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文章耕 作 指 導の 構想
文章耕作指導わ構想 まえが書にかえて 坐 崎 康 次 ています。ど承知のように、来年琵からの国立大学入試改革に伴 い'二次試験に小論文を課す大学が増えました。このための対策が 暖 冬 と 言 わ れ な が ら も ' 中 国 山 脈 を 隔 て た こ ち ら で は 雪 に 悩 ま現 さ下の高校国語教育の切実な間道になっています。誠に主体性のな とですが'この変革は'現在の高校国語教育を見直す絶好のチ れ る 日 々 が 続 い て い ま す 。 ず い ぶ ん 久 し い 閉 ど 無 沙 汰 し て 申 しい 訳こ も ャンスのように思えますo以前からも作文教育の必要性は指摘され ありません.お元気でご活蛇のことと存じますo さ て ' あ る い は す で に F さ ん か ら お 話 し し て い た だ い て い る こて といましたが'少なくともわたしの場合'その実践は場当たりのお りのものでありました。今年からは否応なしに作文教育と取り か と 存 じ ま す が 、 わ た し は こ の 四 月 か ら 先 生 の 研 究 室 に 内 地 留座 学なさ せ て い た だ く こ と に な り ま し た 。 何 分 に も 降 っ て 湧 い た よ う な組 話まねばなりませんo作文教育を単に入試のための技術指導に拒し なるまいと思います。国語教育の目的に枠さす'確かな作文指 で ' い さ さ か 当 惑 し た り し ま し た が ' 現 場 に 出 て す で に 十 六 咋て 'は 日 十い 上t .---・蝣I--.-1 ':.;'蝣'・.'・・'.'-..-.!-・蝣!''・'II-I^小・;・-・ユ﹁ 々 の 小 も . t ∴ ノ ・ 化 し ' 一 . . ・ 蝣 ' ・ - ¥蝣 '-^ ・: .' ∴s ^. * ・ ' - Z ' ト 工 i - !.い' -' 痛感していましたので、喜んで志即した次第です。国語教師として ﹂ . . , ト ︰ 1 . ] ﹁ . ' - - - - ' - ' ' . * ' 折 り 返 し 点 に さ し か か っ た 今 、 改 め て 先 生 や 0 先 輩 の 指 坤 有 仰の いある研修を砧んで帰りたいと思っていますo (以下略) で、このさきの実践の方向を見定めることは'わたしにとってまこ とに有忠義な'またとないチャンスのように思えます。 勝手を許していただいた。さきの文章は'その際'指導教官の野地 いずれお目にかかった時'許し-ど相談申し上げるつもりです 先生に送ったあいさつ状の一節である。この論考は'その時の研修 が'わたしとしては'この半年で'作文教育実践のための方法を探 っ て み た い と 思 っ て い ま す 。 今 日 の 高 校 教 育 は ' 特 に 普 通 高 校結 で果報告のレポ1-を要約したものである。 は ' 大 学 入 試 の 動 向 に よ っ て 大 き な 影 響 を 受 け て い ま す 。 大 学 入 試l、文章排作指導の立場-なぜ・文章耕作指導か rrw-:りV .. V.C tI)がT.-J":&︰育に-*'.i-N心*-'蝣-:>3-㌢い・v*-・.*蝣'._- 359 再校での文章表現指導のあり方を考えようとする時'まず高校生 H 高校新入生の文章表現力の尖態 の'それも入学時の高校生の文茸表現力の実態を把握しておかねば 点について'分析'考察してみたい。ここに取り上げた資料は'次 ;ォらない。高校新入生は'どのような文章表現をしているか。その 部前に'次の課題を予告し'原稿用紙二枚程度で構想 昭和五十三年五月八日∼十日 O執準生徒 島根児立入凹高校普通科l年生(計二九名) のような手続きで収集したものである。 。執鐸日時 をまとめておくように指示する。 