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Traceability in Laboratory Medicine 臨床検査

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Traceability in Laboratory Medicine 臨床検査
Traceability in Laboratory Medicine
Hubert W. Vesper1,a and Linda M. Thienpont2
1
Division of Laboratory Sciences, National Center for Environmental Health,
Centers for Disease Control and Prevention, Atlanta, GA;
2
Laboratory for
Analytical Chemistry, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Gent University, Gent,
Belgium and JCTLM-WG2 Reference Measurement Laboratories, Bureau
International des Poids et Mesures, Sèvres Cedex, France.
a
Address correspondence to this author at: 4770 Buford Hwy NE, MS-F25, Atlanta,
GA, 30345. Fax 770-488-4192; e-mail [email protected]
ClinChem 2009; 55: 1067-1075
.
臨床検査医学のトレーサビリティ
概要
背景: 患者並びに集団の測定検体において、時間や場所と無関係に独立した測定シ
ステムを用いて相互比較の可能な分析結果を提供することは、ヘルスケア情報を提
供するラボの役割として不可欠である。そのような特性を備えた分析結果を得るこ
とが、臨床検査医学のトレーサビリティの目標である。トレース可能な分析結果を
持つ利点の意識が増すに従い、これを法的に規定する要求やトレーサビリティの実
施を可能かつ促進するためのアプローチを奨励する方向に、多くの努力が向けられ
てきた。トレーサビリティは、過去においてはラボの標準化にかかわる活動が主な
目的であったが、現在のトレーサビリティ議論は、おもにその考え方と実施の方法
に関して行われている。
内容:この総説は、トレース可能な測定結果を得るために必要なトレーサビリティ
の概念を示し、それによりどのようなニーズが達成可能か、そしてどのような利点
が得られるのかに関する情報を提供する。 この概念に従って使い始められた、新し
い計測学に基づいた用語を随所に用いることにする。この総説では関連する新たな
挑戦についてと、トレースを可能にするための技術的アプローチについて、特に力
を入れて記述した。トレーサビリティはあくまでも他の作業との関連の中で、全過
程の測定手順の改善について議論されなければならない。
1
要約:計測学に基づいた測定結果のトレーサビリティの確立は、基本的な臨床およ
び公衆衛生のニーズを満たし、それによって患者の処置および疾病のコントロール
および予防を改善する。 近年トレーサビリティの実施を容易にするための、大きな
前進が見られている。しかしながら、実際このプロセスを実施する中で、互換性の
ある標準物質の不足や、新しい基準測定法システムの開発のための資源の不足が、
臨床検査医学の現場にいまだに立ちはだかっている。
序文
過去十年間にわたる検査ラボの現場で、トレーサビリティに関する議論は、以下の
ような大きな効果をもたらした。つまり操作法の手順書の再評価をメーカーに要求
し、トレーサビリティを実施するためのツールおよび戦略を開発するように臨床病
理医に促し、新しい用語を採用し、かつ測定対象物質の定義およびそのキャリブレ
ーションのような測定過程の再検討を一般的な臨床検査室に要求して、臨床検査医
学の現場で尽大な効果を上げた。
用語「トレーサビリティ」は、1993 年の計測学の一般的・基礎的な用語を定める国
際学会(International Vocabulary of General and Basic Terms in Metrology)に
おいて、最初に定義された(1)。同じ年、Cooperation of International
Traceability in Analytical Chemistry が、分析化学の分野でトレーサビリティの国
際的視野での幅広い実現を促進するために創設された(2)。 欧州連合の統一機関に
