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三角格子標本化を用いた少数投影データからの 海洋音速分布

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三角格子標本化を用いた少数投影データからの 海洋音速分布
計測自動制御学会東北支部第 221 回研究集会(2005.5.30)
資料番号 221-1
三角格子標本化を用いた少数投影データからの
海洋音速分布画像の再構成シミュレーション
The simulation of the image reconstruction by the triangular
lattice sampling from small number projection data
○矢島邦昭,田山典男
○Kuniaki Yajima ,Norio Tayama
仙台電波高専
岩手大学工学部
Sendai National College of Technology , Faculty of Engineering,Iwate University
キーワード:3 角標本化(Triangular Lattice Sampling),画像再構成(Image Reconstruction),
6 角形画素(Hexagonal Pixel),伝播時間(Transition Time)
連絡先:〒989-3128 仙台市青葉区愛子中央 4-16-1 仙台電波高専 電子制御工学科
矢島邦昭,Tel.&Fax.: (022)391-6130,E-mail: [email protected]
1. は じ め に
好な再構成画像を得ることができるアルゴリズムを
現 在 ,地 球 規 模 の 気 候 変 動 が 顕 著 と な り 問 題 と な っ
提案し,実証実験によりその有効性,妥当性を示して
て い る . 海 洋 は 大 気 と 比 べ る と 1000 倍 以 上 の 熱 容 量
き た [6-10] . し か し な が ら 再 構 成 す る 標 本 化 点 数 に 対
を 持 ち , そ の 熱 輸 送 に お い て 大 き な 影 響 力 を も つ [1].
して観測データが極めて少ないために更なる再構成
船舶で観測地点まで移動して観測する直接観測手法
精度の向上が困難であるという問題がある.
が 主 流 で あ る り ,海 中 の 温 度 分 布 や 流 速 分 布 , 塩 分 濃
これを解決するため対象領域の標本化手法を正方
度などの詳細なデータを計測可能であるがデータ収
格 子 か ら 3 角 格 子 に お け る 標 本 化 モ デ ル と す る .領 域
集 に 膨 大 な 時 間 と 費 用 を 必 要 と す る [2,3] . こ の た め ,
を 3 角格子標本化で標本化し,6 角形画素で表現する
繰 り 返 し 計 測 す る こ と は 困 難 で あ り ,海 洋 の 温 度 変 化
ことにより少ない標本化点数で対象空間を表現する
を定量的に明らかにするには現存のシステムでは能
こ と が 可 能 と な る [11,12]. 3 角 格 子 標 本 化 の 空 間 周 波
力 が 不 足 し て い る [4].
数分布は,正方格子標本化より優れており,再構成誤
海 洋 ト モ グ ラ フ ィ は , 1979 年 に Munku と Wunsh に
差 を 減 少 で き る .そ こ で 3 角 格 子 標 本 化 関 数 を 導 出 し ,
より提唱され音波の伝播時間から再構成アルゴリズ
3 角格子標本化による再構成アルゴリズムを提案する.
ム に よ り 音 速 分 布 を 算 出 す る 手 法 で あ る [5].し か し な
ま た ,提 案 手 法 を 超 音 波 の 音 波 伝 播 時 間 の 観 測 デ ー
が ら ,計 測 装 置 や 観 測 費 用 な ど の 制 約 条 件 か ら 高 密 度
タより再構成するため伝搬時間観測システムを構築
の 投 影 デ ー タ を 多 方 向 か ら 得 る こ と は 困 難 で あ り ,再
し ,水 槽 内 に 水 の 音 速 と 異 な る 物 質 を 置 き そ の 領 域 の
構成は困難な状態である.
周 囲 か ら 超 音 波 の 送 受 信 し 伝 播 時 間 の 計 測 を 行 う .観
これまでに観測データが極めて少なく従来のアル
測した極少数の伝播時間に計算機シミュレーション
ゴリズムでは再構成が困難な悪条件下においても良
により前もって算出しておいた一般逆行列との行列
‐1‐
2. 海 洋 の モ デ ル 化 と 再 構 成 ア ル ゴ リ ズ ム
0 otherelse X a (Ω1 , Ω 2 ) = 
(Ω12 + Ω 22 > ω 2 )
 k π
π
, T2 =
T1 =
ω1
ω2
2.1 3 角 標 本 化 に よ る 海 洋 の モ デ ル 化 の 検 討
=
積 か ら 水 槽 内 の 音 速 分 布 画 像 を 再 構 成 し ,そ の 有 効 性 ,
妥当性を明らかにする.
は じ め に 観 測 対 象 を 標 本 化 関 数 に よ り 表 現 す る .一
般に標本化手法は正方格子による一様標本化が用い
=
ら れ る が 、海 洋 へ の 適 用 を 考 慮 す る と 対 象 領 域 内 を 表
現 す る 標 本 点 数 に 対 し 、計 測 さ れ る 伝 播 時 間 デ ー タ は
非 常 に 少 な い [6,7].精 度 の 良 い 再 構 成 を 行 う に は ,再
構 成 す る 標 本 点 数 の 削 減 ,ま た は 伝 播 時 間 デ ー タ の 本
数 の 増 加 が 考 え ら れ る [10]. そ こ で 対 象 領 域 の 標 本 点
3ω1
は , 式 (3)で 表 現 さ れ る .
~
 X (Ω , Ω ) (Ω1 , Ω 2 ) ∈ R X a (Ω1, Ω 2 ) =  a 1 2
0 otherwise