O執筆方法 恩師に知らせる手紙﹂ (手紙文) (<﹂料1) 卑 五日 ii ! a -359- 叩-三和(四二宕) ﹁高校生活のようすを中学時代の (論説文) 乙-1組(三八名) ﹁はたして-男女は同株でよいか﹂ 丙1三組(三九名) ﹁白と刑こ (随想文) 五〇分間の授業時間中に執節させ'未完成でも提出さ せる。 イ 表現からみた文節表現力の分析と考察 収集した三種の作文資料(以下、甲作文'乙作文へ丙作文と呼ぶ) について便宜的に﹁表現﹂と﹁内容﹂との両面から分析し'考案を 加えてみたい。次の(資料1)は'たとえば平井昌夫氏などが示 (珪1) している'作文の分析基準に従って'統計的に処理してみたもので ある。各分析基準について'不正確'不的確な表現の実数をあげて いる。 浴 笈 不 当 な う 逮 lJ. 諺 i の 不 省 的 略 確 I .当 、 梱 3 6 6 15 〟f 〝 〝 〝 上4 中 I ∴2 4 5 (資料1)から、生徒の文章表現力を考察して、それを項日ごと に箇条書きにしてみる。 ォJ* -・*記 l 原稿用紙の使い方については'概ね習熟している。 2 摸字 の漢字(訓)に対する注意がたりない。 7 校字で同音異義の字を誤用することが多いo表意文字として sa イ 点画が正確に記憶されていない字(似而非文字)がかなりあ ウ一般に認められていない略字を正字と思っている者がある。 3 送り仮名'仮名づかい について'誤りが多い。 ア 送り仮名の原則から例外となる語(活用語尾だけでないもの) イ 仮名づかいの誤りは比較的少ない。 多い。 B 用語 l ことばそのものは正し-ても'語の述川上、慣用的でない語が 2 音が似ている他の語を誤用したり(A2アと開通)、自分勝手 な造語を使うことがある0 多い。 3 難解語'古-さい文章語は乏しく日常会話に用いる卑俗語が 4 必要以上に大けさな修飾語をつける傾向がある。 い。 5 敬語を佼わない傾向があり'使っても不統1 であるものが多 6 1般に使用語愛が乏しいO語の概念把握があいまいであるO 360 9 I3 19 廿 中 頼 5 4 8 i 2 .か か 修 飾 壬 . L]石 口 の 位 置 が 不 過 r イ ウ ア イ ウ 不 ++. 当 ft な の 主 不 諺 照 し 、 省 略 { 衣 分 な 修 m 諺 並 列 の 関 焦 が 不 的 確 .禿 . 常 ウ イ ア オ エ ウ イ ア 71j 体 皮 と Pi It Fき 段 句 描 前 判 し文 又 三 つ く港 舵 リ1 文 節 と ′ 、 敬 落 尻 体 の し落 T 刀 17く 1 の 義 切 の 展 PL l し の あ の あ .て れ 混 開 の て ts. 不 い 閃 早 捕 ) +s. 不 の し 7? の K と 疎 い が り 的 ま iÈ) ま 罪 確 と の り 請 ま な I 理 り Ai 耶 下 す I 3 ほ 1 I3 4 人 人 !人 人 可 I市 円 下 下 I i 34 10 1 人 人 ∼ 冊 8 4 5 人 7 人 4 .文 としてのまとまり ー3 . 2 . 修飾の関係 1 . 主述の関 係 ?ft 1. 2. 3. 平 横 C 想. l 構 D C 構文 に接近している気がする。 次に'内容について分析し'-,考察を加えたい。qi作文のように' ロ内容からみた文章表現力の分析と考察, 具体的なテーマについて'・ありのまま表現することは1応できるよ 1・センテンス意識が希薄であるo構文上の緊密感がないo T般に センテンスが長い.杏きことばが話しことばに接近している。(B うである。しかし'乙作文'丙作文のように'抽象的なテーマにつ 3と関連) 2 冗慢な修飾語が多-(B4と関連)'主述の関係が不明確なも 創造的に組みたてたりすることは苦手であるものが多い。そこで、 いて'それを論理的に叙述したり'あるいは材料を集め'そこから 乙作文'丙作文について、その内容'特に文章表現の背後に働いて のが多い。 