よって体外診断薬のトレーサビリティの方法が確立されたことにより、これが臨床
検査室における測定に関しても義務となり、世界的に大きな効果をもたらした。
臨床検査医学のトレーサビリティの目標は、測定結果を測定システム、場所および
時間の違いを考慮せずに比較することを可能にして、患者の測定結果を一般的に認
められている基準値と比較できるようにすることである(4)。 トレーサビリティの
確立のゴールおよび主要なアプローチは、過去 50 年にわたって記述された臨床検
査室における測定の標準化と同じである(5)(6)(7)(8)(9)。そのような活動には、
CDC 脂質標準化プログラム(10)またはグリコへモグロビン標準化プログラム
(11)も含まれている。
この総説では、過去並びに現在進行形の臨床検査医学のトレーサビリティの発展を
支えるための努力と,全測定行程におけるトレーサビリティの部門を確立し、その実
施に関連した挑戦と機会についての情報を提供する。
トレーサビリティは臨床および公衆衛生からのニーズに呼応する
測定システム、場所および時間に関係なく、データの相互比較が可能な測定結果は、
共通の基準値を共有する研究成果、患者の処置、および疾病予防およびコントロー
ルにとって不可欠である。 ラボ・データに基づいた臨床ならびに公衆衛生の結果の
判定は、個々の患者あるいは集団の測定値と一般的な基準値との比較により決定さ
2
れる。この基準値は、患者のあるいは集団の臨床判断の基準であり、あるいは同じ
患者または集団の以前に測定された結果との比較値となる。同様に、臨床医はこれ
らの研究成果に基づいた検査値を、共通の臨床使用のための公式化することにより、
研究結果を患者の処置と疾病予防の活動に応用することができる。トレーサビリテ
ィはこれらの活動を促進し、事実に基づいた臨床検査医学の基本的ニーズおよび必
要条件を満たすことをサポートする。トレース可能な測定結果からは、以下のこと
が判断可能となる:
•
測定法に基づく独自の基準値ではなく、一般に容認されている使用可能な基
準値の範囲の定義;
•
治療法、ベストプラクティス・ガイドライン、根拠に基づいた医療および臨
床検査医学のガイドラインへの一貫した標準法の適用、そして
•
医学研究および研究成果の応用を促進する様々な研究からのデータの集積並
びにその比較。
臨床検査医学に関する最近の米国民報告書は、トレーサビリティの不足がこれらの
活動と、この分野での現実の問題を提起する利点を制限していることを示唆してい
る(12)。 測定結果のトレーサビリティは、すべての臨床検査項目において確立さ
れなければならない。最近の総説において、異なる測定方法に基づいたトロポニン
I、B タイプ・ナトリウム利尿ペプチド(BNP)および前立腺特異抗原のような検査
項目において、臨床における比較可能な結果の必要性が述べられている(13)。 こ
の総説の著者らは、トレーサビリティの不足の結果が、一般的な基準値に基づいた
判断を下す場合に誤った判断を導く可能性があり、患者の安全性を危険にさらすか
もしれないと述べている。一例として、彼らは前立腺特異抗原の場合、トレースが
できないような測定値は臨床医に時には不必要な生検を行なわせるかもしれないし、
他の場合では必要な生検を逃す可能性を示唆している。ほかにも、特に小児科の患
者において、慢性腎臓病の早期発見を見逃してしまう測定上のバイアス等の、ネガ
ティブな影響の可能性を示唆している(14)(15)。後半の研究の著者らは、測定方法
間のバイアスを縮小するトレース可能な測定法の必要性と、かつ慢性腎臓病の早期
発見を改善する必要性を述べている。
男性ならびに女性のアンドロゲン異常の診断を誤る可能性のある現在のテストステ
ロン測定の限界は、長年にわたって研究者、内科医および専門家集団によって指摘
されてきた(16)(17)(18)(19)(20)(21)。彼らはこれらの問題点を解決するために、
テストステロン測定法の標準化を推進してきた。
さらにトレーサビリティの不足は、患者のケア、疾病予防およびコントロール、研
究の応用に直接影響するだけでなく、それはヘルスケアと研究のコストにも影響を
与えている。NIST は、トレース不能の結果によって引き起こされたカルシウム分
析の測定バイアスが、1 年当たり 6000 万ドルから 1 億 9900 万ドルに及ぶコストに
結びつくと推測している(22)。公的または私的に支援された臨床試験の登録によれ
ば、米国および世界中で、テストステロン、ビタミン D、血清中クレアチニン、B
3
タイプ・ナトリウム利尿ペプチドおよびトロポニンは、600 回を超える臨床試験が
行われているといわれる(23)。これらの研究から得られたデータは、計測学に基づ
くトレーサビリティの不足およびこれらの測定項目の標準化の不備のため、公衆衛
生や患者のケアのための使用に、きわめて限られた使い方しか出来ないと思われる。
