
。合成された
タンパク質合成促進・血糖濃度を上げる。
図版内文字 abc
⬆ 図 27 ヒトのリンパ系と免疫担当細胞
●
成長ホルモン
葉緑体で行われる光合成の反応は,チラコイド膜において光エネルギーを
▲ p.127
このように同じ人体のイラスト上に示すことで,その器官
骨の発育促進。からだ全体の成長促進
図版内文字 abc
有機物には,化学エネルギーとしてエネルギーが蓄えられている。有機物
81118-3-4- 免疫にかかわる器官や細胞
.ai(115.4*135.25)
ヒトのリンパ系と免疫担当細胞
の体内での位置を理解しやすいように配慮しています。
ATP を利用して有機物
甲状腺刺激ホルモン
甲状腺の発育・チロキシンの分泌促進 利用して ATP を合成する反応と,ストロマにおいて
副腎皮質刺激ホルモン
副腎皮質の発育・糖質コルチコイドの分泌促進
は植物体のいろいろな場所に運ばれ,からだをつくる材料となったり,生
を合成する反応からなる。
後葉
バソプレシン
グルコース
第3章 生物の体内環境
ADP + P
血圧上昇を促進,腎臓での水分の再吸収を促進
127
① チラコイド膜で起こる反応 光エネルギーがクロロフィルなどの光合成
「発展」
でより詳しい内容を扱う場合,本文中の図と
「発展」の図の関係が見えるように描いています。
命活動のエネルギー源として使われたりする。
生体内の化学反応を促進,成長と分化を促進
12O6
甲 状 腺 C6H
チロキシン
髄質
パラトルモン
アドレナリン
副腎
糖質コルチコイド
皮質
光エネルギー
鉱質コルチコイド
すい臓の
ランゲル
ハンス島
インスリン
グルカゴン
15
血液中のカルシウムイオン濃度を上げる
色素に吸収される
(図Ⅱⓐ)
。この反応に続いて水
(H2O)が分解され,酸素
◀ p.42 本文 光合成の概要
酸素
グリコーゲンの分解を促進し,血糖濃度を上げる
(O 2)
(O2)
が発生する。また,NADPH と ATP が合成される
(同図ⓑ)
。
植物細胞
タンパク質からの糖の合成を促進し,血糖濃度を
② ストロマで起こる反応 いくつもの過程を経て二酸化炭素
(CO2)が還元さ
上げる
葉緑体
ATP
有機物
集合管でのナトリウムイオンの再吸収とカリウム
れ,有機物
(C6H12O6有機物
)が合成される。このとき,①の反応でつくられた
エネルギー
イオンの排出を促進
生命活動の
有機物 と ATP に蓄えられたエネルギーを利用する
NADPH
(同図ⓒ)
。
エネルギー源
グリコーゲンの合成と,組織での糖の呼吸消費を
の合成
促進し,血糖濃度を下げる
ADP +リン酸20
光合成の全体の反応をまとめると,次のような反応式で表される。
グリコーゲンの分解を促進し,血糖濃度を上げる
6CO2 + 12H2O → (C6H12O6)
+ 6O2 + 6H2O
水
二酸化炭素
❶ベイリスとスターリング(ともにイギリス)は,すい臓に作用してすい液の分泌を促す物質
(H 2O)
(CO 2)
(セクレチン)が十二指腸にあることを発見した(1902 年)。スターリングはこの発見をもと
⬆ 図 19 光合成の概要 (1905 年)。
●
に,このような物質をホルモンと名づけた
第3章 生物の体内環境
81118-1-3- 光合成の概要
.ai
(115.5*41.5)
119
第1編 生物と遺伝子
p.45 発展 光合成の過程
光エネルギー
ATP
42
エネルギーの
移動を示す
光エネルギー
◀
副甲状腺
ⓐ
12NADP+
12NADPH
18ADP
18ATP
エネルギーや物質の移動を表す矢印,葉緑体や
植物細胞
葉緑体
光エネルギーを吸収した
NADPH,ATP
クロロフィル
81118-1-3- エネルギー矢印
.ai
ⓑ
クロロフィル
NADP+,ADP
(ストロマ)
有機物
ⓒ
カルビン・
ベンソン回路
有機物
(C6H12O6)
(チラコイド膜)
各物質を示す色づかいなど,本文の図と発展の
6ATP
6ADP
6H2O
6CO2
12H2O 6O2
図の対応関係をできるだけわかりやすく統一的
+
⬆
●
図Ⅱ 光合成の過程 NADP
は,エネルギーの受け渡しにはたらく分子である。
+
に示しています。
NADP :水素の運搬にはたらく物質
12ATP
③
12ADP
81118-1-3- 光合成の過程 .ai(108.5*41.5)
第1章 生物の特徴
45 7
3
自然免疫②-食作用
▏
A 食細胞による食作用 ▏物理的・化学的防御をこえて病原体などの異
しょく さ よう
物が体内に侵入すると,第二の防御として,食 作 用 がはたらく。
工夫された図で内容が理解しやすい
しょく さい ぼう
食作用は, 食 細 胞 によって
5
行われる。食細胞は,病原体な
異物
異物を含む袋
どを包みこんで消化・分解して
■複雑な内容も本文と図を関連づけて丁寧に解説
排除する
(図 30)
。食細胞には
見出し
取りこんだ異物を袋の
核
「免疫」
などの複雑な現象を扱う分野では,本文を読みながら視覚的に理解できるようにしています。
いくつかの種類があり,それぞ
見出し
食細胞
中で消化・分解する
⬆ 図 30 食細胞による食作用
れ次のような役割を担っている。●
こう ちゅう きゅう
10
81118-3-4- 食細胞による食作用 .ai(62.9*27.25)
好 中 球(図 31 ⓐ)は,通常は血管内に存在し,食細胞の中では最も数が
多い。好中球は毛細血管の壁を通り抜け,異物が侵入した組織で食作用を
図版内文字 abc
▏
B 抗原の提示
図版内文字
abc
不適合
う。樹状細胞やマクロファージ,B 細胞は,食作用によって異物を取りこ
行う。また,好中球は,取りこんだ異物とともに死滅することが多い。
んで分解し,その一部を細胞の表面に提示する。このようなはたらきを
抗 原 提 示 という
(図 34)
。
応免疫を開始させる役割をもつ。リ
きによって,毛細血管が拡張して血流が増え,食細胞が組織に集まりやす
取りこまれた T
ンパ節に用意されている多様な
くなり,食作用が促進される。
細胞は,樹状細胞から抗原提示を受
❷
異物の一部
じゅじょうさい ぼう
樹 状 細 胞(同図ⓒ)
は,食作用で取りこんだ異物の情報を,リンパ節に移
▶
異物
(体外)
(体内)
異物
ける。抗原提示を受けた T 細胞の
のだけが活性化されて増殖し,適応
皮膚
免疫を発動させる。
ⓒ 樹状細胞
ⓐ 好中球
ⓑ マクロファージ
発 展
リンパ節
へ移動
血管から
組織へ出る
は
え ん しょう
キ生基礎 - 図版 template.ai
MHC 抗原は,ヒトの場合でも極めて多くの種類があり,同じ MHC 抗原を
さい ぼう
このように,適応免疫は複雑なしくみで成り立っている。このうち,キ
反 応 が起こるのは,T
患者の MHC 抗原
臓器提供者の MHC 抗原
ラー T 細胞やヘルパー T 細胞が中心となって起こる,感染細胞への攻撃
細胞が MHC 抗原の違
さい ぼう せい めん えき
MHC 抗原
や食作用の増強などの免疫反応を 細 胞 性 免 疫 という。一方,B
細胞が中
が異なる
いを見分け,自身のも
たい えき せい めん えき
体 液 性 免 疫 という。
心となって起こる,抗体による免疫反応を
のでない MHC 抗原を
の 2 種類がある。リンパ節では,抗原を提示している樹状細胞に多くの T
細胞が接触し,その中で,提示された抗原に適合した T 細胞だけが活性
化して増殖する
(図 36 ①)
。
❶ キラー T 細胞による攻撃 増殖したキラー T 細胞は,リンパ節を出て, 5
感染した組織に移動する
(同図②)
。病原体に感染した感染細胞は,病原体
の断片を細胞の表面に提示している。キラー T 細胞がこの断片を認識し,
25
5
臓器提供者
患者の T 細胞
81118-3-4- 拒絶反応のしくみ .ai
(73.8*34.5)
(体内)
細胞性免疫
提示された
異物の一部
10
した組織では,マクロファージが,取りこんだ異物の断片を提示している。
記憶細胞
一致すると,そのマクロファージを活性化させる
(同図⑤)
。活性化したマ
②
15
抗原提示
さい ぼう
ヘルパー T 細胞は,リンパ節内で B 細 胞 にも作用する
(同図⑥)
。B 細
胞も,T 細胞と同様にその種類は多様であり,それぞれが特定の異物を認
記憶細胞
※
樹状細胞
識することができる。B 細胞は,自身が認識できる異物に出会うと,その
① 増殖
異物を細胞内に取りこんで分解し,断片を細胞表面に提示する
(同図⑦)
。
20
⑤ 活性化
⑥
こう たい さん
活性化された B 細胞は増殖し, 形 質 細 胞(抗 体 産
生細胞)
へと分化する
(同図⑨)
。形質細胞は 抗 体(免
⑧
えき
疫 グロブリン とよばれるタンパク質)
を生産して体
こう げん こう たい
られると,特定の抗原と特異的に結合し
(抗 原 抗 体
はん のう
反応)
,抗原を無毒化する
(同図⑩)
。
きょ ぜつ はん のう
⑩ 抗原抗体反応
認識できる異
物を取りこむ
めん
液中に放出する。抗体は,血液中を流れて全身に送
④
ヘルパー
T 細 胞
の型と一致すると,その B 細胞を活性化させる
(同図⑧)
。
こう たい
25
⑦
5 nm
81117-2-0- ファイル名 .ai
⬆ 図 35 抗 体
●
(電子顕微鏡写真に着色)
❶病気などで他人の臓器を移植した場合,拒 絶 反 応 が起こって生着しないことが多いのは,
キラー T 細胞が移植した臓器を異物として認識し,攻撃するためである。
133
③ 攻撃
① 増殖
クロファージは,より活発に食作用を行うようになる。
けい しつ さい ぼう
感染細胞
第3章 生物の体内環境
マクロファージ
※
キラー
T 細胞
ヘルパー T 細胞は,マクロファージから抗原の提示を受け,自分の型と
せい さい ぼう
免疫を
対して免疫を発動させ
❷ ヘルパー T 細胞によるマクロファージの活性化
増殖したヘルパー T 細胞は,B 細胞から抗原の提示を受け,さらに自分
患者
キラー
T
細胞に攻撃されて死んだ感染細胞や,抗体が結合して無毒化
もつ細胞
(移植された
発 動
された異物は,最終的にマクロファージの食作用によって処理される。
組織や器官の細胞)に
異物
(抗原)
⬆ 図Ⅰ 拒絶反応のしくみ
(体外)
るためである
(図Ⅰ)
。 ●
❶
自分の型と一致すると,感染細胞を攻撃して死滅させる
(同図③)
。
❸ ヘルパー T 細胞による B 細胞の活性化と抗原抗体反応
キ生基礎 - 図版 template.ai
こう げん
抗原提示には,主 要 組 織 適 合 抗 原(MHC 抗 原 )というタンパク質がかかわっ
きょ ぜつ
図版内文字 abc
拒絶
もつヒトを見つけることは非常にむずかしい。ヒトどうしの臓器移植で
拒絶反応
図版内文字
abc
はん のう
20
キラー T 細 胞 第3章 生物の体内環境
T 細胞には,
と ヘルパー T 細 胞 129
- 図版 template.ai
▏
C 適応免疫のしくみ ▏キ生基礎
増殖したヘルパー T 細胞は,感染した組織へ移動する
(同図④)
。感染
図版内文字 ab
図版内文字 ab
キ生基礎 - 図版 template.ai
抗原をもった細胞は,攻撃対象として認識される。
炎 症 という。
❷この結果,異物が侵入した部分は,熱をもって赤く腫
れる。このような反応を
81118-3-4- 食細胞による自然免疫のしくみ
.ai(115.5*47.75)
さい ぼう
見出し
15 p.129 食細胞による食作用のしくみ ている。MHC 抗原は細胞の表面に存在しており,抗原提示の際,T 細胞は,
自然免疫においておもにはたらく
3 種類の食細胞について,分布す
MHC 抗原とその上にのせられた異物の断片を認識する。また,T
細胞は
見出し
る場所やはたらきの違いを,本文から図への参照を入れながら解
MHC 抗原そのものの違いも認識することが可能で,自身のものでない MHC
見出し
説しています。
⬆ 図 31 食細胞による食作用のしくみ
●
リンパ節
B 細胞
抗体
⑨
※
記憶細胞
形質細胞
体液性免疫
⬆ 図 36 適応免疫のしくみ ※で示したように,
●
活性化して増殖したキラー T 細胞とヘルパー
T 細胞,B 細胞の一部は,それぞれ記憶細胞として体内に保存される(▶ p.136)。
81118-3-4- 適応免疫のしくみ .ai
(130*133)
▶
p.134
∼ 135 適応免疫のしくみ 適応免疫のしくみを示す図を一新しました。本文と図を関連させて解説することで,細胞どう
第3章 生物の体内環境 135 しの
134 第2編 生物の体内環境の維持
キ生基礎 - 図版 template.ai
複雑なかかわり合いを視覚的に理解できます。
キ生基礎 - 図版 template.ai
8
見出し
81118-3-4- 抗原提示のしくみ .ai
(62.9*54)
自己・非自己の認識
しゅ よう そ しき てき ごう こう げん
血管
異物の一部
樹状細胞
適合しない T
細胞は提示を
受けても活性
化されない
⬆ 図 34 樹状細胞による抗原提示
●
▲ p.133 樹状細胞による抗原提示
毛細血管を
拡張させる
多様なリンパ球
(T 細胞)
提示された抗
原に適合した
T 細胞だけが
活性化される
うち,提示された抗原に適合したも
10
p.133
▲
改訂版 生物基礎
樹状細胞は,抗原提示によって適
5
マクロファージに分化し,食作用を行う。また,マクロファージのはたら
動してリンパ球に提示することで,適応免疫を開始させる役割をもつ。
適合
こう げん てい じ
マクロファージ(同図ⓑ)
は大形の食細胞で,組織中に分布するほか,血
液中では単球として存在する。単球は,異物が侵入すると組織に移動して
15
こう げん
▏リンパ球の特異的な攻撃の対象となる異物を 抗 原 とい
豊富な写真で生物の世界をもっとわかりやすく
■たくさんの写真を見ながら,生物の世界をイメージできる
生物の世界を具体的にイメージしやすくなるように写真を数多く掲載しています。
2
世界のバイオームとその分布
▼ p.164 ∼ 169
世界のバイオームとその分布
熱帯よりもやや緯度の高い亜熱
❶ 熱帯多雨林・亜熱帯多雨林
帯には,熱帯多雨林よりも樹高が
熱帯の降水量の多い地域には,
低く,森林を構成する種類数が少
熱 帯 多 雨 林 が分布する
(図 12)
。
ない 亜 熱 帯 多 雨 林 が分布する。
ねっ たい た
また,熱帯や亜熱帯の沿岸部や
5
5
m
河口付近には,ヒルギのなかまな
20
キのなかまなどからなる。
どの常緑広葉樹から構成される
10
p.217
階層構造が発達しており,高
木層は 30 ~ 40 m にまで達し,
う りん
❷ 雨緑樹林 熱帯や亜熱帯で,1
10
10
年のうち降水量が多い雨季と,降
土壌以外のものに根を付着させて生育する植物
(着生植物)
