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2009年
Marubeni CSR Report 2009 『Marubeni CSR Report 2009』 について Marubeni CSR Report 2009 INDEX 編集方針 『Marubeni CSR Report 2009』 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 本レポートは、丸紅グループの持続可能な社会づくりのためのCSR活動を紹介しています。 社長メッセージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 CSRの考え方や活動事例、 環境会計などを開示し、 ステークホルダーとのコミュニケーションを図る とともに、 広く社会の信頼を得る目的で発行しています。 巻頭の特集では、 近年、 丸紅グループで特に力を入れて推進してきたCSRにかかわるビジネス Chapter や取組みを取り上げています。 また、丸紅グループのCSR活動のレベルアップを目的に、環境 01 ジャーナリストの枝廣淳子氏からご意見をいただきました。 対象読者 丸紅グループにかかわる、 あらゆるステークホルダーを対象読者としています。 Chapter 02 情報開示方針 ホルダーに企業情報を適時、適切に、 わかりやすく開示する方針を定めました。 また、CSR・環境 グローバルな情報開示を心がけています。 Chapter 02 Chapter 03 Chapter 04 CSRの考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 Chapter 05 リスクマネジメント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 Chapter 06 CSRマネジメント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 Chapter 07 食の安全への取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 誰もが活躍できる職場を目指して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 枝廣淳子氏インタビュー 丸紅のCSRとは?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 CSR経営の基盤 コーポレート・ガバナンス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 03 より良い社会のために 04 地球環境への取組み 報告書ガイドラインについて 環境省『環境報告ガイドライン (2007年版)』 を参考に開示項目の過不足チェックを行い、 可能な限 Chapter 気候変動問題への取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 外部からの評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 活動は国境を超えた問題であり、 事業を行う各地域に根差した活動が重要と考え、 本レポートでも、 本レポートの編集にあたり、 GRI 『サステナビリティレポーティング ガイドライン第3版 (G3)』 および 01 特集1 特集2 特集3 特集4 コンプライアンス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 丸紅は、 2008年7月、 情報開示に関する基本方針を制定し、 株主・投資家をはじめとするステーク 丸紅グループの情報開示に関する基本方針については、 50ページをご覧ください。 Chapter Chapter 丸紅グループの社会貢献活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 格差のない社会の実現を目指して ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 環境への取組みの基本姿勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 りの開示を行いました。 GRIガイドライン対照表は、 57∼58ページをご覧ください。 環境への取組み状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 報告期間 環境会計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 環境への取組み検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 環境負荷を低減する丸紅グループのビジネス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 本レポートは、 丸紅グループの2008年度(2008年4月1日∼2009年3月31日) のCSR活動につい て報告しています。 環境パフォーマンスおよび環境会計データ、 財務データなどに関しては当期間 の数値を開示しています。 活動事例の紹介については過去に遡った情報も掲載しています。 Chapter 05 また、 最新の情報をお伝えするために、 2009年4月以降の情報も一部紹介しています。 社員と共に 人に対する基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 社員が働きやすい制度づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 人材育成について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 報告の範囲 本レポートは、 丸紅グループのCSR活動を報告しています。 環境パフォーマンスおよび環境会計 データに関しては、 丸紅東京本社および4支社 (北海道・名古屋・大阪・九州) 1支店 (静岡) の数値 Chapter 06 を開示しています。 財務データについては連結ベースの数値を開示しています。 また、 その他の実績 積極的な情報開示 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 CSRコミュニケーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 IRコミュニケーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 や数値については本文中にその範囲を記載しています。 報告組織の概要 コミュニケーション Chapter 07 経済性報告 2008年度の経営の概況 53 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 55∼56ページをご覧ください。 第三者意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 会社概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 GRIガイドライン対照表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57 1 2 Marubeni CSR Report 2009 社長メッセージ Top Message 2008年、 丸紅は創業150周年を迎えました。先輩 創業150周年を機に、 当社は、 社会貢献活動分野 米国のサブプライム問題に端を発した世界同時 方が脈々とつなぎ、 残してくれた暖簾はとても大きく、 で、 従来、 フィリピン、 ベトナム、 インドネシアで実施して 不況により、 経済は大幅な減速を余儀なくされており 重いということを、 社長就任以来、 私は強く感じてお きた奨学基金を追加拠出により拡充し、新たにカン ますが、 このような困難な状況の中でこそ、 これまで りますが、 時代が変わっても、 丸紅グループの商売の ボジアとラオスでも奨学基金を設立しました。国内で のCSR活動の手法、姿勢など、好調時には見えな 精神は変わりません。昭和初期、丸紅商店時代の は、丸紅基金による毎年総額1億円の社会福祉 かった課題を見つめ直すことで、 なお一層の社会的 専務・古川鉄治郎という先人は、 「自己を利し、他人 助成を34年間継続しています。 責任を果たしたいと考えております。 も利し、 すなわち共存共栄の精神に立ってその営業 環境関連分野でも、世界各地での植林事業の に専念することが商人道の真骨頂である」 との言葉 推進、 バイオエタノール、風力発電などの新エネル 丸紅グループは、 次の150年も 「期待を超えるパート を残しています。 ギー事業、 ユニフォームや古紙のリサイクル事業への ナー」であり続けるために努力し、 次世代に有形・無 取組みなど、 地球環境の保全に努めております。 形の財産を残せるよう、 たゆみないCSR活動を続け 私は、 この言葉こそ丸紅グループの原点と考えて また、商社最大の経営資源である人材に関して てまいります。 おり、 自己のみならず、すべてのステークホルダー は、 労働意欲を高め、 もてる能力を最大限に発揮でき の利益のために、知恵を絞り、汗をかき、足を使い、 るよう、 ワーク・ライフバランスを推進し、 仕事と生活の 地に足をつけ、社会や環境と調和した事業活動を 調和に取組みました。 行うことが、企業の持続的成長につながるものと 信じております。 3 代表取締役社長 4 特集 1 Marubeni CSR Report 2009 気候変動問題への取組み Special Feature 1 排 出 権ビジネスにおける丸 紅 の 役 割 排出権ビジネスのリーディング企業として、 8,000万トンを超えるクレジット調達に目途 第1号現物取引を行ったのをはじめ、 日本政府の委託を 丸紅の排出権ビジネスは、06年の開発案件に遡りま 発機構 (NEDO) 」 実施の排出権取得事業の公募に総合 す。丸紅・日揮・大旺建設の共同出資により06年8月に 商社として唯一採択され、 現在までに684万トンの契約 稼働した巨化公司フロンガス回収・分解事業は、 初めて を結びました。 これは化 日本企業が中国で開始したCDM* 案件です。 さらに最近では、市民が自らの意思でCO2削減に参 学品製造により排出されるHFC23を回収・分解する事 画できるカーボンオフセット* 3商品へのニーズが高まっ 業で、 HFC23は地球温暖化係数がCO2の1万1,700倍 ていますが、丸紅は、国内のオフセット商品への排出権 に相当するため、削減量は総量で4,000万トン (CO2換 供給も数々行っています。08年は日本郵政の08年カー 算) に上る世界最大級のCDMプロジェクトです。 ボンオフセット年賀状に加え、 5月に開催されたG8環境 この案件を皮切りに、 中国、 韓国、 タイ、 ウクライナなど 大臣会合のオフセットで300トンを韓国ガンウォンの の世界各地で水力発電、炭鉱メタンガス回収、風力発 風力発電事業などから供給しました。 電、製鉄所省エネ、廃液メタンガス回収などさまざまな 丸紅は08年、 日本政府が開始した 「排出量取引の国 プロジェクトを開発し、 質の高い排出権ポートフォリオが 内統合市場の試行的実施」*4に目標設定者として参加 組まれています。 調達予定の排出権は総量で8,000万ト し、 自社のCO 2削減活動に積極的に取組むと同時に、 ン超 (12年までの契約数量ベース) に上り、 プロジェクト 取引参加者として国内統合市場での排出枠の取引にも のタイプ、実施国を分散し、確度の高い排出権の調達に 取組んでいく方針です。 また丸紅は、国内統合市場の 2 ▲ ▲丸紅・日揮・大旺建設の共同出資によるJMD温暖化ガス 削減 (株) がCDM事業を行っている浙江巨化股有限公司。 操業開始以来、順調に運転を続け、 すでに2009年3月まで に累計1,400万トン分のCERが国連から発行されている 韓国最大規模のガンウォン風力発電事業 (2,000kWの 風力発電機49基) 。削減量はCO2換算で年間15万トン 幅広いネットワーク、部門間連携による 確度の高い排出権調達力 丸紅では、 1997年京都で開催された第3回気候変動 部門間連携によって効率的に排出権を調達して、 日本の 需要家に供給し、 評価を得ています。 「丸紅の排出権ビジネスにおける強みは、何といって 成功しています。 枠組条約締約国会議で京都議定書が採択されて以来、 も、総合商社特有のオーガナイザー機能を十二分に活 排出権に関する調査・研究を各営業部門で開始し、 かして、 安定した排出権が見込める確度の高い調達力で 安定調達が見込める優良案件により、 国内外の地球温暖化意識の高まりに呼応 2004年に環境ビジネス委員会を発足させ、 その傘下に す。 これを最大限に活かし、地球温暖化防止と日本の京 このようないち早い取り組みにより、 丸紅は07年9月、 「CO2排出権分科 排出権* ビジネスを専門的に検討する 都議定書の目標達成に貢献していきたいと考えていま 欧州排出権取引市場のひとつEuropean Climate 会」 を設けました。 また、05年には専任者による排出権 す」 (環境ビジネス開発部 野中武司) Exchange(ECX) に日本企業で唯一加盟し (09年3月 1 売買業務を主とする 「排出権ビジネス 達のプロジェクト開発業務を主とする グリーンプロジェクトチームが発足し ました。現在では、金融・物流・情報部 門、プラント・船舶・産業機械部門、 電力・インフラ部門、金属資源部門な プロジェクトの発掘、開発、 承認申請、運用、販売まで を一貫して行う総合商社な らではの排出権ビジネスス キーム。 現在)、08年3月に日本企業として初となる取引を行い プロジェクトFS実施 プロジェクト実施/完工 計画の修正 チーム」 が発足し、 06年には排出権調 丸紅の 排出権ビジネスの 流れ プロジェクトPDD作成 ホスト国承認 日本国承認 プロジェクト運営 /削減量測定 国連CDM理事会認証 CER発行 国連CDM理事会検討 おける幅広いネットワークを活用し、 方法論判定 PDD:Project Design Document CDM:Clean Development Mechanism CER: Certified Emission Reduction ました。 また、 国際間取引のみならず、 日本でも国際協力 銀行(JBIC)などが立ち上げた排出権取引プラット フォームにいち早く参加し、07年11月に日本における NO 事業者の口座へ移転 YES *1:排出権=京都議定書で規定した排出権は、 クリーン開発メカニズム (CDM) 、 排出削減義務のある先進国同士が共同で温室効果ガス削減事業を行う共同 実施(JI)、排出削減義務のある先進国同士が割り当てられた排出枠を売買する国際排出量取引に由来する3種類である。 その他、欧州排出量取引制度での 排出枠 (EUA) や自主的なベースライン、 認証手続きに基づく排出権 (VER) がある。 01 受けた独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開 「国内クレジット制度」 の推進協議会の発起人会社とし て参加し、 国内の削減活動推進にも取組んでいます。 *2:CDM (Clean Development Mechanism) =クリーン開発メカニズ ム事業。 京都議定書の排出削減義務がある先進国が、 削減義務のない国で 削減・吸収した温室効果ガスを一定のルールのもと、 自らの削減実績として 排出枠として獲得する仕組み。 *3:カーボンオフセット=地球温暖化防止のため、省エネなどにより温室 効果ガス削減の努力をしたうえで、残る排出量を他の場所での削減事業に より、 相殺 (オフセット) する仕組み。 *4: 「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」 =2008年10月に日本政 府より発表されたもので、各企業が自主削減目標を設定し、 目標達成のために 排出枠・クレジットを取引する 「試行排出量取引スキーム」、大企業が中小企業 に対し、資金・技術を提供して、削減活動を行い、 その削減量をクレジットとする 「国内クレジット制度」、京都議定書に基づく 「京都クレジット」 の3スキームを統 合した排出量取引市場が、試行的に実施されている。 排出権活用の高まりとカーボンオフセットへの期待 「国内CO2排出量」 百万tCO2 ど排出権ビジネスに携わる関係者は 海外も含め30名超体制で、各産業に 環境ビジネス開発部 排出権ビジネスチーム 野中武司 特集1 気候変動問題への取組み 京都議定書第一約束期間が始まった2008年、 京都議定書第 約束期間が始まった2008年、気候変動問題への関心は世界的に高まりを見せています。 08年3月、丸紅は欧州排出権取引市場(ECX)で日本企業として初となる取引を行うなど、日本の排出権 ビジネスをリードしています。排出権調達予定数量8,000万トン超(12年 (12年までの契約数量ベース) (12年まで までの契約数量ベース) の契約数量ベース)を有し、 日本の京都議定書目標達成に貢献していきます。 Chapter グループ総合力とネットワークを活かし、 日本 の排出権ビジネスをリード。 質の高い排出権ビジネスを展開し、 地球温 暖化防止に貢献します。 日本の京都議定書目標達成には排出権活用が必要不可欠。 産業界だけでなく、一般市民もカーボンオフセット 京都議定書において、 日本は2012年までの5年間に、1990年比6%の温室効果ガ スの削減義務を負っています。 しかし、07年の排出量実績は逆に90年比9.0%の増加 にあり、合計で15.0%を削減する必要があります。 京都議定書目標達成のため日本国政府が現在調達を予定している排出権は1億 トンですが、現状を見ると日本全体で、 さらにこれ以上の量が必要と予測されます。丸紅 は、国や産業界への排出権供給のみならず、個人のカーボンオフセットへの排出権供 給も行い、 日本の京都議定書目標達成に寄与していきます。 1,374 1,360 1,340 (+9.0%) (+7.8%) 1,261 (+6.2%) 1,186 (6%) 1990年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 ※2008年の排出権・オフセット関連の取組み詳細については、 P38∼39をご覧ください。 5 6 特集 2 Marubeni CSR Report 2009 食の安全への取組み Special Feature 2 食 料サプライチェーンにおける丸 紅 の 役 割 ナー(食品表示とコンプライアンス、輸入食品の安全性 れ実行可能な安全対策を行っていく必要があります。 総 確保についてなど)」 を年2回開催し、部門、 グループ会 合商社である丸紅は、 特に海外から輸入する農産物・加 社および取引先向けの講習会を実施しています。 工食品の安全に関する情報収集や安全確認を行ってお このような組織・教育体制に加え、 食の安全確保のた り、商品特性やリスクによっては、社員自らもしくは外部 めの技術面についても体制を整備しました。 まず、食に 専門家による現地取引先での調査も実施しています。 こ かかわる一人ひとりが小さなリスクに気づき、適切に対 のような取組みは、 今では取引先の理解も得られ、 「食の 応することで食の安全が守られることから、従業員が食 安全」 に対する意識は海外の取引先にも広がっています。 の安全に関して少しでも気になる点があれば気軽 に専門家に相談できるよう、 食品衛生・品質管理・ 食品検査についての外部専門機関のスタッフを社 内に常駐させ、 日々営業部からの相談に対応する ようにしています。 また、 残留農薬に関しては、 外部 専門家に相談し、 日本の食品衛生法適合のため の安全確認を行っています。 さらに、 コンプライア 営業部、 海外店、 外部専門家、 食料コンプライアンスチームによる海外取引先の農場調査風景 2002年4月、社長直轄の 「コンプライアンス委員会」を発足し、全社的活動の 一環として食料コンプライアンス体制を構築 談)」 を部門内およびグループ内で徹底し、部門コ るような問題を起こさないための体制づくりが急務とな ンプライアンスオフィサーへ速やかに報告する基 りました」 (食料コンプライアンスチーム長 小西秀和) 本動作の徹底を日々実践しています。 食の安全確保を目指した丸紅の主な取組み 2002年 食料部門コンプライアンス・マニュアル策定 食料部門グループ会社によるコンプライアンス連絡会(以降27回開催) 食料部門コンプライアンス研修(以降35回開催) 食品表示セミナー(以降14回開催) 輸入農産物についてトレーサビリティー体制の構築 輸入農産物トレーサビリティー・シートによる管理開始 製造工場・製造委託工場立ち入り調査 2003年 残留農薬セミナー(以降26回開催) 2004年 食品衛生法セミナー(計6回開催) 食料部門コンプライアンス・ルール手続きガイドブック策定 2006年 食品衛生法・飼料安全法違反等事故発生報告ルール策定 2007年 営業部別食品表示セミナー∼基礎編∼ (計11回開催) 食料部門問題品処分ルール・製品回収ルール策定 2008年 食料部門工場調査・指導ガイドライン策定 (製造・加工工場における食の安全確保について) 輸入加工食品の自主管理に関する方針(ガイドライン)策定 02年4月、 社内に社長直轄のコンプライアンス委員会 「食の安全」 の確保は、 丸紅のみで成し得るわけ 2003年5月、食品の安全性の確保は 「国民の健康保 が設置され、 部門コンプライアンスオフィサーが任命され ではなく、 フードチェーンにおける各企業がそれぞ 護が最も重要である」 という基本的認識のもとになされ ました。 食料部門コンプライアンスオフィサーは、 全社的 るべきであるとして 「食品安全基本法」 が制定されまし コンプライアンス活動の一環として、 また、食料部門グ 丸紅グループ 開発で、 フードチェーンの川上から 会社の声 「魚歴」 た。 この背景には、2000年前後から相次いだ集団食中 ループのコンプライアンス体制を統括する責任者として、 食の安全確保を推進しています。 毒、 BSE問題、 残留農薬問題、 産地偽装表示など食の安 コンプライアンス体制を構築しました。 全を脅かす事件による消費者の不安の高まりがありま 日清丸紅飼料(株)*1では、畜水産物のトレーサビリティーを推進していま す。 2008年3月、養殖魚トレーサビリティーシステム 「魚歴」 を開発しました。 ています。 「魚歴」 は鰻や真鯛などのあらゆる養殖魚について、 種苗の種類、飼 の安全」 の確保のための体制づくりを始めました。 フードチェーンに潜む小さなリスクを 見逃さないよう、食の安全に関する講習会の 開催と外部専門家による調査を実施 「02年に当社でも中国産冷凍ほうれん草の残留農薬 食料部門では02年10月に部門コンプライアンス・マ し、規格取得に役立てていただいています。魚を仕入れた流通業者はWebで 問題で社告回収を行ったり、 グループ会社で産地偽装事 ニュアルを整備し、 全部門員および部門傘下のグループ 生産履歴にアクセスできるので、産地証明書の発行や消費者への情報公開 件が発生し、 取引先、 消費者の方々に多大なご迷惑をお 会社を対象に説明会を行いました。 