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一新開放マクロ経済理論の一類型ー

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一新開放マクロ経済理論の一類型ー
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
(
61
)
論文
開放経済の動学的確率的過程分析
一新開放マクロ経済理論の一類型ー
岡田義昭
目次
I
はじめに
E
理論モデル
皿
対数線形化とカリプレーション
N 結び
注
参考文献
要旨
近年,経済のグローパル化の進展とともに各国金融資本市場の結合度が急速に高まりつつある 。 こう
した状況下で,一国の金利・物価などの金融変数や生産技術などの変化が,為替レートや国際間資本移
動を通じて実物経済のグローパルな動きとどのような動学的相互依存関係を有するか,
という問題を,
二国間開放経済動学的一般均衡モデルを用いて精査した 。 カリプレーションから得られた理論的動学経
路は,いずれも現実の経済の動きに良く合致したものと結論付けることができる 。
キーワード
新開放マクロ経済学 (NOEM) ,動学的(確率的) 一 般均衡 ( DSGE) モデル,対数線形近似式 , カリプレー
ション分析,インパルス応答
2
(
6
2
)
I
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
はじめに
1990年代半ば以降,今日まで,国際金融論,なかんずく開放マクロ経済学 (Open
Economy
Macroeconomics) ないしは国際マクロ経済学 (International Macroeconomics) の分野は劇的な
発展を遂げた 。 まさにトーマス・クーン 1) の 言う
“パラダイムの転換"である 。
従来,為替レートや国際間資本移動の動きを含むところのグローバル化したマクロ経済動向
を総体的・整合的に分析する理論体系としては,ケインジアン理論の骨格を成す IS-LM モデル
の開放化としてのマンデル=フレミング・モデル 2) が,開放マクロ経済学の標準的な分析フレー
ムワークとなっていた 。 しかしながら .1970年代に従来のマクロ経済学に対するいわゆる「ルー
カス批判」が起こると,それとの関連でこれらマンデル=フレミング・モデルに対し,①個別
経済主体のミクロ経済的行動原理に関する記述を欠いていることから,アドホックな定式化に
なり易く,また政策や制度に対する直接的な経済厚生的評価が出来にくい, ②静学モデルであ
るゆえ,経済体系の動学経路が把握できず,また,経済主体の有する予想の役割が明確に定義
されてない,という指摘がなされるようになった め。本来 ,個別経済主体が過去の経験のみなら
ず将来を見越して最適化行動をとるならば,予見されたショックは合理的に行動する人々の各
パラメータを変更させ
したがって
そうした変更メカニズムが明示的に組み込まれたマクロ
経済モデルでは,動学的経路はそうでない経済モデルと比べて大きく異なってくるはずである 。
その結果として,経済政策が本来の意図した効果を発揮できずに中立的ないしは無効となる場
合もあり得る。 1990年代以降,マクロ経済学分野ではこうしたルーカス批判に応える形で“動
学的(確率的)一般均衡のSGE) 理論"が急速な発展を遂げた 4) 。新たに開発された理論モデル
は,①個別経済主体の最適化行動というミクロ的基礎付けを有している,
②独占的競争関係と
価格の粘着性をベースに,より現実経済のパフォーマンスに即した理論を組み立てている, ③
パックワード・ルッキング的な最適化行動のみならず,予想の役割を明確に定式化したフォワー
ド・ルッキング的な要素を取り込んでいる,などの特色を備えていた 。 これら動きに呼応して,
1995年には,オブズフェルドとロゴフが上述した DSGE 理論を基底に据えたいわゆるオブズ
フェルド=ロゴフ・モデルと称される“二国間開放経済動学的一般均衡モデル"を初めて提唱
した 5) 。 それ以来,同モデルを基本型として様々な方向へ発展させた「“新"オープンエコノ
ミー・マクロ経済学 (NOEM)J が次第に広く活用されるようになった 。
こうした国際金融論分野の流れのなかで,今日ではマンデル=フレミング・モデルで追い切
れなかった部分に新たな研究フロンティアの拡大する傾向が顕著である 。 近年とりわけ進展の
著しい分野は,例えば,経済のグローバル化の発展とともに各国金融資本市場の結合度が高ま
りつつあることを受け,一国の金利・物価などの金融変数や生産技術などの変化が,為替レー
トや国際間資本移動を通じて実物経済のグローバルな動きとどのような動学的相互依存関係を
有するか,という問題の探求である 6) 。 このことにより,情報通信技術の革命的進歩にともなっ
(
6
3)
開放経済の動学的確 率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一 類型
3
て急速にグローバル化が進む今日の状況下で,錯綜した不透明な経済の動きを一定の明断な論
理に則って体系立ってトレースすることが可能となるし
したが っ て特定の経済政策効果を抽
出して評価することもできる 。 なかんずく,フォワード・ルッキング的な最適化行動が明示的
に導入されたモデル分析の政策評価に対する意義は大きい 。
そこで本稿では,まず続く第 H 章において,新開放マクロ経済学発展の礎を築いたオブズフェ
ルド=ロゴフ・モデル 7) ならびに動学的(確率的)一般均衡理論の計量 モデル化におけるパイ
オニア的労作となったスメッツ=バウターズ・モデル8) に依拠しつつ,
二 国間開放経済動学的
一 般均衡モデルの 一類型を構築する 。 ついで第 E 章において,それら理論モデル体系に関して,
動学的均衡解=定常状態からの近傍義離に対する対数線形近似式を導く 。 その上で,各構造パ
ラメータを設定し構造ショックのインパルス応答を求めることにより ,
主要マクロ経済変数
の動学経路を理論モデルで“複製"してみる 。い わゆるカリプレーション分析である 。 こうし
た一連の作業により,当該モデルの特性を評価することで ,
その有効性を確認する 。
E 理論モデル
1 モデルの素描
我々の想定する 二 国間開放経済では,企業 ,家計,政府の 3 部門から構成されるものとする 。
自国の各企業 j は区間 (0ス ]ζR に,また外国の各企業 j は同じく区間 (n ,l) C R に連続的に
1
1
分布するものとする 。 さらに各企業はブランド力などにより差別化された 1 種類の財サ ービス
(消費財サ ービスと 資本財サ ービスの 合成財)を生産し,自固ならびに外国に販売する。
自国の各家計 i は同様に区間 (0ス]亡 R に,また外国の各家計 i は同じく区間 (n , l)
1
cR
1
に連
続的に分布するものとする 。 各家計は労働を企業に提供して賃金を受け取るとともに企業から
利益配分を配当として受け取り,さらに期をまたがる価値保蔵手段として保有する債券ストッ
クの利子所得とともにそれら所得を対価に自国財サービスならびに輸入された外国財サービス
を購入・消費する 。 また,家計は投資家としての側面を持ち,資本ストックを所有しつつ企業
に 一 定の資本レントで貸し付け,また資本スト ッ クへの 資本財サービス投資をおこなうものと
考える。
財サービス市場ならびに労働市場はともに独占的競争の状況下にあると仮定する 。 すなわち,
多数の企業が生産活動を行い,企業の市場への参入 ・退出が自由であるという 点で は競争的で
あるが,他方において各企業は,“差別化"された財サービスを生産することによ っ て独自の需
要関数に直面し
ある 。 また ,
したが っ て財サービス価格に決定力・支配力を有するという点では独占的で
それぞれの財サービスはある程度まで相互に代替的であり,価格の過度の引き上
げは自社製品から他社製品に需要がシフトする可能性があるという意味では各独占的企業は
「競争」関係にある 。 他方,多数の家計も労働市場への参入・退出が自由であるという点では競
争的であるが,単純技能職,専門技術職,事務職,管理職など独自の職業能力に基づく異質的
4
(
6
4
)
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
な差別化された労働力を企業に提供することによって個別労働需要関数に直面しそれゆえ,
賃金率に決定力・支配力を有するという点では同じく独占的である 。 また
労働も財サービス
同様ある程度まで相互に代替的であり,過度の賃金引上げ要求は競争的に他者へ雇用がシフト
することもあり得る 。
国際間取引は,消費財サービスに限定される 。 それゆえ
資本財サービスに関しては便宜的
に圏内市場のみの取引とする。国際的に取引される消費財サービスの決済には,満期が 1 期の
自国通貨建ておよび外国通貨建て各債券が用いられる 。 さらに財サービスや債券の国際間取引
には,
自由に変動する名目為替レートが随伴する 。
自国・外国の政府当局は,また,財政収支の均衡を図るとともにさらに一定の政策目標を達
成すべく金利を主要政策変数とする 。
こうした開放経済の枠組みの下で,各家計は所得制約式,資本ストック制約式ならびに個別
労働需要関数を条件として将来に亘る効用を最大化し,また各企業はそれぞれの生産関数と自
己の生産する財サービスの需要量 とを制約条件として各期における利潤の最大化を図る 。 かく
して,それら各部門の経済主体の主体的均衡によって一意的に定まった自国・外国の財サービ
ス需給量,労働需給量,債券ストック需給額が,それぞれの市場でグローパルにクリアーされ
市場均衡が達成される。
以下,
これら二国間開放経済動学的一般均衡モデルのスケッチをさらに厳密に定式化してみ
よう 9)o
2
家計
a
選好
自国の各家計 (ViEOス ]CR 1 ) は次のような消費習慣 (consumption h
a
b
i
tpersistence) 仮説 10)
に従うところの同形的 (isomorphic) 効用関数を持つものとする 。
(
1
)
Ut
