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んのこくや - 新潟大学生活協同組合

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んのこくや - 新潟大学生活協同組合
I ま んのこくや
教職員から学生に推薦する本
第7号.1994年秋
新潟大学生活協同組合
q
「ほんのこくや」アンケート
①
①今回の「ほんのこくや」全体についての感想.ご意見をお書き下さい。
■■■● ̄ ̄--。▲■ ̄宇中■●●●。●。●●●CcCCCCC--‐●--口一宇一pP---守寺一●■■■■■■・■---℃=■■■■■I■■I■I■I■I■I■I■I■I■I■I■■●-。.■-。――・■■I■I■■■■■■■。'■
■■■.■ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄●■■■■■■■■■■■■■・■■.■■I■ ̄。.■・■I■I■■I■■■■■■■・■・■ ̄。 ̄●●●■■ロロ■●● ̄ ̄ ̄。 ̄ ̄--● ̄CCCCC●CCCCCCCCC-C-C守一C-●-屯一ゥ●一宇一
②この冊子を見て読んでみたくなった本があったら教えて下さい。
● ̄ ̄●●■■■■■・■ ̄ ̄C-CCC-o ̄ ̄● ̄守守■■■■■■■ ̄ ̄ ̄■ ̄ご■■ ̄■■■■●●■■■■■ ̄。‐●●■■■■■● ̄◆ ̄。 ̄ ̄CCCCCCC ̄の---ヤーPP--------■■■■-
〈理由>
ロー ̄●●●の。。●。‐ ̄ママ寺一一一一一●●■■■■■■■■■■■ ̄●●●■■■■■■■■■■●.■。●● ̄▲ ̄ ̄ ̄▲●●中年●。●●●●ウーーウャ甲一ご□■■■■■■■■■.■⑰.■■-℃■■■■■■
■■■■■●●----- ̄CCCCCC ̄ ̄ ̄勺一宇⑤■ご□■□⑪ ̄ ̄ ̄●・■■ ̄■■■■■●■■■■・■I■ ̄●。。 ̄●●。●ロロロの■● ̄。●CCC。。 ̄■甲甲ご勺■■■■■□■------●●■■■■
きりとり線
■■■■■■ ̄。。■ ̄●●●●●●■■▲■▲⑤。□。●ロウウー ̄ ̄--ママ一一●●■■■■■■■■I■■ ̄●●■I■■■■■■■■■■。●●●● ̄● ̄▲ ̄。●。●。。 ̄ウーゥヤ●---寺一一●■■■-℃
③
③特にどんな分野の本を紹介してほしいと思いますか。ご希望をお聞
かせ下さい。
● ̄C-CCC● ̄ ̄申一■□■■□■■・■■■■・■■I■■■■。。。。 ̄・■・■ ̄●●●▲▲。▲▲・年。●CCC---●●■■■■■■・■■ ̄I■ ̄I■●I■。。 ̄ ̄● ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄●●ロロ■■■▲▲。●●●---
口守寺一一■■■■■.■.■.■.■.■■I■I■■・■.■ ̄●●●●● ̄▲▲----CCCCCC。の。-勺□ ̄ ̄ ̄ ̄=・■■■■■■■■■■■■I■I■。。。 ̄ ̄● ̄ ̄ ̄◆ ̄◆ ̄CCCCCCロロゥーーの■ウゥー■--℃-
■ ̄ ̄●■□■白白 ̄。○CCC ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄● ̄ ̄==●=・■⑤.■■■I■■■■■■■■■■■● ̄ ̄ ̄◆ ̄ ̄ ̄●C●の一宇pPP ̄ ̄ ̄=寺==■■■■■■ ̄I■■ ̄.■■■ ̄。■■■■■●●●▲▲◆--。●
学部学年男・女
氏名
T
学籍番号
住所
ご協力ありがとうございました。
このアンケートは、各店舗「虹の声」ポスト、または瞥籍部カウン
ターまでお願いいたします。
アンケートをお寄せ下さった方の中から、先着50名の方に図書券を差
し上げます。
締め切りは11月25日(金)。
自著を語る
今号から新たにもうけられたコーナーで、本学
の先生方に自著の紹介をお願いし、内容を分か
りやすく語っていただこうというものです。
トップバッターは佐々木先生と安藤先生。次号
以降、どんな先生が登場するか、お楽しみに。
一一一’
・自著を語る…・………・……………・…………・………1
.入門書……………………・………・………・………・…7
.思想・社会科学…………・……………………………9
.歴史・文化論…………・………………………………14
.文学………………・……………………………………19
.自然科学・………………………………・…………・・…21
.特集:「水と環境」……………………・………………23
次
.出版会運動について(教職員の方々のためのページ)・……26
.編集後記
(この冊子は再生紙を利用しています〕
本号に掲峨されている書評は7月から10月にかけて生協教職員委員
会が中心となって、教職員の方々に執筆依頼を行い、集約したもので
す。敬称は省略させていただきました。
専門書と一般書の区分けがなされていますが、おおよそ次のような
述いがあります。
「専門杵」-専門分野との関係で読んだ方が良いと思われる本
「一般響」-勉学を離れて学生時代にぜひ読んでほしい本
人文学部文化コミュニケーション論講座
佐々木充
l・佐々木先生のご専門についてお賭ください。研
究分野、課題、担当Lている授業など
専門と言われても、普通の意味の専門というのは
ないようなものなのでちょっと困りますね。まあ、女
ないようなものなのでちょっと困りますね。まあ、文学とその周辺をやってい
るということになるでしょうか。昨年度までは教養部で英語を教え、研究面と
しては、英文学をやっているというのが一応の看板でした。論文は、イェイツ
やシェイクスピアのものが主となっています。今年度から、人文学部に配置替
えになって、修辞論とか比較表現論などの離義を担当することになっていま
す。もともと英文学に限らずに和漢洋の文学に興味をもっていましたから、英
文学の枠が取れてほっとしている部分もあるんですが、抽象的な鱗義題目にな
っていますから、やりにくいところもありますね。具体的な作品を分析してい
くというやり方でやってきましたが、それをこれからは抽象化していく方法に
変えてゆかなければならないなと思っています。
2.近頃ご著書を出版されましたね。書名、出版社、出版に至る経純など。
「シェイクスピア劇の中層的隠職榊適という長ったらしい題の本です。多
賀出版というところから出しています。10年くらい前まではイェイツというア
イルランドの詩人を研究していたんですが、そちらのほうが一段落つきまし
て、周りからのいろいろな刺激があったりして、むかし卒論の対象に選んだシ
ェイクスピアにもう一度手を染め直すということになったんです。初めに、
「真夏の夜の夢」をやっているうちに、ちょっとした発見などもありまして、
シェイクスピアのいろいろな作品を検討し、その結果を学会で発表したりして
いるうちに、ある程度の量になったので、まとめて本に出すことにしたんで
す。幸い文部省から出版助成金をもらうことになって、本をだすきっかけとし
ては、それが大きかったですね。
3.「中層的阻愉樹造」というのはユニークな視点だと思われますが、どのよ
うなことからそのような視点に到i亜されましたか。
もともと文学研究の視点としては、作家や詩人個人というものを主体に考え
ていましたので、個人の創造の秘密とかヴィジョンというものに焦点を当てて
研究してきたんですが、シェイクスピアの場合にはそれではうまく行かないと
いうことがだんだんはっきりしてきたんです。個人の創造とか主体性とかいう
のは19世紀の創作かもしれません。特にシェイクスピアの場合、自分というも
のを主張しようと思って書いているわけでもありませんし、他人のものをどん
どん利用していますよね。無論結果としての作品には他の作者のものにはみら
れないシェイクスピア的なものはあります。しかしそれを探っていくとシェイ
クスピア個人ではなくて、集団的な根に行き着く。というわけで、彼の作品に
-1-
シェイクスピアという個人を求めても見いだすことはできない。また一方で、
深瑠で築団的なところに結び付きながら、完全に集団に埋没しているわけでも
ありません。やはりシェイクスピア的なものは厳然としてある。そのような作
家の作品を理解するにはどうしたらいいのかというところで考えついたのがこ
の「中刷的阻醗柵造」というものなんです。阻聴あるいはメタファーはシェイ
クスピアのlIlIでは非徹に皿要な存在です。しかしながらシェイクスピアの鯛
合、阻聴は愈織的に用いているとは思えないものが多いんです。無論全く無意
繊的なものでもない。どうもその中IIII的なもののようです。つまり、作品の表
層と深珊の中|Ⅱ]に位世する存在なのです。これが中層的という言莱の意味で
す。こういう位肚付けをしている隠噛蹟は今のところないと思います。しかも
その隠噸はjIu独で存在するものではなくて、ある作品の中で連想的に結び付い
て、一つの組織体を形成しているということが、作品を検討してゆくと分かっ
てきたんです。この細」I儲i体は作品の表懸とも深層とも結び付いているというと
ころからすると、個人的であると同時に楽団的でもあったシェイクスピア自身
の存在の仕方をよく反映しているといえるでしょう。ですから、このような隠聡
榊造を把掘することがシェイクスピアの本闘に迫ることだといえると思います。
4.ご著書の内容をごく分かりやすくお賭しください。
今述べたような「中層的隠嘘榊造」という概念によって個々の劇の隠醗柵造
を分析し、作品を解競したのがこの本だということになるでしょう。隠噸が作
品のiI1の中墹的存在だとすると、それは人IIIlの鞘神的櫛造の中の中層的存在、
つまり夢ですとか、あるいは、文化全体の81,での中層的存在と対応110係にある
といえるでしょう。随嘘には夢とよく似たところや、フォークロアとか神謡、
伝説、寵牧雌式などのシンボルやイメージをルlいるものとの結び付きが強いの
です。例えば、「典夏の夜の夢」の隠嘘綱迭の中心には月のフォークロアが隠
れています。また、それは意外なことに、ロビン・フッド伝説や儀式とも結び
付いているんです。また、迷宮の隠聴が靴み込まれていることで、この劇は一
棚のイニシエーションの劇だということが分かります。「テンベスト」という
劇には錬金術が隠れています。銚金術というのも、近代の科学に皿ずるものだ
ということから、鈍金薬の調合法でも響かれてあるかと思えばざにあらずで、
錬金術排というのはアレゴリカルな、シンボルを多用した書き方になっている
んです。ユングはそれで錬金術の生成過腿の81mに個人の自己実現に至る過紐を
見たわけで、夢に現れるイメージと尖jinのものがそこに出ているんです。同じ
ことが「テンベスト」という劇でも起こるわけです。民諸の話型もこの劇の中
に潜んでいるということが、隠曝を分析すると分かってきます。このような形
で、「ハムレット」や『マクベス」などシェイクスピアの代表的作品を銃み解
いていったのがこの本です。その結果、今まで漠然としていたことを随分はっ
きりとぎせることができたと思います。興味を持たれた方は読んでいただきた
いと思います。題はなにやらいかめしいですが、誰が鉦んでも分かるように譜
いてありますし、ちょっと商いですが、狐はしないと思いますよ。
-2-
農学部農業生産科学科
安藤嘉友
0.先生のご専門、ご担当の購義は?