その後も年2回、食 を迅速に行うことができ、生産者から消費者までのスムーズな情報開示の仕 かけしました。 問題発生の原因には、 社内およびグループ 料部門に新たに配属された者すべてを対象に部門内研 会社の一部における法令遵守のための管理体制や教育 修を実施しています。 体制の不備、 法令遵守優先の意識の欠如、 理解不足など グループ会社に対しては、食料部門グループコンプラ があったと重く受け止めています。 そのような経緯から、 イアンス連絡会を設置して、 4半期ごとに情報の共有化 丸紅グループでは、 取引先や消費者の方々に不安を与え を図っています。 また「食品関連コンプライアンスセミ した。 丸紅グループも決して例外ではなく、 食料ビジネス を幅広く展開する総合商社としての役割を認識し、 「食 7 ンスに関する「ほう・れん・そう (報告・連絡・相 01 特集2 食の安全への取組み 飼料穀物から生鮮食品、加工食品まで世界各国のさまざまな食品関連の商材を扱う丸紅。 「食の安全」の分野で総合商社に期待される役割を認識し、 期待を超えるパートナーとなれるよう「食の安全」の確保と「食の安心」の提供を目指しています。 食料総括部 食料コンプライアンスチーム長 小西秀和 Chapter フードチェーンにおける総合商社の責任を 果たすため、 食の安全を確保する体制づくりを進めてい ます。 産地偽装問題などの影響で、市場では生産履歴が明確な水産品が求められ 料給餌情報、投薬などの詳しい生産履歴情報をWeb上で管理・公表するシ 日清丸紅飼料(株) ステムで、生産情報公表JAS規格*2対応ソフトとして多くの養殖業者に導入 (左から)総務人事広報部 加藤達之 企画推進部 布田美樹子 水産業務部兼品質保証部 白鳥 勝 組みが構築できます。 今後も、丸紅グループ企業として、真の意味で食の安全確保につながる商 品開発や取組みを進め、業界に広げてまいります。 「魚歴」 の Web画面 *1:日清丸紅飼料(株) =丸紅グループ会社。本社東京都。主な事業は畜水産用配合飼料の製造・販売、高能力種豚事業、畜水産物事業、家畜診療業務ほか、 「豚歴」 「牛歴」 「魚歴」などのシステムソフト開発・販売。 *2:生産情報公表JAS規格=食品の生産情報を消費者に正確に伝えていることを第三者機関である登録認定機関が認定するもの。養殖魚のほかに牛肉、 豚肉、農産物、加工食品(豆腐、こんにゃく)について制定。 8 特集 3 Marubeni CSR Report 2009 誰もが活躍できる職場を目指して Special Feature 3 ワーク・ライフバランスに関する取 組 み 支援ハンドブック』 を配布したほか、制度利用者・上長・ 人事による3者面談を開始するなど、 理解促進のための 一歩踏み込んだ取組みを行っています。 「制度は作っただけでよしというものではありませ また、 09年4月には人事部内に 「ダイバーシティ・マネ ん。制度の定着・浸透における大きな課題は、 当事者は ジメントチーム」 を新設し、多様な社員が個々人の違い 制度に関心があるのに、上司を含めた周囲はそれほど や多様な価値観を活かしながら、今まで以上に活躍で 関心がないため、職場全体の認知や受け入れ態勢が きる職場づくりを進めています。 なかなか進まないという問題です。正しい理解のもとで 「これまでのワーク・ライフバランスへの取組みは、多 スムーズに制度が利用できる環境づくりが重要です」 様な社員がその能力を遺憾なく発揮するための重要な (人事部 武村良平) 基盤ともいえるでしょう。 ダイバーシティ・マネジメント 06年にはイントラネットに 「ワーク・ライフバランス推 を強化し、 社員と組織のパフォーマンスの最大化を目指 進コーナー」 を開設、08年には、制度の概要や制度利 していきます」 (武村) 用者に対する成果評価の考え方をまとめた 『出産・育児 丸紅の職場改革はまだまだ続きます。 社員の声 01 特集3 誰もが活躍できる職場を目指して 丸紅の競争力の源泉は「人」。 社員が安心して、やりがいや誇りをもって働く やりがいや誇りを って働くことができる職場環境を目指し、 2006年度からワーク・ライフバランスにかかわる制度の見直しや意識改革に取組んでいます。 ライフバランスにかかわる制度の見直しや意識改革に取組んでいます。 ライフバランスにかか わる制度の見直しや意識改革に取組んでいます。 目指すは「多様性を活かした強い組織の実現」 その礎として、ワーク・ライフバランスの さらなる推進を図る 人事部 企画課 武村良平 Chapter 企業に持続可能な成長をもたらす職場環境とは? 人事、組合、社員が一体となって、 ワーク・ライフバランスを推進しています。 育児休業は満2歳まで、 出産立ち会いのための休暇取得も増えています。 人事部 ダイバーシティ ・マネジメントチーム 許斐理恵 2008年10月に1年5カ月の出産休暇・育児休業から職場復帰し、 現在は、 自らの経験 を活かしながら、人事部の立場でワーク・ライフバランスにかかわる制度の整備・運用を 担当しています。 復帰当初は上司からも 「最初からあまり突っ走るなよ」 と声をかけてもら い、 短時間勤務を活用しながらスムーズに両立生活をスタートすることができました。 丸紅における ワーク・ライフバランスの課題とは? 社員の提言をもとに改革に取組む その第一歩として、職場で活躍する女性の増加を背 当社にとってワーク・ライフバランスの推進は、 社員皆の 「働き方の見直し」 であり、 女性 景に、2005年に女性総合職によるタスクフォースを結 だけにフォーカスした取組みではありません。 今後は、 性別、 国籍などにかかわらず、社員 成し、 男女問わず活躍できる職場環境の実現のための 一人ひとりがそれぞれの個性や能力を十分に発揮して、 より一層成果を生み出しやすい職 丸紅では、 ワーク・ライフバランスの推進は、 社員の働 議論がなされました。06年6月には、 タスクフォースの く環境への満足度と仕事への意欲を同時に高め、 中長期 提言を盛り込む形で育児・介護支援や時間外労働短 的視点で競争力強化につながるとの認識のもと、 業界で 縮を目指した多くの施策を導入し、その後も制度の浸 もいち早く制度の整備に向けた取組みを始めました。 透や理解促進のための取組みを続けています。 場を目指し、 その基盤としてのワーク・ライフバランスの推進に努めていきたいと思います。 従業員 組合より 労使が力を合わせ、 制度を利用しやすい環境の実現を目指しています。 従業員組合委員長 森田正男 2006年に当社は、商社業界では先頭を切って育児・介護休業制度を拡充し、 それか 丸紅のワーク・ライフバランスに関する主な取組み ら2年以上が経過しました。従業員組合は 「制度を実効性あるものとするには利用しや すい環境づくりが重要」 と考え、07年、会社と組合によるワーク・ライフバランス推進委 ●育児休業制度の見直し (期間延長など) ●ノー残業デー「水っちオフデー」導入 員会を発足。座談会やアンケートで組合員の声を収集し、現場の実態を会社に伝えてき ●育児時間・介護時間の拡大(1日90分→120分) ●イントラネット「ワーク・ライフバランス推進コーナー」開設 ました。 08年8月には人事部員と組合員によるワーク・ライフバランス推進タスクフォース ●育児・介護に重点を置いた会員制福利厚生サービス加入 ●時間外勤務に関する各部署への指導の実施 ●育児・介護休業中の上長とのコミュニケーション強化 ●『出産・育児支援ハンドブック』発行 ●ファミリーサポート休暇導入 ●「出産・育児支援面談」導入 ●配偶者転勤休業制度導入 9 を設置し、会社と組合が立場を超えて約半年にわたり議論を重ねてきました。労使が同 じ方向を向いて協業したことで、 スピード感をもって、実現性の高いアイデアが生まれ たと考えており、今後もそのアイデアの実現に向け協議していく予定です。 ワーク・ライフバランスの推進は、 従業員のモチベーションとロイヤリティを高め、 中長期的に丸紅を強くする活動で す。 今後も積極的に推進したいと思います。 10 特集4 Marubeni CSR Report 2009 枝廣淳子氏インタビュー Special Feature 4 総合商社の得意分野を活かし、 CSR視点の新ビジネスの創出を 丸紅のCSRとは? あります。世界的な流通企業として、かかわるさまざま なサプライチェーンにCSR調達基準を定めたことに 01 今、世界で注目される企業のひとつにウォルマートが 特集4 枝廣淳子氏インタビュー 企業の社会的責任への意識が高まる中、丸紅は2004年にCSR委員会(現CSR・環境委員会) を設置し、 社是「正・新・和」の精神と経営理念、丸紅行動憲章に則り、CSRの基盤づくりを行ってきました。 2009年2月、丸紅のCSR経営をさらに一歩進めるため、環境ジャーナリストの枝廣淳子氏をお招きし、 「持続可能な社会づくりのために丸紅ができること」をテーマにお話をいただきました。 Chapter 持続可能な社会づくりのために丸紅ができること。 ̶̶ 丸紅が取組むべきCSRとは? よって、 アメリカの底辺でのCSRがずいぶん底上げさ れました。 また、 同社が立ち上げた 「ラブ・アース・ジュエ リー」 というブランドは、 ジュエリーの川上に遡って、採 枝廣淳子氏 p ro fi l e 掘から販売までのトレーサビリティーを徹底するため、 環境ジャーナリスト、 翻訳家、 (有) イーズ代表、 (有) チェンジ・エージェント会長、 NGOジャパン・ 商品にシリアルナンバーを付け、 サプライチェーン情報 の人はもっとわからないと思います。 フォー・サステナビリティ (JFS)共同代表、東京大学人工物工学研究センター客員研究員。 を公開しています。 このビジネスが非常に売上を伸ばし 今後、 自分たちの事業、 たとえば、火力発電を再生可 首相の「地球温暖化問題に関する懇談会」 メンバー。 ているのです。 能エネルギーによる発電に代替することで、 どのくらい ウォルマート同様に、丸紅もサプライチェーンに対す ひとつずつ 「見える化」 し のCO2削減効果があるのか、 る影響力をもっています。 その第一歩として行われたの たらよいのではないでしょうか? それは単に環境コ とあの事業をつなぐと環境負荷を大きく減らせるなど、 が2008年10月制定の「サプライチェーンにおける ミュニケーションのためではなく、事業の社内的な位 つながりと相乗効果を活かすことによって、非常に大き CSR基本方針」 ですね。 こうした取組みは、経営のリス 置づけもはっきりさせます。特にエネルギー、食料、植 な成果が期待できます。 それが他業種にはないところだ クマネジメントという意味でも重要ですし、 ぜひこの方 林などの事業が社会に対して生み出している価値を ̶̶ 社会における総合商社の役割とは? と思います。 針をパートナー企業にも広めていただきたいですね。 「見える化」 し、公開していくべきですね。そうすると丸 枝廣氏(以下、 お名前略) 要するに、 総合商社のCSR活動は、 複雑で手をつけに また、丸紅もすでに食料部門などでトレーサビリ 紅ファンがますます増えると思います。 丸紅を含め、総合商社のビジネスは、近い将来に枯 くいけれど、 やり始めるとその効果が大変大きいのです。 ティーを強化しておられますが、 このような取組みを活 ̶̶ 世界的な不況下でのCSRとは? 東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。講演、執筆、翻訳などの活動を通じて「伝え ること、 つなげること」でうねりを広げつつ、 行動変容と広げるしくみづくりを研究。 総合商社のCSR活動は社会に対する 効果と影響力が大きい 社会とのかかわりをあらためて見直し、 もっと開かれた丸紅に かしてCSR視点の新しいビジネスを多く生み出していた 昨年から続く経済危機は、長期化することが予測さ だきたいです。 川上まで遡ったトレーサビリティーは非常 れています。 に手間のかかることです。 しかし、 市場のニーズが急速に 世界のトップ企業でさえも、 事業活動において利益を ています。 ̶̶ 最近の企業のCSRに変化を感じることは? 変わりつつある今、 ビジネスの創出を得意とする丸紅と 生み出すことが困難な状況になりつつあります。 このよ そして、 これには2つの意味があります。 つまり、丸紅 企業のCSRも近年急速に変化しています。経営会議 すれば、 当然取組むべき課題だと思います。 うに経済環境が厳しいからといっても、 企業が社会に対 が社会のためにできることはたくさんあるということ。 の中にCSRや環境といった要素が当たり前に組み込ま 逆に、丸紅が何も行動をしなかった場合、社会から厳し れるようになっています。間もなくCO2に値段がつく時 い視線を浴びるだろう、 ということです。 代が来ますが、そういう時代に対応できる企業に変え ̶̶ 総合商社におけるCSRの特徴とは? ようという動きがあります。 これからの時代、社会や環 ̶̶ 本業におけるCSR推進のポイントは? 今こそそれを考えるべきです。 さまざまなステークホル 総合商社は、扱う製品が限定されるメーカーなどと 境とのかかわり方をよく考えていかなければ、企業は存 環境関連では、排出権取引や再生可能エネルギー ダーと共存・共栄する社会をつくるためには、 お金をか 違い、 さまざまな事業分野をもち、 サプライチェーンの 続不可能なのです。 事業、植林事業など、幅広い事業がどのように地球に けることだけがCSR活動ではないことを十分認識し、 あらゆる側面にかかわっているため、 どこまでが自社の しかし、残念なことに、丸紅に限らず総合商社は、 影響しているのか、社員の方々も十分には認識してい 頭を使うCSRを今こそ実践するべきだと思いますね。 責任範囲かが見えづらい面があると思います。 トレーサ 一般の市民やNGOなどとのかかわりがきわめて薄く、 ないと思います。丸紅の方々がわからないのだから、外 それが企業の持続可能な成長につながります。 ビリティーを確立するにも、川上から川下までのどこま このままでは、 社会の物の見方と商社の見方のギャップ でを自社の責任範囲とみるか、 そこが非常に複雑で難 が広がってしまうでしょう。 渇が懸念される資源やエネルギー、不足が予想される 食料にかかわっているうえ、調達やインフラの整備など で途上国とも関係が深く、社会的に大きな役割を担っ 11 しいのです。 これは、丸紅にぜひやっていただきたいことのひとつ 丸紅が捉える責任範囲と、社会が丸紅に期待する責 ですが、社是「正・新・和」 の4つ目の文字として、 「開」 と 任範囲が食い違うと、いろいろな問題が起きてくるで いう文字を加えてほしいと思います。近年の企業経営 しょう。 は間違いなくその方向に向かっています。 それは、丸紅 しかし、一方で、 あらゆる事業にかかわっているので、 がもっと市民やNGOと接触する機会をもち、社会に開 CSR活動を行えば相乗効果が期待できます。 この事業 かれた存在になっていただきたいという意味です。 事業によって削減したCO2の「見える化」など、 社会への影響を正しく把握するべき して果たすべき責任は何ら変わることはありません。 頭を低くして不況が過ぎ去るのをただ待ち続けるの ではなく、 この状況下でも継続可能なCSR活動は何か、 枝廣淳子先生からのメッセージを受けて CSR・環境委員会委員長 代表取締役 常務執行役員 國分文也 このたびは、丸紅グループのCSRについて、大変貴重なご意見・ご提言を頂き、 ありがとうございます。 丸紅グループでは、従来より世界各地においてCSR活動に取組んでおり、 現在も中期経営計画 SG2009 の重点施策として 「CSR・環境の 重視」 を掲げ、 CSR・環境の視点を組み込んだ経営を推進しております。 丸紅グループの活動領域はグローバルで、 ステークホルダーも多岐にわたっていることから、 そのCSR活動が社会に与える影響が大きい と同時に、取組み方は複雑で難しい面があります。 そうした中で、 枝廣先生から貴重なご提言を頂きましたので、 今後も市民やNGOを含めたさまざまな方々のご意見・ご要望に真摯に耳を傾け、 我々に対する社会の期待が何かを見つめることで、 社会に対し、 より開かれた存在となり、 持続的に成長する企業グループを目指していきます。 12 Marubeni CSR Report 2009 Chapter 02 CSR経営の基盤 ステークホルダーと共に進めるCSR CSRの考え方 考えや行動のみで実現するものではありません。 ステー 企業となるためには、利潤を生み出す経済活動のみな クホルダーの意見に常に耳を傾け、共に考え、実践して らず、社会、環境を加えた3つの領域での価値・評価の いくことが不可欠と考えています。 バランスをとる努力を行っていく必要があります。 それ 丸紅では、以下に示すさまざまなステークホルダー がCSR経営であると考えています。 の利益・満足を追求し、信頼を得ることにより、安定し 委員会) を設置し、 さまざまな分野でCSR活動の強化 丸紅グループは、高い倫理観をもつ企業集団として た持続的なグループ企業基盤を構築しています。 果たすには、 グループ経営の根幹を成す 「正・新・和」 の に取組んできました。 CSR経営を推進することで、すべてのステークホル なお、 いずれのステークホルダーも重要であり、優先 精神に則り、 グループ社員一人ひとりが高いCSR意識 中期経営計画 SG2009(08∼09年度) では、重点 ダーから信頼される存在となることを目指しています。 順位を付すという考えはありません。 をもって企業活動に携わる必要があります。 また、CSR 施策のひとつに 「CSR・環境の重視」 を掲げ、 「社是の実 しかし、丸紅グループのCSR経営は、 グループ社員の 活動に真剣に取組み、社会や環境と共生・共存できる 践と、 コンプライアンス、社会貢献、環境に対する高い 健全な経営を目指すことで、丸紅グループがより良き企 意識の醸成」 に取組んでいます。 業市民として社会に認知され、持続的な成長を実現で 具体的な活動においては、特に次の分野に力を入れ きると考えています。 ています。 丸紅では、2004年4月にCSR委員会(現CSR・環境 取引先 株主 社員 公正・透明な取引を推進し、取引先から信 頼される企業を目指します。また、顧客の ニーズを踏まえ、新商品・サービスなどを創 出すべく、取引先との連携を強化します。 事業環境の変化に対応し安定的な収益 の確保に努める一方、 環境・社会的側面も 重視した企業価値の向上に努め、株主の 期待に応えます。また、企業情報を積極 的かつ公正に開示します。 社員一人ひとりの価値観・人生設計を尊 重します。また、あらゆる差別を撤廃し、 誰もが快適に働ける職場環境を整備し ます。 ● 経営の透明性を確保するためのコーポレート・ガバナンス、内部統制の強化 02 CSR経営の基盤 丸紅グループが社会を構成する一員としての責務を Chapter 丸紅グループの考えるCSR 社会・環境と共存・共栄し、持続的な成長を実現する ● 健全な企業経営に欠かせないコンプライアンス、人権の尊重 ● 総合商社最大の財産である「人」の育成、職場環境の整備 顧客 ● 良き企業市民としての社会貢献の推進と、地球環境保全への寄与 ● 適正な企業経営の推進による企業価値の増大 丸紅グループの経営理念と指針 正 高い倫理観を持ち、 高潔かつ公正な企業活動を行います。 社是 新 たゆまぬ自己変革を図り、 飛躍に向けて挑戦します。 和 社会・環境との共生など、 ステークホルダーと調和した企業活動を行います。 経営理念 取引先 株主 社員 地域社会 NGO・NPO 持続的な発展 顧客 地域社会/NGO・NPO 顧客のニーズに基づき、安全性に十分配 慮のうえ、社会的に有用な商品・サービス を開発・提供します。また、誠実な対応を 通じて、満足度の向上、信頼の獲得に常 時取組みます。 丸紅は社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の 発展、 地球環境の保全に貢献する、 誇りある企業グループを目指します。 地域社会の一員として共生を図り、豊か な地域社会創造に貢献します。海外にお いては、地域の文化・慣習を尊重し、現地 の発展に貢献する経営に努めます。また、 社会の秩序や安全に脅威を与える反社 会的勢力および団体には、断固とした態 度で臨みます。 共存 社会 公正 1.公正、 透明な企業活動の徹底 丸紅 2. グローバル・ネットワーク企業としての発展 行動憲章 3.新しい価値の創造 4.個性の尊重と独創性の発揮 5. コーポレート ・ガバナンスの推進 法・規 制・文 化・ 慣 習・倫 理 環境 3つの要素の バランスをとった 持続可能な成長戦略 経済 6.社会貢献や地球環境への積極的な関与 均衡 13 14 Chapter 02 Marubeni CSR Report 2009 CSR経営の基盤 コーポレート ・ガバナンス リスクマネジメント コーポレート・ガバナンス体制 リスクマネジメントの考え方 丸紅グループは広範囲にわたる事業活動から、 ミク 定性リスクについては、内部統制システムの整備、 お 念」 「丸紅行動憲章」 などの基本精神のもと、 グループ全 の経営上の意思決定、執行および監督に係る経営管理 ロ・マクロ、 定性・定量の多面的なリスク管理を行ってい よびコンプライアンス体制の強化を通じて未然に防止 体の経営の透明性と効率性を高め、企業価値の増大を 組織を下図のように定めています。 ます。 マクロの視点からは、 定量的手法としての統合リス する体制を整えています。 また、 貿易コンプライアンスに ク管理を推進しており、 ミクロの視点からは、 案件ごとの ついては、 貿易管理部を設置し牽制機能の強化と実務 シナリオ分析の義務づけ、定量基準の厳守、 モニタリン 機能の充実を図っています。 図ることを目的としています。 コーポレート・ガバナンス体制図 02 CSR経営の基盤 丸紅は、 会社法に基づく監査役設置会社であり、 会社 Chapter 丸紅のコーポレート・ガバナンスは、 「社是」 「経営理 グ制度など、 個別案件への対応を強化しています。 株主総会 選任・解任 選任・解任 取締役会 監査 取締役 丸紅グループのリスクマネジメント 選任・解任 定性 監査役会 監査役 13名(うち社外取締役2名) 監査役室 内部統制/コンプライアンス 4名(うち社外監査役2名) 新規投融資案件精査方法の厳密化 通関管理 会計監査人 選任・解任・監督 業務遂行における 定性リスク管理の深化 案件のフォローアップ体制強化 安全保障貿易管理 会計監査 与信管理 会計監査 コーポレート・ ガバナンス マクロ 営業部門 コンプライアンス委員会 コーポレートスタッフ部門 役員処遇委員会 国内・海外事業所 CSR・環境委員会 部門長会 内部統制委員会 執行役員会 開示委員会 内部監査 投融資委員会 監査部 社長 経営会議 ミクロ リスクアセット PATRAC グループ全体でのエクスポージャー管理 社内格付け カントリーリスク管理 統合リスク管理の継続強化 市場リスク管理 (連係) 定量 (業務執行体制) 取締役会と社外取締役、監査役 リスク管理体制の整備 経営に重要な影響を及ぼすリスクの管理について がフォローし、重要案件については投融資委員会およ は、 下図のような体制で取組んでいます。 び取締役会に対して定期的に現状報告が行われてい 重要な投融資などの個別案件については、稟議制度 ます。 