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小学校 グループエンカウンターの活用
児童どうしの心のふれあいを促す教育相談活動 ∼構成的グループ・エンカウンターの活用を通して∼ 1.主題設定について (1) 主題の意味 心 の ふ れ あ い と は 、 子 ど もた ち が 教室 にお い て あるが ま ま の自 分自 身 を受 け 入れ 、 お互いに支え合い、助け合うことと考える。 心 の ふ れ あ い を 促 す とは 、子 ど も たち が自 分 の よさを 理 解 して やさ し さや 自 信を 持 ったり、友だちのよさを理解して信頼したりすることを援助することと考える。 教 育 相 談 活 動 と は 、 教師 の子 ど も への 個別 対 応 や、子 ど も どう しの 関 わり 合 いを 意 図 的 ・ 計 画 的 に 仕 組 む こ と で、 子 ど もた ちが 本 来 、持ち 得 て いる 力を 引 き出 し 、子 ど もたちの人間関係を円滑にする援助活動と考える。 e n c o u n t e r ( エ ンカ ウ ン ター )と は 、 一般に 出 会 いと 訳さ れ るが 、 自己 と の出会い、他者との出会い、心のふれあいのことである。 グ ル ー プ ・ エ ン カ ウ ンタ ーと は グ ルー プ内 の 人 間関係 を 通 して 、自 他 理解 を 深め 、 リレーション( 優しさを基本とした恐怖や構えのない関係 )を深化させるものである 。 構 成 的 グ ル ー プ ・ エ ンカ ウン タ ー を通 して と は エクサ サ イ ズを 主と す るエ ン カウ ン タ ー に よ っ て 一 人 ひ と り は それ ぞ れ 異な る考 え を 持って い る こと と自 分 のよ さ を理 解 さ せ る と と も に 、 友 だ ち の よさ を 理 解さ せ、 お 互 いに支 え 合 い、 助け 合 いを さ せて い こうとするものである。 (2) 主題設定の理由 ① 今日的課題から(略) ② 児童の実態から 子 ども たちは、常に 友だちとな かよく過ごし なが ら、自分に関 わるあらゆ る人た ちから自分の存在や言動を認めてもらいたいと思っている。 しか し な が ら 「 ど う せ 自分 な ん か 」 と い う よ う に 自 分 自 身 に 自 信 が 持 て ず に、 自 分 を 否 定 的 に と ら え て い る 児 童 。「 あ の 人 が し て も 大 丈 夫 な ん ? 」 と い う よ う に 学 級内の特定の児童に対して蔑視している児童などがみられる。 ③ 指導上の反省から(略) 2.研究の目標 構成的グル ープ・エンカ ウンターの 活用を通して 、児 童どうしの心 のふれあい を促す 教育相談活動のあり方を明らかにする。 3.研究の仮説 「どうせ自 分なんか」と いうように 自分自身に自 信が 持てずに、自 分を否定的 にとら え て い る 児 童 、「 あ の 人 が し て も 大 丈 夫 な ん ? 」 と い う よ う に 学 級 内 の 特 定 の 児 童 に 対 して蔑視している児童に対して、 (1)自分や友だちのよいところを見つけあう (2) お互いに相手のことを考えて助け合う (3)相手の喜びや悲しみに気づき分かり合う (4) 一人ひとりが異なった考えを持っていることに気づく と い っ た 4 つ の 体 験 学 習 を 設 定し 、 そ れ ぞ れ の 学 習 に お い て 構 成 的 グ ル ー プ ・ エ ン カ ウ ン タ ー を 活 用 す れ ば 、 子 ども た ち は 、 自 分 の よ さ を 理 解 し 、 や さ し さ や 自 信 を 持 っ た り、友だちのよさを理解し信頼したりすることができるであろう。 4.研究の概要 (1) 文献資料による理論研究(一部略) エ ク サ サ イ ズ と ゲ ー ム や レク リ エ ーシ ョン の 違 いは、 シ ェ アリ ング ( ふり か えり ) の 実 施 の 有 無 で あ る 。 子 ど もた ち が 休み 時間 に 行 ってい る ゲ ーム もシ ェ アリ ン グと セ ットにすればエクササイズである。 し た が っ て エ ク サ サ イ ズ はシ ェ ア リン グを 伴 っ て、は じ め てエ クサ サ イズ と 呼べ る のである。 