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Ⅱ 資源の適正利用 エコマテリアル (M-1~10) オゾン層の保護及び
Ⅱ 資源の適正利用 エコマテリアル (M-1~10) オゾン層の保護及び 地球温暖化の抑制 (M-11~18) 長 寿 命 化 (M-19~29) 水 循 環 (M-31~33) ●資源の適正利用 ◆エコマテリアル 再生骨材等利用 1 指針策定の背景 平成 12 年度の全国の建設副産物実態調査によると、コンクリート塊、アスファルト・コンクリー ト塊の再生利用は 100%近く行われているが、その利用先は再生砕石による埋め戻し材や裏込め材、 路盤材にとどまっている。今後は、高度成長期に建設された鉄筋コンクリート建築物等の解体に伴い 処理量が増大する一方、路盤材などとしての需要があまり伸びないことから、コンクリート用の骨材 としての利用等を含め、用途の拡大を推進していく必要がある。 図 2-1-1 2-1-1 平成 平成12年度における建設廃棄 12 年度における建設廃棄物 図 2-1-2 構造別除却建築量の推移 図 2-1-2 構造別除却建築量の推移 物の内訳(全国) の内訳(全国) 2 配慮すべき事項 【再生骨材(主としてコンクリート構造物を解体したコンクリート塊を破砕して造ったコンクリー ト用の骨材をいう。以下同じ。 )等の利用に係る事項】 3 適用用途と評価基準 全用途に適用 次のいずかの材料として、再生骨材等を利用していること。 段階2 ① ② ③ 捨てコンクリート 工作物に用れいられる現場打ちコンクリート又はコンクリート製品 その他これらに準ずるもの 4 解説 本指針では、路盤材、砂利事業等以外へ再生骨材等を利用することを段階 2 への適合とする。な お、再生骨材以外のリサイクル材料を骨材として採用する場合も、本段階への適合と見なす。 コンクリートへの再生骨材の使用、 特に構造物への使用にあたっては、 再生コンクリートの特性、 並びに使用にあたっての制約条件等について十分な知識と理解を有している必要がある。使用する 再生骨材の品質の基準については、建築構造用コンクリートの再生骨材について(財)日本建築セ ンターより「建築構造用再生骨材認定基準」が示されており、また土木構造物や土間コンクリート、 捨てコンクリート等軽易な箇所については、建設省(現国土交通省)総合プロジェクトにて「コン M-1 クリート副産物の再利用に関する用途別暫定品質基準(案) 」が示されている。 利用事例・・・躯体のコンクリート、捨てコンクリート、外構工事における土留め、よう壁、その他のコンクリ ート製品 5 取組・評価書記載事項 概要 ① ② ③ 再生骨材等を利用したコンクリートの利用の有無 ①の利用部位(外構工事における土留め材、基礎の捨てコンクリート等) 骨材等の種類(再生骨材、スラグ材を骨材としたコンクリート等) 6 参考 表 2-1-3 現行規格と製造可能なコンクリート二次製品の関係 A:3品目 ・JIS A 5371:2000 プレキャスト無筋コンクリート製品 ・JIS A 5372:2000 プレキャスト鉄筋コンクリート製品 ・JIS A 5345:2000 道路用鉄筋コンクリート側溝 ※旧規格(参考) ・JIS A 5302:1994 無筋コンクリート管及び鉄筋コンクリート管 →JIS A 5372:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5303:1993 遠心力鉄筋コンクリート管 →JIS A 5371:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5304:1994 舗装用コンクリート平板 →JIS A 5372:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5305:1994 鉄筋コンクリートU型 →JIS A 5371:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5306:1999 コンクリートL型及び鉄筋コンクリートL型 →JIS A 5371:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5312:1994 コンクリート組立土止め →JIS A 5372:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5318:1994 鉄筋コンクリートフリューム及び鉄筋コンクリートベンチ フリューム →JIS A 5372:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5321:1994 鉄筋コンクリートケーブルトラフ →JIS A 5372:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5322:1993 ソケット付きスパンパイプ →廃止 ・JIS A 5323:1997 コンクリート積みブロック →JIS A 5371:2000 へ統合廃止 ・JIS A 5338:1993 鉄筋コンクリートL形擁壁 →廃止 M-2 ① 完 全 リサ イ クル コ セメント:ポルトランドセメント等 ンクリートの製造 粗骨材:石灰岩砕石、珪酸質岩石砕石など 細骨材:石灰岩砕石、珪酸質岩石砕石など 混和材:高炉スラグ微粉末、フライアッシュ ②構造物の建設 コンクリート構造物 ③構造物の解体 コンクリート塊 ④再生骨材の製造 微粉末をセメント原料へ セメント原料 再生骨材 再生セメント ⑤再生セメントの製造 ⑥再生コンクリートの製造 再生コンクリート=完全リサイクルコンクリート 図 2-1-3 完全リサイクルコンクリートのマテリアルフロー 表 2-1-4 完全リサイクルコンクリートに使用できる材料 粉 体 セメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカ質粉末 シリカヒューム、石灰石微粉末 石灰石砕砂、珪酸質岩石砕砂、珪砂、高炉スラグ細骨材、膨張頁岩系人工軽量 細骨材、フライアッシュ焼成細骨材、銅スラグ砕砂、フェロニッケルスラグ細 骨材 石灰石砕石、珪酸質岩石の砕石又は砂利、粘板岩の砕石又は砂利 高炉スラグ粗骨材、膨張頁岩系人工軽量粗骨材、フライアッシュ焼成粗骨材 細骨材 粗骨材 《参考文献・出典等》 図 2-1-1 平成12年度における建設廃棄物の内訳:平成12年度建設廃棄物実態調査(全国版) 、国土交通省 図 2-1-2 構造別除却建築量の推移:建設副産物の現状と長期予測 高橋 泰一、建設省建築研究所 表 2-1-3 現行規格と製造可能なコンクリート二次製品の関係:東京建設廃材処理協同組合資料 図 2-1-3 完全リサイクルコンクリートのマテリアルフロー: コンクリート工学 Vol.35 友澤 史紀・野口 貴文、 (社)日本コンクリート工学協会 表 2-1-4 完全リサイクルコンクリートに使用できる材料:東京建設廃材処理協同組合資料 M-3 ●資源の適正利用 ◆エコマテリアル 混合セメント等利用 1 指針策定の背景 セメントの製造工程では、鉄鋼業界、電力業界、タイヤ業界、自動車業界等から各廃棄物・副産物 の受け入れを行い、資源循環を図っているが、石灰石(CaCO3)を主原料とするセメントは、その 製造過程で大量の CO2 を発生する。混合セメントには、高炉セメント、フライアッシュセメント等 の種類があるが、高炉セメントは、溶鉱炉から生成されたスラグ(鉱さい)をセメントの混合材とし て製造された混合セメントで、一方フライアッシュセメントは、火力発電所などの微粉炭ボイラーの 燃焼排ガス中から燃焼の際に生じる微細な石炭灰である良質なフライアッシュを混合材として用い たセメントである。これらの混合セメントの生産にかかるエネルギー総量、CO2 発生量にはいくつ かの考え方があるものの、普通ポルトランドセメントにかかるそれらより少ない。