さらに、全社的なリスクの分散という観点から、 社外取締役・小倉利之、同・石川重明、社外監査役・喜田理、同・工藤博司は、当社との間に人的関係、資本的関係、 または取引関 に基づいて投融資委員会での審議の後、経営会議に付 ポートフォリオ管理を行っています。 係その他の利害関係はありません。 議され、社長が決裁を行います。実施後は、主管営業部 取締役会は取締役13名で構成され、経営方針その他の重要事項を決定するとともに、取締役、執行役員の職務執行を監督し ています。取締役の任期は1年で、取締役会の実効性と経営の透明性を高めるために、2005年度からはうち2名を社外取締役 としています。監査役会は監査役4名、 うち社外監査役2名で構成されています。 リスク管理体制模式図 取締役会、監査役会の開催 (意思決定) 取締役会は、08年度に20回開催され、 すべての取締役会に社外取締役が出席しています。監査役会については8回開催しま したが、 すべての監査役会に社外監査役が出席しています。 意思決定 取締役会 都度報告 会社法・定款規程案件・ 重要案件付議 役員報酬 08年度の取締役16名 (2008年6月に退任した取締役3名含む) に対する報酬は881百万円で、 監査役4名に対する報酬は 103百万円です。なお、金銭以外の役員報酬は支払われていません。 15 取締役社長 審議 経営会議 重要案件付議 投融資委員会 定期報告 (重要案件) 稟議申請 営業部門 ポートフォリオ・ ユニット (個別案件) 16 Chapter 02 Marubeni CSR Report 2009 CSR経営の基盤 内部統制 内部統制の目的は、 業務を効率的に行うこと、 ステー 基本方針を整備しています。社会の変化に対応した、 よ クホルダーに会社の業績を報告するための決算が正し り適正かつ効率的な体制の実現を目指し、2008年4 くつくられること、法令を遵守すること、 などが挙げられ 月、 内部統制の基本方針を見直し、新たに以下4項目を ます。丸紅グループでは、 これらの目的を踏まえ、社内の 加えました。 を内部統制と定義しています。 グループの業務の適正を確保するための体制に関する 用・管理体制、想定災害、事前対策、初期対応、復旧対応など、災害時の対応ポイントとフローが明記されています。今後は、 この 1. 反社会的勢力との関係遮断 2. 情報流出防止体制の整備 3. 事業継続計画(BCP)の策定 4. 内部統制委員会・開示委員会の設置 計画をもとに、ITインフラの整備、社内啓蒙、 グループ会社へのBCP策定の推進を行っていきます。 02 BCP管理体制の全体像 CSR経営の基盤 また、会社法および会社法施行規則に基づき、丸紅 08年度に、 Business Continuity Plan (大規模災害時における事業継続計画) を策定しました。計画には、 丸紅のBCPの運 Chapter 仕組みを整備・運用して、不測の損害を未然に防ぐこと Business Continuity Plan (大規模災害時における事業継続計画) ■BCP推進にあたっては、 全社BCPのみならず、 各営業部門・ユニット、 CS部門*など各組織単位で、 その業務の特性 に応じたBCP構築が必要となります。 http://www.marubeni.co.jp/company/policy/concept.html(丸紅の内部統制の基本方針) ■また、 事業継続に不可欠な主要な経営資源・インフラの整備・運用体制構築が肝要です。 財務報告に係る内部統制 内部統制の重要性をいち早く認識した丸紅経営トップの決断により、04年3月、財務報告の信頼性の確保を目的とした通称 全社レベル (全社BCP運用管理責任者) “MARICO PROJECT (MARubeni Internal COntrol System PROJECT) ” がスタートしました。米国SOX法対応の手法 に従って、業務の手続きや流れを「目に見える形」で文書化し、財務報告に関する 「リスクの洗い出し」を実施しました。04年度ま でに文書化を完了し、05年度に「丸紅グループ全体として内部統制は有効に機能している」 との結論に至り、当社グループの内 部統制は完成しました。 重要経営資源・インフラ (CS部門関係部) 全社BCPの策定・運用・ 保守・見直し、社内啓蒙 経営資源・インフラの整備・運用 人的リソース/物的リソース/ ITリソース/財務リソース 金融商品取引法において、08年4月より財務報告に係る内部統制報告制度が上場企業に義務化されましたが、当社はこの動 きに先行して、企業価値の基盤充実を目指し、 自主的に内部統制に取組んできました。丸紅グループの08年度の内部統制報告 書は、09年6月に有価証券報告書と併せて提出予定です。 各営業部門・CS部門単位のBCP策定・運用 各営業部門・CS部門 (各組織BCP管理責任者/ 各営業部門BCP CS部門BCP 各組織BCPワーキングメンバー) 内部統制委員会の設置 08年4月に、 内部統制委員会を設置しました。 これにより、 04年から取組んできた “MARICO PROJECT” と、06年から推進 してきた業務全般に係る内部統制強化の活動(会社法における内部統制の基本方針) がともに基幹業務に組み込まれ、 より高い レベルの包括的な統制強化が図られています。 08年度の委員会では、委員会活動趣旨、会社法・金融商品取引法への対応状況の審議、内部統制委員会規程の制定、中間報 告などを行いました。 →BCP策定単位 *CS部門=コーポレートスタッフ部門 公正な取引 社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を行うことを経営理念としています。また、丸紅グループの『コンプライア ンス・マニュアル』 では、 「独占禁止法および関連諸法の遵守」 「不正競争の禁止」などの項を設けています。 反社会的勢力への対応 社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体に対して断固とした態度で臨み、一切の関係を遮断します。 『コン 社員の声 丸紅の内部統制は、 社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。 リスクマネジメント部 内部統制システム推進チーム長 小林 守 MARICO PROJECT 、内部統制委員会の事務局として約5年にわたり、 グループのあらゆる業務の中に入り込み、業務手続きの文書化をはじめとする います。 情報セキュリティ 丸紅グループでは、01年11月「丸紅情報セキュリ 利用規約」 を定め、 周知徹底を図っています。 告制度は、米国SOX法に倣ったものだけに、社員が不正を犯す隙を徹底的に ティ・ポリシー」 を制定し、情報セキュリティ・リスクを排 これらの取組みはグループ会社でも強化しています。 なくすため、業務の細部にわたっての仕組みの運用と管理を要求するもので 除した安全な事業活動を進めるために、その方針に 丸紅の規程類を参考に、事業特性に合わせたグループ す。 したがって、 それに対応する現場の業務には多大な手間が発生しました。 沿った情報資産に対する保護と安全対策を実施してい 会社独自のルールの策定、 運用を推進しています。 ます。05年1月に、情報資産に対する不正アクセス、紛 さらに、08年度に始まった国の内部統制報告制度に 失、破壊、改竄、漏洩などのリスクに対する対策、 および 対応するため、丸紅と主要グループ会社における統制 れが、見える化・共有化できたため、 業務の効率化などの面では活用が期待できると思います。 情報資産の有効利用と信頼性の保持を目的に「ITセ 強化の基準を位置づける「IT全般統制ガイドライン」 を 丸紅グループでは、常日頃から社長をはじめ経営陣が高潔かつ公正な企業活動を唱えており、社員の中にも遵法 キュリティ管理要領」 「ITセキュリティ標準」 を設け、情 策定するとともに、 その継続的な見直し、改善を実施し 意識が根づいています。今後もこのような社風を活かし、 内部統制のレベルアップに先進的に取組んでいきたいと思い 報セキュリティの重要性を全社に知らしめています。 ま ています。 内部統制の整備を進めてきました。金融商品取引法に定められた内部統制報 タスクにあたった私の率直な感想を言えば、社是「正・新・和」 の精神で業務 にあたる丸紅グループの社員にとっては、 このような性悪説に立った煩雑な手 続きは余分だと感じました。 しかし一方で、 これまで現場で個々に運用していた仕入売上の手続きやリスク管理の流 ます。 17 プライアンス・マニュアル』では、反社会的勢力の影響力の利用の禁止やマネーロンダリングの禁止などについて、細かく定めて た、具体的な運用にあたっては、 「文書等管理細則」 「IT 18 Chapter 02 Marubeni CSR Report 2009 CSR経営の基盤 コンプライアンス 海外グループ会社のコンプライアンス体制 海外でも、各国の法令や商慣習などに応じてコンプライアンス体制を構築しています。主要な海外拠点において07年度のコ コンプライアンスへの取組みの基本姿勢 ンプライアンス行動計画のレビュー・08年度コンプライアンス行動計画の策定を実施したほか、08年度は、 コンプライアンス委 員長/コンプライアンスチーム長が海外拠点およびグループ会社の米国会社、広州会社、上海会社、香港華南会社、北京会社で コンプライアンスとは、法令を遵守することにとどま 08年度は、 全部門・支社・支店のコンプライアンス・オ るものではありません。法令遵守はもとより社会の構成 フィサーが参加するコンプライアンス委員会を2回開催 員である企業市民として、 すべてのステークホルダーの し、 (1)08年度委員会活動計画の承認 (2)部門・支 期待に応え、 その信認を得て社会的責任を全うするこ 社・支店の07年度行動計画レビュー・08年度行動計画 とが、 真のコンプライアンスです。 の報告 (3) 下請代金支払遅延等防止法・建設業法の 05年から、丸紅グループのコンプライアンスを実践していくうえで必要な知識をまとめた「コンプライアンス e-Learning研 丸紅グループは、 コンプライアンスを最優先の経営課 遵守の徹底 (4) 業法の管理体制の徹底 (5) 07年度 修」を実施しています。08年9月末時点では、 グループ82社、 8,415名が受講しています。 題と位置づけ、2002年に、 「コンプライアンス委員会」 監査部監査指摘事項への対応 (6)丸紅グループの また、法令の制定・改廃や経済・社会の動向などを踏まえて、個別のテーマごとのe-Learning研修や集合研修などをタイム 発行を行い、 コンプライアンス体制を強化しました。 リーに実施しています (08年度の代表的研修は次の通り) 。 ●「知的財産権 e-Learning」 (09年3月25日現在、国内勤務者の84%が受講) ました。 ●「下請法 e-Learning」 (09年3月25日現在、国内勤務者の95%が受講) ●「文書等管理 e-Learning」 (08年11月開始) 丸紅グループのコンプライアンス体制組織図 取締役会 02 CSR経営の基盤 コンプライアンス状況アンケート結果報告、 などを行い コンプライアンス教育・研修 Chapter (社長直轄) の設置、 『コンプライアンス・マニュアル』 の コンプライアンス研修を実施し、ナショナル・スタッフ (現地採用社員) を含む合計305名が参加しました。 ●「インサイダー取引規制 e-Learning」 (09年1月開始) ●「廃棄物マネジメントスキルアップセミナー」 (集合研修、08年9月実施、293名出席) 監査役 (集合研修、09年2∼3月実施、1,647名出席) ●「社内外のコンプライアンス違反事例に学ぶセミナー」 コンプライアンス委員会 社長 経営会議 任命 職制ライン (上長) チーフ・コンプライアンス・オフィサー(コンプライアンス委員長) 報告 指示 勇気の扉 部門等コンプライアンス・オフィサー (コンプライアンス委員) 報告・相談 社員 事務局 (法務部) 指導・助言 企業の不祥事は小さな芽のうちに解決することが大切です。何か問題があったときは、 直ちに職制ラインを通じて経営トップに 伝わる体制を整える必要があります。丸紅グループでは、 何でも相談できる風通しの良い職場を目指していますが、 内容によって 各グループ会社 コンプライアンス責任者 コンプライアンス報告・相談窓口 ●外部講師による部門のコンプライアンス推進担当者向けコンプライアンス・ケースメソッド研修 職制ライン (上長) 各グループ会社 社員 社外弁護士 は、職制ラインで報告することが難しいものもあります。 そのため、 「勇気の扉」 という報告・相談窓口を設置し、丸紅グループの全役員・社員が、 コンプライアンス委員会または社外の 職制ラインを通じた相談・報告 何らかの理由で職制ラインが機能しない場合の相談・報告 結果報告 弁護士に直接、相談することができる体制を整えています。報告や相談の秘密は厳守されるとともに、報告・相談したことをもっ て不利益な処遇がなされないことが保証されています。 06年2月からは女性弁護士を1名増やし、 より相談しやすい環境を整備しました。 違反件数 『コンプライアンス・マニュアル』への宣誓 このようにコンプライアンスの徹底に努めた結果、 08年度において、 丸紅グループに関する重大なコンプライアンス違反はあ 丸紅グループでは、 『コンプライアンス・マニュアル』 を国内の全グループ員に配信するとともに、 りませんでした。 社内の電子媒体であるイントラネット (エクストラネット)、およびホームページにもその内容を公 開しています。さらに毎年、丸紅の全役員・社員がマニュアルの遵守を宣誓することによって、 コン 『製品安全管理マニュアル』 と各部門の取組み プライアンスへの意識を喚起しています。 08年度は『コンプライアンス・マニュアル』第5版発行に伴い、全役員・社員が「コンプライアン 07年度に、丸紅グループが取り扱う製品の安全管理について、部門ごとに 『製品安全管理マニュアル』 を策定し、08年度は各 ス・マニュアルを遵守する」旨の宣誓をしました。09年度においても、法令の制定や時代の流れに 応じて改訂を実施し、 『コンプライアンス・マニュアル』第6版を発行しました。 http://www.marubeni.co.jp/company/policy/compliance.html (『コンプライアンス・マニュアル』) 部門が順次『製品安全管理マニュアル』 に基づく研修を実施し、 多くの社員が参加しました。 『コンプライアンス・マニュアル』 第6版 表紙 ●輸送機部門向けコンプライアンスおよび『製品安全管理マニュアル』研修 ●金融・物流・情報部門向けコンプライアンス研修 国内グループ会社コンプライアンス体制 グループ会社では、それぞれが事業の特性に応じてコンプライアンス体制を構築しています。また、 コンプライアンス委員長が ●プラント・船舶・産業機械部門向け 『製品安全管理マニュアル』研修 業法管理体制の強化 毎年主要なグループ会社を訪問し、 活動報告を受けるとともに、 コンプライアンスの重要性を直接話しかけています。08年度は、 19 国内グループ会社22社を訪問し、 各社の社長・コンプライアンス責任者・幹部社員らとのコンプライアンス懇談会を実施しました。 めまぐるしく変わる各種業法への対応と管理体制の強化を目的に、08年度は、各部店の「業務上適用を受ける法規制等リス また、 丸紅および国内グループ会社の役員・社員を対象にコンプライアンス活動状況アンケートを実施しました。 ト」のアップデート作業を実施するとともに、 全社的に法令速報システム・法令検索システムを導入しました。 20 Chapter 02 Marubeni CSR Report 2009 CSR経営の基盤 CSRマネジメント 外部からの評価 「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」制定 SRIインデックスへの組入れ/丸紅 差した項目を盛り込んだ 「サプライチェーンにおけるCS 経営の一環として、 取引先を含めたCSRサプライチェー R基本方針」 を制定し、取引先に向け、 その内容と趣旨 ン・マネジメントを目指しています。 への理解と協力を求めています。 (2009年6月現在) FTSE4Good Global Index 丸紅は、 2001年の「FTSE4Good Global Index」創設以来、 継続して組み入れ企業に選ばれ ています。これは英国・Financial Times社とロンドン証券取引所の合弁会社Financial Times 2008年10月、人権尊重や環境保全など、CSRに根 02 CSR経営の基盤 Stock Exchange社が創設した株価指標です。環境持続性への取組み、ステークホルダーとの Chapter 丸紅グループは、 ステークホルダーと共に進めるCSR 関係構築、人権擁護、 サプライチェーン労働基準の保証、贈収賄防止の基準で企業評価し、世界 874社 (うち日本企業は190社) が選定されています。 サプライチェーンにおけるCSR基本方針 Dow Jones Sustainability World Index(DJSI World) 1. 丸紅は、 自らがCSRへの取り組みを強化するに留まらず、 そのサプライチェーンにおけるCSRへの取り組み 丸紅は、2008年9月にDow Jones Sustainability World Indexの組み入れ銘柄企業に選定されています。 これは、Dow Jones社(米国)とSAM (Sustainable Asset Management) グループ(スイス)の提携により、世界 強化をサポートし、 地球環境に配慮した健全で持続可能な社会の構築を目指してまいります。 の大手企業約2,500社の中から、環境、社会、経済の3分野において企 2. 丸紅は、 次項の「サプライチェーンにおけるCSRガイドライン」 を定め、 取引先に対して、 その順守に対する 理解と協力を求め、 取引先と共により実効性の高いCSRを推進してまいります。 業の持続可能性(Sustainability) を評価し、上位10%の株式銘柄を選 定し組み入れた世界的な株価指標です。世界320社(うち日本企業は 36社) が選定されています。 3. サプライチェーンにおけるCSRガイドライン 1) 法令順守 4) 公正取引 モーニングスター社会的責任投資株価指数 ・当該国および取引に係る諸国の関連法令を順守する。 ・公正な取引を行い、 自由な競争を阻害しない。 「モーニングスター社会的責任投資株価指数」(MS-SRI)は、モーニングスター社が国内上 2) 人権尊重 ・贈賄や違法な献金を行わず、 腐敗を防止する。 ・人権を尊重し、 差別・セクシャルハラスメントを行わない。 5) 安全衛生 ・児童労働、 強制労働、 不当な賃金の減額を行わない。 ・職場の安全・衛生を確保し、 労働環境を保全する。 場約3,600社から社会性に優れた企業150社を選定し、その株価を指数化した国内初の社会 的責任投資株価指数です。丸紅は、2003年のインデックス創設以来、継続して組み入れ銘柄 ・労使間協議の実現手段としての従業員の団結権を尊重する。 6) 品質管理 企業に選定されています。 3) 環境保全 ・商品やサービスの品質・安全性を確保する。 ・自然環境を保護する。 7) 情報開示 SAM選出 持続可能性に優れた企業/丸紅 ・環境への負荷を低減し、 汚染を防止する。 ・上記を含め、 会社情報を適宜適切に開示する。 DJSI Worldへの組み入れを分析・選定する世界的な調査・格付会社であるSAM(Sustainable Asset Management)社から、丸紅が持続可能性に優れた企業として、所属する産業セクターで最も評価が 以 上 高い「SAM Sector Leader」、前年度に比べ環境・社会・経済の各分野において取組みがバランスよ く、最も改善をした「SAM Sector Mover」、総合評価で優れている 「SAM Silver Class」の3つ のカテゴリーで選ばれ、 同社の『The Sustainability Yearbook 2009』 に掲載されました。 気候変動:MS調査・業界第2位/丸紅 (株) インテグレックスが行った第1回「気候変動への取組みに関する企業のマネジメント調査」において、丸紅が2位に選ばれ お客様サービス向上と顧客満足度の把握 昭和30年代からマンション分譲事業を行う丸紅・開発建設部門では、 用地取得から 商品企画・開発建設・販売・管理にわたりお客様ニーズにより合致した住宅づくりを目指 し、 さまざまな活動を推進しています。 引き渡し前の内覧会の際にはチェックポイントを 「社会的責任経営の進んだ企業」に選出/丸紅 丸紅は、 (株) 日本総合研究所による社会的責任投資のための企業情報調査「わが国企業のCSR経営の動向調査2008」 (上 場企業1,663社対象) で、 「社会的責任経営の進んだ企業」 として選定されました。 解説した 『内覧会安心ガイドブック』 、 入居後の注意事項をまとめた 『快適安心ノート』 の シンガポール大統領より環境表彰/SPL社 配布もその一環です。 さらに2005年度からはより多くのお客様の声を把握するために、 丸紅グループ会社のSenoko Power Limited (SPL社) は、1996年にシンガポールで初めてガス複合火力発電設備を導入 モデルルーム来場者とご購入者を対象とした顧客満足度調査を行っております。 08年度 するなど、最新の技術・設備を駆使した環境配慮型の電力供給事業を推進してきた実績が認められ、2008年10月にS.R.ナザ はモデルルームご来場者400件、 ご購入者1,400件からアンケートにご回答いただきま ン大統領より環境表彰を受けました。 した。 丸紅ではこれらお客様から寄せられた生の声を真摯に受け止め、 特にご満足いた だけなかった点に焦点を当て、 丸紅不動産販売㈱・丸紅コミュニティ㈱、 ㈱つなぐネット 21 ました。 富士市(静岡県)から感謝状/興亜工業(株) コミュニケーションズなどマンション分譲事業にかかわるグループ会社との連携をもって 丸紅グループ会社の興亜工業(株)は、08年10月、富士市社会福祉協議会より、 「興亜祭」を さらなるサービスの向上を図り、 常に顧客目線の住宅供給を続けてまいります。 通じての長年の地域への福祉・寄付活動に対する感謝状の贈呈を受けました。 22 Marubeni CSR Report 2009 Chapter 03 より良い社会のために 福祉助成基金 丸紅基金 丸紅グループの社会貢献活動 障がい者、難病などに取組む施設・団体への福祉助成基金 丸紅グループ 1974年、丸紅グループは、 「社会と手を携えて歩んで 障がい者が、少しでも 「自立」 に近づけるよう、車両の購 ンスのとれた企業活動が求められています。 この要請に 基金」 はその第一歩といえます。 ここ数年は社員一人ひ いく」 という基本精神に基づき、社会福祉法人丸紅基金 入費や施設の改修、機器や備品の購入などを助成しま 応え、 すべてのステークホルダーの方々から信頼される とりのボランティア活動による社会貢献活動も活発に を設立しました。以来34年間、全国の社会福祉施設・団 した。 また、一昨年度から施行された障害者自立支援法 企業になるために、丸紅ではCSR活動を通じて、社会 行われるようになってきました。 体に毎年総額1億円の助成を継続。 これまでの累積助 への対応において、利用者の活動の場、就労の場の拡 とのより良い共存関係を強化しています。 