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3.1 鋳造技術分野

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3.1 鋳造技術分野
第 3章
3.1
3.1.1
素形材技術分野別ロードマップ
鋳造技術分野
鋳造分野ロードマップの考え方
(1) ロ ー ド マ ッ プ の 範 囲
鋳造の分類は砂型、ダイカストなどのように、製法プロセスによるものと、鋳鉄、
アルミニウムのように材質による分類が行われているが、最適なものはない。前回ま
で の ロ ー ド マ ッ プ (平 成 10 年 、 12 年 )で は 生 産 統 計 分 類 に 基 づ い て 鉄 系 ・ 非 鉄 系 で 分
類し、記述した。しかし、鋳造技術の根幹は両者で変わるものではなく、共通の科学
技術に依存している。そこで今回は、製造技術、設計・製造プロセス、社会的要請、
革新のための技術基盤といった観点から分類した。
取りまとめは産学官から募った分科会のメンバーで行い、議論が片側からのみ行わ
れる事態を避け、広い視野から議論を行い、取りまとめた。
(2) 技 術 の 歴 史 と 現 状
鋳 造 材 料 は 、こ れ ま で 素 形 材 産 業 の 主 力 と し て 、わ が 国 の 機 械 産 業 に 素 材 を 提 供 し 、
そ の 発 展 の 一 翼 を 担 っ て き た 。 鋳 造 は 5000 年 も の 歴 史 あ る 産 業 で あ り な が ら 、 最 近
の CAD・CAM 技 術 や IT 技 術 の 進 歩 を 取 り 入 れ 、新 し い 次 元 に 突 入 し つ つ あ る 。例 え
ば 、 フ ル モ ー ル ド 鋳 造 法 や 鋳 型 製 作 へ の RP 技 術 の 導 入 、 設 計 ・ 鋳 造 方 案 で シ ミ ュ レ
ーション技術の発展に支えられ、鋳造品の複雑形状・薄肉化、信頼性の更なる向上が
挙げられる。
これと同時に、若者の技術者離れや人口の減少は、わが国での鋳造業の発展に大き
な影を落とし始めている。そこで、如何にしてこの産業の発展を維持、拡大して行く
か、そのための課題は何か、という観点から取りまとめた。
(3) 技 術 の 将 来 像 (展 望 )
鋳造技術が目指す技術の将来像を、革新的次世代鋳造技術として図示し、文末に掲
載する。
(4) 取 り 組 む べ き 技 術 課 題
鋳造分野では、少子化に伴う若年労働者の確保、海外展開・生産に伴う技術流出と
国内産業の空洞化、そして鉄鋼石を始めとする資源の枯渇と価格の高騰、地球環境の
悪化を如何にして食い止めるか、などの大きな課題がある。そのため、1 つの解決策
はプロセスの自動化・省人化であリ、もう 1 つの解決策は高品質化・高信頼化であろ
う。前者にはエキスパートシステムの改良が、後者には、シミュレーション技術の発
展が大きく寄与するであろう。これらの基礎にはコンピュータの発展が大きく寄与し
てきた。更には、高度な技術伝承のためのソフト開発も不可欠である。これらの技術
開発を通じて、鋳造品をして他の素形材加工からの代替化を進める必要がある。
43
これには、鋳造産業は金属原材料の大半をリサイクル地金に求めており、環境に易
しい産業であると同時に、エネルギー消費型の産業でもある。この意味からも省エネ
ルギー化を促進しなければならない。また、作業環境のクリーン化を進め、若者が参
入 し 易 い 産 業 と す る こ と も 不 可 欠 で あ ろ う 。鋳 造 業 は リ サ イ ク ル 産 業 で あ る と し て も 、
最近の鉄鋼を始めとする金属製品の高度化は、鋳造業にとっては好ましい傾向ではな
く、地金の汚染が進んでいる。そこで、これら汚染された地金を如何にして使い切る
かという、新しい課題が起こってきた。更には、鋳造業での産業廃棄物の低減は不可
避の課題である。