僕は大きな意味では林業経済学の分野に属してい
るんですけど、その中でも生産・荊費・流通といろ
んな段階があるわけです。その中で侭の専門は木材ijI
んな段階があるわけです。その中で僕の専門は木材流通とか、木材価格識とか
いった分野で非常にせまい専門的な分野と言っていいと思います。
大学の識義も一つは「木材市場論」という鋼義を受け持っています。学位誼
文もその関係で学位をとっています。それは若いときから木材の流通問廻・価
格1111週、だから外材の問題なんか非常に大きなIMI翅なんですけれども、そうい
ったことをずっとやって来ました。ある程度の年齢になりますとね、もう少し
こう幡広い視点が入ってくる、特に林業・山村に対する政雄がいろいろ出きれ
ているわけですけど、それを市場論・流通論を基礎とするんですけど、やはI)
一定の批判的なコメントを、40才後半からはかなりそういう鎗文が多くなって
きますのでそういう意味では「森林政簸」ということについても一応私の専門
領域だといえると思います。で、大学の翻義も「森林政雄学」を担当しています。
0.森林政筬というと広い分野と思えますが?
あくまでも専門は市期鏑・流通論ということで、この分野というのは全国的
に研究者が非常に少ない。僕らが属しているのは旧学科名でKjうと林学科なん
ですね。その林学科の中の主流はやっぱり生産理箇なんですよね。この点が農
業経済などと鵜し<違うところなんです。農業110係ですと流j、問題の専門家は
たくさんいらっしゃいますし、協同組合篭・農協瞼をやれば当然、流通飴にい
かなきゃならない。農産物は食料ですから生協の1111題にもいかなきゃいけない
ということがあります。ところが林業の方はそういった協同組合による流通あ
るいは生協が材木を取り扱う事はきわめて少ない。そういうことで伝統的な木
材業者の人たちが担っている世界なものですから、なかなか入りにくい研究分
野でもあります。それで全国でいっても騨門家というのは僕の年上も含めても
10本指あるかないかです。結局まあ、ごく簡単に凶ったら、こういう分野をや
ったら出世が迎い、というやつで。そりやあ、林業経済の中だったら生廠鈴と
か、林家論とか、国有林蹄とか、そういうことやったら結榊格好いいですよ
ね。ですから研究者としてはある意味では希少な存在なんでしょうね、きっ
と。そういうことで本を将<撮会も若い時から多かったんです。
Q・本を出される経過、キッカケというのはどういうことがあるのでしょう?
結局、研究将というのはものを香<のが商売ですよね。ものを醤<のが商売
ですから、いつでも本をⅡIしたいと思っているわけです。これは侭が思うんで
すが、研究者が本を出す時に3つか4つくらいの叩がある。というのは、自分
-3-
で研究をやってある成果が出てくる。その成果を是非、11tに間うてね、学問的
な水辿もみんなに社会的に評価してもらいたいし、その結果を社会に利用して
もらいたい、と喜び功んで本にする。これは一般的には学位錨文などがその手
の物になっていくだろうと思うんですけど。そういう風な観点で自分の研究が
ある程度煮詰まってきてこの辺でひとつまとめようかと思って出した本は、た
くさん本はあるんですけど、「外材.その現状と展開」はそういったものに入
るかなと。それと完本ではないですが「木材市充市場の現状とその役割“こう
いった物がいわば研究者として箔いときからひとつの1111題に取り組んでいてあ
る程度10年なり研究やった時点で成果がまとまって世に問いたい、という研究
者としてスムーズなものですけど。
もう一つの便の著作活動の特徴というのは、I1ilじ世代の仲Illlとですね、一緒
に語らって日本の林業を徹底的に分析しようじゃないか。だからそれには生産
の問題の専F1家もいるし、農業経済の人もいるし分野の連った人達が梨まっ
て、それで勉強会をやってその結果を世に問おうと。当時を思い出すと、農業
問題とか林業IlU題というのは農業なら農業、林業なら林乗の中で完結する物と
見るか、日本の資本主錠全体の中で規定されていると兄るかという瓢、これは
日本の学会で腿経なんかで大変鎧争になった点なんですけれど、WithinProb・
lem(内部問題)だ、いやBetwcenProbIem(110係論)なんだ、という2つの識論
がありまして。僕らの仲lulはその後者で、つまり日本資本主義からの規定性を
こぞ政視しなきゃならない、というIill点で3~4年みんなで討論しましてね、
それでできあがった本というのがrⅡ本経済と林業・'11村問題」なんです。こ
の仲lUl達と僕の研究交流というのが非常に深くてですね、この人達と共に研究
を進めてきた。ここの人達で侭とは別なことを専門にしていて、だから分野の
違う迎中が染まって相互に対錨しお互いに研鋼してという、僕にとっては非常
に思い出深い藩番なんです。そういう連中が集まって本を出したんですけどや
っぱり5年くらい経つと状況が変わる。そこで、このiiiの分析でいいのか、そ
れじゃまた研究会やろうと言ってやり始めて作った本が「転換期の林業・山村
問題」なんですよ。この2冊は侭が馴務局長をやって作ったんですがね、だか
ら僕の命令一下でね、例えば「一人25枚以上1m:いたら除ざん」とかね、「表は
1ページまでよ」とかね、そんなことEiって乱暴な耶務局長やってたんです
が。前者の方は本当の学術書ですごく分厚い本ですが、後者の方はそうでなく
て、そういう理蛤を踏まえて11tの中に脈えていこうという本だったものですか
ら、これは林業関係でもベストセラーに近かったんじゃないかと思っていま
す。6千部くらい出ましたから。普通は千部くらいなんですよね、我々のマー
ケットというのは。
それから3つめには、いろんな人1111関係があってね、だから多少それは連う
んじゃないかな、と思いながらもいろいろやるというのがあって、それが今に
して思うと本の数としては多いかもしれない。例えば「王子製紙111林鞭業
史」、r流通再綱と木材産業」、「地域林業と国有林」、「現代林業経済論』、「地方
林政と林業財政』。研究者としてある程度の業款を積んだとき、こういうこと
ってよくあることなんだろうと.思うんです。
僕は研究所でずっと励めていたものですから、結局雑用はあんまり無いわけ
ですね。鋼査研究一筋ですから、比較的大学にいた人よりは業績の数は践文等
-4-
含めても多いんだろうと思うんですが、僕自身が人に百われるのは、君は単著
がちょっと少ないね、とこういうふうに言われるんですけど。
もう一つ非常に僕としては思い出があるのはr木材市場鎧』なんですけど、
これはごく最近出した本なんですが、ある大学から学位を出苔ないかといわれ
て昭和53年にすでにとりまとめてたんですね。そこで提出することにしてたん
です。ところが世の中いろんな事があるものでして、研究外の事悩で出すのを
やめたんですよね。だから結局、ちゃんとまとまっているのに出苔なかったわ
けですから、そのままダンスの中に入れていてもしょうがない。そこで、原稿
依頼がある度にその中から適宜出してたんですね。そういうことでその当時出
している箔文というのは学位蹟文の節とか章を出しているわけですから明確な
研究蹟文のスタイルで出てるわけですけれども。そういうのを研究所やめたと
きに学位取らないかという賭があって、それで出したわけですけど、これもい
ろいろな事1Wがあって、結局その時も自分の考えている学位鐘文全体の体系は
とらないで出しちゃったわけですよね。それでそれじゃあうまくないと。自分
の30年間に渡る研究の、本当は全部密き下ろしにすれば良かったんでしょうけ
ど、そのときどき力を入れて香いた学位l箇文のもとになった、そういうi洽文を
1冊の本にしようということで出したのがこの本なわけで、僕としては大変思
い出のある、また思い入れのある本なんですが、残念ながらこういう本は売れ
ません。
ところが「林業行政マンのための新産地化とその手法」は、こういう本作り
ってのは僕は全く初めての経験なんですけども、僕が群馬県で鋼演して歩いた
んですよね、頼まれて。その時の謡を蝶庁の人がテープ起こしして印刷したん
ですよね。程製本として。それを出版社の緬築者が見てね、これは面白いから