(i) ニ Et [L:~=t
゚s-tUs(
i
)
],
一{ C/i) -hC
1
(
i)
}
l-(J
s
s(
i
)=
ただし
_
VtE {l, 2; 一}
Ls
(
i
)
l+V
1+V
ß (ε (0,1)) :時間的割引率
h (ε
ρ
[0, 1) ) :消 費習慣係数
( >0) ,
v(>0) :定数
E [・] :期待値オベレータ
ここで,
自国家計 i の自国財サービス消費指標 CH (のならびに外国財サービス消費指標 CF (の
に対し経済の開放度 α(ε(0,1) )を全消費財サ ービスに占める輸入財サービスの比 率で定義
すれば,各家計の財サービス消費指標 C は,自国と外国間の財サービスにおける代替の弾力性
(
6
5
)
5
で定義される。ただしここで PH は自国通貨建て表示による自国財サービス価格指数を •
PF
開放経済の動学的確率的過程分析一新開放マクロ経済理論の一類型一
を η(
>1)
として,
「
1111Ill111
」
/,.‘、
日川
η
α
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一
+
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一一
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「11114111111L
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、
ι
〆'z‘、、
仁
、‘,ノ
/,‘‘、
つω
で表されるものとする 。 さらにこの (2) 式に対応した各価格指標は,
(
3
)
ト[(1 -a)P~t- IJ +aP}t一千
は自国通貨建て表示による外国財サービス価格指数を .P は自国の総合的物価指数をそれぞれ
示している 。 さらに上述価格 PH • PH は,後に第 3 節で見るごとく,独占的競争下にある各企
業の設定する価格から決まってくる。さらに L(のは自国家計 i の労働供給時間を表す。
外国家計 i ( ε (n,l) ) (以下*印は外国を表す)に関しでも自国家計と同形の効用関数を持っ
とすれば,上述議論と同様のものが Yt ε {l, 2 ,…}に対して定義できる 。
は
、‘,ノ
dX
J ‘、
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U
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(
i
)= 旦 [L~=t
;
u
゚s-t (
i
)
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(
6
)
L
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(
i
)
l+
v
_
1-ρ1
ト[(1ーの花 ] - 1/ +a*与tltlF
さらに L* (のは外国家計 i の労働供給時間を表す。
b 資本ストック推移式
自国家計 i の保有する資本ストック K の t 期における推移式を,
(
7
)
.
1
1
1 / 1(ハ|
│It-16)│
1
Kt+1(
i
)=(1-b
)Kt(の +|1-A(-L-)|
乙(i)
YiE (0,刈 ,
と定義する o
(
8
)
YtE {O,l,2; 一}
ð は資本ストック損耗率を表す 。 また • A(") は投資調整費用関数であり,
[
t(
i
) ¥_11(1
t(
i
)
A(ーt '~~,) = ~~ (一一一 -1)
-](i)
1
t
ψ2 'It 一](i)
6
(
6
6)
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
と定義する 。 ここで ψ( >0) は定数である 。 さらに定常状態では , A(l)=0, A'(
1
)=0, A"(
1
)=!
。?
となる 。 外国家計 i の資本ストック推移式も,同様にして
(
9
)
1
;
I
~
A /
(ハ|
K,川(i) =(
1-ð)Kt~ (の +11-A( イ一一川正(i)
' 1t ー 1 (
i
)
'I
Viε (n , l) ,
Vt ε {O, 1 , 2 ,…}
とする 。
つぎに,
自国(外国)家計 i の保有資本ストックに稼働率 Zt(Z/ ) を乗じたものを稼動資本ス
トックとして,
(
1
0
)
Kt (i) ニ Zt (i)K
(
i
),
t
Viε (O , n]
k
;(i)=ど (i)K;(i) ,
Viε (n , l)
v
tE {0 ,l,2,... }
と表す。ただし稼働率を上げれば資本レントの上昇が見込めるが,一方において稼働率上昇に
はコストも掛かることから,稼働率費用関数として ,
(
t=1:定常状態) )
S
l
j
J(Zt(今)
(1jJ ノ >0, 1jJ ">0 , 1jJ(め =0
を導入する 。 したがって,稼働率 費 用は
Viε (O,n]
(
1
1
) H
t
(
i
)= l
j
J(Zt(の )κ(1) ,
H/ (り = ljJ (zパの )κ* (1) ,
Viξ (n , l)
Vt ε {O, 1 ,2 ,・・・}
として示される 。
c 予算制約式
内外債券市場では,自国の総合的物価指数 P をニューメレールにとり,且つ満期が 1 期の自
国政府が発行する自国通貨建て名目短期国債 BH ならびに外国の総合的物価指数 p* をニューメ
レールにとり,同様に満期が 1 期の外国政府が発行する自国通貨建て(為替レートで換算され
た ) 名目短期国債 BF が取引される 。 かくして自国家計 i の t 期における予算制約式は,
(
1
2
)
~Ct (
i
)+Et[RU +1{BH 川 (i)
+BF 什1 (
i
)}
]
+~ {
l
t
(の +1jJ(zt (の )Kt (の} +1t(。
i
)+ 院 (i)Lt (
三 BHt (
i
)+BF
i
)+<
゙
i
)
t(
t(i) 十時K ~Kt (
Viε (O ,n ],
Vt ε {O, 1 , 2 ,・・・}
開放経済の動学的確率的過程分析一新開放マクロ経済理論の一類型一
(
6
7
)
7
で表せる。ここで R は家計 i の保有する名目債券ポートフォリオ・ベイオフに対する時間的割
引率 , I(のは家計 i が実行する投 資量 , K(のは家計 i が保有する資本ストック量,〆は各企業か
ら家計 i に支払われる資本レント,
家計 i に支払われる名目配当金,
τ(のは家計 i の支払う名目一括個人税, φ(かは各企業から
W(のは企業から家計 i に支払われる時間当たり名目賃金率,
L(のは家計 i が企業に提供する労働時間である 。
外国家計 i の t 期における予算制約式も,同様にして
(
1
3
)
P/C
*(
i
)+Et[Rム
t
i l{B; 川 (i) +B; 川 (i)}] +~*{l;(の +1/1(;:; (z))Kt*(の }+τt*(。
三 B;t (
i
)+B;t(i}十時K*J;官"t(の+匂 (i) +時j* (
i
)
L
;(
i
)
YiE (n ,l),
YtE (o,l, 2,…}
となる。
d 個別財需要
次に家計 i は,名目総支出額一定のもとで自国・外国の財サービス消費に関する総実質量を
最大にするようにそれぞれ決めるものとするものとすれば
η一 一
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. PHtCHt(i)+P
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tCFt(i) 三 Et(i)
g
i
v
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n PHt'PFt , Et(
i
)
と定式化できる。これを解くと,
R
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出
‘、
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Ei
唱
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Fhd
Yiε(0,叫 ,
Yt ε (O, 1 ,2 ,…}
によって,自国家計 i による自国・外国の消費財サービス需要量が求められる 11) 。外国家計も
、‘,ノ
〆'a ‘、
本
nリ,
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‘.,ノ
、
〆'E ‘、
一一
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C
よ
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、
、‘,ノ
nhυ
e
一7
一
同様にして対照的な結果が得られる。
YiE三
(n , l) ,
YtE {0,1,2,…}
主体的均衡
自国・外国の各家計は,財サービス価格,消費需要量( 1 期前) ,名目配当金,資本ストッ
8
(
6
8
)
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
ク,稼働率,債券ストック,名目一括個人税,資本レント,名目賃金率 12)
時間的割引率が所
与の時,予算制約式ならびに資本ストック推移式の制約条件の下で期待効用を最大とするよう
に,消費需要量,労働供給量,投資量,債券ストック(次期) ,をそれぞれ決めるものとする 。
したがって,
(α1 7η)
自国家計 i の最適化行動は ,
Yi ε(0ス ] に対して,
m偲{川 l比Lυ
川
H
Yt ε {l, 2 ,・ー}
一 {Cs (
i
)-hC
(
i
)}l- p ーム (i)l +V
s
1
s(
i
)=
s
..
t
1+ν
~Cs (
i
)
+EJ尺 s +l {B
+
(
i
)+BF.