技術課題を大別し、以下の 4 項目にまとめ、議論を展開する。なお、重要度が高い
と評価された課題について、項目毎に概説する。
(a) 高 品 質 、 高 付 加 価 値 の 鋳 造 品 を 製 造 す る た め の 技 術
鋳造品は各工場で溶解された液体金属を出発原料として製造される。その主原料は
リ サ イ ク ル 金 属 (ス ク ラ ッ プ )で あ り 、 そ の 品 質 は 時 代 と 共 に 変 化 し て き た 。 ま た 、 金
属スクラップの質は市場にも支配され、出所不明の老廃棄物スクラップも使わざるを
得ず、鋳造工場はこれらを如何にして使いこなすかが大きな問題である。そこで、鋳
物には品質のばらつきや寸法精度に劣るという根本的な問題が常に存在する。これに
は、新しい溶解炉や、高度な鋳型の製造技術、シミュレーション法の開発は不可欠で
ある。
◎
原料地金の汚染対策:鋳造業はリサイクル地金を主原料としており、有害不純
物元素の無害化・除去技術は鉄、アルミ、マグネを問わず、避けて通れない。
◎
非 熱 処 理 型 ア ル ミ 合 金 の 開 発:鋳 造 後 の 熱 処 理 は 価 格 の 上 昇 を 招 く だ け で な く 、
変形を伴う。鋳造品の寸法精度の向上に変形の矯正は大問題である。
◎
インライン計測技術:製品ができた後の計測では不良発生への対応が遅れる。
そこでインラインでの計測、例えば砂の性質、溶湯の品質、金型の変形などが
不可欠である。
◎
ダイカスト用高品質中子:ダイカスト技術の進展は目を見張るものがある。し
かし、中子の使用に関しては未だに不十分である。複雑形状品の製造には中子
の使用が不可欠である。
(b) 設 計 ・ 製 造 プ ロ セ ス を 高 度 化 す る た め の 技 術
鋳 造 品 は 機 械 設 計 図 に 基 づ い て 鋳 物 図 面 に 書 き 直 さ れ 、 こ れ を 元 に 木 型 (模 型 )、 砂
型などが製作されてきた。この基本は過去に蓄積した経験であり、事例であった。い
わ ゆ る 職 人 技 依 存 で あ っ た 。そ れ が 、近 年 の 科 学 技 術 の 進 展 や 、IT 技 術 、シ ミ ュ レ ー
ション技術の発展により高度化・科学技術指導型に変化しつつある。これら科学基礎
技術に立脚した鋳造技術の発展は設計・製造プロセスを高度化するために不可欠にな
っており、この分野の更なる発展が期待されている。
◎
RP か ら RM(Rapid Manufacturing)へ : こ の 展 開 を 推 し 進 め 、 模 型 レ ス の 大 型
一 品 物 鋳 物 の 生 産 技 術 の 開 発 は 今 後 の 重 要 課 題 で あ る 。 RP で い る 限 り は 試 作
44
に 留 ま る の で 、 こ の RP 技 術 を 量 産 (RM) へ の 適 用 を 図 る 。
◎
3D を 活 用 し た 一 気 通 関 シ ス テ ム : 自 動 鋳 造 方 案 の 作 製 シ ス テ ム を 含 む 。 湯 流
れ・凝固解析から変形予測、製品強度予測を可能にするシステムの開発。
(c) 社 会 的 要 請 や 制 約 に 対 応 す る た め の 技 術
金属スクラップは、例えば自動車の軽量化・長寿命化を目的に高強度鋼板やメッキ
鋼板が多用されるようになった。これが鋳造業に常に新しい技術課題をもたらす。一
方では、鋳造業はエネルギー大量消費型の産業であり、産業廃棄物を介して環境汚染
の問題も起している。そこで、ゼロエッミッション化は不可欠の課題となってきた。
これらの目的を達成するには、新しい溶解技術、鋳型技術の開発が待たれている。ま
た 、 産 業 機 械 (例 え ば 自 動 車 )の 省 エ ネ 化 に は 軽 量 化 が 不 可 欠 で あ り 、 鋳 造 品 の 高 強 度
化技術の重要になってきた。
◎
極短時間溶解システム:溶解に要する理論熱量は一定でも、溶解時間が長くな