政府の地球温暖化 対策推進大綱においても、混合セメントの利用拡大を進めることとなっている。 2 配慮すべき事項 【混合セメント等の利用に係る事項】 3 適用用途と評価基準 全用途に適用 杭、特定建築物の地下部分その他の当該セメントが利用できる部分に、次に掲げるセメントのいずれか 段階2 を利用していること。 ① 高炉セメント B 種若しくは C 種又はフライアッシュセメント B 種若しくは C 種 ② 廃棄物を焼却した際に発生する灰を主たる原料としたセメント ③ その他環境に配慮したセメント 4 解説 グリーン購入法(※注 1)の「環境物品等の調達に関する基本方針」では、公共工事の施工にお ける特定調達品目として日本工業規格の高炉セメント B、C 種及びフライアッシュセメント B 種、 C 種が該当している。また、「平成 16 年度公共建築工事標準仕様書(国土交通省大臣官房庁営繕 部監修) 」では、場所打ちコンクリート杭の使用セメントとして高炉 B 種が標準とされている。 本指針では、これらの混合セメントを生産する工場が限られていること、水和熱の低さという特 性から地下の構造躯体等大きな断面のコンクリート構造物に利用されている場合が多いこと、長期 強度の発現までに通常のポルトランドセメントより養生期間を長く要する等から、建築物の躯体の 一部(基礎、杭も含む)にでも高炉セメントやフライアッシュセメントの B、C 種及びその他ごみ の焼却灰を利用したセメント等環境負荷の相対的に小さいセメントが使用されていれば、段階2へ の適合とみなす。 なお、近年ポルトランドセメントにおいても、副産物の利用が拡大しているが、本指針において は段階 2 への適合とみなさない。 利用事例・・・建築物の躯体、地下室部分、地中梁、基礎、杭基礎、耐圧盤等の発熱量の大きい大断面のマスコン クリート、鋼管コンクリート造での充填用コンクリート等への利用 M-4 5 取組・評価書記載事項 概要 ① ② ③ 混合セメント等利用の有無 ①の種別(高炉セメント、フライアッシュセメントその他) ①の利用部位(基礎、杭、耐圧盤等への利用) 6 参考 表 2-2-1 セメントの種類 種類 ポルトランドセメント (低アルカリ形を含む) 規格 普通ポルトランドセメント 早強ポルトランドセメント 超早強ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント 低熱ポルトランドセメント 耐硫酸塩ポルトランドセメント A種・B種・C種 A種・B種・C種 A種・B種・C種 高炉セメント シリカセメント フライアッシュセメント JIS R 5211:1997 JIS R 5211:1997 JIS R 5212:1997 JIS R 5213:1997 表 2-2-2 高炉セメント及びフライアッシュセメントの用途 種類 高炉セメント 種別 A種 B種 C種 フライアッシ ュセメント 特性 用途 普通セメントと同様の性質 (高炉スラグの含有 5%を超え、30%以下) a.初期強度はやや小さいが長期強度は大きい b.水和熱が小さい c.化学抵抗性が大きい (高炉スラグの含有 30%を超え、60%以下) 普通セメントと同様に用いられ る。 普通セメントと同様な工事 マスコンクリート・海水・硫酸 塩・熱の作用を受けるコンクリ ート 土中・地下構造物コンクリート マスコンクリート・海水・土中・ 地下構造物コンクリート A種 B種 a.初期強度は小さいが長期強度は大きい b.水和発熱速度はかなり遅い。 c.耐海水性が大きい (高炉スラグの含有 60%を超え、70%以下) a.ワーカビリティーがよい b.長期強度が大きい c.乾燥収縮が小さい d.水和熱が小さい 普通セメントと同様な工事 マスコンクリート、水中コンク リート 表 2-2-3 混合セメントの種類と特定調達品目の判断基準等 品目部類 混合セメント 品目名 高炉セメント フライアッシュ セメント 判断の基準等 【判断の基準】 ○高炉セメントであって、原料に30%を超える分量の高炉ス ラグを使用していること。 【判断の基準】 ○フライアッシュセメントであって、原料に10%を超える分 量のフライアッシュを使用していること。 M-5 ソーダ石灰ガラス、 生石灰、鉄鋼の 製造 (35.4 百万 t-CO2) 工業プロセス起源 石灰岩起源 (14.9 百万 t-CO2) (53.8 百万 t-CO2) ドロマイト起源 (0.4 百万 t-CO2) 非エネルギー アンモニア製造 起源 (35.4 百万 t-CO2) 廃棄物起源 焼却 (24.0 百万 t-CO2) (24.0 百万 t-CO2) 図 2-2-1 非エネルギー起源 CO2 の排出源と排出量 ※注1グリーン購入法 国等による環境物品等の調達の推進に関する法律 《参考文献・出典等》 表 2-2-1 セメントの種類:JASS5 鉄筋コンクリート工事 1997、 (社)日本建築学会 表 2-2-2 高炉セメント及びフライアッシュセメントの用途: JASS5 鉄筋コンクリート工事 1997、 (社)日本建築学会 表 2-2-3 混合セメントの種類と特定調達品目の判断基準等:グリーン購入法 図 2-2-1 非エネルギー起源の CO2 の排出源と排出量:中央環境審議会報告書 M-6 ●資源の適正利用 ◆エコマテリアル リサイクル鋼材利用 1 指針策定の背景 鋼材は、鉄鉱石とスクラップを原料に、高炉法と電炉法が一体となって機能補完しながら循環・再生 システムを構築し、リサイクルがほぼ完結している建設資材である。 建築物用の鋼材には、鉄鉱石を主原料に高炉で銑鉄にして転炉で鋼を製造する高炉材、スクラップの 鉄を主原料として電気炉で再び鋼材として再生した電炉鋼材がある。 現在、国内 1 年間に生産される粗鋼 1 億トンのうち原料としては約 3 千万トンがスクラップの鉄に より賄われている。平成 13 年の建築やその他自動車等の用途を含めた国内の鉄鋼蓄積は約 12 億トン と推定され、年々増加している。 図 2-3-1 わが国の粗鋼生産と電炉鋼生産の推移(平成 14 年) 日本では現在粗鋼のうち3割弱スクラップの鉄によるものであること、素材自体の分別・溶解なこと 等から、すでに資源の循環利用が完結しているが、今後解体する建築物が増加することから、構造部材 として鉄のリサイクルを更に推進する必要がある。 2 配慮すべき事項 【リサイクル鋼材の利用に係る事項】 3 適用用途と評価基準 全用途に適用 段階2 電炉鋼材その他のリサイクル鋼材を鉄筋以外の構造材料として利用していること。ただし、特定建築物 の全部が鉄筋コンクリート造である場合は適用しない。 M-7 4 解説 本指針では、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の建築物の構造材の一部に、建築主の環境配慮に対 する自主的な取組を目的とした、スクラップの鉄を原料の一部としているリサイクル鋼材を利用する場 合に段階2とする。ただし、鉄筋については、すでにその 90%以上がリサイクル鋼材が占めており、 本制度による促進を図る必要性が低い。したがって、本項目では鉄筋コンクリート造は対象としない。 リサイクル鋼材を使用する際には、現状では全ての構造材で対応できるものがないため、その材料をよ く理解したうえで、適正な箇所に使用する必要がある。 利用事例・・・・・中規模の鉄骨造の建築物における柱、梁材等の主たる構造部材、大規模の鉄骨造 の建築物における小梁材等の二次部材 5 取組・評価記載事項 概要 6 ① ② ③ 参 リサイクル鋼材の利用の有無 ①の構造用材料への利用の程度(特定の部分、大部分に利用) ①の利用部位(柱、梁材、小梁等) 考 図 2-3-2 日本の鉄鋼循環図(2001 年度) 国内で消費される鉄が、粗鋼の生産→製品化→消費→スクラップ鉄→粗鋼の生産というサイクルを形成 していることがわかる。 