シ ェ ア リ ン グ と は 、 た っ た今 、 自 分と 自分 の 周 りに起 こ っ た出 来事 に つい て 体験 し たことを自分の経験として確認していくことである。 よ っ て エ ク サ サ イ ズ を 振 り返 っ て そこ での 気 づ きや感 情 を 明確 にし 、 ねら い を定 着 させる働きをする 。つまり本音で気付きや感情を出し合い 、分かち合うことによって 、 エクササイズのねらいは、より一層効果的になる。 (2)エクササイズの工夫について ① プログラムを組み立てる観点 エクササイズを多面的にするために 、交流分析のPACの概念に基づき構成する 。 ② 高学年(5年生)での実施において 高学年児童の持つ異性への意識の芽生えによって、過度に異性を排斥することな く、上手につきあえるようなエクササイズを工夫する。また、自己探索を始める時 期でもあるので、自己理解を助けるようなエクササイズ、それと同時に他者理解も 深めるようなエクササイズを工夫する。 表1 構成的エンカウンター・グループの基本的な展開パターン 展 開 留 1.メインエクササイズとつなが 意 点 ・できるだけ身体的な動きを伴うもの。 るようなウォーミングアップ (ミニエクササイズ) ・説明は簡潔明確に 2.ミニエクササイズのシェアリング (リーダーを中心とした円陣) ・感じたことの表明など軽く。 3、メインエクササイズの説明 ・ ウ ォ ー ミ ン グア ッ プ か ら う ま く グ ルー プ 編成ができるとよい。 ・ 何 を 体 験 し 感じ 取 っ て も ら う の か 、そ の 方向性を示す。 ・説明は簡潔明確に。 4、メインエクササイズの実施 ・メンバーの動きに注意を払う。 5、シェアリング ・「 ど の よ うに 感 じ た か 」「 ど ん な こ と に 気 づ い た か 」 等 、観 点 を 明 確 に し て 話 し合 っ てもらう。 ・班の話し合いから全体へ 6、リーダーによるシェアリング ・ リ ー ダ ー 自 身が 感 じ た こ と 、 気 づ いた こ とを述べる。 (3) 実態調査の分析と考察 図1 学校嫌いア ン ケ ート 実態調査結果 ( 人 ) 日曜の夜、 ま た 明日 から 学校かと 思う と 落ち 込む。 よ く あ てはま る だいた いあ てはま る ど ちら と も いえない あ ま り あ てはま ら ない ま っ た く あ てはま ら ない 学校ではいやな こ と ばかり あ る 。 朝、 何と な く 学校に 行き た く な いと 思う こ と がある 。 学校に来て も 何も 楽 し いこ と がない (人) 0 5 10 15 実態調査の分析 図1にお いて、それぞ れの項目の 中で「だいた いあ てはまる」ま たは「よく あては まる」にチェックした児童数を見てみると、 日曜の夜、また明日から学校かと思うと落ち込む・・・ 38 % 学校ではいやなことばかりある・・・・・・・・・・・ 11 % 朝、何となく学校に行きたくないと思うことがある・・ 32 % 学校に来ても何も楽しいことがない・・・・・・・・・ 26 % が在籍していることがわかる 。 学 級 内 で の 友 だ ち 関 係 も 大き な 要 因と して 考 え られる の で 、す べて の 子ど も たち に と っ て 学 校 が 楽 し い 場 所 と なる よ う に、 構成 的 エ ンカウ ン タ ーグ ルー プ を活 用 しな が ら 子 ど も た ち ど う し の 交 流 が活 発 に なる よう に 、 特にそ れ ぞ れの 項目 に 対し て 4お よ び 5 に チ ェ ッ ク し た 児 童 が 、そ れ ぞ れの ステ ッ プ におい て で きる だけ + 方向 に 変容 す る よ う に プ ロ グ ラ ム を 組 み 、シ ェ ア リン グを 効 果 的に行 い な がら 実施 し てい き たい と 考えている。 (4) 実証授業の実施計画 全9時間 学習段階 自分や友だち のよいところ を見つけあう 配時 1 時 2 時 お互いに相手 のことを考え 3 時 主 活 動 名 ね ら い 何でも 外見だけでなく、普段現れていない級友の内面 バスケット を知る。 サッカー 集団での役割を遂行することを通して多くの級 じゃんけん 友と関わり仲間作りをする。 