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いちばん大切な権利 人権をわたしたちのものに
いちばん大切な権利 人権 を わた したちの ものに 四 日市市人権 セ ンター なぜ、人権 の基本が大切な の ? 「人権 はむずか しい」「人権 はわか りに くい」 とよ く言われ ます。 その一 方で、人権 につ いて、基礎知識 を身 につ けた いとい う声 もあ ります。 人権 の基 本 を学 ぶ ことによ って、 さまざまな人権課題 へ の理 解 も深 ま ります。 人権 を理 解す るには、個別課題 だ けではな く、人権 の基 本 を押 さえてお くことが 大 切な のです。 今回、 四 日市市民 人権意識調査で、多 くの方が 「人権 の基 礎知識」 を選択 されたこ とは、そう した基本 の重要 さを、 よ く理解 していただいている結果 といえるで しょう。 図 1 今 後、四 日市市が人権が尊重 され る地域 づ くりを進 めてい くうえで、あなた はどの人権 課題が重要だ と思 い ますか。あて はまる ものを選んで くださ い。 人権 の基礎 知識 女性 の人権 子 どもの人権 高齢者 の人権 障害 の ある人の人権 同和 問題 アイスの人 々の人権 外 国人の人権 ロ エ イズ ウ ィル ス 感染者 ハ ンセ ン病患 者等 の人権 イ ンター ネ ッ トによる人権 侵害 同性 愛 口性 同一 性障害の人の人権 その他 資料 :四 国市市民人権意識調査結果 よ り (2009年) ゝダ 平成 21年 度 に実施 した四 日市市民人権意識 調査 によると、人権 は差 別 の問題 と考 えている 人が多 いよ うです。 しか し人権 は差別 の問題 だ けで はあ りません。人権 を考 え る上 で、 「 平等」 はす べての人権 の基礎 となる重要 な権利 ではあ りますが、人権 はそれ以外 に も豊かな内容 を もっ ているとい うことを知 ってお くことはとて も大切 な ことで す。 例 えば、高齢者 の人権 について学 ぶ とき、高齢者 へ の虐待 が テ ーマ になることが少 な くあ り ません。「 人権 三差別 の問題」 と理 解 したままで は、 「 高齢者 の人権 =虐 待 を受 けている他 の人 の問題」 と受 け止 め られて しまいがちです。例 えば、高齢者 が人 間 らしく生 きるために必要 な 年金制度 は、憲法 が保障す る 「 生存権」 とい う人権 を具体化 した とて も重 要 な制度 ですが、図 2に よると、年金制度 が人 権 に関係 があると考 えている人 は26.4%しか い ません。 生存権 などを人権 と して理 解す ることがで きれば、 自分 を含 めたす べ ての人 が、人間 らしく 生 きるための制度 や社会 づ くりは人権 の問題 なのだ とい う広 い視野 に立 つ ことがで きます。人 権 は、 自分以外 の他 の人 の ためだ けにあるので はな く、 自分 自身 の もの なのです。差別 を受 け て い る人 々の人権 に敏感 になるために も、わた したち 自身 の人権 に敏感 であることが大切 です。 図 2 次 の ことが らの うち、人権 に関係がある と思 うものを全て選 択 して くださ い。 石) (ワ 四日市 公害 平和 に生 き る こと 生 活保護 制度 個 人情 報 の保 護 B プ ライバ シー 最 低 賃 金 の保 障 セク シ ャ ル ロ ハラ スメ ント 表 現 の自 由 性教育 選挙権 差 別 ・いじ め 道 路 建 設 に伴 う 移 転 者 への保 障 年金制度 資料 :四 日市市民人権意識調査結果 よ り (2009年) 人権 とは何 か、説明す ることは意 外 に難 しい ものです。 は っきりと書 かれて い る定義 に出会 うことは意外 に少 な く、す っきりしな い気持 ちにな った人 もみえ るので はな いで しょうか。 人権 は、高校生 が学 ぶ教科書 で は、 おおむね次 のよ うに定義 されて い ます。 この定義 には、 2つ の重要 なポイ ン トがあ ります。 人間 の尊厳Jか ら導 き出 され る権利 であることです。 第 1に 、人権 とは、 「 人間 は、人間 であ るとい うだけで持 ってい る権利 があ るとい う考 え方 は、昔 か らあ った もの で はあ りません。 「 人権J と い う考 え方 が登 場す る以 前 は、身分制度 が 当然 とされ、結婚相手 は同 じ身分 の人 でなければな りませんで した。 