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学習・指導を評価する 評価は必要か? 評価の意義 教育活動の過程
評価は必要か? 学習・指導を評価する 南山大学人文学部心理人間学科 津村 俊充 評価の意義 教育とは価値や理念、すなわち、教育の理 念や目的を実現するための意図的な活動 「教育によって生じた(あるいは生ずる)人 間の行動・人格の変化(あるいは変化の可 能性)を、一定の価値基準にてらして判定 する過程(岡部弥太郎監修 教育評価事 典)」が評価(evaluation)である 測定においては、対象について、いかに正確な 数量的な表現をするかということが主要な関心 事である 教育目標 の設定 評価は、測定結果がどれだけの教育的価値を持って いるかを問題にする 評価は必要だ! その根拠は? 事前テスト (測定) 評価 教育目標の 修正 カリキュラ ムの作成 授業 (指導) カリキュラ ムの修正・ 改善 事後テス ト(測定) 評価 新しい教育 目標の設定 測定・評価の基本要件 妥当性(Validity) 教育における測定は児童・生徒が教育目標にどれだ け近づいたかを客観的に正確に数量化すること 評価は、価値という意味を含み、ある対象や事 象についてその価値を値ぶみすることである 評価は必要ない! 教育活動の過程 測定と評価 信頼性(Reliability) 対象とする特性を測っているか?→数学の得点が字の巧拙に左右される:教 師の個人的好みや感情で差別していないか? 客観性(Objectivity) 安定的正確に測定しているか?→テスト以外にも要因:受験者の能力や学力 だけでなく、動機づけや不安、健康状態やテスト状況も影響の可能性 公正性(Fairness) 測定の対象を真に測定しているかどうか?数学の問題で、言葉の理解力を測 るようなものになっていないか? 評価の基準や手続きを客観化し、誰にも透明。事後の不服申し立てについて も、教師は聴く耳 弁別力(Discriminative power) 個人間(時には個人内)の能力差を感知し弁別する力→テスト問題の難易度 1 教授・学習活動のサイクルにお ける評価の位置 (梶田叡一、1974) フィードバック情報としての評価 ある目標を達成しようとする場合、その意図的 な行動がどれだけ目標に接近したかを知らせ る情報であり、評価は教育活動の調節にとっ て必要な情報を組織的に提供する過程である 評価はフィードバック情報を組織的に提供 する過程である フィードバック情報の調節機能 フィードバック情報の動機づけ機能 目的からみた評価の分類(ブルームら) 教授目標 の設定 学習目標 の設定 反省 教授活動 学習活動 適切な処置をすることが目的 児童・生徒が新しい教育目標(たとえば、単元の目標)に必要な基礎知 識や技能、すなわち、レディネスがあるかどうかを知ること クラス編成のために判定資料を得るためなど 教師にとっては教授活動、児童・生徒にとっては学習活動の途上で、 教授・学習の成果を評価し、それを教師や児童・生徒に対して明らか にすることにより教授・学習活動自体の調節に役立てていくというもの 次に何を、どのように重点的に学習させる(学習する)かを教師や児童 が発見すること 総括的評価(summative evaluation) 1学期、1年といった比較的長期間における教授・学習活動の成果を 総括的に評価するもの 代表例は、通知簿:これから児童・生徒は?保護者は?教師は? 意欲 児童・生徒による 自己評価 教師による 評価 評価基準の立て方とそれが人間形成に 及ぼす影響(梶田叡一、1983) 相対評価 評価の 基準 評価の 観点 ポジティブな 可能性 集団内の他 の人の成績 優れているか 劣っているか 他の人たちとの関 係において自己を 客観視できるよう になる 協調性を欠いた 「出し抜き」型人間 が形成される 外的客観的 到達目標を 達成したか否 か 自己教育の態勢 が身につく 到達目標の体系を 絶対視し、ゆとりや ふくらみの乏しい 人間が形成される 形成的評価(formative evaluation) 学習者 診断的配置的評価(diagnostic evaluation) 教授者 フィードバック情報とは 到達度評価 な到達目標 (絶対評価I) 認定評価 群 教師の頭の 中にある基 教師の目から (教師の教育観に 見て満足でき 沿った人間形成 るか否か の実現) 当人の以前 当人に以前よ 自分のペースで自 独りよがり的自己 り進歩が見ら らの進歩向上を図 満足の習慣が形成 れるか否か る習慣が身につく される (絶対評価II) 準 進歩の評価 の状態 (個人内評価) 弊害の可能性 教師の権威への盲 従、あるいは教師 不信が生じる もう一度、評価とは 誰が 誰の 何を 何のために どのように 評価するか? 2