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Россия・Зльбрус(ロシア・エルブルース) ~5642mからの滑走~(山

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Россия・Зльбрус(ロシア・エルブルース) ~5642mからの滑走~(山
Россия・Зльбрус(ロシア・エルブルース)
~5642mからの滑走~(山スキー)
【報 告 者】武内 康雄
【日
時】2005 年 8 月 3 日(水)~8 月 11 日(木)
【参 加 者】武内 康雄
【コースタイム】
●8/3(水)福岡空港 10:30(飛行機 KE788)ーソウル(仁川空港)11:55/16:25(飛行機
KE923)ーモスクワ(シェレメチェボ空港)20:30
KE は大韓航空
●8/4(木)モスクワ(ヴヌコヴォ空港)11:20(飛行機 KV1219)ーミンボディ空港 13:
20(車)ーテレスコル 17:30
●
KV はカフミンボディ航空
8/5(金)テレスコル 9:00ーチェゲットリフト下部 9:20(リフト)ーリフト上部 9:
50ーチェゲット(3100m)11:30/12:00ーリフト上部 13:00(リフト)ーリフト下
部ーテレスコル 14:00
●
8/6(土)テレスコル 8:20(車)ーアザウ(2250m)8:30/8:50(ロープウェー×2、
リフト)ーガラパシ・バレル小屋(3750m)10:05/13:00ー11 番小屋(4157m)14:00
/14:40ーバレル小屋 14:50
●
8/7(日)バレル小屋 9:10ーパスツーコフ岩下部(4700m)11:50/12:10ーバレル
小屋 12:50
●
8/8(月)バレル小屋 4:00(スノーキャット)ーパスツーコフ岩下部 4:40/4:50ー
サドル(西峰と東峰の鞍部、5416m)9:10ーエルブルース山頂(西峰、5642m)11:05
/11:30ーバレル小屋 13:15/15:00(ハイク)ーロープウェー駅上部 15:20(ロ
ープウェイ×2、車)ーテレスコル 16:30
●8/9 テレスコル 10:00ーアザウースキー場途中 11:30/12:30ーアザウーテレスコ
ル 14:15
●8/10(水)テレスコル(車)3:30ーミンボディ空港 6:00/8:50(飛行機 KV1218)ーモ
スクワ(ヴヌコヴォ空港)11:00(車) ーモスクワ(シェレメチェボ空港)12:00(バス・
地下鉄)ークレムリン周辺散歩ーシェレメチェボ空港 19:30/22:30(飛行機 KE924)
ー
●8/11(木)ーソウル 11:50/17:50(飛行機 KE781)ー福岡空港 19:05
今年の海外遠征は、4 月頃から計画を立て始めた。昨年は 1 ヶ月前に計画を始め、ド
タバタした中で、山も吟味出来なかった教訓を生かし(それなりに学習しています!)、
まずは最初で最大の難関である、
「家族の了解をとる」事に精力を費やした結果、夏休
みの山旅の了解が得れた。まさに難関ルートをオンサイトした気分である。それから、
いくつかの山を調査して決めた山は「エルブルース」だった。それなりに高く、また、
ヨーロッパ大陸の最高峰でもあり、更に、スキー滑走ができるのが魅力の山だ。また、
場所はロシアのカスピ海と黒海の間に位置する、いわゆるコーカサスの山だ。この辺
り、「紛争地じゃないの?」と思われたが、実は、距離が数 100kmは離れており、ま
ったく問題ない。ただ、ロシアというお国柄、個人で旅行するには非常に難しく手間
がかかる為、登山ツアー会社のお世話になる事にした(これが費用が飛び跳ねた原因、
今までの海外旅行でMAX)。
●8/3(水)晴れのち雨のち晴れ
家族は既に先方の実家に帰省中で、一人での出発。季節はずれのスキーを担ぎ、70L
のバフィンにも結構荷物が詰まっている(スキー兼用靴と春山装備、あとシュラフ)。福