なども見られる。
水量が少ない乾季がはっきり分か
各バイオームのようすをイメージ
しやすいように,動物の写真も豊
動物については,オランウータンなどの哺乳類をはじめ,鳥類やは虫類,
富に掲載しています。
p.220
ちゃくせい
う りょく じゅ りん
れている地域には, 雨 緑 樹 林 が
▶
m
分布する
(図 15)
。おもに雨季に
昆虫などの種類も多い。また,シロアリや菌類の活動が活発で,落葉や落
p.221
枝は速やかに分解されるため,土壌中の有機物の量は少ない。
乾季
高さ( )
く,ほかの植物に巻きついて伸びていく植物
(つる植物)
や,樹木や岩など
見出し
⬆ 図 ₁₄ マングローブ林
●
もある
(図 14)
。
⬆ 図 ₁₂ 熱帯多雨林
●
林冠を突き抜け 50 m をこえる樹木も見られる。植物の種類数が非常に多
81123-5-3- 熱帯多雨林モデル(17*27)
見出し
ヤエヤマヒルギ
りん
マ ン グ ロ ー ブ 林 が見られること
0
▶
20
葉をつけ,乾季に落葉する落葉広
15
15
キ編生基礎 - 図版 template.ai
葉樹で構成される。東南アジアの
キ編生基礎 - 図版 template.ai
チーク類が代表的な樹種である。
▶
キ編生基礎 - 図版 template.ai
10
81123-5-3- 熱帯多雨林モデル
(17*27)
北極圏
つる植物
樹木に巻きつくつる植物
着生植物
北回帰線
オランウータン
見出し
赤道
見出し
パンサーカメレオン
ギラファノコギリクワガタ
①
⬆ 図 ₁₆ 世界のバイオームの分布
●
(①,②のみを示したもの)
81117-4-3- 世界のバイオーム前半 .ai
(127.5*97.5)
第4章 植生の多様性と分布
❸ 照葉樹林 温帯の中でも年平
か りょく じゅ
温が比較的低い冷温帯には, 夏 緑 樹
照 葉 樹 林 が分布する
(図 17)
。照
林 が分布する
(図 20)
。おもにブナ,
しょう よう じゅ りん
りん
m
10
p.43
0
スダジイ林
⬆ 図 ₁₇ 照葉樹林
●
▶
層をもち,硬くて小さい葉を 1 年
中つけるオリーブやコルクガシな
▶
p.213
どが代表種である。
見出し
▶
p.215
m
20
オリーブ林
⬆ 図 ₁₈ 硬葉樹林
●
キ編生基礎
- 図版 template.ai
p.222
植物食性の哺乳類が水と食料を求めて大移動する。
する樹種が少なく,おもに常緑針葉
❽ ステップ 温帯の内陸部に
樹のトウヒ類,モミ類などからなり,
▶
p.216
▶
p.218
は, ス テ ッ
とよばれる草原
15 プ
場所によっては落葉性のカラマツ類
m
10
微生物による有機物の分解が遅く,土壌
中の栄養塩類が少ない。おもに草本類か
らなるが,地衣類やコケ植物がまじるこ
15
15
ニホンザル
キ編生基礎 - 図版 template.ai
見出し
見出し
見出し
見出し
図版内文字 abc
図版内文字 abc
見出し
ホンドタヌキ
図版内文字 abc
図版内文字 abc
見出し
ニホンジカ
⬆ 図 ₁₉ 照葉樹林や夏緑樹林に見られるさまざまな動物 日本では,照葉樹林と夏緑樹林に
●
生息する動物は,両方に共通して見られるものが多い。
図版内文字 abc
図版内文字 abc
166
チーター
(サバンナに生息)
⑥
赤道
③照葉樹林
キ編生基礎 - 図版 template.ai
⑤夏緑樹林
北回帰線
赤道
見出し
キ編生基礎 - 図版 template.ai
キ編生基礎 - 図版 template.ai
見出し
南回帰線
第4章 植生の多様性と分布
プレーリードッグ(ステップに生息)
⬆ 図 ₂₅ サバンナやステップに見られるさまざまな動物 サバンナとステップはともに草原
●
のバイオームだが,そこに生息する動物の種類は異なっている。
168
81123-5-3- 照葉樹林モデル
(17*27)
④硬葉樹林
⑥針葉樹林
⬆ 図 ₂₂ 世界のバイオームの分布
●
(③~⑥のみを示したもの)
シマウマとオグロヌー
(サバンナに生息)
第3編 生物の多様性と生態系
m
10
キ編生基礎 - 図版 template.ai
0
キ編生基礎 - 図版 template.ai
⬆ 図 ₂₇ ツンドラ
●
キ編生基礎 - 図版 template.ai
キ編生基礎 - 図版 template.ai
81117-4-3- 世界のバイオーム前半 .ai
(127.5*97.5)
第3編 生物の多様性と生態系
p.222
北極圏
キ編生基礎 - 図版 template.ai
アメリカバイソン(ステップに生息)
キ編生基礎
- 図版 template.ai
南回帰線
キ編生基礎 - 図版 template.ai
③
⑤
④
▶
図版内文字 abc
図版内文字 abc
北回帰線
キ編生基礎 - 図版 template.ai
p.221
などはほとんど見られない。
ヤマガラ
図版内文字 abc
キ編生基礎 - 図版 template.ai
▶
見出し
キ編生基礎
- 図版 template.ai
81123-5-3照葉樹林モデル
(17*27)
図版内文字 abc
ともある。ジャコウウシやトナカイなど
の大形哺乳類が生息し,は虫類や両生類
昆虫ではバッタ類が多く,穴を掘って生活する哺乳類も多い。
北極圏
見出し
81123-5-3- 照葉樹林モデル
(17*27)
ツンドラ が分布する
(図 27)
。地下には
永久凍土の層が存在する。低温のために
p.214
キ編生基礎 - 図版 template.ai
まが中心だが,それ以外の草本
81123-5-3- 熱帯多雨林モデル
(17*27)
0
見出し
キ編生基礎 - 図版 template.ai
図版内文字 abc
⬆ 図 ₂₄ ステップ
●
図版内文字 abc
見出し がお花畑をつくる場所もある。
キ編生基礎 - 図版 template.ai
⬆ 図 ₂₆ 砂 漠
●
❿ ツンドラ 北極圏などの寒帯には,
10
20
0
見られる。動物は夜行性のものが多い。
10
見出し
キ編生基礎 - 図版 template.ai
が分布する
(図
24)
。木本はほ
も見られる。ヒグマなどの大形哺乳
0
見出し
▶ p.223 m
キ編生基礎
- 図版 template.ai
⬆ 図 ₂₁ 針葉樹林
とんど存在しない。イネのなか
●
類も生息している。 10
▶
m
m
10
に発芽してお花畑をつくる一年生草本も
高さ( )
図版内文字 abc
図版内文字 abc
▶
サボテンのなかまなどの多肉植物が散在
する。種子で乾燥に耐え,降雨の後だけ
しん よう じゅ りん
15
キ編生基礎
- 図版 template.ai
81123-5-3熱帯多雨林モデル
(17*27)
キ編生基礎 - 図版 template.ai
p.221
5
81123-5-3- 照葉樹林モデル
(17*27)
10
0
▶
貯蔵したりするなどして乾燥に適応した
ブナ林
5
⬆ 図 ₂₃ サバンナ
●
の植物食性の哺乳類が豊富なバ
には, 針 葉 樹 林 が分布する
(図 21)
。
イオームで,それらを捕食する動物食性の哺乳類も生息する。乾季には,
広大なバイオームだが,森林を構成
高さ( )
見出し
26)
。葉の表面積を小さくしたり,水を
0
m
p.214
10
高さ
( )
分布する
(図 18)
。厚いクチクラ
10
高さ( )
こう よう じゅ りん
雨の多い地域には, 硬 葉 樹 林 が
する
(図 23)
。おもにイネのな
花するカタクリなども見られる。
さ ばく
に少ない地域には,砂 漠 が分布する
(図
⬆ 図 ₂₀ 夏緑樹林
●
かまの草本からなるが,木本も
10
❻ 針葉樹林 ユーラシア大陸から北
81123-5-3- 熱帯多雨林モデル
(17*27)
点在する。シマウマやヌーなど
10
0
アメリカ大陸の北部に広がる亜寒帯
❹ 硬葉樹林 温帯の中でも地中
81123-5-3- 照葉樹林モデル(17*27)
海沿岸のように夏に乾燥し,冬に
❾ 砂 漠 熱帯や温帯で降水量が極端
m
20
高さ
( )
やが見られる。
サ
年降水量が少ない地域には,
冬の落葉と季節による変化が著しい。
バ ン ナ とよばれる草原が分布
春,林冠の葉が広がる前に林床で開
( )
高さ
が発達しており,光沢があってつ
p.217
高さ( )
高さ( )
▶
ミズナラ,カエデ類などの落葉広葉
▶ p.218
▶ p.213
❼
サバンナ 熱帯や亜熱帯で
5
5
樹からなり,春の芽吹き,秋の紅葉,
20
これらの葉の表面にはクチクラ層
▶
165
そ の ペ ー ジ で 解 説し て い る バ イ
オームの分布のみを示しています。
❺ 夏緑樹林 温帯の中でも年平均気
均気温が比較的高い暖温帯には,
p.216
①熱帯多雨林・亜熱帯多雨林
②雨緑樹林
②
第3編 生物の多様性と生態系
ノキなどの常緑広葉樹からなる。
キ編生基礎 - 図版 template.ai
南回帰線
オニオオハシ
⬆ 図 ₁₃ 熱帯多雨林に見られるさまざまな生物 生物の種類はきわめて多様である。
●
葉樹林は,シイ類,カシ類,タブ
キ編生基礎 - 図版 template.ai
キ編生基礎 - 図版 template.ai
図版内文字 abc
図版内文字 abc
▶
チーク林
0
⬆ 図 ₁₅ 雨緑樹林
●
p.216
図版内文字 abc
図版内文字 abc
164
改訂版 生物基礎
高さ
( )
おもに常緑広葉樹からなる森林
で,東南アジアでは,フタバガ
▶
あ ねっ たい た
う りん
167
図版内文字 abc
図版内文字
abc⑧ ⑦
⑩
⑨
キ編生基礎 - 図版 template.ai
キ編生基礎 - 図版 template.ai
⑦サバンナ,低木林
⑧ステップ
⑨砂漠
⑩ツンドラ,高山植生
⬆ 図 ₂₈ 世界のバイオームの分布
●
(⑦~⑩のみを示したもの)
81117-4-3- 世界のバイオーム前半 .ai
(127.5*97.5)
第4章 植生の多様性と分布
169
9
本文とあわせて学んでおきたい「参考」
■しくみや現象の全体像をつかめる「参考」
本文で学んだ体内環境の維持にはたらくヒトの器官系を整理し,わかりやすくまとめています。
参 考
参 考
ヒトのいろいろな器官系
ヒトのいろいろな器官系
動物のからだでは,体液を循環させる循環系
(血管系とリンパ系)や,臓器の
内環境が維持されている。ここでは,ヒトのからだの各器官の位置とその名称を,
はたらきを調節する神経系・内分泌系など,さまざまな器官系が協調して,体
器官系ごとに見てみよう。
血管系,排出系
神経系,内分泌系
呼吸系,消化系
大脳
改訂版 生物基礎
赤…動 脈 血 が
流れる血管
青…静 脈 血 が
流れる血管
間脳
食道
唾腺
心臓
肺
気管
リンパ系
中脳
視床
視床下部
小脳
脳下垂体
脊髄
延髄
リンパ節
甲状腺
胸腺
肝臓
腎臓
輸尿管
胆のう
胃
すい臓
大腸
すい臓
副腎
ひ臓
小腸
ぼうこう
リンパ管
直腸
肝細胞
肝細胞
❹ 胆汁の生成 古くなった赤血球は,ひ臓や
肝臓で破壊される。このとき,赤血球の主成分
であるヘモグロビンが分解され, ビ リ ル ビ ン
とよばれる物質ができる。ビリルビンは胆汁の
胆管
81118-3- 参考 - 循環系と排出系 .ai(77*147)
140
81118-3参考141 ヒトのいろいろな器官系
- 循環系と排出系 .ai(77*147)
▲ p.140
∼
胆管
❸
第2編 生物の体内環境の維持
胆のう
中に含まれて,胆細管内に排出される。胆汁は
第3章 生物の体内環境
■学習内容を整理できる
胆 のう にいったん集まるが,食物が十二指腸 「参考」
5
胆のう
ビリルビン
たん
141
ビリルビン
胆汁
に達すると胆のうが収縮し,胆汁が十二指腸内
十二指腸
大気中には,体積の約 80 %もの窒素が含ま
本文で学んだことを関連づけて,学習内容を整理して理解できる
「参考」を扱っています。
胆汁
に放出される
(図 14)
。ビリルビンはその多く
根粒
十二指腸へ
れているが,多くの生物は直接これを利用す
⬆ 図 14 胆汁の生成と分泌
●
が便とともに体外に排出される。
ることはできない。しかし,土壌中や水中に
81117-3-2-胆汁の生成と放出
p.113 腎臓と肝臓の役割分担
◀
参 考
10
参 考
5
生息するアゾトバクターやクロストリジウム
腎臓と肝臓の役割分担
p.211
▶
▶
p.211
ここまで生物の多様性と共通性について見てきたが,ここでは生物を階層
などの細菌,ダイズやゲンゲなどの植物の根
▶
こん りゅう きん
性という視点で見てみよう。
p.214
に共生する 根 粒 菌 ,ネンジュモなどのシアノ
腎臓と肝臓は,ともに体液の調節器官・排出器官であるが,そこで扱って
すべての生物は
「細胞」からできており,
「細胞」は水やタンパク質,DNA な
❷
バクテリアといった生物は,大気中の窒素か
いる物質は異なっている
(図Ⅰ,表Ⅰ)
。
腎臓は,水やイオンなどのろ過・再吸収
ら植物が利用可能なアンモニウムイオンをつ
ちっ そ
こ てい
を調節することによって体液の状態を保ち,
くることができる。このはたらきを 窒 素 固 定
15
5
根粒菌
という。一方,土壌中の硝酸イオンや亜硝酸イオンのほとんどは植物に利
81117-5-3- 根粒と根粒菌 .ai(39.5*47.5)
さい きん
用されるが,ごく一部が 脱 窒 素 細 菌 のはたらきで窒素
(N2)に変えられ,
物も老廃物として排出される。
だっ ちつ
大気中にもどる
(脱 窒 )
。
尿
肝臓は,タンパク質や脂質,糖質などを
近年,人間の活動によって人工的に固定される窒素の量は,生物によっ
● 図Ⅰ 腎臓と肝臓による排出
合成・分解することによって,有機物の血
⬆
20
81118-3-2- 肝臓と腎臓 .ai
て固定される量を上まわっている。人間によって固定された窒素の大部分
中濃度を調節している。また,腎臓では排出できないビリルビンのような脂
(45.4*34.5)
15
溶性の物質は,胆管・消化管を経て,便中に含まれる形で排出している。
は,化学肥料の生産に使われている。この化学肥料が農耕地に投入され,
て
「器官」を形成している。そして
「組織」や
「器官」が集まって
「個体」が形成さ
れている。多くの場合,
「個体」が集まり,さらに,他種の
「個体」やそれらを
取り巻く環境とともに
「生態系」
を構成している。
10
便
どいろいろな
「分子」からできている。また,多細胞生物では,同じようなは
たらきをもつ
「細胞」が集まって
「組織」を形成し,いくつかの
「組織」が集まっ
⬆ 図 ₁₁ 根粒と根粒菌
●
過剰なものは尿として排出する。このとき,
10
だつ ちっ そ
肝臓で合成された尿素などの水溶性の有機
生物の世界の階層性
このように,
「分子」や
「細胞」から
「個体」
・
「生態系」へといった,ミクロか
らマクロへの階層性が見られることも生物の世界の特徴である。