非直交座標系での標本化として 5 の目状標本化,3
(3)
~
X a (Ω1 , Ω 2 ) は , 式 (3) の X a (Ω1 , Ω 2 ) と の コ ン ボ リ ュ ー
角 格 子 標 本 化 が あ る .な か で も 3 角 格 子 標 本 化 は ,標
シ ョ ン に よ り 式 (4)で 表 現 で き る .
~
X a ( Ω 1 , Ω 2 ) = X a ( Ω 1 , Ω 2 ) * * Da ( Ω 1 , Ω 2 )
が等方的に広がる信号のサンプリングの場合直交サ
ンプリングよりも単位領域当たりのサンプル点密度
(4)
Da (Ω1 , Ω 2 ) は , 3 角 格 子 標 本 化 の イ ン パ ル ス 応 答 で
を 小 さ く す る こ と が で き る 特 徴 を 有 し て い る .こ の た
め , 同 じ 領 域 を 正 方 格 子 標 本 化 に 対 し 標 本 点 数 を 10
π
ω2
X a (Ω1 , Ω 2 ) と し て 表 記 す る と , x a (t1 , t 2 ) の フ ー リ エ 領 域
ルを適用する.
多 次 元 周 波 数 空 間 内 の 原 点 (直 流 )を 中 心 に ス ペ ク ト ル
=
3 角格子標本化のフーリエ領域の分布を
数 を 削 減 す る た め ,非 直 交 標 本 化 に よ る 濃 度 分 布 モ デ
本点に対し 6 角形画素を適用した標本化手法であり,
π
3
ω1
2
2π
(2)
あ り , 式 (5)で 示 さ れ る .
∼ 16% 減 少 さ せ ら れ る こ と が 知 ら れ て い る [11,12].
本 研 究 で は 無 指 向 性 の 音 源 と し ,等 方 性 等 圧 性 を 有
すると仮定する.これより音波の伝播は,センサを中
心 に 等 距 離 で 伝 播 す る こ と か ら ,各 々 の 標 本 点 間 隔 は
一定であることが望ましい.また,海洋の温度変化は
Da (Ω1, Ω2 ) =
∞
か ら ,非 直 交 座 標 系 で の 標 本 化 と し て 3 角 格 子 標 本 化
∞
1
k1 = −∞ k 2 = −∞
+ ∑
1
∞
1
3
2
− 2k2ω2 )
1
∑δ (Ω − (k + 2)(2ω + ω ),Ω
k1 = −∞ k 2 = −∞
比 較 的 緩 や か で あ り ,周 波 数 領 域 に お い て ス ペ ク ト ル
が 直 流 を 中 心 に 等 方 的 に 広 が り や す い .こ れ ら の こ と
∞
∑ ∑δ (Ω − k (2ω + ω ),Ω
1
1
1
3
2
(5)
− (2k2 − 1)ω2 )
式 (5)を 周 波 数 領 域 で 表 現 す る と 図 3 と な り ,式 (5)
の第 1 項が A の領域を第 2 項が B の分布となる.
n2
と 6 角形画素による標本化を適用する.
t2
3 角格子標本化は,図 1 に示すように 3 角形格子の
頂 点 を 標 本 化 点 と す る .図 1 に お い て t 1 ,t 2 は 直 交 座 標
T1
軸 を 示 し ,n 1 ,n 2 は 六 角 系 の 座 標 軸 を 示 す .こ の と き ,
各 標 本 点 に 対 し 2 つ の 座 標 系 間 で 式 (1)が 成 立 す る .
x (n1 , n 2 ) = x a (
2 n1 − n 2
T1 , n 2 T 2 )
2
T2
(1)
こ こ で , x a (t1 , t 2 ) は 直 交 座 標 系 で の 標 本 点 で あ る .
