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Financial Toolbox 4.0
Financial Toolbox 4.0 金融データの解析と金融アルゴリズムの開発 Financial Toolbox™ は、金融データの数学的モデリングや統計的解析のための関数を提供します。ター ンオーバーや取引コストを考慮して、金融商品のポートフォリオを最適化することができます。 Financial Toolbox では、リスクの予測、金利水準の解析、株式や金利デリバティブの価格付け、投資成 果の測定を行うことができます。また、時系列分析機能を使用して、欠損値のある時系列に対する変 換や回帰を実行したり、異なる取引カレンダーや日付計算基準 (ディスカウント方式) への変換を実行 できます。 主な機能 ▪ 資産配分、キャッシュ フロー分析、オブジェクト指向なポートフォリオの最適化、リスク分析 ▪ SIA に準拠した確定利付証券の分析 ▪ ブラック・ショールズ、ブラック、2 項モデルによるオプションの価格付け ▪ 金融時系列、日付計算、カレンダーの計算 ▪ GARCH モデルによる推定、シミュレーション、予測 ▪ 欠損値を含むデータに対する回帰と推定 ▪ テクニカル指標と金融チャート オプションと資産のポートフォリオに対する金融モデリング アプリケーションの例。 1 資産配分とポートフォリオの最適化 Financial Toolbox では、資本配分、資産配分、リスク評価を行うために、ポートフォリオの最適化/分 析のための総合的なクラスが提供されています。以下を行うことができます。 ▪ 価格やリターン データに基づいて、資産収益やトータル リターンのモーメントを推測 ▪ ポートフォリオに関する統計値 ▪ 制約条件付き平均・分散モデルの最適化や分析の実行 ▪ 効率的なポートフォリオ配分の時間経過を分析 ▪ 資本配分の実行 ▪ ポートフォリオの最適化問題におけるターンオーバーと取引コストの考慮 MATLAB、Financial Toolbox、およびオブジェクト指向型設計を使用して構築したポートフォリオ最適化アプリケー ションの例。このアプリケーションでは、ポートフォリオを対話式に選択し、ベンチマークを比較できるほか、可 視化を行い、主要な投資成果の指標をレポートすることも可能です。 ポートフォリオの作成と分析のためのクラス Financial Toolbox にはポートフォリオ最適化ツールが用意されており、オブジェクト指向型のプログラ ミングを使用して、資産配分やポートフォリオ タイプの基本的な動向をカスタマイズし、拡張するこ とができます。新しいポートフォリオ タイプを開発する場合に使用する抽象クラスと、従来からのポ ートフォリオ最適化問題である平均・分散モデルのポートフォリオ最適化のためのクラスの、2 つのク ラスが提供されています。ポートフォリオ オブジェクトでは、ポートフォリオ問題の定義から、有効 フロンティアの評価や売買記録のセットアップまで、ワークフロー全体がサポートされています。 2 ポートフォリオ最適化のためのクラスを使用して、有効フロンティアに沿ったポートフォリオ最適化の問題例を解 いた様子。Financial Toolbox では、Portfolio オブジェクト (左) を使用してポートフォリオ最適化の問題を作成 し解き、有効フロンティアと初期ポートフォリオ (右上) を推測し、有効フロンティアに沿った、5 つの等間隔に配 置されたポートフォリオの資産の重み付けを含む売買履歴 (右下) を作成することができます。 ポートフォリオ最適化の問題の定義 ポートフォリオ最適化オブジェクトは、記述的なメタデータなどの、ポートフォリオ最適化の問題を 設定および解決するための簡易インターフェイスを提供します。ポートフォリオの名前、資産の母集 合に含まれる資産の数、資産の識別子を指定できると同時に、初期のポートフォリオ配分を定義する ことも可能です。平均・分散モデルの最適化では、資産収益のモーメントを、配列として、または行 列や金融時系列オブジェクトの収益時系列から推測して、定義することができます。次のような制約 がサポートされています。 ▪ 線型不等式 ▪ 線型等式 ▪ 上下限値 ▪ 予算 ▪ グループ ▪ グループ比 ▪ ターンオーバー また、ポートフォリオ最適化の問題の定義では、比例的なトランザクション コストを利用することが でき、ポートフォリオの総益と純益の最適化を行うことができます。 