今日、臨床および公衆衛生の立場の利点から考えて、トレース可能な測定結果を持
つことは、臨床試験を行なうことのコストを考えれば当然と思われる。不運にも、
研究者、内科医および一般大衆は、私たちがこれらの利点をすでに持っているとし
ばしば錯覚している。彼らはトレース不可能な測定結果のコストや潜在的な危険性
が明らかになってはじめて、トレース可能な測定法の必要性の認識が遅すぎたと感
じることになる。トレーサビリティを確立することにより、ヘルスケアと研究の両
方の費用を縮小することができる。
トレーサビリティ・プロセス
いわゆる分析学的測定値のトレーサビリティの概念は、計測学の分野から始まった。
したがって、計測学に基づくトレーサビリティは International Vocabulary of
Basic and General Terms in Metrology (VIM)にて提案されている基礎的コン
セプトと、用語の使い方を理解することを要求している(1): 計測学に基づくトレ
ーサビリティとは、「各々のステップは測定値の不確かさに関与しているが、一連
の決められたキャリブレーションにより確定された測定結果の特性を持つもの」と
して定義される(1)。 従ってトレーサビリティとは、そのプロセスの計量化が可能
であり、且つ特異性をもつ測定結果に関与している。従って数量的には、トレーサ
ビリティは結果の正確さによって評価することができる。測定結果はそれ自身、
「他の利用可能な関連情報と一緒に、測定値にかかわる量的価値」として定義され
る(1)。 この定義は 数値は基準値に対して評価されるべき現象、実態あるいは物
質の特性として 量の定義に結びつく(1)。数量とは、システムの構成成分(分析対
象物); 量の種類(例えば血清コルチゾール; x nmol/L に匹敵する濃度)という様
式にて、臨床検査ラボで表現される。測定量として標準化されたテンプレートは、
IFCC/国際純粋応用化学連合のデータベースで見ることができる(24)。 したがっ
て、トレーサビリティを確立するためには、次のような基準測定システムが要求さ
れる:
•
測定値の定義、
•
記載された標準法および(または)標準物質、
•
測定の不確かさについての知識、
•
一連のキャリブレーションのプロセスとその測定値の設定。
特に測定値は、「測定されると意図した量」として定義される(1)。 したがって、
測定値は必ずしも測定されているそのものではない。 例えば、Jaffe 法の場合、ア
ルカリピクリン酸塩の反応物質が実際に測定されるが、測定値としては血清中クレ
アチニン値である。実際に測定されている量の詳細な開示は、ラボやサイエンスの
4
世界の人たちのためであり、日常の臨床検体の測定結果として患者への説明に使わ
れることはない。典型的には、測定されると意図したシステムおよび対象物が知ら
されている(例えば血清中クレアチニンというように)。
トレース可能な測定にするための「記載された基準」が、確認あるいは定義されな
ければならない。この基準とは、後で記述されるような、純粋な化合物、測定手順
あるいは定義された特性を備えたマトリックスに基づくものである。
測定結果は「測定量に帰属して、値の分散をともなうネガティブでないパラメータ
ー」として定義され、測定の不確かさを常に伴っている(1)。 したがって、測定結
果は測定量の値の、最良の評価と見なされる。また、ある値がその方法による測定
値として決められた際、その測定値の分散に寄与するすべての要因が考慮されるべ
きである。このプロセスは測定法の価値を決める不確かさを定義するための、測定
法の適切な特性ならびに解析法の評価法に基づいている。
最後に、キャリブレーション連鎖を定義しておかなければならない(図 1 を参照)、
また、キャリブレーション連鎖に従うことにより、基準法とおなじコンスタントな
結果のトレースが可能となり、キャリブレーションが適切な濃度範囲内に行なわれ
ていることを保証する。
技術的の確立
トレーサビリティはキャリブレーション連鎖によって確定した基準法により、測定
された結果に基づいて実現される。確定した基準物質とは、各企業の標準物質から
Systeme International(SI)により保証された標準物質まで及ぶかもしれない(1)。
これらの標準物質は 国際標準化機構(ISO)(25)また CLSI(26)によって記述され
るように、純度と安定性が十分に定義された特性がなければならない。 頻繁に見落
とされる 1 つの重要な標準物質の特性は、その互換性である。それについてはこの
総説の中で後で説明する。
標準測定法手順は、ISO 15193(27)或いは Joint Committee for Traceability in
Laboratory Medicine (28)により概説された仕様書に従って吟味され、評価され、