本にしませんかと。そういうことで出来た本なんですが、またああいう本は売
れるんですね。
だけどやはり研究者としては自分の研究の成果を出したものがなんと言って
も心に残るし、思い出になりますね。
。.「木材市堪凸」の内容についてご輯介いただけますか
ごくiUi単に言えば、木材の市場誼なり価格茜というのは、基本的には士地生
産物ですから農産物とそれほど基本的な差を持たないものだろうと。だから流
通形憩を見ても、価格形成機撫を見ても基本的には農産物の価鰭箇なり流通麓
なりと多くの面でオーヴァーラップしている。
ところが木材の方で違うのは、たとえば、土地生産物の価格というのは基本
的には一番生産条件の悪いところでの生産費が市場価格になるという命'四があ
るわけです。その命題は林業の方でも貫かれている。だけど農産物の方はどう
かというと、国が橡々な価格政策をとっている。市場メカニズム、つまり資本
主義的な市場撮綱を通じての価格形成とは著しく遮う゜その点は林業の場合に
は直接的価格政簸がないという点で市鳩機摺を通じて価格が形成きれていると
見ることが出来るという特徴がある。
それと農産物と木材を考えたときに良産物では全く考えなくていい問題があ
る。というのは良産物は人々が生産、つまり労働をして得たものでしょう。と
ころが木材は東南アジアの離帯林とかアメリカの森林とか、まったく金がかか
-5-
ってないわけですよ。自然そのままなわけですね。それを天然林と言うわけで
すけども。天然林材というのが市糊に11}てくる。それから人工林材というの
も、日本で杉や柚を植えてますから、それが出てくる。この天然林材と人工林
材、どういう風な'10係で価格が決まるか。ということが農産物ではほとんど問
題にする必要がない問題だったんですが林業でそれがすごく問題だった。それ
に対する解答は、天然林で一番条件の悪いところ、だから一番山奥でね伐採し
て出してくるのにすごく金のかかる、そのコストと、例えば日本の人工林なら
育成饗がかなりかかる。そうすると日本の伐出費と育林費を合わせたものとア
メリカで一番恐いところの伐採述搬費ですね、育成コストを含まない、これが
同じになるところで価格が決まると。
こういったことが紫礎になって、日本で今75%も外材が入ってきて、自給率
は25%ですから農作物以下なわけですね。そういうことが1960年代から起こっ
ている。というのは苔つき言った、アメリカの伐出費と日本の人工林のコスト
を比べるとアメリカの方が安い。だからどんどん入ってきている。というのが
僕の木材価格強の基本的な考え方なんですけど、そういうことで入ってきた外
材がどういう流通ルートを通って実際に日本のマーケットで光られているかと
いう外材1111皿を、総合商社の問題、束耐アジアの資源ナショナリズムの問題、
それからアメリカの巨大木材企業の阪充戦略・輸出戦略、そういうものを総合
的に解明した本です。この点は今のところ顛嘗がありません。
安藤先生著作リスト
発行所
日本林訂 ミ調査会
農林銃: ,協会
山村振興調査会
山村振興調査会
全国森林組合迎合会
日本林業閏査会
1『名
林業基本法の理解
唖後農林銃111史第3巻
山村の未来像を求めて報告哲
山村の未来IiR
森林組合IMI度史第2巻
外材.その現状と展開
1
2
3
4
5
6
7
王子製紙u」林事業史
8
0
流通再趨と木材産柔
木材市光市場の現状とその役割
日本経済と林業・山村問題
1
地域林確と国有林
2
木材市充三十年史
9
3
日本の木材閲辿産業
4
転換期の林業・山村問題
5
現代林案経済飴
6
地方林政と林行財政
7
8
新版林粟実務必携
国産材振興と国有林材の販売
9
日本農林年鑑
20
木材VANの理蹟と実際
21
木材市場脇
22
林垂行政マンのためのH1産地化とその千旗
刊年
S、40
S
45
S
42
S
44
S
48
S
49
王子製鋼閑
日本林業調査会
S
51
S
51
林政縫合調査研究所
東京大学出版会
S
52
S
53
日本林業調査会
全日本木材市場連盟
中小企業リサーチセンター
新評詰
日本林業餌杢会
農林統計協会
S
57
S
57
S
58
S
58
S
59
S
62
朝倉香店
S
62
日本林業調森会
家の光協会
S
62
日本林業関査会
日本林業卿査会
全国林業改良普及協会
-6-
H
1
H
4
H
4
H
5
教職員から学生に推薦する本
入門香……・……………………………………………7
思想・社会科学…………………・………………9
歴史・文化論………………………………………14
文学………………………………・・………………………l9
1fl然科学・………………………………………………21
<入門書〉
『はじめての人の日本語文法』専門Ⅲ篭繍艤2,300円
未来に起こることの時川をきいているのに「明日の会議は何時からだっ
た?」と「た」できくのはなぜ?「冷蔵庫でビールを冷えきせましょう」はな
ぜ変な旨い方なのか?…。日本語を使っているからといって説明するとなると
難しい、日本語に潜む“法則”を、徳川康子さんとか明石正也君などといった
ユニークな登場人物と一緒にあれこれ考えているうちに導きだすという本。
「文法」というと、何か正しい規範のようなものが既に誰かによって決められ
ていて、それを覚えるのが勉強だ、と大学生にもなって思い込んでいる者にこ
そすすめたい。専門知識をもたなくても楽しく鉦ぬる工夫がされているが、実
は、先端の研究テーマで柵成ぎれていて、ひとつひとつ自分の頭で考えながら
読み進めていったら、相当な分析能力がつくのではないかと思う。
(人文学部・日本鱈学:天野みどり)
『バイリンガルの科学』-鮫轡ロ鑪鰯レーバヅクス9,0円
ふだん大学でエラソーに外国語を教えている私ですが、実のところ「どうも
俺の語学はさっぱり上達しないな」と伍促たる思いに補われることが少なくあ
りません。十年二十年と外国語を勉強しながらなぜネイテイヴスピーカーのよ
うになれないのか、そもそもカッコいい(?)バイリンガルには誰でもなれる
ものなのか-外国語を学ぶ人間が誰でも-度は抱く疑問に平易に答えたの
が、この『バイリンガルの科学』です。人間は十歳位までに母語の濫本能力が
形成ぎれ、それを過ぎると十分な語学力を得るのは難しいこと、母語能力の高
さが外国語力をつける前提条件であること、小さいうちから無理に二か国語を
使わせると母語も外国語も不十分なセミリンガルになってしまう場合があるこ
と、語学力の習得は生活している社会に規定されるので(例えば親の一方が外
国人であるなどの理由から)家庭内での外国語使用だけでは十分な力は得られ
ないことなど、橡々の興味深い知見が語られています。無飴だからといって外
国語を学ぶことは恐ろしく難しいと百っているのではありません。自分に何が
必要かを見定めた上で熱意をもって学習すればそれなりの語学力は達成できる
と教えてくれる本でもあるのです。訂学やホームステイ、或は将来就職して家
族巡れで外国に駐留する場合のアドヴァイスなど、理論面だけではなく実用面
にもg2l6Xしています。
(人文学部・ドイツ語・表蝕文化麓:三浦淳)
-7-
『朝の知的生活術』
-腱露U繊麺学研究会篝540円
40も近づいてきた現在では、股早思いも及ばぬことであるが、大学院生とし
て勉学(?)に励んでいた頃は、ほぼ毎日午前3-4時まで起きていたし、そ
のまま徹夜となることもザラであった。実際に論文や演習の池術に追いまくら
れていたわけであるが、殆どの人が渡静まった夜中に唯一人起きて勉強してい
たことは、自分だけが一歩確実に抜きん出ていくようで、ひじような快感を伴
っていたように記世している。
ところが、本轡は「時llH創造のもっとも効果的な手段」として「朝の見直
し」を拙案する。今でも「夜型人1111」の私には金輪際実行できっこないと思っ
ているが、末尾の問いかけだけは以て自戒したいと考えている。
あなたは毎lEI、どれほど「生きた時、」を持っていますか。
あなたの一日に「死んだ時間」はありませんか。
あなたは、もっともっと時、を生かせるのではありませんか。
(教育学部・国嬬学:鈴木恵)
-8-
<思想・社会科学〉
『モラリストとしてのカント'』-総ロ鶇鶴箸2,000円