ると、その分だけ熱ロスが生じ、生産性を落とす。そこで、極短時間溶解システ
ムの構築はコスト、生産性、省エネの面からも極めて重要である。
◎
無押湯・無湯道鋳造システム:無押湯に関しては鋳鉄特有の黒鉛化による体積
膨張で実現の可能性は高い。無湯道になるとプレスキャスティングがこれに近い
技術ではあるが、形状が単純なものに限られる。そこで、フルモールドとプレス
キャスティングを組み合わせたような、ハイブリッドキャスティングの開発は重
要。
(d) 鋳 造 技 術 革 新 を 支 え る 技 術 的 基 盤
我国の鋳造技術は過去の経験の上に積みあげたノウハウに立脚しており、職人の経
験と知識に依存して発展してきた。職人技に立脚した技術、と見られてきた。これで
は将来の新分野への発展も若者の参入も期待できない。一方で、鋳造技術の学問的基
礎は何かと問われると、それは熱力学であり、反応速度論であり、更には伝熱工学、
流体力学、凝固工学、材料強度学でもある。これら多くの基礎学問に立脚し、しかも
IT 技 術 を 駆 使 し て 、シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 技 術 の 高 度 な 発 展 が 不 可 欠 に な っ て き た 。鋳 造
業に携わる技術者の高度な再教育システムの構築が望まれている。
◎
鋳造現象の科学的解明と定量化:鋳造技術が経験学問であり、職人技に大きく
依存している限り、若い技術者の活躍の余地は少なく、若者の参入も難しい。
職人技からの脱皮には科学的解明を要し、開発速度の向上にもつながる。
◎
公設試の強化:鋳造業は中小企業が中心であり、単独では開発力が弱い。これ
を援助するのが公設試であるが、現状では鋳造技術者が分散し、ここの公設試
にはその数は余りに少ない。これを特定の公設試を鋳造に特化させ、鋳造分野
を始めとするものづくり分野の強化を図る。この案は、公設試技術者絶対数の
増加を必要とするものではない。
◎
鋳造大学校の設立:鋳造中核人材の教育は軌道に乗りつつある。しかし、鋳造
45
技術の世界トップを維持するには、これでは不十分で、鋳造大学校のようなシ
ステムを作り、産官学共同で、一流の講師により教育に当たる。これは、受講
者数の増加も不可欠で、短期集中型のシステムとすべきである。
46
革新的次世代鋳造技術
-軽量・複雑形状部品の高信頼化-
現状の鋳鉄鋳物の製造ライン
現状と課題
製品の信頼性向上、寸法精度向上、金属スクラップの汚染、
環境、CO2排出低減、省エネ化、製品の提案力の向上
鋳造技術の将来像
製造情報の管理
高効率鋳造
省エネ・ゼロエ
ミッション
高歩留まり
高い寸法精度
①高機能・高品質鋳造製品を実現する溶解技術
②高歩留まり、寸法精度向上等を実現する造型技術
③不良を出さないための高度生産管理システムを実現する技術
④CO2排出低減、省エネを実現するための熱回収技術
鋳造欠陥の防止
改善
鋳造技術のプロセスの革新
溶解技術
造型技術
熱回収技術
新機能の実現
高度な生産
管理
風力・火力
発電など、エ
ネルギー産
業への展開
将来製品特性
試作レス、高歩留まり、
超軽量・複雑薄肉形状
鋳物の製造、超大型機
能鋳物
全体フロー関連事項(シミュレーション、省エネなど)
鋳造技術のプロセス革新
新機能の実現
自動車の高効率化(燃焼温度の上昇):
シリンダーブロックの組織・機能傾斜化
高強度化・汚染地金の使用:凝固組織の微細化
発電効率の向上(Ni基合金の限界):
高融点タービンブレード材の開発
高度な生産管理
インライン3次元寸法・品質保証技術:熟練工の知識・感性
の定量化と その計測法の開発
製品形状:寸法のネットシェイプ化、抜き勾配レス、バリなし
中子技術:ダイカスト用中子、易崩壊性中子(砂落としレス)
シミュレーション技術:試作レス、不良レス、短納期
火力発電用蒸気タービンとケーシング
溶解技術
スクラ ップ 不純物の無 害
化・除去技術.