分子
細胞小器官(▶ p.29)
細胞
⬇ 表Ⅰ 腎臓と肝臓の役割分担
河川や海洋の富栄養化を引き起こしている。
●
調節する物質
腎臓
p.197
排出する物質
扱う物質の性質
調節の程度
水溶性
厳 密
水,イオン,
参各種イオン,水
考 炭素循環と窒素循環の違い
尿素など
クロロフィル
(分子モデル)
有機物(糖・アミノ
ビリルビン,コレ
ここでは,炭素循環と窒素循環の違いについて考えてみよう。
脂溶性
大まか
酸,タンパク質)
ステロールなど
器官
炭素は,植物や動物,菌類・細菌などに取りこまれた後,それぞれの呼吸
20
さく
葉緑体
柵状組織の細胞
柵状組織 海綿状組織
肝臓
▶
組織
個体
によって大気中にもどる。つまり,炭素は各生物と大気との間で直接やりと
おうだん
❸ビリルビンが体内に過剰に蓄積すると,皮膚や眼などが黄色っぽくなる。この症状は黄
疸
りがある(開放的な循環)
。一方,窒素はおもに,植物や動物に取りこまれた後,
とよばれる。
枯死体・遺体・排出物に移って菌類・細菌などによって分解され,再び植物
葉
に吸収される。そのため,窒素循環における生物と大気とのやりとりは窒素
第3章 生物の体内環境 113
固定や脱窒によるものしかなく,大部分は生物の間での循環である
(閉鎖的
25
生態系
な循環)。このように,生物と大気とのやりとりという点において,炭素と
窒素では循環のしかたに大きな違いがある。
▲❷アゾトバクターやクロストリジウム,根粒菌などをまとめて
p.191 炭素循環と窒素循環の違い 窒素固定細菌 という。アゾト
ちっ そ
こ ていさいきん
バクターは好気性,クロストリジウムは嫌気性の窒素固定細菌である。
10
第5章 生態系とその保全
▲ p.27 生物の世界の階層性
ブナ
191
⬆ 図Ⅰ 生物世界の階層性 ●
ブナ林
第1章 生物の特徴
27
❷
参 考
で,生体触媒ともよばれる。
特定外来生物
①
②
①過酸化水素水
②過酸化水素水に肝臓片を加
えたもの
③過酸化水素水に酸化マンガ
ン
(Ⅳ)
を加えたもの
③
2005 年 6 月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法
5
興味づけのための読み物は「コラム」に
律」
(外来生物法)が施行された。この法律では,日本に移入された外来生物
(2000 種以上に及ぶ)の中から,生態系や人体・農林水産業などに大きな影響
を及ぼす,あるいは及ぼす可能性のある生物が 特 定 外 来 生 物 に指定され,飼
■読めばなるほど!身近な話題で興味づけ
とく てい がい らい せい ぶつ
▶
過酸化水素 → 水 + 酸素
(H2O2) (H2O) (O2)
p.226
育や栽培・輸入などの取り扱いが原則として禁止された。
び わ
⬆図
●
16 過酸化水素の分解
学習内容に関連した身近な話題を,読みやすい
「コラム」
として取り上げています。
10
そのほかにも,琵琶湖では釣り上げたオオクチバスやブルーギルの再放流
(リリース)が条例で禁止されたり,沖縄では移入されたマングースを捕獲す
コラム
るなどの対策がされている。
コラム
▶
p.224
洗濯用洗剤に含まれる「酵素」
15
洗濯用洗剤のパッケージで
「酵素」が入っているという記
載が見られることがある。洗剤に入っている
「酵素」は,微
生物を培養して生成させた酵素を取り出したものであり,
外来生物がときとして移入先で増えて定着し,現地の生態系のバランスをくず
主として,衣類汚れの原因となるタンパク質や脂質などを分解させるために入れ
してしまうことがあるのはなぜだろうか。
15
られている。つまり,私たちの消化管で細胞外
(消化管内)
へ分泌されてはたらく
20
生物は長い進化の過程の中で,その生態系でほかの生物との食う食われるの関
消化酵素と同じ役目をしている。酵素の多くは細胞内ではたらいているが,この
係をはじめとするさまざまな関係があり,その中で生活している。すなわち,本
ように,酵素は細胞外でも機能を失うことなくはたらくのである。
来の生態系では,ある生物が一方的に増えすぎないように調節されており,生態
系全体としてバランスが保たれている。
ここに外来生物が入ってくると,移入先
の生態系には外来生物にとっての捕食者や
20
38
第1編 生物と遺伝子
病原菌などがいない場合があったり,在来
生物が外来生物の捕食などに対して防御機
改訂版 生物基礎
外来生物が増える理由
▲ p.38 洗濯用洗剤に含まれる「酵素」
日常生活で目にする洗剤に入っている「酵素」と
生物基礎で学習する「酵素」とをつなぐ内容に
なっています。
構をもたなかったりする場合がある。つま
り,外来生物は在来生物との間に個体数を
め,場合によっては外来生物が一挙に増え
て,在来生物が一方的に排除され,生態系
のバランスがくずれてしまうことがある。
■研究の歴史も学べる
25
p.200 外来生物が増える理由
愛玩用などの目的でもちこまれた外来生物がなぜ
問題になることがあるのかを説明しています。
▲
調節する関係がつくられていない。そのた
⬆ 図Ⅰ グリーンアノール ペットと
●
してもちこまれたものが野生化した。
小笠原諸島では,固有のチョウやトン
ボを捕食し,一部の島で絶滅させた。
科学史関連の内容は
「コラム」にまとめ,「history of science」という副題をつけて扱っています。
200 第3編 生物の多様性と生態系
▶ p.89 分化した細胞の遺伝情報についての研究の歴史
ニュースで話題になった最新の研究についても掲載しています。
コラム
「遺伝子の本体」の研究の歴史
細胞の核
混ぜる
アフリカツメガエルの幼生の小腸の
タンパク質を
分解する酵素
この事実も,第二次世界大戦のころにはまだ明らかになっていなかった。先人た
混ぜる
▶
S 型菌が現れる
わせた未受精卵に移植した
(図Ⅰ)
。
S型菌の
抽出液
質に注目した実験を行い,遺伝の規則性を発見した。20 世紀になると,サット
DNAを分解
する酵素
10
は DNA とタンパク質から構成されているため,そのどちらが遺伝子の本体なの
形質転換は
核小体1個の核をもつ細胞からなる
しかし,分化したカエルの細胞を取り出して培養しても成体は得られない。こ
81118-2-1- エイブリーらの実験 .ai
(108.5*41.75)
10
▶
染させても発病しない非病原性の R 型菌とがある。
ガードンの研究以降,分化した細胞を初期化,つまりロックをはずして,全能
性をもつ細胞をつくり出す研究が行われた。2006 年,山中伸弥らは,分化した
5
注射
15
発病せず
induced pluripotent stem cells
形質を発現するとともに,それを子孫に伝えることができる物質であることが明
る治療など,医療分野で大きな期待がもた
10
20
注射
R型菌
エイブリーらの実験 エイブリー
25
大腸菌のDNA
このような業績により,ガードンと山中
は分解される
伸弥は,2012 年にノーベル生理学・医学
賞を受賞した。
DNA
発病する
大腸菌
25
T2ファージ
⬆ 図Ⅰ グリフィスの実験
●
(アメリカ)
らは,S 型菌をすりつぶして得た抽出液を R 型菌に混ぜて培養すると,
❷
れており,いまはその推進に向けて,安全
性や応用についての研究が続けられている。
感染
混ぜて注射
けい しつ てん かん
のような現象を 形 質 転 換 という。
らかになった
(1952 年)
。
タンパク質の殻
発病せず
型菌に取りこまれ,それによって R
わったものと考えられた
(図Ⅰ)
。こ
DNA だけを大腸菌内に侵入させること,また,ファージが感染した大腸菌の中
能力をもつ細胞の作製に成功し,iPS 細胞(人工多能性幹細胞)と名づけた。iPS
ファージがつくられることがわかった
(図Ⅲ)
。これらのことから,DNA は遺伝
失った組織に分化させてその組織を再生す
発病する
来する何らかの物質が生きている R
❶
大腸菌の内部に侵入するのはどちらなのかを調べた。その結果から,ファージは
20
細胞に外部から複数の遺伝子を導入することにより,さまざまな細胞に分化する
ではファージの DNA だけではなくファージのタンパク質も合成され,多数の子
細胞については,iPS 細胞をけがや病気で
注射
その血液中から生きた S 型菌が多数
型菌が S 型菌の形質をもつように変
おり,このような性質を 全 能 性 という。分化した細胞は全能性を失っている。
ジの DNA とタンパク質を特殊な方法で別々に標識し,ファージが感染する際に
ウスに注射しても発病しないが,こ
見つかることを発見した
(1928 年)
。 S型菌を
これは,加熱して殺した S 型菌に由 加熱殺菌
ある。受精卵は,1 個の成体を構成するすべての細胞をつくり出す能力をもって
p.31
大腸菌に寄生して増殖する。ハーシーとチェイス
(ともにアメリカ)
は,T2 ファー
p.224
すると,そのマウスは発病して死に,
れは,分化に伴って,不要な遺伝子は発現しないようロックされてしまうからで
ぜん のう
せい をもち,
DNA
T2 ファージというウイルスは,タンパク質の殻でできた頭部に
肺炎双球菌には,マウスに感染させると肺炎を発病する病原性の S 型菌と,感
S型菌
15
3.ハーシーとチェイスの実験
2.グリフィスとエイブリーらによる肺炎双球菌を使った実験
れを生きている R 型菌と混ぜて注射
成体
の核にも,からだをつくるのに必要なすべての遺伝子があることが示された。
⬆ 図Ⅱ エイブリーらの実験
●
かが議論されていた。
ギリス)は,熱で殺した S 型菌をマ
幼生
R型菌
この実験では,低い確率であるが, ●
⬆ 図Ⅰ アフリカツメガエルの核移植実験
核を移植した卵から正常な幼生や成
この実験で得られた個体と核を取り出した
培養
個体とは遺伝的に同一である。
体が得られ,分化したカエルの細胞
起こらない
混ぜる
ン
(アメリカ)
らによって,染色体に遺伝子があるという説が提唱された。染色体
R型菌
腸
腸の上皮
細胞の核
p.219
上皮細胞から核を取り出し,これを,
S型菌
紫外線を照射して核のはたらきを失
培養
形質転換により
5
19 世紀,メンデル
(オーストリア)はエンドウの種子の形や子葉の色などの形
グリフィスの実験 グリフィス
(イ
幼生
腸の上皮細胞
未受精卵
培養 年,ガードン
形質転換により
1962
(イギリス)
は,
S 型菌が現れる
ちのさまざまな研究によって,遺伝子の本体は DNA であることが証明された。
▶
紫外線照射
腸の上皮
情報をもっていることは,次のよう
遺伝子の本体は DNA である。今では教科書に当たり前のように書かれている
p.211
分化した細胞の遺伝情報についての研究の歴史
S型菌
R型菌
な実験によって示された。
無処理
5
▶
核小体1個の系統
history of science
分化した細胞が受精卵と同じ遺伝
history of science
1.タンパク質か DNA か
発 展
核小体 2 個の系統
コラム
⬆ 図Ⅱ 山中伸弥
(左)とガードン(右)
●
❶山中らが外部から導入した遺伝子が発現することによって,分化した細胞における遺
伝子のロックをはずしたことと同じ効果が得られたと考えられる。
DNAだけが注入さ
大腸菌の
❷ iPS 細胞に似た能力をもつ細胞として,受精卵から発生する途中の哺乳類の胚
(発生
れ,殻は外に残る
はいせいかんさいぼう
DNA
初期の個体)から得られる ES 細胞(胚 性 幹 細 胞 )がある。ES 細胞は,分化が進んでい
embryonic stem cells
ない胚から得られるためさまざまな細胞に分化する能力を維持しているが,発生が進
むと成体になる細胞を壊さなければ得られないため倫理的な問題が指摘されている。
R 型菌から S 型菌へ形質転換するものが出現し,いったん S 型に形質転換した菌
81118-2-1- グリフィスの実験 .ai
(59.2*67.5)
型菌の抽出液を
▲ は,S
p.60型菌の性質を維持して増殖することを発見した。また,S
∼ 61 「遺伝子の本体」
の研究の歴史
タンパク質分解酵素で処理したものでは R 型菌から S 型菌への形質転換が起こ
るが,抽出液を DNA 分解酵素で処理したものでは R 型菌から S 型菌への形質転
換が起こらないことも明らかにした
(1944 年,図Ⅱ)
。
30
第2章 遺伝子とそのはたらき
約30分後, 大腸菌が崩壊
し,子ファージが出てくる
ファージのDNAがつくられ,殻の
タンパク質もつくられる
⬆ 図Ⅲ T2 ファージの増殖
●
キ生基礎 81118-2-1-T2 ファージの増殖 .ai
(108.5*58.5)
60
第1編 生物と遺伝子
89
第2章 遺伝子とそのはたらき
11
61
ると,より強力な適応免疫がはたらく。
節が炎症を起こしたり変形したりする関節リウマチや,インスリンの分泌
⬆ 図 38 スペイン風邪流行時の病院
●
しかし,初めて侵入した異物に対して適
0
細胞が標的となるⅠ型糖尿病などがある。
▶ p.124
応免疫が発動するには,1 週間ほどかかる。また,免疫そのもののはたら
自己免疫疾患は,体内に侵入した異物が,自身の細胞や成分の物質に似
きが低下して,異物を排除しきれなくなることもある。このような状態で,
5
ていることが原因で起こる場合が多い。侵入した異物に対応したリンパ球
ヒトや環境など身近な話題で興味がわく
体内で病原体などのはたらきが活発になると,からだはさまざまな病気を
や抗体が,異物に似た自身の成分を異物と間違って認識し,免疫によって
■ヒトのからだや健康に関する話題を掲載
発症する。さらに,異物に対する免疫反応が過敏になったり,免疫が自分
攻撃してしまうのである。
自身の細胞や組織を攻撃したりすることで引き起こされる病気もある。
生徒の興味がわくような,ヒトのからだや健康に関する話題を数多く取り上げています。
▏
D 医療への応用 ▏❶ 予防接種 適応免疫では,免疫記憶のはたらきに
参 考
◀ p.137 参考 インフルエンザ
よって,一度かかった感染症に対して強い抵抗力を長くもち続けることが
直前で学んだ免疫のしくみをもとに,イン
インフルエンザ
10
できる。この性質を利用して,弱毒化した病原体やその産物を接種し,抗
フルエンザが毎年流行する理由についてわ
かりやすく解説しています。 よ ぼう せっ しゅ
体をつくる能力を人工的に高めて免疫を獲得させる方法を 予 防 接 種 とい
免疫と病気のかかわりを,身近な例で見てみ
う。また,予防接種の際に投与するものを ワクチン という。
よう。インフルエンザは,インフルエンザウイ
改訂版 生物基礎
ルス
(図Ⅰ)によって引き起こされる病気である。
❷ 血清療法 毒ヘビにかまれたときなどは,毒素を速やかに排除しなけ
インフルエンザウイルスに感染すると,発熱や
ればならない。その場合,ほかの動物にあらかじめ抗体をつくらせておき,