3一般に読点が少な-'読点をうつ原則がはっきりしていない。 いる思考のありようについて分析'考察したい.次の(資料2)は 乙作文の論旨のパターンを大まかに分類したものであるo ら'誤った判断をしているものがある。 4 現状認識の甘さ'語(特に抽象語)の概念把握のあいまいさか D 構想・L (資料2) いる場合は︰かなり明確な段落意識を持っているO (段落上'問 サーH'.甲作文のように︹ テーマが具体的でt.杏-内容がはっきりして ・題のあるもの -2S) 2・乙作文のように'抽象的、論理的思考を必要とする場合は'認 I(段落上聞鼠のあるもの1 、 , ・・識上の離散化(ユニット化),が難Lyr・段落意識が芝も-なるO・ 3 丙作文のように'連想的思考を必要とする場合は'段薪相互の SS) 論理的なつながりが希薄になる。(段落上'問題のあるもの - < M 5 ^ 4 制限時間内に古きあげることができないものが多いo (未完成 以上'表現からみた文章去視力の実態を総括して言えば'生徒の 文章表現は極めて安易だということである。全体の傾向として'い わゆる﹁昏きことば﹂が﹁話しことば﹂ (それも冗粒な日常談話) のように思考を展開しているかを図式化したものである。例えば'' 図表中の(A)は'﹁白と黙﹂という課題から﹁白・黒への好みや 感じ﹂についてだけ省いているものが六人いることを表わしてい や感じ﹂を述べ'さらに﹁自・詔から辿想される・Gの'こと﹂を述 る。同様に(B)は. '﹁白と累﹂という課題から﹁自・黒への好み べ、﹁人間性の充実﹂にまで思考を発展させているもので、それが ることができないもの﹂ (7 3S)'﹁深-掘り下げて考える この(資料3)から堵寮できることは'﹁豊かに'個性的に考え 一人いることを表わしている。 この(資料2)を考察すると、次のようなことが亭見ると思う。 である。丙作文からうかがえる生徒の思考は'きわめて貧困'浅薄 ことができないもの﹂ (イ ー53S)が'圧倒的に多いということ 者(830 (思考逸脱型)IDlt2 1 与えられたテーマからはずれて'自分勝手に論を展開している 以上'作文の内容、特に文茸表現に働いている思考のありようを で'皮相的であるといえよう。 中心に考察して'全般的に言えることは'高校入学段階ではまだ文 い 者 / 蝣 C 。 v ? " ^ 2一応テーマに即して書いていても'確かな思考がなされていな ア 単に感情的に判断するだけで'それ以上考えていない者(盟 章表現のための思考ができない。あるいはそういう習慣が確立され いま仮に生徒の作文を﹁表現﹂と﹁内容﹂とEに分けて'分析'考 げさな'軽はずみの表現でごまかしているのが実情である。 縁のようである。卑俗に亭teば'生徒は、自分のシラけた気持を大 にもお座なりで'生徒にとって'讃-ことによる充実感や甚びは無 ていないということであるOしたがってまた'文事表現態度もいか B3 考停止型)IAl'2t IA3t r'CQ(M'4 イ 現実の一面や表面だけ見て判断している老(思考飛躍型) ウ 状況にまかせてしまって'自分で考えない者(思考放東型) - A5 以上を総括すると、生徒の思考は、多く短絡的である。また具体 ている。結局のところ'文章表現において確かな思考を働かせるこ 察してきたが、両者は本来'敢然と切り離せない密接な関連を持っ るように思う。高校における作文指導は'この点に沌目して'その とができないというのが'入学時における高校生の最大の弱点であ 的なものを一般化してまとめること'逆に抽象的なことを具体的に 次に'丙作文について、分析し考察してみたいO次の(貿料S) 検証することができない者が多い。 は'﹁自LJ思﹂という謂題に対して'どういう材料をとりあげ'ど 362 (祭料S) 抽%fc (前ォ:'ミ'iS}-'*, ") 自・梨の相関性(抽象) 輔作文の考察 1 6 人 自・黒の対照性(炎体) ∵'山照に対する'蝣itsQX'Z応をするたけ'・/i>かな池川石できない-;^ ィ、"Hr;一かlC-作的な北川心か)するl^JJ-. 