今後も丸紅では、会社全体、 そして役員・社員一人ひ 成実績は、 1,916件、 34億円となっています。 大、工賃向上のための努力と工夫に取組む施設・団体も 社会貢献の分野に関しては、会社として定めている とりが、 さまざまな活動を通して社会貢献を行ってまい また2009年春には、 丸紅から丸紅基金に対して1.5億 助成対象となりました。 円の出捐金を拠出し、丸紅基金の純資産を過去最高水 また、助成金の原資は、丸紅が拠出した基金の運用 準として、安定的な助成活動を支援しています。 益だけではありません。丸紅グループの役員・社員・退職 丸紅基金では、毎年、春から初夏にかけて助成金の 者が、一口100円(月額)で毎月決まった額を丸紅基金 募集を実施し、秋に全国各地で贈呈式を行っています。 に寄付する 「100円クラブ」 という有志の会があり、 そこ 08年度に社会福祉施設・団体から寄せられた助成申し で集まった募金額と同額を丸紅も 「マッチングギフト」 と 「社会貢献活動基本方針」 に基づき、企業と社会との結 ります。 びつき、特に地域社会でのニーズに応じた貢献に責任 社会貢献活動基本方針 社是「正・新・和」の精神に則り、国際社会における企業市民としての責任を自覚し、 基本理念 積極的な社会貢献活動を行う。 全世界的視野に立ち、 「社会福祉」 「国際交流」 「地域貢献」 「地球環境」 「文化支援」 活動 企業としての社会貢献活動を積極的に推進するとともに、 役 基本方針 の5分野を重点分野とし、 員・社員によるボランティア活動も積極的に支援する。 込みは過去最高の684件。 その中から、厚生労働省、全 して拠出・寄付しています。 この仕組みは14年前から始 国社会福祉協議会の意見も参考にしながら、5名の社 まりましたが、多くの役員・社員・退職者が参加してお 会福祉分野の有識者で構成する選考委員会で慎重な り、08年度の募金額は1,208万円。 マッチングギフトと 選考を行い、評議員会・理事会を経て、74団体への助成 合わせた2,400万円超の丸紅グループ関係者の善意 を決定しました。選考にあたっては、緊急性が高いもの が、 総額1億円の助成額に含まれています。 を優先するほか、先駆的・開拓的な事業案件で、社会 企業と個人の両輪によって支えられている丸紅基金。 福祉の充実・向上に波及効果が期待されるものや、社会 これからも、丸紅グループの社会貢献活動の中心として 福祉事業に従事する人々の環境改善・向上に役立つも 助成活動を続けていきます。 03 より良い社会のために をもって取組んでいます。 30年以上前に設立した 「丸紅 Chapter 現代社会の中で、企業には、環境・社会・経済のバラ のも積極的に選考します。 たとえば、施設で作業をする 具体的活動指針 基本理念・活動基本方針のもと、 次の具体的指針を定め、 丸紅グループ全体で社会貢献活動に取組む。 社会福祉法人丸紅基金への活動支 援を中心に、災害支援等も含め幅広 く活動を展開する。 事業活動における環境への影 響に対する配慮に努めるほか、 環境保全活動全般に対する支 援を積極的に展開する。 社会福祉 分野 国際交流 分野 地球環境 分野 海外での奨学金・寄付金を通じた支 援を中心に、人的交流を含めた国際 社会への貢献活動を展開する。 地域貢献 分野 日頃お世話になっている地域 での振興活動、清掃活動など、 役員・社員によるボランティア 活動を中心に活動を展開する。 助成したホイロ・焼き釜 (写真奥) を活用し、 パンづくりに励 む社会福祉法人そよかぜの会 (福岡県) の皆さん 社会福祉法人ひまわり会 (岩手県) に助成の廃品回収事 業用車両 ホームページに助成先一覧、助成先からの便りなどを掲載しています。 http://www.marubeni.co.jp/kikin/ (丸紅基金) 文化支援 分野 丸紅コレクションを通じた文化的貢 献のほか、各種文化活動に対する支 援も幅広く展開する。 23 役員・社員 ボランティア活動 の支援 各種プログラムの企画・情報提供等 を行うことにより、 社員参加型のボラ ンティア活動を啓蒙・支援するととも に、ボランティア休暇制度等活動に 必要な制度を整備・拡張する。 助成金を拠出するだけでなく役員・社員も足を運ぶ 丸紅基金の贈呈式は、関東地区は丸紅東京本社、関西地区は丸紅大阪支社で 行いますが、その他の地域は役員・社員が全国各地の施設・団体を訪問して行って います。丸紅基金の活動を支える役員・社員が、社会福祉の実際の現場を知り、 さらに支援の輪を広げていくことが大切だと考えるからです。 沖縄県の南風原町共同作業所に丸紅九州 支社長より贈呈 24 Chapter 03 Marubeni CSR Report 2009 より良い社会のために 社員による社会貢献 丸紅創業150周年記念催事 グループ社員参加のボランティア活動 「丸紅コレクション展」 丸紅グループでは、社員一人ひとりが個人参加型の ぎボランティア」 「国際交流キャンプIN箱根」 を実施し、 ボランティア活動を通じて得た体験が、企業として これらのプログラムの参加者は合計108名となりました。 丸紅は、創業150周年を記念して、丸紅および丸紅グ 開催期間中の延べ来 CSR活動を進めていくうえで大切であると考えていま 毎年参加している 「奥多摩間伐ボランティア」 「 荒川ク ループ所蔵の絵画・古代衣裳、図案などのコレクション 場者は約5万7,000名。 す。ボランティア活動を通じて社員の社会貢献への意 リーンエイド」は、雨天のため残念ながら中止となりま 展を開催しました。丸紅グループでは、約600点の絵画 丸紅は、美術館入場料 識向上、ならびに 「良き企業市民」の意識醸成を目指 した。 また、新入社員向けの社会貢献研修として 「視覚 と約400点の古代衣裳、約600点の図案を 「丸紅コレク と同額を拠出し、丸紅基 し、 「ボランティア推進チーム」 により、社員にボランティ 障がい者疑似体験」 「盲導犬を同伴した視覚障がい者 ション」 として保有しており、 これらを次世代に伝えるこ 金へ寄付しました。 アの楽しさを積極的に知ってもらうためのボランティ による講演会」 を実施しました。丸紅グループでは今後 ア・プログラムを展開し、 参加を推進しています。 も、 これらのプログラムを継続していく考えです。 Chapter 03 とにより、芸術・文化に貢献したいと考えています。今回 は、 ボッティチェリの作品の中では日本で唯一所蔵され ていると考えられる 「美しきシモネッタ」 の肖像画をはじ め、主要な作品約80点を一堂に展示しました。 より良い社会のために 2008年度は前年度に引き続き、 「 神田祭お神輿担 丸紅グループ 「丸紅コレクション展」 ∼衣裳から絵画へ美の競演∼ 2008年11月22日∼12月28日 展示会ポスター、 サンドロ・ボッティチェリ 於:損保ジャパン東郷青児美術館 「美しきシモネッタ」 の肖像画 神田祭お神輿担ぎ 第4回国際交流キャンプIN箱根 丸紅グループ 丸紅グループ 毎年5月に行われる東京・神田祭において、丸紅グ 2008年9月6∼7日の2日間、日本に滞在する留学 ループは、恒例となった、 お神輿担ぎのボランティアを行 生に日本文化や日本企業への理解を深めてもらうこと いました。 これは、伝統文化の継承と地域社会への貢献 を目的として、 (財)留学生支援企業協力推進協会の協 を目指した取組みです。 力のもと、 「国際交流キャンプ」 を開催し、留学生36名、 丸紅の支社が主導する地域貢献ボランティア活動も 会が05年から開催する 「美しいまちづくり行動計画」活 2008年5月11日 (日) 当日は、 あいにくの雨模様でし 丸紅グループ社員27名が参加しました。 展開しています。 動の一環である 「クリーンアップ2008」 (安心安全で快 たが、大手町、丸の内企業の有志総勢800名が集まり、 社員ボランティアは、浴衣の着付け、 スイカ割り、流し 大阪支社では、大阪市環境局による恒例行事「クリー 適な街づくりキャンペーン) に、 11名が参加しています。 丸紅グループからは役員・社員81名が参加しました。 そうめんといった日本文化を紹介し、 また留学生からは ンおおさか」 に2008年も参加し、 支社ビル周辺の清掃活 さらに九州支社では、 11月恒例のクリーンアップ活動 近隣の企業の社員と共に夢中で神輿を担ぎ、 「お互い仕 各国の言葉を教えてもらい、お互いの文化への理解を 動を行いました。 丸紅関係者は240名参加しました。 に20名が参加し、支社近辺の舞鶴公園、平和台陸上競 事で頑張ろうという不思議な一体感が生まれた…」 との 深めることができました。 また、 名古屋支社では、 中部経済同友会地域開発委員 技場野球場跡周辺を清掃しました。 国内支社による社会貢献活動 地域クリーンアップ活動 丸紅大阪支社、名古屋支社、九州支社 参加者の声が寄せられています。 名古屋支社のクリーンアップ2008 クリーンおおさか 神田祭のお神輿担ぎ 災害義捐金 国際交流キャンプ参加の留学生と 社員ボランティア活動申込・参加人数の推移(2005∼2008年度) 400名 2005年度 2006年度 2007年度 被災地域への義捐金 2008年度 147名 350名 124名 丸紅 計304名 計337名 300名 250名 150名 計79名 100名 50名 0名 58名 44名 26名 16名 16名 神田 キャンプ 神輿 荒川 神田 キャンプ 間伐 神輿 社員に寄付を呼びかけ、集まった個人義捐金約110万 円を日本赤十字社へ寄付しました。 81名 計150名 47名 丸紅では、災害に見舞われた地域に対し、義捐金によ る支援を行っています。会社による拠出金のほか、役員・ 107名 200名 九州支社のクリーンアップ活動 32名 22名 荒川 20名 新入社員 体験講座 神田 キャンプ 間伐 神輿 39名 27名 21名 荒川 (中止) 43名 新入社員 体験講座 神田 キャンプ 間伐 荒川 神輿 (中止) (中止) 2008年度に行った 実施時期 案件 災害義捐金と拠出額 2008年5月 ミャンマー・サイクロン被害 (単体ベース) 2008年5月 中国・四川省大地震 拠出額 10万米ドル 10万米ドル 2008年6月 岩手・宮城内陸地震 10百万円 2009年2月 豪州ビクトリア州における山火事 9万豪ドル 延べ人数 計870名 *中止の場合は、申込者数 25 26 Chapter 03 Marubeni CSR Report 2009 より良い社会のために 国内外の学生に向けた研修・交流 世界に広がる社会貢献活動 ルーマニア国立大学日本語学科への新聞の寄贈 丸紅 丸紅 丸紅ブカレスト出張所 丸紅は、中国日本商会が2007年から実施している 「走近 丸紅は、2008年8月にフランス・ENA (国立行政学院)からの研 ルーマニアの丸紅ブカレスト出張所では、社員が読み 丸紅ブカレスト出張 日企・感受日本」事業に協力しています。本事業は、会員企業 修生を2名受け入れました。同学院はフランスの政・財・官界のトッ 終わった日本の新聞をブカレスト大学、 ヒぺリオン大学、 所長が日本大使(代 の寄付により、未来の中国を担う中国の大学生を日本に招聘 プを輩出している名門校であり、丸紅とENAとは1981年以来、 こう イオンクレアンガ高校へ届け、学生の皆さんに日本語教 理出席)と共に招待 し、 日本および日本企業に対する理解を深めてもらうことを目 した人材交流を行っています。 材の一部としてご活用いただいています。 ルーマニアの され、丸紅のCSR活 的とする社会貢献事業です。 今回は、東京本社での研修の 大学では、 現代日本に関するゼミや日本語学科の講義が 動に関してのスピー 新聞を活用した日本語授業への訪問 08年末までに4回の訪日団 ほか、東京メトロ総合指令所や 盛んに行われていますが、 この活動への謝意から、 ヒぺリ チを行う機会が設けられました。 また、 ブカレスト大学 派遣が実施され、総勢131名 東京都環境整備公社の見学、丸 オン大学日本語学科の2008年の 「Year End Party」 に、 からは謝辞が寄せられています。 の学生が、日本企業の視察や 紅グループ会社への訪問、都庁 社員との交流のほか、農村視 や関係省庁との面談など、多様 察、京都観光、ホームステイ なプログラムを実施しました。関 新聞をお届けいただき、 誠にありがとうございます。 などを体験しました。丸紅は 西では、大阪支社のほか関西経 2008年より当大学院の日本語教育を本格的に拡充していく動きがあり、頂いた新聞を教材として用い、現代日本について議論・検討 するゼミが実現しました。財政的に厳しい中でも、 こうした授業が実現できるのは角南様のご厚意のお陰です。心より感謝申し上げます。 大阪支社にて時代着物を見学 ブカレスト大学からの声 第1回から継続して企業視察 済連合会や京都丸紅などを訪 問。3週間の研修を経て、丸紅グ ループの活動や、日本の社会、文 ENA研修生同窓会 会社、社員が一体となったMAC社会貢献プログラム 取組んでいます。 化への理解を深めました。 丸紅米国会社 Marubeni America Corporation 左から園部欧州支配人 (当時) 、 07年・08年・85年研修生 Marubeni America Corporation(MAC) では、2006年 生活保護家庭の子供た からMAC社会貢献プログラムを行っています。 このプログラム ちに配布しました。さら の主な活動は3つで、1つ目は、教育、環境、福祉活動や災害支 にMACとMPⅡは寄贈 トルコ・サバンジュ大学からの研修生受け入れ 国内学生の企業訪問を受け入れ 丸紅 丸紅 2008年7月31日から約1カ月間、 トルコ・サバンジュ 丸紅では、 総合商社の仕事や役割に触れ、 社会の仕組 援などを目的にした寄付金の拠出、2つ目は社員個人の寄付に したおもちゃと同額の 「Toy Joy」のイベントにて集まったおもちゃ 財閥傘下のサバンジュ大学より学生2名の研修生を受 みの理解や将来の進路選択に役立ててもらうため、 学生 会社が同額の寄付を付けるマッチングギフト、そして、社員が 1,000ドル以上を寄付しました。 け入れました。 の企業訪問研修を積極的に受け入れています。 有給扱いで地域活動に参加するボランティアプログラムです。 また、災害支援では、 ミャンマー・サイクロン、中国・四川地 今回の研修では、東京本社や大阪・名古屋各支社で 2008年度は、 全国各地から高校生を中心に、 計8校、 08年12月、ニューヨークのイベント 「Toy Joy」にMACと 震、 メキシコ湾岸・ハリケーンアイクなどに拠出を行いました。 の研修のほか、 コマツ大阪工場などの訪問も行いまし 62名の生徒が東京本社を訪れました。 生徒たちは、 「総合 Marubeni Power International, Inc.(MPⅡ)の社員が113 08年度の寄付金およびマッチングギフトの会社拠出は36 た。 日頃は日本の生活や文化の情報が届きにくい中東 商社が取組むべきCSR活動とは」 「会社とは誰のものか」 個のおもちゃを寄贈。イベント当日は多くの希望者から選ばれ 団体に総額18万679ドル、社員による寄付は総額6,382ドル といったテーマを設定 た社員4名がボランティアとして参加し、ニューヨーク中から集 でした。社員ボランティア活動には合計2回、述べ10名が参 に、日本の産 業だけ してのプレゼンテ ー まった何千ものおもちゃの仕分けを手伝い、ホームレス施設や 加しました。 でなく、文化について ションやディスカッショ も理解を深める貴重 ン、 社内のトレーディン な機会を提供するこ グルームの見学などを とができました。 行いました。 から訪 れた 研 修 生 朝田社長と共に 海外におけるその他社会貢献活動 国名&社名 訪問学生の社内見学風景 活動内容 韓国 Sithe Ichon Cogeneration Co., Limited 授産施設協会からの商品購入 フィリピン Lima Land. Inc. 文房具などの贈呈 2008年6月、 地元の子供たちに文房具などを贈呈しました。 インドネシア P.T. Megalopolis Manunggal Industrial Development 学用品などの贈呈 2008年1月、 小中学生5,680人に、 コンピューターやスポーツ用品など を贈呈しました。 PT. Tanjungenim Lestari Pulp & Paper 地域住民の自活力向上支援 農業技術支援のためのパイロットファーム (ドリアンの栽培) を開設しま した。 ガーナ Toyota Ghana Co., Ltd. 交通安全活動の推進 毎年地域の交通安全推進に協力しています。 カナダ Daishowa-Marubeni International Ltd. 生活用水の下水処理に協力 工場の排水処理設備の余力を利用して、地元の生活用水の下水処理に 協力しています。 学校設立・運営支援 2008年度、メカニック(自動車整備工)養成のために4,500ドルの支援を行いました。 実務研修生の受け入れ 2008年度、メカニック(自動車整備工)ら30名の実務研修生を受け入れました。 技術学校・職業訓練プログラムの実施 2008年7月∼12月、 アマパ州で475名に職業訓練を行いました。 チリ大学における奨学金 1993年に奨学基金を設立。2008年度は、4,500ドルの支援を行いました。 実務研修生の受け入れ 2008年度、メカニック(自動車整備工)ら30名の実務研修生を受け入れました。 国内におけるその他社会貢献活動 27 ブカレスト大学教官 平野恵美子氏 (国際交流基金から派遣) より、 丸紅ブカレスト出張所 所長 角南隆史に宛てた謝辞 やホームステイ受け入れなど ホームステイを受け入れた丸紅 に協力し、本事業に積極的に 社員と留学生の交流 浅草を散策 (上) 丸紅空手部の試合を観戦 (下) 03 より良い社会のために フランス国立行政学院からの研修生受け入れ Chapter 中国大学生訪日団のホームステイ受け入れ ハガキ・切手・プリペイドカードの回収 2008年度は、 グループ社員より集まった書き損じハガキを300枚、 未使用切手1,760円分を (財) ケア・インターナショナル ジャパン に、 使用済み切手8.2kg、使用済みプリペイドカード3,200枚を (財) 家族計画国際協力財団 (ジョイセフ) にそれぞれ寄贈しました。 YWCA主催バザーへの寄贈 丸紅は、YWCAが主催し開催された、2008年6月の夏のバザーと、12月のクリスマスバザーに女性用アパレル製品100着を寄贈し ました。 環境絵画コンクールへの協賛 丸紅は毎年、全国小中学校環境教育研究会が主催する 「全国小中学校 児童・生徒環境絵画コンクール」に協賛しています。中学生の部 および小学生の部の各1作品に、丸紅特別賞を贈りました。 盤樹の森・カヤ植樹祭への協賛 2008年7∼8月に行われた「盤樹の森・カヤ植樹祭」 に協賛しました。 バナナの自社ブランド「ブラボー」の 売上の一部を寄付 バナナの自社ブランド 「ブラボー」の売上の一部を、 アジア・アフリカの恵まれない女性や子供へ寄付する、 ビジネスと社会貢献を合わせ た取組みを行っています。 ブラジル バングラデシュ「BRAC」の インターネット事業会社への出資 バングラデシュで最大規模のNGO団体「BRAC」が設立した、 インターネットによる医療・教育の普及を図る接続会社「bracNet」へ 出資しました。 チリ 豊郷町立豊郷小旧校舎への寄付 丸紅150周年事業の一環として、丸紅商店時代の専務・古川鉄治郎氏が、1937年に私財を提供し建てられた滋賀県犬上郡豊郷町立 豊郷小旧校舎の耐震・改修工事費用として、500万円を寄付しました。 グアテマラ Codaca Holding & Investment Co., ltd Amapa Florestal e Celulose S.A. Marubeni Holding Ltda. ソウル市所在の授産施設協会より、160万ウォン相当の作業用手袋 (3,200対)を購入しました。 28 Chapter 03 Marubeni CSR Report 2009 より良い社会のために 格差のない社会の実現を目指して 世界に広がる丸紅の奨学基金 フィリピンにおけるIPP事業とCSR活動 丸紅グループは、 フィリピンで100年以上の事業実 中心に活動してきました。7,000以上の島々からなる ため、主にASEAN地域で奨学基金制度を設けていま また、 ブラジルにおいても06年に丸紅グループ会社 績があり、 そのつながりは深く、多岐にわたっています。 フィリピン国土において、未電化の20%の地域の電化 す。2007年度は、丸紅創業150周年記念事業としてカ の (Cia.Iguaçu de Café Solúvel イグアスコーヒー 特にIPP(民間発電業者)事業では、97年のミンダナオ は決して容易ではありません。料金負担が困難な地域 ンボジアとラオスで奨学基金を新設し、両基金に対し 社) と共に奨学基金を設立しています。 創業150周年記 地区の地熱発電所(100MW)運転に始まり、03年 も多く、政府やNGOなどの補助金を集め、風力、小水 てそれぞれ20万米ドルを拠出しました。 また、 すでに活 念事業に合わせた新設と拡充により、海外奨学基金に にサンロケ水力発電所(345MW)を操業、さらに 力、太陽光などの再生可能エネルギーによる発電技術 動実績があるフィリピン・ベトナム・インドネシアの3基 対する拠出の総額は、6カ国合わせて300万米ドルと 06年にミラント社から買収した火力発電事業のスアル を用いて、 自立的かつ持続可能な地方電化を進めてき 金に対し追加拠出し、拡充を行いました。丸紅の奨学 なりました。 これまでの累計支援対象者は延べ4,000 ( 1 , 2 1 8 M W )、パグビラオ( 7 3 5 M W )、イリハン ました。 さらに、地域住民の生活向上のために生計・保 基金の歴史は、1989年、 フィリピンから始まり、 その後 人に達しています。 これからも、教育を資金面から援助 (1,251MW) の3基を運転しています。丸紅のフィリピ 健・教育を支援し、職能開発やマラリア予防プロジェク 94年にはベトナムで、99年にはインドネシアで奨学基 することで、国際社会の一員としての責務を果たしてい ンにおける電力総供給量はフィリピン全土の総発電設 トといった多岐にわたるCSR活動も行いました。 金をそれぞれ設立し、 いずれの基金においても各国の きたいと考えています。 備容量の23%に及びます。 プロジェクトビーコンは07年12月に最後のバランガ プロジェクトビーコンは、 99年当時80%であったフィ イ(市)の電化を完工。プロジェクト全体で電線1万 リピンの電化率を100%にするためにスタートした国家 8,000km、電柱6万本、1万軒の太陽光家庭発電が導 拠出金額一覧 既存基金累計拠出額 新規設立 既存事業追加拠出 新規事業拠出 150周年事業拠出計 総 計 フィリピン 350,000 500,000 200,000 700,000 1,050,000 電化支援プロジェクトです。 01年に設立されたチームエ 入され、 100万人以上のフィリピン人に電気のある暮ら ベトナム 130,000 170,000 200,000* 370,000 500,000 ナジー財団は、 発電事業に伴う社会整備やCSR活動を しを提供し、 生活の質の向上に貢献しました。 インドネシア 350,000 200,000 200,000 550,000 カンボジア 200,000 200,000 200,000 ラオス 200,000 200,000 200,000 ブラジル 総 計 500,000 1,330,000 500,000 400,000 670,000 600,000 1,670,000 3,000,000 単位:米ドル *原資運用せず、 当該事業で使い切る 03 より良い社会のために 教育事情に合わせた運営を行っています。 