100 nm
からだの痛みなどの症状が約 2 週間にわたって
15
その抗体を含む血清を注射する 血 清 療 法 という方法が用いられる。
❶
▶
p.102 ファイル名 .ai
81117-2-0続く。適応免疫が発動した後,その効果が強く ●
⬆ 図Ⅰ インフルエンザウ
けっ せいりょうほう
あらわれはじめると,症状は穏やかに回復する。 イルス(電子顕微鏡写真に着色)
発 展
花粉症が起こるしくみ
からだには免疫記憶のしくみが備わっているため,同じウイルスが再び侵
入した場合,発症する前に速やかに排除することができるようになる。しか
花粉症は,肥満細胞とよばれる特殊な細胞から分泌されるヒスタミンとい
し,インフルエンザウイルスは,その特徴となる構造が変化しやすく,免疫
う物質によって引き起こされる。
記憶が効果を発揮しにくい。そのため,過去にインフルエンザにかかったこ
❷ 花粉が目や鼻の粘膜に付着すると,花粉の中から抗原となる物質が放出さ
とがあっても,再び感染してしまうことがある。
れる。花粉の抗原に対する抗体がつくられると,その抗体は,粘膜や皮膚に
❶抗ウイルス剤(ウイルスのはたらきを抑える薬)などを投与すると,症状が回復するま
ある肥満細胞に結合する
(図
での期間が短くなることがある。
Ⅰ①)
。抗体が結合した肥満
❷インフルエンザへの感染を未然に防ぐため,予防接種(▶ p.139)
を行うことがある。
花粉の抗原
抗体
細胞は,再び花粉の抗原に出
▶ p.139 発展 花粉症が起こるしくみ
免疫の分野に関連して,身近な疾患である
花粉症が起こる原因を解説しています。
会うとヒスタミンを放出する
(同図②)。このヒスタミンの
はたらきによって,くしゃみ
肥満細胞
①花粉の抗原に対す
る抗体がつくられ,
肥満細胞に結合
レルギー症状があらわれる。
⬆ 図Ⅰ 花粉症のしくみ
●
137
第3章 生物の体内環境
や鼻水,目のかゆみなどのア
■身のまわりの自然や環境への理解が深まる
ヒスタミン
②花粉の抗原が結合
するとヒスタミン
を放出
「コラム」や後見返しなどで,日本の自然についての話題をまとめて扱っています。
81118-3-4- 花粉症のしくみ .ai
(64.3*36.5)
3 日本にある世界自然遺産
◀後見返し
日本にある世界自然遺産
第3章 生物の体内環境 139
日本で世界自然遺産に指
定されている場所を,地
図と写真で概観し,そこ
に生息する動植物を紹介
⬇ 表 1 脊椎動物の現存種の概数
●
このようなさまざまな環境には,数
しています。
❶
(▶ p.175)
日本では 4 つの地域
(知床・白神山地・小笠原諸島・屋久島)
が世界自然遺産に登録されている。
それぞれの場所には,貴重な景観や固有の生物が見られ,独自の生態系が形成されている。
シレトコスミレ
オオワシ
50°
ヒグマ
分類群
千万種ともいわれる多種多様な生物が
アオモリマンテマ
鳥類
形的な違いや,場所に応じた生活のし
5
かたなどに多様性が見られる。例えば,
脊椎動物 は虫類
両生類
知床(北海道,2005 年 7 月登録)
せきつい
ほ にゅう
北半球で最も低緯度で流氷が見られる。流氷の影響を受け
た海と陸の生態系が互いに深くかかわっている顕著な例が
見られる。多くの希少種や固有種が生息しており,生物の
多様性が見られる貴重な地域である。
魚類
脊椎動物の中の哺乳類だけを見ても,極
ブナ林
白神山地(青森県・秋田県,1993 年 12 月登録)
青森県から秋田県にまたがる白神山地には,東アジア最大
のブナの原生林が広がっている。人の手による開発や森林
破壊が行われていないブナ林は世界的にも貴重で,固有種
などの希少な生物も見られる。
現存種の概数
哺乳類
生活している。これらの生物には,外
45°
※
地・砂漠や草原,森林,高山,海洋や (参考)無脊椎動物
ニホンザル
河川などさまざまな環境で,それぞれ
に適した形態や機能をもった動物が生
35°
10
ハハジマメグロ
ヤクシマタゴガエル
5500
10000
10000
7300
33000
1300000
※無脊椎動物の種数は,現在,命名さ
れているもののみの概数。実際には,
それ以上存在する。
活している
(図 1)
。
コラム
日本で見られるさまざまな生物
ザトウクジラ
30°
南北に細長く,地域によって気候の異なる日本には,森林や草原,湖や川,海
などにさまざまな生物が生息している。
オガサワラオオコウモリ
25°
スギ
ヤクシカ
屋久島(鹿児島県,1993 年 12 月登録)
標高約 2000 m の山があることから,1 つの島の中で日本に
見られるバイオームの垂直分布が観察できる。温暖で年間
降水量が多く,樹齢 1000 年以上の天然スギも見られる。固
有種が多く,世界的にも珍しい貴重な森林景観が広がる。
125°
130°
135°
0
200 km
140°
145°
▶ p.23 コラム 日本で見られるさまざまな生物
12
ニホンカモシカ
ニホントカゲ
アマゴ
ミヤマクワガタ
ヒダリマキマイマイ
アカウニ
オオヤマザクラ
クリタケ
ワカメ
小笠原諸島(東京都,2011 年 6 月登録)
日本列島から約 1000 km 離れたところに位置し,30 あまり
の島々から構成されている。気候帯は亜熱帯に属し,多く
の固有種が生息する。なかでも,カタツムリやナメクジな
どの陸生貝類は 90%以上が固有種である。
しゅ
⬅ 図 Ⅰ 日 本 に 生 息 す
●
る生物
日本の野生生物の既知
種数の概数について,次
のようなデータがある。
・脊椎動物…1400 種
・無脊椎動物…40500 種
・植物…8800 種
・菌類…3000 種
・藻類…3000 種
※すべての分類群を取り
あげているわけではな
い。また,ワカメやク
ロレラ
(▶ p.51)など,
植物以外で葉緑体をも
ち,光合成をする生物
をまとめて藻類という。
❶生物の分類の基本的な単位を 種 という。種は,形態などに共通の特徴をもつ個体の集まり
で,同種内では交配によって生殖能力をもつ子孫を残すことができる。
使いやすい「発展」でいっそう理解が深まる
■「生物基礎」に関連の深い「生物」の内容を見開きで
左頁に本文,右頁に関連する「発展」を配置して,教えておきたい内容を見開きでまとめています。
▶ p.40 ∼ 41 代謝と酵素
左頁で代謝における酵素
のはたらきを解説し,さ
らに右頁の「発展」で酵素
の基質特異性について解
説しています。
▏
B 代謝と酵素 ▏生体内では,生命活動を支えるために非常に多くの化
発 展
学反応が行われている。通常ではもっと高い温度でしか起こらないような
2
られる。例えば,呼吸では,グルコースが完全に分解されて二酸化炭素と水
素が存在しているからである。酵素の存在により,何千もの化学反応が 1
▶
発 5展
呼 吸 つの細胞内で整然と起こっている。酵素自体は,反応の前後で変化しない
細胞内で酸素を利用して有機物を分解し,このとき取り出されたエネル
ため何度も再利用され,少量でも多くの反応を促進することができる。
こ きゅう
ギーを用いて ATP
を合成するはたらきを 呼 吸 という。呼吸では,細胞内
代謝はふつう,いくつもの連続した反応から成り立っている。図
17 の
▶
p.29
p.46
ができるまでに,何十種類もの酵素が関与している。生体内で代謝に伴って
呼吸の過程
はたらく酵素は何千種類もあるといわれているが,なぜ,そんなに多くの種
5
類の酵素が必要なのだろうか。 マトリックス
ミトコンドリアは二重の膜構造でできており,
DNA
前ページの図 17 で,物質 A にはたらく酵素 A は,物質 A を物質 B に変え
内膜は内側に折れこんだひだをつくっている。内
る反応 A を進めるが,それ以外の物質には作用しない。また,物質
B にはた
膜に囲まれた部分をマトリックスという
(図Ⅰ)
。
改訂版 生物基礎
にあるミトコンドリアが重要な役割を果たしている。
例では,物質 A から B → C → D を経て最終産物 E となるので,4 段階の
酵素の基質特異性-多種類の酵素が必要な理由-
生体内で起こっている化学反応の多くはそれぞれ異なる酵素によって進め
反応が常温で速やかに起こっているのは,それぞれの化学反応を進める酵
5
細胞に取りこまれたグルコースなどの有機物は,酸素を利用して段階的
反応を経ている。それぞれの反応を進めるときには異なった酵素がはたら
らく酵素 B は,物質 B を物質 C に変える反応 B を進めるが,それ以外の物
5
呼吸は,細胞質基質で行われる解糖系と,ミト
に分解され,最終的には二酸化炭素と水ができる。この過程でエネルギー
くので,この場合は 4 種類の酵素がはたらいている。
10
10
質には作用しない。このように,酵素はそれぞれ決まった物質としか反応し
外膜
コンドリアで行われるクエン酸回路・電子伝達系
き しつ
内膜
基 質 といい,このような決まった物質と
ない。酵素が作用する相手の物質を
の 3 段階の過程からなる。グルコース
(C6H12O6)
81118-1-3- エネルギー矢印 .ai
が取り出され,そのエネルギーによって,ADP とリン酸から ATP が合成
● 図Ⅰ ミトコンドリア
基 質 特 異 性 という。酵素が基質特異性を示すのは,酵
81118-1-3-ミトコンドリア.ai
を二酸化炭素
(COしか反応しない性質を
まで分解し,そのとき取り出
2)
かっ せい ぶ い
(36*29)
活 性 部 位 とよばれる部位があり,
素にはそれぞれ特有の立体的な構造をもつ
されるエネルギーを用いて
ATP を合成する
(図Ⅱ)
。
き しつ とく い せい
酵素A
酵素B
酵素C
酵素D
される。ATP のエネルギーは,体内で行われるさまざまな生命活動のエ
ネルギーとして利用される
(図 21)
。
反応 A
反応 B
反応 C
反応 D
呼吸の全体の反応をまとめると,次のように表すことができる。
物質A
物質B
物質C
物質D
⬆
こう そ
10
10
物質E
き しつ ふく ごう たい
この活性部位に適合する物質
(基質)
だけが酵素と結合して
① 解糖系 グルコース
(C6H12O6)がピルビン酸
(C3H4O
に分解される過程で酵 素 -基 質 複 合 体
3)
NADH と15ATP をつくって,酵素の作用を受けるためである。
が合成される。この反応に関与する酵素は細胞質基質にある。
有機物 + 酸素 → 二酸化炭素 + 水
酵素が基質特異性をもつため,生体内で行われる数多くの化学反応を進め
② クエン酸回路 ピルビン酸が,ミトコンドリアに取りこまれ,内膜やマ
⬆ 図 17 代謝における酵素のはたらきの例
●
(C6H12O6) (O2)
(CO2)
(H2O)
るためには,それぞれの基質に対応した多くの種類の酵素が必要となるので
81118-1-2- 酵素のはたらきの例改 .ai(115.5*26.6)
トリックスに存在する酵素によって段階的に分解される。この過程では,
エネルギー(ATP) ▏酵素の中には,唾液などに含まれるアミラー
酵素がはたらく場所
▏
C
ある。
二酸化炭素が放出されるとともに,NADH
と ATP が合成される。
呼 吸
燃 焼
呼吸の過程における化学反応もさまざまな酵素によって促進されている。
ゼのような消化酵素のように,細胞外に分泌されてはたらく酵素もあるが,
15
③ 電子伝達系 解糖系・クエン酸回路で生じた
NADH は,受け取ったエネ
81118-1-3- エネルギー矢印 .ai
基質
多くの酵素は細胞内ではたらいている。細胞内ではたらいている酵素は,
【燃焼】
【呼吸】
呼吸は,酸素の存在下で有機物を分解してエ
細胞内に一様に分布しているの
ネルギーを取り出す点で,燃焼という現象に似
ではなく,それぞれ特定の場所
ている。しかし,燃焼では反応が急激に起こり,
有機物
O動物細胞
2
に関連した酵素群はミトコンド
て放出されるのに対し,呼吸では多数の酵素反
(図 18)
。
ルギーの一部で 酵素群は葉緑体にある
ATP が合成される点で異なる。
熱・光
ATP
15
熱
ATP 呼吸に関する酵素群
(ミトコンドリア)
ATP
O2
20
各種物質の合成など
CO2,H2Oに関する酵素群
CO2,H2O
エネルギー
植物細胞
(細胞質基質)
⬆ 図 20 燃焼と呼吸の比較
●
特定の場所に存在してはたらく
ミトコンドリア
グルコース
などの有機物
ことで,代謝が秩序立てて行わ
ATP
有機物
エネルギー
れるようになる。
酸素
(O 2)
二酸化炭素 + 水
40
ルギーを電子伝達系へ渡し,電子伝達系ではそのエネルギーを利用して
他の物質
(結合しない)
ATP が合成される。この反応で酸素
(O2)
が利用され水
(H2O)
が放出される。
酵素-基質複合体
(C6H12O6)
+ 6O2 + 6H2O → 6CO2 + 12H
2O
ATP
活性部位
NADH
基質と
エネルギー
(ATP)
結合す
呼吸によって生成される
る部分 ATP の 8 割以上は電子伝達系で生成される。
細胞
酵素
NAD+
ADP
20
NAD+
ADP
ATP
光合成に関する酵素群
ADP
エネルギー
(葉緑体)
グルコース
C6H12O6
エネルギー
生命活動
⬆ 図 18 細胞内ではたらく酵素
●
への利用
ADP +リン酸
81118-1-2- 細胞内ではたらく酵素 .ai
(62.5*51)
NADH
ATP
NADH
ATP
②
ピルビン酸
クエン
⬆ C3H4O3
① ● 図Ⅰ 酵素の基質特異性
酸回路
解糖系
ミトコンドリア
活性部位に基質が結合する
反応が完了する
NADH
ATP
酵素は,繰り返しはたらく
(内膜)
NAD+
(マトリックス)
③
電子伝達系
ADP
キ生基礎 - 図版 template.ai
(細胞質基質)
第1編 生物と遺伝子
二酸化炭素
水
(CO 2) (H 2O)
ADP
41
81118-1-2- 酵素の基質特異性 .ai
(108.5*61.25) 第1章 生物の特徴
6H2O 6CO2
6O2 12H2O
ATP
エネルギーの
移動を示す
⬆ 図 21 呼吸の概要
●
キ生基礎 - 図版 template.ai
⬆ 図Ⅱ 呼吸の過程 NAD+は,エネルギーの受け渡しにはたらく分子である。
●
811118-1-3- 呼吸の過程 .ai
(108.5*45.5)
81118-1-3- 呼吸の概要 .ai
(115.5*41.5)
46
生成物
以上の呼吸の反応をまとめると,次のような反応式で表される。
15
81118-1-3- 燃焼と呼吸の比較 .ai(38.4*37)
このように,酵素が細胞内の
細胞
生命活動の
エネルギー源
▶ p.46 ∼ 47 呼吸
呼吸の概要を左頁で解説
し,さらに「発展」として,
呼吸の詳しいしくみを右
頁で解説しています。
熱
熱
に存在している。例えば,呼吸
取り出されたエネルギーの大部分が熱や光とし