'j* さらに柁く門or,けてキ・与, -llj - ・ 4 人 ^J N ・>'白と黒の関係まで考えている の ﹁ 8 人 とのできないもの ユ'-jI-v判;.から抽・*﹂ナー︰・>蝣・蝣"つけているTPC ー363- れた土壌GOに 上の図は'耕さ 0 文章耕作指導の立場 と見てほしい。わ 育った作物(A) 弱点を補償する方向でなされねばならないと思う。 改めて言うまでもな-'いまわたしが考えようとしているのは' たし自身のそれを 高校国語科の作文指導のあり方である。したがってわたしの作文指 導も国語科教育の1巽を担うものでな-てはならないo国語科教育 含めて、従来の作 えるかにのみ意を 文指導は'いかに 注いできた。作文を生み出す生徒の精神には何の手だてを施すこと の基本目標については'さまざまの指摘があり'今詳かに考察をし させながら確かな思考力を育成するところにある。とりわけ汚くこ もなく放置してきた。わたしの﹁文章耕作﹂ということばには'文 作文の形をととの との指導は思考力の問題と切り離すことができないものである。そ 茸を生み出す生徒の精神にも目を向けて指導を加えたいという気持 つながっている。国語科教育の基本目標は'生徒に国語学力を確保 して賓くことによって思考力を育成するためには'文章去硯以前の ちがこめられている。生徒の精神を耕すことによrrて彼らの人格を ないが'前節で指摘した思考力の問題は、今日の国語教育の根本に 段階'野地相家先生の指摘する﹁沈黙﹂と﹁問﹂'あるいは大久保 育てたい。﹁文章耕作﹂という言葉には'国語科教育に寄せるわた (注2) 忠利氏の提唱する﹁内言﹂を意識化し'その段階では指導を重視す (注3) ることが大切である。こういう方向の指導は'精神発達の面から考 しの欲の深いロマンチシズムが秘められている。 大雑把に言って'わたしの文茸耕作指導では'﹁巾広-'深-、 えて・0高校生には特に必要であるOピアジュによると譜年期に'各 (注-) 人の理念を育てる抽象的な思考捜作を身につけさせることが'﹁性 めざして'自分な町にそれを体系化Ltその実践を試みたい。わた わたしはそこで'也祉秒思考力の育成を竺苑とする作文指導を り、.﹁文章表現の特質﹂と﹁文章表現過程﹂を分析し、文章表現に働 に立っ七'文茸とその成り立ちを考察するこTUが必要であるQ つま 指導をしたらよいか。それを明らかにするためには' 去現者の立場 いと考えているoそのために'具体的には何について'どのような の思考七た内容を確かに効果的に定看させる﹂ (作)指導を含めた しは、そうしたわたしの作文指導を﹁文章耕作指導﹂と裁づけたい 確かな思考をさせる﹂ (柿)指導を中心として'さらにそれに﹁そ と思う。明確な概念規定のなされていない言某を安易に使うことは にしなければならない。次章ではその点について考案を加えたいo -思考活動をとらえ'高校生に必要な文章表現力とは向かを明らか 格形成﹂のために特に重要であるという。思考力行成に結びつ-作 啓戒すべきであるが'とりあえずはこの言糞を比愉的に説明してか 文教育の使命は重大である?I. ぐほかはない。 364 二'文章耕作指導の内容 - なにを'文章所作指導か 1概に文章表現と言っても、それにはさまざまの形態があるO文 H 文章表現の特質からみた文章耕作指導の方向 章はどんな場面で'だれに(場面'相手)'何のために(意図)'何 を(内容)'どう(構造)去硯するかによって'その思考活動を異 にする.そうした'いわば文章の生態的類型から文章表現の特質を 考察し'わたしの文章耕作の方向を明らかにしたいo CIS-) を含めた言語活動の機能を五項目に分類している。わたしは'文章 い。 表現者白身の主体的立場に注口して'次の三項目に大別して考えた ㈲解発的機能 - 自己や自己をとりまく関係を見つめ、問題を明ら かにしたり'確認したりする。 