3 比例的な取引コスト (TX) とターンオーバー (TO) の制約を使用した場合と使用しない場合の、ポートフォリオ最適 化の問題の例に対する有効フロンティアのプロット。 エラーのチェックとポートフォリオの検証 ポートフォリオ最適化オブジェクトでは、ポートフォリオの作成段階でエラー チェック機能が提供さ れています。場合によっては、エラー チェックの時間を減らすために最適化の問題を解く前にポート フォリオ最適化オブジェクトへの入力や出力を検証することがあります。境界を推測したり、可解性 を確認するといった 2 つのメソッドが提供されています。 効率的なポートフォリオと有効フロンティア 目的によって、効率的なポートフォリオまたは有効フロンティアを使い分けることができます。ポー トフォリオ最適化オブジェクトでは、両方のメソッドが提供されています。効率的なポートフォリオ は、1 つ以上のターゲット リスクやターゲット リターンを指定して解くことができます。また、ポー トフォリオの数を指定して有効フロンティアから最適ポートフォリオを得たり、有効フロンティアの エンドポイントにおける最適ポートフォリオを解くこともできます。 後処理と売買レポート ポートフォリオのリスクとリターンが判明したら、ポートフォリオ最適化オブジェクトのメソッドを 使用して疑問のある結果をトラブルシューティングしたり、効率的なポートフォリオに近づくように 問題の定義を調整したり、または資産売買の記録をセットアップすることができます。このポートフ ォリオ最適化オブジェクトでは、売買記録をデータセットの配列として生成できます。このデータセ ット配列を使用して、資産の売買を追跡し、行使すべき売買を確認できます。 4 リスク分析と投資成果 Financial Toolbox では、リスクや投資成果を分析および評価するために、分析ツールの総合的な環境が 提供されています。 投資成果の指標には次のものがあります。 ▪ シャープ レシオ ▪ インフォメーション レシオ ▪ エラーの追跡 ▪ リスク調整後リターン ▪ (期待) 下方部分モーメント ▪ (期待) 最大ドローダウン 日次リターン データに対し、リード/ラグを変え指数加荷重移動平均モデルに近似し、各リード/ラグから算出され るシャープ レシオを示すサーフェス プロット。 債権の分析とオプションの価格付け キャッシュ フロー分析 Financial Toolbox では、資産の時間的価値の機能が提供されており、次の作業を実行できます。 ▪ 現在および将来価値の計算 ▪ 名目/実質金利、または修正内部収益率の計算 ▪ 償却額や償却スケジュールの計算 5 ▪ ローンや年金といった定期的に発生する金利の計算 SIA に準拠した確定利付証券の分析 SIA (米証券業協会) に準拠した分析機能が、政府、法人、自治体の発行する確定利付証券の価格付け、 利回り、感応度の分析のために提供されています。次のような分析機能があります。 ▪ 債券のキャッシュフローの発生日付、金額、感覚の計算 ▪ 債権の価格付けや満期利回りの計算 ▪ デュレーションとコンベクシティの計算 また、Fixed-Income Toolbox™では、ステップ債やゼロ クーポン債の価格を算出できます。 ブラック・ショールズ、ブラック、2 項モデルによるオプションの価格付け Financial Toolbox のツールでは、次の作業を実行できます。 ▪ ブラックまたはブラック・ショールズ方程式を使用して、標準的な市場モデルによる株式の価格付 け ▪ ラムダ、シータ、デルタなどのグリークスの計算 Financial Derivatives Toolbox™ を使用すると、Heath-Jarrow-Morton モデルや Cox-Ross-Rubinstein モデル などの幅広いモデルや手法を使用して、株式や債権のデリバティブの価格付けを行うことができま す。 コール オプションのポートフォリオに対する、ガンマ (Z 軸) とデルタ (色) を示すプロット。 6 金融時系列解析 Financial Toolbox では、金融市場の時系列データを解析するために、一連のツールが提供されていま す。このツールボックスには、以下をサポートする金融時系列オブジェクトが含まれています。 ▪ 営業日と祝日を含む日付の演算 ▪ データの変換と解析 ▪ テクニカル分析 ▪ チャートやグラフィックスの作成 Financial Time Series ツールは、MATLAB® 数値配列との変換といった、金融時系列オブジェクトを作 成、管理、操作するための便利なインターフェイスを提供します。さらに、ファイル、データベース (Database Toolbox™ を使用)、または金融データフィードのプロバイダー (Datafeed Toolbox™ を使用) から ツールに直接データを読み込むことも可能です。 Financial Time Series ツールを使用した、株式データのインポートと可視化。データのインポート、選択した時系列 オブジェクトの表示 (左)、選択した時系列オブジェクトのプロット (右上)、データフィード プロバイダーからのデ ータへのアクセス (右下) を行うことができます。 GARCH 推定、シミュレーション、および予測 Financial Toolbox には、一変量 GARCH モデルを扱うツールが用意されています。これらのツールで は、以下の作業を実行できます。 ▪ イノベーション (残差) が正規分布に従う一変量 GARCH (p, q) モデルを推定 ▪ 一変量 GARCH (p, q) プロセスのシミュレーション ▪ 条件付き分散の予測 7 Econometrics Toolbox™ では、他の GARCH モデルも扱うことができます。 欠損値がある状態での回帰と推定 Financial Toolbox には、欠損値の有無に関わらず、多変量正規回帰を実行するツールが用意されていま す。これらのツールでは、基盤となるモデルに基づいて、SUR (Seemingly Unrelated Regression) などの 一般的な回帰を実行できます。対数尤度関数や仮説検定のための標準偏差を推測し、欠損値がある場 合でも完全な計算を実行することが可能です。 欠損値がある状態での CAPM モデルのパラメーターの推定結果。欠損値がある状態での推定 (括弧内の値は t 統計 量) では、GOOG のベータ係数は統計的にゼロと異ならないことを示唆し (左上)、SUR (Seemingly Unrelated Regression) モデルの場合では GOOG にとって統計的に重要なベータ係数を識別する (右下) ことができます。 欠損値の推定機能では、データの質がモデルやシミュレーションに及ぼす影響を決定できます。たと えば、欠損値が、CAPM モデルの係数の推定に及ぼす影響や、資産ポートフォリオの効率的なポート フォリオの計算に及ぼす影響を考慮できます。欠損値による影響によって、結果が非常に異なるもの になる場合もあります。 8 欠損値が平均分散有効フロンティアの推定に及ぼす影響を示すプロット。赤で示されているフロンティアは、サン プル データでデータが欠落しているすべての期間を削除して計算したもの、青で示されているフロンティア は、ecmnmle を使用して欠損値の値を推測して計算したものです。 テクニカル指標と金融チャート Financial Toolbox には、以下のような有名なテクニカル指標と特殊なプロットが数多く用意されていま す。 ▪ 移動平均 ▪ ストキャスティクスや RSI といったオシレーター分析 ▪ (期待) 最大ドローダウンを計算するツール ▪ ボリンジャー バンド、ローソク足チャート、移動平均などのチャート作成ツール 9 異なる種類の金融チャートやテクニカル指標を調べるための Financial Toolbox のグラフィカル ツール。 リソース 製品詳細、デモ、動作環境 www.mathworks.co.jp/products/finance オンライン ユーザー コミュニティ www.mathworks.co.jp/matlabcentral 評価版ソフトウェア www.mathworks.co.jp/trialrequest 技術トレーニング サービス www.mathworks.co.jp/training 営業窓口 www.mathworks.co.jp/contactsales サードパーティ製品とサービス www.mathworks.co.jp/connections テクニカル サポート www.mathworks.co.jp/support 世界各地のお問い合わせ先 www.mathworks.co.jp/contact © 2011 The MathWorks, Inc. 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