リアにあり,光合成に関連した
応が段階を追って進められ,取り出されたエネ
有機物
図版内文字 abc
図版内文字 abc
第1編 生物と遺伝子
■より教えておきたい「発展」は本文と同じ体裁で記載
47
第1章 生物の特徴
より「生物基礎」の内容に関連した「生物」の内容は,学習のしやすさに配慮して,本文と同じ体裁で記載しています。
核の内部構造
核膜孔
核の内部には,DNA とタンパク質
(ヒストンと
基本的な構造は共通している。細胞には,遺伝情報を担う DNA をはじめ
かく まく
5
5
さい ぼう まく
いろいろな種類の多数の分子が,細 胞 膜 によって包まれた構造をしている。
まく こう
膜 孔 とよばれる小さな穴が多数あり,さまざまな
分子が出入りしている
(図Ⅰ)
。
もつ 真 核 細 胞 と,核という構造をもたない 原 核 細 胞 がある。
=
けつ ごう
β鎖
β鎖
81118-2-2- 二次構造 .ai
(57.6*41.5)
15
ヘム
2 µm
ポリペプチド鎖
質ポリペプチド
がつながったペプチド鎖
)からなり(同図右),そのアミノ酸の配列
(細 胞 質 基(
)
で満たされている。細胞質基
81118-1-1- 葉緑体スケール .ai
⬆ 図 10 葉緑体
●
α鎖
を一次構造という。一次構造はタンパク質の基本構造であり,この基本構造がタ
質には,多くの種類のタンパク質が含まれ,(電子顕微鏡写真に着色)
細胞壁
しん かく せい ぶつ
R1
R2
- -
- -
81118-1-1- 真核細胞の基本構造 .ai(120*51)
❶植物細胞に見られる細胞壁は,張力や圧力にも耐えられる構造をつくって,細胞を保護し,
形を保持する役割をしている。細胞壁は,細胞質に含めない。
- -
- -
-
=
-
=
-
アミノ酸
=
-
-
=
H-N-C-C-N-C-C-O-H
第1編 生物と遺伝子
-
=
-
=
H H O H H O H H O H
有機物,無機塩類などを含む細胞液で満たされている。また,赤色や紫色の花弁の細胞の
H H O
液胞には,アントシアンなどの色素が含まれている。
アミノ酸1
アミノ酸2
さ い ぼ う し つ りゅう ど う
❸生きた細胞では,細胞小器官が流れるように動く 細 胞 質 流 動(原形質流動)という現象が見
H2O
られることがある。
H H O
H H O H H O
アミノ酸1
▶ p.68 ∼ 69 タンパク質の構造
遺伝情報の転写・翻訳をより深く
理解できるように,タンパク質の
基本構造についてまとめています。
- -
- -
⬆ 図 8 真核細胞の基本構造
●
10
H-N-C-C-N-C-C-N-C -C-N-………
H-N-C-C-O-H
H-N-C-C-O-H
❷成熟した植物細胞では,発達した大きな液胞が見られる。液胞は,タンパク質や糖などの
-
動物細胞
- -
生
このような真核細胞からなる生物を
R3
R1 真 核R
2 物 という。
R2
R1
❷
アミノ酸2
ポリペプチド
多数のアミノ酸が
つながってできる
第1章 生物の特徴
アルファ
列によって,分子内で部分的にゆるやかに結合し,らせん状の構造
(α ヘリック
キ生基礎 - 図版 template.ai
第1編 生物と遺伝子
タンパク質を構成するアミノ酸の種類
81118-2-2- タンパク質の三次構造四次構造 .ai
(108.5*43.25)
タンパク質を構成するアミノ酸は,20 種類ある。図Ⅰにその一部を示す。
20
SH
CH2
NH2 CH COOH
CH3
CH CH3
CH2
NH2 CH COOH
H
NH2 CH COOH
CH3
CH CH3
NH2 CH COOH
COOH
CH2
NH2 CH COOH
グリシン
バリン
アスパラギン酸
システイン
ロイシン
CH3
S
CH2
CH2
NH2 CH COOH
CH
HN N
C CH
CH2
NH2 CH COOH
H
H C C C H
H C C C H
CH2
NH2 CH COOH
OH
H C C C H
H C C C H
CH2
NH2 CH COOH
メチオニン
ヒスチジン
フェニルアラニン
チロシン
ポリペプチド
多数のアミノ酸が
つながってできる COOH
ポリペプチド CH2
NH2 CH COOH
多数のアミノ酸が
グルタミン酸
つながってできる
- 図版 template.ai
ポリペプチド鎖は,構成するアミノ酸の種類と配
▏
B タンパク質の立体構造 ▏キ生基礎
68
29
参 考
CH2
ペプチド結合
⬆ 図Ⅱ ペプチド結合とポリペプチド
●
81118-2-2- ペプチド結合 .ai
(115.5*52.5)
α鎖
⬆ 図Ⅳ タンパク質の三次構造
●
(左,ミオグロビン)と四次構造(右,ヘモグロビン)
ンパク質の立体構造に大きな影響を与えている。
それらのタンパク質によって,細胞内の生命活動が営まれている。
細胞膜
28
p.42
❸
さい ぼう しつ き
さ しつ
R
ヘム
▶
核やミトコンドリア,葉緑体などの細胞
れて結合する
(図Ⅱ左)
。この- CO - NH -の結合を ペプチド結 合 といい,2 個以上
細胞質基質
液胞
ヘム(酸素が結合する部位)
20
小器官のまわりは,流動性に富んだ基質
のアミノ酸がつながったものをペプチドという。タンパク質は,多数のアミノ酸
ミトコンドリア
R
が平行に並ぶ
三次構造(ミオグロビン)
カルボキシ基
ー COOH
⬆ 図Ⅰ アミノ酸の基本構造
●
のが多い
(図 10)
。葉緑体では,光のエネ
❷ ペプチド結合
隣りあうアミノ酸どうしは,一方
こう ごう せい
ルギーを吸収して 光 合 成 が行われている。
81118-2-2- アミノ酸の基本構造
.ai(36*39.75)
のアミノ酸のカルボキシ基ともう一方のアミノ酸のアミノ基から,水
1 分子がと
核
(内部にDNAがある)
R
複数のポリペプチド鎖が組み合わさって,四次構造(図Ⅳ右)をつくるものもある。
複数のペプチド鎖
10
によってアミノ酸の性質が決まる。
R
側鎖
R
R
⬆ 図Ⅲ タンパク質の二次構造
くる。また,タンパク質によっては, ●
0.4 µm
81118-1-1- ミトコンドリアスケール .ai
H O
⬆H図 9 ミトコンドリア
●
2~
アミノ基
つものなど,さまざまなものがあり,この側鎖の違い
とつ
ぼう すい けい
3 µm の凸 レンズ形や紡 錘 形 をしているも ー NH2
植物細胞では,細胞膜の外側に 細 胞 壁 がある。
植物細胞
▶ p.46
よう りょく たい
側鎖には,水を引きつける性質
(親水性)をもつものや
葉 緑 体 は,植物の細胞に存在する細胞
81118-1-1- 核スケール
15 .ai
⬆ 図 7 核
●
(トウモロコシの根端
反発する性質
(疎水性)をもつもの,正や負の電荷をも
15
小器官であり,直径 5 ~ 10 µm,厚さ
の細胞)
- -
5 µm
-
厚さが 5 ~ 10 nm の膜で,細胞膜を通してさ
R
本のポリペプチド鎖は,これらの二次
雑な立体構造(三次構造,図Ⅳ左)をつ
H-N-C-C-O-H
り出すはたらきが行われている。
アミノ酸
R
構造がさらに組み合わされて,より複
側鎖
R
によって生命活動に必要なエネルギーを取
び側鎖
(図Ⅰ中の R で示す)が結合した有機物である。
5
5
アミノ酸の基本構造
NH2)
,カルボキシ基
(- COOH)
,水素原子
(H)
,およ
さい ぼう まく
外を仕切っている 細 胞 膜 がある。細胞膜は,
❶
造,図Ⅲⓑ)をとる。このような,部
分的な立体構造を二次構造という。1
ゆるやかな結合
(水素結合)
質 とよばれ,細胞質の最外層には,細胞内
さい ぼう へき
81118-1-1- 核の内部構造 .ai
(37.25*30.75)
タンパク質を構成するアミノ酸は
20 種類あり,このアミノ酸の種類や数,配列の
小器官)
が見られる
(図
8)
。
質を構成するアミノ酸は,炭素原子
(C)にアミノ基(-
在する
(図 9)
。ミトコンドリアでは,呼吸
しつ
発 展発 展
ⓑβシート構造
曲がったシート状の構造(β シート構
違いによってさまざまなタンパク質ができる。
ミ ト コ ン ド リ ア は,長さが 1 ~数 µm
10
▏
▏❶ アミノ酸 タンパク
A タンパク質の基本構造
10
の細胞小器官で,ほとんどの真核細胞に存
さい ぼう
真核細胞において,核以外の部分は 細 胞
二次構造
ⓐαヘリックス構造
ベータ
また,真核細胞の内部には,核をはじめとするさまざまな構造体
アミノ酸 が鎖状につながった分子である。 (細 胞
生体を構成するタンパク質は,多数の
核
かく
細胞膜によって外界と接することになるが,
ス構造,図Ⅲⓐ)や,ジグザグに折れ
さい ぼう
さん
しょう き かん
▏
A 真核細胞 ▏真核細胞には,ふつう,1 個
の 核 があり,核の内部には DNA がある。
まざまな分子が出入りする。動物細胞では,
核小体
染色体
⬆ 図Ⅰ 核の内部構造
●
細胞のこのような基本的な構造は共通だが,細胞には,核という構造を
タンパク質の構造
げん かく さい ぼう
かく
核小体が見られる。また,最外層の 核 膜 には 核
てはたらくタンパク質などが含まれている。すべての細胞は,このような
しん かく さい ぼう
核膜
よばれるものなど)からなる染色体と,1 ~数個の
deoxyribonucleic acid
として,エネルギーの受け渡しにはたらく ATP,生命活動の中心となっ
葉緑体
◀ p.28 ∼ 29 核の内部構造 核について,その内部構造まであわせて学
べます。 発 展
生物に共通する細胞構造
=
2
生物のからだを構成する細胞は,形や大きさなどに多様性が見られるが,
⬆ 図Ⅰ タンパク質を構成するおもなアミノ酸の構造
●
81118-2-2- アミノ酸の種類 .ai
(108.5*43)
ポリペプチド
アミノ酸は C,H,O,N からなるが,システインとメチオニンは,S(硫黄)も含む。
第2章 遺伝子とそのはたらき
69
13
15
ロキシンは,代謝を促進するホルモン
バックによる調節
として標的細胞にはたらきかけるが,同時に,視床下部と脳下垂体のホル
モンの分泌を抑制する
(同図④)
。そのため,チロキシンの濃度が上がると,
81118-3-3-甲状腺のはたらきのフィードバック調節.ai
(52.4*54.5)
チロキシンの分泌量は抑制されて減少する。逆に,チロキシンの濃度が下
効果的な問いかけで考える力をつけられる
20
がると,チロキシンの分泌量は抑制されなくなるため,増加する。
▏
B 生態ピラミッド ▏生態系において,生産者を出発点とする食物連鎖
このように,最終産物や最終的なはたらきの効果がはじめの段階にも
えい よう だん かい
栄 養 段 階 という。栄養段階ごとに生物の個体数を調べた棒グ
の各段階を
フィードバック といい,特に,最終的なはた
どって作用を及ぼすことを
■生物学的な思考力を養成
ラフを横にして,栄養段階が下位のものから順に積み重ねると,ふつう栄
ふ
負の
らきの効果が逆になるようにはじめの段階にはたらきかける場合を
思考力を養うために,本文中の問いや
「思考学習(実験とその結果を与え,考察させる問題)
」を設けています。また,
養段階の上位のものほど個体数が少なく,ピラミッド状になることが多い。
フィードバック
という。多くのホルモンは,負のフィードバックによって,
章末にはその章のまとめの問題
(整理の問題)
❶ を入れています。
こ たい すう
5
25
これを 個 体 数 ピラミッド という。同様に,生物量についても,上位にい
分泌量が一定の範囲で維持されるよう調節されている。
せい ぶつ りょう
くほど少なくなってピラミッド状になることが多い。これを 生 物 量 ピラ
問 2
フィードバックがはたらかなくなった場合,からだにどのような影響が生じる
せい たい
ミッド と考えられるか。
といい,これらをまとめて 生 態 ピラミッド という
(図 4)
。
整 理 の 問 題
1 生態系とその成り立ち
改訂版 生物基礎
発 展
❶ホルモンには,水に溶けやすい水溶性ホルモンと脂質に溶けやすい脂溶性ホルモン
1 ある地域で,ワシやタカのような大形の動物食性動物の個体数が減らないよう
問
がある。水溶性ホルモンは,標的細胞の細胞膜にある受容体に結合すると,細胞内の特定
にするにはどのような対策が必要だろうか。生態ピラミッドを見て考えよ。
の化学反応が促進される。一方,脂溶性ホルモンは,細胞膜を通過して細胞内に入り,細
胞質や核内にある受容体に結合することによって,特定の遺伝子発現を調節する。
▲ p.121
,185 本文中の問い 教科書に書かれていることをふまえて
生物量ピラミッド
個体数ピラミッド
らえたものを何というか。
思考学習
三次消費者
健康な人の血しょう・原尿・
二次消費者
尿の成分を調べると右の表のよ
うであった。測定に使ったイヌ
5
第3章 生物の体内環境
有用成分の再吸収と老廃物の濃縮
三次消費者
740
一次消費者
リンは,植物がつくる多糖類の
一種で,ヒトの体内では利用さ
成 分8
0.88×10
タンパク質
0
ナトリウムイオン
0.3
0.3
0.34
カルシウムイオン
0.008
0.008
0.014
0.03
2
0.004
0.054
0.01
1.2
尿 素
0.001
0.03
尿 酸
0.004
⬆ボーマンのうヘすべてろ過され
●
図 ₄ 個体数ピラミッドと生物量ピラミッド
10
10
るが,その後再吸収されずにた
イヌリン
0.01
生産者
0.001
④ 窒素循環において,生物の枯死体・
④ ③とは逆に,生物が②に及ぼす影響
遺体などが分解されてできる無機窒素
を何というか。
個体数はどうなるか。
809000
)
フロリダのシルバースプリング (10 J/(m・年)
考察4. イヌリン以外で,濃縮率の高い成分を高いものから 3 つあげよ。
生 産 力 ピ ラ ミ ッ ド も 生 態 ピ考 察
ラ
20
2
一次消費者
生産者
⒝
石 炭・
石 油
の燃焼
8.8
ら別の場所に移されて,その場所に定
⒞
火山
活動
⒟
⑤ 熱帯林の減少により,生息数を減ら
している生物の例を 1 つあげよ。
⑥ 特定の物質が,生物体内に外部の環
境や食物に含まれるよりも高い濃度で
30
蓄積する現象を何というか。
れぞれ次から選べ。
探究活動
25
着した生物を何というか。
81117-5- 章末 -2 番 .ai(55*40)
① 図中の⒜~⒟にあてはまる生物をそ
160
1400
せい さん りょく
考察5. 濃縮率の高い物質はヒトにとってどのような物質と考えられるか。
これを何というか。
④ 人間活動によって本来の生息場所か
⒜
81117-5-1-個体数ピラミッド
(115.5*47)
二次消費者
20
植物プランクトンが異常に増殖する。
大気中の二酸化炭素
4
ギー量を棒グラフにして積み重
考察3.