したり'新しいものを創り出したりする。 ㈲創造的機能 - 自己や自己をとりまく関係を変革する方法を発見 現実的必要を無視した指導は'その効果が薄い。問題はそれだけで て昏かせた方が効果的であるとしているO碓かに生徒の発達段階や け'作文教育'就中'小学校段階でのそれは'只休的相手を意識し 西尾実氏は'讃きことばをその相手'場所によって三拝三期に分 との事び'充実感は'文章表現を通して、自己のかかえる問題を明 方法をさぐる時にB.Eに身についたものになる。また文章表現するこ したい。思考力は'自己にとって切実な間組を認識し'その解決の しの文章耕作指導では'むしろ㈹解発的機能'㈲創造的機能を充祝 機能を中心に据えて指導すべきだとする意見が多い。しかし'わた 作文教育においては'さきにあげた西尾尖氏のように'㈲伝達的 たり'指令したりする。 心伝迫的機能1日分の経験したことや考えたことを他人に伝達し はないように思う。一般に'日本人の雷-文章は'相手意識が強- らかにLt新しい発見の中で'自己および自己をとりまく関係を変 イ 文章表現の場耐'棚手 働きすぎており'それが逆に文章表現における精神的な甘えと日本 鞘Lt他人に共感を与えるところに生まれると思う。 いる。相手との正確なコミュニケーションを迂成するためにも'そ いて'そのような'相手や場に甘えた文章は通用しな-なってきて には'一一l宝抑表現は﹁対象面を志向作用に移行したり、志向作用を対 はさまざまの内容を含んだ文串があり'千差万別であるが'本質的 わたしたちは文草によって何を表現しようというのかo現象的に ハ 文事表現の内容 ( 括 i r t ) 語の非論理性を助長していると指摘する人は多い。生活の場が狭く ういう甘えを捨てた'いわば万人を相手にした普遍性のある文章が ( 汀 ・ o ) 固定していた昔はともかく'生活環境の変化が著しい現代社会にお 雷けるようにしなければならない。そうすることによって'確かな 象面に移行したりして'表現を成立させる方法である。﹂ とする時 いま﹁ わたしが文章耕作指導の中で特にとりあげようとしている 枝誠記氏の説に帰するであろう。 j ? e > : 思考力をつけさせねばならない。 ロ 文章表現の意図 わたしたちは何のために文章表現をするか。樺島忠夫氏は'文革 365 t剖-文章表現の過程 崩 臣^ms 1 推 板 ことは、単にt.I(モノ・コト)を客観的に孤写したり説明 ことなど文章表現においては不可能であるが)へ時枝氏の ⑳ 構 想 (アウトライン) したりするだけではなく(純粋に客観的に対象を把握する いう﹁対象に対する志向作用﹂の働かせかたである。従来' みることが主張されてきたが'わたしは生徒各人の価値観 ジャンル作文と称して'さまざまな形借の文部を訂かせて と切り結ぶ文章(総称して﹁思恕文﹂と呼びたい)を中心に ㊦ 探 索 ⑦ 判 ↓ O文章表現過程からみた文章耕作指導の内木 ついて考察するo で調べたり'改めて自分の周間を見直したりする﹁外部探索﹂もあ が明砕なテーマに質的転換を遂げる段階である。 次に に'﹁探索して得た資料を考黙して自分の#=きたいこと(テー いかを、もう少し分析的に明らかにする必要がある。次にその点 マ)を把挺する段階﹂ (⑦判断)があるO洪然たるテーマ (動機) 。な た め に は ' 文 事 表 現 す る に は ど う い う 思 考 柁 作 を 経 な け れ ば なるら 以上の方向をめざしたわたしの文耕作指呼をさら 1に 体E 化. す( る こなせる能力を育てることも大切であると思う。 の 構 造 に 迅 い が で て - る 。 こ の こ と に つ い て は 樺 ・ i ? 忠 夫 氏表が-T 詳-し7: く' 件が未定されてい"rt-['蝣'蝣'".いr-ZI- '/tに対-・Tる附^0中 1江'・) で使 Fい .=くべきものを探索するのである.この探索にはt H分の朝の中 整 理 し て い る 。 