t1,n1
図 1 の 標 本 点 の 1 つ の 周 波 数 領 域 で の 分 布 は ,図 2 の
x ( n1 , n 2 ) = xa(
ようになる.
図 2 で 示 さ れ る 周 波 数 領 域 の バ ン ド 値 は ,式 (2)で 示
される.
‐2‐
図 1
2 n1 − n 2
T1 , n 2T2 )
2
3 角格子標本化による標本点の分布
ω2
証明し,標本化関数を導出した.一般に標本化関数に
Ω 2 2 ω1
3
は Shannon の sinc 関 数 が 使 用 さ れ る が 、 高 速 化 と 再
構 成 精 度 の 向 上 か ら 局 在 性 が 高 く ,標 本 化 定 理 を 満 た
し て い る ウ ェ ー ブ レ ッ ト 標 本 化 関 数 [8-12]を 用 い て ,3
角格子標本化と 6 角形画素で再構成アルゴリズムとし
ω1
て 6 角ウェーブレット標本化モデル再構成法
Ω1
( RWHex:
Wavelets
ω3
Reconstructing
sampling
method
model
on
using
the
Hexagonal
coordinates)を 提 案 す る .こ れ ま で に ,こ の 濃 度 値 影
響 関 係 か ら ,音 線 に 沿 っ た 伝 播 時 間 と 各 標 本 点 濃 度 値
図2
周波数領域での分布
と の 関 係 式 を 定 式 化 す る こ と で ,少 数 の 観 測 デ ー タ か
ら観測領域の音速分布を再構成するアルゴリズムを
Ω2
4π
T1 <
,
2ω 1 + ω 3
T2 <
ω2
T2 <
A
O
t1,n1
T1 <
対象とする2次元空間周波数が,遮断空間周波数
π
ω2
ω1 =ω3 =
B
提案し良好な結果を得てきた.
Wm1 ,Wm 2 よ り も 高 い 成 分 を 含 ま な い 標 本 化 定 理 を 満 た
2ω
2
3
より
2π
す 濃 度 分 布 モ デ ル を 導 入 す る .空 間 周 波 数 で の 分 布 パ
3ω
ターンは図 3 に示されるように周期性を持ち周波数領
π
ω
域を満たしているが 2 つの軸の間で遮断周波数が異な
ω1
っている.
Ω1
このような標本化定理の条件を満たす対象物体
)
の 連 続 空 間 に お い て 任 意 点 で の 濃 度 値 f ( x, y ) は ,
ω3
図3
T1 =
周波数領域での周期的な分布
3 角格子標本化の周波数領域での分布は,各標本化
点においてインパルス応答とのコンボリューション
により求めることができる.これより任意信号
x a (t1 , t 2 ) は , 3 角 格 子 標 本 化 点 を 用 い て 式 (6)で 表 現 さ
(
T1T2
2
∞
∞
∑ ∑
k1 = −∞ k 2 = −∞
xa (
k1T1
1 + (−1)
, k 2T2 )(
2
2
ここで
1
kT
φ (t1 − 1 1 , t 2 − k 2T2 ) =
2
4π 2
k1 + k2
)φ (t1 −
k1T1
, t 2 − k 2T2 )
(6)
2
)
で の 濃 度 値 f xi , y j と 標 本 化 関 数 S (t ) を 用 い て 完 全 に
表 現 す る こ が で き ,領 域 を 実 際 の 有 限 物 体 領 域 (n × m )
で 近 似 す る と 式 (7)で 表 さ れ る .
f ( x, y ) =
れる.
xa (t1 , t 2 ) =
π の間隔で標本化された各標本点
4π
, T2 =
2Wm1 + Wm 3
Wm 2
∞
∞

