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8.地域ネットワークをいかした地方消費者行政の取組
野村 裕子 氏
士別市消費者生活相談員
皆さん、こんにちは。私は士別消費生活センター消費生活相談員の野村です。よろしくお願いします。
まず、27 ページからが私の資料です。その資料を、参考にしていただき士別市の「地域ネットワーク
をいかした地方消費者行政の取組」について、ご紹介したいと思います。
当市の消費生活事業を大きく「消費者啓発と教育事業」
「消費生活相談事業と他機関との連携」と 2
つの分野に分けて実施しています。なかでも地域ネットワークをいかした取組として「消費者被害防止
ネットワーク」
「一般・高齢者の消費者教育」
「学校での消費者教育」3 事業について特徴的な事業の取
組をご説明します。
まず、消費者行政の体制につきまして、市民部環境生活課に消費生活センターが置かれています。そ
の環境生活課が事務局を担当している団体は、消費者協会・交通安全・防犯協会・自治会など9団体あ
り、その全てが地域コミュニティに関わる団体です。
また、もう一つの特徴として、消費生活センターの相談業務を環境生活課の中で行い、消費者行政の
施策を相談員がプロパーとして担当しています。このことは、消費生活相談の中から消費者行政の施策
が生まれるという考え及び一般職員の人事異動に伴う消費者行政のサービス低下に対応していく仕組
み作りからです。さらに課全体で、多くの団体を対象とした啓発などの活動ができるというメリットも
あります。
では、事業の内容についてご説明します。盛りだくさんですので特徴だけをご説明したいと思います。
最初に、士別市消費生活被害ネットワーク事業についてご説明します。この事業は、当課が所管して
いる 9 団体が幹事となり構成されています。当課では、これらの事務局を担当していることから、情報
の提供、情報の収集が非常にやりやすくなっております。
ネットワークの登録は、あくまでも個人ではなく団体を対象としており、さまざまな団体へ登録を促
して行っています。現在 162 団体で、その情報提供の内容は、消費者相談被害情報はもちろん、消費者
庁、国民生活センターから送付された情報、その他防犯協会での不審者情報、警察からの振り込め詐欺、
交通安全情報など広い範囲の内容で情報を提供しています。発信回数は、現在 126 回となっています。
お手元の資料の 35 ページを開いて下さい。これが士別市消費者被害防止ネットワーク情報配信概要
図で、これらの団体に情報を配信し、これらの団体から情報を収集しているということです。ですから、
一番心がけていることは、いかに速く、多くの団体に情報を配信するか、また、いかに多くの団体から
情報を収集するかということになります。配信方法は、電子メール、もしくはファックスです。
このネットワークで、特徴的な登録団体はコンビニなど、多くの世代特に若者が来店することを見込
み入っていただいています。その配信した情報を、コンビニや催事場、病院の待合室、保育所であれば、
毎日お子さんを迎えに行き目に付く場所に掲示していただく努力をしています。事務局から団体に送り、
その情報を個々の会員に配信していただく、もしくは事業所であれば顧客の目に付く場所に掲示してい
ただくという方法をとっております。
次のページ 30 ページを開いて下さい。役所内からの配信方法として、庁内ランを利用しています。
たとえば、情報を庁内ランである「新着情報」により全ての部・課・担当へと配信し、そこから所管
している全ての団体へ情報が配信、その団体から個々の会員へと情報が提供されます。
申し訳ないのですが、30 ページの中央に「消費者被害等の情報、早期にあらゆる世代に」とあります
が、そこは重複しているので削除していただきたいと思います。
次に、当市のユニークな情報の発信など見守り方法についてご紹介します。
1 つは、広報車やごみの収集車を利用しての情報の発信です。士別市の場合、ごみの収集は各家庭へ
の個別収集であり、木曜日を除いたほぼ毎日が収集日です。緊急を要する被害情報の場合、ごみの収集
車を広報車として利用し情報提供も行っています。このことは、広報車に比べ情報が各個に行きわたる
などの利点があります。
また、貸し館及び自治会館を悪質業者に貸さない対策として、「悪質業者に対する被害未然防止マニ
ュアル」を 4 月に貸し館担当者へ送付しています。この結果、催眠商法やマルチという商法に特定され
るのですが、現在公的貸し館を利用した悪質業者の販売活動が行われず、被害の減少につながっていま
す。