そして文書化されなければない。Joint Committee for Traceability in Laboratory
Medicine はトレーサビリティ連鎖を確立するために、前述の標準法に用いられる標
準物質および測定手順にて使用される、すべての物質および方法のデータベースを
維持している。同様に、Joint Committee for Traceability in Laboratory Medicine
は各ラボが行う標準的測定法の基準を記載する。これらの活動に従って、コレステ
ロールおよびヘモグロビン A1c のような項目に対して、国際的に認知されたレファ
レンス・ラボが存在する。これらのネットワークは確立された特別な操作基準を持
っており、通常の管理による評価を保証する。
5
図 1 トレーサビリティ連鎖の具体例は、血清コルチゾール測定のために発展し
た
図の左向きの矢は、その測定法を用いた値の表示を意味する;図の右向きの矢は
測定物を用いたキャリブレーションの方法を示す。
6
図 1 に示されるように、キャリブレーション連鎖は階層別に試薬と測定手順に適用
される。 それは、次の階層のキャリブレーションに使用される試薬を割り当てるた
めの交替過程であり、その後、それはさらに次の階層の測定を検定するための試薬
を割り当てるために使用される。その階層は測定結果に依存する不確かさの程度に
よって定義される。最低の不確かさを備えた測定手順が典型的な基準法であり、最
も高い不確かさを備えた手順は日常臨床検査室における測定法である。右側上のく
さびは、不確かさがトレーサビリティ連鎖の各ステップにおいて累積的に増加する
ことを示す。ISO 17511 や、さらに表 1 に概説されるように、様々な組織あるいは
グループにより、キャリブレーション鎖の特定の部分が確立されている(4)。そ
7
してさらに例えば、計測機関およびレファレンス・ラボはマトリックスに基づいた
基準物質をもとに、トレーサビリティを確立することができ、また試薬メーカーは
このマトリックスに基づいた基準試薬を用いて、患者検体の結果のトレーサビリテ
ィを確立することができる。
血清コルチゾールのトレーサビリティ連鎖は、1 リットル当たりナノモルの SI 濃度
単位(図 1)が血清コルチゾール; x nmol/L に等しい物質濃度という測定量の定義で
始める。単位は NIST から標準物質 921 で規定される。この物質は化学的に精製さ
れたコルチゾールから成り、定義された量を定義された溶媒に溶かすことにより、
検定用に使用される。これらの標準物質の検定は、アイソトープを用いた GC-MS
による希釈測定法によってのみ可能である。コルチゾールの測定がこの測定法によ
りテストされて、血清においても標準物質と同様に、正確に測定できることが確認
された。Institute for Reference Materials and Measurements/IFCC 451(ERMDA451R として入手可能)からのパネル血清として、コルチゾール濃度の測定に使
用されている。それらの血清は、メーカーの基準製造法の検定用に使用される。メ
ーカーの基準製造法はサンプル・マトリックスとしての血清使用のために最適化さ
れており、基準測定法に使用されるキャリブレーターで測定された場合は、不正確
な結果になる可能性がある。メーカーの基準操作手順は、エンド・ユーザのルーチ
ン測定法にあった製品のキャリブレーションに使用される。従って日常臨床のサン
プルの測定の結果は、純粋なコルチゾール標準に基づいた SI 国際単位にしたがって
トレースすることができる。重要なことは、トレーサビリティ連鎖の中で使用され
るキャリブレーターと測定手順は、使用目的に合致していなければならない。
図 1 に示されたトレーサビリティ連鎖はすべてのステップにおいて、SI に従ったト
レーサビリティが確立可能になるような手順を示している。 SI に従ったトレーサ
ビリティの確立がすべての測定結果のゴールであると考えられるが、臨床検査室の
多くの測定については、SI に従ったトレーサビリティ可能なステップを確立するこ
とは必ずしも容易ではない。そのような状況を改善するために、以下のように代わ
りとなるトレーサビリティ連鎖が ISO 17511 によって定義された(4)。 この標準
的に定義された 5 つのトレーサビリティ連鎖は次のとおりである:
1. 測定は国際単位(つまり mol)でトレースできる。キャリブレーション・プロセス
は、原則として図 1 に示された測定法に従い、さらに詳細に以下に説明される。 こ
の手順では、分析対象物の化学的および物理的性質は知られており、基本的な基準
測定法およびキャリブレーターも利用可能である。例えば、電解質、代謝物質、グ