Chapter 丸紅では、新興国の青少年の教育と育成に寄与する 丸紅フィリピン奨学基金/丸紅 現在では世界6カ国に広がる丸紅の奨学基金は、 フィリピンで最初に始まりました。フィリピンでの事業開始から80周年 にあたる1989年、 丸紅・龍野社長(当時) からアキノ大統領に感謝の意を込めて「Marubeni Scholarship Foundation Inc. (MSFI)」の設立を表明。学生への援助を通じ、フィリピンの産業振興と国の発展に寄与していく願いを込めて創設し ました。日系企業の奨学金制度が数ある中、MSFIは職業訓練学校生を対象にしていることから、技術習得が将来の生活安 丸紅カンボジア奨学基金/丸紅 定につながる国事情に合致した基金と高く評価されています。 2008年度は14校が対象に選ばれ、 91名に奨学金の支給を行いました。 これにより、 創設以来の奨学生は延べ1,879名 経済成長が著しいASEAN諸国では、所得に比して教育費が高く、成績が に上ります。 優秀でも家庭の事情で就学できない児童や学生が大勢います。丸紅カンボ ジア奨学基金(Marubeni Cambodia Educational Foundation) は、国 立プノンペン大学の成績優秀者でかつ経済的に恵まれない学生を対象に創 設されました。 社員の声 2008年10月、同大学にて、本基金の初の授与式が行われ、平田丸紅プノ ンペン出張所所長から第1期奨学生12名すべてに奨学金が授与されました。 授与式でのプノンペン大学奨学生 事業と一体となったCSR活動により、 フィリピンとの深い信頼関係を築いています。 海外電力プロジェクト第二部 篠 衆雄 1999年よりフィリピンに駐在し、 IPP事業に取組んできました。 開発途上 地域で事業を進めるには、 地域社会に対するさまざまなCSR活動が伴いま す。 サンロケ水力発電事業では東南アジアで最大規模のダム・貯水池建設を 丸紅ラオス奨学基金/丸紅 行いましたが、 建設に伴い、 地域住民の生計、 教育、 健康などコミュニティ基 丸紅ラオス奨学基金 (Marubeni Educational Foundation in Lao 盤の向上のためのさまざまなCSR活動を行いました。 P.D.R.)の第1回授与式が2008年10月、ラオスの首都ピエンチャンで開 周辺住民約3,800名の移転計画では、 補償金を渡すだけでは住民生活が かれました。この基金は原資20万米ドルを運用し、その運用益で、サバナ 安定しないため、 持続的な生計確保を目指して畜産事業を立ち上げ、 建物提 ゲットの中高生355名、 セポーンの小学生200名を対象に、教科書、制服、 供と技術指導のほか、 さまざまな産業定着支援を行いました。 また、教育に 文房具、寄宿舎備品などの助成を行っていくものです。 ついては、 識字率の20%向上、 子供の学力向上を目的に校舎の増築、 教師の派遣、 教材や学用品の提供を行いました。 初年度にあたる08年度の授与式には、 ラオス政府関係者、各校の校長、教 このほか、 医療・健康の面では、 狂犬病予防接種や貧困住民への無料医療、 栄養失調改善プログラムなどのサービスを 師、生徒、丸紅泰国会社・實方社長ほか丸紅関係者が参加。柚木丸紅ビエン 提供しました。 これらの貢献が認められ、 各地元団体から表彰を受けています。 フィリピンと丸紅の長きにわたる信頼関係は、 このような事業と一体となったCSR活動に支えられているといえるで チャン出張所所長(当時) より、制服、文房具、 マラリアやデング熱対策の蚊帳 を含む寝具などの寄贈が行われました。 29 授与式でのラオス政府・学校、 丸紅関係者 しょう。 30 Marubeni CSR Report 2009 Chapter 04 地球環境への取組み 環境への取組みの基本姿勢 かかわる分野で多くの事業を展開しています。 また、商 価を行うなどの取組みを進めています。 社の活動はグローバルで関係する産業の範囲も広く、 また、 2000年4月には環境ビジネス推進委員会を設 多くの分野で環境への負荷にかかわっています。 そのた 置しました。 委員会ではビジネスのタイプ別に分科会を め、常に環境への配慮を念頭に置き、事業活動から生 つくり、環境のために役立つ新規案件の発掘・推進に力 じる環境負荷をできるだけ低減するよう最大限の努力 を入れ、 新しい環境ビジネスの創出に努めています。 を行っています。 そのため、1990年に地球環境委員会 今後もこれらの活動により一層の力を入れ、持続的 (現CSR・環境委員会) を設置し、 この委員会が中心と 発展が可能な社会の実現に向けてグループ全体で努 なって環境に配慮した経営に努めるとともに、新規投 いきます。 この手法によりシステムの継続的な改善を進 もって環境対策を行うよう、ISO14001に基づく環境 めています。 マネジメントシステムを導入しています。 丸紅ではISO14001の認証を98年に取得しまし 環境マネジメントシステムではPDCA(Plan,Do, た。 その後、順次、海外現地法人、丸紅グループ会社が Check,Act) サイクルと呼ばれる手法を用います。環境 必要に応じて取得し、09年3月末現在、丸紅グループ への取組みについて計画、実施、点検、経営層による見 全体では47社が取得しています。 直しを実行し、 さらに次のサイクルの計画へとつなげて 04 環境マネジメントシステム推進体制 地球環境への取組み 融資案件や開発プロジェクト案件に対して環境影響評 丸紅グループでは、すべての社員が共通の認識を Chapter 丸紅グループはリサイクル、新エネルギーなど環境に 環境マネジメントシステム 丸紅では、図のような体制で環境マネジメントシステムを運用しています。また、環境マネジメントシステムを導入している 丸紅グループ会社でも、各社がそれぞれ推進体制を構築してシステムを運用しています。 力していきます。 丸紅グループ環境方針 基本理念 良き企業市民としての責任を自覚し、人間社会の繁栄との調和を図りながら、健全な 地球環境の保全へ向けて最善を尽くす。 基本方針 丸紅グループのグローバルかつ広範な活動分野に鑑み、丸紅グループにおける地球 環境の保全に関する基本方針を以下の通り定める。 社 長 環境担当役員 環境担当部長 CSR・環境委員会 CSR・地球環境室 部門 環境管理責任者 部門環境担当者 環境担当者 5つの環境目的 丸紅グループの環境マネジメントシステムでは、環境方針に則り5つの環境目的に取組むことにより、地球環境の保全、環境負 荷の低減を進めています。 1. 事業活動においては、常に環境への影響に配慮し、環境保全と汚染の予防等、環境リスクの低減に努める。 (1)国内外の環境関連の諸法令・規則、及び合意した協定等を順守する。 (2)新規事業・取引の開始や新規設備等の導入に際しては、環境への負荷を少なくするように配慮する。 特に、資源開発等の事業においては、自然生態系や地域の環境の保全にも留意する。 (3) オフィス業務においては、グリーン購入、省エネルギー、省資源、廃棄物削減、及び効率的業務の推進に取り組む。 案件推進にあたっての環境配慮の徹底 環境に配慮した取引先との取組み拡大 事業会社運営における環境配慮の促進 環境ビジネスの推進 (4)環境を保全・改善する商品、サービス、社会システム等の提供に努める。 2. この環境方針の精神に沿い、丸紅グループ環境マネジメントシステムの充実と継続的改善に努める。 3. この環境方針を全ての役員、社員、及び丸紅グループのために働く全ての人に周知するとともに一般にも 公開する。 省エネ・省資源・廃棄物削減の実施 丸紅は、 「省エネ・省資源・廃棄物削減の実施」に関し、地球温暖化防止に世界的な関心が集まっていることを受けて、07年8月 に目標数値を設定しました。その目標数値および08年度実績は以下の通りです。 目標数値 2008年度実績 ① 主要オフィスでのエネルギー使用量 2012年度に2005年度比7%削減 2005年度比21.1%削減 ② 東京本社での廃棄物リサイクル率 2012年度にリサイクル率を80%に 66.9% ③ 主要オフィスでのグリーン購入比率 2012年度に購入比率を85%以上に 81.3% 12年度の目標達成に向け、 丸紅全社で地球温暖化対策に取組んでまいります。 31 32 Chapter 04 Marubeni CSR Report 2009 地球環境への取組み 環境への取組み状況 環境目標の設定 環境意識向上キャンペーンの実施 管理、省エネ・省資源・廃棄物削減などの環境目標を設 丸紅グループでは、役員や社員だけでなく、 その家族 絵1点の計13作品が選ばれました。 それぞれの部門特有の環境リスク管理、 グループ会社 定しています。 も含めて、環境問題をより正しく理解し、 その解決に向 また、東京本社では08年11月、環境ジャーナリスト けて自らできることを実践していくことが何よりも大切 の枝廣淳子氏を招いた講演会「親子で考えよう̶今、 案件推進にあたっての環境配慮の徹底 と考えています。そのため、07年から 「環境意識向上 地球のためにできること」 を開催しました。 丸紅では、事業への投融資や開発プロジェクト案件 シート」は決裁申請書に添付して回付され、決裁者の キャンペーン」 を始めました。 さらに、 08年12月に実施された 「第5回 eco検定 (環 を進めるにあたって、 環境に大きな影響を与える可能性 可否判断材料になります。 08年度は実施項目のひとつとして、丸紅グループ社 境社会検定試験)」 の受験を推奨し、 その結果、 グルー がないか、環境関連法令に違反していないかなどを、 2008年度は不動産案件、出資・融資・保証案件な 員および家族から環境標語・写真・絵画を募集しまし プの役員・社員33名が合格しています。 「案件環境評価シート」 に基づいてチェックしています。 ど、 総数175件の案件について環境評価を行いました。 た。応募総数35点、優秀作品には、標語6点、写真6点、 フォローアップが必要とされた案件については、 その結 要因別に分類した案件評価件数は下記の通りです。 2008年度 要因別案件評価件数 大気汚染 61 悪臭 15 水質汚染 59 廃棄物増加 29 土壌汚染 28 天然資源の枯渇 29 騒音・振動 80 地球温暖化 26 その他 14 合 計 341 「廃棄物処理法セミナー」の実施 08年度は東京と大阪で 「廃棄物処理法セミナー」 を ループの関連業務担当者を対象にセミナーを実施しま 開催しました。外部から専門家を講師に招いて、内容 した。 が複雑な同法への適切な対応を習得するため、丸紅グ 省エネ・省資源・廃棄物削減の実施 (合計件数については、 要因の指摘がなかった案件および1案件で複数の要因を指摘されたケースもあり、 案件環境評価の総数とは一致しません) 取引先やグループ会社における環境配慮の促進 過去4年間の丸紅東京本社および4支社(北海道・ 事務用品についても、 グリーン購入指定商品などを購 名古屋・大阪・九州)1支店(静岡) の省エネ、省資源、廃 入しやすいオンライン発注システムの工夫など、対策に 棄物削減の取組み結果は以下の通りです。具体的な施 努めています。 策として、省エネ設備の導入や電力使用量削減のため また、 グループ会社の環境パフォーマンスについては 丸紅では、事業活動による環境負荷の低減を図るた さらに、丸紅グループ会社に 「丸紅グループ環境方 昼食時や最終退室者による電源オフ、 OA機器の非使 捕捉率の向上を目指し、順次データの把握と活動事例 め、主要取引先、業務委託先に対して丸紅グループ環 針」 を浸透させるほか、環境関連法令の順守や緊急事 用時の電源オフを励行しています。 また、 缶、 瓶、 紙コップ、 の収集に取組んでいます。 境方針に基づく環境保全活動への理解・協力を要請し 態への適切な対応を要請しています。 また、環境マネジ 新聞・雑誌などは分別し、 リサイクルに努めています。 ています。 また、ISO14001の導入状況、緊急事態への メントシステムの導入を支援し、環境配慮への意識向 *各目標の設定は、P32をご覧ください。 対策、環境管理体制のチェックなども行っています。 上を図っています。 環境に関する教育・研修 丸紅では、環境に対する社員教育を継続して行って 電力使用量(千kWh) 水道使用量(m ) 25,000 200,000 ら環境マネジメントシステムの実施・運用で指導的な 役割を果たす社員は、外部研修機関による 「ISO環境 えています。 そのため、新入社員研修での環境に関する 審査員養成研修」 を受講しています。 研修の実施をはじめ、各部の環境担当者に対しては期 また、環境への理解を深めるため、役員・社員および 初に 「環境担当者研修」、丸紅グループ会社における内 派遣社員を対象としたe-Learning研修を08年度も 部環境監査員に対しては 「内部環境監査員研修」 を実 実施しました。 紙購入量〈A4判換算枚数〉 (千枚) 3 20,000 いくことが、環境に対する意識向上のために重要と考 施しています。CSR・地球環境室員や部門環境担当者 150,000 15,000 50,000 5,000 0 2005 2006 2007 2008 0 2005 2006 2007 2008 リサイクル率(%) 廃棄物排出量(トン) 40,000 8,000 60 1,200 50 1,008 1,023 999 1,017 40 60.8 60.8 61.3 59.1 2005 2006 2007 2008 30 600 20 300 10 2005 2006 2007 2008 0 6,000 46,884 42,855 45,554 43,177 20,000 4,000 10,000 2,000 0 2005 2006 2007 2008 0 9,318 8,217 7,637 7,329 2005 2007 2008 2006 グリーン購入比率(%) 70 1,500 0 10,000 100,000 159,923 151,504 137,337 130,032 10,000 二酸化炭素排出量(CO2トン) 50,000 30,000 19,472 18,482 17,178 16,536 900 33 04 地球環境への取組み 果を報告するシステムになっています。 「案件環境評価 Chapter 丸紅では、 期初に 「環境 計画・点検シート」 を用いて、 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 東京本社、支社(北海道、名古屋、 大阪、九州)、支店(静岡) 70.3 71.8 73.8 81.3 2005 2006 2007 2008 (ただし、東京本社、大阪支社、名古屋支 社の電力、水道、廃棄物については、 ビル 全体の数値として把握し掲載。二酸化炭 素排出量は、電力使用量に基づき、環境 省・経済産業省発表の電気事業者別排 出係数を用いて算出。2008年度につい ては、係数未発表のため、直近の07年度 公表係数を用いて算出) 34 Chapter 04 Marubeni CSR Report 2009 地球環境への取組み 環境への取組み検証 環境会計 自主点検と監査、検証 2008年度の環境保全コストと活動の効果 実施状況の点検 丸紅の東京本社および4支社(北海道・名古屋・大 全コストと活動の効果は次の通りです。活動の効果に 阪・九州)1支店(静岡) における、2008年度の環境保 ついては、 その記載ページを掲載しています。 期初に各部署が地球環境保全のためにできることを計画し、 毎年9月と2月に 「環境 計画・点検シート」 を用いて、 実施状況を自主 (単位:千円) 点検しています。 環境保全コスト 2008年度 ■案件推進にあたっての環境配慮の徹底 218,102 環境対応組織の人件費 6,130 環境担当役員に任命された社内の監査員が、 各部門を対象に 「コーポレート環境監査」 を、 グループ会社を対象に 「事業会社環境 監査・審査関連費用 2,134 監査」 を年1回実施しています。 また、 認証を取得している事業会社では、 それぞれ内部環境監査を年1回実施しています。 環境研修・教育費 (グループ会社を含む) 3,338 さらに、 ISO14001の認証・登録機関であるLloyd’ s Register Quality Assurance Limited(LRQA) 社による審査を年 調査研究費 5,443 2回受けています。 合計 2008年度は、いずれの点検、監査、審査においても、環境マネジメントシステムの運用・実施・維持における重大な指摘はあり ませんでした。 緑化・環境施設など維持費 52,188 廃棄物処理費用 35,176 合計 法規制対応コスト ています。事業活動で環境に影響を与える要素があるか、適用される環境関連法規制は何か、緊急事態の対応策をとっている 容器包装リサイクル法関連費用 か、環境問題が発生していないか、 などを点検し、 環境負荷低減を目指しています。 同検証によって、08年度も環境にかかわる重大な問題が発生していないことを確認しました。 376,110 6,308 環境アセスメントなど環境調査費用 54,297 業界団体の環境保全コスト負担金 8,944 合計 69,549 社会活動コスト CSR Report発行関連費用 14,767 環境関連法規を順守するため、各部署が順守すべき 直しを行っています。08年度は、環境関連法規制に違 環境広告費用 1,054 法規制や規範・規程などをリストアップし、定期的に見 反した事例はありませんでした。 環境関連研究会など活動費用 2,350 2008年度マネジメントレビュー ■環境に関する教育・研修 P33参照 ■環境関連法規の順守状況 P35参照 環境関連法規の順守状況 04 ■自主点検と監査、 検証 P35参照 ■省エネ・省資源・廃棄物削減の実施 P34参照 288,746 丸紅グループの中でISO14001認証を取得していない組織を対象に、 年1回アンケート形式で環境に関する業務検証を行っ ■環境ビジネスの推進 P37∼42参照 235,147 省エネ・省資源・緑化対応コスト 環境対応設備投資 環境関連業務検証 P33参照 地球環境への取組み 統合認証・維持拡大コスト (グループ会社を含む) ■取引先やグループ会社における環境配慮の促進 Chapter システム維持コスト 監査 活動の効果 合計 ■CSRレポート、 CSRレポート・ダイジェスト版の発行 P51参照 18,171 社会貢献コスト 08年度、丸紅グループの環境マネジメントシステム 環境関連法令への対応強化」 「役員・社員およびその家 はおおむね適切に運用されていました。 族の環境意識のさらなる向上」 については、08年度に 07年度の社長によるレビューで指示のあった、留意 おいて着実に実施しました。 環境NGOなどへの寄付、会費 5,206 合計 5,206 総合計 704,183 事項である 「地球温暖化対策などの推進」 「多様化する 2009年度の課題 09年度は、 以下を強化項目とするよう指示があり、 各々取組みを行います。 多様化する環境関連法令への 対応強化 35 REACH規則、廃棄物処理法、省エネ法、各種条例などをは じめとする環境関連法令が増加、多様化していることによ り、引き続き法令順守の徹底を図る。 役員・社員の環境意識の向上 環境意識向上キャンペーンなどの施策を継続実施する。 事業会社の環境リスク管理体制 の的確性の検証 丸紅グループ会社が適切に環境リスクを管理しており、 かつ 丸紅がその管理状況を的確に把握しているかを確認する。 参考 丸紅の環境保全コストを06年2月に環境省から発行された 『環境会計ガイドライン2005年版』 の分類に 従い集計したものを参考までに表示します。 (単位:千円) 分類 2008年度 事業エリア内コスト 主たる事業活動により事業エリア内で生じる環境負荷を抑制するための環境保全コスト 上・下流コスト 主たる事業活動に伴ってその上流または下流で生じる環境負荷を抑制するための環境保全コスト 管理活動コスト 管理活動における環境保全コスト 研究開発コスト 研究開発活動における環境保全コスト 社会活動コスト 社会活動における環境保全コスト 366,430 15,252 289,445 0 33,056 環境損傷対応コスト 環境損傷に対応するコスト 0 合計 704,183 36 Chapter 04 Marubeni CSR Report 2009 地球環境への取組み 活動報告 気候変動問題への取組み 環境負荷を低減する丸紅グループのビジネス 温室効果ガス削減/丸紅 環境ビジネスの推進 カザフスタン共和国環境保護省と温室効果ガス削減事業の共同開発に合意 丸紅グループは、 リサイクルや新エネルギーといった これらの環境ビジネスを全社的に推進するために、 環境にかかわる分野でさまざまな事業を展開してきま 丸紅では、2004年に環境ビジネス推進委員会を設立 した。地球環境の重要性は、新しい環境ビジネスを しました。委員会では中長期的な観点から、新しい環境 次々と生み出しています。 そこには長期的な視野に立っ ビジネスモデルの創出を目指して、 ビジネスのタイプ別 て、定性的な評価をしなければならないプロジェクトも に分科会をつくり、環境配慮の促進につながる新規案 あります。持続可能な社会を実現するため、丸紅は総 件の発掘・推進に注力しています。 また、部門横断的ビ 09年3月に批准いたしました。 合商社として、 さまざまな側面から環境ビジネスを推 ジネス、部門間協働を支援し、環境配慮の促進につな 丸紅は火力発電、風力発電、省エネルギーなどの分野 進しています。たとえば、より環境にやさしい製品や がるさまざまなビジネスの発掘に注力しています。 で、 カザフスタン共和国の事業主と個別に事業の検討を サービスの提供、有害物質やCO 2の排出が少ないク 今後もこれらの活動をさらに強化・維持し、持続的な 開始し、地球温暖化防止に向けて貢献していく考えです。 リーンなエネルギーの開発など、環境ビジネスは多岐 発展が可能な社会の実現に向け、 グループ全体で堅実 にわたります。 な努力を続けてまいります。 合意しました。 カザフスタン共和国は、独自の地球温暖化 Chapter 対策や環境施策を実行しており、京都議定書についても 04 地球環境への取組み 持続可能な社会の実現 調印式にて カーボンオフセット年賀状への排出権供給 地球温暖化防止 CO2削減 再利用 リサイクル・ 再資源化 ビジネス と温室効果ガス削減事業の開発を共同推進することに カーボンオフセット/丸紅 丸紅の環境ビジネスへの取組み 環境負荷の低減 2008年6月、丸紅は、 カザフスタン共和国環境保護省 環境配慮 型製品の 開発 生活者 (個人・企業等) 廃棄物の排出 丸紅は、 郵便事業 (株) (以下 「日本郵便」 ) の2008年度 を活用して、 CO2の削減プロジェクトの支援に充てられる 「カーボンオフセット*年賀寄附金配分事業」における ことになっており、国連の認証によって発行されるCDM CDM排出権の取得・償却事業助成プログラムに財団 排出権を調達し、 日本の国別登録簿内償却口座に移転さ 法人国際環境技術移転研究センターと特定非営利活 れます。 ・太陽光発電、バイオマス燃料、 バイオマス発電など クリーンエネルギーの提供 動法人環境リレーションズ研究所の排出権供給元とし 08年のカーボンオフセット年賀状は約1,500万枚販 て、 採択されました。 