その他、市民の見守りとして、防犯協会の「わんわんパトロール」事業です。飼い主が愛犬と散歩す
るのは一日に 2~3 度あり、早朝だったり夜遅くの時間だったり、その時間帯を利用した地域の見守り
です。その時に、わんわんパトロール会員 109 名と愛犬 127 頭で、高齢者特に身体障害者など障害を持
った方対象に見守りを行っています。
次は、この地域ネットワークを利用した当市の特徴的な消費者行政の取り組みをご紹介します。
まず、一般高齢者を対象とした消費者教育事業の 1 つとして「消費者被害防止出前講座」事業を実施
しています。これは、消費者協会理事と消費生活相談員で結成された「劇団さくら」が講座希望団体を
訪問し講座を実施します。実際に相談が寄せられた事例をもとにシナリオを作成し、高齢者や市民を対
象に寸劇の手口を交えて消費者教育を実施しています。現在他市町村からの希望も多く剣淵町・比布町
など年間 10 回以上の訪問講座を実施しています。
手口を寸劇とする利点は、特に高齢者にとって耳で聞くより目で見る手口の方が理解でき記憶に残る
ようです。高齢者にとって法律や契約は少し馴染みにくいのですが、手口を寸劇で面白おかしく紹介し、
その手口をもとに問題点・法律知識を学習する。その効果として、高齢者の約 8 割の方がクーリングオ
フを知っているという状況です。そのシナリオの提供依頼も多く、希望団体には寸劇での消費者教育推
進を目的に利用していただいています。
次は、学校における消費者教育授業です。当市の取り組みの中でも現在一番力を入れている事業です。
幼年期、児童期、少年期、成人期と 4 つのライフステージに分けて、安全、契約取引、情報、環境と
いう 4 つの主要分野に沿った消費者教育を実施しています。学校での消費者教育は、平成 22 年度、消
費者教育モデル授業とし、中学生を対象に安全には 6 時間、契約取引には 7 時間、情報には 4 時間、環
境には 2 時間と計 19 時間を授業内容として実施しました。その際、生徒や先生、保護者の方を対象に
アンケート調査を実施し、今年に生かしています。
消費者教育を実施した結果、様々な問題点や課題が見えてきました。
商品知識のみを学習しても、消費者教育の本来の目的である判断できる力や応用力などを子供に伝え
ることは難しく、実社会を体験できるような消費者教育授業が望ましいと感じました。
契約分野であれば、知識を学ぶために 1 時間、判断できる知識授業を 1 時間。少なくとも 1 つの分野
では 2 時間が必要です。また、授業で使える教材の作成が遅れているということも上げられます。講義
型であれば中学生には全く関心を持ってもらえないことから、やはり実践的な講座を目指すためには、
教材の活用が重要です。さらに、消費者教育にあたる指導者の問題です。教師が消費者教育に当たると
いうことが良い状況だと思うのですが、まだまだ消費者教育に関心のある教師は少ないということです。
そこで、消費生活相談員を活用した授業の実施や教師の養成も必要だと思われます。これらのことから、
今後、長期的・継続的なプログラムの作成の必要性を感じました。
消費者教育の推進において、当市では模擬授業を実施した経過があります。その内容は、中学生への
授業を、教員・保護者・地域 PTA の方々を対象に実施する模擬事業です。その結果、教員の方々の消費
者教育への理解が深まり、さらに助言等もいただき今後の消費者教育実施に向け協力体制が確立したこ
とを実感しました。現在、各学校から 15 件消費者教育の要望があります。消費者教育の推進には、消
費者行政のコーディネートの役割と担当職員の熱意も重要だと思います。
次は広域事業について説明します。当市では、今年度から剣淵町と和寒町を広域化し消費生活者相談
を受けております。特徴的な部分は消費生活相談に加え消費者行政事業の支援や提供も行っております。
その事業は、今ご説明した消費者被害防止ネットワーク事業、一般・高齢者を対象とした消費者教育事
業、学校における消費者教育事業この3事業です。このことは、町村であれば単独で消費生活相談や事
業が困難と考え広域体制で支援しています。
地域のネットワークが、さまざまな消費者行政事業に生かされている当市の特徴的な取組をご説明さ
せていただきました。消費者行政の取組は、地域や学校・家庭などのネットワークから作り上げていく
ものだと思っています。今後もネットワークを広げ多くの団体と連携し安全で安心できるまちづくりに
努めていければと思っております。ありがとうございました。
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