また、結婚 して も子 ど もがで きな い場合、男性 は女性 に離婚 を言 い渡 してよ い こととされて い ま した。加 えて、今 日のよ うに、貧 しい人 を救 済 す ることは政府 の義務 で はあ りませんで した。 「人間 の尊厳J を 大切 に考 え る立 場 か ら、 こ れ らの状況 がおか しい と考 えた人 々が立 ちあが り、聞 い、 その結果、権利 と して認 め られて き た ものが 「人権」 なのです。 生 まれなが らに持 って い る、誰 に も奪 われな い」権利 であることです。 第 2 に 、人権 とは、 「 「 人権」 は、 日本 の公文書 で は、 日本国憲法 (1946年制定)で 初 めて明文化 された ものです。 それ以 前 の憲法 であ る大 日本帝国憲法 (明治憲法)に は、 「人権Jと い う言葉 はな く、 国民 の 持 つ さまざまな権利 は 「臣民 の権利Jと 定 め られて い ま した。 「臣民」 とは天皇 の家来 とい う 意味です。 「臣民 の権利」 は天皇 か ら与 え られた ものですか ら、天皇 は これを取 り上 げた り制 約 した りす ることも許 されて い ま した。 特 に戦時下 において、 思想 の 自由 も、 出版 の 自由 も、服装 の 自由 も制限 され、危険思想 と政 府 (天皇)に 判断 されれば逮捕 され、拷問 も行 われま したが、 臣民 はそれに対抗す ることはで きなか った のです。 人権 は、天皇や政府 か ら与 え られた もので はあ りませんか ら、誰 に も奪 うことはで きません。 明治憲法 が定 める 「臣民 の権利」 と、 日本国憲法が定 め る 「人権Jを 比 べ てみ ると、 いかに人 権 が大切 であるかがわか ります。 [3] 人権が人間 の尊厳 に基 づ く権利 とい って も、 それを権利 と して主 張す るためには、 も っと具 体的 な もので ある必要 があ ります。 人権 は、 日本国憲法 において、大 き く次 のよ うに分類 され、 具体的 な権利 と して保障 されて い ます。 平 等 権: す べ ての人間 は平等 であ って、1 回 人 と して尊重 され る権利。 「す べ て国民 は、法 の下 に平等 であ って、人種、信条、性別、社会的身分又 は門地 によ り、 政治的、経済的又 は社会的関係 において、差別 されな い。」 ( 第 1 4 条 ) 他 の人 の 自由や権利 を侵 さな い限 り、国家か ら干 渉 を受 けず、個人 と して 自由 に考 え、行動 す る権禾」 。 1 精 神 の 自由 思想 ・良心 の 自由、信教 の 自由、集会 ・結社 ・表現 の 自由 な ど 2 身 体 の 自由 奴隷的拘束及 び苦役 か らの 自由、拷問及 び残虐 な刑罰 の禁止 な ど 居住 ・移転 ・職業選択 の 自由、財産権 の保障 な ど 3 経 済 の 自由 社 会 権 :豊 か に生 きる権 利 すべての人が人間 らしい生活を保障す ることを国家 に求 める権利。 生存権、 教 育 を受 ける権利、 労 働基本権 な ど 「 ① すべて国民 は、健康 で文化的な最低限度 の生活を営 む権利 を有す る。②国 は、すべての 生活部面 について、社会福祉、社会保障及 び公衆衛生 の向上及び増進 に努 めな ければな ら ない。J(第 25条) ││‐ 醸 レ哀 専 権: 人権 を勝 ち取 るために、政治 に参加 して積極 的 に政府 に働 きか ける権利 選挙権、被選 挙権、最高裁判所裁判官 の国民審査権、憲法改正 の国民投票権 な ど 憲法 に明文化 されていないが、社会状況 によ って新 しく主 張 され るよ うにな った権利 環境権、 プ ライバ シーの権利、知 る権利、平和的生存権、景観権 な ど [4] 「 人権1ま 誰 の もの ? 人権 は、私たち一 人ひと り、すべ ての人のものです。 人権 とい うと、社会的に人権侵害を受 けやす い立 場 の人たちだ けの問題だ と考えて しまいが ちですが、決 してそ うで はあ りません。 「自分 は人間 ら しく幸 せ に生 きられているか」 とい う視点を絶えず持 ち続 ける ことで、他の人の人権 に も 敏感 になれるはずです。 今 回、 四 国市市人権意識調査 で は、 「人権問題 とは 差別 を受 ける人の問題であ って、 自分 には関係 ない」 と思 うかを問 う設間 に、8割 以上 の人が 「そ う思わな い (「 どちらか というとそ う思わな い」 を含 む)」 と回 答 しま した。 「人権問題」 を 自分 の ことと して考 える 市民が増えているのです。 