+
(
i
)
}
]+~ {
I
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(
i
)+l
j
I(
z
s
(
i))K
s(
z
)
}+ τs (
i
)
H.
1
s
1
S
三 BHs (
i
)+Bs(
i
)+ザ ~z/i)K/i) + φs (i) + 吹(i)ム (i)
KS+1 (i) 三 (1 -
1
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(
i
)
)K/i)+(トA(ょで))Is (i)
人一 1 (i)
g
i
v
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n ~, Cs -1(
i
),B Hs (
i
),B Fs (i)λ s+1 , φs (
i
),KS(i) み(i) ,"sK , U
:(
i
), Ls(
i
)
なる制約条件付き最大化問題を解くことで得られる 。 外国家計 i (ε (n , l) )に関しでも同様で
ある 。 そこでまず自国家計 i のラグランジ、ユ関数を,
ャ∞ s
t
J I
{
C
/
i
)-hC
(
i
)}1 - p ーム (i) l+ ν |
1
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1
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......, s= t.
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- IjIC.7/i))K
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(
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1
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-.
, K/i)
, +{
,-1-'
I- (
i
)
" (i), -Ks
1
-- S'
s1
S '
" ,' 1"
と置く 。 ただし BS<の 三 BHs (の +BFs (のであり,またんの ,qs (のはラグランジュ乗数である。
(18) 式に関して最適解のための 1 階の必要条件を求めると , Yi ε(0ス], Yt ε (lふ…}に対して,
(
1
9
)
んが) ={
C
t
(
i
)-hC
(i)} 一 ρ
t
1
.. . 消費
(
2
0
)
ん (i) = 同(五
_
1)(石
P 川t +1(i
- ・・債券
(
2
1
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一一
1
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ßj(i仙~Lt(irv
...労働
(22)
ポ =1jI 1 (
Z
t(
i
)
)
-・・稼働率
ナ
t
(
z
)
p
r
(
6
9
)
開放経済の動学的確率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一類 型一
(ω
幻
23)
ん以以川(び
ωiの)=刊似州,ベ(山一AI五企|ド一K
凶引五引
+ß,館
'Etqtι叫
t
可r '-' 1
- --ll j ωi
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) qt
(
i
)=゚
E
t
[
q
t+
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i
)(
l
-)+ ん1(i){がん
を得る 13) 。ここで,変数 Qt(のを,資本ストックの制約式に付随するラグランジ、 ユ乗数 qt(のを
-q/ハ
消費財サービスのシャドウ・プライス À t(z) で評価したもの,すなわち Qt(i) ー」ーと定義すれ
, ,/ タ
t
(
i
)
ば,上式 (23) ならびに (24) はさらに以下のように書き換えられる 。
(
2
3
a
)
1 二 Qt(山
-AI主立
1-A' 1 五立山引
+ ゚EtÀ~+~位
Qt +1 (
i
)A
'I
1tT+~叫ん笠)2
r
'
'1
-l
l-(
i
)J --ll-(
i
)J
1-(
i
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タ
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i
) ~'T1"--l 1
t(
i
)r
1(
i
)
t1
t1
t1
い iハ(""\ , K
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(
2
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似ω
(iか)い
i) =ß
但
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円:~~
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Qtt什+叶
訓
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け)川
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伽)汁
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吋
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/ ,,
"tTl"" "
't'1-
t
,--,
/
~, , 1I
' " "1' "" I
I
外国家計 i (ε (n ,l) )に関しでも同様にして以下の式が導ける。
(25)
心 (i) = {
C
;(
i
)-hC
*
-l(i)} ρ
t
(
2
6
)
ど(i) =ßEtC一一一) (
:
.
.
t)
タ;
+
1
(
i
)
(
2
7
)
っー= 一,:., L~ (i r v
(28)
イK =1
j
J
/(ど (i))
1"
p.
島
" R;, t+1 '
1
W, *(i)
タ
;
(
i
)
'
1
;:
1
-"
.
T
*
r
I
_11f(
(
i
) 1I
(29砂 1 =Qt-(i) 1
は刻一一一
(
i
)
ーイ((i)
1(
(
i
)I
.
.
L Pr
;
' タ
:
+
(
i
)n* r
;
¥1
1/f
(+1
(
i
)1
r(+l (ハ
1
-A'I
:t
'~~, ト一一 |+FE 4」 Q110)K ド了一 1C ~:1/~~/)
c
nl1
1
;
11
1I
;
1
(
i
)1
(
1
(
i
)1 -c タ
;
(
i
)>
<
+
C
1
'
.
/
11;(i
)1
'
1
;
(
i
)
IÀ:
ホ.
2
,-
・
|
(30司 Qt-(i) =ß~t
↓ヂ~{Q;+1
C泊三+1
i
)-1j
J(
Z
;
+
l
i
)
)
}I
Iタ
;(
i
)''-<<' t+1 (i)(1-ð)+
''''~ "
' "
t+1t+
1(
'
"
'
+
''
t
+
1(
"
/
/
'
I
f 賃金設定
つぎに,独占的競争下の労働市場で,自国・外国の家計による賃金率設定を以下のごとく考
える 。
各家計にとって名目賃金率引き上げの改定機会は限定的であり,企業との賃金交渉で賃金率
をいつでも欲するときに引き上げられるわけではなく,一定の確率に従ってランダムになし得
1
0
(
7
0)
商 学研究第 51 巻第2 ・ 3号
ると想定する(i.e. カルボ型粘着価格モデル 14)) 。 すなわち,自国(外国)家計 i が任意の時点
で賃金率を据え置く確率を ω w( ω~)(ε(0,1)) ,賃金率を引き上げ得る確率を 1 一 ωw (1- ω~) と
する 。
したがって,将来に亘り名目賃金率を改定できないリスクがある状況下では,各家計は,
単に当期の効用のみならず,将来に亘る効用の割引現在価値も含めてその最大化を図るものと
考えられる 。
ところで,当該経済では家計数は十分に大きいと仮定していたので,このことは,
毎期一定割合(i.e. 1ωw (1- ωい)の家計だけ賃金率のヲ|き上げ改定機会が与えられることと
同義である O さらに加えて,各家計は,今期名目賃金率 が最適水準に改定できず賃金率を据え
置いた場合でも,全般的な物価上昇に即し前期における国内物価の上昇率分だけは今期の名
目賃金率にスライドさせることが可能であるという,いわゆるウッドフォード型インデクセー
ション・ルール 15) の採用を考える 。 かくして,自国家計 i の名目賃金率ならびに労働供給に関
する最適化行動様式は,以下のように定式化できる 。
まず,
自国の集計的労働時間は,
自国家計 i の個別労働時間 L(のに対し,
μ(> 1)を労働に
関する代替弾力性とすれば,
なる Dixit = Stiglitz 型集計指標に基づく集計式で表されるものとする D したがって,上述 (31)
式に対応する自国の全体的な名目賃金率 W は,
ω 叶:片川町町附山
(i
となる O それゆえ,個別労働需要時間 L(のは,名目賃金支払額一 定の下で投入労働時間を最大