《参考文献・出典等》 図 2-3-1 わが国の粗鋼生産と電炉鋼生産の推移 平成 14 年 :(社)普通鋼電炉工業会資料 図 2-3-2 日本の鉄鋼循環図 :スチール缶リサイクル協会 M-8 ●資源の適正利用(任意記載事項) ◆エコマテリアル その他のエコマテリアルの使用 1 指針策定の背景 建築物で使用する建材については、生産から廃棄に至るライフサイクル全体を考慮に入れて、環 境負荷を低減できるものを選択することが重要である。本指針では、建築物に占める重量比が大き く、多くの建築物で一般的に使用される骨材、セメント、鋼材についておのおの基準を設けている。 この項目では建築主の判断で用いる環境負荷低減に寄与する建材についてもその特性に応じて「そ の他エコマテリアル」として建築主が任意に記載することができることとしている。ただし、再生 骨材や混合セメント等、他の項目ですでに計上されている材料は除くこととする。 2 環境配慮のための措置の取組事例 ① 耐久性が高い建設資材を使用する。 ② 循環的な利用が可能な建設資材を使用する。 ③ 環境への負荷の低減が図られた建設資材を使用する。 3 事例の解説 環境の負荷低減に寄与する材料について、次のような事例を掲げておく。 (1)耐久性が高い建設資材を使用する。 流通している同規格品に比べ、非常に耐久性の高い資材の利用 (2)循環的な利用が可能な建設資材を使用する。 ①再利用建材の使用 廃棄物や副産物を利用して製造された建設資材の利用 ②再生性の高い資源で作られた材料の利用 木材でいえば、人工林から生産され、かつ同一植林地で木が再び成育する条件が保たれる ものを資材として使用する。 ③材料の再使用の可能性が高い材料の使用 建築構成材の品質、機能、性能を、著しく低下させることなく、ほぼ同じ用途で他の建築 物で用いることができる。 ④廃棄・処分(埋立・処分)に伴う環境負荷の低い建材 廃棄処分しても、自然分解等して、環境負荷にならないもの及びふくまれている有価物が 回収・再利用できるものや、廃棄物処理施設で分解・処理が容易なものを利用している。 (3)環境への負荷の低減が図られた建設資材を使用する。 製造にかかわるエネルギー、また排出する温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、フロン等) 、 大気汚染物質(硫黄酸化物、窒素酸化物、有機化合物など)あるいは、水質汚濁物質が少な い物質を利用している。 4 取組・評価書記載事項 概要 使用するにあたっての目的及び使用する箇所について 詳細 具体的な建材の商品名等 M-9 5 参考 【シックハウス対策に関わる建築材料区分】 建築材料の区分 建築基準法の規制対象外 第3種ホルムアルデヒド発散材料 第2種ホルムアルデヒド発散材料 第1種ホルムアルデヒド発散材料 放散濃度 5μg/㎡ h 以下 5μg/㎡ h~20μg/㎡ h 20μg/㎡ h~120μg/㎡ h 120μg/㎡ h 超過 JIS,JAS 等の表示 F☆☆☆☆ F☆☆☆ F☆☆ 旧 E2、FC2 又は表示なし 【建築基準法(第 28 条の2)における共同住宅のシックハウス対策】 ①使用面積の制限 ・F☆☆☆、F☆☆・・・・使用面積の制限あり ・F☆☆☆☆・・・制限なし ②換気設備 換気 0.5 回/hの 24 時間換気設備の設置 ③天井裏など ・建材・・・・F☆☆☆以上 ・気密層(天井裏等と居室) 、換気止め(間仕切り壁と天井・床)による措置 ・居室、天井裏などの換気(第1種~第3種換気) M - 10 ●資源の適正利用 ◆オゾン層保護及び地球温暖化の抑制 断熱材用発泡剤 1 指針策定の背景 オゾン層は太陽光に含まれる有害紫外線(UV-B)を吸収し、生物を保護する役割を果たすが、近 年特に高緯度地域を中心に、その減少が深刻化しており、この UV-B の増加により、皮膚がんや 白内障の増加、免疫抑制等の人の健康への影響のほか、動植物の生育阻害等の生態系への影響が懸念 されている。このことから国内においては、モントリオール議定書の採択に伴い、1988 年にオゾ ン層保護法を制定し、オゾン層破壊の原因となる物質の規制を開始した。それまで空調用冷媒や洗浄 剤、建材や機器の断熱材発泡剤等に用いられてきたオゾン層破壊係数の高い CFC(クロロフルオロ カーボン)等は 1995 年末で生産が廃止され、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)も 2020 年に補充用の冷媒を除き生産の全廃が予定されている。 また、これらの物質は二酸化炭素に比べ数百から 1 万倍以上の地球温暖化効果をもつことから、 地球温暖化の原因とならない物質を使用するように転換を図っていくことが重要である。 一方、CFC、HCFC 等のオゾン層破壊物質の代替物質として、現在広く使用されている HFC(ハ イドロフルオロカーボン)も、きわめて高い地球温暖化効果をもつことから、平成 9 年の気候変動 枠組条約第3回締約国会議(COP3)で、排出削減対象に加えられている。 これらの CFC、HCFC、HFC は建築物の断熱材の発泡剤として使用されるが、開放的な状況にお ける使用が前提であるため、オゾン層破壊や地球温暖化の原因とならない物質への転換を図っていく ことが重要である。 近年、オゾン層破壊だけでなく、地球温暖化係数の低い炭化水素等による発泡剤の利用が見られる ようになっている。 図 2-5-1 日本上空のオゾン層の状況 (季節変化、太陽活動等の影響が含まれている。札幌においてオゾンの減少が大きくなる傾向がみられる) 出典:(気象庁 オゾン層観測報告 2001) 2 配慮すべき事項 【オゾン層を破壊しない断熱材の発泡剤の選択にかかる事項】 M - 11 3 適用用途と評価基準 全用途に適用 段階2 使用する断熱材の過半以上の部分について、オゾン層を破壊する物質及び地球温暖化係 数 10 以上の物質を発泡剤として使用しないこと。 4 解説 現場発泡硬質ウレタンフォームや押出ポリスチレンなど建築断熱材の発泡剤には、これまでオゾ ン層を破壊する物質が使用されてきた。しかし、代表的な発泡剤 HCFC141b が 2004 年で生産 (2004 年 12 月 HCFC の生産中止)・輸入が全廃となり、代替品である HFC134a への移行が すすみ、発泡剤の HFC 化が標準化している。なお、HFC 系の発泡ガスはオゾン破壊係数(ODP) が皆無であっても、地球温暖化係数(GWP)が HCFC よりも高くなる傾向がある。このようなこ とから、断熱材業界ではオゾンの破壊がなく(ODP=O) 、温暖化効果が少ない(GWP の少ない) 発泡ガスを採用する動きが強まっており、ノンフロン系の発砲剤の拡大が期待される。 このため、ノンフロン系発泡剤(地球温暖化係数 10 未満)の使用、あるいは無発泡性の断熱材 の使用を段階 2 への適合とする。 例)水発泡、鉱物繊維系断熱材など 表 2-5-1 断熱材の種類 分類 断熱材料名 無機繊維 系 発泡プラ スチック 系 木質繊維 系 主原料 グラスウール 高性能グラスウール ガラス ロックウール 高炉スラグ 玄武岩 モルタル ポリスチレン 断熱モルタル フォームポリスチレン 押出発泡ポリスチレン 硬質ウレタン フェノールフォーム インシュレーションボード セルローズファイバー ポリアソシアネート フェノール 木材 熱伝導率 ※ w/ m k 0.35~0.48 0.34~0.36 備考 不燃性 吸水吸湿で変形 0.034~0.036 1.5 0.025~0.033 0.025~0.033 0.021~0.022 0.024~0.031 0.045~0.052 0.038 日射による劣化 *熱伝導率の単位は、SI 単位系の場合 W/m・K 熱抵抗値=厚さ/熱伝導率(㎡・K/W) 熱貫流率=1/厚さ/熱伝導率(W/㎡・K) 5 取組・評価書記載事項 概要 詳細 ① 主として使用する断熱材の種類(硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム等) ② ①の利用部位 ③ 発泡剤を利用している断熱材の有無 使用する断熱材の発泡剤における、オゾン層破壊係数、地球温暖化係数 M - 12 先進国 先進国 先進国 全廃 全廃 全廃 先進国 全廃 図 2-5-2 モントリオール議定書に基づく規制スケジュール(1999 年 12 月改正) 物質のグループ毎に、生産量及び消費量(=生産量+輸入量-輸出量)が削減される。 