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ICT×映像教材を活用した教育情報基盤構築の取り組み
ICT×映像教材を活用した教育情報基盤構築の取り組み* 森 康之 池田 茂 計測制御技術班(電気電子ネットワーク) 情報システム班(電気電子ネットワーク) 概要 アクティブラーニングや反転授業における ICT(情報通信技術)や映像の活用が進む中 で、既製システムの導入、その後の保守・運用に無駄に高額な予算が必要となるケースが 多い。一方で、技術の進歩により、多くの労力や予算をかけることで実現できていたこと も、次世代の技術を活用することで、低コストでの実現も難しくなくなりつつある。そこ で、教育における ICT や映像の活用について映像蓄・配信システムの試作を通じて、教育 情報基盤の運用の可能性について報告する。 1.学生実験における課題 普段、学生実験を担当しているなかで、実験時間内に終わるように実験内容を設定して あっても実際には時間内に終わらないケースが多くある。実験回路図、測定方法、測定器 の使用方法をテキストにわかりやすく明記してあっても、実験の場で、初めてテキストを 読みながら実験を始めるケースが少なくなく、効率が悪い。また、実験日当日に初めて見 る計測器等を使い測定等を行うため、計測器の操作で手間取り測定の開始が遅くなる。そ の結果、まともに測定を開始するのに 1 時間はかかってしまい、内容も十分理解できず実 験ではなく作業になってしまう。 2. ICT×映像教材の活用 最近ではタブレット PC、スマートフォン等の普及により、アクティブラーニングや反転 授業における ICT(情報通信技術)や映像の活用が進んでいる。学生実験では今まで事前 にテキストを配布し実験日までに事前に読んで予習するように指導をしてきたが事前学習 が不十分であるため学習効率は悪かった。 そこで、学生が予習し易い映像教材とその映像教材を学生生活の中で場所を選ばずどこ でも学習ができる映像教材配信システムの構築を検討することとした。 システム要件 ・自宅、学内のパソコンのみでなくタブレット PC、スマートフォン等から利用できる ・映像時間を短く(長い映像は見ない) ・事前学習状況の管理(閲覧した学生の把握) ・学生実験履修者のみ閲覧できる限定公開 ・低予算で実現 *平成 27 年度高エネルギー加速器研究機構技術研究会での発表予稿 17 3.映 映像学習の進 進め方 映像 像教材の利活 活用と効果が が出る学習方 方法について て検討した。まず、測定 定器の使い方 方で戸 惑う学 学生が多いた ため使い方を を事前学習で できる映像作 作成した。ま また、学生が がスキマ時間 間を利 用でき きるように短 短時間の映像 像教材を制作 作した。 制作 作した映像の の視聴の流れ れを図1に示 示す。映像教 教材配信シス ステムのトッ ップページか からロ グインすると教材 材一覧の画面 面が現れる。 そこから自 自分の必要と とする映像を を選ぶと 2 分程度 分 の映像 像が流れる。 。一つの映像 像が終われば ば次の映像に に進んでいく く。途中でそ それまでに見 見た映 像を理 理解していれ れば解ける問 問題を設け、 、正解しなけ ければ次の映 映像が閲覧で できないよう うにな ってい いる。学生は は、スキマ時 時間に映像を を何度も閲覧 覧でき反転学 学習が行える ようになる。 。図 2 に作成 成した教材用 用映像を示す す。 図 1. 映像の視聴の流れ 図 2. 教材用映 映像 18 4.映 映像活用のた ための映像配 配信基盤の構 構築 作成 成した映像教 教材を 2. IC CT×映像教材 教材の活用の映 映像で示した た「見せるた ための要件」を満 たすような映像配 配信基盤の構 構築を行った た。 図 3 に映像配 配信基盤を示 示す。システ ムは既存のサ サーバーを利 利用した。全 全学センター ーが管 理する学内外公開 開用ウェブサ サーバから映 映像教材を閲 閲覧できるよ ようにし、全 全学認証シス ステム と連携 携を図ることで特定の学 学生のみ映像 像教材を閲覧 覧できるよう うにすること とが最終形態 態であ る。しかし,試作 作段階・検証 証前のシステ テムを全学サ サービス上で で稼働させる ることはでき きない ため、 、スペックダ ダウンした同 同等の環境構 構築し、試作 作システムを を稼働させた た。 図3 3. 映像配信基 基盤 本シ システムを利 利用すること とで、認証し したログ情報 報を利用して て誰が配信シ システムを利 利用し たのか かが分かるた ため、各学生 生の学習状況 況を把握でき きる情報基盤 盤を実現した た。 5.さ さいごに 今回 回、学生実験 験において学 学生がスムー ーズに実験を を始められる るような ICT T と映像教材 材を活 用した た映像配信シ システムの構 構築をおこな なった。学生 生がスキマ時 時間を利用し して反転学習 習が行 えて、 、且つ学生の の学習状況が が把握できる るシステムを を検討した。 映像 像による情報 報提供は、文 文字ベースで での提供に比 比べ、「文字 字」「音」「絵 絵」「動き」と といっ た多彩 彩な情報を同 同時に提供で できる。また た、映像を受 受ける側は多 多くの情報を を手軽に得る ること ができるため、教 教育機関にお おいても、効 効率がよく有 有効な教育・広報手段と としての活用 用が期 19 待でき きる。 今回 回の学生実験 験用映像配信 信システム作 作成のみでは はなく技術部 部では、図 4 に示すよう うに研 究組織 織である大学 学院工学研究 究院、教育組 組織である大 大学院工学府 府や理工学部 部からの依頼 頼を受 け、映 映像制作・映 映像配信・技 技術的な広報 報活動支援の の業務を担っ っている。職 職場環境の違 違いが ある中で、大学事 事業の一旦を を支えるを技 技術職員が各 各々の能力や や立場でのコ コミットが進 進んで おり、 、その結果、 、映像の取得 得から、映像 像の加工編集 集、それから ら映像の配信 信といった包 包括的 な業務 務対応が可能 能な状態とな なる。 図 4. 包括的な業務 務体制 文献 参考文 [1] 森 康之 之、池田 茂、 容を映像化,そ そして活用「 「工学研究院 院スタジオ業務」”、 “講義内容 工 学 研 究 院 技 術 部 技 術 報 告 書 Vol.10 、 平 成 26 年 9 月 、 pp.20-pp.21 、 http:://www.tech.ynu.ac.jp/in ndex.php?R Report [2] 茂 康之、佐藤 敏之 、原山 大、寺尾 喬、高 高橋 龍太郎 郎、森下 豊、岡田 池田 茂、森 功、“ “工学研究院 院・工学府・理工学部に おける FD・学生教育・広報のため めの映像制作 作と活 用”、第 11 回工学 学研究院等技 技術部技術報 報告会、平成 成 27 年 9 月、P1 20