とする企業の最適化行動により,
I~(i)
I
ViE (O ,n ],
(お)ム (i) = Iτ|
Vt ε {O,l, 2 ,... }
によって求められる 16) 。 したがって,先の (1η 式で示された家計 i の条件付最大化問題に対し,
「
Illli---
叫y
一 V
一ti
s
+一
」
+ww
L 一
← )X~~ 1π 哨
“、一+
+
L
μυ一 勺
~町R
一
+
「ーは|L
W
ω
N川
W
ρU'
旦
広
m
且
τ
A
qtu
z
賃金率設定に関する次のような最大化問題が導ける。
開放経済の動学的確 率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一類 型一
(
7
1)
1
1
川)=吹(i)日;司 ltly
I
W
;+s(
i
)I
Lt+s(
i
)=局;7|
g
i
v
e
n
F: - 2 ,F: - l' F
:+
s
>W
;-1(
i
),W;+S> L
t+
s (s=0 ,1, 2 …)
Vi ε (O , n ],
Vt ξ {O,1, 2 ,…}
ただし ß (ε(0,1) )は家計の主観的割引率であり . XWt は t 期に名目賃金率改定の機会を得た家
計群の設定する最適賃金率である 。 また Y w (ε[0,1])はインデクセーション・ルールに基づ
く価格転嫁率であり • Yw = 1 であれば,前期インフレ率の 100% すべてを今期の賃金率に上乗せ
することが可能ということを意味している 。
この制約条件っき最大化問題を解くと,次のような自国家計 i の最適化行動に関する 1 階の
必要条件が導かれる 17)。
間立と 川SMOLt17F(豆半~)Yw
ー(川)ι凹=
L
F
:+
s 'F
:
,ナ
t+
s
C
i
)J
s
したがって,このことから ,
-l /
r""/
自国家計 i の賃金率設定に関する主体的均衡条件,すなわち,最
適実質賃金率ならびに消費財サービスと労働との限界代替率の将来の流列に関する次のような
関係式が得られる 。
同 (i)
ャ∞
F: +s ム s (
i
)V
(
3
6
) 一一一 =(1 +μ )Et 乞 ft 村一一 一一一
F
:
'-,-, ~s =o- ,-rs F
: ナt+
s(
i
)
1+μ
ただし
メ s三
(FωwYLt +s W;J
μ
再エ:。(Fωw)SLt+sW;+~
Vi ε (O,n ],
Vt ζ{0, 1 ふ…}
E
2Lι
一A
行
+一*
事+
万
ι一
よん
E
6
でJ­
EA
唱
μ
+
円i
qtu
-附一万
一
外国家計 i の主体的均衡条件も同様にして求められる 。
1
2
(
7
2
)
商 学研究 第 51 巻第2 ・ 3号
*
!+
t
/
+
町
IU
*W
ω
ρμ
エ
Eι
λ +s
ただし
μ
山一
村
(ßω~) SL;+s W; +s μ
VtE {0,l,2,.一}
viε (n, l) ,
3 企業
a
最終財サービス生産企業
最終財サービスを生産する自国の代表的企業は , Z 種類の中間財サービスを自国企業 j から購
入し
側耳=トヤ
なる生産技術によって消費財サービスと資本財サービスの合成財 Y を生産するものとする 。 た
だし
と( > 0) は代替の弾力性を示す定数である 。 したがって,
(38) 式に対応する価格指標は
側 ι=hpR引(
で定義される O 外国の代表的企業も同様である 。
「
Illi---
,4,
nu
+
I一吋
、
〆,‘、
FEIU
K
J
」
と一吋
、,ノ
、
制H
唱EA
、、
/'E
「 Illi-- ー L
一一
V勺
〆aE\
、‘,ノ
ハU
A吐
「
F、
l
1
,
111l
-a
d,,,
11
一と
ι
、
r,.‘、
山
、‘,ノ
$
R
一一
「 l
「 Illi--L
広
a
,,
d
a
,,,
」
さらに t 期における自国・外国の代表的企業によるこれら最終財サービス生産量は,
(
4
1
)
自国企業 : Yt
三
YHt + ηt ,
外国企業:打三 Y;t+ 九,
ただし
YH : 自国財サービスの自国向け供給量
Y;: 自国財サービスの外国向け供給量(i. e. 自国輸出量)
YF : 外国財サービスの自国向け供給量 G.e. 自国輸入量)
Y;: 外国財サービスの外国向け供給量
で示せる 。 ここで輸出入は消費財サービスに限られるものとする 。
開放経済の動学的確 率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一 類型一
(
7
3
)
1
3
ところで,代表的企業は自社の財サービス輸出に際し,独占的競争市場では,建値や取引に
対して通貨の種類が選択できるが
1
)
る。
以下の二タイプが一般的である 1 8) 。
c
u
r
r
e
n
c
yp
r
i
c
i
n
g;生産者通貨建て)
PCP 型 (producers'
このタイプの企業は,
この場合
自社の財サービス輸出に対して自国通貨で建値や取引を行うものとす
したがって,為替レートの変動はこの場合 100% 価格に転嫁(pass-through) され得るから,
為替リスクは買い手が負うこととなる。
2) ITM 型 (pricing-to-market ;市場通貨建て)
このタイプの企業は
行うものとする 。
同一自社製品であっても各国市場ごとにその国の通貨で建値や取引を
したがって,場合によってはそれら企業は為替レート変動を価格にそのまま
転嫁することなく
自社のマークア ッ プ率を動かすことで為替レート変動を調整することもあ
り得る。
CP
したがって, PCP 型企業の t 期における総売上高 Rfα は , Rt
=
PHtYHt + PHt Y~t で表さ
れ,他方,町M 型企業の総売上高 RFM は , ERt を自国通貨建て名目為替レートとすれば,
Rt™
PHtYHt + ERtP~t Y~t で表すことができる O ただし前者は,価格 PHt が当該企業にとっ
浄
=
て利益最大化のための操作変数であり,後者は , PHt ならびに PHt が操作変数である 。
ところで,当該企業の最適化行動は,以下のような制約条件付費用最小化問題を解くことで
得られると考える。
勿,,,
a,,,
4
「
J
町
〉一
,G
,
lIlli---
ヘ} ノ
一
円
I
Kι
」
「11111111」
111
fh
QU
,
a
J
、‘,ノ
、、
/,‘、
、‘,ノ
/ ,‘、、
vaf
V勺
Rι
,「
内
1
n
m
せ
、 BEノ
4
つh
M
,
J
g
i
v
e
n1
;(
j
),Y;
かくして,最終財サービスを生産する代表的自国企業の個別中間財サービス購入量は,
~(j)= 凹引 と f
・
|九t
VjE三 (O,n ],
)
ι
Vt ε {O,lふ・・・}
によって示され得る 。 外国の代表的企業も同様にして,
ι
が求まる 。
区
Vj ε (n ,l) ,
円一
c
J
vupH
一-
Rι一
〆'E ‘、
町
斗
J'E ‘、
A A
Aq
,
4
J
VtE {O, 1,2,…}
1
4
(
7
4
)
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
b 中間財サービス生産企業:生産技術
中間財サービスを生産する自国・外国の企業 j (ε(0,1) )は,可変的生産要素である労働 L
と固定的生産要素である資本ストック K を投入し差別化された 1 種類の中間財サービス Y(m)
(Ymε(0,1) C R1) を生産する 19) 。 また両国の各金業の生産技術構造はすべて同形であるとす
る。したがって,
自国・外国企業 j の個別生産関数 F ' は ,
At, A/
( >0) を技術水準(i.e. 全要
素生産性ないしはソロー残差)とし, α(ε(0, 1)) を資本分配率とすれば, Yt ε {O, 1 ,2,…}に対
して
(
4
5
)
A
rKt(j)L
;a
(
j
)
g
J,
自国企業:耳 (j)= F
j(KpLt)=
yjE三 (O, n]
外国企業 :~υ) =
Fj(K;, ι )=~ I\ア (j)I;(l ー ペ j) -g
J
*,
YjE三 (n , l)
ただし, At= 瓦 exp(E tA ) ,
A;=A*exp(ε;A) ,
ε tA ~ i
.
i
.
d
.(0, σ~)
ε ;A ~ i
.
i
.
d
.(0, σ~.)
なるコブ・ダグラス型生産関数で示せる。ただし,gJ甲 * は固定費用を表す 。
c 費用最小化
まず,中間財サービスを生産する自国・外国の企業 j にとって,資本財サービス市場は完全
競争的であると仮定する 。 すると,これら資本レントに加え
労働市場では企業にとってはプ
ライス・テイカーなので,実質賃金率も企業にとって所与となる 。
したがって,自国・外国企
業 j の最適化行動は,これら資本レントと実質賃金率とを所与とし且つ自社の生産技術構造を
示す (45) 式を制約条件として,今期における費用関数の最小化を図るものとして表わせ得る 。
すなわち,
附 min {K (j)}{Lω:ZM 吋削)
s
.t
.
~(j) 三At K,パ j)L;一 日 (j)- g
J
g
i
v
e
n
~,I;,1tK ,~(j)
なる制約条件付き最小化問題として定式化できる 。 かくして,自国企業 j にとって ,
グランジュ乗数とすれば,
(4η
(46) 式に対する最適解のための 1 階の必要条件は,
が - À/j)Ar αKt -1( j)L; - a (j
ρ)=0
…資本ストック
ト一→吋Aんt 川
r?