水の再吸収率が 1 %減少すると,尿量は何倍になるか。
を何というか。
③ 湖沼で②が起きると,水面の近くで
太陽
考察2. 原尿中のグルコース,水,ナトリウムイオンはそれぞれ何%再吸収
これを 生 産 力 ピラミッド といい,
を 1 つあげ,簡単に説明せよ。
② 湖沼などの栄養塩類が増加する現象
ルギーの流れを模式的に表している。
されたか。ただし,血しょう,原尿,尿の密度は 1 三次消費者
g/mL とする。
15
① 特定の生物が,生態系のバランスを
保つのに重要な役割を果たしている例
下の図は,生態系における炭素とエネ
のとする。
15
いうか。
3 生態系のバランスと保全
2 物質循環とエネルギーの流れ
尿中の濃度
ねた場合もピラミッド状になる。
可能なイオンをつくるはたらきを何と
⑦ 栄養段階ごとの個体数や生物量を下
だちに尿中に排出される。そのため,その濃縮率(
から原
血しょう中の濃度 )
発
展
生産力ピラミッド 1 分間に 1 mL 生成されるも
尿の量を調べる目的に用いられる。なお,尿は
一定期間内に獲得されるエネル
⑤ 大気中や空中の窒素から植物が利用
というか。
位から積み上げたものを何というか。
0.075
10
物質をイオン名で 2 つ答えよ。
⑥ 栄養段階の上位のものほど,ふつう
37000
考察1.
1 分間当たり何 mL の原尿が生成されたか。
生態系での栄養段階ごとに,
15
化合物は再び植物に利用される。この
関係が,複雑な網状になったものを何
11000
0.1
0
一次消費者
0.1
のようなことか。
③ ②が生物に及ぼす影響を何というか。
⑤ 生物の間に見られる食う食われるの
0
8
グルコース
1.75×10
8
れない物質である。イヌリンを
生産者
14.43×10
クレアチニン
静脈に注射すると,糸球体から
7.2
121
5
は両者で大きな違いがある。それはど
物に影響を及ぼす要因を何というか。
1500
質量パーセント濃度
(%)
血しょう二次消費者
原 尿
尿
らか。
③ 炭素とエネルギーの移動のしかたに
② 光・水・大気・土壌・温度など,生
フロリダのシルバースプリング (kg/km2)
( 個体/km2)
動を示しているのは実線・破線のどち
り巻く環境を 1 つのまとまりとしてと
取り組むことで,学習したことについて考える力を養うことができます。
北米の草原生態系
② 図中の矢印のうち,エネルギーの移
① ある地域にすむ生物と,それらを取
⑦ 生態系における干潟の役割について
ア 植物食性動物 イ 植物
ウ 菌類・細菌 エ 動物食性動物
述べよ。
8700
▲ 210
p.210 整理の問題
▲
アルミニウム箔を巻いたものは,どれも pH 指示薬が黄色になったことから,
参 p.109 思考学習
原尿生成における血圧の調節
考
ミッドのうちの
1 つである。
第3編 生物の多様性と生態系
⬆ 図Ⅰ 生産力ピラミッドの例
●
呼吸によって二酸化炭素が放出されたと考えられる。
一方,光が当たったホウレンソウとスナップエンドウでは,赤紫色になったこ
糸球体では,大量の血液がろ過されることによって,大量の原尿がつくら
5
とから,光合成が盛んに行われたと考えられる。緑色のピーマンでは,色の変化
れている。このときろ過される量は,物理的な圧力
(血圧)の影響を受ける。
C
C
A
C
G
T
A
C
G
T
A
G
の り づ け
の り づ け
C
T
A
G
T
A
T
A
G
G
C
G
7
T
T
A
の り づ け
G
ると,二重らせん構造となり,1 回転に
C
T
G
C
10
緑色のピーマンでは,表面に位置する細胞中には多くの葉緑体が見られたが,
の り づ け
と,12 塩基しかない場合でも,さまざま
の り づ け
C
G
T
するには,どのようにすればよいか。
G
C
15
T
G
の り づ け
A
A
⬆ 図Ⅳ 完成した DNA 模型
●
A
の り づ け
T
C
A
T
G
設問 2. 塩基配列が同じかどうかを比較
の り づ け
Cかる。
の り づ け
第1編 生物と遺伝子
A
なパターンの塩基配列が生じることがわ
▲ 内側の大きな細胞中の葉緑体は,外側の細胞のようには詰まっていなかった。
p.52 ∼ 55 光合成に関する探究 探究活動には「設問」を設け,思考力を養
スナップエンドウのさやにも葉緑体が見られた。また,表皮をはがして観察す
えるようにしています。また,
「探究への道標」では「設問」に対する解法の指針
ると,気孔も見られた。
を示していますので,自分で学習を進めることもできます。
52
G
55
T
第1章 生物の特徴
A
A
の り づ け
C類の塩基配列ができたか。クラス内でつ
T
G
くられた DNA 模型の塩基配列を比較する
25
12
A
G
人と比較してみよう。クラス全体で何種
③ p.15 のスケッチのしかたを参考にし,色素を含む構造体に注目しながら,細胞
をスケッチする。
11
10 段の塩基配列が見られる。
T
②C表に記入した塩基配列を,クラスの他の
のであることを確認する実験なども行ってみよう。
設問 1. それぞれの材料に適したプレパラートのつくり方を述べよ。
結 果
10
の り づ け
5
9
A
① DNA 模型は,ヌクレオチドを組み合わせ
の り づ け
8
T
C
C
考 察 6
A
5
A
4
の り づ け
G
T
3
の り づ け
の り づ け
C
2
G
1
C
① それぞれの材料を,かみそりの刃で薄く切ったり,表皮をはがしたりして,ス
14
T
C
の り づ け
いろいろな色のピーマン,スナップエンドウ,
25
るための対照実験である。また,ホウレンソウについて実験するのは,葉
ホウレンソウなど,検鏡セット,かみそりの刃
⬆ 図Ⅰ いろいろな色の果実
●
の結果と比較するためである。
手 順
の り づ け
G
結 果 分には葉緑体があるかどうかを確かめよう。また,
あることを確認するための対照実験である。アルミニウム箔を巻いた試験
他の色の野菜には葉緑体がないのかどうかも調べ
管を準備するかわりに,同じ材料を入れた試験管を暗所におく方法もある
てみよう。
が,設置場所の条件が変わるので,アルミニウム箔を巻く方法が望ましい。
15
準 備
材料を入れない試験管を準備するのは,変化が植物体によることを確認す
A
C
10
20
発 展
ライドガラスにのせる。
このほかにも,ゆでた材料を用いた実験を行い,変化が生きた植物体によるも
② 水を 1 滴落とした後,カバーガラスをかけてプレパラートを作製し,検鏡する。
の り づ け
よばれ,互いに共通の起源をもつ細胞小器官である。
いろいろな材料を用いて,植物の緑色をした部
20
3.アルミニウム箔を巻いた試験管を準備するのは,変化が「光」によるもので
T
橙色や黄色の色素が含まれている。葉緑体や有色体は,総称して色素体と
G
の り づ け
2.赤色や黄色のピーマンに見られる小さな粒は,有色体である。有色体には,
T
の り づ け
109
類の野菜や果物が並んでいて,ホウレンソウやシュンギクなど,葉を食べるもの
要である。表面をはぎ取ってプレパラートをつくる方法もある。このとき,
も多いが,スナップエンドウやピーマンのように緑色をした果実を食べるものも
15
孔辺細胞を除く表皮の細胞には葉緑体がないので,表皮だけでなく,内側
ある。私たちが食用にしている果実を用いて,光合成についての探究活動を行っ
の層もとれている部分を観察する。
の り づ け
A
◀
C
葉でなくても,植物の緑色をした部分には葉緑体が存在するのだろうか。また,
探究への道標
5
葉以外の部分でも光合成は行われるのだろうか。マーケットには,たくさんの種
1.薄くてやわらかい材料は発泡ポリスチレンにはさんで切るなどの工夫が必
第3章 生物の体内環境
1.葉緑体の観察
G
C
われていることを学習した。
てみよう。
T
の り づ け
つ植物体で光合成が行われたと考えられる。
第 3 節では,葉緑体のおもな存在場所は葉であり,光合成は主として,葉で行
ろ過量の低下を防いでいる。
A
185
▶ p.42 ~ 51
A
G
❶ 光合成に関する探究
10
以上の結果から,光合成の強さには違いがあるものの,仮説通り,葉緑体をも
ことによって,糸球体にかかる圧力が下がらないようにし,糸球体における
T
G
p.92
∼ 93 DNA 模型の作製 折込付録のヌ
C
T
クレオチド型紙を使って,DNA
の二重らせんモ
G
A
デルを実際に作製することができます。
A
81117-5-1-生産力ピラミッド
(59.2*32.125)
出できなくなる。そこで,腎臓では,糸球体の前後の血管の収縮を調節する
C
の り づ け
25
色のピーマンでは黄色を示したことから,二酸化炭素が放出され,光合成は行わ
がるとろ過される量が減る。ろ過の量が減ってしまうと,老廃物を十分に排
探 究 活 動
第5章 生態系とその保全
れなかったと考えられる。
T
がほとんどなかったが,アルミニウム箔を巻いた同材料のものでは黄色く変化し
血圧はさまざまな要因によって変化するが,その中でも,体内の水分量が大
ているので,暗条件のものに比べて二酸化炭素が吸収されたといえる。赤色や黄
きく影響する。例えば,体内の水分量が減少すると血圧は下がり,血圧が下
の り づ け
❶生物量は一定面積内に存在する生物体の総量で,乾燥重量などを用いて表される。
各章に設けられた探究活動を通じて自分で考える力が身につきます。
探究への道標 1.DNA の塩基は,必ず,A は T と,G は C と対になるので,この2つの
組み合わせになるように注意する。
2.12 個の塩基配列が同じかどうかをクラス全体で比較するには,工夫が
必要となる。コンピュータの表計算ソフトを使い,データの並べ替え
充実の巻末資料,
「生物図鑑」で生物をもっと身近に
■本文に登場する生物を写真つきで紹介
本文に登場する生物(124 種)の写真を掲載し,その生物の生息場所や特徴について簡単に解説しています。
▶
p.211 ∼ 225 この教科書に出てくる
いろいろな生物
シロスジフジツボ
オオキンブナ
ミミズの一種
フジツボ(▶ p.196)
ブタ(▶ p.108)
フナ
(▶ p.209)
富士山状の石灰質の殻をも
イノシシを家畜化したもの。
コイ科の淡水魚。雑食性。流
ミジンコ
(▶ p.208)
ミミズ
(▶ p.187)
メダカ
(▶ p.187)
ショウリョウバッタ
体長 1 ~ 5 mm 程度。水中で
環形動物の 1 グループの総
淡水魚の一種。4 cm ほどの小
ダツ(▶ p.202)
タナゴ(▶ p.209)
タモロコ
(▶ p.209)
バッタ
(▶ p.168)
ハマグリ
(▶ p.202)
パンサーカメレオン
(▶ p.164)
ち,岩や船底などに固着して
雑食性。野生のイノシシより
れのゆるやかな河川や沼,湖
生活する動物プランクトン。
称。体表に眼や触角などの目
形の魚で,水田や河川などに
ホホジロザメ
ユビエダハマサンゴ
サバンナシマウマ
ボルネオオランウータン
日本では浅い海に生息する。
日本固有のコイ科の淡水魚。
コイ科の淡水魚。雑食性。繁
バッタ科に属する昆虫の総
二枚貝の一種で,丸みを帯び
は虫類。雄は地域によって色
生活する。海水中のプランク
も多産であり,成長も早く,
に広く生息する。
遺伝子の解析もされており,
立つ器官がない。雌雄同体で
生息する。実験動物としても
オランウータン(▶ p.164)
カサガイ(▶ p.196)
カブトムシ
(▶ p.205)
サメ
(▶ p.110)
サンゴ
(▶ p.187)
シマウマ
(▶ p.168)
両あごが前方に長くとがるの
体長約 3 ~ 5 cm で二枚貝の
殖期は 4 月~ 7 月ごろで,水
称。写真のショウリョウバッ
た三角形の貝殻をもつ。内海
彩が異なるが,雌は地域差が
カリフォルニアイガイ
55
トンをろ過して食べる。
品種改良しやすい。
遺伝子数はヒトよりも多い。
枯れ葉などを食べる。
有名。絶滅危惧種。
ヒト科オランウータン属の哺
巻貝の一種。傘の骨のような
コガネムシ科の昆虫で,雄は
軟骨魚類。えらがからだの側
刺胞動物の一グループの総
ウマ科ウマ属の哺乳類のう
が特徴。光に敏感に反応し,
草に卵を産みつける。
タは草原に分布し,おもにイ
の砂泥底や干潟に生息する。
少なく,褐色をしている。写
アカヒゲ
(▶ p.175)
アフリカツメガエル
(▶ p.89)