ルコース、コレステロール、ステロイド・ホルモン、いくつかの甲状腺ホルモンや
薬剤が、この分析対象物である。
2. これらの測定は、現行の国際基準測定手順(基本法ではない)と、計測学に基づく
SI のトレーサビリティのない国際的に使用されているキャリブレーターを用いるこ
とによりトレースできる。この条件下では、標準測定手順およびキャリブレーター
は、会議または合意によって定義される。例えば、総ヘモグロビンは、Community
8
of Bureau of Reference により提供される牛の溶血液中のヘモグロビン・シアニド
を、CRM 522 をキャリブレーターとして用いて、そのシアニド誘導体の吸収分光
測定により測定される。
3. これらの測定は、現行の国際基準測手順(基本法ではない)にてトレースできるが、
国際的に使用されているキャリブレーターと SI への計測学に基づくトレーサビリテ
ィはない。この条件下では、標準測定手順は会議または合意によって定義されるが、
キャリブレーターは存在しない。例えば、IFCC によって特別に指定されたクレア
チンキナーゼ、乳酸脱水素酵素およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの
ような酵素の測定法(最近の総説に述べられている(29))、あるいは
International Council for Standardization in Hematology で規定されたヒト血液
中の赤血球および白血球の個数の測定のような場合である。
4. これらの測定は、現行の国際的に使用されているキャリブレーター(基本法では
ない)でトレースできるが、国際基準測定手順や SI への計測学に基づくトレーサビ
リティはない。この条件下では、基準物質は会議または合意によって定義され、測
定値は、WHO の基準(例えばヒト絨毛膜性腺刺激ホルモン)によって定義された国際
単位のような任意の単位に設定される。
5. これらの測定は、メーカーの任意の測定手順によりおこなわれるが、これらは現
行の国際基準測定法手順や国際的に使用されているキャリブレーターや SI に対する
計量学に基づくトレーサビリティはない。この条件下では、基準物質やキャリブレ
ーターは存在しない。例えば、クラミジアのような抗原の抗体と同様に、癌抗原
125 のような腫瘍マーカー並びにフィブリン分解生成物(D−ダイマー)がこのよう
な測定対象物質になるであろう。このようなシナリオは個々の研究所によって新し
いバイオマーカーが開発された場合に生じてくる。
試薬メーカーは計測学に基づいた市販可能な測定法のトレーサビリティの確立およ
び文書化の責任を負っている。臨床検査室はメーカーの使用法の指示に従う限り、
これらの市販されている測定法の個々のトレーサビリティを確認する必要はない。
もしラボがメーカーの方法を修正、変更するか、方法を改良する場合、ラボは最も
高い利用可能な標準的トレーサビリティを確認する必要がある(4)。しかしながら、
この様な場合でも、メーカーまたはラボが、すべてのステップのトレーサビリティ
連鎖の確認をしなければならないわけではない。個々のレファレンス・ラボやその
ネットワークが、その測定をより高い計測学的標準化が実施できるよう支援してい
る。Eurachem/Cooperation on International Traceability in Analytical
Chemistry (30)や ISO[ISO17511(4)と 18153(31)]のような組織から、一般
的なガイドラインの実施するための資料の提供を受け、いくつかの組織が臨床検査
医学のトレーサビリティの確立についての特定の手順を文書化した。また 他の文書
には、CLSI からのこれらの ISO の基準の実施に関する補足的情報を含んだ[CLSI
報告書 XR5 (32)]並びに測定不確かさの計算についての NIST からのガイダンス
(33)が含まれている。トレーサビリティに関係するトピックについての詳細な情報
9
(34)は、Clinical Biochemist Review28 巻(35)のような 科学出版物にて利用可
能である。
全測定プロセスおよび性能の一連のトレーサビリティ
測定のキャリブレーションおよびその特異性の確認はトレーサビリティを表現する
が、それは全測定過程の分析要因を示す 1 つの側面にすぎない。他の要因として、
分析法の選択、患者の状態、試料の採取および取り扱いがあり、結果の報告は、測
定過程の分析前と後の部分の一部である。後半の要因は、測定結果およびデータ解
釈に重要な影響を与える。最近の全国状況調査報告によれば、臨床検査医学におけ
るエラーの分散が、分析前の過程で 32%-75%、分析中で 13%-23%、および分析
後の過程で 9%-31%であることが明らかとなった(12)。これらのデータは、分析