図 3 人 権 問題 とは差 別 を 受 ける人 の 問題 であ って 、 自分 に は 関係 が な い。 わ か らない そ う思 う 2 6 % 78% どち らか とい うと そ う思 う 64% どち らか とい うと そう思わない 17 50/0 資料 :四 国市市民人権意識調査結果 よ り (2009年) [5] 外国 人の人権 は 日本国憲法で は、人権 は 「国民の権利」 と書かれ ています。 日本国憲法 はも とも と英語で書かれたも ので すが、英文で、権利 の主 体 は 「p e O p l e ( 国籍 に とらわれな い人 間を表す言葉) 」 と書かれ ていたも のが、 「国民」 と翻] 訳された という経 緯があ ります。 世界 的規模で国際化が進み、国際的な人権の取 り組 みが求 め られ ている現在、 「国民」 という言葉 を狭 く提 えるのではな く、人 間 としての尊厳 に基づ く人 権 は、外国人も当然 に主 体 に含 まれる と考 え られて います。 個別 の人権 課 題 では 平成 14年に国が制定 した 「 人権教台 ・啓発 に関する基 本計画」で は、女性、子 ども、高齢者、障害者 、同和 問題等、個別 の人権課題が掲 げ られています。 これ ら の課題 の主 体 の多 くは、従 来か ら差別の対 象 とされ る ことが 多か ったため、平等権 の問題 の枠 内で考 えよう とする傾向があ りま した。 しか し、それぞれ の主体が抱 える課題 は、平等権 の 問題 (=差 別 の問題)に とどまるものではあ りません。 た とえば 「 女性 の人権」 は、 女性 の置かれている状況 によ って、労働権、人格権、身体の自由な どについて も考 える必 要があ ります。 このよ うに、多様な視点か ら人権 を尊重 してい くことが求め られています。 食U 人権 の制約 一 ①他 の人の人 権 の尊重 歴史的 に人権が登場 した当初か ら、人権 は無制限のも のではな く、 制約 を受 ける場合が ある という考 え方 はあ りま した。 1789年の ララ ンス人権宣言 の第 4条 で は、 「自由 とは、他人 を書 し ないすべての ことをな しうることにある。 したが つて、各人の自然的 一 諸権利 の行使 は、社会の他の構成員 にこれ らと同 の権利 の享受 を確 保す ること以外の限界 をもたない。 これ らの限界 は、法律 によ ってで な けれ ば定め られ /3-い 。 (※1)」とされています。 つま り、 ある人 の人権 は、他 の人の人権の行使 を阻書す る場合 に限 り、制約 を受 ける ということです。 これ は、人権そのも のが持 ってい る限界 ということがで きるで しょう。 人権 の制約 一 ②公共 の福祉 と人権 日本国憲法 においては、「 公共 の福祉 (社会全体 に共通する利益)」 という概念が、人権 を制約す るもの として書かれています。 一 実際 に人 権が制約 された判例 の 文 を挙 げれ ば、 「憲法第 28条 が保 障す る労働者 の団 結す る権利及び団体交渉そ の他 の団体行動 をする権利も公共 の福祉 のために制限 を受 ける の はやむをえないところである (※2)」とあ ります。 この判例 は、公務員の労働基本権 の制約 について述 ぺ られたものですが、 このよ うに憲 公共 の福祉」 による制限 を 法で保 障 されて いる人 権 であ つても、 その内容 によ っては、 「 受 けることがあ ります。 一 しか し、 「 公共 の福祉」 による制約 の範囲を 律 に定義づ けることは難 しく、 一 人ひ と 公共 の福祉」 で制約で きる とすれ りを大切 にするはずの人権が、 あ いまいな定義である 「 ば、人権 を保障す る意味がな くな って しまいます。 この ことか ら、今 日 「 公共 の福祉」 は、無条件 に人 権 を超越する価値 を持 つ ということ ではな く、人権相互の矛盾や衝突 を調整す るための原理だ と考 え られています。 これ は、 全 ての人 を尊重する人権が、必然的 に抱 えている制約 といえるで しょう。 ※ ※ 一 【 参考 】 t樋 口陽 ・吉 田善 明編 『解説世 界憲法集』 (三省堂) 最大判 昭和 28年4月8日刑集第 7巻4号775頁 [7] 「 権利」 と 「 人権 」 「権 利 」 と 「人 権 」 の 関係 は 、 わ か り に くい こ との 一 つ で す。「 権利 を主張するな ら義務 を守れ」 「 義務 を守 らない者 に権利 るで しょう。