注1) 消費量の基準量は、HCFC の 1989 年消費量+CFC の消費量×2.8% 生産量の基準量は、HCFC の 1989 年生産量と消費量の平均値+CFC の 1989 年生産量と消費量の平均消費量 ×2.8% M - 13 6 参考 【産業構造審議会 化学・バイオ部会 第 12 回地球温暖化防止対策小委員会(平成 17 年 6 月 16 日開催)資料より抜粋】 (1) ウレタンフォーム工業会、ウレタン原料工業会 ◆ ノンフロン化の一層の進展を図ることを意図して、2010 年度 HFC 使用見込み量 を 当初の 14,500t から 40%削減する(8,700 トン) ◆ 2004 年の HCFC141b の全廃に伴い、HFC245fa/365mfc への転換体制を確立 (2) 押出発泡ポリスチレン工業会 ◆ 2010 年の HFC 使用見込み量をゼロとする。 ◆ 2005 年のフロン使用見込み量は 100t 以下であり、ほぼノンフロン化(削減率は 97%)が達成される見込み。 《参考文献・出典等》 図 2-5-1 日本上空のオゾン層の状況 気象庁 図 2-5-2 モントリオール議定書に基づく規制スケジュール 環境省 表 2-5-1 断熱材の種類:グリーン庁舎計画指針及び同解説 建築材料の断熱性に係わる性能値の公表(通商産業省(H11 年 4 月 8 日) ) M - 14 ●資源の適正利用 ◆オゾン層保護及び地球温暖化の抑制 空気調和設備用冷媒 1 指針策定の背景 空調用の冷凍機は、冷媒を機械的に圧縮して高温・高圧にし、これを冷却して液化した後、膨張気 化させ、そのとき低温になることを利用して周囲の温度を下げている。 従来使われてきたCFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルカーボン)は、 気化するときの蒸発潜熱が大きい、可燃性がない、高い凝縮圧力を必要としない等の性質をもつため 長い間冷凍機の優れた冷媒として用いられてきたが、CFCはオゾン層保護法の成立により1996年に 廃止され、代替フロンであるHCFCも2020年までに段階的に廃止することとなっている。 空気調和設備用冷媒は、オゾン層破壊等の原因とならない物質を使用するように転換を図っていく とともに、地球温暖化対策の観点からは空調用冷凍機、カーエアコン等の冷媒に用いられているフロ ン類(CFC,HCFC,HFC)の回収及び適正な処理を義務付けるフロン回収破壊法の施行とあわせて、 これらの物質が大気中へ放出されないようにする必要がある。また、環境確保条例はこれらの機器の 整備におけるフロン類の回収、適正処理を義務付けており、空調用冷凍機等の修理、移設においても 適切な処理がされる必要がある。 2 配慮すべき事項 【オゾン層を破壊しない空気調和設備の冷媒の使用】 3 適用用途と評価基準 住宅用途以外に適用 使用する空気調和用設備の冷媒の半分以上の部分について、オゾン層を破壊する物質を使用しな 段階2 いこと。 4 解説 業務用ビル等の空調用冷凍機やビルマルチエアコンの代表的な空調調和設備用冷媒であった HCFC22(R22)は、モントリオール議定書により2004年より生産制限がはじまる。このため業 務用冷凍機では、HFC407C・410Aが主として用いられており、業務用冷凍機の冷媒は、HFC化 が標準化している。 一方で、家庭用冷蔵庫や、家庭用ヒートポンプでは、CO2等の自然冷媒等の利用によるノンフロン 機器が製品化されているが、業務用空調機冷媒のノンフロン化は現在開発段階であることから、使用 する空調設備の半分以上について、オゾン層破壊係数(ODP)がゼロである冷媒を用いることをも って段階2への適合とする。 5 取組・評価書記載事項 概要 使用する空調用設備の冷媒の種類(例 ハイドロクロロフルオロカーボン) 詳細 冷媒の量、オゾン層破壊係数、地球温暖化係数 M - 15 6 参考 表2-6-1 主なフロン系ガスのオゾン層破壊係数、地球温暖化係数(参考) 名 称 ODP (オゾン 層破壊係数) CFCベース (参考) 地球温暖化係数(GWP) CO2ベース 設定期間 100 年 寿命(年) クロロフルオロ カーボン類 塩素を含みオゾン層破壊の程度が 高い化合物 CFC-11 1 45 4600 CFC-12 1 100 10600 CFC-13 1 640 14000 0.8 85 6000 CFC-113 フロン系ガスの特徴及び用途 CFC-114 1 300 9800 CFC-115 0.6 1700 7200 ハイドロクロロ フルオロカーボン類 HCFC-21 0.04 2 210 HCFC-22 0.055 11.9 1700 HCFC-123 0.02 1.4 120 HCFC-124 0.022 6.1 620 HCFC-141b 0.11 9.3 700 HCFC-142b 0.065 19 2400 HCFC-225ca 0.025 2.1 180 HCFC-225cb 0.033 6.2 620 ハイドロフルオロ カーボン類 用途 ・発泡剤 ・業務用低温機器 カーエアコン、遠心冷凍機器等 ・洗浄剤等 塩素を含んでいるが、水素がある ため、オゾン層破壊の程度が小さ い化合物 用途 ・発泡剤等 ・業務用低温機器 ルームエアコン、パッケージエアコ ン、チリングユニット等 ・洗浄剤等 塩素を含まず水素を含んだオゾン層 破壊物質が全くない新代替物質 HFC-23 0 260 11700 HFC-32 0 5 650 HFC-41 0 2.6 150 HFC-125 0 29 2800 HFC-134 0 9.6 1000 HFC-134a 0 13.8 1300 HFC-143 0 3.4 300 HFC-143a 0 52 3800 HFC-152 0 0.5 43 HFC-152a 0 1.4 140 HFC-161 0 0.3 12 HFC-227ea 0 33 2900 HFC-236cb 0 13.2 1300 HFC-236ea 0 10 1200 HFC-236fa 0 220 6300 HFC-245ca 0 5.9 560 HFC-245fa 0 7.2 950 HFC-365mfc 0 9.9 890 HFC-43-10mee 0 15 1300 混合系 R-401A 0.037 - 1130 R-401B 0.040 - 1220 R-402A 0.021 - 2690 R-402B 0.033 - 2310 R-403A 0.030 - 3000 R-403B 0.020 - 4310 M - 16 用途 ・発泡剤 ・業務用低温機器 ・空調機等 ・洗浄剤等 塩素を含んでいるが、水素がある ため、オゾン層破壊の程度が小さ い化合物 用途 ・発砲剤 ・業務用低温機器 名 ODP (オゾン 層破壊係数) CFCベース 称 R-404A R-407A R-407B R-407C R-407D R-407E R-410A R-412A R-413A R-417A R-507A R-508A R-508B R-509A パーフルオロコンパン ズ PFC 系 CF4(FC-14 ) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.024 寿命(年) - - - - - - - - - - - - - 5560 (参考) 地球温暖化係数(GWP) CO2ベース 設定期間 100 年 3780 1730 2700 1650 1500 1300 1980 2220 1920 2230 2210 11940 11950 5560 0 50000 5700 CF4(FC-16 ) CF4(FC-218) C4F10 C4F12 C4F14 C3F8(FC-318) 0 0 0 0 0 0 10000 2600 2600 4100 3200 3200 11900 8600 8600 8900 9000 10000 R717 CO2 R600A 0 0 0 14 - 数週間 0 1 3 R290 0 0 数ヶ月 3 4 ◆冷媒の特性 種 別 R407C R410A 混合内容 HFC32/125/134a (20%/40%/20%) HFC32/125 (50%/50%) 用 途 パッケージエアコン ルームエアコン フロン系ガスの特徴及び用途 塩素を含んでいるが、水素があるた め、オゾン層破壊の程度が小さい 化合物 用途 ・発砲剤 ・業務用低温機器 塩素を含まずフッ素を含んだオゾン 層破壊物質が全くない新代替物質 ただし、大気中寿命は長い 用途 ・発泡剤 ・半導体洗浄、溶剤 アンモニア NH3 二酸化炭素 イソブタン(HC 系) プロパン ジメチルエーテル(DME) 備 3 成分 難燃性 2 成分 難燃性 考 NH3(アンモニア) 冷凍倉庫、製氷工場 業務用空調(実用化レ ODP=GWP=0 ベル※) 毒性あり CO2(二酸化炭素) 電気式給湯器 高圧 ※平成16年度省エネ大賞に「アンモンニアヒートポンプ」が受賞した。