-・・労働
Yj ε(ω
O,n
叫],
YtE {O,1, 2,…}
À/J) をラ
開放経済の動 学 的確 率 的過程分析一新開放マクロ経 済理論の 一類 型一
として求まる 20) 。 かくして ,
(
4
8
)
1-ακ (j)
(
7
5
)
1
5
これら両式から
_~ /
F
:
一一 一」一 一一一一
Lt (j)
時K
なる主体的均衡条件式が得られる 。 この式の左辺は資本スト ッ クと労働との技術的限界代替率
を表し他方右辺は両者の生産要素価格の比を 表 している 。 さらに (48) 式を (4η 式に代入す
//一一
R 一α
町一1
eJ
A可U
4
せ
M
C
&
td
l
z
れば,以下のような自国企業 j の実質限界費用が求まる 。
ここで , 個別企業の実質 限界費用は j には依存しないことから,実質限界費用は全ての企業に
わたって対称的となる 。
外国企業 j の主体的均衡条件式ならびに実質限界費用も同様である O すなわち ,
YjE三 (n ,l) ,
Yt ε{0, 1 ,2,…}に対して,
(50
め)
1ト一 α
K
;(j)一 F既γ:?$γγ
予町 / F:守
一一一 一一一一一一一一
α
L; (j)
イK
Mぐ(j)= よ|立 r r~./引1ー
ノit
la
J
l1
一 α)
である 。
d 財サービス価格設定
不完全競争の状況下では,各中間財サービス 生 産企業は差別化された自社の財サービスに対
して自ら価格を設定し得る 。 ただし各企業にとっては , 家計の名目賃金率改定と同様,価格
の調整機会は限定的であり,自社製品価格をいつでも欲するときに変更できるわけではなく,
一定の確率 に従ってランダムになし得ると想定する
O.e. カルボ型粘着価格モデル 21)) 。 すなわ
ち,自国(外国)企業 j が任意の時点で価格を据え置く確率を ω p( ω;)(ε(0,1)) ,価格を変更し
得る確 率 を 1-ωp (1- ω~ ) とする 。 したがって,将来に 亘 り価格を改定できないリスクがある状
況下では,各企業は,単に当期の利潤のみならず,将来に亘る予想利潤の割引現在価値も含め
てその最大化を図るものと考えられる 。 ところで
当該経済では中間財サービス生産企業数は
十分に大きいと仮定していたので,このことは,毎期一定割合 (i. e. 1 一 ω'p (1- ω~)) の企業だけ
価格改定の機会が与えられることと同義である 。 さらに各企業の価格設定行動様式に対し,次
のようなルールの採用を付け加えよう 。 すなわち,各企業は今期価格が最適水準に改定できず
価格を据え置いた場合でも,全般的な物価上昇に即し,前期における囲内物価の上昇率分だけ
は部分的に自社製品価格にスライドさせ得るという,いわゆるウ ッ ドフォード型インデクセー
1
6
(
7
6
)
商 学研究第 51 巻第2 ・ 3号
ション・ルール 22) の f采用である 。
かくして,
自国企業 j の最適化行動様式は以下のように定式化できる 。
(
5
1
) maxIPfIt (i)}
に
a,
,,
w
y
lilll111111111
「,
「一上
九一
九
一
:
(
Mtω
ら
」
h
とト
USM
-
tEEEEEEEEEEEI
+一+
二
J
か
,
勺
4
.fR
,,,
内同九一九
W
h
一(
ω
Illit--ι
ej/st
=、,
、Jf
-q-Eι
ーー
札口凶日
。μ
叫
人。
「p電、ノ畠・
∞
一一
山
t
Eι~烈九
眠、,ノ
,
パ
①AQ
,
4
J
φ t (j)
~ +< (j) I
L(j)=I
l
f
i
L11
l
.l.
H ,t +s
)
g
i
v
e
n MCt+ s> PH け , PH . t - 1 , 九 t+S ,1;-l (j), ~+s (s=0,L2 …)
Vj ε
(O,n ],
Vt ι {O,l, 2,・・・}
ただし ß (ε(0 , 1) )は企業の主観的割引率であり , XPt は t 期に価格改定の機会を得た企業群
の設定する最適価格水準である 。 また y
P
( ε[O,l])はインデクセーション・ルールに基づく
価格転嫁率であり , yp = 1 であれば,前期インフレ率の 100% すべてを今期の価格水準に上乗せ
することが可能ということを意味している 。
この制約条件っき最大化問題を解くと,次のような自国企業 j の最適化行動に関する 1 階の
必要条件が導かれる 23) 。
∞
I I:(j) 九t-1 +s '1)'/>_ (
(11
-)
:
'
I
7
Iニr
(
5
2
) E
tャ
~ __Jßωp)S~+s (j)卜一一(一一一)1' /> 1+と)MC
t + s 1=0
.
.
.
.
.
.
.s=0"
", '
"
I 九 内
したがって,このことから,
九日
│
自国中間財サ ービス生 産企業 j の価格設定に関する主体的均衡
条件,すなわち,最適価格が限界費用の将来の流列に一定のマークア ッ プ率(1+ご)を乗じた
ものと等しくなるという関係式が得られる 。
(53)
1
;
(
j
)- { L L t:¥D ~
Ls=u^ gt +s MCt 村
つ「
ニ (1 + E
t
V
..
l
.
Ht
開放経済の動学的確 率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の一類型一
(
7
7)
1
7
(ßωPY I 年~11';+s (j)
ただし
1
‘
g t +s
"
'
H
t
"
旦エ:。(8ωpY 陪中三 I
¥ "'H.
tJ
.
Vj ε(0,刈 ,
1
'
;+S(β
vt ε {O,l,2,…}
外国企業 j の主体的均衡条件も同様にして求められる 。
þ,*(j)ゃ ∞
(
5
4
) 士宮~=(l+ç)Et 乞 A g*+
Mct
.ι
' - s= u
"
'
F
t
(叫YI 主~I 1
'
;
s
:
(
j
)
ただし
t
gt
+
s=
'
"F
t
立二(ßω;)S I 与主主 r Y
r:
S
(
j
)
¥ "'
VjE (n ,l),
F.t 寸
1
Vt ε {o,l, 2 ,・・・}
4 政府部門
自国・外国の政府は, 一括個人税Ci.e. 人頭税) による税収ならびに満期 1 期の短期国債の発
行を基に,消費財サービス指標 (C ぴ)で表示された財政支出 G.G* ならびに国債の利払いを
行うものとしかっ財政収支は毎期単年度で均衡が達成されるものとする 。
したが っ て,自国・
外国政府部門の t 期の財政収支式は,
+(Bt +1 一再) = f
>
rGt+f
1Bt
:自国財政収支
ず +(Bよ1 - B;)= 庁Gt* + イBJ
:外国財政収支
τt
(
5
5
)
Vt ξ {O,l, 2 ,・・・}
なる式で表せる 。
他方,
自国・外国の通貨当局は,金融政策変数として金利水準をコントロールすると考える 。
したがって,通貨当局の政策反応関数としては,次のようなオーソド ッ クスなテイラー・ルー
ル型を採用するものと想定する 。 すなわち,
)+X 3~}
(
5
6
) 時 = X 1時 -1 +(
1
-X
1
)
{
X2
(
I
It-I
Io
イ =XIFill+(1-XI){X2(H;-H*0)+X3f}
Vt ε {1 , 2 ,・・・}
自国通貨当局
:外国通貨当局
1
8
(
7
8
)
商学研究第 51 巻第 2 ・ 3号
である o 通貨当局は 1 期前の金利耕作 l を踏まえつつ現行インフレ率町十時イ
ンフレ率日。との義離や GDP ギャップ1';の動向にも対応して今期の政策金利を操作すると考え
る。
5
市場
第 2 節~第 4 節で見たような各企業・各家計の最適化行動ならびに通貨当局の金利政策に基
づいて一意的に定まる個々の財サービスの需給量
労働の需給量,債券ポートフォリオの需給
額が,完全競争市場のみならず“見えざる手"不在の不完全競争状況下にある市場を含む各市
場で,全体として個別主体の均衡条件と整合的にそれぞれどのようにして過不足なく完全にク
リアーされるであろうか 。 すなわち,市場の需給均衡問題である 。
a
交易条件・物価・為替レート
まず自国と外国との自国交易条件 TOT を自国通貨建て自国財サービス価格と自国通貨建て
外国財サービス価格との比較定義すれば,自国交易条件は , TO宅=与となる。
'
F
t
つぎに (3) 式の自国の総合的物価指数ト[(1 -α)(ん)1-'1 +α(九 )1- " ]占に対し,自国・外国間
の財サービスに関する代替の弾力性を η → 1 とすれば,
I ロピタルの定理」を用いることによっ
てこれはコブ=ダグラス・タイプの R ニ(九 )1 -a (九)。なるフォーミュラとなる。したがって,
この式の両辺に対し対数をとれば,。三 ln(T01) として
Yt ε{O , 1 , 2 ,... }
(57)ρρ Ht 一 α Ot ,
を得る o
~
1
l
1
l1 .
.
.
.
r
さらに自国のインフレ率 L 関して,
P,
、~
Ht=IL およひ IT Ht ==玉虫ー と置けば, (57) 式より対数
rT
_
五 1-1
'
-H ,t - l
表示で
(58)πt = 1[HI- αム 01
,
Yt ε {O , 1 , 2 ,・ー}
が導ける。
ここで,自国と外国との自国通貨建て名目為替レート ER を導入すれば,交易条件は,同じ
く対数表示で
(
5
9
)
=P
Ht- e
~t ,
t- P
0t
を得る。
Yt ε {O , 1 , 2 ,・・・}
(
7
9
)
開放経済の動学的確率的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一 類型一
さらに
1
9
ER.x P.本
自国と外国との自国通貨建て実質為替レートとしてド守ムを考山,こ
こに名目為替レートならびに交易条件との関係式
(
6
0
) S
t=e
+P
t
*-Pt 二 (α -l)Ot +(ρ; -P
;
t
),
t
VtE {O,l, 2 ,・・・}
が導ける。
b
購買力平価
貿易財サービスに関しては,国際間財サービス市場で財裁定が働くことにより,名目為替レー
トで換算した後に,一物一価の法則が成り立っと想定する 。
(61)
したがって,
九 (β =ERtP~(β
P
'
I
t(;)
H
t
P~t( β= ~
日
'J/
ERt
VjE三 (0, 1) ,
Vt ε{O ,lふ…}
が成り立つと考える 。 このことから,すでに見たごとく,個別価格九 (β , P;(β を (O,l)区間で
附ると ι~[かt(j)-idl c な山花=同(j)-t dj1 乙 であることカら
P
"
.= P
"
.