前後の要因を無視することができないということを示唆している。
全国グリコヘモグロビン標準化プログラム、CDC コレステロール標準化プログラム
および全国腎臓病教育プログラムのような主な標準化プロジェクトは、計測学に基
づくトレーサビリティを扱うだけでなく、それらを実施した場合の効果および分析
前後の要因の標準化の評価を行う。さらにこれらのプロジェクトのもっとも重要な
点は、これらの努力の結果が、臨床、公衆衛生、研究およびラボ等において十分に
知らされ、かつ生かされているかどうかである。したがって、計測学に基づくトレ
ーサビリティの確立は、ラボの重要な標準化努力の目標であることを認識し、それ
らは全面的な測定過程および測定結果の改良の包括的活動を目指している。
前述の測定法や活動は個々の測定システムからトレース可能な結果を導くが、患者
の臨床状況に由来する明らかな違いが、同じ価値を有する測定特異性および操作法
のプロトコールにおいてにも生じる場合がある。したがって、測定システム全般の
トレーサビリティ実施の効果は、継続的に評価されるべきである。研究所間の比較
研究はそれらが個々の研究所および参加する研究所すべての総合的な実施の情報を
提供するので、そのような評価に役立つと思われる。解析の達成目標が定義されて
いない場合、後者は特に有用である。メーカーおよびエンドユーザー・レベルの両
方において、そのような評価は、患者の報告された結果のトレーサビリティの保証
をバックアップしている。メーカー・レベルの実行は、特定の比較研究によるレフ
ァレンス・ラボないしはそのネットワークによって一般に評価される
(36)(37)(38)。また、エンド・ユーザーの場合は正確さに基づいた外部品質保証
プログラムで評価することができる(39)(40)(41)。 これらの比較検討はトレーサ
ビリティの確立に必ずしも必要ではないが、それらは臨床の場において、測定結果
の全面的成果を達成し、さらにそれを維持してゆく上で重要である。
挑戦とその解決法の可能性
計測学に基づくトレーサビリティの確立は、使用される構成要素、およびそのプロ
10
セスで行なわれたステップが、それぞれ標準法と指針書によって明白に定義され識
別されることが必要である。 この総説は、このプロセスで遭遇した可能な挑戦のす
べてを取り扱うことはできない。しかしながら、次に、私たちはこの仕事の中で議
論され、考慮されるべき問題を技術的ならびに概念的に取り扱う。
測定システム(例えば血液、血漿、血清、尿)の定義は、ほとんどの場合明白に見え
るかもしれない。しかしながら、ある場合には測定を行う際、理論的な概念から測
定の実施にあたっての考え方を変えるのは問題かもしれない(42)。 例えば、血清
中の水分(適切にイオン化された電解質か遊離ホルモンにとって)を考慮しなければ
ならない。 血清中の多くの構成成分がタンパク質に結合するか、あるいは他の構成
成分と複合体を作る。したがって、それらの血清水分中の濃度は、血清におけるそ
れらの濃度と異なる。現在、そのような測定法は、直接血清サンプルを測定するこ
とにより、血清水分中の構成成分の「真実の」濃度の測定値を提供することができ
ない。そうするためには、計測学に基づくトレーサビリティに必要なキャリブレー
ション連鎖を壊すプロセスとなる、限外濾過または透析によって、血清から血清水
分を分けなければならない。そのような制約下の一例として、「平衡透析と定義さ
れた条件の下で準備された血清からのチロキシン{フリー};x pmol/L」測定値とし
て、「操作上のフリーチロキシンの測定量」と定義される必要がある(43)。
測定される構成成分の定義は障害となるかもしれない(42)(44)。 例えば、卵胞刺
激ホルモン(FSH)を考えてみる(45)。 卵胞刺激ホルモンは血中には複雑な混合物
として、血清糖蛋白質ホルモンとして存在する。 卵胞刺激ホルモン測定に使用され
た現在の免疫測定法では、糖連鎖形成部位に対しては「盲目」と考えられ、多かれ
少なかれ等モルの方法(注、等モルの分析については、測定単位は g ではなく mol
であるべき)で、これらの部位を測定すると推定されている。しかしながら、この問
題はまだ解決されていないが、専門家の間でもまだ明白に卵胞刺激ホルモンの構成
成分を定義していない(45)。 免疫測定では様々なエピトープを測定に使用してい
るが、それらはすべて同じ構成成分(あるいは構成要素の混合)の量を測定するつも
りで設計されている。測定対象は、臨床的また生理学に興味のある分子であるよう
に意図される。したがって、それを測定するために使用されるエピトープによって、
測定量を定義することは誤解を招きやすい。
コルチゾール、グルコースおよびナトリウムのように、純度が保証された利用可能