この本は、替名からうける堅苦しさとは裏胆に、堅苦しさがなく、読みやす
い本だ。普通、カントは、時計のように規則的な生活をした人、道徳の権化の
ような人物とされている。ところがこの本では、カントが、偏屈で、意地が悪
く、吝聞で、嫉妬心が強かったこと、他人の反鐙に激怒し、友達を求めず、人
間螺いで、有能な人をことごとく撃退する人物として描かれている、この描写
には、思わず笑ってしまう。しかし、「げらげら笑って読み、その後とても嫌
な感じが残りました」という-読者の感想にあるように、哲人カントがこんな
に性格の悪い人llIlだったのかと、とても不愉快になる本である。不愉快になる
のは、冷遇されている著者の怨念がこもっているからかもしれない。ともあ
れ、崇高な哲学者の背後にきえも、どろどろした悩念、醜い欲望があることを
知るのが、「正しい」人間観を身につけることにつながるだろう。他者の内に
ある善い面と悪い面を分離せずに、他者全体をうけとめられるのでなければ、
他者を理解することなどできるはずがない。他人が信じられないときに読め
ば、大きな慰めが得られるだろうし、ルンルン気分の時は自戒のための薬にな
るだろう。哲学の勧めの逆みたいな本だが、バラ色の夢と哲学を結びつける気
持ちは私にはない。本当にいろいろなことを考えきせられる本だ。
(人文学部・人間学:山内志朗)
『構造と感情』
専門轡U&篭ダム藩
2,678円
ニーダムの「柵造と感悩』は、レヴィ・ストロースのr親族の基本榊造」に
対して、ホマンズとシュナイダーが行った批判に対してなされた再批判の香で
ある。主題は「単方交叉イトコ婚」という特殊なものだが、親族理論への導入
としてだけでなく、鋭い批判と論理の組立に爽快感すら感じられるほどの「読
み物」となっている。最後にデュルケムの言葉をひいて社会現象を個人の心理
に帰さない、という社会学的伝統を示して終わるところも、なかなか「かっこ
いい」終わり方なので感心させられる。親族理論に関心のない人にも人類学の
-面を知るのに良い本であると思う。(解説も勉強になる)
(人文学部・文化人類学:中村認)
『社会人類学案内』
専門藩U壜iMI濾箸
イギリスの人類学者の大物の一人リーチが、入門書を著わした。しかし、
-9-
リーチ自身いうように、これは大学に入って「きて人類学を学ぼうか」という
人のための本ではない。「人類学入''11Jではなく「案内」と)ilIMuがつけられた
理由もそこにあろう。リーチの私的な好みの人類学が「識が何といおうと、俺
の人類学はこれでよいのだ」とぽかりに、示されている。こわいくらい大胆に
なりたいものである。(しかし、ほんとうはリーチの藷のすすめ方はおそらく
細心で裁譜なのだ)その両方を学べたらよいのだが。
(人文学部・文化人類学:中村認)
『コメを考える』_般欝Ⅱ顛新鰐
620円
凶作によ')コメ不足問題は、昨年の秋から今春にかけて「平成のコメ騒動」
ともいうべき11k蹟を騒がせた。一転して、今年は10年ぶりの大磯作であり、緊
急輸入米の100万トン以上の在庫や、折しも、ガット・ウルグアイラウンドの
妥結で、来年から約40万トンの輸入雅務により、一挙に米の鵬落と過剰問題が
表面化している。一方、政府内では食WiHf理Iiill度の改〕11[力鹸i付きれており、こ
こにきてコメをめぐる議論が再びi州|Niしてきている。岐近、コメ1111題に関する
本を店頭で多く)しかけるが、大部分は'111きかじり知識に基づいた、農協や食糧
庁をスケープ・ゴートにした極めて短絡的な自由化・規制緩和論が目につく。
専門家の立場から、コメ問題について総合的な視点から取り上げた一般書は少
ないのだが、本譜はコメの生産・流通・消費から地域社会、文明、環境問題ま
で取り上げておりバランスのとれた好藩である。本書を読んで学生諸氏にはマ
スコミに惑わされない正確な知徽を身につけてほしい。
(農学部・農樂経済学:青柳斉)
『日本・ドイツ女性の新しいうねり』ロ蕊醗文化センf詠
一その思想と行動-
『変容する男'性社会』
-労働、ジェンダーの日独比較一ロ雛子.大沢輕續
3,296円
東京ドイツ文化センターは、このところ征年のように11本の研究機関や、体
と共同で女性をテーマとしたシンポジウムを開催している。ここに紹介する本
は二冊ともその成来の報告である。
1990年に「芸術と社会の中の女性」をテーマに両国の女性たちによる講演と
討護が行われ、それを収録したものがr女性の新しいうねり」である。その内
容は、政治と社会における女性、芸術(帝楽、美術、映画、紳蹄、パフォーマ
ンス)における女性から、宗教における女性、さらに女性とポルノグラフィー
にまで及んでいる。フェミニズムの収JILと今後の課題が浮き彫1)にされる。こ
-10-
の本の面白さは、どのテーマも日本・ドイツ両サイドの視点から捉えられてい
るところにある。
二11I目の『変容する男性社会』でもこの比較文化的視点が取り上げられてい
る。こちらは1992年の「欧性と労勧』ロ独シンポジウム」(〕{[〕;〔ドイツ文化セ
ンター・お茶の水女子大学女性文化研究センター共雌)をふまえたものであ
る。ドイツのク;1-ター''111(女子活111促進雄ひとつ)、ドイツ統一後の東独の
女性たちの状況、セクシJvル・ハラスメント、労lIil時11U短縮と両性による家リi
育児の分担問題などアクチュアルなテーマが取り上げられている。女性の働き
方をドイツと比鮫することで鮮明に浮かび上がってくるのは、やはり、ffjjlと
しての日本のりj性社会である。1975年に大阪ドイツ文化センターで行われたロ
独シンポジウムをまとめた『婦人と労働一日独シンポジウム概告識(エル
マー・プラント、音田正己綱、日本労働協会、1975)では、ロ独双方ともま
だ、家庭の賀(fは女性が負うことを1MI提として誰職してお|)、挑み比べて兄る
と、時代の恩iWIの変遷に聴かされるだろう。
(大学教育開発研究センター・ドイツ語:桑原ヒサ子)
ザ都市の論理』一議識U露蕊箸
720円
僕の知合いに#i純な女の人がいてね。いや、-{(:iiiは三里塚に1,}かけたかと
思えば賎近はフェミニズムに走ったりして、忙しい人なんだけど。今は;化の東
京に住んでるんだけど出身は北陸でね、そのせいか櫛裕な東京と慰まれない地
方という二元論に染まっちゃって、こないだ会った時こう言うんだな。地方は
束)}(に食紐の供給をやめれぱいいのよ、そうすれば〕|[京は地方のzIt妥性を少し
は蝿職するでしよ、だってざ。困るんだねえ、こういう単純な考え方。地方が
食1Mの供給をストップしてもJ1〔京は平気なんだ。外国から食柵を輸入す,)やい
いんだから(現にしてるけどね)。かえって地方の万が、食柵が〕!〔哀で光れな
きゃお金が稼げなくて参っちゃう。日本の食織には'1,i格からいって国際競争力
なんかないからね。昔アメリカのカーター大統領が人権外交でソ連への小麦輸
出を禁じたことがあったけど、あの時もソ連は他の同から小麦を輸入するから
別段I''らなくて、かえって小麦が売れないアメリカの農民が困ったんじゃなか
ったかな。
峨近都市論ははやりだけど、都市力端力であるという視点はどのくらいある
んだろうか。実は僕は都市論はそんなに,読んでなくて責任をもって言えないん
だけど、地方や後進匠'に対して大都市が椛力であるという視点がない都市論な
んて、国会対錐ばかりやって実効ある政治をやれない政治家や雛も読まない論
文ばか')書いている大学教師と同じじゃないかな。食糧を生産しない大都市は
飢えないけれど、食撤を生産しているアフリカの後進国力飢え為のはなぜなん
-11-
だろうか。考えてみると変な話だよね。そこで勧めたいのがこの「都市の論]glLl
だ。といってもこの木、やや水期し的なところがあって、特に中llllあたりは埋
めyIt的な文〕ifが続くので全面的に優れているとは闘いかねるんだけど、峨初と
般後あたI)は読んでおいて弧はない。少なくとも、新潟TITという都市に住み新
潟UilというIML堆県に他む僕らはこういう問題を本気になって考えなきゃ。
(人文学部・ドイツ語・表象文化論:三浦涼)
『国家学』
奪門霧N巣懸.ケラー…j’駅
4,326円
法とか、悲法とか、あるいは、政治とかを考え為時に、まずそもそもそれら