 3
( x − xi )  ⋅ S ( y − y j )
2


∑ ∑ f (x , y )⋅ S 
i
i = −∞ j = −∞
j
m −1 n −1
 3

≈ ∑∑ f (xi , y j ) ⋅ S 
x − xi  ⋅ S ( y − y j )
2
i =0 j = 0


ここで n =
∫∫ exp[ j (t Ω
1
1
+ t 2 Ω 2 )]dΩ1dΩ 2 (7)
3
m
2
式 (7) は 任 意 点 に お け る 濃 度 値 f ( x, y ) が 物 体 領 域 の
R
任 意 点 の 濃 度 値 は 直 交 座 標 系 と 同 様 に 式 (6) を 用 い
て 3 角格子標本化点の濃度値に対して標本化関数との
各 標 本 点 で の 濃 度 値 f (xi , y j )の 影 響 を 受 け て お り ,そ れ
コンボリューションで求められることを示唆してい
らの標本点濃度値を用いることで求められることを
る . ま た , 式 (6)は ,3 角 格 子 標 本 化 で の 標 本 化 関 数 を
表している.この性質を濃度値影響関係という.
こ の 濃 度 値 影 響 関 係 か ら ,音 線 に 沿 っ た 伝 播 時 間 と
示 し て お り ,標 本 化 関 数 の サ ン プ リ ン グ 周 期 が t 1 と t 2
各 標 本 点 濃 度 値 と の 関 係 式 を 求 め る .図 4 に 示 す よ う
軸で異なっている.
に 3 角標本化された領域内での音線の単位方向ベクト
ル を (a x , a y ) ,領 域 へ の 侵 入 点 ,脱 出 点 を (bx , b y ),(e x , e y ) と
2.2 3 角 格 子 標 本 化 による再 構 成 アルゴリズム
2.1 に お い て 3 角 格 子 標 本 化 に お け る 標 本 化 定 理 を
‐3‐
し て ,侵 入 点 か ら 脱 出 点 ま で の 長 さ を L と す る と ,音
線 の 方 程 式 は l を パ ラ メ ー タ と し て 式 (8)で 表 さ れ る .
x = bx + ax l 

y = by + a y l 
で あ る .従 っ て ,さ ま ざ ま な 音 線 に 対 す る Ci j を あ ら か
じめ計算しておくことができることである.
(0 ≤ l ≤ L )
(8)
音 線 毎 に 伝 播 時 間 の 方 程 式 を 立 て る と , 式 (12)で 示
(bx − ex )2 + (by − ey )2
L=
の み 依 存 し て お り ,標 本 点 の 音 速 値 に は 無 関 係 な こ と
す線形連立方程式を得ることができる.
N
t m = ∑ Cmn ⋅ f n + em
(b x ,b y )
(12)
n= 0
m = 1,2, L , M
: n = 1,2,L , N
 t1   C11 C12
t  C
 2   21 C22
 M = M
M
  
