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米国アトランタ水道事業の経営管理委託におけるリスク分担の事例

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米国アトランタ水道事業の経営管理委託におけるリスク分担の事例
米国アトランタ水道事業の経営管理委託におけるリスク分担の事例
(1998 年契約書 改良投資の負担割合計算例)
ここに記載した事例はあくまでもイメージであり、本水道システムの施設がこのような
工事が必要になるということを意味するものではない。
1.
ポンプの更新:hemphill 浄水場の逆洗水移送ポンプは老朽化のために更新が必要であ
る。更新に伴う労働力は、業務開始日以前5年間には直営で実施していたものである。
材料と部品
$9,000
合計
$9,000
会社負担 $9,000
市負担
$0
ポンプが耐用年数に達した場合、運営会社は 10,000 ドルまでの投資的費用と、業務
開始日以前5年間には市が直営で実施していたのでその労働力を負担する。
2.
配水ポンプ 1 基の点検で、Chattahoochee ポンプ場の、容量 25mgd 配水ポンプ、新し
いウエアリング交換などの修理が必要である。修理に伴う労働力は、業務開始日以前
5年間には直営で実施していたものである。
材料と部品
$4,000
合計
$4,000
会社負担 $4,000
市負担
$0
点検はポンプの耐用年数を延長することになる。しかし金額が下限金額を下回って
おり、労働力は自社の労働力であるので市負担はゼロである。運営会社は費用の全額
を支払う。下限金額は 1 組ではなく 1 台毎に算定する。
3.
全システムの非常照明設備の電池取替。労働力は、業務開始日以前5年間には市が直
営で実施していた。
外部の労働力
$2,000
材料と部品
$12,000
合計
$14,000
会社負担 $14,000
市負担 $0
消耗品の交換であり、資本的な改良更新ではない。これは、設備の耐用年数を延長
するのではなく、その機能を正常に維持するためだけの経常的な維持管理費用である。
。
市負担はゼロで、運営会社は全額負担となる。
4.
hemphill 浄水場の石灰貯留槽とその供給設備の年間点検において、一部、保有してい
る部品等の修理、交換が必要であることがわかった。業務開始日以前5年間には直営
で実施していた。
材料と部品
$30,000
合計
$30,000
会社負担 $10,000
市負担 $20,000
1
部品の寿命が来ていたと考えられる。運営会社は、労働力、及び、資本的設備の更
新費用のうち 10,000 ドルの費用を支払う。同様のことが、リン酸除去システムあるい
はその他のシステムの、部品更新のために必要になった場合も、運営会社はそのうち
の最初の 10,000 ドルを負担する。
5.
逆洗用ブロワーの 1 台が 5 年に 1 回の定期点検、分解整備を受けることになっている。
ブロアーの取外し、再設置のための労働力は、業務開始日以前5年間には直営で実施
していた。業者は、部品、消耗品の費用と、検査、再組立の労働力を提供する。
ベンダー労働力
$6,000
ベンダー部品と供給
$9,000
合計
$15,000
会社負担 $10,000
市負担 $5,000
運営会社は点検業者の費用のうち最初の 10,000 ドルを負担する。これには下請業者
の人件費も含まれるが、それは、業務開始日以前5年間は直営ではなかったからであ
る。この業務は設備の耐用年数を伸ばし、設備を更新する努力である。
6.
購入後 10 年経過した古いダンプカーが、走行距離 100,000 マイルとなり、エンジン交
換が必要となっている。技術、費用の分析を行った結果、エンジン交換が最も効率的
であることがわかった。
エンジン交換(労働力含む)
$15,000
新車購入
$90,000
決定
:エンジン交換:Yes
新車購入:No
会社負担 $10,000
市負担 $5,000
分析の結果、現有車両に投資する価値があるとわかった。これは、10 年経過した車
両には常にエンジン交換がいいといっている訳ではなく、単なる例に過ぎない。運営
会社は、設備部品(エンジン)の交換費用のうち最初の 10,000 ドルを負担する。
7.
管理棟の定期点検中に、レンガの継ぎ目のグラウトがゆるくなって、しっくいで補修
しなければならないことがわかった。この工事は、業務開始日以前5年間には、全て、
直営で実施された。
材料と供給
$10,000
合計
$10,000
会社負担 $10,000
市負担 $0
この工事は建物の経常的な補修に区分される。従って運営会社が全額負担する。
8.