聖徳太子 ゲーム て助け合う 一人の力では難しいことをグループの協力によ って成し遂げる体験を通してリレーション作り をする。 4 時 助けて!! そっくり 5 時 写そう 集団が個人を支え、個人が他の人との関係の中 で存在することを知る。 グループで一つのものを完成させる喜びを通し て一人一人が力を合わせ一緒にがんばれたとい う実感を味わうことができるようにする。 相手の喜びや 悲しみに気づ 6 時 背中合わせ 話をするときの位置関係が情報の伝達に影響す 向かい合わせ ることを体験を通して考えることができる。 き分かり合う いろいろな態度でお互いの思いを聞き合う活動 7 時 話を聞こう を通して、一生懸命聞いて受け入れてもらった ときの喜びを味わうことができる。 一人ひとりが 自分の個性に誇りを持ち、友だちの個性につい 異 な っ た 考 え 8 時 私はわたしよ て尊重する。 を持っている ことに気づく 多様な考えのあることを知り、お互いを認め合 9 時 無人島SOS (5) 実証授業の考察 う人間関係をつくる。 【 何でもバスケット】 何でもバスケットでは 、「○○君は○○が好きだったんだね 。」 と 席 を 移 動 し て き た 子 に 対 し て 、 笑 顔 で 話 し か け て い る 光 景 が よ く 見 受 け ら れ た 。「 外 見 か ら 見 て わ か ら な い こ と が よ く わ か っ た 。」 と い う 子 ど も の 声からも分かるように、子どもたちが友だちのことで日頃知ら ないことを知り合うことができ交友関係が深まった。これは子 どもたちが、自己開示を抵抗なくできたためだと考える。今後 は発言する内容を工夫することで教科学習の場においても有効な手法になると考える。 【 サッカーじゃんけん】 「 す ご く 楽 し か っ た 。 も っ と い っ ぱ い し た か っ た 。」「 み ん な が 『 強 い 。』」 と 言 っ て く れ て う れ し か っ た 。」 な ど 、 よ り 多 く の 友だちと関わり合う様子が随所に見られた。このことは集団で 遊ぶ機会が少ない子どもたちが勝敗にこだわることなく遊ぶ楽 し さ を 充 分 味 わ っ た た め だ と 考 え ら れ る 。今 後 、 こ の よ う な 活 動 を 特 別 活 動 な ど にお い て仕組むことで、子どもたちの心のふれあいは、より一層、密になると考えられる。 【 聖徳太子ゲーム 】 「 み ん な で 考 え て 、 友 だ ち っ て い い ん だ な 。」 と 思 う な ど 、 各 班 が 、 そ れ ぞ れ 協 力 し な がら意欲的に取り組んでいた 。授業終了後「 なんか 、はじめて班の人と協力した気分 。」 と話しかけてきた児童がいた。これは、問題を解決するために 子どもたちが持てる力を充分活用した結果の成就感の表れだと 考える。今後は、 子どもたちにこのような達成感を味わわせる経験を随所に仕組 む必要があると考える。 【助けて!!】 はじめは、体力もあるので楽しそうに行っていたが、次第に 走り疲れてくるために助けに行くことにつらさを感じていた。 そのために、どうしたらじゃんけんに勝つことができるのか作 戦を立てるなどの話し合いを行う班もあり、連帯感が持てたよ うだ。 こ れ は 、 困 難 な 状 況 を 解 決 し て い く 過 程に お い て 、 子 ど も た ち に 深 い つ な が り がで き た 結 果 の 表 れ だ と 考 え る 。 ま た 、 前 時 の 活動 で 、 協 力 す る こ と の よ さ を 十 分 に 味 わっ て い た が 、「 協 力 す る の は 簡 単 な こ と と 思 っ て い た け ど 、 や っ て み る と な か な か 難 し い と 思 っ た 。」 と ” 協 力 す る ” の 意 味 を 知 識 の み で は な く 実 体 験 を 通 し て 子 ど も た ち は 学 ぶ こ と が で き た 。 こ の 経 験 は 、 様 々 な 問 題 をこ れ か ら 解 決 し て い く 際 に 他 の 人 と の 関わ り において生かされると考える。 【 そっくり写そう】 どの班も役割などを決めて、工夫しながら作業に取り組んでいた。 