が、国家にllU係するものだということは、自Iリ}のことでしょう。だとすれば、
まず同家とは何かを巷えない限り、それらの内容を明らかにすることはできま
せん。しかし、翻って「国家」とは何かなどと人上段にふI)かぶ1)ますと、こ
れまた雲をつかむような話です。大体、日本国恋法典というものは、みなさん
も兇たことがあると思いますが、「日本国家」など、几たことのある人はいな
いでしょう。しかし、逆に詠えば、「11本国家」は、私たちの生Wiでは、まわ
1)中に、どこにでも「ある」とも言えます。
従来、国家を扱う学IMIを、侭1家学と!iってきました。アリストテレス以来、
ごく般近まで、法学とか、政袷学は、すべて['11家学であるといっても良かった
のです。ところが、近代の分析主義の思考の中で、国家そのものを扱う、この
ような人理IMiは、流行しなくなり、その内容も細かく別かれて分担されるよう
になりました。その結果、木を見て、嫌を見ない誤りも、たくさん出現するよ
うになりました。19世紀が、「分,ijf的理性の時代」であI)、「分業の時代」であ
ったことは1111述いあI)ません。それにhIして、20Ⅱ上記は、それに対する異縦Ilj
立を行い、抗議の声をあげてきました。まさに20世紀は、ほとんどそのすぺて
を澱やして、19世紀という父親殺しを夢みてきた世紀かも知れません。しか
し、それに成功したとは、まだいえないでしょう。次に来るべき2jlL記は、あ
るいは「近代の終駕」を真実に語りうる時代になるのかも知れません。しか
し、私のように、なお'9世紀イ:}学観を問執する、時代遅れの者の抵抗も、そう
iWi1Iiに途絶えるとは思えませんが。
l副家を扱うのに、「階級」という特殊現代的な歴史的概念を挿入しながら、
lIi1時に人ilU本性に共通するものがあ為のではないかという、超時代的なものに
対・する近代の思想(人IHI本性IMiにもとづく社会型約論のことを考えて下さい)
をも追求しようとする著者は、この矛)間する課題にたち向かった第一人粁で
す。本啓は、ナチスに対するU}|いのIIlで、1933年に死亡した著者の、1931年に
出版された(イf系了1$です。著将は、規範主義(完全な形式主漉です)をとるハン
ス・ケルゼンと、決断主義(-樋の実存主義です)をとるカール・シュミット
との対・立の1111にあって、その双方の近奨性を説き、折衷主義とも、あるいは、
簡度の弁証法的総合とも見ることのできる‘jj功をとります。その恋味では、わ
-12-
が国で支持きれ、理解きれやすい理篭を、本書で腱1Mしています。
(法学部・公法原醗:山下威士)
聯け聯るわけにIⅧwコルチヤ2M灘蝋薔'寳糊円
原稿締切直I1i、出版きれたばかりの本悲が訳者(元教養部教官)から届い
た。ポーランド生まれの小児科医、作家、思想家、教育者でもあったユダヤ人
コルチャヅクの、「ドイツ人による」伝記である。「子どもに卵は無いのに」
「911の無い子どもに対して」、こういう冒莱がどれだけ声高にⅡlばれようと、
大人の仕切る世界に真実届く状況は、今の時代のどこを探してもまず難しい。
そんなことはないと言う人もいるだろうが、身の回りの現実はむしろますま
す、「罪の無い」はずの無力の子どもが無力というだけのことで、時には子ど
もでいることさえ許されない。これほどの理不尽はあろうか。
強者の蓋理が支配する世界の末は、常に破滅しかないことを歴史は教えてい
る。もし人類に救いがあるとするならば、大人が子どもを奥に大切にし、子ど
もの心に支えられようと発想を変える時だろう。それこそが、子どもこそわが
師であるとして、子どもとの関わりの中に自らの恩想の源を求め続け、股後ま
で彼らを守りつつ、ワルシャワ・ゲットーのガス室で多くの子どもたちと共に
その生涯を閉じたコルチャックと子どもたちが残した、私たちへの並い課題の
テーマのように`uう゜
(教育学部・子ども瞳:間麗侑)
-13-
<歴史・文化論〉
『徒然草抜書』-繊脅U総鵜文顧,,000円
r徒然草」から、従来の解釈では理解しにくい五つの章段を選び、例えば
「つれづれ」とはどのような意味か、「ものぐるほし」とは「くるほし」とど
う述うのかといった問題を、考えられるかぎりのてだてをつくして、また、論
理的に、解決していく。古典文学作品を解釈するための方法を基本的にlMlい直
す本。〈膝をたたいたときが危ない》ということを自戒としている著者の、つ
まり「わかったと思っても思考をストップしない」著者の具案迄追う迫力を感
じてほしい。既成の解釈にとらわれず、自分で作品を読み、自分で考えるとい
うことを教えてくれるこの本は、専illlにかかわらずすすめたい。
(人文学・日本語学:天野みどり)
『わが祖国-高博士の運命の種珊轡U繍謬
480円
日本ではあまり知られていないが、戦後、脳われて単身で韓国に渡り「韓国
近代隅業の父」と呼ばれる農学者がいる。それが、日本に亡命した朝鮮の軍人
と日本人女性との間に生まれた禺畏券博士である。育種学の研究者として慰ま
れた境遇を捨て、52才でなぜ突如として、しかも、妻子を残し永住の決意で日
本を去ったのか。本替はその疑問を、博士の生涯に深く関わった人々の'1Mき取
りから執拘に探っていく。そこには、日本と韓国との、の悲劇的な歴史的関係
が1人の生涯を通じて明らかにきれていく。ぜひ一読をすすめたい。
(農学部・農業経済学:青柳斉)
『おはなしおはなし』
一般轡ロ職鱸,,300円
日本におけるユング派心理学の第一人者として著名な筆者が朝日新聞仁迎戦
したコラムをまとめたもの。話そのものは平1111にして簡潔であるが、様々な示
唆を受ける。特に心理学の立場から見た日本と外国の民話の比較などは興味深い。
この本に限らず河合氏の著作は「高校生にもわかる文章」で書かれており、
一流と呼ばれる人々の知性のあり方について教えられる。そう言えばアルコー
ル依存症を専門とする神経科医にして作家でもある、なだいなだ氏の文章も紫
哨らしい。岩波新普やちくま文庫に収められたなだ氏の著作を読むと、何とな
く頭が良くなったような気がするばかりでなく、文章作法を教えられたような
気にさえなる。表現というものにこだわり、文章をなりわいに、と考えている
人には両氏の本を砿めたい。(人文学・英文学:金山亮太)
-14-
『もの食う人びと』-艫欝U鶏邇欝Ⅲ50.円
ものを食べるということほど生命にかかわっていながら実はないがしろにき
れていることは他にないのではないか。芥川賞作家でありジャーナリストでも
ある作者は、グルメブームとは対極にある、世界中の人びとの普段の食事をル
ポしていく。
そこに浮かび上がってくるのは、いかに未開と呼ばれている凶の人びとが豊
かな食文化を持っているかである。その向こうにはアメリカナイズされた使い
捨て文化にどっぷり浸った今日の日本のだらしない食生活への冷静な目があ
る。取材する側に潜む傲慢さ、その傲慢さが現地の人びとの金銭感覚や生活文
化を破壊している有様を捉えた所などは秀逸。ジャーナリスト志望者だけでな
く、フィールドワークを必要とする分野の人には是非読んでもらいたい-冊。
(人文学・英文学:全山亮大)
『たんぼ(めぐる季節の物語)』-綴誓ロ語厨履ハイマ蕊。円
時々所用で長岡に向かう竃エ|エ(新幹線はだめ)から、青々と茂る111を見て、
北海道生まれの私は美しいなと思う。そのような風景はきっと外国人にとって
も強いインパクトを持つのであろう。この写真家は日本の「田んぼ」に一目惚
れしてしまって、とうとう日本に定住して風景を撮っている。その風貌は「ふ
くろう」を思わせる。朝もやにけむる田の風景写真を見ると、この人が自然と
一体になって寝袋の中でじっとシャッターチャンスを待っていたのであろうと
感じさせる。道に迷って偶然出会った松之山に特に魅力を感じているそうであ
る。文字を読むのは面倒という人も、ハイマス氏の糀神というものを直接写兵
から感じとれるアルバムである。本を買うにも色々な動機がある。私はこの人
の生き方に感じ入ってこの本を買った。
(理学部・生物学:渡辺勇一)
『沖縄・八十四日の戦い』一般響U蕊襲鑿
900円
太平洋戦争で唯一の地上戦闘があった沖縄。そこにいた住民の悲惨を「''心に