そ の意味で 「 権利」 と 「 義務」 は同列 に語 ってよい ︶ け仲 け のです。 ” , 11︲ けけ ド ︼ ︶ け はない」 という言 い方をする人が います。確か に、当事者 同士が 1に 契約関係な ど あれば、そのような考 えは至 極当然である と言 え しか し、 「 権利」 と 「 人権」 は、同列 に語 ることはで きません。 , 「 人権」 は、「 人間の尊厳 に基づ く誰 にも奪 うことので きない権利」 であ り、権利の中でも特 に重要な別格の権利です。 このことか ら、 「 人権」 と 「 義務」 は同列 に語 ることはで きないのです。 「 権利」 とは異なる 「 人権」の重要 さを理 解することが大切です。 公共社会 と人 権 「 権利 ばか り主張 してが まんすることがで きない者が増 えている」 という考 え方があ り ます。人権 を学習す る上で、 この ことをど う考 えた らよいで しょうか。 まず 、 一 般的な 「 権利」 と 「 人権」 とは異なる こと、 そ して、 「 人権」 といえ ども、他の 人 の人権 を侵書する ことは許 され ず、 「公共の福祉」 という観点も考慮 しなけれ ばな らな いことは既 に述べた とお りです。 その上で、私 たちが生 さている社会 について考 えてみま しょう。私たちは一人で生 さて いるの ではな く、公 共社会 の 中で生活 しています。公共社会 は、 バ ラバ ラな個人の寄 せ集 'の めではな く、人 と人で結 ばれた社会です。そ こでは他 の人 とど ような関係 を築 いてい く か、そのためのコミュニケ ー シ ョンの あ り方やル ールづ くりが大切 にな ってきます。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの基本 は、 自分が主張する と同時 に、相手の主張も聞 くという相互 関係 にあ ります。 また、公 共 の さま りは、誰かが 一 方的 に押 し付 けるのではな く、 いろいろな立場 の人が一 緒 に作 りあげてい くものです。 「 権利 ばか り主張する」のは、他 の人 とのコ ミュニ ケ ー シ ョンの 問題であるにも関わ ら ず、人権の問題 と混同されがちです。 人権の基本 を理解することは、人 とのつなが りや社会のあ り方 を考 える際 の基 本でもあ るのです。 OO 人権獲得の歴泉 市民革命 と人 権思想 (17∼18世紀) 17∼18世紀 の ヨー ロ ッパ で は、商工業の発展 に ともない、商工業者 な ど新 しい市民階級 が発言力 を増 していさま した。彼 らは身分制 を廃 し、 自由、平等、経済活動 の 自由な どを 求めて、絶対 王政 を倒す に至 りま した。 これ を市民革命 といいます。 'を 人間 は、生命 ・自由 ・財産 な ど 守 る権利 を生 まれ 市民革命 を理論 的 に支 えたの は、 「 なが らにも ってお り (自然権)、人 々 はこの権利 を確保す るため に互 いに契 約 を結んで国 家 をつ くる (社会契約説)」 という考 え方です。従 って、も し政府が この目的に反 して人々 の権利 を侵書す るような ことがあれ ば、人々はその政府 を取 り換 える権利 (抵抗権)を も つ とされ ま した。 人権宣言 自 由 と平等 ( 1 8 世紀) 人権宣言」 といいます。人権宣 人権思想 に基づ さ、市民の人権保障を宣言する文書 を 「 言 として有名 なのは、 アメ リカの 「独立宣言」 (1776年)と 、 「フランス人権宣言 (人およ び市民の権利宣言 )」(1789年)で す。 「フランス人 権宣言」 は、身分制度で虐 げ られた市民たちが、 国王や量族 による圧政 を 倒す ため に立ち上が ったフランス革命で採択 され ま した。そのため、第 1条 は、 当時の市 民 にとって何よりも大切な 「自由と平等」を、人が持 つ権利 として高 らかに宣言 しています。 【フランス人権宣言第 1条 】 人 は、 自由、か つ、権利 において平等なも の として生 まれ、生存する。社会的差別 は、 共同 の利益 に基づ くものでなければ、設 けられない。 (※3) 自由権 か ら社会権 へ ( 1 9 世紀 ∼2 0 世紀) 市民革命 によ って、人 々は自由や平等を獲得 しま した。 これ によ って自由な経済活動が 可能 にな り、資本主義が発展 しま したが、 その一 方で、貧富 の差が拡大 し、競争社会では 生 さていけない人も出てきま した。 