オゾン層破壊係数、 地球温暖化係数がともに0の自然冷媒「アンモンニア」を使用 M - 17 【産業構造審議会 日開催)資料】 化学・バイオ部会 第12回地球温暖化防止対策小委員会(平成17年6月16 (1)(社)日本冷凍空調工業会 ◆生産工場における冷媒漏洩率を2010年度において、2002冷凍年度(2001年10月~ 2002年9月)よりも10%低減する。 ◆低GWP冷媒(自然冷媒)使用機器の研究 ◆ HCFCからHFC冷媒への転換は2005年3月にて、業務用エアコンでは99%に達した。 (2)NEDO(独立行政法人/新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募事業への取組 ◆2005年(平成17年)から5年間をかけて、「ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発」 に向けた取組みを開始した。 《参考文献・出典等》 表 2-6-1 IPCC 報告書(2000 年)等に基づき作成 M - 18 ●資源の適正利用 ◆長寿命化等 維持管理、更新、改修、用途の変更等の自由度の確保 1 指針策定の背景 建築物は、躯体の耐久性はもちろんのこと、改変の自由度を確保し、長期に渡って求められた性 能を発揮することで初めて長寿命化対応が可能となる。長期に渡って同一建築物を利用していくこ とは、解体時の廃棄物発生や建設時のエネルギー消費を全体として抑制し、限りある資源の適正利 用を実現することができる。 このために建築物は、①運用時の維持管理の容易さ、②社会の変化により陳腐化することなく、 新たな時代に応じた空間を提供するために外装・内装・機械設備等の更新、改修を行えること、更 には必要に応じては用途の変更等を行えることが必要である。 ■標準的な建築モデルの場合 10年 20年 劣化 劣化 30年 40年 50年 60年 建替え ○物理的更新要求 改修 更新 ○社会的更新要求 維持管理 ■改善の自由度・長寿命化を目 指した建築モデルの場合 維持管理 15年 30年 45年 60年 劣化 75年 100年 建替え ○物理的更新要求 改修 ○社会的更新要求 維持管理 更新 改修 更新 維持管理 資源・エネルギー供給 内装・設備二次側 基幹設備 外装 躯体 廃棄物排出 ①維持管理の容易性を確保することによ り、施設・設備の性能と品質が長く維持 され、合わせて資源エネルギー消費と廃 棄物の削減を図ることができる。 ②改修・更新・用途/空間変更の容易性を確保すること により、使い勝手や機能に関する種々の変更要請に応 え、社会的劣化に伴う解体・廃棄を防ぐ。また改修・更 新に伴う道連れ工事を回避し、解体廃棄物の削減を図 る。更に劣化に伴う機能低下を防ぎ、資源・エネルギー 消費量の削減を図ることができる。 ③建築の長寿命化を図ることによ り、解体・新築に関わる資源エネル ギーの消費量を削減する。 また解体 に伴う廃棄物を削減することがで きる。 図 2-7-1 建築物の維持管理、改修、更新の概念図 2 配慮すべき事項 【社会の変化に適切に対応し建築物の長寿命化を図るために行う建築物の維持管理、更新、改修、 用途の変更等の自由度の確保に係る事項】 M - 19 3 適用用途と評価基準 (1) 住宅 段階2 躯体に影響を及ぼすことなく配管を維持管理することにより、設備の維持管理の容易性を確保すること。 段階3 段階2に適合し、かつ、次の事項をいずれも行うことにより、建築物の維持管理の容易性及び建築物の更 新、改修、用途の変更等への対応性を確保すること。 ① 専有部分に立ち入ることなく行える共用配管の維持管理 ② 住宅の間取り又は用途の変更に支障のない階高及び梁下の高さの設定 (2) 住宅以外の用途 段階2 次に掲げる事項のすべてを行うことにより、設備の維持管理の容易性を確保すること。 ① 空気調和の熱源側設備及び二次側設備の機械室、エレベータ機械室等への共用部分(ホテルの客室、 事務所の執務室その他の当該特定建築物の主要な用途に供せられる部分以外の部分をいう。)からの維 持管理のためのルート及びスペースの確保 ② 室内、天井内及びシャフト内に設置される設備機器、配管、配線、ダクト等の維持管理のための点検 口及びスペースの確保 段階3 段階2に適合し、かつ、次に掲げる事項のすべてを行うことにより、建築物の維持管理、更新、改修、用 途の変更等への対応性を確保すること。 ① 用途の変更等に支障のない階高及び設計荷重の設定 ② モジュール化等による室内空間の利用の柔軟性の確保 ③ 設備の集約化及びこれらの予備スペースの確保 ④ 機械室及び屋上に設置する機器の更新の容易性の確保 4 解説 本項目についての具体的な対応策は、個々の建築物のもつ諸条件によるところが大きい。このため、 東京都の提示する基準に対し、積極的に対応していることを特定建築主が自己検証して示すことで、 各基準への適合と見なす。 (1) 住 宅 PS PS バルブ操作開閉口 PS PS 2F 掃除、点検用開口 水 立 管 共共 用用 給排 水 立 管 点検用開口 3F 専用排水管 共用廊下 給水立管 共用廊下 専用住戸 掃除、点検用開口 住戸 清掃口 点検用開口 1F 2F 掃除、点検用開口 埋設給水管 ピロティ 埋設排水管 1F 図 2-7-2 段階2相当の事例 (2) 図 2-7-3 段階2に適合しない事例 共用配管に点検口が設けられており、清掃、点検が可能 共用配管の給水管、排水管が点検できない。 ある M - 20 (段階2) ... 配管類の維持管理の作業を行う際、躯体のはつりや撤去等構造体に影響を及ぼす改修工事が不要 となる配慮をしていることにより段階2とする。 ここでいう配管とは、共用及び専用の設備配管を 指し、給水管、排水管、ガス管を指す。共用配管の維持管理に必要な行為(清掃・点検・補修)を 行うため、適当な位置に点検口が設置されていること、共用及び専用配管が貫通部を除きコンクリ ート躯体に埋め込まれていないこと等が必要となる。 (段階3) 段階2に加え、将来の用途の変更や間取りの変更にも対応できるような、梁下や階高の高さが確 保されていることにより段階3とする。 評価基準の①では共用配管について、住戸等の専用部分に立ち入ることなく共用部分 (共用廊下、 共用バルコニー等)からの維持管理が可能となっていることとしている。 そのためには、設備の竪管が集約され、共用配管へは共用部分から容易にアプローチが可能であ り、補修用の開口が設けられ、配管、バルブ、継ぎ手等の維持管理ができるようなスペースが確保 されていることが必要となる。 評価基準の②では、本来の建築物がもつ耐久性を最大限に引出すため、共同住宅の改修や更新、 あるいは将来建築物の用途の変更や間仕切り変更等にも対応できる目的をもって計画することとし ている。 