岡空港で荷物を計ったら、規定の重量超過していたが、追加料金はなかった。なんて
大韓航空は良い会社なんだ、と思いながら出発。次のソウルは雨だったが、とりあえ
ず昼飯をと思い、バスで街に出る。ただ、余り時間はなく、ソウル駅でビビンバを食
べてトンボ帰り。
そして、モスクワへ。入国審査を受けて出るも、初めてのロシア語に戸惑う。
「Пас
порт(???)」なんじゃーこれは、
「地球の歩き方」と見比べながらやっと「パス
ポート」と判る。これは大変そうだと思う反面、なんかうれしくなってきた。21:00
前だがまだ薄明るいし、気候はカラッとしており快適。現地ガイドのナタリー嬢に迎
えられホテルに直行。宿泊は「ロシアホテル」。ツインルームでバスタブ・トイレ付。
もちろんお湯も出て、かなり高そうなホテルだった。しかし、クレムリンのすぐ近く
にあり、場所的には申し分ない。夜の街は重厚な建築物が並び、歴史を感じさせてく
れる。
●8/4(木)曇り
朝食までの時間を使って、クレムリン周辺を散歩。パスポートはホテルに預けてあ
ったため、警察と目が合わないように、気をつけたが、特に呼び止められることはな
かった(パスポートチェックで不所持が判明したら罰金か)。
ビュッフェの朝食(クレープがおいしい)の後、ナタリーと再会して、ヴヌコヴォ
空港(国内線用)に向かう。時間に正確なお姉さんだった。そして、ミンボディ空港へ
フライト。カフミンボディ航空という怪しげな航空会社で、シートは不安定であまり乗
り心地は良くなかった。
ミンボディ空港でまた別のガイド・エレナ女史(微妙な使い分けでしょう)のお迎
え。「Atlas Trac」の紙を持っていたのでちょっと迷ったが、他に日本人がいないので
声をかけた所、そうだった。エレナは普段はサンクトぺテルブルグの旅行会社に勤め
ているとの事。エレナやドラーイバーと一緒に、テレスコルの村へ向かう。ロシアも
南部は更に空気が乾燥しており心地よい。
「ど~こま~でも、続~く、向日葵ばた~け、夏の休~暇は、始まったば~か~り。」
という歌?にあるような風景が広がった。なだらかな丘陵地帯に一面の向日葵畑が、
現れては消え、現れては消えていく。思わず広い。風景がすばらしい。道端では、ビ
ン詰のはちみつを売る現地人がいる。その内、主要道を外れ、道はバクサン谷沿いに
入る。氷河色した水と林も出てきた。ヨーロッパアルプスの谷に似ている。そして、
バウチャー&パスポートチェックの後、滞在するテレスコル(ТерскоЛ)村につ
いた。村のメインストリートを牛達が散歩するようななんとものどかな所だ。ホテル
ヴォルフラムにチェックイン。ツインベッドにトイレ・シャワー付。窓が開かないのが
不満。しばらくここでお世話になります。夕食はパン、ボルシチ、肉か卵料理に果物
に紅茶。サワークリームを使うのが特徴。朝はパン、ヨーグルト、肉か卵料理、紅茶。
●8/5(金)小雨
足慣らしの為に、チェゲットへ。ホテルから30分ほど下り、リフトにのる。冬は
スキー場になるそうな。それから歩き始め、岩と雪が出てくる手前でおしまい。30
人くらいの登山者がいた。エルブルース方面は雲の中。高度は3000mちょい。最
初の順応行動としてはまずまずだ。下山後、町の雑貨屋でビールを買い軽く飲んだ。
●8/6(土)快晴
別のガイドにつれられ、いよいよバレル小屋へ。そこまではロープウェイ等があり
楽チン。途中でモスクワ入国以来久しぶりに日本人登山者に会う。5人ぐらいのパー
ティー。バレル小屋は特大ドラム缶を横に倒したような造りで、円の部分が入口。縦
長で中に入るとベッドが6つ(片側3つ)並べてある。灯りやヒーターがあって暑い
くらいだ。それが11個ほどある。食堂とトイレは別々で、特にトイレは20年くら
い前の日本アルプスのトイレのような感じ。つまり板敷きにちょうど良いくらいの穴
があいている。その中は想像に難くない。物を落としたら拾得不能だ。