絵のできばえよりもみんなで協力しながら少しずつ絵を完成させて いったことに満足していた。活動後のシェアリングでは他の班の作 品を見ながら、自分たちでその絵のよさや協力して描いたことなど を交流していた。この活動において努力した子に対しては、素直に そ の 子 の が ん ば り を 認 め て あ げ る 光 景 が 見ら れ る な ど 、 結 果 の み に 意 識 が 集 中 し てし ま いがちな子どもたちに 、結果に至るまでの努力に目を向けさせる上でも大変有効だった 。 今 後 は 、 こ の 活 動 と 道 徳 の 授 業 を 関 連 さ せる こ と で 子 ど も た ち の 心 は さ ら に 豊 か なも の になると考える。 【背中合わせ向かい合わせ】 男女間の交流をより活発なものにしたいという意図もあって、二人組 は男女を基本とした。はじめは 、「えー 。」という声と共に嫌がる反応を 示したが、活動に入ると様子は一変し、どの組も熱心にエクササイズに 取 り 組ん でい た 。ま た 、「向 かい 合わせの 方がよかっ たし、人の話 をち ゃ ん と 聞か な い と わ か ら な い か ら 人 の 話 を ち ゃ ん と 聞 こう と 努 力す る 。」 と いうように日頃の自分たちの行動と照らし合わせながら話し手との位置 関係について自分のこれからの行動を考えさせることができた。 【 話を聞こう】 この 活動 を 通し て 子ど もた ち は 、向 かい 合 って 聞い て い ても 話し 手 が不 愉快な 思い を することがあることを体験することができ た 。 ま た 、「 話 を し て い る 人 の 方 を 見 る か 見 な い か で 相 手 の 気 持 ち が 変 わ る ん だ な と 思 った 。」「友だちが話しているときは友だちの方を向いてちゃんと聞いてあげたい 。」「話 を 聞 く と き は B パ タ ー ン で 聞 こ う と 思 っ た 。」 の よ う に 、 こ れ か ら は 友 だ ち と の か か わ り方をよりよくしていこうとする姿が見られた。 【私はわたしよ】 今まで友だちのことを十分に理解しているつもりであったようだ が、意外に知らない部分が多く、驚きを隠せない子が多数いた。こ の活動では、子どもたちが日頃の会話では話さないことを提供して くれたので子どもたちどうしのつながりがいっそう深まったよう だ 。 ま た 、 持 ち 物 な ど で 他 の 人 と 同 じ で な い と 不 安 に な っ て い た 子 ど も が 、「 同 じ 人 は い な い 。 私 は わ た し 。 自 分 の こ と が 前 よ り 好 き に な っ た 。」 と 感 じ る な ど 、 自 分 に 自 信 を持つなど、自尊感情の高揚にもつながった。 【無人島SOS】 脱 出 す る か そ れ と も 、 そ のま ま 生 活 す る の か で 意 見 が 分 か れ 、 そ れ ぞ れ が 自 分 の考 え を 説 明 し な が ら 話 し 合 っ て い た 。 疑 似 体 験 さ せ る こ と で 、「 今 日 ま で み ん な と 協 力 し て い る の が す ご く 大 切 な ん だ な と 思 い ま し た 。」 と 班 の 協 力 に 改 め て 気 づ く 子 や 「 一 回 こ の 班 で 自 分 た ち が 考 え た こ と を や っ て み た い 。」 と 実 践 に つ な げ て み た い と 意 欲 を 示 す 子 も い る な ど 、 実 際 の 生 活 場 面 で 自 分 た ちで 考 え 、 問 題 を 解 決 し て い こ う と す る 実践 的 態度の育成につながった。 (6) 意識の変容 図2 課題とな った設問につ いての意識 の変容 学校では、 いやなこ と ばかり ある 朝、 何と なく 学校に行き たく ない 実施前 よく あてはまる 実施前 よく あてはまる 実施後 実施後 だいたいあてはまる だいたいあてはまる どちらと もいえない どちらと もいえない あまり あてはまらない あまり あてはまらない まったく あてはまらない まったく あてはまらない 0 5 10 15 ( 人 ) 5 10 実施前 実施前 よくあてはまる 実施後 実施後 だいたいあてはまる だいたいあてはまる どちらともいえない どちらともいえない あまりあてはまらない あまりあてはまらない まったくあてはまらない まったくあてはまらない 0 5 10 15 ( 人 ) 日曜の夜、また明日から学校かと思う と落ち込む 学校に来ても何も楽しく ない よくあてはまる 0 20 ( 人 ) 0 5 10 ( 人 ) 図 2 か ら 分 か る よ う に 事 前 の 実態 調 査 で 課 題 と な っ た 設 問 を 事 後 の 調 査 結 果 と 比 較 す る と 、 い ず れ の 設 問 も 総 じ て 「 よ く あ て は ま る 」「 だ い た い あ て は ま る 」 と 答 え た 児 童 の人数 は減 少し 、「あ まりあては まらない 」「まったくあて はまらない」と答えた児童の 人数を増やすことができた。 「 朝 、 何 と な く 学 校 に 行 き た く な い 」「 日 曜 の 夜 、 ま た 明 日 か ら 学 校 か と 思 う と 落 ち 込 む 」 の 設 問 に お い て は 「 よ く あ て は ま る 」「 だ い た い あ て は ま る 」 と 答 え た 児 童 の 人 数 を 減 少 さ せ る こ と が で き た。 こ れ は 学 校 が 魅 力 あ る 場 所 と 思 う 児 童 が 増 え た た め だ と 考える。 特に 「学 校に来ても楽 しくない 。」の設問で は「 よくあては まる 」「だいたいあてはま る 」 と 答 え た 児 童 が 0 人 で あっ た 。 こ れ は 、 構 成 的 グ ル ー プ ・ エ ン カ ウ ン タ ー の 活 動 に お い て 、 心 の ふ れ あ い が 活 発に 行 わ れ る こ と で 交 友 関 係 が 広 が り 友 だ ち と の 会 話 や 遊 び などが豊かになったためだと考えられる。 また 、 「 学校ではいやなことばかりある 。」の設問においては「 あまりあてはまらない 」 と 答 え た 児 童 が 増 え て い る 。こ れ は 、 構 成 的 グ ル ー プ ・ エ ン カ ウ ン タ ー の 活 動 を 通 し た 友 だ ち と の 関 わ り あ い に お いて 、 子 ど も た ち が 自 分 や 友 だ ち の よ い と こ ろ を 見 つ け あ う 自 己 理 解 や 他 者 理 解 を 深 め たり 、 お 互 い に 相 手 の こ と を 考 え て 助 け 合 っ た り し た た め だ と考える。 5.研究の成果と今後の課題 (1)研究の成果 教育相談活動において、 ① 自 分 や 友 だ ち の よ い と ころ を 見 つけ あう 体 験 学習を 設 定 した こと で 、子 ど もた ち は 友 だ ち の こ と で 日 頃 知 らな い こ とを 知り 合 い 、より 多 く の友 だち と 関わ り 合う こ とができるようになった。 ② お 互 い に 相 手 の こ と を 考え て 助 け合 う体 験 学 習を設 定 し たこ とで 困 難な 状 況を 解 決していく過程において、子どもたちに深いつながりができた。 ③ 相 手 の 喜 び や 悲 し み に 気づ き 分 かり 合う 体 験 学習を 設 定 した こと で 、友 だ ちと の かかわり方をよりよくしていこうとする姿がみられるようになった。 ④ 一 人 ひ と り が 異 な っ た 考え を 持 って いる こ と に気づ く 体 験学 習を 設 定し た こと で 、 自 分 に 自 信 を 持 つ 子 ども が 増 え、 同時 に 子 どもた ち ど うし のつ な がり が いっ そ う深まった。 このように、それぞれの学習において構成的グループ・エンカウンターを活用す ることで、子どもたちは、自分のよさを理解し、やさしさや自信を持ったり、友だ ちのよさを理解し信頼したりするなど、児童どうしの心のふれあいを促す上で有効 だった。 (2) 今後の課題 高学年において実施した構成的グループ・エンカウンターだったが、子どもたち にとって仲間作り・良好な人間関係作りの上で非常に有効だった。 このようなことから 、この取り組みを5年生のみの取り組みに終わらせることなく 、 全学年において、年間を通して計画的に実施できるように総合的な学習の時間や道 徳、学級活動の教育内容として教育課程に位置づける必要がある。