(
6
2
) ERt= ~!~
~_~t
P~
P~t
なる購買力平価式が導かれる 。
ここでさらに外国通貨建て外国財サービス価格万は常に 1 に正規化されていると仮定すれ
ば,対数表示で,自国の総合的物価指数は
(63)
ム =(1-α)PHt+ α町,
Vt ε {O, 1 , 2 ,・ー}
と表せる 。 外国の総合的物価指数も同様にして,
(
6
4
) Pt
*=(
1-α )P~t - αVt ,
Vt ε {O,l, 2 ,・・・}
と表せる 。
c
リスク・シェア
自国・外国の債券市場は完全代替的且つ完全競争的と仮定すれば, Et[Rtt+']=~ と置くと
伽
き,
(1 9) 式・ (20) 式ならびに (25) 式・ (26) 式より
円
1 十時
20
(
8
0
)
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
~rs(i)- hC
i)
1p rι|=M J t(i)-hCt-l(i2t rERt+l
1r 引
t
1(
゚l
Ct
+
i)-hCii)J l
~ J
t ゚l
Ct
*
+
l
(
i
)
h
C
*
(
i
)J l
ERtJl
~* J
t
1(
府)
p
.L"
vtε {1 , 2 ,・・・}
が,
ViE (0, 1) に対し異時点間のリスク・シェアを示す式として成立する 。 したがって,
(
6
6
) C<
t
i
)
-hCt ー 1(の =V(の (C; (
t
)-hC
*
l
(の )St P '
t
VtE三{l, 2; 一}
が求まる 。 ここで V(z) (>0) は,家計 i の保有する債券ポートフォリオの初期条件によって定
まる定数である。ところで,両国は同形的経済構造を持つという仮定に加え,さらに初期条件
が両国とも同ーとする。したがって,
るから ,
0 期における両国家計の国債保有額 O.e. Bo) はゼロとな
V(の =1 となる 。 かくして,対数表示で
l-h
;
ch
C
;
_
l
+ 一一 St'
(
6
7
) c
-h
Ct
1=
t
を得る 。 この (67) 式は ,
VtE {l, 2;"}
ρ
t 期における自国消費,外国消費ならびに実質為替レートとの聞の関
係を示している 。
d 財サービス市場・債券市場・労働市場
二国間開放経済の財サービス市場に関する集計的需給均衡式は,次のようにして示すことが
できる 。
(68)
耳 =Ct + 乙 +Ct +W(zt)K
1+C~t -C
t
F
t
γ =C;+ ぐ +C;+W(ど)Kt~ l +C
F
t-C~t
Vtε {l, 2; 一}
内外債券市場の均衡式に関しては,自国・外国双方の実質債券の国際的受取りと支払いの差
は符号が逆で絶対値が等しくなることから,
1
「 "(BHt(i)B'Ft(i)/ERt 1
d
i+r
rB
;
t(
i
)+~Rt xB~t(i) 1-1:-
ω)J。 iy-+r
t |di+JJ17
Rldt-O , vtξ {O,lふ}
となる 。
労働市場に関しては,例えば自国の総労働需要量は,金業の利潤最大化行動により決まる最
適産出量を基に,さらに費用最小化問題を解くことによって得られる主体的均衡条件式
t
"K
(唱}
f= 1 一三~II 土ーヱ IK から決まる 。 他方,家計の総労働供給量は,家計の主体的均衡条件式
l~/~Jlα r~t
開放経済の動学的確率的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一 類型一
W
ゎ∞
主 =(1+μ )E t ) :
P..
ん- ,土
ι 】s= O"
"
_
~
Lν
~t +s
{Ct +s -hC +
t s ー 1}
(
8
1)
なる関係式から決まる Lf によって求められる 。
2
1
し
-(J
たがって,自国・外国労働市場の集計的均衡労働量は,労働の国際間移動を考えないとき,
-uD
-*na
t
stvL
:外国労働市場
ド
mo
ι
同片山以
叫・
.mm
==れ
ムど
、.,ノ
、
J,‘‘、
ハυ
門i
自国労働市場
同
l
.
汁
〉
によって求められる 。
E 対数線形化とカリブレーション
1 対数線形化
一 般に,変数 X の定常状態を X とし, x=lnX-lnX と置けば,指数関数のテイラー展開によ
~
1.
,~
l
- I
A
X-X
る一次までの項を用いる」と L より, 一一_::::::: x と近似できる 。
X
したがって,全ての経済変数の
定常状態=動学的均衡解からの近傍議離の変化率 は,対数線形式で近似し得ることになる 。 そ
れゆえ,前章で展開した理論モデルに対し本 章 において ,
自国経済24) における定常状態から
の近傍議離に関する対数線形近似式を , vt ε {l, 2.. 一}に対して考えてみよう 。 以下で,
^
1寸き
変数は定常状態からの対数線形抗離を表す 。 ただし金利 f と 資本レント〆に関しては単に定
常状態からの線形菰離を表す 。 また,すべての家計・企 業 は同形的ゆえ ,
間で積分した変数の集計量 を用いる 。 さらにその上で
i, j
について (0刈区
それら定常状態からの近傍菰離に関す
る対数線形近似式をもとにカリプレーション分析をおこない,現実の 主 要マクロ経済変数の動
学過程を理論モデルで“複製"してみよう 均。
2
家計
a
消費オイラ一方程式
先の(19) 式・ (20) 式・ (67) 式において,定常状態からの近傍~離の対数線形近似をとれば,
h
1
^
~
^
1-h
^
1-h
,^
~
^,
1-h
(
E
q
O
l
) c
ê t -1 +~E.ん+一一一- s 一 一一一一(ち -E π])+ 一一一 (ε : -Et
c
:
+l+ ε n
t= 一一
1+h"
t
].1+h~t"t+l (
1+h) ρ t (
1
+h) ρ
(1 +h) ρ
P
を得る 。 ただし , II t+l 三」土上である 。 また, ε c は消 費 需要ショ ッ クであり, ε s は実質為替レー
ι
1
~
ト・ショックである 。 かくして,実質為替レートが増価すれば実質消 費 量にプラスに働き,他
方,実質金利が上昇すれば実質消費量にマイナスに働くことが分かる 。
22
b
(
82)
商学研究 第 51 巻第 2 ・ 3号
投資オイラー方程式
引き続いて (23a) 式において,投資に対する定常状態からの微小誰離の影響を考えるために,
L 1' ~1
両辺を~ ~土L でそれぞれ微分し,さらに定常状態では Aノ(り =0, ゚(
y
;K +(1-ð))=1 であるこ
l
t
1' l
t
とに留意すれば,
(24a) 式と併せて,
1
号
F
岳
ψ
; , ßEt ε;+1 一 ε;
(
E
q
0
2
) ち=一一一
斗
1+.
一一;:;Etι1+
1+゚t
.
-1
1+゚~t.t+ 1 .一一一~Qf+
(
1
+゚)~t'
1-
~
1+ 。
-';yK
Qt= 一(~-~元 +1) +1
~ ~" +
.~ y
_K
f( E
tQt
+
1
+1
~ -"
.
_K
f( ~正
;
L.Jt~t +1 '
+y
;
ただし,
n
+εU
1
AI/而
ψ
なる実質投資需要式が導かれる 。ど は投資需要ショックであり,また εQ は変数 Q への構造
L
.
l
1
ショックである 。 ここで (20) 式より得られるところの」斗=一一一-:- Et II t+1 なる関係式を用い
ツt ゚
(
1+ ち ) ~t 川
た。
c
資本ストック推移式
(
E
q
0
3
) k
t= (1-ð)k t ー 1 + i
t
1
上述式で ,
ð は実質資本ストックの損耗率を表すとともに,実質投資の実質資本ストックに対
する比率を表している 。
d 実質賃金率設定式
先の (36) 式の堕型 =(1+μ)Et Y'. ∞ /
f?t 山 5 =0 't +S
豆江 主主主主に対し 8ω 1v を乗じて 1 期繰り上げ, さ
~
ツ
t+
s(
i
)
らにそれを元の (36) 式から減ずれば,実質賃金率設定に対する定常状態からの対数線形君主離
は ω 三里として
P
(
E
q
0
4
) W
~゚
0 ~命+
t= 1
+
tt
+
1'1_1
+゚ゅ+-.1ー
I
N
t1'1+゚Et丸一主企旦元+~元
t
'
"
t+
1 1
+゚ '
"
t
' 1+゚'
"
t
1
"
i
lN
L.J
L.J
w
。 -ßωw)(l- ωwI.~. _..1ρ|
I t
(ê
)- ぐ|
t -h
1
I
"
"
t-vl
"
t一一一
1-h¥
"
t
'
.