イガイ
(▶ p.196)
ベニシダ(▶ p.150)
ミズナラ(▶ p.167,171) 中に産卵。個体数が減少し,
乳類の総称。東南アジアの熱
貝殻をもつ。岩礁潮間帯で,
角が発達する。クヌギ林など
面に位置している。血液中に
称。触手には刺細胞があり,
ち,しま模様をもつものの総
タチツボスミレ
55
突進する性質がある。
絶滅が危惧されている。
ネ科の草本を食べる。
真は雌。
オシダ科。本州から九州にか
ブナ科の落葉広葉樹。冷温帯に広く分布し,ブナなどと夏緑樹林
ヒタキ科。全長 14 cm。屋久島,
一生のほとんどを水中で生活
イガイ属に属する軟体動物の
帯雨林に生息する。果実を主
岩の表面の微生物を歯舌でか
に生息し,成虫は樹液を食べ
尿素を多く含み,海水環境に
食物をとるためや,身を守る
称。からだのしま模様は,天
あま み おお しま
とく の しま
ナズナ
(▶ p.176)
ハイマツ
(▶ p.172)
スダジイ(▶ p.150,170)
スミレ(▶ p.205)
けて分布。葉の長さは 30 ~
を形成する。大きいものでは高さ 30 m に達することもある。葉
奄美大島55,徳之島などに生息
し,後肢が発達している。発
総称。沿岸の岩場に生息する
食とし,樹上で生活する。
き落として捕食する。
る。
適応している。
ためなどに使われる。
敵から姿を隠す効果がある。
ブナ科の常緑広葉樹。比較的温暖な地域に分布する。葉は冬にも
日本のほぼ全域に分布し,日
アブラナ科の二年生草本。日
マツ科の常緑針葉樹。日本では高山帯に分布し,低木林を形成す
の基部はくさび形に狭くなっている。薪や炭の原料として利用さ
二枚貝で,多くの種が食用に
する。絶滅危惧種。
コケモモ
(▶ p.172)
コナラ
(▶ p.171,205) 生学などの分野で,研究に用
コマクサ
(▶ p.172)
ガジュマル(▶ p.170) 90 cm で,若い葉の裏の胞子
カタクリ(▶ p.167)
カラマツ(▶ p.167)
落葉しないため,夏緑樹に比べて厚い。初夏に花が咲き,翌年の
当たりのよい草原や道端など
本では,
「ペンペン草」
という
る。地表をはうような独特の形から名づけられた。裸子植物で,
55
のうは紅色をしている。
れることもある。
いられている。
される。
ク ワ 科 の 常 緑 高 木。 高 さ は
ユリ科。落葉広葉樹林の林床
マ ツ 科 の 落 葉 針 葉 樹。 高 さ
ツツジ科の常緑低木。高さは
ブナ科の落葉広葉樹。果実
(ど
ケシ科の多年草で高山帯に分
1 µm(▶ p.170)
秋に果実
(どんぐり)
が実る。果実は野生生物の食糧となる。
に生育する。高さは
10 cm 程(▶ p.179)
名称でよく知られている雑草
(松かさ)
p.171,205)
p.161)をつける。
アオキ(▶ p.150)
アカマツ
(▶
アコウ
オオイヌノフグリ
オオカナダモ
(▶ p.44) 他のマツと同様,大きな球果
オオシマザクラ
(▶
20 m ほど。屋久島以南の熱帯
に成育する。花は茎から垂れ
30 m ほど。日本の固有種。亜
5 ~ 30 cm。高山帯に分布し,
んぐり)
は野生生物の食糧と
布。高さは
5
~
15
cm。双子
55
度。
の 1 つ。
ガリア科の常緑低木。高さは
マツ科の常緑針葉樹。高さは
ワ 科。 高 さ は 10 ~ 20 m。
ゴマノハグサ科の二年生草
トチカガミ科。南アメリカの
伊豆諸島に多く分布するサク
アゾトバクター※(▶クp.191)
地域に分布する。種子は鳥に
下がっている。種子はアリに
高山帯における先駆植物の一
ハイマツの下などに生育。果
なる。シイタケ栽培の原木と
葉類であるが,片方の子葉し
81118- 巻末斉- に
スケール .ai
3 m ほど。日本の固有種だが,
30 m にまで達する。先駆樹種
ることもある
本。移入種。春先,道端や田
原産で,実験材料として移入
ラで,花は白色をしている。
好 気 性 の 窒 素 固 定 細一
菌 の 一落 葉 す
55
よって散布される。
よって散布される。
種。
実は食用となる。
して用いられる。
か発達しない。
観賞用として世界各地で栽培
の代表例で,荒廃地にまっさ
が,その時期は個体ごとに異
畑などの日の差す場所で,る
された。水槽に入れる水草と
葉は桜もちを包むために利用
種。土壌中や水中などに生息
改訂版 生物基礎
生物図鑑
1. この教科書に出てくる
いろいろな生物
5
されている。
きに侵入する。
する。
この教科書に出てくるいろいろな生物の,特徴や生息
地を知っておこう。
なることが多い。
55
卵 しても用いられる。
オグロプレーリードッグ される。
り色の花を咲かせる。
コウベモグラ
ブルーギル(▶ p.199)
プレーリードッグ
(▶ p.168)
モグラ
(▶ p.184)
サンフィッシュ科の淡水魚。北アメリカ原産の外来生物で,1960
プレーリードッグ属の哺乳類
地下に掘ったトンネルで生活
ドジョウ(▶ p.187)
トナカイ(▶ p.169)
ヒガイ
(▶ p.209)
モツゴ
(▶ p.209)
ヤマガラ
(▶ p.166)
コ イ 科 の 淡 水 魚。 全 長 8 cm
ヒグマ
(▶ p.167)
シジュウカラ科。山地から平
ヒザラガイ
(▶ p.196)
年に日本に移入されて各地の湖沼で繁殖した。捕食力・繁殖力が
の総称。北アメリカの草原地
し,ミミズなどを食べる。眼
前後。環境の変化に強く,湖
地にかけて生息する。雑食性
コイ科の淡水魚。流れがゆる
淡水魚で水田や湿地などに生
シカ科の哺乳類。北極圏に近いツンドラ地帯に生息する。大きな
クマ科クマ属の哺乳類。アジ
軟体動物。多数の殻を背面に
強く在来の生態系を脅かすため,1990
沼や河川からため池まで分布
で,昆虫類やクモ,果実など
カメノテ(▶ p.196)
キイロショウジョウバエ
(▶ p.87)年代から駆除などの対策
ゲンゴロウ
(▶ p.187) 帯に生息し,地中深くの巣穴
ジャコウウシ
(▶ p.169)は退化しているが,口ひげの
シャチ
(▶ p.195)
やかな河川の中流から下流域
息する。特徴的な口ひげをも
群れをなし,季節ごとに大移動を行う。おもに植物を食べるが,
アやヨーロッパの針葉樹林やマイワシ
前後に並べる。動作が遅く,
コバネイナゴ
10
10
がされるようになった。特定外来生物。
に集団で生活する。
触覚が発達している。
している。
を食べる。
石灰質の殻をもつ固着動物。
体長約 3 mm。発生から 10 日
浅い湖や池などに生息する。
ウシ科の哺乳類。ツンドラ地帯に生息する。冬になると 100 頭以
クジラのなかま。ポッドとよ
に生息する。雑食性。繁殖期
つ。食用魚として養殖される
小動物を捕食することもある。角で雪を掘って食物を探す習性が
ツンドラなどに生息する。
岩
の
上
に
張
り
ついて生活す
▶
▶
▶
▶
▶
▶
メヒルギ( p.175)
モチノキ( p.150)
モミ( p.167)
イナゴ
( p.187)
イボニシ
( p.196)
イワシ
( p.202)
岩礁潮間帯の割れ目に生息
程度で成体になる。古くから
昆虫から脊椎動物まで幅広く
上もの群れを形成する。植物食性で,草,木の葉,地衣類などを
ばれる群れを長期間にわたっ
セイヨウタンポポ
フタバガキの一種
10
10
は 5 月から 7 月。
こともある。
あり,雌にも角が生える。
る。
イナゴ科の昆虫の総称。写真
巻貝の一種。動物食性。成貝
小形の海水魚。海中のプラン
マングローブ林をつくる樹木
モチノキ科の常緑広葉樹。本
マツ科の常緑針葉樹。高さ 35
攻撃する捕食者である。絶滅
集団で円陣隊形をつくって子を守る。
ハルジオン
(▶ p.176) 食べる。捕食者に対しては,
ヒサカキ
(▶ p.150)
フタバガキ
(▶ p.164) て形成する。移動種と定住種
ダケカンバ(▶ p.171) し,波によって運ばれてくる
タブノキ(▶ p.150,170) 遺伝学の分野で,研究に用い
タンポポ(▶ p.176)
のコバネイナゴは,水田に多
は殻高 2 ~ 4 cm の紡錘形で,
クトンを食べる。外敵から身
の 1 つ。常緑の低木で高さは
州から沖縄にかけて分布す
~ 40 m。日本の固有種。ツガ
10
10
食物を捕食する。
られている。
危惧種。
がある。
カバノキ科の落葉広葉樹。亜
クスノキ科の常緑広葉樹。高
キク科の多年生草本。種子に
キク科の二年生草本。アメリ
ペンタフィラクス科の常緑
フタバガキ科の植物の総称。
く生息し,おもにイネの葉を
を守るために,群れで行動す
る。高さクヌギ
10 ~ (
20▶
m。冬に赤
p.171,205) などと混生林を形成する。
コメツガ
(▶ p.171)
コルクガシ
(▶ p.166) 名前の通り殻表には多数のイ
シラビソ
(▶ p.171)
カワラノギク(▶ p.199)4 ~ 7 m。樹皮からとれるタ
クスノキ(▶ p.174)
高山帯に分布する。寿命が長
さ 15 ~ 20 m, 直 径 1 m を こ
は綿毛がある。日本に生育し
カ東部原産で,世界中に分布
樹。 高 さ 10 m 程 度。 林 床 で
林冠を形成する高木で,突出
10
10
食べる。
ボ状の部分がある。
る習性がある。
ンニンは染料となる。
色の果実が実る。
関東地方や東海地方の河原に
常緑広葉樹。関東以西に分布。
マツ科の常緑針葉樹。亜高山
地中海沿岸に分布する常緑
マツ科の常緑針葉樹。本州お
5イタドリ
µm
1 µm (▶ブナ科の落葉広葉樹。高さは
える大木になる。夏に黒色の
ているものには,在来種と外
見られる。花には特徴的な強
するものもある。特に東南ア
p.161)
アラカシ(▶ p.159,171) い。山火事のあとなどで二次
(▶ p.154)
エゴノキ
オオシラビソ(▶ p.172)を広げている雑草。茎は中空
オオバヤシャブシ
(▶ p.161)
オナモミ
(▶ p.159)
生育する多年草。高さ 50 cm
各地の神社や庭園などに植え
15 ~ 20 m。 果 実
(ド ン グ リ)
帯に分布する。高さは
20
~
樹。
高
さ
は
20
m
ほ
ど。
コ
ル
よび四国の亜高山帯に分布す
とげ
10
10
林を形成する。
果実が実る。
来種がある。
状をしている。
いにおいがある。
ジアの熱帯多雨林に多い。
※
ブナ科の常緑広葉樹。カシ類
2肺炎双球菌
m 近くになる
落葉高木。高さ 8 ~ 10 m。花
マツ科の常緑針葉樹。中部地
関東地方から紀伊半島の沿岸
果実に多数の棘があり,よく
p.191)
イシクラゲ(▶ p.30)
クロストリジウム※(▶タデ科。高さ
(▶ p.60)
程度。河川の改修などで絶滅
られ,天然記念樹に指定され
は 直 径 2 ~ 3 cm の 球 形 で,
30 m。葉や球果
(松かさ)がツ
ク層が発達し,瓶の栓などと
る。枝の肌が見える点でオオ
81118- 巻末
- スケール .ai
81118- 巻末
- スケール .ai肺炎などを引き起こす細菌の
としては最も一般的に見られ
多年生植物。茎は太く中空で
は房状になって垂れ下がる。
方以北の本州の亜高山帯に分
部に分布する。先駆植物とし
くっつくことで知られる。外
道端や庭先などで見られる。
嫌気性の窒素固定細菌。ヒト
10
10
の危機にある。
ているものも多い。
染料の原料になる。
ガより小さい。
して利用される。
シラビソと異なる。
る。日本から中国,ヒマラヤ
多数の節がある。
布する。多雪環境に強い。
て,荒廃地に侵入する。
来種であるオオオナモミの影
乾燥時は黒いかさぶたのよう
への病原性がある破傷風菌な
一 種。DNA の 遺 伝 学果実や花には毒性のあるサポ
的意義
10
10
まで広く分布する。
ニンが含まれている。
フイリマングース 響で,数が減っている。
アカムシユスリカ
オオワシ
な形をしているが,水を含む
ども含まれる。
の発見において重要な役割を
10
と寒天状にふくらむ。
果たした。
マウス(▶ p.60)
マングース(▶ p.200)
種 名 は ハ ツ カ ネ ズ ミ。 体 長
ニホンザル(▶ p.175)
オグロヌー
マングース科の哺乳類の総称。写真のフイリマングースは,ハブ
ニホンジカ(▶ p.175)
ヌー
(▶ p.168)
ユスリカ
(▶ p.86)
ラッコ
(▶ p.195)
川や用水路に生息する水生昆
ヒトデ
(▶ p.196)
ワシ
(▶ p.202)
海にすむ最小の哺乳類。海底
ヒドラ