鋳造の主原料はスクラッ
プ,化合物化,気化,精錬
造型技術
人造球形砂100%鋳型による廃砂ゼロ(ゼロ
エミッション),クリーン工場化
鋳型強度向上による押し湯ゼロ:歩留まりの
向上,高充填砂造型法の確立
47
熱回収・ シミュレーション技術
バ ラ シ 時 の 熱 回 収 :凝固終了時の鋳物鋳物の熱含有量は溶湯熱含有量
の60%
バラシ後の直接熱処理:直接熱処理・鍛造、高度のシミュレーションと砂落と
しレス技術が不可欠、これによる新機能の実現
3.3.2 鋳造技術分野のロードマップ概要一覧
【重点化の評価】
1.日本の技術競争力優位
2.共通基盤性
3.ブレークスルー技術
4.市場のインパクト
Ⅰ. 高品質、高付加価値の素形材製品を製造するための技術
小項目
開発・実用化・普及 線表
重要度
技術の概要
(テーマ名)
現在 5 年後 10 年後 15 年後 20 年後
Ⅰ○
Ⅰ-1
1 鋳鉄の傾斜組織化(シリ ◎ 鋳物内の黒鉛形状を片状から球状へと自由に制御で
5 10 年後
きる鋳鉄鋳造技術を開発することで、シリンダブロック 現
新機能を実
ンダブロック等への活
●
●
のように材料強度、減衰能、熱伝導性などの各特性を ●
現するため
用)
鋳物部品各部の要求に応じて作り込むことができ、軽 開発 実用化 普及
の新材料
量・高性能な製品を市場に出すことができる
技術
中項目
Ⅰ○
2 希少金属を含まない耐
熱マグネシウム鋳造合
金の開発
将来の資源獲得競争激化が懸念され、またリサイクル
の障害ともなるような希土類金属を使わない高性能材 現
料開発が必要である。併せてマグネシウム合金全体の ●
リサイクルシステムとそこで必要な技術開発が求められ
る。
Ⅰ○
3 半溶融、半凝固鋳造技
術によるアルミニウム合
金鋳物の開発
省エネルギ、欠陥レスの鋳造プロセスとして有望であ
10 年後
る。鍛造部品に匹敵する品質と信頼性を実現する高度 現
●
●
プロセスと高性能材料開発が求められる。
実用化 普及
Ⅰ○
4 材料高機能化技術(錆
びない(チタン、ステンレ
ス等)、低熱膨張、振動
減衰材料など)
Ⅰ○
5 無害化・不純物除去技
(1) 術(1)鋳鉄
開発
10 15 年後
●
●
実用化 普及
高機能を発現するが難鋳造材であるチタン合金やステ
5 10 年後
ンレスの鋳造技術を確立して、化学および高温工学分 現
●
●
●
野への市場開拓を図る。
開発 実用化 普及
◎
高性能、高機能材料の使用量増加にともない有害元
素(Mn、B、Pb、Al、Ti など)が増加し、部品性能確保 現 2 5 年後
や鋳造が難しくなる。それらの元素の工程内無害化や ●● ●
48
25 年後
5.基礎技術の開発が必要
6.安全・安心の確保のために必要
7.標準化の検討が望まれる技術
8.省資源、省エネルギ
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
製品の軽量化
技術
○ ○
○
○ ○ ○
マグネシウムリ
サイクル技術
○ ○ ○
○ ○
○
○ ○
○ ○ ○
自動車用の高
張力鋼板使用 ○ ○ ○ ○ ○
拡大
○ ○
中項目
小項目
(テーマ名)
重要度
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
現在
除去・リサイクル技術開発は必須である。
Ⅰ○
5 無害化・不純物除去技
(2) 術(2)アルミニウム合金
◎
Ⅰ○
5 無害化・不純物除去技
(3) 術(3)非鉄金属
◎
Ⅰ○
6 高機能人工砂
◎
Ⅰ○
7 非熱処理アルミ合金
Ⅰ○
8 快削性に優れた球状黒
鉛鋳鉄
Ⅰ○
9 耐磨耗性、低温脆性に
優れた球状黒鉛鋳鉄
(風力発電の風車用)
Ⅰ○
10 ポーラス材の鋳造技術
(内部はポーラス、表面
はソリッド)
◎
◎