躯体のような高い耐久性が要求される部位と、専用配管や内装のように耐久性が短いもの、時代 の変化と共に可変性が要求される部分とを分けることが必要となってくる。そのためには、階高及 び梁下の高さを確保することにより、部屋の間仕切り壁を変更する際等に制限を少なくすることが 必要となる。 留意点 なお品確法第 3 条第 1 項に基づく評価方法基準では、共用・専用配管毎に点検、清掃、補修が行 える構造を詳細に定めているが、本指針では環境計画書の提出時期などを考慮し、「基本的な考え 方」を評価するものである。 表 2-1-1 品確法住宅性能評価基準との関係 段階2 維持管理対策等級2(専用配管)及び等級2(共用配管) 段階3 維持管理対策等級3(専用配管)及び等級3(共用配管) (2) 住宅以外の用途 図 2-7-4 段階2の事例1 各機械室内の設備機器(ボイラー、 冷凍機、温水ポンプ、冷水ポンプ等、 に対し、通路及びスペースが確保さ れかつ共用廊下を通じてアプローチ が可能である。 M - 21 事務室 空調機室 事務室 EV ホール 図 2-7-6 段階2の事例2 フロア中央部の共用廊下から各機械室(空調機器等)への維持管理スペース・維持管理ルートを確保している。 屋外機器 改修時の防水 鉄骨架台 (露出防水) 点検歩路 チェッカープレート 改修時の防水 (露出防水) 配管 屋外機器 置き基礎 押えコンクリート 束基礎 配管 押えコンクリート 構造床板 アスファルト防水層 アスファルト防水層 構造梁 図 2-7-6,7 段階3相当する上の機器更新に対応している事例(左)及び通常の事例(右) 屋外機器が直接屋上に置かれていないため、機器の更新の際、防水に影響を及ぼさずにできる。 用語について ・「維持管理」とは、設備類の点検、清掃、補修をいう。 ・「点検」とは、目視、触診による不具合の確認をいう。 ・「清掃」とは、簡易な清掃冶具による清掃を可能にする配管側での対策をいう。 ・「補修」とは、不具合に対する修理や部品の一部交換による初期性能の保持をいう。 ・「改修」とは、建築物の劣化した設備の性能、機能を初期の水準以上に改善することをいう。 ・「更新」とは、劣化した建築物の部材・部品や設備機器などを新しい物に取り替えることをいう。 M - 22 1,600 1,600 1,600 120 120 50 1,260 50 1,800 1,800 1,800 1,800 3,600 3,600 7,200 560 1,600 640 400 320 320 120 120 50 1,260 50 1,800 1,800 1,800 1,800 3,600 3,600 7,200 図 2-7-8,9 モジュール化による天井の配置例(左)及び照明器具及び机の配置例(右) 室内の寸法を規格化することにより、改修工事等の際、内装材等に工業化製品の使用が可能となる。 (段階2) 段階2では、建築物の維持管理の容易性を求めている。具体的な事例としては、 ① 各種機械室内の設備類の維持管理について、搬入口等から熱源機械室、空調機械室、エレ ベーター機械室等へテナント等の専用部分を通らずに共用部分(共用廊下、外構部分の共用 スペース)のみをルートとして資材の搬入等も伴う維持管理(清掃・点検・補修)を行える こと、及び各種機械室内に維持管理を行うスペースを確保していることとしている。 ② 室内の空調機やダクトの維持管理について、維持管理の作業の際、建築物の躯体や仕上げ に影響を及ぼさないための点検口やスペースの確保が必要である。 (段階3) 段階2の建築物の維持管理の容易性に加え建築物の改修・更新への対応性の確保をすることを 述べている。具体的な事例としては、 ① 基準階の階高および設計荷重の設定が、将来社会状況の変化により用途の変更にも対応で きるような、ゆとりのある計画となっている。 ② 室内空間を構成する照明、空調機器、室内家具、パーティション、天井等を一定のモジュ ールで規格化している。 ③ 設備スペースを集約化し、かつ設備の更新時に対応した予備スペースを設けている。 等があげられる。 5 取組・評価書記載事項 (1) 住宅 概要 詳細 ① 維持管理の容易性に係る事項(当該事項についての方針) ・専用配管の維持管理に係る事項(躯体への影響に対する配慮に関する事項) ・共用配管の維持管理にかかる事項 (躯体への影響に対する配慮に関する事項、作業の維持管理に関する事項) ② 更新、改修、用途の変更への対応に係る事項 (階高、梁下の高さについて用途変更や間取りの変更に対する事項) 上記の①、②についての具体策 ※品確法に基づく住宅性能評価の申請を予定している場合は、取得予定の維持管理対策等級を記載する。設計性能 評価書の交付を受けたときは、すみやかに評価書の写しを提出すること。 ※取得予定の維持管理対策等級がすべての住戸に適合しない場合は、全住戸の適合する住戸数ないしは、一部の住 戸が適合しない旨を記載する。 M - 23 (2) 住宅用途以外 概要 ① 維持管理の容易性に係る事項(設備のための維持管理ルート又はスペースの確保、設備の集約化及 び予備スペースの確保、設備機器の更新の容易性の確保に関する事項) ② 更新、改修、用途の変更への対応に係る事項(階高、設計荷重、モジュール化に関する事項) 詳細 (概要)における①及び②の具体策 ア)階高(基準階) 、イ)天井高(基準階) 、ウ)OA フロア高(基準階) 、エ)設計荷重(基準階) 6 参考 共用竪管(パイプ類が通るスペース) 共用通路から給排水管、ガス管などの修理や 交換ができるように住戸の外に設ける。 広い空間 柱や壁などの構造体に制約されない 広い空間を確保する。 住戸内配管・配線 パイプや電線を構造体 に埋め込まない。 高い階高 有効空間の確保 天井高3m以上、有効空間に余 裕ある二重天井や水勾配に配慮 した二重床を確保したり、将来 の模様替えに対応しやすいよう に階高を高くする。 高耐久の構造体 隣戸との壁 長期に地震などに対する強さを 保持できるように、耐久性の高い 材料を適切に組み合わせる。 将来取り外せるように造られているか、また は 2 戸を合わせて大きな住戸に改造できるよ うに 壁 の 一 部 が開 け ら れ る よう に な っ て い る。 図 2-7-10 スケルトンインフィル住宅のイメージ 将来の用途の変更や間取りの変更にも対応可能 《参考文献・出典》 図 2-7-2 日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説:(財)日本建築センター 図 2-7-3 日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説:(財)日本建築センター 図 2-7-6~7 新・LC 設計の考え方:(社)建築・設備維持保全推進協会 図 2-7-10 スケルトン・インフィル住宅:国土交通省 M - 24 ●資源の適正利用 ◆長寿命化等 躯体の劣化対策 1 指針策定の背景 建築物の本来持つ耐久性を十分に生かし長寿命化を図ることで、解体による廃棄物量の削減や、 新築時の資源とエネルギーの消費を抑制することができる。そのためには、躯体自体の劣化を防ぐ ことが重要であり、コンクリート造の場合には様々な劣化現象のなかで、主に経年によるコンクリ ートの中性化の進行により内部の鉄筋が発錆・膨張して、躯体に爆裂が生じることへの対策等が必 要である。 なお、鉄骨造における劣化対策については、オフィスビル等では、鉄骨の材料自身の耐久性が高 いこと、工場等では立地条件や工場の用途により鉄骨への防錆等の塗装の仕様が異なることから、 指針では対象外とした 。 中性化深さC かぶり厚さ 鉄筋の腐食量 許容耐力限界腐食量 きれつ発生腐食量 A D点の状況 部材耐力の低下 部材耐力の低下 D C ひびわれ発生 腐食曲線 B t0 C=A√t 中性化曲線 中性化寿命説による寿命 構造耐力の寿命 鉄筋 C点の状況 ひびわれの発生 t2 t3 時間 t B点の状況 鉄筋腐食の発生 中性化深さ 図 2-8-1 コンクリートの中性化と鉄筋腐食による耐用年数との関係 部材耐力が低下し、構造耐力の寿命がくるまでに要する時間は、 かぶり厚さが大きいほど長くなることを示している。 