完成後かなりの期間が経過し、管理棟表面のレンガにモルタルの劣化、レンガの緩み、
崩落が見え、かなり大規模なレンガの修復、交換が必要である。人件費も補修業者の
費用に含めるが、これは、業務開始日以前5年間には直営で実施されていなかったか
らである。
工事費 $_300,000
会社負担 $10,000
市負担 $290,000
2
既存のレンガの交換は改良投資ではない。したがって、運営会社は交換費用のうち
最初の 10,000 ドルを負担するものとする。この工事は、業務開始日以前5年間には直
営で実施されていなかったものである。
9.
計画的に実施する道路舗装工事の一環として、マンホール蓋 100 枚を補修することと
なった。この工事は、業務開始日以前5年間には、全て、直営で実施されていた。
材料と供給
$2,000
合計
$2,000
会社負担 $2,000
市負担 $0
これは経常的な補修工事であるので運営会社が実施すべきものである。改良投資で
もなく、老朽化あるいは耐用年数は来たことによる更新でもないからである。
10. 口径 48 インチ PCCP 配水管が漏水し始め、専門契約者による修理およびカップリング
工事が必要となった。この工事は、業務開始日以前5年間には直営で実施されていた
ものであるが、この場合は、すべての労働力を工事業者の費用に含めてよい。
外部の労働力 $ 4,000
材料と供給
$20,000
合計
$24,000
会社負担 $14,000
市負担 $10,000
運営会社に専門業者の費用のうち最初の 10,000 ドルと、業務開始日以前5年間に市
が直営で実施していた専門業者の人件費を負担することになっている改良投資である。
市は、10,000 ドルを超える材料と消耗品の費用を負担する。
11. 口径 24 インチの配水管が破裂し、多数の行止り間の断水を引き起こした。運営会社の
作業班は、管を修理し、外部の下請業者に、交通再開のための路面復旧工事を発注し
た。
材料と消耗品
$7,000
下請業者
$5,000
合計
$12,000
会社負担 $10,000
市負担 $2,000
運営会社は、この工事に伴う自社の労働力と、この工事に伴う材料費、部品供給業
者、下請業者の費用のうち最初の 10,000 ドルを負担する。
12. スルースゲートのガイドレールの交換が必要となった。全ての労働力は業務開始日以
前5年間には市が直営で実施していたものである。
材料と消耗品
$1,200
合計
$1,200
会社負担 $1,200
市負担 $0
交換の理由が、老朽化なのか、メンテナンス上の問題なのか、あるいは使い方の問
題なのか説明されていない。いずれにしても、10,000 ドルに達していないので、運営
会社の負担となる。
3
13. 管理棟内部の塗装が必要となった。全ての仕事はすべて外部委託されるので、その費
用には労働、材料および消耗品が含まれる。
合計
$60.000
会社負担 $60,000
市負担 $0
これは経常的な維持管理業務であるので、運営会社が全額を負担する。
14. Koweta Road 増圧ポンプ・配水池は、本契約期間の初期段階で外部建設会社によって
建設されている。契約してから 2 年以内に、新しい工場の顧客から、受水量を増強す
るため新たなポンプの追加設置の要求があった。新しいポンプの設置工事は下請業者
に発注され、人件費はその価格に含まれることになる。この工事は、業務開始日以前
5年間には市が直営で実施したようなものではない。
材料と供給
$500,000
工事費
$500,000
会社負担 $0
市負担 $500,000
これは新規改良工事になる。運営会社は、毎年、
(内部的に)策定している工程表に
従って、この追加工事が必要であることを明確にするための情報を、適宜、提供する
ことが望まれる。
15. 硫酸バン土の供給システムに通常の老朽化が生じており、更新する必要がある。運営
会社は予備的研究を行い、ライフサイクルコストの分析から、同じシステムで別の凝
集剤に替えた方が経済的であり、運転効率も向上することがわかった。即ち、既存シ
ステムを更新すれば 170,000 ドルかかるが、新しいもっと効率的なシステムに変更す
れば 200,000 ドルかかる。どちらかのシステムにしても、その設置工事は下請業者に
発注される。
同じシステムの更新
$170,000
会社負担 $10,000
市負担 $160,000
この浄水システム更新工事は、重要改良更新工事となり、運営会社は、このうちの
最初の 10,000 ドルを負担することになる。
$200,000
新システム導入
会社負担 $0
市負担 $200,000
この浄水システム改良工事は、新規改良工事になるだろう。この工事を実施する時
期と工程の条件としては、なぜ改良が必要なのか、なぜ更新ではだめなのかというこ
とを明確にしなければならない。
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