5 年後
10 年後
15 年後
20 年後
25 年後
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
開発 実用化 普及
高性能が求められるアルミニウム合金鋳物・ダイカ
ストには、Fe 等の不純物元素が問題となる。これ 現 2 5 年後
らの元素を除去あるいは無害化する技術を開発す ●● ●
開発 実用化 普及
ることで、スクラップの利用が可能となる。
除去技術につ
いてはコストが
○ ○ ○ ○ ○
課題
近年の材料革新により、リサイクル材に混入する元
素の多様化が進み、有害元素(Si、Al、Be、Ti、Cr、Bi、
Pb)の混入の課題が増えている。これら除去・無害
化技術を開発して、リサイクルシステムを維持する
高性能なムライト系人工砂が開発され、熱膨張率の低
いことにより寸法精度のよい鋳物製造に貢献している。
さらに金属と同等の熱伝導のよい砂が開発されれば砂
型でも凝固組織微細化による高強度化とサイクル短縮
による生産性向上が期待できる。
鋳造のまま(熱処理なし)で、熱処理品と同等の機械
的性質を有するアルミニウム合金鋳物用材料ある
いは工法の開発。
技術開発
現
●
開発
10 15 年後
●
●
実用化 普及
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
現
●
10 15 年後
●
●
実用化 普及
開発
鋳物部品は鋳造と機械加工を経て組立へと回る。機械
5 10 年後
加工がコストに占める割合は大きく、難切削材は生産 現
●
●
性にも影響する。球状黒鉛鋳鉄は普通鋳鉄に比べると ●
開発 実用化 普及
極めて被削性が悪く、快削化は大きなメリットが出る。
省エネ技術の一貫として風力発電が有力視されてい
る。これには大型の球状黒鉛鋳鉄鋳物が使われる。し
かし、使用環境と安全性の面から高度の機械的性質が
要求される。今後のこの分野の世界的な発展を考える
と、大型球状黒鉛鋳鉄鋳物の強度、得に低温靭性や
伸びの改善が不可欠である。
構造部品は最適形状設計されればシェル(殻)構造で
十分な機能を発現する。内部に形状最適化したポーラ
ス構造を作ることができれば部品の超軽量・高強度が
実現でき、その用途は極めて大きい。
49
○ ○
○ ○ ○ ○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
快削鋼の主要
素 ; 鉛 、 Ca は
○ ○ ○ ○ ○ ○
適用付加。
現実的に既に生産が行われており、機械 Si の Ni への置
き換えではコス
的性質の改善が課題。
トが問題。
現
5 年後
●
●
開発/実用化 普及
発泡時金の制
現
10 年後
御
●
●
開発 実用化
○
○ ○ ○ ○
○
○
○
中項目
小項目
(テーマ名)
Ⅰ○
11 高真空ダイカスト
Ⅰ○
12 金属材料の凝固組織微
細化法
重要度
◎
Ⅰ○
14 材料複合化技術
Ⅰ○
15 高温・高圧、低温、高腐
食等特殊環境に使用さ
れる材料開発
組織制御と成形プロセ
ス(接合、表面処理など)
の融合一体化と対応設
備の開発
Ⅰ○
17 インライン計測技術
現在
5 年後
10 年後
15 年後
20 年後
25 年後
高真空ダイカストは生産性などダイカストの利点を維持
5 10 年後
した上で溶接組立てや熱処理できる部品製造が可能 現
●
●
である。すでに一部で使われ始めているが、より確実な ●
開発 実用化 普及
鋳造技術として早急に確立する必要がある。
Ⅰ○
13 金型鋳造用青銅合金の
開発
Ⅰ○
Ⅰ -2
16
高度な生
産を可能と
する技術
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
◎
◎