(▶ p.96)
ワシはタカ科に属する大形鳥
ヒメトンボ
(▶ p.175)
9 cm ほど。医学などの分野で,
を駆除するために沖縄にもちこまれた。しかし,ハブと行動時間
虫。幼虫はアカムシとよばれ,
のアサリやウニ,アワビなど
類の通称。写真のオオワシは
きょく
熱帯に生息するシロアリ
エンマコオロギ
下北半島から屋久島まで日本
シカ科の哺乳類で,日本だけ
ウシ科ヌー属の哺乳類の総
棘皮動物の一種。肉食性であ
淡水にすむ無脊椎動物。体長
体長 3 cm 程度の小形のトン
が異なったため,ハブをほとんど捕食せず,ヤンバルクイナなど
釣りのえさなどとして用いら
冬に北海道や本州北部の海岸
コアジサシ(▶ p.202) 研究に用いられている。
コイ(▶ p.209)
コオロギ
(▶ p.130)
シロアリ
(▶ p.164)
セグロカモメ
(▶ p.202)を食べる。群れで生活するこ
タガメ
(▶ p.187)
各地に分布するオナガザル科
でなく東アジアにも分布す
称。群れをつくって生活し,
り,貝類などの海底の小形動
は 1 cm 程度。数本の触手を
ボ。屋久島以南に生息する。
ムラサキウニ
15
15
の固有種を捕食する問題が起きている。
れる。
とが多い。
などに飛来する。
カモメ科。海岸や川などの水
バッタのなかま。後肢が発達
アリよりもゴキブリのなかま
カモメ科。海岸や河口に生息
カメムシのなかま。カメムシ
コイ科の淡水魚。雑食性で,
数千頭になることもある。季
物を食べる。
再生能力が高い。
し
ヤブツバキ(▶ p.150) の哺乳類。写真は屋久島に生
ヤマザクラ(▶ p.159) る。写真は屋久島に生息する
ヨモギ(▶ p.176)
ウニ
(▶ p.195)
オオムラサキ
(▶ p.205)もつ。群体をつくらず単独行
オニオオハシ
(▶ p.164)雄は青色だが,雌は黄褐色を
し,触角が長い。雄は前翅を
に近く,枯死した植物を食べ
する。日本には冬鳥として渡
の中では最大。魚やカエルな
辺に生息する。日本には,本
ユスリカの幼虫,貝類,ミミ
チークの一種
15
15
息するニホンザル。
ニホンジカ。
節に応じて群れで移動する。
動をする。
している。
石灰質の殻をもち,トゲでお
タテハチョウ科。日本各地に
熱帯雨林に生息。5 ~ 6 羽の
ツバキ科の常緑広葉樹。青森
バラ科。果実は球状で,熟し
キク科の多年生草本。根茎が
使って鳴き声を発し,雌に求
る。熱帯に生息するものは,
来する。くちばしが黄色い。
どを食べる。食用にする地域
州以南に,夏鳥として渡って
ズ,藻類などを食べる。観賞
チーク(▶ p.165)
トウヒ(▶ p.167)
トドマツ(▶ p.171)
ブナ
(▶ p.167,171)
ヘゴ
(▶ p.170)
おわれている。トゲに隠れた
分布し,雑木林などに見られ
群れで行動する。特徴的な大
県以南の各地に分布。種子に
て黒紫色となり,直径は 1 cmゼニゴケ
よく発達する。食用のほか,
15
15
愛する。
地上で活動する。
もある。絶滅危惧種。
きて繁殖する。
用としても有名。
巻末資料 生物図鑑
巻末資料 生物図鑑 225
つばき
きゅう
224 巻末資料
雨季と乾季のあるアジアの熱
マツ科の常緑針葉樹。高さ
20
マツ科の常緑針葉樹。高さは
ブナ科の落葉広葉樹。北海道南部から本州,四国,九州まで分布
ヘゴ科の木生シダの一種。高
油として利用
としても使用 (▶ p.199)
あしで移動しながら海藻など
る。雄のはねの表面は光沢の
含まれる油は椿
をこえない。
▶ p.191)
シナダレスズメガヤ
ススキ
(▶ p.149,154) きなくちばしは,体内の熱を
ケヤキ(▶ p.174)
ゲンゲ(
コケ植物(▶ p.150,154) お灸の「もぐさ」
帯に分布するシソ科の落葉高
~ 30 m。本州中部の亜高山帯
25 m ほど。日本では北海道に
する日本固有種で,ミズナラなどと夏緑樹林を形成。芽ばえの耐
さは 4 m ほどで,葉は 2 m 以
イロハカエデ
15
15
される。
される。
を食べる。
ある青紫色。
放出する役割をもつ。
巻末資料 生物図鑑
巻末資料 生物図鑑 223
222 巻末資料
ニレ科の落葉広葉樹。東アジ
マメ科の二年草。レンゲソウ
ゼニゴケなどのタイ類,スギ
イネ科の多年生草本。南アフリカ原産の外来生物。根がよくはる
イネ科。高さ 1 ~ 2 m ほどの
100
µm
木の総称。樹高が
m を超
に分布する。
陰性が高い。果実は野生動物の食糧となる。白神山地のブナ原生
キウメノキゴケ
チズゴケ
エゾマツ(▶ p.171)
エノキ
(▶30p.205)
エノコログサ
(▶ p.176)分布し,本州以南には分布し
オヒシバ(▶ p.176)
オリーブ
(▶ p.166)
カエデ
(▶ p.167,171) 上になることもある。熱帯か
アの一部と日本に分布する。
ともいう。根に根粒菌が共生
ゴケなどのセン類などがあ
ため,昭和
20 年代に道路わきの斜面や土手の緑化などを目的に
多年生植物。夏から秋にかけ
15
15
えるものもある。
ない。
林は世界自然遺産に登録されている。
ら亜熱帯に分布する。
巻末資料 生物図鑑
巻末資料 生物図鑑 221
220(▶
ニレ科の落葉高木。高さ
20
m
イネ科の一年生草本。畑,道
イネ科の一年生草本。本州以
常緑の高木で高さ 3 ~ 10 m。
カエデ科カエデ属の樹木の総
p.30)
地衣類(▶ p.154) マツ科の常緑針葉樹。北海道
ユレモ
並木として街路樹などに広く
するため,かつては肥料とし
る。胞子によって増える。
移入された。雨などで種子が運ばれて河原で繁茂し,在来の生態
て茎の先端に穂のような花
か すい
81118- 巻末
- スケール
.aiれ る 雑 草 の 1
以北に見られ,トドマツなど
ほど。赤褐色の甘い果実をつ
端な
どで見ら
南に広く分布し,畑,道端な
おもに地中海沿岸に分布する。
称。落葉広葉樹。秋に紅葉す
菌類と藻類がまとまって
1 つの生物のように生活しているもの
原核生物でシアノバクテリア
15
15
をつける。
植えられている。
て使用された。
系のバランスをくずすことがある。
(花穂)
巻末資料 生物図鑑 219
218 巻末資料 生物図鑑
ほかの針葉樹と針葉混合樹林
け,鳥類が好んで食べる。
つ。日本では,
「猫じゃらし」
どで見られる一般的な雑草の
果実をしぼることによりオ
る園芸品種として知られ,モ
で,木の幹や岩の上にへばりつくように生える。遷移初期のよう
の一種。池や沼などの淡水に
100
µm
を形成する。
とよばれることが多い。
な環境でも生育できる。なお,植物以外で葉緑体をもち,光合成
216 巻末資料 生物図鑑生息する。細胞が長く糸状に
15
をするクロレラやワカメなどの生物を藻類という。
214
連なる。
巻末資料 生物図鑑
15
15
1 つ。
リーブ油がつくられる。
巻末資料 生物図鑑
巻末資料 生物図鑑
巻末資料 生物図鑑
巻末資料 生物図鑑
※アゾトバクター,クロストリジウム,肺炎双球菌の写真は,電子顕微鏡写真に着色したもの
212
ミジとよばれることもある。
81118- 巻末 - スケール .ai
巻末資料 生物図鑑
217
215
213
211
■特定外来生物と絶滅危惧種も写真つきで紹介
特定外来生物や絶滅危惧種の一例を写真つきで紹介し,指定された背景等について簡単に解説しています。
2. いろいろな特定外来生物
ヌートリア(原産地:南アメリカ) ◀ p.226 ∼ 227
いろいろな特定外来生物
(▶ p.200)
3. 日本の絶滅危惧種(
ハリネズミ(原産地:ヨーロッパなど) ウチダザリガニ(原産地:北アメリカ)
セイヨウオオマルハナバチ(原産地:ヨーロッパ)
体長 50 ~ 70 cm。河川や湖,
。河川や湖,
沼などに生息する。
背中に硬く鋭いとげが多数ある。夜行性。ペッ
体長約 15 cm で繁殖力が強い。シグナルザリガ
体長 1 ~ 2 cm。温室栽培での受粉の目的で移入
毛皮を目的として移入された。イネや根菜類を
トとして移入された。鳥類の卵やひな,在来の
ニともいう。ニホンザリガニなどの在来種との
された。盗 蜜 行動を行う。競争力が強いため,
巣穴の競合や捕食による影響が危惧されてい
在来のマルハナバチの衰退が危惧されている。
中心とした農作物への被害を及ぼしている。
昆虫などに対する捕食の影響が危惧されてい
5
る。
5
アライグマ(原産地:北アメリカ)
カミツキガメ(原産地:北~中央アメリカ)
セアカゴケグモ(原産地:オーストラリア)
体長 40 ~ 65 cm。雑食性。ペットとして移入さ
体長 25 ~ 45 cm。淡水生。繁殖力が強く,寿命
。淡水生。繁殖力が強く,寿命
体長は雄 3 ~ 5 mm,雌 1 cm 程度。雌は毒をもっ
れ,1962 年以降,定着が拡大。農作物への被
が長い。ペットとして移入されたものが野外で
繁殖した。脅されると攻撃的になる。雑食性の
ている。
ため,淡水生態系への影響が危惧されている。
10
10
p.204)
る。
イリオモテヤマネコ
害や捕食による在来固有種への影響が危惧され
▶
とう みつ
ヤンバルクイナ
体長 50 ~ 60 cm。西表島のみに生息。開発によ
沖縄島固有の鳥類。体長約 30 cm,空を飛ぶこ
,空を飛ぶこ
る生息地の破壊や交通事故,イノシシ用のわな
とはできず,地上を歩く。そのため,ネコや移
に誤ってかかるなどの原因で,個体数が減って
アルゼンチンアリ(原産地:南アメリカ)
いる。
入されたマングースによる捕食のため個体数が
体長は約 2.5 mm。輸入されたものについて侵
ている。攻撃性は低いが,雌にかまれると痛み
入したと考えられる。繁殖力・競争力が非常に
や発汗,発熱などの症状が出る。1995 年に大
強く,アリなどの在来生物の生息数が減少して
阪府で発見されて以降,各地で見つかっている。
いる。
5
減少し,絶滅が心配されている。
そのほかの特定外来生物(抜粋)
哺乳類 フクロギツネ,タイワンザル,アメ
リカミンク,マスクラット,キョン
鳥 類 ガビチョウ,ソウシチョウ
は虫類 グリーンアノール,タイワンハブ
カスミサンショウウオ
ウシガエル(原産地:北~中央アメリカ)
カダヤシ(原産地:北アメリカ) オオキンケイギク(原産地:北アメリカ)
体長 15 cm ほどで,カエルの中では最大級。食
全長は雄 3 cm,雌 5 cm ほど。カの幼虫
(ボウフ
キク科の多年生草本。高さ 30 ~ 70 cm。道端や
用や実験用として用いられる。きわめて捕食力
ラ)を駆除する目的で移入された。メダカより
河原などに生育する。競争力が強く,各地で野
が強いため,生態系への影響が危惧されている。
攻撃性が強く,メダカを駆逐している地域もあ
る。
生化している。在来植物の減少が確認されてい
15
15
る。
両生類 プレーンズヒキガエル
体長 9 ~ 13 cm。日本固有の小形のサンショウ
魚 類 コクチバス,チャネルキャットフィッ
ウオ。生息地や繁殖地の減少,アメリカザリガ
シュ,ケツギョ,ノーザンパイク
ニなどの外来生物による捕食などにより,数が
昆虫類 ヒメテナガコガネ
減少。
貝 類 カワヒバリガイ
ベッコウトンボ
体長 4 cm ほどのトンボの一種。かつては日本
の広範囲で池や沼,湿地などに多く見られたが,
生息環境の悪化により,絶滅の危機に瀕してい
10
る。
植 物 ミズヒマワリ,オオハンゴンソウ,
オオカワヂシャ,ボタンウキクサ(ウォーター
レタス)
そのほかの絶滅危惧種(抜粋)
哺乳類 ツシマヤマネコ,ニホンアシカ,ジュ
ゴン,アマミノクロウサギ
226
巻末資料 生物図鑑
巻末資料
▶ p.228 日本の絶滅危惧種
巻末資料 生物図鑑
227
鳥 類 コウノトリ,シマフクロウ,ライチョ
15
ウ,イヌワシ,アホウドリ,タンチョウ
は虫類 アオウミガメ
両生類 オオサンショウウオ
魚 類 ミヤコタナゴ,ニホンウナギ,メダカ
キンラン
山や丘陵の林の中に生育するランの一種。かつ
ては日本国内で広く見られたが,開発による自
然破壊や,人の手による採集が原因で激減した。
昆虫類 クメジマボタル,ヤンバルテナガコガネ
植 物 ムニンツツジ,イシガキスミレ
※レッドリストでは,絶滅の危険性の高さによっ
て,カテゴリー分け(絶滅危惧Ⅰ A 類,Ⅰ B 類,
Ⅱ類など)がなされている。
20
15
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