M
M  M
t M  CM 1 CM 2
L
L L C1N   f1   e1 
L L C2 N   f 2   e2 
O
M  M  +  M 
   
O
M  M   M 
L L CMN   f N  eM 
式 (12)の C に 関 し て 特 異 値 分 解 を 用 い て 一 般 逆 行 列
C + を 計 算 し ,観 測 さ れ た 伝 播 時 間 を 掛 け る こ と で 再 構
(e x ,e y )
成画像を得ることができる.
こ こ で ,M を 音 線 の 総 数 ,N を 標 本 点 の 総 数 と す る .
図4
p m は m 番 目 の 音 線 の 伝 播 時 間 ,f n は n 番 目 の 標 本 点 濃
モデル内の伝播経路
度 値 で あ り , C mn は m 番 目 の 音 線 に 対 し て n 番 目 の 標
計 測 さ れ る 伝 播 時 間 t は ,対 象 物 体 f ( x, y ) を 音 線 に
本点濃度値が与える影響の程度を示す線積分影響係
沿 っ て 線 積 分 し た 値 に 相 当 す る の で , 式 (9)で 表 さ る .
数 で あ る . em は m 番 目 の 音 影 線 に 関 す る 誤 差 で あ り ,
t = ∫ f (x, y )dl
L
伝播時間の計測誤差やモデルに当てはめる時の偏差
(9)
0
を 含 む .こ の 連 立 方 程 式 (12)に お い て N 個 の 未 知 パ ラ
こ こ で 式 (7)を 代 入 す る と , 式 (9)は 式 (10)と な る .
t=∫

∑∑ f (x , y )⋅ S 
L n−1 m −1
0
i = 0 j =0
i
j
2

x − xi  ⋅ S ( y − y j )dl
3

 2

= ∑∑ f (xi , y j ) ⋅ ∫ S 
x − xi  ⋅ S ( y − y j )dl
0
3


i = 0 j =0
n−1 m −1
メータに対し M 個の方程式が与えられ,M 個全ての
L
伝播時間に最も良く当てはまるような影響係数を決
めることが望まれる.そこで,各伝播時間とモデル計
(10)
算 値 と の 差 の 二 乗 和 を 最 小 に す る こ と を 考 え る .従 っ
て , こ の モ デ ル 再 構 成 の 問 題 は , 式 (13)の 評 価 関 数 E
n−1 m −1
= ∑∑ f (xi , y j ) ⋅ Ci j
を最小化する最小二乗問題として定式化される.
i = 0 j =0
こ の C i j は , 音 線 の 方 程 式 (9)を 用 い て , 式 (11)で 表
される.
Ci j k = ∫
L
0
 3