すえたのがこの本である。1945年4月1日の米軍沖繩本島上陸から6月23日の
日本軍側最商指揮官牛島満中将の自決まで、戦線の推移を追って、その場、そ
の場で職もシリアスな体験をした人びとをさがし求め、その見聞を間うてい
る。
迫力の絶頂は、米軍側最高指揮官バックナー中将射殺の場面である。感動の
物語は、非Z1f備・平和の島である。というのは、渡嘉敷島近くの前島で、小学
-15-
校分教場長の若い教師が、日本軍の駐留、警踊をことわりぬいて、米皿の攻撃
をまぬがれ、200余人全貝のいのちを守l)ぬいたことである。日禰戦争開始以
来100年、来年は沖繩戦50年を迎える。敗戦までの半世紀は戦争の連続であっ
た。敗戦後半世紀はとにもかくにも平和がつづいている。平和を守っていくに
は、常に戦争の歴史をしっかり知ることが大切である。この本はそのことを
淡々と語りつづけるだろう。
榊原昭二氏は、元朝日新聞糧集委員・元新潟大学教授。現在、ジャーナリス
トとしても活躍中。
(法学部・佃報処理学:石田千代子)
『朧々天真-良寛の薑とこころ』-鱗脅U鶚霊:術瀧萱醤
新潟日報社2,500円
平成3年度新潟大学放送公開講座「良寛の香と生涯」(BSN新潟放送テレ
ビ18回)のシナリオをもとに、当時のBSNの担当ディレクター3名と主任識
師との共編箸の形で出版きれた本。取材の折、蝿影した写典240枚を抑入し、
テレビの画面が再生きれたようで楽しめる。
特別講座「良寛の神風」京大名誉教授・柳田聖山、「良寛の文学と中世思
想」聖心女子大名誉教授・目崎徳衛、座談会「良寛が語りかけるもの」子田地
次、小林新一、湊八校、加藤値一、等もおさめられている。
中国の取材へ出かけた「良寛と蛾眉山」も一つの目玉で、良寛の研究響が英
語、独語、仏語、中国語等で刊行されるなど、国際的な広がりも見せている。
本脊によって良寛の生涯はもとより、禅、漢詩、和歌、杵、逸話等を総合し
た人間性を、わかりやすく親しみをもって理解することが出来よう。
(教育学部・曾遡:加蔑個一)
『シンクロニシテイ』-鹸轡ロ鏥蝋覇菅:獺
平成6年1月3日付の新潟日報で、司馬運太郎(作家)と藤原作弥(エッセイ
スト)が紙上対談をしている。
藤原ここ数年地球上の変動には、地下水脈でつながる法MII性のようなもの
を感じる。
司馬世界同時性ともいえる一種の法則性があるようだ…
本瞥の核心を突く対話である。時lIUは過去・現在・未来へ直線的には流れな
い。それは同時に一つに畳み込まれていて、内的宇宙と外的宇宙をつなぐ鏡を
垣llH見せるという。微妙に影響し合い交差する複数の時111I的宇宙への新知見を
示してくれる。
(大学教育開発研究センター・英寵:筑木力)
-16-
『太平洋戦争とは何だったの2M:灘-.,-密而'''澤鬮
2,600円
太平洋戦争とは日.米両国IHIでだけ使う呼称である。それは第二次世界大戦の
うち、主として太平洋方面における日本とアメリカ・イギリス・オランダ等の
連合国とのiim争をいい、1931年勃発の満州事変から通算した十五年戦争の第三
段階に当たり、中国戦線も含むとするのが通説である。しかし、ヨーロッパの
アジア植民地宗主国にとっては、たかだか極東戦争に過ぎず、本轡の著者も、
基本的にはイギリスと日本との戦いであって、アメリカはイギリスとの関係か
ら介入したのだと述べる。
西欧世界に長年に亘って沈殿してきた白人優位の侃見が、黄色人柧と白色人
種との対立をもたらし、そこへ諸民族・国家の政治的・経済的・戦略的思わく
が絡み合い衝突して、それが太平洋戦争の引き金になったと指摘するが、同時
に今世紀における諸民族・国家の内部変動の様相にまで踏み込んで、長期的・
世界的視点から、この戦争の真因の解明に迫っている。
いま戦後半世紀を迎えようとして、あらためて太平洋職争の意味が問われて
いるとき、私たち日本人がずっと暖昧にしてきた問題の核心が、本杏にはっき
りと呈示されている。
(大学教育開発研究センター・英贈:筑木力)
『鉄道旅行の歴史十九世紀にU蕊塁鑑静IF繩
おける空間と時間の工業化』
3,800円
『時計と人間アメリカの時間と歴史』H鳳鑑ルオマリー箸
『ちょっと見るだけ世紀末U臆1鵜鴬ボウル:識
消費文化と文学テクスト』
上に上げた三冊の本は、わたしたちにとってはあまりにも自明で普段は深く
考えることのないわたしたちの社会とわたしたちの意識の櫛造が、実はせいぜ
いここ150年ぐらいのうちにできあがったものであることを教えてくれていま
す。シベルプシュの本は、十九世紀前半に登場した鉄道がそのスピードによっ
て「空Illlと時llU」という人間の知覚の根本概念をいかに変え、どんな新しい知
覚を生み出したかを、また鉄道が経済と結びついて生産物を、そしてついには
人間をも「商品」に変えてゆく過程を見事に解き明かしてくれます。時間は太
陽の位低によって測られたものであり鉄道が開通する以前にはそれぞれの土地
には独自の時間がありました。鉄道は地方から独自の時1mを奪い、時計に基づ
く「標準時」に統合してゆきます。この「標準時」の導入が「効率」概念と結
びつき、わたしたちが日々経験している時illjに追われる社会が形成されてゆく
過程を具体的に講じているのがオマリーの本です。鉄道によって再綱成きれた
-17-
資本主鵜世界に十九世紀後半新たな変化が起こります。生活必需品の生産から
新しい欲望の発明への転換がそれです。今ではおなじみの「消費社会」の成立
です。このiilHlIi社会の出現が文学にどのような形鞭を与えたかをイギリス、ア
メリカ、フランスの自然主義作品にFIIして論じているのがポウルビーの本で
す。秋の夜蜂にわたしたちの社会の起源に思いを馳せてみませんか。
(人文学部・ドイツ文学:桑原聡)
『外国語としての日本識一般響、蕊謹瑞枝蕾
650円
藩ilFは、現在横浜国立大学留学生センター教授(日本語学・日本語教育専
攻)として、外国人に日本語を教える立期にある。p本語を全く学翻したこと
のない研学生に対することによって、かえって従来の、日本人向けの「日本綴
文法」では几えなかった部分に気がつくことがしばしばだと言う。エピソード
やPlf例を交えての解説は分かりやすく、新鮮な州1mに徹んでいる。
(教育学部・国語学:鈴木恵)
『日本語の起源(新版)』-鱸辮Ⅱ鰯誓鴬篝
650円
】994年6月20日第1印刷発行の本譜は、本稿執魏時(7/5)においてはまさに
できたてのホヤホヤであるが、今を去ること37年前の1957年9月17Hに、li1じ
藩者による111名の譜が発行されている(但し、1955年11月生まれの感自身は、
手持ちの本が1977年4月発行の第24剛であるから、どうやら大学3年生の頃に
読んだようである)。
|ロ版のイル成は、I日本人とアイヌと/11[1本の]!〔部と西部と/IH南方
に「1本iWiの親戚があるか/Ⅳiii化[|本譜とアルタイ蘭・朝鮮語/V探索は
つづく、であったが、新版ではl1iI形濡の存在/11対応語と物の世界/
Ⅲ対応,iliと釉神の世界/Ⅳ南インドの蘭鵬・文明とH本・朝鮮、のように
なっていて、一兇して川名を冠しながらも全くの別物であることが知られる。
要するに、新版は80年代初頭あたりから粁者がしきりに主張し始めた、古代タ
ミル編を[:l本譜の系統に位置づけようとするものであるが、果たして「見事な
対応IMI係を立証」して「決定的な提起」(イリリオLもカバーの文言より)を行った
ものかどうか、専111外の私には判断しづらいところである。読者には旧版・新
版通読をiMjめたい。参考・関連資料に大野「[」本語以前」(岩波許店、1987
年)がある。
(教育学部・国語学:鈴木恋)
-18-
<文学〉
『銀のほのおの国』一般醤Ⅱ欝霊薑
750円
みんなの部屋にだって、動物のぬいぐるみとか、剥製とかが、ひとつやふた
つは転がっているでしょう。そういうものが、突然動きだしたら、どうでしょ
う。応接間の壁に、立派な枝角を飾りたてているトナカイの首に、実は壁の後
ろに隠れた、立派な四肢があり、それが、ある日、大地を蹴りあげ、ツンドラ
の地を疾駆するとしたら…。
今さらに気がついたかのように、環境保謹だの、動物愛謹だのということ
を、人々は大きな声で語るのが、流行しています。しかし、それが大切なこと