この日は昼食後、11番小屋まで高度順応行動。小屋の横から雪がつながっている
が、つぼ足で登りスキー滑走。雪は表面は腐っているが、それなりに締まっており歩
きも簡単だ。その後は、ゆるゆると、明日登るであろうエルブルースを眺めていた。
なんとなだらかな、ゆるやかな山なのだろう。日本で言えば秋田の鳥海山のようだ(二
つのピークがある事をのぞけば)。振り返ると、対照的に氷河をたたえた急峻な岩山と
大きな谷(テレスコルのあるバクサン谷)があった。
しかし、山岳ガイドの到着が遅い。小屋の世話人のマリアに聞くと、今日はエルブ
ルースに登頂しているらしい。それでも 19:00 には下山予定との事なので、待つが一
向に現れない。やっと 20:00 頃対面。彼の名前はウラジール(20歳前後)
。そこで、
明日は 9:00 出発と言われる。やけに遅いなあと思いながら、まだ明るい中就寝の準
備に入った頃、再度、ウラジールが現れ、明日は登らないと告げられる。こちらも考
える所があり、計画では明日登頂だ、と言い張ったが、仕舞いには片言の日本語を話
すオヤジを連れ込まれ押し切られる。相手の言い分は「タケの力がわからない、また
高度順応に不安がある」との事だったが、後味が悪かった。こっちは天気の周期が心
配だった。
【バレル小屋から望むエルブルース】
●8/7(日)快晴
3:00 頃隣のベッドの連中が起き出し、事もあろうに電気をつけて準備を始めた。い
い迷惑でこちらは寝不足だ。
スキーにシールをつけて登りだす。11番小屋を過ぎる頃から少々頭痛がしたが、
慣れると大して気にならない。パスツーコフ岩場に着いて、山を眺めていると、なん
とパラグライダーで下降している人がいた。僕らはスキーで滑走。何とも気持ちの良
いゆるやかな斜面だった。存分にシュプールを描け、明日の滑りが本当楽しみだ。ウ
ラジールの滑りも見事だった。小屋に戻って、またひたすら山を眺める。USA、カ
ナダ、オーストリア、スイス、フランス、そして日本と様々な国籍の人がいる。話を
聞くと結構富士山登頂者が多かった。日本人のパーティーは5人ぐらいで、キリマン
ジャロで知り合った仲だそうだ。夕食後、こんな所まで山に登りにきている自分を思
うと、家族への感謝や、また明日の晴れを祈らずにいられない。
●8/8(月)晴れのち曇りのち雪のち雷雨
暗いうちに起きだして朝食後、スノーキャット(雪上車)にのって、パスツーコフ岩
下部まで運んでもらう。空には冬のオリオン座が姿を見せ始めている。流れ星も多い。
長袖Tシャツ、毛シャツ、カッパ上下を着ているが寒くはない。スノーキャットから
降りて登山開始だ。朝焼けと下界は雲に覆われておりいやな感じの天気だ。スキーを
担ぎアイゼンをつけてそれでも登る。ウラジールはさすが体力があるが、僕は呼吸を
整えながら、一歩一歩登る。サドル(西峰と東峰の鞍部)につく頃、ガスってきて雪
がちらつき始める。また、1時間前に出発した日本人パーティーとそのガイド達にも
追いついた。僕らは先を急ぐ。過去の記録では、ここにスキーをデポしているのだが、
「いける」という事なので、そのまま担いで登る。多少傾斜が増し、岩の露出した所
に出たが問題なくすすむ。平坦になって、一瞬ガスが切れた。
s
「Take!That’
a peak!」。その先 100mくらいの所にちょっと尖った山頂があった。その
時の気持ちは何とも口では言い表せない。11:05 登頂。しかし回りはガスっている。
シールを外して滑走の準備を
していると、後の日本人パー
ティーも登ってきた。お互い
登頂を喜ぶ。しかしこれから
が大変だった。雪が舞う中で
の、滑走だが、気温が低いの
で、雪の表面が固く、思い切
って滑り出せない。登りでは
さほど感じなかった傾斜だが、
非常に恐怖だ。急な所は、ひ
たすら横滑りで下る。表面は
ガリガリなので太ももへの負
荷が大きくつりそうなくらい
だ。その内トラバースに入り
ホッとするも、再び、横滑り
に。ただ、下るにつれて、雪
は雨に変わり、おまけに雷も
鳴り出した。こりゃたまらん