S 
(bc + axl − xi )  ⋅ S (by + a y l − y j )dl
 2

2
N
M


E = ∑ t m − ∑ C mn ⋅ f n  = ∑ em2
m =1 
n =1
m =1

M
(13)
3. RWHex 法 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
(11)
RWHex 法 は 標 本 点 数 を 減 ら し な が ら 良 好 な 再 構 成
を行うことを目的として提案するアルゴリズムであ
こ の Ci j は , 音 線 上 の 濃 度 値 積 分 値 に 対 し て , 各 標
本 点 (i, j ) で の 濃 度 値 が 伝 播 時 間 に ど の 程 度 影 響 を 与
る.これまでに検討してきたアルゴリズムにおいて,
良好な再構成画像を得るには精度のよい一般逆行列
(再構成行列)を算出することが重要である.そのた
め に は ,音 線 線 積 分 係 数 行 列 の 行 と 列 の 格 差 を な く す
え る か を 表 し て お り ,こ れ を 音 線 線 積 分 影 響 係 数 と 呼
こ と が 必 要 で あ る . 前 述 し た よ う に RWHex 法 は 効 率
ぶ . こ こ で 留 意 す べ き こ と は , Ci j が 音 線 の 方 程 式 に
のよい標本化によりそれを実現している.
‐4‐
図 5 に 正 方 格 子 標 本 化 に よ る 再 構 成 法 で あ る RWO
NN
e=
∑( f
n =1
NN
n
∑( f
n =1
表1
1
画
辺
像
の
サ
セ
イ
ン
ズ
サ
− f ' n ) 2 f n : 原画像の各標本点音速分布値
n
− F)
2
F : 原画像の平均値
f n′ : 再構成画像の各標本点音速分布値
法 と 提 案 し た RWHex 法 に よ る 再 構 成 画 像 を 示 す . 再
(14)
そ れ ぞ れ の 再 構 成 画 像 の 誤 差 評 価 値 と し て 式 (14)に 示
す 正 規 化 誤 差 分 散 を 用 い た .こ の 場 合 の 正 規 化 誤 差 分
画像サイズ,送受信器数と正規化分散誤差
散 e は 0.47323 と 0.00777 でありRWHex 法 による再 構
3 角格子標本化
成 画 像 の精 度 の向 上 を確 認 した.表 1 は,画 像 サイズ,送
直交座標系
受 信 器 数 を変 えた場 合 の誤 差 変 化 を示 したものである.
送受信器の個数を変化させた場合の正規化分散誤
画 像 01
画 像 02
画 像 01
差 の 変 化 を 図 6 に 示 す .図 中 の 点 線 で 示 さ れ る よ う に
画 像 02
RWHex 法 で は 1 辺 の セ ン サ 数 が 9 個 で RWO 法 で の 1
辺 の セ ン サ 数 が 17 個 の 精 度 で 音 速 分 布 を 得 る こ と が
数
16
構 成 は 画 像 サ イ ズ 32×32, 総 送 受 信 器 数 64 と し た .
3
0.924073
0.919791
0.80093
0.880199
5
0.669698
0.591518
0.42869
0.564028
9
0.474999
0.20912
0.030974
0.192035
3
1.009268
1.099425
0.923905
1.00623
5
0.855021
0.824759
0.699754
0.756628
で き る . こ の こ と か ら , RWHex 法 は 少 数 の 送 受 信 器
による極少数の伝搬時間データから再構成を行うこ
とが確認できた.
1
0
9
0.583925
0.476846
0.226692
0.40558
17
0.47323
0.064547
0.00777
0.058092
33
0.472507
0.088533
0.006672
0.069091
9
0.941106
0.942483
0.876699
0.738475
17
0.747035
0.706028
0.666478
0.463085
19
0.652964
0.639573
0.150437
0.136239
21
0.552964
0.569573
0.037751
0.036087
23
0.414822
0.4337
0.008942
0.010446
33
0.022478
0.02668
0.004216
0.005209
9
0.835512
0.852948
0.786699
0.738475
17
0.53255
0.570271
0.666478
0.463085
10
15
20
25
0.1
正規化分誤差散
32
5
0.01
64
128
RWO 法