がらであることはiIM述いないにしても、その声の背後には、人、の思い上が
り、食物連鎖の椀から逃れたと思っている自然の法則に反する思い上がりが、
人間のおぞましさが、隠されていないければ幸いです。著者は、主人公の少年
に、みずからの命をつなぐために、ふところに入ってきた雷鳥の羽をむしり、
その肉を灸って食せます。この事実を冷徹に児すえようとする剛毅な糀神こ
そ、「銀の時代」「金の時代」という国家の興亡を語るファンタジーを、時代に
先駆けて贈りだすことのできた作者の特色です。青犬〔オオカミ]とトナカイ
との、運命的な戦いに、巻き込まれ、「ぼくは、人,,,]だ。この戦いに関係な
い」と、ひ弱に抗議する「二本足の少年」に、ある時は黒ウサギ「茶袋」、あ
る時は吟遊詩人の盲ウサギ「銀の耳」として姿を変える、長耳のまだらウサギ
「ニンジン掘り」が、語ります。「なるほど、この戦いは、トナカイと青イヌ
との戦いだろうぜ。だが、それだけのことかい。トナカイと青イヌの住む何じ
土地に、長耳もいるぜ。イタチやテンも木ネズミも穴掘り-族にビーバーど
も、魚や鳥や虫けらも五万十万何千万、数えきれないいのちがうごぬいている
んだ。そうすりや、この戦いがだれにも関係ねえとはいわせねえ…つまりだな
あ。ひとが知ろうと知るまいと、いろんなことがらが十重にも二十正にも自分
をとりまいているってことざ。自分に関係ねえと言い切れることがどれだけあ
るかなあ。」
本諜に登場するオオカミの首領「夜風」トナカイの首領「はやて」、みずか
ら氷の鎖に繋がれた巨人など、いずれもスケールの大きな魅力溢れる主人公た
ちです。それに混じる、人間の少年の「たかし」〈んも、「ゆうこ」ちゃん
も、いささか迫力に乏しいのは、rはだか虫」としての人,,Mという屈性のなせ
るわざかも知れません。
(法学部.公法原論:山下威士)
-19-
『デミアン』-繊懸U錨蒟I蓋;邇薔
~
およそ文学とは無縁な高校時代を過ごした私にとって、大学に入った直後の
山行の道辿れにと、寮の先鍛が貸してくれたヘッセの「郷愁(ペーター・カー
メンチント)」は、衝撃的な鋭さで突然、私の前にもう一つの世界を切り舞い
た・とりつかれたように手当たり次第に作品を醜み漁りやがて「デミアン」
に出会う。それは、まるで自分のことが鴨かれているようだった。気が付くと
衆には、理系も文系もなくヘッセ病やデミアン病M1者がごろごろしていて、誰
もが自分こそが股大の理解者であると、夢中に勘じ合ったものだ。そこからは
当然のようにドイツローマン派の文学や哲学に感染していく。それが当時(40
年ほどliiDの学生の標準像だったろう。「デミアン」が、第一次世界大戦に挫
折したドイツの青年たちに、希望と再興への意志を呼び起こし、またヘッセ自
身の作家活動の大きな転機となる道標的作品だったこと、あるいは、そこには
ユングとの出会いが深く意味付けられているなどということは、ずっと後にな
って知る。いずれにしても「デミアン」は、一昔前の学生にとって-秘の通過
儀礼のようなものだった。さて今の学生締君は、これをどう読むだろうか?|Ⅲ
いてみたいものである。
(教育学部・子ども麓:間藤侑)
-20-
<自然科学〉
『光合成の世界』
地球上の…支える秘密一般轡U繍繍バツクス1780円
数あるプルーバックスのシリーズの中で、この本は秀作の部類である。まず
瞥き出しが変わっていて「ゆうやけこやけの赤とんぼ、おわれてみたのは…」
の解釈から始まるので読み手は一体何が始まるのかと妙に気になってしまう。
高校時代、明反応・暗反応・ATP等の百葉に苦しめられた人もそうでない人
も、この本を読むと本当に理解するとは、こういうことだったのかと、つくづ
く感じるはずである。光合成は副題にもあるように地球のすべての生命の源で
あるから、そのしくみを知ることは、生命を持って学ぶことが可能である存在
である人Ⅱ11にとって、いわば義務のようなもの。でもそんな堅苦しいことを言
っていては著者に叱られるかも知れない。とにかく楽しみながら読める本であ
る。
(理学部・生物学:、渡辺勇一)
『地球環境セミナー』-鰻轡U鑿鴎…文2,300円
本セミナーは全7巻で、(1)地球環境とは何か(2)地球を観測する(3)地球を
包む大気(4)水の惑星(5)緑がつくる地球の環境(6)生物としての人'111(7)有
限の地球と人11M活動から柵成きれる。このセミナーは、各方面の領域の専門
分野の人々の意見をまとめ、いま地球が直面している問題を広範な立場から討
議してある。「水の惑星」と呼ばれる地球の奇跡的挺生過程、その後の従来の
地球生物とは異なる人類の挺生、地球の資源を食いつくしている現状、などを
具体的な例を掲げて、これからの人額活動のあるべき姿を考えきせてくれる。
(農学部・農業システム工学:中野和弘)
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〈特集〉
水と環境
昨年の冷夏とはうってかわって、今イドは猛耕が[」本列島
をおそいました。各地で鮫,lIli気温の記録がぬりかえら松
深刻な渇水状態が続きました。
「水の惑堪」といわれる地球の表岬1部では、炭酸ガス等
による温室効果、酸性雨、公害物質の散乱・瀞;蹟といった
環境問題が身近な話題となっています。地球をひとつの生
命体として考えるなら、それはまるで、環境悪化という病
魔が地球表隅に襲いかかろうとしている状況ではないで
しょうか?
今回の特集は、かけがえのない惑星内を循環する「水」
について、とりあげてみました。
紹介する本は多くはありませんが、これを機会に多様な
水の生態にふれてみてはいかがでしょうか。
『水は地球の命づな』-繊薔Ⅱ蕊蕊霧,,300円
シリーズ「地球を丸ごと考える」の第5巻として、地学の専門家である著若
が、n分の体験に韮づく具体的な例をあげながら、水の科学的,性質から地球上
の水循環までの広範囲の話題を、分かりやすく記述したもの。地球科学や環境
問題の総合的な入門書にもなっている。塩分濃度と水利用の関係など覚亟デー
タをさりげなく紹介していたりして、評者が専門とすべき分野についても教え
られるところが多かった。
(農学部・農業水利学専攻:豊田勝)
『水の惑星』一般霞ロ襲鰯膣譲騨
河出書房新社3,800円
「地球と水の桁鎚たちへの賛歌」という副題がついていて、芸術写文雄とい
っても良いくらいに、多様な水の生態を美しい写真でみせてくれる本。本文の
科学的記述に対して図表は一切用意きれていないので、自然科学の本としては
物足りないし、説得性に欠けるうらみがある。しかし、検の写真が文章との微
妙なハーモニーを保っていて、読者の感性に訴え、自然の雄大さと繊細さを詩
愉MHかに語ってくれる。
(農学部・農業水利学専攻:豊田勝)
『水の環境戦略』-繊誓ロ蕊慕籍
580円
現代の水問題、公害・環境問題に関心がある人なら良く御イFじの著者が、水
道の水質基準についての思考を深めるうちに、リスク管理の概念に到達したら
しく、切れ味鋭い論理で、安全と環境保全の両立を図るためには一定のリスク
許容が避けられないことを述べている。EconomyとEcologyの2つの座標軸を
とり、先進国フェーズと途上国フェーズを分類した図を韮に、いわゆる「持続
可能な開発」の本質に迫ろうとする意欲作である。いくらか専門的な部分もあ
るが、今ロ的課題として読み応えがある。
(農学部・農業水利学専攻:豊田勝)
『水が作ったアジア』
専門警Ⅱ蕊光鱸2,400円
「風土と農業水利」のMl題がつけられ、農業土木の技術行政官である著者
が、仕事をとおして接したアジアの国の農業・腱村の姿をみるとき、地域社会
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を作りあげてきたのは水利システムであり、現代の農業水利事業は中・小規模
から国家規模へと変遷するなかで、受け手である農民自身の行動が農村の成否
を決定するだろうと分析している。取り上げている題材が広くて、著者の證旨
展開が速すぎる面もあると思うが、著者自身が収集し、整理したデータが多く
含まれているので、アジアの農村に関心を持つ人には貴重な資料であろう。