そ れ ぞ れ の 去 税 構 造 の 特 質 を 認 識 さ せ ' 自 在 に にあることをあれこれ思い浮かべる﹁内部探索﹂だけでなく'古物 洪そ 然たるテーマを把握しているのが普通である。少なくとも文事 す る 認 識 の し か た 、 表 現 意 図 ' 伝 達 の 方 法 ' 条 件 な ど に よ っ てに' ニvi:-去叫のItr3 文革表現をするという動機があって'まず﹁湘LJくべき内容を探栄 文章の基本的な構造として'時枝誠記氏は﹁時間的、雛時的'線 (的 i性 i格 =﹂ -を ) あ げ て い る が ' 文 章 は こ の 基 本 的 性 格 の 上 に 対 象すに る対 段階﹂ (㊦探索)がある0人が文事を胡く動根を持つ時'すで 条 据えて、基本的な文ホ耕作力を身につけさせたいと思う。 夜露co mit- ^ lrf さらに'﹁⑦で明らかになった明雄なテーマに従って'㊦で探来 イ文章の成立過程 た&料を取拾退択'補足して'材料を柴め'材料間の関係を型り 1 般 に ' 文 事 は ど の よ う な 迅 程 を 経 て 戊 立 す る か に つ い て は 'しさ ti,iZ) にに して叙述の.g序づけを行なう段階﹂ (⑳構想)がある. ま ざ ま の 指 摘 が あ る 。 わ た し は 文 罪 証 現 に 働 く 思 考 抹 作 を 大 まかか 瓜後に'﹁⑳で順序づけた材料にしたがって'尖際に文章化し' 次の四段階に分けて考えたいと思う。 366 材 料 選 び Hl J わけではあるまい。動機の段階で'どの程度テーマが限定されてい もちろん'すべての文章がこの段階すべてをふまえて表現される と下位語'類義語'同位語'対瀬端⋮など)について尤礎的な知識を 感を把握させ(正確な概念づくり)'語免の体系(開式語、上位語 に分けることができる.そのためには、語の持つ基本的な意味'語 えばt O確かな、鋭い(効果的な)語糞力と◎豊かな語繋力の養成 語資力を養成することはどういうことか。それをさらに詳しく言 るかによっても追いがあると思うO 前章の実態調査でとりあげた さらに文章化されたものを推鼓する段階﹂ (@表現)があるo 甲'乙'丙の作文は'それぞれ思考授作の段階をPi'にすると思う0 持たせることが必要であるo採水のL'体的な方法として、﹁プレI 判断とは'広義に規定すれば'﹁立論の統一作用﹂である.判断 fr.i) 叩作文は、かなり只体的にテーマが限定されているので'この謂腿 ン・ストI-ング﹂に習激ご亡せることも有効であろうO は言語では文形式によって表現されるため'ここで必要とされる国 ⑦ 判断∼構文力 に沿って材料を選ぶ段階(⑳構想の段階)から思考操作を始めれば ために資料を考察すること(の判断の段階)から始めればよい.と 語学力は構文力である。日本語の文滋硯はどのような判断を表わし よいO乙作文にしても'JE定か否定かの自分の立場を明らかにする ころが丙作文は洪然たるテーマである0日分なりに胡-内容をさが となく'いっさいが頭の中で操作されることが多い。わたしの文 が成立するのが普通である。しかも㊦∼⑳の段階は外に現われるこ れである。表現のための文法'思考形戊のための文法に習擁させる るべきではあるまい。これは確かな判断ができていないことの現わ 表現)が多いO このことは単に文法知識の次元の問題として片付け である.前章で考察したように'高校生の雷-文章には悪文(不整 ているかについて正確な知識を与え'それに習熟させることが大切 u w m : す(㊦探索の段階)ことから始めなければならない。 さらにまた'これら各段階の思考挫作はl過的になされるとは限 耕作指導は'そのような、文苛去硯以前の﹁沈黙﹂ (﹁内言﹂)杏 らない。各段階ごとにいくたびかフィードバックを-り返して文章 意識化し'指導することであった.そのためには各段階での思考操 るo取捨選択して幣理した材料を文章として線条化するためには﹁ この段階で中心的に働く国語学力は'構話力(構文章力)であ ことが特に大切である。 ⑳ 構想∼構話力 作のありようと、そこに中心的に働-国語学力について明らかにす U 文章表現過程に働-思考操作とその中心となる国語学力 ることが必要である。次にそのことについて考案を加えたい。 ㊦ 作東-j;V力 この二つの原理をふまえた文章展開の基本として、㈹t般化をめざ 離散化の原理﹂と﹁文脈の原理﹂に従わねばならないO わたしは' (托q・) 雷-べき内容を探索することは'時枝氏の国語を依りれば'﹁素 るO この三つの思考操作に門熟させ'論兜的な思考力を育成するこ す展開'㈲具体化をめざす屈閃、㈲類推による展開、があると考え (注11) る。つまりこの段階で要求される国語学力は語柔力であろう。 材﹂を探索することであり'そこに中心に働く言語は﹁詞﹂であ 367 とが大切である。 それは主に'対象(素材)と主体(表現者)との関わり(志向作用) ㊦∼⑳は文章表現以前の段階(内言)における思考操作であり' いわば文章の表現過程を逆にたどってみる操作である。わたしは' るには'その文章の要約作業をしてみることが最も効果的であるO 文章そのものを考察することは手薄になるo文茸そのものを考察す いものであるが'それらの指導は'とかく内容把握が中心になり' は教科書の文事の読解や日常の読雷の中でも指導しなければならな の問題であった。言うまでもなく'文事表現は常に読み手を予定し その文弔のすばらしさを生徒に体得させる指導を試みたいと思う。 すぐれた文章をできるだけ巾広く生徒に示し、要約作業を通して' ㊤ 表現∼修辞力'表記力 ている。読み手への配慮のない文章は十全とは言えない。この段階 ︹I︺文章耕作基礎力の育成 - 文苛表現の基碇力を挙っためには' で働く思考拙作は'読み手への正確な伝達をめざすものである.そ のためには'読み手を引きつけたり'わかりやす-したりする配慮 結果としての作品よりも'作品を生み出す過程を重視しなければな 指導を加えたい。この段階においては'短作文による集団指導が能率 考柁作をできるだけ単純化して抽出し'それに習熟するよう丹念な らないOそのためには前章臼節で考察した'文章表現過程ごとの思 (修辞力)'と正確な表記力が中心となる.修辞法や表記の基本につ いて習熟させることも大切である。 三、文章耕作指導の実践 - どう・文章所作指導か なるためには'さまざまの条件を訊たさねばならない。主なものだ で苔かせる文章は'前章H節で考察した﹁思想文﹂ (自己省察から ︹EJ︺文章耕作実践力の育成 - 本格的な長作文の指導であるOここ や創造の喜びを味わわせるよう配慮することが大切であると思うO 的であるoただ'知作文を蝉なるド-ルとしてではなく生徒に発見 けを列挙しても' わたしの文章耕作指呼が'実践として現場に根を下ろしたものに ①文章表現力を育成するための体系を持ったものであること。 人間省察にいたるもの'生活観祭から社会観寮にいたるもの)をー- ③教師の負担が過茄にならないものであること. て原稿用紙に書く前の指導を貢祝したい。また'ここでもできる限 に対する事後指導が主流であったように思う0わたしは'筆を取っ 導していきたい.従来の長作文指導では'寸評という形式で'偶人 心とLtしかも文章耕作拙作の即純なものから校雑なものへ賊次描 ②生徒の文章表現エネルギー(表現することの喜びや充実感)を喚 などである。わたしは'わたしの文章耕作指導をおよそ次のように 起するものであること。 大別したいと考えている。 で考えることは'生徒個人にとって刺激になるLt問題を多角的発 り集団習作や相互批評を取り入れたい。同1テーマについて'集団 展的に考察できると思う。教師自身も生徒の中に加わって'彼らの ︹o︺文章考察力の養成 - すぐれた文章をものにするためには'日 の文章を味読Lt そのすぐれた点を体感しなければならないOこれ 頃から、巾広-'すぐれた文章に接しなければならない。