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Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal

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Embargoed Advance Information from Science The Weekly Journal
Embargoed Advance Information from Science
The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
http://www.aaas.org/
問合せ先:Natasha Pinol
+1-202-326-7088
[email protected]
Science 2009 年 8 月 14 日号ハイライト
短い睡眠でも平気なヒトの理由
古代の石器作製では火を利用していた
模倣が友情を育む
真珠層はどのようにしてあの色艶になるか
短い睡眠でも平気なヒトの理由
Why Some Need Less Beauty Sleep
新たに行われた研究から、他のヒトより少ない睡眠でも生きて行けるように遺伝子レベルで
プログラムされているヒトがいることがわかった。研究者らは、通常必要と言われている 8
時間より数時間少ない睡眠時間しか必要としないことに少なくとも一部関与する突然変異を
発見した。関連する Perspective 記事は、今回の発見が夜遅くまでテレビをみて夜更かしする
言い訳にならないように、この突然変異は非常にまれなものであると述べている。しかしこ
の研究により、ヒトの健康に睡眠がもたらす効果の研究が新たに前進することになるだろう。
Ying He らは、平均して常に一晩約 6 時間しか眠らない母娘が属するある拡大家族を研究し
た。He らはさまざまな候補遺伝子の塩基配列を調べて、この母娘だけが DEC2 遺伝子の変
異体を有しており、他の親戚にはないことを発見した。この遺伝子は転写抑制因子であり、
特定の他の遺伝子の発現を阻害し、概日リズムの調節に関与していることが既に明らかにさ
れている。次に He らは、突然変異があるマウスと正常マウスの睡眠サイクルと脳活性を比
較した。突然変異マウスは睡眠時間が短いことに加えて覚醒期間も頻繁で、また睡眠不足期
間からの回復も早かった。ショウジョウバエでも、同様の突然変異で睡眠相が短くなること
が明らかになった。これらの突然変異がある動物はヒトの睡眠研究での新たなモデルとして
役立つだろうと著者らは述べている。
論文番号 15:"The Transcriptional Repressor DEC2 Regulates Sleep Length in Mammals," by Y.
He; Y. Xu; J.L. Holder Jr.; Y.-H. Fu at University of California at San Francisco, Mission Bay in San
Francisco, CA; C.R. Jones at University of Utah in Salt Lake City, UT; N. Fujiki; S. Nishino at
Stanford University in Palo Alto, CA; B. Guo at University of California, Berkeley in Berkeley, CA;
M.J. Rossner at Max-Planck-Institute of Experimental Medicine in Göttingen, Germany; Y. Xu
presently at Nanjing University in Nanjing, China; J.L. Holder Jr. presently at Baylor College of
Medicine in Houston, TX; J.L. Holder Jr. presently at Texas Children’s Hospital in Houston, TX.
論文番号 6:"How Much Sleep Do We Need?" by H. Hor; M. Tafti at University of Lausanne in
Lausanne, Switzerland; M. Tafti at Vaud University Hospital Center in Lausanne, Switzerland.
古代の石器作製では火を利用していた
Ancient Toolmakers Harnessed Fire
古代人は象形文字や装身具、その他「現代人」の行動を表わすものを作り始めた頃には、火
を利用して石器を改良していたと研究者らは報告している。さまざまなエビデンスにより、
アフリカでは約 75,000 年前に人間がより高度な素材を使用し始め、シンボル行動も始めら
れたことが示されている。Kyle Brown らは今回、この時代の人々が計画的・意図的に火を使
って入手可能な素材を改良し、石器作製の質と効率を向上させていたことを説明している。
Brown らは南アフリカの遺跡発掘現場からシルクリート(silcrete)石器を収集し、そのシル
クリートが熱によって意図的に変形させられたものであることを複数の技術を用いて示した。
熱処理は早くも 164,000 年前から行われており、72,000 年前頃にはシルクリートを使った石
器作製で熱処理が主流であったことが今回の研究結果から示唆された。熱処理技術の活用は
古代の人々が火に関する高度な知識を有していたことを裏付けると同時に、料理や暖房を目
的とする単純な活用から最終的には陶磁器や金属器の作製を目的とする活用まで、火の活用
の経緯も示していると Brown らは考えている。関連する Perspective 記事では John Webb と
Marian Domanski が熱処理によって岩石の割れ具合を改善する方法を説明している。
論文番号 13:"Fire As an Engineering Tool of Early Modern Humans," by K.S. Brown; D. Braun at
University of Cape Town in Cape Town, South Africa; K.S. Brown; C.W. Marean; J. Bernatchez at
Arizona State University in Tempe, AZ; A.I.R. Herries at University of New South Wales (UNSW) in
Kensington, NSW, Australia; A.I.R. Herries at University of Liverpool in Liverpool, UK; Z. Jacobs;
M.C. Meyer at University of Wollongong in Wollongong, NSW, Australia; C. Tribolo at CNRS in
Pessac, France; C. Tribolo at Université de Bordeaux in Pessac, France; D.L. Roberts at Council for
Geoscience in Bellville, South Africa.
