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輸入原料安定確保調査等事業
2.2 リン資源に関する有望国
2.2.1 ペルー
(1)基礎情報
ペルーは世界有数の鉱業国である。主要鉱物は金、銀、銅、亜鉛、鉛、錫等であり、
それらの多くは、国を南北に縦断するアンデス山脈に沿って採掘されている。ほかに
ホウ素、ケイ素、リン等の非金属も豊富であるとされている。ペルーの位置を図 2.2-1
に示す。
図 2.2-1 ペルーの位置
- 37 -
農業生産環境対策事業
ペルーの概況を表 2.2-1 に示す。
表 2.2-1 ペルーの概況
国名
Republic of Peru
面積
129 万 km2
人口
※2008 年
人口密度
※2008 年
2,850 万人
22 人/km2
首都
リマ
民族
先住民 45%、混血 37%、欧州系 15%、その他 3%
公用語
スペイン語(他にケチュア語、アイマラ語等)
宗教
キリスト教(カトリック)が大半
独立
1821 年(スペインより独立)
通貨
ヌエボ・ソル
ペルーの政治体制を表 2.2-2 に、歴史を表 2.2-3 に、それぞれ示す。立憲共和制を
布いている。行政の長は大統領であり、直接選挙により選出される。
表 2.2-2 ペルーの政治体制
政体
立憲共和制
大統領
アラン・ガルシア・ペレス
首相
ハビエル・ベラスケス・ケスケン
議会
一院制(120 名)
表 2.2-3 ペルーの歴史
1821 年
スペインから独立
1968~1980 年
軍事政権
1980 年以降
概ね 5 年ごとに大統領選を実施
2006 年
ガルシア政権誕生
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輸入原料安定確保調査等事業
ペルーの経済状況を表 2.2-4 に示す。かつて高インフレに苦しんできたが、物価上
昇率が 2009 年では 0.25%と改善してきている。
表 2.2-4 ペルーの経済(2009 年)
GDP(億 US ドル)
1,268
GDP 成長率(%)
0.9%
1 人当たり GNI(US ドル)
4,356
物価上昇率
0.25%
失業率
8.9%
為替レート(固定レート)
1 ユーロ=655.957CFA フラン
主要輸出品
銅、金、繊維製品、魚粉
主要援助国
米、西、独、日
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農業生産環境対策事業
(2)投資環境等調査
ペルーは鉱業国ということもあり、鉱業に係る法令・手続きや投資環境は整備され
ている。
ペルーの鉱業法は、以下のとおりである。
z
エネルギー鉱山省が管轄している。
z
鉱業一般法により、鉱業活動は土地使用権の所有を通じてのみ許可される。
z
認可面積に応じて、所有者は毎年、国へ鉱区税を支払う。
z
精鉱の販売額に応じて、所有者は国へロイヤルティーを支払う。
z
民間投資法により、外国からの投資に差別待遇が無いことが保障されている。
z
その他、鉱山保安法、閉山法などが制定されている。
環境保護については、鉱業環境規則により、鉱業活動所有者の環境保全維持義務や、
環境被害への責任義務が定められている。
ペルーの外資法は、以下のとおりである。
z
ペルー国憲法は自国の経済市場への民間投資に門戸を開放している。
z
また、市場競争を促進すると共に、全ての分野における活動或いは会社に対す
る外国投資に対し保証すると同時に、外国通貨の自由な保有と移転の権利も与
えている。
z
民間投資法(General Law for the Private Investment Growth)757 条では、ペルー
において投資を保有する全ての国内及び外国の個人及び企業に対し適用され
る権利と保証について規定しており、そこには、税・環境などの投資に係わる
経済問題に対する法的安定契約に関する規定も含まれている。更に、為替・価
格・諸税・関税・などについていかなる国内及び外国の個人及び企業において
も差別待遇が無いことを保証している。そして、輸出入と同様に貿易と産業の
自由を認めている。
z
外国にある企業が、鉱業権を所有するペルーの企業と共同でその鉱区を開発発
掘する契約を締結するにいかなる制限も無い(国境から 50km 以内の地域を除
く)。
z
税制、労働条件等を遵守すれば、いかなる形態の契約締結も法律で保護される。
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輸入原料安定確保調査等事業
(3)資源量・輸出入の状況
米国地質調査所の報告においては、ペルーにおけるリンの資源量も生産量も、数値
としてはともに報告されていない。ただし、図 2.2-2 に示すとおり、北部 Bayovar に
おける賦存が報告されている。
(出典)USGS “Minerals Information”より作成
図 2.2-2 リンとその他の鉱物資源の賦存状況
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農業生産環境対策事業
国連貿易統計によると、ペルーのリン鉱石の輸出入状況は、表 2.2-5 及び表 2.2-6
のとおりである。少量を輸出しているケースが多いが、これは新規取引先に対してサ
ンプルを輸出したものと考えられる。
表 2.2-5 リン鉱石の輸出量(2009 年)
輸出相手国
輸出量(kg)
割合
エクアドル
1,320,000
99.7%
米国
1,710
0.1%
マレーシア
1,000
0.1%
ブラジル
368
0.0%
メキシコ
202
0.0%
ドイツ
100
0.0%
アルゼンチン
100
0.0%
カナダ
50
0.0%
日本
40
0.0%
オーストラリア
18
0.0%
世界全体
1,323,587
(出典)国連貿易統計より作成
表 2.2-6 リン鉱石の輸入量(2009 年)
輸入相手国
輸出量(kg)
割合
モロッコ
100,329,720
90.3%
エジプト
10,698,090
9.6%
21,000
0.0%
中国
世界全体
111,048,810
(出典)国連貿易統計より作成
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輸入原料安定確保調査等事業
(4)最近の動向
ペルーでは、北西部の Piura 県の Bayovar 鉱山においてリン鉱石開発プロジェクト
が実施されてきており、2011 年 3 月現在、生産段階となっている。
このプロジェクトは、2005 年にペルー政府による入札が行われ、ブラジルに本拠
を置く Vale 社が獲得した。2008 年 9 月にはガルシア大統領列席のもと、鉱山の起工
式が行われた。プロジェクトにはリン鉱石鉱山の開発とともに、選鉱プラント、道路
(40km)、港湾設備の建設が含まれる。
2010 年 3 月には、プロジェクトの開発・操業実施のための特別目的会社(SPC)
が、Mosaic 社と三井物産に売却合意の発表がなされた。これは、SPC 株式のうち 35%
を 385 百万 US$で Mosaic 社に、25%を 275 百万 USA$で三井物産に、それぞれ売却
するというものである。
2010 年 8 月には、Bayovar 鉱山の開山式と選鉱プラントの開所式が行われ、リン精
鉱の生産が開始された。2010 年のリン精鉱の生産量は 1,000 千 t、2011 年は 3,900 千
t の計画であり、今後プラント拡張後に、2012 年には 5,900 千 t 生産する計画である。
これらのリン精鉱の大半は、ブラジルへ輸出され、肥料に加工される。
Vale による投資額は 566 百万 US$であり、プラント拡張に 300 百万 US$の追加投
資が行われる見通しである。
なお、Bayovar 鉱山近傍では、塩湖からの塩化カリ開発プロジェクトが実施されて
いる。2008 年 8 月にペルー政府による開発権の入札が行われ、Americas Petrogas 社
により落札されている。同社の子会社である GrowMax 社は 2010 年 9 月に、プレ FS
調査の完了を発表している。これによると、年間カリ製造量 25 万トン規模で、今後、
フル FS 調査の実施を検討するとされている。
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