な標準物質を用いることにより、国際単位を具体化することが可能となる。しかし
ながら、そのような標準物質は、水のマトリックスの中で一般に溶解されており、
通常の測定法にて測定されるサンプルで互換可能ではない;したがって、それらは
日常の測定法には使用することができない。基準測定法においては、標準物質の特
異性がそれを測定量のマトリックスに無反応なので、そのような標準は測定法には
使用することができる。在来(血清}のサンプルに観察されるように互換性のある標
準物質は、同じ測定法トレーサビリティ連鎖に使用が可能である。標準物質と臨床
のサンプルの間の分析的な反応の差は、測定値にバイアスをもたらす。このバイア
11
スは、臨床のサンプル・マトリックス(例えば血清と尿)を事前に処理しないで、そ
のまま測定対象物を測定する場合、特に重要である。現在このようなマトリックス
の違うものに、同時に使用可能な標準物質が開発されている。(26)。互換性と妥
当性に関する評価は、文献で詳細に述べられている(46)(47)(48)。 互換性のある
標準物質の不足を克服するために、血清サンプルのパネルを用いて、マトリックス
に鈍感な標準測定法(図 1 を参照)と比較して計算することができる(
コルチゾー
ル例) (42)(49)。
正確な同一性を定義することができないものや、純度のわからない構成成分の国際
単位の設定、または純度の保証されない標準物質は提供することができない。した
がって、WHO は次の原理によって国際単位(IU)概念を開発した。国際標準物質は
最先端技術による精製および同定技術で規定されている。そしてその機能は、生物
系(生物検定)の反応によってテストされ(バイオアッセイ)、その後 IU は学会にて
(例えば、IU が 1mg の純品に匹敵)設定される。一旦定義されたならば、IU はトレ
ーサビリティ・プロトコールに従って、すべてのさらなる国際基準品として扱われ
る。多くの免疫測定法がそのような標準物質で測定される;しかしながら、WHO
単位のトレーサビリティは、従来の患者サンプルを用いた WHO の標準物質との非
互換性によってしばしば壊される。 この問題は、同じ WHO 標準物質で測定され
る様々な測定法においても、結果の差として表れてくる(50)(51)。このようなカ
テゴリーの測定法において、トレース可能な測定法を確立にするため、物質特定的
な基準測定法および改善された互換性のある標準物質を開発していなければならな
い。 それまでの間は、コンセンサスの得られた患者血清サンプルのパネルの使用の
ような、臨時の解決策が議論されている。
新しい基準法が利用可能になるとともに、トレーサビリティ連鎖は変わる場合があ
る。紫外線/可視光線検知を備えた HPLC あるいは免疫学の方法のような従来の技
術に基づいた基準測定法は、質量分析のようなより高い特異性を備えた方法に取り
替えられるかもしれない。基準測定法手順の改良は、基準物質またはキャリブレー
ターに割り当てられた値を変えるかもしれないし、また次には臨床検体の結果の違
いに結びつくかもしれない。さらに臨床現場と共同で、これらの変化にもかかわら
ず患者のケアを保証する高い標準のトレーサビリティの確立を目指すべきである。
測定結果のトレーサビリティの確立は、臨床、研究および疫学からの要求に基づい
た性能規格と連結すべきである。これらの仕様書は患者検体の適切な測定範囲を示
し、意図した臨床あるいは研究(つまり、患者と健康人を区別する)において許容可
能なバイアスおよび不正確さの範囲を含んでいる。そのような性能規格は、ある対
象測定物や臨床使用(例えばコレステロール、ヘモグロビン A1c)のためにすでに公
式化されている。しかしながら、他の多くの項目においてこのような性能規格は見
当たらない(52)。 従って分析性能に関する進行中のゴール設定討論は、この総説
の意図するところとまだかなりかけ離れている(53)(54)(55)(56)。
12
トレーサビリティは、臨床試験や疫学研究が実施されるより、できるだけ早い段階
から確立されるべきである。それによって、心臓疾患のバイオマーカーとしてのコ
レステロールに関する研究の成功によって示されるように、これはこれらの試み(つ
まり異なる研究からのデータを共同出資することができることによる)の利点および
結果を最大限にする援護することができる(10)。 トレーサビリティが前立腺特異
抗原において記述されるような初期段階で確立される場合、コストと合併症を最小
化することができる。
新しい測定対象物のトレーサビリティと既存の測定法の標準化を同時に設定するこ
とは、資金調達の面からこの分野の適切な専門性を備えた少数の研究所および個人
にとっても、厳しい状況であった。個々のすべての測定対象物の計測学によるトレ
ーサビリティの確立および維持は、資源集約的な任務である。高度に熟練した優秀