(農学部・農業水利学専攻:豊田勝)
U轤霧鶚熟324)鍋0円
『水の環境戦略』
人間生活に水が必須であることは百うまでもない。この水の、わが国における
質と趾の問題が、著者のこれまでの研究を踏まえて総括され、地球市民としてい
かに生きていったらよいかが指し示されている。
この人の本を読むと、「真理は術に簡明である」という言葉をいつも思い起こ
す。また研究者の仕馴は、同じイデオロギーを選んだ仲11Mと私語を交わすことで
はなく、事実をあくまで突き詰めていくことだと思わざるを得ない。自立して男
と分け隔てなく仕馴をしたい女性の学生に特に一読をすすめる。また同じ岩波
新書の、中西功著「死の壁の中より」(だいぶ昔の本だ)を併せて読むと、父と娘が
それぞれの時代の制約の下、いかに枡一杯頑張って生きてきたか良く分かる。小
説より面白く感動的だ。
(工学部・建設学科:高橋敬雄)
U露難薯,,50.円
『水がのめなくなる!?』
恥ずかしながら拙著を「推測」したい。中高校生を対象としたポプラ社教養文
庫の一冊。水道水があぶない/井戸水があぶない/どうして河がよごれたか/下水
道で川はきれいになるか/生活排水が川をよごす/シリコンバレーの飲み水汚染/
化学物質による汚染をふせぐには/トリハロメタンをどうやってなくすか/君た
ちにできること、の9章から成っている。子供向けの本を評価しない向きも少な
くないが、そうした人は、密度高<盤かれたものに接したことがないのだろう。
飲み水の汚染に関連した事実とIIIHm点が良く整理されている(筈だ)。
(エ学部・建設学科:高橋散雄)
U麟胤騨調
『水情輸
一般6,000円、学生・院生3,000円(何れも年間鯛魏料)
水問題に関連した最新の柵報を伝える発行部数1300の月刊誌。これを読んで
いると、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等のメディアがいかに不勉強で皮相の報
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道しかしていないか良くわかる。実際、この雑麓の記事をもとに仕事をしてい
る記者・鶴説委瓜は少なくない。困ったことだ。
筆者も年2回程度糧築を担当し、新潟の出来事を全国に発信している。残念
ながら欝店では手に入らず、直接餓読するしかない。しかし寛容な生協きん
は、この原稿も「ほんのこぺや」に褐戦してくれることだろう。乞う嚇読‘
(エ学部・建設学科:高橋散雄)
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◆教職員の方々のためのページ
新潟大にも出版会をノ
先のrほんのこくや」第6号で、新潟大学出版会設立単IHI迎絡会の結成をお
知らせしましたが、その後さらに多数の方から賛同の署名をいただくことがで
きました。厚く御礼申し上げます。
現在、連絡会では、組織における役割分担の明確化(例えば会長や幹事の人
螂など)と、新潟大学創立50周年記念馴業に出版会設立が取り上げられるよう
正式の要望杏を提出すべく準備中です。
この運動に少しでも興味をお持ちの方は下記の*印の者にご連絡下さい。ま
た、人的つながりの欠如のため、特に旭町地区の教馳風からは賛同をいただい
ておりませんが、同地区で興味をお持ちの方がおられましたら、*印の者に連
絡をいただけないでしょうか。
現在までこの迺動に賛同している教職員(学部別、五十音順、9月末日現在)
人文:井山弘幸、荻美津夫、栗原隆、齋蔵陽一jゼ佐臘僧行、鈴木孝liIf、
鈴木佳秀、高橋秀樹、中西啓子、古厩忠夫、三iilii戦村上吉男、
山内志朗
法:石崎誠也、篠田光代、高橋正平、成田圭市、成嶋隆
経済:姥原良一、小山洋司、佐伯尚美、菅原消太、菅原隅心、
鈴木利久辛谷浦孝雄、永井雅人、氷山廠男、西沢蝿泰、縢井隆至
教存:五十嵐尤二、岡田努、岡野勉、木戸利秋、小林昭三、
鋤柄佐千子、鈴木賢治、鈴木恵f衝阪幸治、福原明夫、福原昌恵、
森田龍義、八鍬友広、米山朝二
理:卯田強f長谷川和子
工:(機械)愛田一雄、今井純一、大矢誠、小沼静代、Ⅱ1崎一正、
小松フサ子、坂上俊雄、白井健司、高崎操、高野剛、田村武夫、
弦巻明、倒海敬倫、宮島雅博、柳沢蚊、横山和宏、楓山誠
(冠気瓶子)板垣厚一、伊藤告、岩野春男、大河正志、荻野弘次、
小椋一夫、貝津弘幸、加藤殿三、金子双男、川上貴弘、菊地久和、
喜多村博、佐々木修己、佐々木重信、佐藤孝雄、佐蔭孝、
菅原晃、鈴木孝昌ヤ関根征士、、村忠、布川武司、野口賊一、
廠野幹彦、帆苅イネ、星勝弘、丸11l武男、南一男、渡辺弘道
(悩報)阿達透、石井郁夫、石渡宏基、小柳秀樹、金井鋼、
木竜撤、芹沢久光、仙石正和、高橋俊彦、田周憤一、中聯典、
林豊彦、福岻康夫、牧野秀夫、宮崎正弘、宮村勲、元木達也、
山口芳雄、山崎一生、山田寛喜、渡辺新二
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(化学)青木俊樹、安東政義、磯貝浩司、稲垣蝉、今泉洋、
上松和義f大川輝、太田雅尋、小田美奈子、加藤暗-,北山椒江、
木村塊雄、齋藤瓦風、坂井淳一、坂井俊彦、佐藤峰夫、澗水忠明、
滝沢一賀、田口洋治、田中真人、坪川紀夫、頓所勝、堀田懲康、
皆川斉、安田守宏、山際和明
(建設)阿部和久、阿部謹一、石橋邦彦、泉宮尊司、大川秀雄、
大熊孝、加藤大介、川瀬清孝、神立秀明f佐伯竜彦、鈴木哲、
多田克彦、土井希祐、宮岡誠子十和田朗、保坂吉則
(機能材糊加賀利広、合田正穀、小林義和、佐藤高IVi、廊塚陥雄、
本lIIl興二、矢野敦
展:(農業生産)青柳斉宇荒木肇、安藤斑友、池田武、伊藤忠雄、
伊東睦泰、伊藤喜雄、伊藤亮一、祝前博明、岡島毅、加瀬良明、
楠原征治、小島誠、集治善博、菅沼圭輔、新美芳二、新村末雄、
樋柵善敬、胱田秀憲、古市尚高、馬上武彦
(応用生化)五十嵐太郎、内山武夫、大山卓爾、Ⅲ脇避二、
金野隆光、城斗志夫、鈴木敦士、田中啓達、野中目法、』i1JⅡ利郎、
星野力、屋代境、
(生産環境)阿部信行、大塚雍雄、小林正苔、輪蝿並雄、竹内公男、
避田勝、中野和弘、中野俊郎、群原亘、三沢典一、早川1iW-、
山本一渚、吉田昭治
図轡館:佐麗浩昭
-27-
編集後記
◆十年ほど前、読劒;護を出版した某評請家はそのiMhlFきにこう11}い
た。「私の年Illl読ilFiiiは、プロレスのジャイアント馬」M1「選手の半分ほ
どでしかない。馬場選雫は、ハードなスポーツ活I1Mjのあいまに、77川
涼の「狂風記」のような文学通をうならせる小説などを含めて、年1111
250冊から300冊も読むという。私は150冊前後である。」
◇翻って私の識脊髄はと考えてみると、この某評論家の半分以下であ
り、ジャイアント馬場の五分の一程度である。大学教m1iとしてはまき
に落蛸、赤面せざるを得ない。
◆しかしその程度の読iIド量でも、-年のうちには、ぜひ学生に腕ませ
たいなと思う本に何'1Mかはめぐりあうものである。そして貧しい雛iIト
のL11からであれ、少しでも学生に役立つような*があjlしば紹介をすあ
のが、敬師の務めだと思う。
~◆rほんのこぺや」の原稿JILめをするたびに、いつも1『禍して'ずさあ
光/に方に感謝の念を抱くとl可時に、一度も投赫下さらない先生〃のこ
とに思いを馳せる。祈大にはまだ発楜されていない膨大な蝋が|卿され
ているのだと。
◆『ほんのこぺや』はM1かれた存在である。コネのある人IIIIにしか11ド
かせないなどということは‐切していない。新大の教jiMifIならば縦で
も寄稿できるのである。そして執簸者の方々も、コネを執りに本を選
択するなどという浅ましい真似はなさらないだろうと傭じている。
◆どうか地下V采<眠っている膨大な宝の発掘に〃を貸していただきたい。
ほんのこくや第7号
発行日:1994年llHLlp
編集者:新潟大学/k活協Iiij組合
紋]MM1姿、会
発行管:新潟大学JIZfiIi協同組合
〒950-21新渦71丁yi:十M12の111「8050
電話025-262-6093
印刷:株式会社]kill
L
」
Ⅳ
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