しかもそ 368 思想と切り結ぶことは柴しいことであると思う0 (資料4)文章耕作相野の体系 汲後に(資料4) (資料5)として、昨年度'わたしが試みた文 外 材 輩耕作指導の体系LLその実践の概要を示しておきたい。 蝣 ) 蝣 ㈱ 文章耕作の手順 ︹1︺ 文章耕作実践力の養成 , 蝣 . 蝣 i5 丙作文 - 随想文 - 日出諜作文 (資料5) 文辞耕作指導実践の概要 思想文 一年現代国語 ・v y-_; 増 的 拭-1_ ・T.小i-y?c-坑木:j-- ﹁論文の譜き方﹂より ② 清水幾太郎 ﹁日本語の個性﹂より ① 外山滋比指 370 ことばの定義づけ 中間テスト(20点分)A .﹁安岡輩太郎の幸福概﹂(llOO字) 期末テスト(S3-:小分)B ・=j-y批正 (四〇〇字) O ﹁伊豆の踊り子の読後感﹂ 短歌実作と批沖 屈 評 Ⅲ 深皿皿・・・-相互批評 川 T . ^ X t l ﹁現代科学と人間﹂より ⑤ 前桁和巳 ﹁悶絶の時代﹂より ﹁案内書﹂より @/ 寺川. 'Ji^ ◎ 小林秀雄 ﹁美を求める心﹂より ﹁日本の耳﹂より ⑧ 小介朗 ﹁夏目淑石﹂より. ' c ; _^ 2 二 様 汀 (このほかに特に担任しているクラスの生徒には'日直に朝のH・Rで随想文を朗読させ'添削指導をした。) 371 あとがき い検証を重ねて'少しでも碓かなものにしたいと思っている。その か。この論考をまとめるにあたって'わたしはしばしばこのことに (注3)同氏著﹃国語教育・梢迫と授業﹄ (注2)同氏若﹃国語教育原論﹄ i-.:-) ^A' . 実践報告は別の械会に諮りたい。 思い悩んだO研究室に閉じ込もって'いかに苗溝な理論を組み立て (注4)披多野完治著﹃子どもの認識と感情﹄ ﹁国語科教育学﹂は、はたして﹁学﹂としての体系を持ちケる ても'由実の国語教室での実践に結びつかないものであれば'それ - . ' z . t 、 小 1 . 、 ︰ * > - 人と人との問﹄、入不敏㍑Fことばの生態﹄などがあるO 一 (注6)その趣旨につながるものとして'例えば'外山滋比古老﹃ (注5)同氏著﹃言語生活の探求﹄ はまったくの妄想にすぎないものになる。 この論考は'わたしの文章表現指導実践のための設計図である。 い集めたレポートであるO ﹁構想﹂という銘の論考は'国語科教育 先人の理論や研究をかき集め'自分の実践に役立ちそうなものを拾 学にあっては研究の序論に過ぎない。 時間の現代国語の授業の中で、文畢表現指導を系統的に実践するこ 践を試みてきた。そして早くも挫折感を味わっている。わずか嬰1 (注1 1)同氏著r日本文法口語第﹄ (注10)例えば'林四郎著﹃文事表現法講説﹂などがある。 (注9)同氏署F文帝工学﹄ (注8)同氏著F文茸研究序説は i とは'至難のことである。まして'﹁まっとうな思考力を育てる﹂ (牲7)同氏若F表現の解剖﹄ という'先長い'あいまいな目的を持った教育災践は'今日の高校 をさらに構造的に改良したのが川喜田二郎氏cw 法) (牲nこの方法は'了メ-カのオズボーンの発案であるが'これ 昨年度'1年間わたしはこの設計図に従って'曲がりなりにも実 教育と基本的になじまない。直ちに大学入試に結びつけようとする cua=?-t:火E:L[jcでiE故諭) はどんな文を使っているか﹄の指摘も興味深い. めとして'多-の研究がなされている。浅野信著﹃日本人 (注13)このことについては'時枝誠記氏の﹁入子型構造﹂をはじ である。同氏著﹃発想法﹄に詳しい説明がある。 性急なプラグマティズムが'生徒だけでなく教師の中に、そして 他ならぬわたし自身の中にも'はびこっている。対外模試で国語の 成蹄が不振であったりすると、気になrてしょうがない。 しかし'わたしは国語教師としての夢と誇りを捨てるわけにはい かないO ﹁文章耕作﹂などという自分勝手な造語を蹴りかざし'大 ぶろしきを拡げた論考を公にするのは'後味が悪いことであるが' やはりここから出発するほかはない。今後'さらに実践による厳し 372