2 配慮すべき事項 【建築物の長寿命化を図るため、躯体部分の劣化の進行を遅らせるために行う次に掲げる事項】 ① 水セメント比に係る事項 ② かぶり厚さに係る事項 ③ 外壁の塗装、タイル貼り等による躯体の保護に係る事項 3 適用用途と評価基準 全用途に適用 段階2 特定建築物の全部又は一部が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造において、評価方法基準 3-1(3)ハ①a,b及びcの基準に適合すること M - 25 4 解説 コンクリートの品質に関しては、JIS製品に相当するものを前提とし、品質確保法の鉄筋コン クリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造における「劣化の軽減」に関する規定のうち、設計時で評価 することが適切な項目を抽出し、劣化対策の簡便な評価を行うこととする。なお、品質確保法は住 宅のみを対象とした規定であるが、本項目では全用途の建築物に適用する 品質確保法の評価基準では、 コンクリートの水セメント比及びかぶり厚さで等級が分かれており、 本指針においては、鉄筋コンクリート及び鉄骨鉄筋コンクリート住宅の劣化軽減対策における等級 3 のうち、(1)セメントの種類、(2)水セメント比、かぶり厚さ、(3)部材の設計・配筋に関する規定 をそれぞれ満たしているとき段階 2 とする。 (1)セメントの種類 ① JIS R 5210:1997 に規定するポルトランドセメント ② JIS R 5213:1997 に規定するフライアッシュセメント ③ JIS R 5211:1997 に規定する高炉セメント (評価方法基準第5 3-1(3)ハ①aより抜粋) (2)コンクリートの水セメント比とかぶり厚さについて 普通ポルトランドセメントを使用する場合、最小かぶり厚さが表 2-8-1 に掲げる各部位に応じ、 (イ)のかぶり厚さを確保する場合においては、水セメント比を50%以下、 (ロ)のかぶり厚さを確保する場合においては55%以下とすること。 (評価方法基準第5 3-1(3)ハ①bより抜粋) 水セメント比の計算について フライアッシュセメントの場合 混合物を除いた部分を質量とする 高炉セメントの場合 混合物の10分の3を除いた部分を質量とする なお、軽量コンクリートや中庸熱ポルトランドセメント又は、低熱ポルトランドセメントを使用する場合にあ っては適用する水セメント比について普通ポルトランドセメントの場合と異なる規定となるため、品質確保法の 「劣化の軽減に関する規定」を参照のこと。 表 2-8-1 最小かぶり厚さ (ろ) (い) 屋内 最小かぶり厚さ (イ) (ロ) 2cm 3cm 屋外 3cm 4cm 屋内 3cm 4cm 屋外 4cm 5cm 壁、柱、床はり又は基礎の立ちあ がり部分 4cm 5cm 基礎(立ち上がり部分及び基礎コ ンクリートの部分を除く。 ) 6cm 7cm 部 位 耐力壁以外の壁又は床 直接土に接し ない部分 直接土に接す る部分 注 耐力壁、柱又ははり 外壁の屋外に面する部位にタイル貼り、モルタル塗り、外断熱工法による仕上げ その他これらと同等以上の性能を有する処理が施されている場合にあっては、屋外 の部分に限り(ろ)に掲げる最小かぶり厚さを1cm 減ずることができる。 (3)部材の設計・配筋 施工誤差を考慮して設計かぶり厚さが設定されていること。 (評価方法基準第5 3-1(3)ハ①Cを抜粋) M - 26 5 取組・評価書記載事項 全用途共通 概要 詳細 ① ② ③ ④ ⑤ 水セメント比に係る事項(水セメント比の最大値) かぶり厚さに係る事項(要求されている設計かぶり厚さを確保するための施工誤差についての方針) 躯体の保護に係る事項(コンクリートの躯体を保護するための仕上げ材についての方針) 鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造以外の構造における躯体の耐久性向上のための措置 品確法住宅性能表示基準の劣化対策等級3(構造躯体等)の取得を予定している場合は、その旨を記 載する。 ②、③、④についての詳細 ※設計に関わる住宅性能評価書の交付を受けた際には、速やかにその写しを提出すること。 6 参考 (1) 日本建築学会建築工事標準仕様書(JASS5)の最小かぶり厚さ 完成した構造体における各部材の最外側鉄筋のかぶり厚さは、下表の値以上でなければならない。 部 土に接しない部分 土に接する部分 ※1 ※2 最小かぶり厚さ(mm) 仕上げあり※1 仕上げなし 位 床スラブ 屋根スラブ 非耐力壁 柱 梁 耐 力 壁 よ う 屋 内 20以上 20以上 屋 外 20以上 30以上 屋 内 30以上 30以上 屋 外 30以上 40以上 40以上 40以上 壁 柱・梁・床スラブ・壁・ 布基礎の立上り部分 ― 40以上※2 基礎・よう壁 ― 60以上※2 耐久性上有効な仕上げのある場合 軽量コンクリートの場合は、10mm 増しの値とする。 (2) 建築基準法施行令第 79 条(鉄筋のかぶり厚さ) (mm) 耐力壁以外の壁又は床 20 以上 耐力壁、柱又ははり 30 以上 壁、柱、床はり又は布基 礎の立ちあがり部分 40 以上 基礎(布基礎立ち上りの 部分を除く。 ) 60 以上 直接土に接しない部分 直接土に接する部分 ※ このかぶり厚さについては、プレキャスト鉄筋コンクリートで造られた部材 であって、国土交通大臣が認可した構造方法を用いるものは適用しない。 《参考文献・出典等》 図 2-8-1 中性化と鉄筋腐食による耐用年数との関係:日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説 (財)日本建築センター 表 2-8-1 最小かぶり厚さ:日本住宅性能表示基準・評価方法基準 M - 27 技術解説、 (財)日本建築センター ●資源の適正利用(任意記載項目) ◆長寿命化等 短寿命建築物の建設資材の再使用対策等 1 指針策定の背景 この項目は、建築物の敷地に借地権等が設定され、土地の利用権に期間の制限があるため、長寿 命化に対応することができないような建築物に対してのみ適用する。 近年は、土地を保有する時代から利用する時代へと変化しているため、資産のより有効な活用が 重要視されている。そのため、企業等の保有する遊休土地の一時活用手段として、軽易な構造の商 業施設等の建築物が今後も増加すると予想される。 そのような建築物では、使用される構造材や内外装材の再利用や再資源化を考慮することにより、 廃棄物の減量化、資源の循環利用等を促進していくことが重要である。 期限 用途 1年 3年 5年 10 年 15 年 商業・生産 駐車場ビル パワーセンター レジャー施設 スポーツセンター イベント施設 アミューズメントパーク 業務・住宅 計画道路内オフィス SOHO リースマンション 図 2-9-1 短寿命建築の用途として想定される事例 2 配慮すべき事項 【短寿命建築物(当該敷地が事業用借地権の目的である店舗その他の長寿命化を図ることが困難な 建築物をいう。 )において資源の適正利用のために行う次に掲げる事項】 ① 構造材の再使用(循環型社会形成推進基本法に規定する再使用をいう。 )に係る事項 ② 内装材及び外装材の再使用又は再生利用(循環型社会形成推進基本法に規定する再生利用を いう。 )に係る事項 3 適用用途と評価基準 短寿命建築のみに適用 段階2 次の事項をいずれも行っていること。 ① 構造材(基礎構造の部分等に用いられたコンクリートを除く。)のうちの半分以上の部分の再 使用が可能であること。 ② 内装材及び外装材のうちの半分以上の部分を再使用又は再生利用が可能であること。 M - 28 4 解説 ①については、構造部材(鉄骨等)の本文以上の部分を、解体がしやすく他の建築物への再使用 が容易な構造となっていることで段階2への適用とする。 