"t
1
I "
tI
一、
となる 。 ただし
εw
μ
ノ
r-
w
は実質賃金率ショックである。この実質賃金率設定式で
インフレ率の変
化に加え,最後の項目において , 独占的競争状況にある労働市場で設定される現行賃金率が,
開放経済の動学的確率的過程分析一新開放マクロ経済理論の一類型一
(
8
3
)
23
完全競争的市場において決まるであろう伸縮的賃金率から義離するとき,そのプラスの希離に
対して負の効果を及ぼすことを表している。
3 企業
a
費用最小化式
企業の主体的均衡条件式 (48) 式より,
w
+(
1+!
f
J) が + k
t
(
E
q
0
5
) t
1=
t
1
… _
!
f
J
/
(
1
)r
.-=゙--l-
γ
〆 (1)
が求められる。ただし !fJ=
を表す。'- '-で資本レントと稼働率費用関数との関係を示す
1
〆(1) _d!
f
J'
(
1
)
/!
f
J/
(
1
)
グ=〆(Zt) なる式より,定常状態では呉 =1 なので一=一一=
となることから,係
!
f
J !
f
J/
(
1
)
d
z
/
z
数 v は稼働率の変化に伴う稼働率費用の変化の弾力性の逆数となっていることが見てとれる 。
したがって,一定の資本ストック設置の下で,実質賃金率が上昇すると労働需要は減少し他
方,資本レントが上昇すると労働需要は増加する 。 ただし稼働率を上げれば資本レントの上昇
が見込めるが,
一 方において稼働率上昇にはコストも掛かることから,その弾力性が大きくな
ると稼働率引き上げ効果は減少することになる 。
b 生産関数式
生産関数 (45) 式より
(
E
q
0
6
) Yt 二仰k t -1 + 仰同+ゆ (1-α )1t + ゆεf
ただし
1jI
_!
f
J
/
(
1
)
=
=.,,:...',
!
f
J"
(
1
)
が求まる D φ は実質生産量に占める固定費用?の割合に 1 を加えたものである 。 また,
εA は
全要素生産性 O.e . 技術)ショックである 。
c 国内価格インフレ率式
先の(日)式の学=(川)Et -L~_"gt+sMCt+s
~: ßωp を乗じて 1 期繰り上げ,さらにそれを元
s=v
fJ
.
I
.
Ht
•
の (53) 式から減ずれば,国内価格インフレ率に対する定常状態からの対数線形誰離は,
(EqOη
yp ~
゚ D~
"
(
1-ß,ωp)(1- ωp )r~~K -"--{1_~\A~' _~A-"--~ 7[ 1
πHt 五五7H,H+FZ; かH,t+1+ (1+ 九)ωp lm+(1-α)均一 εf+εt7[ J
で表せる。ただし f はインフレ率ショックである。この囲内価格インフレ率式で.
1 期前と
1 期後のインフレ率に加え,最後の項目において,限界費用の変化がインフレ率変化へプラス
24
(
8
4
)
商 学研究第 51 巻第2 ・ 3号
の影響を及ぼしていることを示している 。
4
市場均衡式
a
財サービス市場
財サービス市場の均衡式 (68) 式は,定常状態では実質輸出=実質輸入,すなわち,実質経常
収支はむ -CF =0 となるから,
(
E
q
0
8
) Yt ニ Cit +ðky~ +~Kl.f/ky~K + εf
ただし ,
Cy
三
(l-ðk y -g)
で示される 。 ここで,ろ, gy, ky は,定常状態での実質産出量に対する実質消費量,実質政府歳出
量,実質資本ストックのそれぞれの比率である 。 また
b
εy は実質経常収支ショックである 。
外国為替市場
(60) 式・ (63) 式より,外国為替市場の実質為替レートは
包酬 St ニ 1j勺 -þ山
で表せる 。 ただし εs は実質為替レート・ショックである 。
5
金融政策ルール式
通貨当局によるテイラー・ルール型政策反応関数 (56) 式より,名目利子率を政策変数とした
-
ところの
pb
グ' る,
.
+
円、
υ
12s
YA
V〆
《
π
、‘.,ノ
ハU
+
ηL
π
《
VA
/t 、、
VA
、‘,ノ
/ ,.、、
41
+
'i
fHι
《
6
VA
《火
、‘,ノ
AU
ュ
r,.‘
、
n
H
A
p
u
なる金融政策ルール式を得る 。 ただし f は金利ショックである 。
6 カリプレーション分析
a 前提
前章の理論モデル式を基に導出した定常状態からの近傍義離の対数線形近似式に対するカリ
プレーション分析を行うにあたって,以下のような前提を置く 。
1) 経済の開放度 α は 1~2 割程度とする。したがって,
(63) 式の総合的物価指数 P と国内財
サービス価格指数 PH との関係式 Pt=(l- α)PHt + α角を用いれば, Pt
:P Ht ないしは元 t:::::nHt と言
える。
開放経済の動学的確率的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一類型一
(
8
5
)
2
5
2)(EqOl) 式から ε;+l を,また (Eq02) 式から εんを消去する 。さら に両式のホワイト ・ ノイズ
ε ~ , E: , E; に対してそれぞれ 1 に rescale しておく 。
b パラメータ設定
(EqOl) 式~ (EqlO) のデイープ・パラメータを以下のように設定する 26) 。
第 1 表構造パラメータ
ノ f ラメータ
値
説明
F
0
.
9
9
0
時間的割引率
h
0
.
7
9
0
消費習慣係数
ρ
1
.9
2
0
異時点聞の消費代替弾力性の逆数
(i. e. 相対的危険回避度係数)
ψ
0.
0
41
投資費用調整関数の第 二 次微係数の逆数(= l
/
A
"
(
l
)
)
d
0
.
0
2
5
資本ストック損耗率
y
:
K
l
/
゚
1+
資本レント(定常状態)
rp
0
.
5
7
9
価格インデクセーション転嫁率
rw
0
.
5
8
1
賃金インデクセーション転嫁率
α)p
0
.
7
9
1
価格据え置き確率
α)w
0
.
2
7
5
賃金率据え置き確率
α
0
.
3
0
0
資本分配率
0,050
賃金率設定のマークアップ率
μ
2
.
0
7
7
労働供給の代替弾力性
早/
0.
2
8
8
稼働率変化に伴う稼働率費用変化の弾力性の逆数
k
y
2
.
2
0
0
資本ストックの対 GDP 比率
ι
0.
2
0
0
政府支出の対 GDP 比率
1
ゆ
1
.5
8
8
固定費用 V の対 GDP 比率+
XI
0
.
6
8
0
1 期前の金利に対する政策反応係数
X2
1
.6
2
0
インフレ率目標値との証離に対する政策反応係数
X3
0
.
0
9
7
GDP ギャ ップに対する政策反応係数
π。
0
.
0
0
0
インフレ 率 目標値
実質為替レート・ショックの標準偏差
σs
0
.
12
5
σc
0
.
1
2
5
消費需要ショックの標準偏差
σt
0
.
0
4
5
投資需要ショックの標準偏差
σQ
0
.
3
0
0
変数 Q の構造ショックの標準偏 差
σ w
0
.
2
5
0
実質賃金率ショックの標準偏差
σA
0
.
2
0
2
全要素生産性ショックの標準偏差
σπ
0
.
3
3
0
国内価格インフレ率ショックの標準偏差
0
.
2
0
0
経常収支ショックの標準偏差
0
.