論文番号 3:"Fire and Stone," by J. Webb; M. Domanski at La Trobe University in Melbourne, VIC,
Australia.
模倣が友情を育む
Friendship Forged Through Imitation
人間が模倣は最高の賛辞であると思っているとすれば、一部のサルも同様に考えていると思
われる。新しい研究では、オマキザル(capuchin monkey)も模倣で友情のお返しをしている
ことがよくあると研究者らは報告している。極めて社会性の高い霊長類種であるオマキザル
を対象とした一連の社会的実験を通して、オマキザルが行動の真似はするもののそれが即座
ではない人よりも、即座に真似る人の方に多大な興味を示すことが判明した。Annika
Paukner らはトークンと食べ物の交換において、オマキザルが、即座に真似をしない人に対
する反応と比較して、即座に真似をする人をより長時間観察し、より長時間その人のそばで
過ごし、より頻繁にその人と交流することを発見した。さらに Paukner らは一連の追跡実験
を通して、実際にオマキザルが興味を示したのは人の模倣行動であり、サルに対する強い親
密感や明白な気配りではないことを再確認した。模倣は長きにわたって人間同士の協調行動
に関係してきたため、また、他人と交流したり、好意や親近感を伝えたりする方法でもある
ため、ヒト以外の霊長類における模倣と友好的な社会行動の関係が判明したことは、模倣が
あらゆる霊長類にとって生産的な社会行動の基本的機構であることを示唆している。関係す
る Perspective 記事では Josep Call と Malinda Carpenter が今回の研究結果をより詳しく説明し
ている。
論文番号 19:"Capuchin Monkeys Display Affiliation Toward Humans Who Imitate Them," by A.
Paukner; S.J. Suomi; P.F. Ferrari at National Institutes of Health Animal Center in Poolesville, MD; A.
Paukner; S.J. Suomi; P.F. Ferrari at National Institute of Child Health and Human Development in
Bethesda, MD; E. Visalberghi at Consiglio Nazionale delle Ricerche Istituto di Scienze e Tecnologie
della Cognizione in Roma, Italy; P.F. Ferrari at Università di Parma in Parma, Italy.
論文番号 7:"Monkeys Like Mimics," by J. Call; M. Carpenter at Max Planck Institute for
Evolutionary Anthropology in Leipzig, Germany.
問合せ先:Josep Call(メール:[email protected]) Dr. Call は英語、スペイン語、カタロニア
語での応対が可能です。Malinda Carpenter(メール:[email protected])
真珠層はどのようにしてあの色艶になるか
Where Mother-of-Pearl Gets its Pearliness
日本の研究チームは、2 つの蛋白質が成長するカキの貝殻の中で交通整理の警察官のように
働くことを発見し、さらに真珠に似た光沢を貝に与える炭酸カルシウムの結晶が一列に並ぶ
ようにした。カキ内部の虹色の「真珠層」は、貝殻の中で成長する真珠と構造的にほぼ同じ
であり、真珠同様に配向したアラゴナイト結晶の層から成る。これらの層は、蛋白質とその
他の有機分子からなる基質の層で分離されている。しかし、これまで真珠層の形成について
はほとんど知られていなかった。鈴木道生らは、酸処理を施すことで日本の真珠貝である
Pinctada fucata(アコヤ貝)の有機基質からアラゴナイトの鉱物を取り除いた。基質からさま
ざまな蛋白質を抽出した後、他の炭酸カルシウム結晶ではなく、合成アラゴナイトに結合す
る唯一の蛋白質である Pif80 を特定した。Pif80 をコードする遺伝子を検討すると、その遺伝
子は Pif80 と Pif97 の 2 つの蛋白質になる前駆蛋白質をコードするものであることがわかっ
た。これら 2 つの蛋白質を含まない貝は、真珠層から成る真珠のようなシートを形成するこ
とができないと鈴木らは報告している。著者らはこの蛋白質が、Pif80 はアラゴナイトに結
合し、Pif97 は基質上の他の分子に結合する複合体を形成するため、きわめて丈夫で美しい
物質の成長を調節していると述べている。
論文番号 21:"An Acidic Matrix Protein, Pif, Is a Key Macromolecule For Nacre Formation," by M.
Suzuki; K. Saruwatari; T. Kogure; Y. Yamamoto; T. Nishimura; T. Kato; H. Nagasawa at University
of Tokyo in Tokyo, Japan.
論文番号 22:"The Molecular Basis of Nacre Formation," by N. Kröger at Georgia Institute of
Technology in Atlanta, GA.
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