そ こか ら、人間が人間 らしく生 さるために、国家 に対 して必要 /3 施 策 を求める 「 社会権」 ー の考 え方が登場 しま した。 1919年に制定 された ドイツの ワイマ ル 憲法 は、世界で初めて 「 生存権」 という社会権 を盛 り込んだ憲法です。 【ワイマ ール 憲法第 151条】 経済生活 の秩序 は、すべての人 に、人たる に値する生存 を保障する ことを目ざす、正 義 の諸原則 に適合するものでなければな らない。各人の経済的自由は、 この 限界内 において これ を確 保す るもの とする。 (※4) ※3,4 【 参考】 :樋 口陽一 ・吉 田善 明編 『解説世界憲法集 』 (三省堂) [9] 人権 の国際化 ・新 しい人権 ( 2 0 世紀後半 ∼) 'ま 20世紀前半 までの人権の保障は、 一 つの国家 の 中 にとど るもので した。 しか し、人権 が人間の尊厳 に基づ く権利であるな ら、人間である限 り、国の違 いを超 えて、すべての人 に保障されなけれ ばな りません。 この よ うな考 え方 を最初 に宣言 した の は、 1948年の国 連 の 「世界人権 宣言」 です。 1966年にはこれ に法 的拘束力 を持 たせた 「国際人権規約」が成立 したほか、 「 女子差別撤 1も 廃条約」 (1979年)や 「子 ど の権利条約」 (1989年 )など、人権 を守 るための さまざまな条 約が成立 しています。 また、 時代 の変化 に伴 い、次 のよ うな新 しい人 権が主張 されるようにな りま した。 環 境 権 :良 好な環境 を享受す る権利で、憲法 13条 の幸福追求権な どを 根拠 として います。 ー プライバ シ の権利 :私 生活 をみだ りに公開されない権利。 知 る権利 :政 府や地方公共団体の持 っている情報 を知 る権利 を保障するもの として、 情報公開制度が設 け られ るようにな りま した。 日本で最初の人権宣言 「 水平社宣言」 あ た ら しい憲 法 の は な じ 1922(大 正 11)年 、被差別部落 の人々 1947年新憲法 の解説用 に、文部省が新 によ って、差別か らの解放 をめざす 「 水 制中学校 1年 生用 に発行 した教科書 『あ 平社」が結成 され ま した。 この とさ採択 た らしい憲法のはな し』 には、新 しく憲 されたのが 「 水平社宣言」です。 日本の 法 に盛 り込 まれた基 本的人権が、 わか り 歴史上初めて、被差別者 自身が 自主的な やす く解説 されています。 運動で解放 を勝ち取 ることを宣言 した歴 基本 的人権 を、 「いちぼん 大事 な人 間 史 的文書であ り、 国本で最初 の人権宣言 の権利」 と し、 「じ応tんで しっか りとこ とも言われています。 れを守 って、失わな いように してゆかな 水平社宣言 は、それまでの 「いたわ り」 ければな りません。 しか しまた、むやみ による運 動がかえ って部落民 を堕落 させ にこれ をお、 りまわ して、 ほかの人 に迷惑 た とし、「いたわ り」で はな く、「 人間を をか けてはいけません。 ほかの人も、み 尊敬する こと」 によ って被差別者 自身が なさん と同 じ権利 をも っていることを、 解放 の道 をひ らく運動 を行 うことを、熟 わすれ て はな りません。」 と、語 りか け の こも った文章で記 しています。 ています。 [10] 「 人権」 とい う考 え方 は、 幸 せ を願 う人 び との長 い歴 史 の 中 で 築 き上 げ られて きま した。 そ して、 それ は、 わ た した ちが 直面 して い る課題 を、 解決 す るための大 きな力 とな る もので す。 時代 と共 に変化 す る社 会 で は、 かつ て は考 え る こ とのなか った 問題 が 発生 しま す。 そ う した時、 これ まで 「 人権」 に どの よ うな願 いが託 され、 何 を獲 得 す る ことがで きたのか を 知 る こ とは有意義 で す。 い ちばん大切 な権利 で ある 「 人権」 を、 わ た した ちみん な の もの に して い きま し ょう。 いちばん大切な権利 人権 をわた したちのものに 解 説 人 権 の基 本 2 0 1 0 年 3 月 四 国市市人権 セ ンター 〒5 1 0 - 0 0 8 5 四 国市 市諏 訪 町 2 番 2 号 四 国市 市総 合 会館 7 階 TEL: 059--354-8609 FAX : 059--354--8611 E一 mailijinkencenter@city yokkaichi=mie jp