なスタッフ、高価な器械使用、相当な予算が、これを実施してさらに発展させるの
には必要である。長期にわたる測定のトレーサビリティと標準化を実施するには、
さらに前述の資源(持続可能な組織的構築)が要求される。主な標準化は CDC の血
液脂質および A1c が提供するヘモグロビンのための全国グリコヘモグロビン標準化
プログラムであり、これらは組織も資源も備えている。しかしながら、すべての臨
床の測定対象物のための、そのようなプログラムの作成は実用的ではない。しかし
ながら、どんな代賛選択肢を実行するにしても、まだ相当な能力が要求される。し
たがって、建設的な能力は、現在と将来の標準化を必要とする臨床検査医学のため
の優先項目に認められるべきである。
トレーサビリティのゴールは、患者の処置に使用された測定結果が、測定の日時や
場所の違いにかかわらず、正確で比較可能であることを保証することにある。計測
学に基づくトレーサビリティの確立は、データに基づいた臨床検査医学の基礎的な
必要条件を満たす。したがって、それは患者の処置、疾病コントロールおよび予防
を改善し、臨床試験データを繰り返しではなく、共有することを可能にすることに
より、費用を節約する。
計測学に基づくトレーサビリティを確立した過去の努力は、標準化プロジェクトに
よって使用されるアプローチと概念を確立しただけでなく、現在臨床検査医学の中
でますます使用される新しい用語、および命名法のシステムも導入した。トレーサ
ビリティを実施するという挑戦は、測定過程自体に関連する構成要因により大きく
注目するようになり、よりよくラボにおける測定を定義し、実行するための新しい
活動を刺激した。トレーサビリティは、データが科学的に正確であり、かつ適切に
患者のケアと公衆衛生の活動に適している情報を保証するよう、臨床検査医学に促
し続ける。測定法のトレーサビリティの確立は、相当な資源が要求される。臨床検
査室の現場は、この分野での将来の挑戦のためのキャパシティーの構築を通じて、
これらのニーズを宣言してゆかなければならない。臨床検査医学のトレーサビリテ
ィの実施は、臨床および公衆衛生の現場と一緒に、臨床検査医学の現場にて主導的
に行われてゆかなければならない世界的な努力である。
13
Acknowledgments
Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to
the intellectual content of this paper and have met the following 3
requirements: (a) significant contributions to the conception and
design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b)
drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final
approval of the published article.
Authors’ Disclosures of Potential Conflicts of Interest: No authors
declared any potential conflicts of interest.
Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the
design of study, choice of enrolled patients, review and interpretation of
data, or preparation or approval of manuscript.
Acknowledgments: L.M. Thienpont and H.W. Vesper are grateful to D.
Stöckl for discussing the manuscript.
Disclaimer: The findings and conclusions in this manuscript are those
of the author(s) and do not necessarily represent the views of the
CDC/the Agency for Toxic Substances and Disease Registry.
脚注
1
Nonstandard abbreviations: SI, Systéme International; ISO,
International Organization for Standardization.
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