売され、 寄付金総額は1億4,984万円となりました。 この ・CO2排出削減プロジェクトの実施 カーボンオフセット年賀状は1枚あたり定価55円で販 うち、 丸紅は上記団体の供給元となり ・排出権取引・カーボンオフセット・植林 売され、 寄付金5円に加えてその同額を日本郵政グループ 合計1億490万円分採択されたもの CO2の排出 も寄付することにより、 1枚あたり10円の寄付金総額とな です。 ります。 丸紅はこの採択金額に対して責任 寄付金の合計は地球温暖化防止と日本の京都議定 をもって再生エネルギー起源を中心と 書遵守のため、京都議定書におけるCDMプロジェクト したCDM排出権を供給いたしました。 *カーボンオフセット=地球温暖化防止のため、省エネなどにより温室効果ガス削減の努力をしたうえで、残る排出量を他の場所での削減事業により、 相殺(オフセット)する仕組み。 環境ビジネス推進委員会 体制図 環境ビジネス推進委員会 カーボンオフセット/丸紅 カーボンオフセットユニフォームの販売スタート 委員長 事務局:市場業務部 「環境リサイクル」分科会 「新エネルギー・新技術」分科会 対象分野 ・古紙 ・食品残渣 ・ユニフォーム 37 ・自動車 ・パソコン ほか カーボンオフセットユニフォームは、 原料の糸の段階か 今後は、 ワーキングユニフォーム ら縫製品に至るまでの製造工程で排出されるCO2の一 のみならず、 スクールユニフォーム、 部について、排出権を活用してオフセットするもので、素 病院白衣、オフィス・サービスユニ 材も環境に配慮した再生ポリエステルを使用しています。 フォームなどの各メーカーとタイア 対象分野 第1号として、2009年春夏から (株) サンエス向けに ップし、 カーボンオフセットの仕組 ・バイオマスエタノール ・太陽光発電 ・風力発電 ・排出権取引 ほか ・クリーン開発メカニズム(CDM) ワーキングユニフォームでの展開を開始しました。 今回新 みを通じ、 ユニフォーム分野で温室 規格の対象枚数 (約1万4,000枚) でオフセットされる予 効果ガスの削減を積極的に進めて 定の温室効果ガスはCO2換算で約70トンとしています。 いきたいと考えています。 38 Chapter 04 Marubeni CSR Report 2009 地球環境への取組み 活動報告 活動報告 気候変動問題への取組み 気候変動問題への取組み 風力発電事業/丸紅 保有林によるカーボンストック/丸紅グループ 日本の商社初の風力発電事業CDM案件 韓国最大規模のガンウォンウインドパワープロジェクトに参画 世界に広がる自社保有林によるカーボンストック 風力発電は、 自然の風の力を使って風車を回し、 その また、 ガンウォンプロジェクトは、京都議定書に定めら 丸紅グループは、1990年代末より植林事業を展開 む一方、植林事業によるCO2吸収と固定で地球温暖化 回転運動を発電機に伝えて電気を生み出します。石炭・ の防止に貢献しています。 ます。年間14万トンの二酸化炭素を削減しており、 日本 世界7つのプロジェクトで自社植林の適正管理を行って 発電に比べ、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が の商社が手がける風力発電事業としては、初のCDM案 います。丸紅グループの植林面積は2009年3月末現在 少なく、 また、風力は、化石燃料と違い、資源の枯渇問題 件となりました。 これは、 東京都の約1.8倍の広さに 39万ヘクタール*1で、 がない再生可能なエネルギーであり、 クリーンで地球環 丸紅は、地球温暖化防止に貢献する風力発電事業を あたります。 境にやさしい発電方法です。 今後も世界各地に広げていきます。 炭素として木に蓄えて 植林は大気中のCO2を吸収し、 丸紅では、 このように環境負荷の少ない風力発電事業 います。持続可能な植林経営のもと、伐採後は再植林を を、国内をはじめ、海外でも展開しています。韓国では、 するため、一定量のカーボンストック*2を維持します。丸 ガンウォンおよびヨンドックにおいて風力発電事業に 紅グループの保有林のカーボンストックは、09年3月末 参画しています。 Gangwon Wind Power Projectでは 現在CO2換算で3,000万トン*3です。 2,000kWの風力発電機が49基、 Youngduk Wind Power 丸紅グループでは、 事業によるCO2排出の削減に取組 Projectでは1,650kWの発電機が24基稼働しており、 04 地球環境への取組み し、現在、 インドネシアやブラジル、 オーストラリアなどの Chapter れたCDM* 案件として06年3月に国連に承認されてい 石油などの化石燃料を燃焼させて発電する従来の火力 インドネシアの植林地 *1:上記の39万haには、丸紅グループが関係するすべての植林地と植林可能地を含みます。 *2:森林などに蓄積している炭素の量で、植林面積・木の材積(体積)量・木質分の比率・炭素含有率・CO2換算係数を使用して試算。 *3:丸紅グループが関係する事業の全植林面積を対象とする量。 ※丸紅の植林事業についてはP42もご覧ください。 合計総発電容量は約14万kWとなります。現在、韓国全 体では約21万3,000kW(2008年1月1日現在) の風力 発電所が運転中ですが、 その中でも丸紅は、最大規模の 風力発電プロジェクトを推進しています。 ガンウォンウインドパワープロジェクト 新エネルギー/バイオエタノール・ジャパン・関西(株) *CDM(Clean Development Mechanism)=クリーン開発メカニズム。開発途上国において温室効果ガス排出削減事業を実施し、 その削減量を排出枠として獲得できるシステム。 廃材からエタノールをつくる世界初の商業プロジェクト 地熱発電事業/丸紅グループ 植物を原料につくられるバイオエタノールは、 石油に代 わる燃料として世界的に注目されています。 地中から採掘 フィリピンの地熱発電プロジェクト して燃やす石油に比べ、植物として生育中にCO2を吸収 丸紅グループは、 地球にやさしい電力供給事業を目指 など、 数々の地域住民支援を行ってきました。 一方、 事業 し、 あらゆる再生可能エネルギーの技術開発やプラント により納付する固定資産税および事業税は市の歳入の 開発を進めています。 中でも、 地熱発電事業は1980年代 半分を超え、雇用の安定との相乗効果で、 キダパワン市 のプラント事業に始まり、電力供給事業まで長い実績を は人口に占める貧困層の割合がミンダナオ全域において 誇っています。地熱発電は、地下に蓄えられた温泉の蒸 最も低い都市と認定されました。 気を採取して発電を行い、採取した蒸気は水として再び 丸紅グループでは、 今後も世界各地で環境・社会・経済 地下に戻すことができ、環境面においても、 コスト面にお の側面において有意義な電力事業を推進していきます。 いても非常に効率のよい発電方式です。 した後にエネルギーとなるバイオエタノールは、 環境負荷 の少ない燃料です。 しかし、 バイオエタノールの多くはトウ モロコシやサトウキビを原料とするため、 バイオエタノー ルの生産拡大は食料危機を招くと懸念されています。 丸紅が出資するバイオエタノール・ジャパン・関西(株) は、非食物系の廃材からバイオエタノールをつくる世界 初の商業プロジェクトを進めています。木造家屋が多い 日本では、 解体やリフォームで出る廃材は排出者が処理 費を払って業者に渡し、その後通常は焼却処理されま 丸紅グループでは、現在、 フィリピンやコスタリカで地 ▲バイオエタノール・ジャパン・ 関西 (株)全景 す。 しかし、 この廃材をエタノールの原料として活用すれ 熱発電事業を行っていますが、 そのひとつであるミンダナ ば、 コスト面でも、資源の有効活用の面でもメリットがあ オの地熱発電所(現供給量100MW) は97年に運転を り、 また非食物系原料であるため食料と競合しません。 始め、 すでに10年以上稼働しています。 近畿圏内から同社に集められる廃材は1日トラック約 このたび、 キダパワン市から、 丸紅グループの地域社会 30台分。廃材をチップに粉砕し、 その後約50時間特殊 への貢献が認められ、市政11周年記念式典にて表彰さ な菌で発酵させ、 燃料用エタノールを生産しています。 れました。丸紅グループは、発電事業に伴うCSR事業の 一環として、地域住民の優先的雇用の実践、市民への定 39 ミンダナオ地熱発電所 ▲ 期的な無料医療サービス、貧困学生への奨学恩典制度 バイオエタノール 40 Chapter 04 Marubeni CSR Report 2009 地球環境への取組み 活動報告 活動報告 循環型社会づくりへの取組み 森林保全・生物多様性への配慮 リサイクル/(株)ウェル、興亜工業(株)、丸紅ペーパーリサイクル(株) 植林/丸紅グループ 機密文書のリサイクル 丸紅グループの植林事業 丸紅グループ会社の丸紅ペーパーリサイクル (株) は、 製紙メーカーと連携し、機密文書リサイクルの輪を広げ 古紙事業を通してリサイクルを推進しています。年間取 ていきたいと考えています。 丸紅グループは、オーストラリア、ニュージーランド、 はもとより、地域住民の生活や生計に配慮し、牧草地な どを取得する方法をとっています。樹種は6∼10年で ています。各プロジェクトでは、環境に配慮した持続可 成木となるユーカリやアカシアなどの広葉樹を中心に、 よくリサイクルするために、 グループ連携によるさまざま 能な植林経営を行っています。 原生林の伐採による跡地 持続可能な植林システムを導入し、 ローテーションによ な施策に取組んでいます。 植林は一切行わず、 用地買収は、 現地法規制に従うこと る計画植林を行っています。 同社が株主となっている (株) ウェルは、官公庁や企 います。個人情報保護法施行に伴い、企業や官公庁で 機密文書の処理にお困りとのニーズを受け、丸紅グル たとえば8年で成木となる樹種の場合、開始から8年目まで新しい土地に順次植林を行う。9年目には1年目に 04 地球環境への取組み 持続可能な 植林システム 業から排出される機密文書の回収・処理事業を行って Chapter インドネシア、 中国、 ブラジルで7つの植林事業を展開し 扱量は約48万トンで、 より多くの古紙を集め、環境効率 植えた分の伐採が可能になり、伐採後そこにまた再植林を行うことで持続的なクローズドシステムとなる。 植栽、 育成、 管理、 収穫を計画的に繰り返すことで、 木材チップの安定供給と持続可能な植林経営が実現する。 9年目に伐採をし、製紙原料として使用開始。伐採後、再び植林。 植林クローズドシステム ※8年で成木になる樹種の場合 ープ会社の興亜工業(株) と提携し、機密保持契約の 締結、専用回収ボックスと専用車両、機密管理エリア での溶解処理など、 セキュリティ配慮を徹底したリサイ 植林地域 (1年目) 植林地域 (2年目) 植林地域 (3年目) 植林地域 (4年目) 植林地域 (5年目) 植林地域 (6年目) 植林地域 (7年目) 植林地域 (8年目) クル方法を確立しました。処理後のわずかな焼却灰も セメントの原料にリサイクルされ、ゼロ・エミッションも 森林認証/AMCEL社、WAPRES社 達成しています。 2005年の法施行後、取扱件数、処理量ともに順調に 伸び、 08年度の機密文書取扱量は1万2,500トンに上り ました。今後は、 大阪、 名古屋地区をはじめ全国の古紙・ ウェルで破砕処理された書類 はプレスされ興亜工業へ リサイクル/丸紅メイト (株) ブラジル・オーストラリアの植林チップ事業が森林認証を取得 日本製紙(株) と丸紅で運営する合弁植林・チップ事 する西オーストラリア州有林において、オーストラリア 業Amapa Florestal e Celulose S.A. (AMCEL社) が、 の森林認証AFS(Australian Forestry Standard) 2008年12月、世界的な森林認証制度* として知られる を取得しました。WAPRES社は、 自社植林地において FSC(Forest Stewardship Council)の森林認証を取 は04年にAFS認証を取得していましたが、 この度、州有 得しました。 林のAFS認証取得に加えチップ工場もCoC(Chain of 1 使用済みユニフォームをリサイクル 丸紅グループ会社の丸紅メイト (株)は、企業向けユ 今後もより多くのユーザー企業に、地球環境保護に また、09年1月には、両社のオーストラリアにおける合 日本に輸出される認証材チ Custody)*2認証を取得し、 ニフォームの販売とレンタルを行う 「ユニフォームの総 つながる新しい取組みを提案していきます。 弁植林・チップ事業、 WA Plantation Resources Pty. ップがCoCでつながることとなりました。 Ltd. (WAPRES社) が木材チップ原料の一部として購入 合ソリューションカンパニー」 です。 同社では循環型社会づくりに貢献すべく、多数のユニ *1:森林認証制度とは、違法伐採を行わないなどの適正な森林管理、原住民の権利と生物多様性の保護、地域社会への配慮などの基準を満たした 森林に認証を与えるもの。 *2:CoC(Chain of Custody) =サプライチェーン・マネジメントのひとつで、生産・加工・流通のすべての過程において、森林認証制度が定める基準 に基づき製品が管理されていることを認証するもの。 フォームを使用する国内大手企業向けに3R(リデュー ス・リユース・リサイクル) を取り入れた提案を行ってい ます。 自社レンタル品に加えて、他社購入分の使用済みユニ 社員の声 フォームについて、 従来は焼却処分していましたが、 現在 は国内の大手製鉄メーカーで製鉄の際の酸化還元剤と して再利用するケミカルリサイクルを促進しています。 入社以来、紙パルプ部門チップ部で製紙原料であるチップの輸入、 および植 佐川急便を展開するSGホールディングスグループ 林事業に携わっています。 かつては天然林伐採に頼っていた紙パルプ事業も、 (佐川急便の全国約350営業店をはじめとして、各拠点 年々環境に配慮した原料調達への取組みが進んできました。特に1990年代 後半からは、 日本企業が海外で本格的に植林事業を行っています。 対象に約7万名の着用者) とは、 このケミカルリサイクル に加えて、今年度の新たな取組みとして、ユニフォーム 植林事業は、実際にやってみると思い通りに木が育たなかったり、 山火事な の流出防止とリユースの徹底を図るべく協議を進めて どの自然被害の心配があったりと難しさや苦労がつきものです。 だからこそ、 います。 持続可能な植林経営をすることに大きなやりがいを感じます。 常に環境配慮を SGホールディングスグループ (佐川急便) のユニフォーム 41 持続可能な植林経営に日々やりがいを感じます。 チップ部 チップ第二課 小澤由枝 念頭に置いて、 日々の業務に携わっていきたいと思います。 42 Marubeni CSR Report 2009 Chapter 05 社員と共に 各種社内研修とその狙い 人に対する基本理念 丸紅では、経営トップをはじめ、部課長、一般社員に を継続することによって、人権意識が定着していくもの 至るまで、各種階層別の研修などを通じて、基本的人 と考えています。 権の尊重にかかわる啓発を行っています。 こうした活動 人権への取組みの基本姿勢 人権トップ研修 中間管理職研修 開していることからも、世界基準に則った人権の尊重を が達成すべき 「共通の基準」 であることを謳っています。 CSRの根幹にかかわるきわめて重要なものと位置づけ 経営トップ層が、 人権問題と企業の責任に関する理解を深める とともに、 人権意識をもって企業経営を行うことを確認する。 課長などが、あらゆる差別やセクシャルハラスメントのない職場 をつくるために、 自ら行動するとともに、部下を正しく指導する。 また、ILO国際労働基準とは、労働における基本的な基 ています。 準を定めたもので、①労働組合権の確立、②強制労働 部長研修 一般社員研修 丸紅の 『コンプライアンス・マニュアル』 では、遵守事 の禁止、③雇用における差別の禁止、④児童労働の禁 項に 「人権の尊重、差別・セクシャルハラスメントの禁 止、 の4分野8条約で構成されています。 人権を尊重する企業文化をつくるために、部長自らが差別を許 さない風土づくりを率先して行うとともに、部下を指導する。 止」 を掲げており、 この人権の概念には、 日本国憲法や 丸紅は 『コンプライアンス・マニュアル』 に加え、2007 労働基準法のみならず、世界人権宣言などで定められ 年度には、就業規則においてもセクシャルハラスメント た基本的人権、ILOの国際労働基準に定められた均等 をしないことを遵守事項に付け加えたほか、 セクシャル 雇用などにかかわる人権も含めています。 ハラスメント防止対策についての規程を制定し、社内へ 世界人権宣言は、1948年12月、第3回国連総会に の徹底を図っています。 おいて採択されたもので、その前文で人権と基本的自 人権問題における重点施策 丸紅は、 「人権を尊重する企業文化」の定着に向けて、社内研修を中心にさまざまな取組みを行っています。 「丸紅行動憲章」 『コンプライアンス・マニュアル』で定められた人権の尊重、差別、 セクシャルハラスメント禁止の精神に則り、丸紅グループ全体で 人権に対する意識を高めています。 (1)研修内容の継続的な見直し 研修内容の見直しを継続的に行い、08年度も各階層・役割別研修の中で人権問題に関する研修を行いました。いかなる差別もしない、 させない、 許さないことを強調した研修カリキュラムをつくり、 実施しました。09年度も引き続き社員各層への研修を充実させていきます。 (2) 「丸紅行動憲章」 『コンプライアンス・マニュアル』 の趣旨徹底 海外事業所を含む丸紅グループ全体で、 「丸紅行動憲章」 『コンプライアンス・マニュアル』 を用い、人権尊重の精神に基づく事業を推進 しています。 (3)公正採用システムに関する研修 さまざまな研修の機会に 『丸紅採用マニュアル』 を活用し、 その趣旨を社員に周知徹底しています。また、 『 丸紅採用マニュアル』 を関係会 社の採用担当者に配布するとともに研修などでの活用を促し、 丸紅グループ全体での公正な採用活動を推進しています。 (4)イントラネットでの研修・情報提供 人権をテーマとするサイトの内容を充実させ、活用を促すことによって、 日頃から人権問題を正しく認識し、人権を尊重する企業文化づ くりに主体的に取組むよう、 海外を含めたグループ全体への啓発を行っています。 (5)丸紅グループ全体での取組み 主要グループ会社における人権啓発委員の任命、 人権標語運動の丸紅グループ全体での取組みなどを通じて、 グループ社員一人ひとり の人権意識の高揚を図っています。 『コンプライアンス・マニュアル』の精神をよく理解し、 自らの行 動を律する。 05 社員と共に 由を尊重し確保することが、 すべての人民とすべての国 Chapter 丸紅は、世界のさまざまな国や地域で企業活動を展 セクシャルハラスメント防止の強化 丸紅では以前から 『コンプライアンス・マニュアル』 に 価に影響を及ぼす重大な問題であり、 あってはならな おいて、セクシャルハラスメントを禁止する旨を明示し い行為と考えています。 そのため、就業規則において、 セ ていましたが、07年4月に男女雇用機会均等法が改正 クシャルハラスメントをしないことを遵守事項に追加す され、職場におけるセクシャルハラスメントへのさらな る改正を行ったうえ、 セクシャルハラスメントの定義、禁 る厳正な対応が義務化されたことに伴い、会社として 止行為、禁止行為に該当する事実が認められた場合の の対応をより具体的に定めることを目的に規程を見直 処分などを定めた 「セクシャルハラスメント防止対策に しました。 ついて」 を制定しました。 職場におけるセクシャルハラスメントは、個人として さらに、人事部に相談窓口を設置するほか、 「勇気の の尊厳を傷つけ、社員の能力の発揮を妨げるとともに、 扉*」 を用意し、問題の早期発見と防止に努めています。 職場の秩序や業務の遂行を阻害し、会社の社会的評 *「勇気の扉」についての詳細はP20をご覧ください。 人権啓発標語の公募 丸紅グループでは、人権意識の高揚を図るため、毎 を公募しています。優秀作は、社内報やイントラネットで 年人権週間を設け、社員および家族から 「人権の尊重、 公開されるほか、丸紅グループの代表作品として人権 差別・セクシャルハラスメント禁止」 をテーマとした標語 啓発企業連絡会に出品しています。 2008年度 人権啓発標語 入選作 職場の部 ●もう一度、 相手の立場で 思いやり ●偏見は 持つものでなく 捨てるもの ●大切に!! みんなの個性 明るい笑顔 ●お互いの 自由と自由が 生む責任 ●「愛のムチ」それが部下にはパワハラかも 家族の部 ●一人ぼっち そんなことは 決してない 43 44 Chapter 05 Marubeni CSR Report 2009 社員と共に 社員が働きやすい制度づくり 人事制度の基本姿勢 ワーク・ライフバランスの推進 丸紅は「人材」 こそが企業の最大の資産であると考 事制度の基本姿勢としています。社員が自らの価値を 丸紅は、社員の仕事に対する意欲を高め、 もてる能力 することが企業の社会的責任を果たすことにつながる えています。そのため、社員がその能力・スキルを最大 高め、継続的に新たな付加価値を生み出していくこと を最大限に発揮し、キャリア形成の環境づくりを積極 と考えています。丸紅の育児・介護関連施策は、従来か 限に発揮できるような体制をつくり、社員一人ひとりが により、企業は社会に貢献することができると考えてい 的に推し進めていくことを目的として、 「ワーク・ライフ ら法定基準を上回っていましたが、06年に育児休業制 その価値を最大限に高められる環境を整えることを人 ます。 バランス (仕事と生活の調和)*」 を推進しています。 度・介護休業制度の見直しを行い、休業期間の延長、 中でも、 「育児」 「介護」 は多くの社員が在職中に経験 対象者の拡大、取得条件の緩和など、 さらなる制度の する重要なテーマであり、 これに対する取組みを強化 充実を図りました。 人事制度の改革 月に人事処遇制度を見直し、 「成果主義」 と 「職務役割」 導入により、成果に応じた適正な報酬の支払いを可能 を基本とした制度を導入しました。 この制度では、適 としています。 時・適材・適所の柔軟な人員配置と人材登用が可能な さらに、評価者と被評価者とのコミュニケーションを 仕組みを維持しながら、年齢や勤続年数にかかわらず、 大切にした、透明かつ公正な「評価制度」 を導入し、社 本人の担っている職責および会社に対する貢献度と処 員の納得性を高める仕組みを構築しています。 *ワーク・ライフバランス施策についての詳細はP9∼10 特集3をご覧ください。 育児休業取得率の推移(2006∼2008年度) 年度 育児休業取得率( * 女性) 遇の一致を図る仕組みとしています。 *育児休業取得率= 2006年度 2007年度 2008年度 100% 100% 100% 05 社員と共に また、 メリハリのある人事評価に基づく報酬制度の Chapter 丸紅では、人材価値の最大化を図るため、2006年4 調査時点までに育児休業を開始した者(開始予定の申出をしている者を含む) 調査前年度1年間の出産者の数 公正な採用活動 丸紅が、 社員と最初にかかわりをもつのが採用です。 採 い、 本人の能力・適性に基づく採用選考を実施しています。 