と言う所で、雪面も軟くなり、
【エルブルース山頂にて】
カッ飛ばす。なんとか、バレ
ル小屋に無事到着。
まだ時間が早いので下山することにした。小屋の食堂で最後の食事。ほぼ 1 日 3 食
お世話になった。全粒粉や普通粉のパン、チーズやサラミ、トマトやきゅうりのサラ
ダ、夕食はチキンやパスタなど、1品増える。そして紅茶。インスタントコーヒーも
あるが、なんと言ってもロシアは紅茶の国。何種類かのティーバッグが並んでいた。
今日も明日も明後日も、このメニューに変化はないのだろう。雨漏りの中、ちょっと
落ちつかないが、小屋の人達はおかまいなしだった。
雨の為リフトは止まっていたが、ロープウェイを乗り継いで、無事アザウに下山。
ウラジールに聞くと、春には山頂からここまで約 12kmのスキー滑走が可能だそうな。
5642mから 2250mまで標高差にして 3300m。どんな滑走なのか興味は尽きない。ホテ
ルに戻って久しぶりのシャワーと、ビールで祝杯をあげた。
●8/9(火)晴れ
テレスコルからアザウ経由でロープウェイの下部(スキー場らしい)を散策。途中
で妙なオヤジに誘われるままにロッジに入っていったら、食事を振舞ってくれた。昨
日の悪天で少々参っていたが、なんかとってもうれしく幸せな気持ちになった。それ
から、森の中を散策して戻る。
●8/10(水)
早朝に車で出発。飛行機で無事モスクワへ。空港を移動して荷物を預け、ガイドレス
で市内観光。そして、フライト。
●8/11(木)
ソウル着。時間が微妙だったので、空港の中で食事と昼寝。B1に安い韓国料理の
食堂を見つけ満足。フライト。
福岡空港に無事帰国、しかし税関での出来事。「どちらからですか」「ロシアからで
す」
「麻薬とかそういう物はもってませんか」
「持ってません(自信に満ちて回答)」
(少々
間・・・)
「あなたの荷物に麻薬犬が反応した。こっちに来て下さい」
「・・・(あ、何
それ)」
。なんとも事務的な会話であったが、取調室に連行される僕。はたから見れば、
ザックとスキーを持った変なヤツが何かしたのか、という感じだったのだろう。しか
しロシアはマフィアの国。どこかで荷物に押し込まれた可能性もある。おとなしく従
うしかない。
「荷物を置いてこっちに立ってください」
「立ちました」
「それでは脱いでください」
「ハ
イ(どこまで脱げば良いのだろう)。えーっと」「靴を脱いでください」「ハイ(何だ、
靴だけか)」。と言った具合に取り調べは続いた。係官は、重そうですね、とか、めん
どうかけてすみませんね、などと謝りながらも、着実に確実に調べ、ザックの底まで
丁寧に開けさせられた。こっちは仮にもし何か見つかっても知らぬ存ぜぬで通すつも
りだったし、イヤミでよっぽど「のどが渇いたなー」とでも言ってやろうかと思った
が、すごすご退散して来ました(当然何も見つからず)。それにしてもワン公は僕の何
に反応(興奮)したの?消毒薬か、それとも溶剤系のシールか、はたまたかぐわしき
山服か。
とまあこんな感じで、僕の 2005 年の夏は、無事に終わろうとしている。明日から仕
事。しかし、早くも心は、次の山に向かいはじめた。
費用合計 約 54 万、\:円、$:ドル、P:ルーブル、W:ウォン
個人ツアー費用(アドベンチャーガイズ)
508785 万円(旅行代金 480000、山岳保険、空港使用
料、航空保険、燃油運賃、ビザ 5000+取得代 4200)
現地費用の主な物:韓国
\3000+W20000≒\5272
チェゲットリフト往復、スノーキャット、山岳
P140≒\560、$48≒\5528、\10000
ガイドチップ
ホテルヴォルフラム 1 泊追加、KV 荷物超過料
P300≒\1200、P100≒\400
金(25kg 超)、シェレメチェボ空港荷物預け
P80×2=P160≒\640 計 23600
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