0
1
5
金利ショックの標準偏差
σ
y
σ7
26
(
8
6
)
商学研究第 51 巻第2 ・ 3号
c インパルス応、答
ここで,為替レート,インフレ率,賃金率,技術水準,経常収支,金利の各構造ショックに
関して 1 標準偏差だけ増加した際の各経済変数とのインパルス応答を求めると,第 1 図~第 6
図のごとくとなる 2η 。 ただし各記号はそれぞれ以下内容を示す 。
C: 実質消費需要
1 :実質投資需要
K: 実質資本ストック
Y: 実質 GDP
L: 雇用 量
P
i:国内価格インフレ率
W: 実質賃金率
R: 名目利子率
第 1 図
為替レートの構造ショック
C
K
Y
P
i
W
R
開放経済の動学 的 確率 的 過程分析一新 開 放マク ロ 経済理論の 一 類型一
第2図
インフレ率の構造ショック
C
Y
W
P
i
R
第 3 図賃金率の構造ショック
C
Y
W
P
i
R
(
8
7)
2
7
28
(
88)
商 学研究第 51 巻第 2 ・ 3号
第4図
全要素生産性の構造ショック
C
K
Y
P
i
R
W
第5図
経常収支の構造ショック
C
K
Y
P
i
W
R
開放経済の動学的確率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一 類型一
(
8
9
)
29
第 6 図金利の構造ショック
C
K
Y
P
i
W
R
d 評価
これらカリプレーション分析の結果から,主要マクロ経済変数の定常状態、からの議離に対す
る動学過程に関して以下の点を指摘することができる 。
日]
実質為替レートが増価すると,海外からの財サービス輸入増を含め実質消費需要は増加
ししたがって実質 GDP も増加する 。 こうした生産増にともない
他方,これら実質生 産量の増加から,実質限界費用は増加し,
雇用量も同時に増加する 。
コスト・プッシュ型インフレ昂
進が招来されるが,予想インフレ率以上の名目利子率上昇とともに実質利子率が上昇すること
にともない,実質投資需要ならびに 実質資 本ストックは減少する 。
[
2
]
国内財サービス価格が騰貴すると,名目金利は上昇するが,その上昇率が予想インフレ率
を上回るために実質利子率は上昇し実質消費需要ならびに実質投資需要は減少する 。 したがっ
て,実質資本スト ックも減少する 。 同時に雇用量も実質賃金率も低下する 。
[
3
]
実質賃金率が上昇すると企業の 雇 用は差し控えられ,したがって家計の実質消費需要は
減少する 。 それゆえ,実質 GDP も減少する 。 他方,実質限界 費 用は増加するから,コスト増
にともなうインフレ率は昂進し
[
4
]
したがって名目利子率も上昇する 。
プラスの技術ショックが発生すると,実質 GDP は増加する 。一 方でインフレ率は低下し,
名目利子率も下落する 。 それにともない,実質投資需要ならびに実質資本ストックは増加する 。
30
(
90)
さらに,
商 学研究 第 5 1 巻 第2 ・ 3号
実 質賃金率の上昇は,雇用減をもたらす 。
[
5
] 実質経常収支がプラスになると,海外需要 ( =実質輸出等)の増加から 実 質 GDP が増加
する 。 したがって,雇用が増加し実 質賃 金率も上昇する 。 他方
実 質輸入等減=実質国内需
要減から囲内価格のインフレ率は低下する 。 しかしながら 実質 GDP の増加による需給ギャ ッ
プ拡大により,名目利子率は上昇 する 。
[
6
]
名目金利水準が上昇すると,実質消費需要も実質投資需要も減少ししたがって,実質
GDP は減少する 。 雇用も同時に減少し実質賃金率も下落する 。 国内価格のインフレ 率 も同時
に下落する 。
以上の理論式に対するカリプレーション結果から導かれた諸点は
われわれの経験に照らし
て現実の経済の動きに良く合致したものと言える 。
U
結び
本稿において ,
経済のグローバル化の発展とともに財サービス市場のみならず各国金融資本
市場もリンケージが高まりつつあることを受け,
一 国の金利・物価などの金融変数や生産技術
などの変化が,為替レートや国際間 資 本移動を通じて 実物経済のグローバルな動きとどのよう
な動学的相互依存関係を有するか,
という問題を検討した 。
まず,新開放マクロ経済学発展の礎を 築 いたオブズフェルド=ロゴフ・モデルならびに動 学
的(確率 的 ) 一般均衡理論の計量 モデル化におけるパイオニア的労作となったスメ ッ ツ=バウ
ターズ・モデルに依拠しつつ,
二 国間開放経済動学的一般均衡モデルの一類型を構築した 。 つ
いで,それら理論モデル体系に関して,動学的均衡解=定常状態からの近傍議離に対する対数
線形近似式を導いた 。 その上で,各デイープ・パラメータを設定し構造ショックのインパル
ス応答を求めることにより,主要マクロ経済変数の動 学経路を理論モデルで複製した 。 いわゆ
るカリブレーション分析である 。 こうした一連の作業により,当該モデルの特性を評価すると,
フ ォ ワード・ルッキング的な最適化行動が明示的に導入されている当該理論モデルの動学経路
は,われわれの経験に照らして現実の経済の動きに良く合致したものと結論付けることができ
る 。 かくして,情報通信技術(ICT)の革命的進歩にともなって急速にグローバル化が進む今日
の状況下で,錯綜した不透明な経済の動きを本理論モデルを活用することにより体系立って整
合的に把握することが可能となるしそれゆえ特定の経済政策効果を抽出して評価することも
可能となる 。
( 2011 年 2 月最終稿. 2011 年 3 月受理)
開放経済の動学的確 率 的過程分析一新開放マクロ経済理論の 一類 型一
※
(
91
)
3
1
本稿の最終稿を 3 月早々に『商学研究』編集委員会に提出した 。 それから 10 日程経った 3
月 11 日午後,自宅千葉にて 13.11 東日本大震災」に遭遇した 。 マグニチュード 9.0 の大地震であっ
た 。 さらに津波,余震,原発事故,放射能汚染,停電・節電,交通マヒ,ガソリン ・ 食料品・
日用品不足,経済活動低下など,未曾有の出来事が次から次へと襲ってきた 。や り場のない憤
りと悲しみ,そして言い知れぬ恐れと不安に苛まれ続けた 。 国土の破壊ならぬ国土の“喪失感"
を味わった 。 そうしたなか,停電・節電により薄暗く暖房もない書斎にて国際金融分野の資料
に目を通し論文を執筆することにそもそもいかほどの意味があるものなのかと時として自問
自答せざるを得なかった。だが, 2008年リーマン・ショックやギリシャ・ポルトガルの財政危
機,そして今回の 3.11 後の大幅円高なと市場は過酷な現実を次から次へと突きつけてくる。さ
らにまた,専門分野の資料を読み,論文を執筆するという行為は,学生への教育の質向上を担
保するのに欠かせないものであり,それは教師としての本来の責務であろうと思い直して仕事
を続けた 。 いつもの張り詰めた昂揚感はいささかもなく,ただ穆々とした無力感 ・ 虚無感で一
杯であった D 初校ゲラに朱を入れている今,今回の大震災で犠牲となった多くの方々のご冥福
を祈るとともに,
一 日も早い復興を強く望むものである (2011 年 4 月 15 日深夜,引き続く余震
に恐れおののきっつ, TV ニュースで被災者の避難所シーンに涙ぐみ,またレベル 7 に引き上げ
られた福島原発事故の報道に気をもみながら) 。
注
1
) トーマス・クーン(中山茂訳) (
1
9
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) r科学革命の構造』みすず書房 。
2) Mundel1, R
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5) Obsぜeld/Rogoff (
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6) 例えば、 Gali/ G
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9) 本章で展開した理論モデルの構築にあたっては、 Obstfeld/Rogoff (1 996) ならびに Smets川Touters (
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3
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に依拠した 。 その他、 Erceg/Henderson/Levin (1 999) , O
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) 岡田 (2011b) 。
1
2
) 労働市場は独占的競争市場と仮定していることから,賃金率は家計が決定するが,その決まり方は後述す
る。したがってここでは債券,財サービス,労働,投資量を決めるために賃金率は所与としておく。
1
3
) 1 階の必要条件は. (19) 式~ (24) 式に加えて,さらに
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商 学研究 第 5 1 巻第2 ・ 3号
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岡田 (2011b) 。
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岡田 (2009) 第 4 章。
ここで便宜的に m 三 jε(0 ,1)としておく 。
1 階の必要 条 件は ,
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(4η 式 に加 え て,
さら に
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が付加される 。 外国 家計 も同 様 である 。
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岡田 (2011b) 。
外 国経済 に対しても同 様 にして対称的 な式 が得 ら れる 。
本 章 における理論式の対数線形化に際しては、 Erceg/Henderson/Levin
(1999) , Smets/Wouters(2006) ,
I
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ishiyama/Watanabe(2006) を 参考 にした 。
2
6
) デ イ ープ・ パ ラメー タの 設定にあた っ ては, 矢 野 (2009) の 設 定値 に加え、 Smets/Wouters (
2
0
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3
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Sugo/Ueda(2007) の マルコフ連 鎖 モ ン テカルロ 法 に 基づ く各推計値 を参考にした 。
2
7
) 本カリプレー シ ョンでは、 MATlABソフトの上で、 DYNARE拍rsion4. 1
.3 を動かして計算 した 。 カリブ
レー シ ョン 計算の ため の DYNARE コードに関し て は,岡田 (2011b) 参 照 。 また DYNARE の 詳細に関して
は、 Mancini Griffoli , T (2007) , “ DYNARE U
serGuide ," http://www. cepremap.cnrs企/を 参照 。
参考文献
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