RWHex 法
0.001
送受信器数
図6
RWO 法 と RWHex 法 の 送 受 信 器 数 の 変 更 に よ る
正規化分散誤差の変化
4. 実 験 に よ る 再 構 成
RWHex 法 の 有 効 性 を 実 証 実 験 に よ り 検 証 す る た め
に超音波を用いた小規模な音速分布再構成システム
を 構 築 し ,計 測 し た 伝 搬 時 間 デ ー タ か ら 音 速 分 布 画 像
を再構成した.計算機シミュレーションにより,実際
画像 01
に計測する領域に対して同じ位置に送受信器を設置
し た 場 合 の 音 線 係 数 行 列 C を 計 算 し ,特 異 値 分 解 を 用
い て 一 般 逆 行 列 を 計 算 し て お き ,計 測 し た 伝 播 時 間 デ
ータとの行列積により音速分布画像を求めた.
実 験 は , 1.25×0.8[m]の 水 槽 内 に 水 を は り , 0.75×
0.75[m]の 観 測 領 域 内 に 0.2×0.2[m]の ス ポ ン ジ を 挿 入
画像 02
し た .水 温 20[℃ ],超 音 波 素 子 駆 動 周 波 数 120[kHz],
素 子 間 隔 を 5[cm]と し た .こ れ を 画 像 サ イ ズ 50( 縦 方
向 50pixcel 横 方 向 に 43pixcel) と し て 3 角 標 本 化 と
(a) RWO 法
(b) RWHex 法
図 5 再 構 成 画 像 の比 較
して計算機シミュレーションと実測データから音速
分 布 を 再 構 成 し た .計 測 し た 伝 搬 時 間 デ ー タ の 数 は わ
‐5‐
ず か 450 本 で あ り ,従 来 の 再 構 成 ア ル ゴ リ ズ ム の 投 影
格子標本化と 6 角形画素を適用を検討し,3 角格子標
方 向 数 に 換 算 す る と 約 40 方 向 程 度 に 相 当 す る .
本 化 に お け る 標 本 化 関 数 を 導 出 し ,モ デ ル に 適 用 し た
図 6(a)は 原 画 像 で あ り ,図 6(b)は シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
3 角 格 子 標 本 化 モ デ ル 画 像 再 構 成 ( RWHex) 法 を 提 案
に よ る 再 構 成 画 像 , 図 6(c)は 実 験 デ ー タ か ら の 再 構 成
し た .こ れ に よ り 標 本 点 数 を 約 20%の 削 減 す る こ と が
画像である.受信器にホーンを設置し,指向性を改善
で き ,音 線 線 積 分 係 数 の 計 算 時 間 の 短 縮 と 精 度 の 良 い
し て 観 測 を し た が ,駆 動 周 波 数 で の 距 離 分 解 能 の た め
一 般 逆 行 列 を 算 出 す る こ と が 可 能 と な り ,再 構 成 画 像
にスポンジのエッジがかすれているのがわかる.
の精度を向上することができた.また,正方格子標本
音速変化が急峻で標本化モデルでは表現できない
化 と 同 じ 送 受 信 器 数 で 再 構 成 画 像 の 精 度 を 約 30%向 上
空間周波数成分を含んだ音速分布であったが最小二
す る こ と が で き ,同 程 度 の 画 質 の 再 構 成 画 像 で あ れ は
乗最小ノルム解となる一般逆行列をあらかじめ算出
送 受 信 器 数 を 約 1/3 に 削 減 す る こ と を 確 認 す る こ と が
し て い る た め ,実 験 デ ー タ か ら 良 好 な 再 構 成 を 瞬 時 に
できた.
行うことができた.
これは,実際の計測において大きな利点である.特
に 観 測 領 域 が 数 1,000km 2 で あ る 海 洋 ト モ グ ラ フ ィ に
お い て ,計 測 に 必 要 な 音 響 ブ イ を 減 少 さ せ ら れ る こ と
は シ ス テ ム コ ス ト に お い て 重 要 な 要 素 で あ り ,本 ア ル
ゴリズムが有効的であることが言える.
文
(a)原 画 像
(b)計 算 機 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果
(c)実 験 結 果
図6
表2
音速分布の再構成
正規化分散誤差による評価
正規化分散誤差
シミュレーション
実
験
0.84263
1.42901
0.92094
1.0944
5. お わ り に
精度の良い再構成を行うため計測される伝搬時間
データ数と標本点数の格差を小さくすることに着目
した.そこで標本点の空間周波数分布に着目し,3 角
献
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