用にあたっては、 応募者の能力・適性のみによる選考を行 また、 従来から就職希望者のOB・OG訪問を積極的に い、 差別のない公正な採用活動を基本方針としています。 受け入れていますが、07年度からは、OB・OGのいない たとえば、 国籍、 本籍、 性別、 身体の障がい、 出身大学にか 大学の学生にも門戸を開くため、 人事部直通の 「社員紹 社員本人の傷病時にのみ利用可能としていた「特別傷病休暇」 (最大50日=有給) を、育児・介護や父母、配偶者、子の看護を行う かわらず、 広く応募の機会を与える 「オープンエントリー」 介ダイヤル」 を設置しています。 場合にも利用可能としました。 の実施、 本人の能力・適性を判断するのに不要な本籍地 さらに丸紅グループ全体として公正な採用選考を行う 導入3年目となった08年度は、 両休暇制度を合わせて計58名が利用しました。 や宗教、家族状況などの記入欄がない 「エントリーシー ため、 『丸紅採用マニュアル』 を作成し、 グループ会社に対 ト」 、 面接時には応募者の基本的人権を尊重した質問を行 しても、 方針の周知徹底を図っています。 採用者数の推移(2007∼2009年度) 2007年度 2008年度 2009年度 総合職 121名 115名 130名 一般職 0名 27名 30名 年度 社員の内訳と平均年齢(2009年3月末現在) 総合職 一般職 その他 合 計 男 性 2,832名 2名 157名 2,991名 女 性 152名 680名 33名 865名 2,984名 682名 190名 3,856名 計 平均年齢 ワーク・ライフバランス推進の一環として、06年度に「ファミリーサポート休暇」を新設しました。これは、社員個々の家庭状況 に応じ、 「育児・介護休業」 とは別に出産立ち会いや、育児、家族の看護・介護を目的とした特別休暇(年間5日=有給)です。また 配偶者転勤休業制度の導入 丸紅では、 配偶者の海外転勤により退職を余儀なくされることを回避するために、 3年を限度として休業を認める 「配偶者転勤 休業制度」を06年度に導入しました。08年度は4名がこの制度を利用しています。 くるみんマークの取得 男性 42.1歳 08年7月、 丸紅は子育て支援に積極的な企業として、 次世代育成支援対策推進法に基づく厚生 女性 41.4歳 労働大臣による認定マーク 「くるみん」を取得しました。 労働組合とのかかわり 45 ファミリーサポート休暇 残業時間短縮への取組み 厚生労働大臣による認定マーク 「くるみん」 丸紅従業員組合は1949年に発足しました。 現在、 組 やその運用において、 従業員組合との協業による活動を 合員は約2,100名、 組織率は約55%となっています。 会 積極的に推進しています。 08年度は 「ワーク・ライフバラ に時間外勤務削減タスクフォースを設置し、啓発レターの発信や、恒常的な多残業部署を対象として個別指導などを実施しま 社と組合は、会社の繁栄と従業員の社会的・経済的地 ンス推進委員会」 「一般職掌の活用と育成実行委員会」 した。また、通常月2回としているノー残業デー「水っちオフデー」を、08年11∼12月の間、政府が推進する「家族の日」 「家 位の向上を共通目標として、 それぞれの立場を尊重し、 「成果評価運用モニタリング委員会」 「海外問題小委員 誠実な話し合いを通じて、 秩序ある労使関係を築いてい 会」 「シニア層活用促進委員会」 「提言小委員会」 などを ます。 また、人事や働く環境に関する制度や施策の導入 中心に労使協働して取組みを展開しました。 丸紅では、 ワーク・ライフバランス推進の一環として残業時間の短縮を目指した施策を展開しています。08年度に人事部内 族の週間」の趣旨に賛同し、毎週水曜日に拡大しました。 このような活動により、単に残業時間を短縮することだけでなく、業務見直しによる効率化の推進にも取組んでいます。 46 Chapter 05 Marubeni CSR Report 2009 社員と共に 多様な人材の活用・登用 メンタルヘルス支援施策 社員のメンタルヘルスの維持・増進を支援する施策として、各種e-Learning研修、 ストレスチェック・EAPの導入、および『メン 丸紅では、 これまで多様な社員の活躍を支援するさま ムを新設しました。国籍・性別・キャリア・障がい・雇用 タルヘルス・マニュアル』の配布などを実施しています。2008年度はe-Learningによる 「セルフケア研修」 (全社員対象)、 「ラ ざまな施策を実施してきましたが、 その取組みを一層強 形態などを問わずに、 さまざまな人材が存分に能力を インケア研修」 (管理職対象) を実施しました。 化すべく09年4月にダイバーシティ・マネジメントチー 発揮できる職場環境の整備を目指します。 また、厚生労働省が開発したストレスチェックをWeb上で実施しており、 自分のストレス状況やその対策を確認できるようにし ています。さらに、EAP (Employee Assistance Program/従業員支援体制) の一環として、社員、派遣社員およびその家族 を対象に、社外の専門カウンセラーが仕事からプライベートまで、 さまざまな相談に乗ることで心のケアを行うサービスを提供し シニア層の活用 ています。これらの取組みに加えて、社内診療所において専門医による診療を週2回実施しているほか、各種研修時にメンタル 06年に施行された改正高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用制度の導入を柱とし、段階的な定年の引き上げや継続雇 用制度の導入など (高年齢者雇用確保措置) が事業主に義務づけられました。 丸紅では、 60歳以降の継続雇用制度を導入し、 原則、 希望者全員をその対象としています。また「シニアキャリア・マッチングシス テム」 により、 グループ内で有為な人材を有効活用していけるよう、 シニア層の人材流動化と適材適所の配置を目指しています。 05 社員と共に 健康管理への取組み Chapter ヘルスをテーマとした講座を設けています。 09年3月末現在、 継続雇用制度による社員数は40名です。 丸紅では、全社員を対象に年1回の定期健診を行っています。また海外赴任者・帰任者を対象に、赴任前と帰国後にも健診を 行い、健康管理の徹底を図っています。 ナショナルスタッフ (現地採用社員)向けe-Learning研修の拡充 海外赴任者とその家族のためのサポート・福利厚生 08年4月、海外ナショナルスタッフのコミュニケーション力向上を目指し、 日本語習得e-Learning(6カ月間コース) を導入し ました。08年度は第1期35名、第2期47名が受講しましたが、受講完了者やその上司から「本社やグループ会社とのコミュニ 丸紅では、海外赴任者とその家族が安心して赴任期間を過ごすための研修やサポートの仕組みを設けています。主なもの ケーションに役立った」 「言語だけでなく、 日本のビジネス慣習がよくわかった」など好評の声が上がっており、09年度以降も広く は以下の通りです。 海外各拠点に呼びかけ、 受講者を増やす計画です。 海外赴任者と家族へのサポート 障がいのある方の雇用の推進 住宅関連 ●留守宅賃貸サポート 丸紅は障がいのある方の雇用促進を目的とし、08年11月に丸紅オフィスサポート(株)を設立しました。同社は、09年2月に 子女教育関連 ●教育相談全般 ●通信教育案内 ●残留子女用学寮案内 現在、6名の障がいを持つ社員が就労しています。 厚生労働大臣より特例子会社*の認定を受け、 今後もより多く、障がいのある方に就労の機会を提供し、一層の社会参加と自立を支援していきます。 健康関連 ●メンタルヘルス相談 ●小児医療など各種医療相談 *特例子会社=障がい者の雇用に特別な配慮をし、障がい者の雇用の促進等に関する法律の規定より、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認定を 受け、障がい者雇用率の算定において親会社の障がい者雇用率に算定できる子会社。 障がいのある方の雇用率 ボランティア活動に対するサポート 丸紅グループでは、 ボランティア活動への参加を通じて、 社員の社会貢献への意識の向上を図り、 一企業市民として、 地域社会に 年度 障がい者雇用率 2006年度 2007年度 2008年度 1.79% 1.89% 1.98% 貢献していきたいと考えています。05年に「ボランティア休暇制度」を導入し、同時に発足した「ボランティア推進チーム」では、 社員のボランティア活動*への呼びかけを積極的に行っています。 ※数字は年度末 *2008年度に行った活動の詳細についてはP25をご覧ください。 47 48 Chapter 05 Marubeni CSR Report 2009 社員と共に Marubeni CSR Report 2009 Chapter 人材育成について 06 コミュニケーション 丸紅キャリアマーケット ジョブマッチングシステム 部門外への異動希望を申告・登録し、 実現につなげる 自分の能力を活かせる部門に異動したいという社員 積極的な情報開示 社内人材公募(全社人材公募・部門内人材公募) の希望、 こんな人材が欲しいという部署の希望−−こう ある部署が求人スペックを公表し、 人材を公募する した希望をつなげて異動を実現することを目的とする キャリア情報閲覧システム 全社員の所属歴、 公的資格、 語学程度、 特記事項などを一定の条件以上 の者が閲覧できる のが、 「丸紅キャリアマーケット」 です。 丸紅は、2008年2月、東証上場会社ディスクロー 行い、丸紅グループの開示姿勢のレベルアップを推進 ジャー表彰を受賞していますが、 さらに適正な情報開 しています。 年1回、 自己のキャリアプランを見直し、 異動希望などを申告する 示体制の構築・維持・管理のため、社長直轄の組織と また、08年7月には、情報開示に関する基本方針を 所の人材配置を図る社内人材流動化プログラムとし キャリア採用 して開示委員会を08年4月に設置しました。同委員会 制定し、株主・投資家をはじめとするステークホルダー て、 モチベーション向上、人材の有効活用、社員が創出 社外に人材を求める場合にホームページ上で公開している では開示に関する原則・基本方針案の策定、法定開 に、企業情報を適時、適切に、 わかりやすく開示する方 示・適時開示に関する社内体制の構築・整備および法 針を定めました。 社内研修体系 下記参照 する成果の極大化につなげています。 定開示・適時開示に関する重要性・妥当性の判断を 社内研修プログラム スクールのマネジメント層向け短期プログラムへの派 的な人材像として 「内外に通用する得意専門分野をも 遣」 を推進しています。08年度は、 ハーバード大学、 ワシ ち、 かつビジネスをトータルに構築できる人材」、 ならび ントン大学など国内外の大学やビジネススクールのプロ に 「事業経営を担えるような高いマネジメント能力を有 グラム受講のため、合計12名を派遣しました。 さらに、 する人材」 の育成を実現するため、 さまざまな社内研修 08年7月には、慶應義塾大学ビジネス・スクールと提携 プログラムを整備しています。 し、約7カ月間に及ぶ「イノベーティブマネジメントプロ その中で大きな比重を占めるのが「丸紅プロフェッ グラム」 を実施し、副部長・部長代理クラスの中から約 ショナルスクール」 と 「丸紅エグゼクティブスクール」 で 30名が受講しました。 す。前者は幅広い層を対象に、基礎的なビジネススキル このほか、 「 外国語研修生制度」や「ビジネストレー を、後者はマネジメント層を対象に、事業戦略や会社運 ニー制度」、MBA、 ロースクールへの派遣を行う 「専門 営のフレームワークの習得をそれぞれ目指すものです。 分野研修生制度」 といった海外研修生制度もあります。 2007年度からは、課長以上の層を対象に 「ビジネス ■事業会社(新任)役員研修 ■シニアライフプランニングセミナー ■ マーケティング・事業戦略・実践 ■ マーケティング・事業戦略・基礎 ■新任課長・チーム長研修 ■キャリアマネジメントセミナー ■ 投資決定 ■ 問題解決力養成 ■Mグレード変更時研修 ■簿記3級研修 ■ 管理会計 ■ 投資分析基礎 ■総合職入社3年目研修 ■海外勤務者赴任前研修 ■ M&Aを成功に導くための フレームワーク ■ 財務諸表分析 ■新入社員研修 ■外国語研修生 ■ マーケティング実務 ■キャリア採用者研修 ■ビジネストレーニー ■一般職研修 ■専門分野研修生 ■実務基礎知識研修・社内検定試験 ■英語・中国語研修 ■実務基礎知識e-Learning ■イノベーティブマネジメントプログラム ■部長研修 ■事業会社トップ研修 (1)関連法令および規則の遵守 金融商品取引法、 会社法などの関連法令および証券取引所の規則を遵守する。 (2)適時性 開示すべき事実が判明した場合は、 遅滞なく適時に情報を開示する。 (3)透明性 内容の如何にかかわらず、 常に事実に即して情報を開示する。 (4)正確性 誤解を招くことのないよう、 必要かつ十分な情報を開示する。 (5)公正性 開示する情報の内容について継続性を保持する。 その他 Basicコース ■次世代経営者ワークショップ 情報開示に関する基本方針 (6)継続性 Advancedコース 丸紅エグゼクティブスクール 06 ステークホルダーに対し、 同等にアクセス可能な方法で情報を開示する。 社内研修体系図 丸紅プロフェッショナルスクール 05 社員と共に/コミュニケーション 丸紅では 「多様なビジネスプロフェッショナル」 、具体 Chapter これにより、部門を超える異動が容易となり、適材適 キャリアプラン申告 (7)機密性 公式に開示を行うまでは第三者に情報を漏洩しない。 http://www.marubeni.co.jp/company/policy/003740.html (情報開示の基本方針) ■米国会計基準財務諸表の読み方研修 ■ビジネススクールのマネジメント層向け短期プログラムへの派遣 自己啓発支援制度 丸紅では、 従業員の自己啓発に対する意欲を従来以上にサポートするため、 05年から自己啓発支援制度を導入しています。 1)資格取得支援:適用対象となる資格*の諸費用を会社が支援するもの 2)通信教育支援:適用対象となる通信教育講座の費用を会社が支援するもの 3)自己啓発修学休業:適用対象となる内外のビジネススクール、ロースクールなどへの個人受験による修学に 際し、休職を認め、その費用の一部を支援するもの *<適用対象となる資格>中小企業診断士・公認会計士・税理士・弁理士・社会保険労務士・司法試験・司法書士・行政書士・宅地建物取引主任者など 49 50 Chapter 06 Marubeni CSR Report 2009 コミュニケーション CSRコミュニケーション IRコミュニケーション CSRレポート、CSRレポート・ダイジェスト版の発行 アニュアルレポートの発行 丸紅グループでは、2003年度まで、環境への取組み ポレート・ガバナンス、 コンプライアンス、人権・雇用、社 を記した 『環境報告書』 を発行していましたが、04年度 会貢献、 環境など、 CSR活動の現状と今後の方針につい からは 、社 会 性 、経 済 性 の 要 素 を 加 え た『 C S R て、 より一層、 理解を深めていただけるようにしています。 丸紅では『アニュアルレポート』 (日本語版、英語版) と 『会社案内(中国語 版)』を発行しています。これは、国内外の株主・投資家の方を中心に、丸紅グ ループの経営の方向性、各営業部門の戦略と強み、海外での事業活動などを Report』 として、 より広い側面からの取組みについて報 お伝えするものです。 告しています。06年度から、CSRレポートの掲載内容 写真やイラストを豊富に使用してわかりやすく紹介するとともに、ホーム を要約した 『CSR Report Digest』 も発行し、 より多く ページにも掲載しています。 のステークホルダーの方々にご覧いただくよう努めて http://www.marubeni.co.jp/ir/reports/annual_report.html(『アニュアルレポート』) 『アニュアルレポート 2008』 『会社案内 (中国語版)』 います。 Chapter また、 ホームページでは 『CSR Report』 (日本語版・ その他のIRツールの充実 英語版) の全文がダウンロードできるのをはじめ、 コー 『CSR Report 2008』 『CSR Report 2008 Digest』 06 IRツールは、株主・投資家の皆様との重要なコミュニケーション手段と考え、 コミュニケーション http://www.marubeni.co.jp/csr/index.html(「CSRへの取組み」) その充実を図っています。ホームページに株主・投資家の皆様の専用ページを 設け、決算や財務状況などを正確・迅速に開示しています。 幅広いステークホルダーとのコミュニケーション ̶ホームページの充実̶ さらに年2回、全株主に送付する株主レポート 『まるべに』は、 これまで105 回の発行を数えました。内容も、単なる決算報告にとどまらず、新聞報道され 丸紅では、 ホームページ上に、社是、経営理念などの ホームページにはメールによる問い合わせ窓口も設け た当社グループの事業をわかりやすく紹介する 「丸紅クリッピング」や「世界の 企業理念や、 『コンプライアンス・マニュアル』、株主総会 ており、 ステークホルダーの皆様との双方向のコミュニ 食卓」 といった、親しみやすい多角的な記事に加え、丸紅グループの取扱商品 関連情報、 有価証券報告書、 財務情報、 採用関連情報を ケーションを可能にする体制も構築しています。 情報などを掲載し、内容の充実を図っています。 掲載するなど、 ステークホルダーの方々への幅広い情報 また08年度は、子供向けコンテンツ 「丸紅キッズプロ 開示に努めています。 ジェクト 社会科の授業」 を拡張しました。 http://www.marubeni.co.jp/ir/(株主・投資家の皆様向け専用ページ) http://www.marubeni.co.jp/ir/reports/report.html(株主レポート) http://www.marubeni.co.jp/(丸紅ホームページ) IR情報 ホームページ 株主総会 株主レポート 『まるべに』 丸紅は、株主との最大のコミュニケーションの場は、 います。 また、総会に出席できない方のために、議決権 株主総会であると考えており、 6月末の集中日を避けて 行使の電子化、 当社ホームページ上で動画による報告 より多くのステークホルダーの方々に丸紅のことをご理解いただくため、 新聞・雑誌への 株主総会を開催することで、 できるだけ大勢の株主に 事項の模様の配信、質疑応答の要旨の掲載、英文招集 広告出稿やテレビCMの放映など、 マスメディアを通じた企業紹介活動を行っています。 参加していただくなど、開かれた株主総会を心がけて 通知の掲載などを行っています。 企業紹介活動 08年度は、中期経営計画 “SG2009” のサポートワード「期待を超えるパートナー、 会社紹介DVD 丸紅」をキャッチフレーズにした広告や、環境事業を紹介する 「世界中からエコを探せ。」 株主の構成 のシリーズ広告を制作しました。また、 会社紹介映像のDVDを改定し、 営業活動や展示会 所有者別内訳 (普通株式) などで活用しています。いずれもホームページ「企業紹介ビジュアル」コーナーでダウン ロードしてご覧いただくことができます。 さらに、08年12月には、創業150周年を記念した『アニバーサリーブック』 を和・英・中 その他 0.09% 外国人・ 外国法人 の3言語で発行しました。150年の歴史をベースに、現在の丸紅を牽引する事業や先見 26.25% 性を示すエピソードなどを紹介しています。 http://www.marubeni.co.jp/company/ad.html(丸紅企業紹介ビジュアル) 金融機関 (証券会社を含む) 40.49% 個 人 企業広告や事業を紹介するシリーズ広告など 24.91% その他国内法人 8.26% 「WEB社内報まるべに」が経団連からコミュニケーション賞 丸紅のイントラネットに公開されている「WEB社内報まるべに」が、日本経団連推薦社内報制度で 08年度コミュニケーション賞を受賞しました。この制度は、企画・内容・表現に優れた社内報を表彰するも ので、1966年に発足した歴史ある賞です。毎年200社以上の応募がありますが、丸紅のWEB社内報は 「肩の凝らない話題を通じて社員の交流を促進する」編集方針と特集企画などが高く評価されての受賞と なりました。 51 株主数 153,074人 (2009年3月31日現在) 配当の方針 持続的成長を通して内部留保を拡充し、重点分野へ 続していきます。配当については、各期の業績に連動さ の投融資に充当することにより、企業価値と競争力を せ、連結配当性向15%程度を目処に決定する現行の 極大化すると同時に、株主に対する配当を安定的に継 基本方針を踏襲します。 52 Marubeni CSR Report 2009 株主・投資家 Chapter 07 Marubeni CSR Report 2009 第三者意見 経済性報告 駿河台大学経済学部教授・経済研究所長 東京工業大学大学院理工学研究科兼任講師 水尾 順一氏 2008年度の経営の概況 当連結会計年度の売上高は、食料部門や電力・イン なお、米国会計基準に基づく 「収益」 は、4兆23億円 フラ部門で増収となったものの、 エネルギー部門、海外 と前連結会計年度比1,639億円 (3.9%) の減収となり 支店・現地法人、 ライフスタイル部門、化学品部門で減 ました。 収となり、前連結会計年度比1,695億円(1.6%)減収 連結総資産は、投資有価証券及びその他の投資の 丸紅株式会社(以下、同社)は2008年度に創業150周年を迎えました。今年度からは次なる 150年に向けて、ステークホルダーからの「期待を超えるパートナー」たるべく、 「持続的成長」を 目指した活動を進めております。2009年度のCSRレポートは、資源・エネルギーを強みとした 総合商社として本業を活かし、さらにはそれらを進めるグループ社員の活動報告も充実・強化させ ました。これらを中心として以下に第三者意見を申し述べます。 高く評価できる点 1. 同社の特色を活かした攻めと守りのCSRが十分に開示されています。 安全確保を需要課題として進めている状況も十分にうかがうことができま す。 特に2008年10月に制定した 「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」 は、 守りのCSRとして時代の要請にかなったもので、 川上、 川下も含めたCSR への貢献が期待されるところです。 売上総利益は、開発建設部門で販売用不動産の評 却により関連会社となった影響により、前連結会計年 価損による減益があったものの、食料部門、金属資源 度末比4,999億円減少の4兆7,073億円となりまし 部門、金融・物流・情報・新機能部門で大きく増益とな た。連結ネット有利子負債は、海外の資源関連案件及 2. 会社、 組合、 そして社員の三位一体になったCSR活動への取組みが十分に開示されています。 り、前連結会計年度比479億円(8.0%)増益の6,448 び海外電力案件等の新規投資による増加はあったもの 億円となりました。 の、上記のカリブ垂直統合型電力事業持分の一部売却 営業利益は、人件費を中心に販売費及び一般管理 の影響等により、前連結会計年度末比904億円減少の 費が前連結会計年度比で155億円の増加となったも 1兆9,116億円となりました。