その際、構造部材としてのみならず、切断され山止め材として転用する等、鉄骨の製品として再 使用する場合も含むものとする。 ②については、使用されている内外装材の半分以上の部分について再使用あるいは再生利用が可 能な仕様になっていることにより段階2への適用とする。 この項目においては、①、②の双方を満たすことにより、段階2とみなす。 なお、短寿命建築では、指針では建設資材の再使用、再利用について規定しているが、設備の機 器等においての再使用にも留意する必要がある。 循環型社会形成推進基本法に規定する 「再使用」 (資源循環利用推進基本法第2条第5項より)とは、 1 循環資源を製品としてそのまま使用すること。 (修理を行ってこれを使用することを含む。 ) 2 循環資源の全部又は一部をその他製品の一部として使用すること。 「再生利用」 (循環型社会形成推進基本法第2条第6項より)とは、 1 循環資源の全部又は一部を原材料として使用すること。 5 取組・評価書記載事項 概要 ① 構造材の再使用及び再生利用に係る事項(構造材の再使用や再利用の方法についての方針) ② 内装材及び外装材の再使用又は再生利用に係る事項(内装材及び外装材についての再使用や再利用 の方法について) 詳細 ①及び②についての具体策 《参考文献・出典等》 図 2-9-1 短寿命建築の用途として想定される事例:有期限建築(パンフレット) 、鹿島建設(株) M - 29 ●資源の適正利用 ◆水循環 雑用水利用 1 指針策定の背景 東京都では、水の有効利用や下水道施設の負担軽減を図るため、一定規模の大規模建築や開発事業 に対し、便所洗浄水や修景用水、散水などの雑用水(人の飲用その他これに類する用途以外の雑用系 用途に供する水をいう)に、雨水、下水再生水や循環利用水等の雑用水利用を指導している。 雑用水利用の方式には、建築物内で雑用水利用を行う個別循環方式、複数の建築物で共同で使用す る地区循環方式、下水処理場からの再生水を利用する広域循環方式等の循環型方式の他、主に雨水を 利用した非循環型方式がある。 本指針では、雨水を含めた雑用水の利用について定めている。 2 配慮すべき事項 【水の有効利用及び下水道施設への負担軽減を図るための雑用水(水の有効利用促進要綱(平成1 5年15都市計広第122号都市計画局長決定)第2条に掲げる雑用水をいう。以下同じ。 )の利用 に係る事項】 3 適用用途と評価基準 全用途に適用 「水の利用促進要綱(平成15年15都市計広第122号都市計画局長決定) 」及び「水の有効利 段階2 用施設導入の手引(平成15年15都市計都第122号都市計画局長決定)に従った雑用水利用 又は雨水利用を行っていること。 4 解説 本指針では、雑用水の利用及び雨水の利用を行うにあたり、東京都都市整備局で定めている「水 の利用促進要綱」に従った雨水利用をする場合、段階2に適合するものとみなす。 なお、その対象となる建築物及び開発事業は以下のとおり。 ① 延べ面積 10,000 ㎡以上の建築物 ② 都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)第4条第7項に規定する市街地開発事業のうち、開 発面積が 3,000 ㎡以上の開発事業 ③ 雑用水については、原則として表 2―10-1に定める利用方式に応じた対象建築物 留意点 1 特定建築主は雑用水(雨水を含む)利用にについて都市整備局及び関係局(水道局、下水道局、 衛生局等)と協議を行うことが必要である。 2 延べ床面積が 30,000 ㎡に満たない建築物で雑用水利用施設を設置した場合(雑用水利用施設 の構造、維持管理基準などに関する指導要領等は満たすことが必要である)段階2とみなす。 M - 30 表 2-10-1 雑用水の方式に応じた対象建築物の規模 雑用水の利用方式 対 象 建 築 物 の 規 模 雨水利用方式 延べ面積 10,000 ㎡以上の建築物 広域循環方式 延べ面積が 10,000 ㎡以上の建築物又は下水道事業者(下水道局)が定める基準に該当す る建築物 地区循環方式 延べ面積が 30,000 ㎡以上の建築物又は雑用水量(計画可能推量)が一日当たり 100m3 以上である建築物。ただし、延べ面積及び雑用水量の算定に当たっては、住居、倉庫及 び駐輪駐車の用に供する面積及び水量を除く。 個別循環方式 工業用水道利用 同 上 延べ面積が 10,000 ㎡以上の建築物又は工業用水道事業者(水道局)が定める基準に該当 する建築物 表 2-10-2 雑用水利用の方式 利 用 方 式 概 個別循環方式 循 環 利 用 地区循環方式 広域循環方式 工業用水道利用方式 要 備考(関連する要綱等) 建築物内で発生する排水を同一建築物内で処理し、雑用水と ・雑用水利用施設の構造、 して利用する方法 維持管理などに関する 指導要領 一定区画内の複数の建築物の排水を一ヶ所で処理し、各建築 ・雑用水利用施設の構造、 物の雑用水として利用する方式 維持管理などに関する 指導要領 下水処理場からの再生処理水(「再生水」という。 )を雑用水 ・下水処理水の利用に係 として供給する利用する方式 る要綱 ・再生水の利用に係る要 綱 工業用水道を利用し、雑用水として供給する利用方式 ・工業用水給水装置等施 工要領 5 取組・評価書記載事項 概要 ① ② ③ ④ 雑用水の利用の有無 雑用水の利用方式(個別循環、地区循環、広域循環、工業用水利用、雨水利用) 広域循環方式による再生水の供給区域の内外、及び供給エリア名 原水種別(個別循環方式、地区循環方式又は雨水利用方式の場合) (洗面所及び給湯室排水、冷却水、厨房排水、プール排水、雨水、その他) ⑤ 利用先 ・ 広域循環方式及び工業用水道利用方式の場合は、各事業者が別途に定める規定による。 ・ 雨水のみの利用~水洗便所洗浄水、散水用水、修景用水及びこれらに類するもの。 ・ その他の利用~水洗便所洗浄水、散水用水、修景用水及びこれらに類するもの。ただし、し尿を含 む原水を利用する場合は、水洗便所洗浄水の利用に限定する。 詳細 (個別循環、地区循環、雨水利用の場合) ① 処理方式 ② 計画水量(1日当たり計画水量) (雨水利用の場合のみ) ③ 貯留槽容量、集水面積 M - 31 6 参考 (注)1,国土交通省水資源部調べ(平成 12 年度調査) 2,雑用水利用コストは事務所ビルにおける個別循環方式での平均値 3,雑用水利用コストは建設費(耐用年数 15 年)と維持管理費から試算 図 2-10-1 雑用水利用のコスト(国土交通省水資源部資料) 使用水量が大きくなるほど単位水量あたりのコストは下がり、また上下水道料金が上がることから、コスト面に おいても適切な施設設計と維持管理により雑用水利用が上下水道利用に比べて有利になるケースも多い(表は平均 値であるが、個別ケースによるばらつきは大きい) 。 表 2-10-3 雑用水の循環利用(稼動中) 区分 個別循環 地区循環 広域循環 備考 件数(件) 288 162 96 循環利用水量(m3/日) 43,080 18,857 16,985 1.平成 13 年 3 月末現在 2.循環利用水量は計画水量 図 2-10-2 個別循環方式 上水道 上水系利用 公共下 水処理 場 水処理施設 雑用水系用途 個別建物 M - 32 公共用下水域 図 2-10-3 地区循環方式 個別建物 上水道 上水系利用 公共下水処 理場または 合併浄化槽 雑用水系用途 公共用下水域 水処理施設 地 区 図 2-10-4 広域循環方式 個別建物 上水道 上水系利用 公共下水処 理場 公共用下水域 雑用水系用途 水処理施設 《使用文献・出典等》 表 2-10-1 雑用水の方式に応じた対象建築物の規模:東京都都市計画局 表 2-10-2 雑用水利用の方式:東京都都市計画局 図 2-10-1 雑用水利用のコスト:国土交通省水資源部ホームページ 表 2-10-3 雑用水の循環利用(稼働中) :Planing of Tokyo、東京都都市計画局 図 2-10-2~4 雑用水施設の分類:排水再利用・雨水利用システム計画基準 建設大臣営繕官房監修 M - 33 同解説 平成9年版、