連結株主資本は、純利益 のの、売上総利益の増益により、前連結会計年度比 の積み上げがあったものの、外貨換算調整勘定や有価 339億円 (16.9%) 増益の2,341億円となりました。 証券及びデリバティブの正味未実現損益の悪化等に 持分法による投資損益は、流通関連会社株式の評 より、前連結会計年度末比2,126億円減少の5,671億 価損を計上したことから、前連結会計年度比337億円 円となりました。 この結果、 ネットD/Eレシオは3.37倍 となりました。 昨年のCSRレポートでは、会社(人事)と労働組合、 そして働く社員の三位 一体になった活動を今後の課題としてあげました。 2009年版では、 この点に ついて特集3で「ワーク・ライフバランス」 を中心とした内容と、Chapter5 「社員と共に」 で進められている様子が開示されています。特に近年CSRの 重要な課題となっている 「労働CSR」 について、 「ワーク・ライフバランス推進 タスクフォース」 の活動など、 一歩進んだ取組み状況をうかがい知ることがで きます。 このような活動こそが、 サーバント(部下を支援する)・リーダーシップとして 社員のモチベーション(ヤル気)や会社に対するロイヤリティー(忠誠心)を高 め、 厳しい不況下を乗り切るエネルギーともなります。 今後の改善に期待する点 1. CSRの自己点検と中期計画の立案・開示が期待されます。 同社のCSRレポートは毎年改善を繰り返しながら進化しています。 今後は その取組みをシステム化することが求められます。 それは、 SG2009の中期計 画の中におけるCSR計画の位置づけを明確にし、前年のCSR活動について 当初計画との差異を分析、 自己点検評価を行います。 その結果、 2009年度の 目標と課題を浮き彫りにさせることができます。 この活動をさらに、時代背景や社会が期待するCSRと、 自社の人・モノ・ 金・情報の経営資源から強みと弱みに照らし合わせて、優先順位などを一覧 で開示することも今後の課題です。 なお、 自己点検については、定性的なもの にとどまることなく、 たとえば「勇気の扉」への相談実数など、極力定量的に 把握し開示することで、 さらに充実した報告書となります。 上場株式の評価損や固定資産の減損により、 当期純利 2. 丸紅グループ・ トータルでの情報の開示が今後期待されます。 益は、前連結会計年度比360億円(24.5%)減益の 編集方針にもある通り、本社単独のみならず、 できる限り丸紅グループ全 体での取組みを開示することが望まれます。 トータルでの情報については、 環境面・人事面など、 現時点で把握できてい ない部分もあるかもしれませんが、 それらも含めて積極的に開示することで、 1,112億円となりました。 第三者意見を受けて 2008年度 連結売上高 2007年度 10兆4,621億円 10兆6,316億円 連結売上総利益 6,448億円 5,969億円 連結純利益 1,112億円 1,472億円 連結総資産 4兆7,073億円 5兆2,072億円 連結ネット有利子負債 1兆9,116億円 2兆20億円 5,671億円 7,798億円 ROA 2.24% 2.92% ROE 16.51% 19.31% 3.37倍 2.57倍 基本的1株当たり当期純利益 64.04円 84.93円 1株当たり配当金 10.00円 13.00円 連結株主資本 ネットD/Eレシオ 07 経済性報告/第三者意見 減少並びにカリブ垂直統合型電力事業持分の一部売 Chapter の10兆4,621億円となりました。 21世紀は環境の時代といわれる今日、同社は排出権ビジネスやリサイク ル、新エネルギー、海外IPP事業など、 「資源・エネルギー分野」 での本業を活 かした攻めのCSRを当レポートで特長的に開示しています。 また、 近年は食の安全・安心も消費者の重要な関心事であることから、 同社 は食料サプライチェーンの要として、 トレーサビリティーなども含めて、食の (60.5%)減益の220億円となりました。 これらに加え、 53 博士(経営学)、 日本経営倫理学会常務理事、 日本経営教育学会理事他 著書『CSRで経営力を高める』東洋経済新報社、 『セルフ・ガバナンスの経営倫理』千倉書房など 全グループさらには社員の意識も変わります。 「仕組みが変われば意識は変わる」。事実で意識を変えていくこともこれか らの同社に期待いたします。 CSR・環境委員会委員長 代表取締役 常務執行役員 國分 文也 貴重なご意見を頂き、ありがとうございました。 また、2008年度の資源・エネルギー分野での本業を活かした攻めのCSR、サプライチェーンにおけるCSRの展開、 ワーク・ライフバランス諸施策の推進などについて、高い評価を頂いたことを光栄に存じます。 1. 2008年度のご提案への対応結果 ・ 『ステークホルダーとの対話を意識した活動の強化』 SRI調査機関や当社訪問者との対話、 CSRレポート読者のアンケートを通じて、 当社CSR活動をどのように強化すべきかを考え、 改善に努めました。 例え ば 「部門におけるCSR活動への取組み」 の紹介を充実させるべきという意見に対しては、本年度版CSRレポートにて、食料部門における食の安心・安全確 保への取組みを特集として掲載しました。 また、 本ご提案を受け、 環境ジャーナリストの枝廣淳子氏へのインタビューを実施し、 当社CSRの方向性を示唆する貴重なご意見を頂戴しました。 ・ 『会社と社員、 従業員組合の 「三位一体型CSR」 活動の推進』 従来からの、 会社と従業員組合による労使問題に関する対話に加え、 新たにワーク・ライフバランスに関するタスクフォースを労使共同で組成し、 取組みを 深化させました。 更に、 環境分野では、 従業員組合でも 「環境意識向上キャンペーン」 への参加の呼びかけを行い、 労使一体でのCSR活動を推進しました。 2. 2009年度のご提案への対応予定 ・ 『CSRの自己点検と中期計画の立案・開示』 CSR取組みのシステム化については、 環境マネジメントシステム以外のCSR項目でも、 PDCA手法を取り入れることで、 継続的に改善することを検討致し ます。 また、 引き続きステークホルダーとの対話を通じて、 「時代背景や社会が期待するCSR」 を見極め、 優先順位の高い課題に取組んでいきたいと考えます。 ・ 『丸紅グループ・トータルでの情報の開示』 多種多様な業種が存在し、 かつグローバルな事業活動を行う当社グループの情報を一元的に把握する難しさはあるものの、社員の意識が変わるきっか けになることも期待し、 把握・開示方法を工夫してまいります。 54 会社概要 丸紅は、世界70カ国125カ所に広がる幅広いネットワークを活用し、 さまざまな商品・サービスを取り扱うとともに、各種プロジェクトへの事業投資・融資を行っています。 会社概要 (2009年3月31日現在、ただし※は2009年4月1日現在) 主要グループ会社 商 号 丸紅株式会社 Marubeni Corporation 創 業 1858年5月 設 立 1949年12月1日 資本金 262,686百万円 株主数 153,074名 発行済株式数 1,737,940,900株 従業員数 3,856名(その他、 海外事業所の現地社員376名 海外現地法人の現地社員1,219名) 国内事業所※ 11カ所 海外事業所・海外現地法人※ 69カ国114カ所 (海外事業所53カ所、 海外現地法人18社61カ所) 子会社 日清丸紅飼料、 パシフィックグレーンセンター、 ナックスナカムラ、 山星屋、 Iguaçu de Café Solúvel、 Columbia Grain International 関連会社 東洋精糖、 日清オイリオグループ、 ダイエー、 マルエツ、東武ストア 子会社 丸紅ファッションリンク、丸紅インテックス、丸紅メイト、 Marubeni International Commodities (Singapore) 関連会社 ファブリカ 子会社 丸紅紙パルプ販売、興亜工業、 丸紅建材、Tanjungenim Lestari Pulp & Paper 関連会社 丸住製紙、Daishowa-Marubeni International 子会社 丸紅プラックス、丸紅ケミックス 関連会社 Dampier Salt、 CMK Electronics(Wuxi)、Shen Hua Chemical Industrial 子会社 丸紅エネルギー、Marubeni Oil & Gas(USA) 関連会社 三井丸紅液化ガス、Shenzhen Sino-Benny LPG 子会社 丸紅メタル、丸紅テツゲン、Marubeni LP Holding、 Marubeni Aluminium Australia、 Marubeni Coal 関連会社 Toyo-Memory Technology、 Resource Pacific Holdings 子会社 丸紅エアロスペース、Marubeni Aviation Services、 Marubeni Auto & Construction Machinery America 関連会社 Kubota Europe 子会社 丸紅パワーシステムズ、丸紅電力開発、Axia Power Holdings、 Marubeni Caribbean Power Holdings、 Aguas Decima、 San Roque Power Corporation、 SmartestEnergy Ltd. 関連会社 Uni-Mar Enerji Yatirimlari、TeaM Energy、Lion Power(2008)、Hsin Tao Power 子会社 丸紅テクマテックス、丸紅プロテックス、丸紅テクノシステム、Royal Maritime、 Midwest Railcar 関連会社 加地テック、 Energy Infrastructure Investment 子会社 丸紅不動産、丸紅コミュニティ、丸紅不動産販売、 Shanghai House Property Development 関連会社 ティップネス、越谷コミュニティプラザ 子会社 丸紅物流、丸紅セーフネット、丸紅テレコム、丸紅情報システムズ、 丸紅インフォテック、 グローバルアクセス、 ヴェクタント 関連会社 エムジーリース、Eastern Sea Laem Chabang Terminal 鉄鋼製品事業部 関連会社 伊藤忠丸紅鉄鋼、丸紅建材リース、Thai Cold Rolled Steel Sheet 海外支店・現地法人 現地法人 丸紅米国会社、丸紅欧州会社 全 社(本部・管理等) 子会社 丸紅フィナンシャルサービス、丸紅パーソネルマネジメント 食料部門 ライフスタイル部門 沿革 1949年 (昭和24年) 12月1日 設立 (商号:丸紅株式会社、 本店:大阪市) [創立の経緯] 当社の前身は安政5年 (西暦1858年) の創業に始まるが、 ㈱丸紅商店、 三興㈱を経て設立された大建産業㈱が戦後、 過度経済力集中排除法の適用を受け、 同社の企業再建整備計画に基づき、 商事部門を継承する第二会社として設立された。 1950年 (昭和25年) 1951年 (昭和26年) 1955年 (昭和30年) 1960年 (昭和35年) 1966年 (昭和41年) 1966年 (昭和41年) 1972年 (昭和47年) 1973年 (昭和48年) 1985年 (昭和60年) 2001年 (平成13年) 2007年 (平成19年) 7月 11月 9月 2月 4月 6月 1月 11月 2月 10月 4月 大阪、 東京両証券取引所に株式を上場 丸紅ニューヨーク会社 (現、 丸紅米国会社) を設立 高島屋飯田㈱を合併して、 商号を丸紅飯田㈱と変更 名古屋証券取引所に株式を上場 東京支社を東京本社と改称 東通㈱を合併 商号を丸紅㈱と変更 ㈱南洋物産を合併 丸紅英国会社 (現、 丸紅欧州会社) を設立 伊藤忠商事㈱と共同して設立した伊藤忠丸紅鉄鋼㈱へ鉄鋼製品に関する営業を承継させる新設分割を実施 大阪本社を大阪支社と改称 紙パルプ部門 化学品部門 エネルギー部門 金属資源部門 輸送機部門 組織図(2009年4月1日現在) 生活産業グループ 株主総会 監査役 取締役会 社 長 監査役会 監査役室 食料部門 従業員数 (単体:2009年3月31日現在) ライフスタイル部門 (人) 5,000 素材グループ 化学品部門 経営会議 部門長会 執行役員会 55 3,586 3,562 3,677 3,729 3,856 3,000 プラント・船舶・ 産業機械部門 2,000 資源・エネルギーグループ エネルギー部門 金属資源部門 監査部 秘書部 総務部 人事部 広報部 経営企画部 市場業務部 情報企画部 経理部 営業経理第一部 営業経理第二部 営業経理第三部 財務部 リスクマネジメント部 法務部 貿易管理部 経済研究所 名古屋企画管理部 大阪企画管理部 4,000 紙パルプ部門 電力・インフラ部門 機械グループ 1,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 地域別従業員数 (単体:2009年3月31日現在) 輸送機部門 開発建設部門 その他 167名 電力・インフラ部門 アジア 267名 プラント・船舶・産業機械部門 欧州 87名 金融・物流・情報部門 北米 132名 金融・情報・不動産グループ 開発建設部門 金融・物流・情報部門 鉄鋼製品事業部 アブダビ商社推進室 日本 3,203名 国内事業所 海外事業所・海外現地法人 56 GRIガイドライン対照表 GRI『サステナビリティ レポーティング ガイドライン第3版』 と掲載ページの対照表は以下の通りです。 該当ページ 指 標 1. 戦略および分析 該当ページ 指 標 5. マネジメント・アプローチおよびパフォーマンス指標 1.1 組織にとっての持続可能性の適合性と、その戦略に関する組織の最高意思決定者(CEO、会長またはそれに相当する上級幹部) の声明 3、4、54 経済パフォーマンス指標 1.2 主要な影響、 リスクおよび機会の説明 13、16、17、18、31、33、37 EC1 収入、事業コスト、従業員の給与、寄付およびその他のコミュニティへの投資、内部留保および資本提供者や政府に対する支払いなど、創出および分配した直接的な経済的価値。 15、24、26-30、36、52、53 EC2 気候変動による組織の活動に対する財務上の影響およびその他のリスクと機会。 18、33-35 EC6 主要事業拠点での地元のサプライヤー (供給者) についての方針、業務慣行および支出の割合。 21 商業活動、 現物支給、 または無料奉仕を通じて、主に公共の利益のために提供されるインフラ投資およびサービスの展開図と影響。 24-30 2. 組織のプロフィール 2.1 組織の名称 55-56 2.2 主要なブランド、製品および/またはサービス アニュアルレポート EC8 2.3 主要部署、 事業会社、子会社および共同事業などの組織の経営構造 アニュアルレポート 環境パフォーマンス指標 2.4 組織の本社の所在地 裏表紙 EN1 使用原材料の重量または量。 34 2.5 組織が事業展開している国の数および大規模な事業展開を行っている、あるいは報告書中に掲載されているサステナビリティの課題に特に関連のある国名 アニュアルレポート EN2 リサイクル由来の使用原材料の割合。 34 2.6 所有形態の性質および法的形式 アニュアルレポート EN3 一次エネルギー源ごとの直接的エネルギー消費量。 34 2.7 参入市場(地理的内訳、参入セクター、 顧客/受益者の種類を含む) アニュアルレポート EN5 省エネルギーおよび効率改善によって節約されたエネルギー量。 32 以下の項目を含む報告組織の規模 ・従業員数 ・純売上高(民間組織について)あるいは純収入(公的組織について) ・負債および株主資本に区分した総資本(民間組織について) 2.8 ・提供する製品またはサービスの量 ・総資産 ・受益所有権(最大株主の身元、株式保有率など) EN6 アニュアルレポート エネルギー効率の高いあるいは再生可能エネルギーに基づく製品およびサービスを提供するための率先取り組み、 およびこれらの率先取り組みの成果としてのエネルギー必要量の削減量。 38-42 EN7 間接的エネルギー消費量削減のための率先取り組みと達成された削減量。 32、38-42 EN8 水源からの総取水量。 34 EN11 保護地域内あるいはそれに隣接した場所および保護地域外で、生物多様性の価値が高い地域に所有、賃借、または管理している土地の所在地および面積。 40 EN12 保護地域および保護地域外で、生物多様性の価値が高い地域での生物多様性に対する活動、製品およびサービスの著しい影響の説明。 42 EN13 保護または復元されている生息地。 40、42 3. 報告要素 EN16 重量で表記する直接および間接的な温室効果ガスの総排出量。 34 報告書のプロフィール EN18 温室効果ガス排出量削減のための率先取り組みと達成された削減量。 32、40 以下に関して、 国/地域ごとの内訳 ・総収入の5%以上を占める国/地域による売上/収入 ・総収入の5%以上を占める国/地域によるコスト ・従業員 2.9 2.10 以下の項目を含む、 規模、構造または所有形態に関して報告期間中に生じた大幅な変更 ・施設のオープン、閉鎖および拡張などを含む所在地または運営の変更 ・株式資本構造およびその資本形成における維持および変更業務(民間組織の場合) 報告期間中の受賞歴 アニュアルレポート 22、51 3.1 提供する情報の報告期間 (会計年度/暦年など) 1 EN26 製品およびサービスの環境影響を緩和する率先取り組みと影響削減の程度。 33-34 3.2 前回の報告書発行日 (該当する場合) 51 EN28 環境規制への違反に対する相当な罰金の金額および罰金以外の制裁措置の件数。 35 3.3 報告サイクル (年次、 半年ごとなど) 51 EN30 種類別の環境保護目的の総支出および投資。 36 3.4 報告書またはその内容に関する質問の窓口 51、別紙アンケート 労働慣行とディーセント・ワーク (公正な労働条件) パフォーマンス指標 報告書のスコープおよびバウンダリー 3.5 以下を含め、 報告書の内容を確定するためのプロセス ・ 重要性の判断 ・ 報告書内のおよびテーマの優先順位付け ・ 組織が報告書の利用を期待するステークホルダーの特定 14 LA1 雇用の種類、 雇用契約および地域別の総労働力。 45 LA2 従業員の総離職数および離職率の年齢、 性別および地域による内訳。 55 45 LA4 団体交渉協定の対象となる従業員の割合。 3.6 報告書のバウンダリー(国、部署、子会社、 リース施設、共同事業、サプライヤー(供給者)など)の詳細は、GRIバウンダリー・プロトコルを参照のこと 1 LA8 深刻な疾病に関して、労働者、その家族またはコミュニティのメンバーを支援するために設けられている教育、研修、カウンセリング、予防および危機管理プログラム。 46-47 3.7 報告書のスコープまたはバウンダリーに関する具体的な制限事項を明記する。 1 LA11 従業員の継続的な雇用適性を支え、 キャリアの終了計画を支援する技能管理および生涯学習のためのプログラム。 GRI内容索引 3.12 報告書内の標準開示の所在場所を示す表 49 人権パフォーマンス指標 57-58 HR1 人権条項を含む、あるいは人権についての適正審査を受けた重大な投資協定の割合とその総数。 43 HR3 研修を受けた従業員の割合を含め、 業務に関連する人権的側面に関わる方針および手順に関する従業員研修の総時間。 48-49 HR6 児童労働の事例に関して著しいリスクがあると判断された業務と、 児童労働の防止に貢献するための対策。 43-44 HR7 強制労働の事例に関して著しいリスクがあると判断された業務と、 強制労働の防止に貢献するための対策。 45 4. ガバナンス、コミットメントおよび参画 HR8 業務に関連する人権の側面に関する組織の方針もしくは手順の研修を受けた保安要員の割合。 43-44 ガバナンス 社会パフォーマンス指標 保証 3.13 報告書の外部保証添付に関する方針および現在の実務慣行。サステナビリティ報告書に添付された保証報告書内に記載がない場合は、 外部保証の範囲および基盤を説明する。また、報告組織と保証の提供者との関係を説明する。 54 4.1 戦略の設定または全組織的監督など、特別な業務を担当する最高統治機関の下にある委員会を含む統治構造(ガバナンスの構造) 15-20、32 SO1 参入、事業展開および撤退を含む、コミュニティに対する事業の影響を評価し、管理するためのプログラムと実務慣行の性質、適用範囲および有効性。 16-17、 33-34 4.3 単一の理事会構造を有する組織の場合は、最高統治機関における社外メンバーおよび/または非執行メンバーの人数を明記する。 15 SO3 組織の不正行為対策の方針および手順に関する研修を受けた従業員の割合。 20 4.4 株主および従業員が最高統治機関に対して提案または指示を提供するためのメカニズム 15、52 SO4 不正行為事例に対応して取られた措置。 7 4.5 最高統治機関メンバー、上級管理職および執行役についての報酬(退任の取り決めを含む)と組織のパフォーマンス(社会的および環境的パフォーマンスを含む)との関係 15 SO8 法規制の違反に対する相当の罰金の金額および罰金以外の制裁措置の件数。 20 4.8 経済的、環境的、社会的パフォーマンス、さらにその実践状況に関して、組織内で開発したミッション(使命)およびバリュー(価値)についての声明、行動規範および原則 13、23、31、32、43 製品責任のパフォーマンス指標 15-21 PR2 製品およびサービスの安全衛生の影響に関する規制および自主規範に対する違反の件数を結果別に記載。 20 PR5 顧客満足度を測る調査結果を含む、 顧客満足に関する実務慣行。 21 PR6 広告、 宣伝および支援行為を含むマーケティング・コミュニケーションに関する法律、基準および自主規範の遵守のためのプログラム。 50 PR8 顧客のプライバシー侵害および顧客データの紛失に関する正当な根拠のあるクレームの総件数。 20 4.9 4.10 組織が経済的、 環境的、社会的パフォーマンスを特定し、 マネジメントしていることを最高統治機関が監督するためのプロセス。 関連のあるリスクと機会および国際的に合意された基準、行動規範および原則への支持または遵守を含む 最高統治機関のパフォーマンスを、特に経済的、環境的、 社会的パフォーマンスという観点で評価するためのプロセス 15 外部のイニシアティブへのコミットメント 4.11 組織が予防的アプローチまたは原則に取り組んでいるかどうか、 およびその方法はどのようなものかについての説明 16-20、31-35 4.12 外部で開発された、 経済的、 環境的、社会的憲章、 原則あるいは組織が同意または受諾するその他のイニシアティブ 32、43 ステークホルダー参画 57 4.15 参画してもらうステークホルダーの特定および選定の基準 4.17 その報告を通じた場合も含め、ステークホルダー参画を通じて浮かび上がった主要なテーマおよび懸案事項と、それらに対して組織がどのように対応したか 11-12、 21、54 14 58 広報部 〒100-8088 東京都千代田区大手町1-4-2 TEL.03-3282-2176 FAX.03-3282-2331 http://www.marubeni.co.jp 発行 2009年6月