金属凝固組織(結晶粒)の微細化は材料強化の基本で
ある。冷却速度の増大、微細化元素の添加がポピュラ
ーであるが、電磁攪拌などの外部エネルギ導入でもそ
の効果が認められつつあり、結晶粒にサブミクロンが得
られる新規な技術開発が求められる。
青銅合金では、割れ発生等により金型鋳造は実用化
できておらず、現在の課題となっている。材料設計・材
料組織設計・生産システムの技術を併せて金型鋳造
可能な材料開発を行う。これにより生産性向上・品質改
善が図られる。
CNT(カーボンナノチューブ)などとの複合化技術によ
り、機械的性質、熱伝導などの特性を飛躍的に向上さ
せた素形材を開発する。
発電効率を高めるための高温・高圧化で使われる材
料、極寒地あるいは極低温環境で使用可能な低音用
材料、海水淡水化、海底油田、天然ガス等の高腐食
環境下等の特殊環境に耐える材料開発とその鋳造技
術は地球環境のためには必要である。
鋳造をベースに塑性加工、熱・表面処理など複数の加
工技術を融合させ、それぞれの加工技術の特徴を反
映させた材料組織制御を行い、多機能な高性能製品
の製造を実現する。
製造ラインのモニタリング技術はかなり進歩している。
しかし、熟練技術者の現象により、これまでは彼らの五
感に依存していたノウハウが失われつつある。工場全
体は順調に稼動しているかを、熟練技術者のノウハウ
を自動計測化し、製造ライン全体として計測、評価する
50
現
●
開発
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
ダイカストマシ
ンの開発が不
可欠。
10 15 年後
●
●
実用化 普及
8
○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○
○
材料開発
現
5 8 年後
●
● ●
開発 実用化 普及
○
○ ○ ○
○
○ ○ ○
素材コスト
現
7 10 年後
●
● ●
開発 実用化 普及
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
一部の実用化は始まっているが、コストが
量産化を阻害している。
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
何を、どのような手法でモニタリングする
のか、適用分野の絞込みが先ず必要。
現
10 15 年後
●
●
●
開発
実用化 普及
○
○ ○ ○ ○
○
○
○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
中項目
小項目
(テーマ名)
重要度
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
現在
5 年後
10 年後
15 年後
20 年後
25 年後
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
技術が重要である。
Ⅰ○
18 ネットシェイプ技術
(ダイカスト)
◎
ダイカストの抜き勾配を極限まで小さくすること
と寸法精度を向上させることで、後加工を極力低減 現
●
してネットシェイプ化を図る。
開発
Ⅰ○
19 環境対応の新しい造型
法(凍結鋳型、多糖類中
子、スチーム中子等)
Ⅰ○
20 極めて崩壊しやすい砂
型、砂中子
Ⅰ○
21 振動造型のように、砂を
液状化させて造形し、
造型工数の短縮や重作
業軽減に役立つ技術
Ⅰ○
Ⅰ -3
22 ダイカスト用の高品質中
高品質・高
子の開発
付加価値を
実現するた
めの新プロ
Ⅰ○
23 溶接可能な球状黒鉛鋳
セス
鉄製品の製造技術開発
Ⅰ○
24 複雑形状部品、超大型
の球状黒鉛鋳鉄の製造
技術開発
◎
製造における CO2 削減は大きな課題である。また鋳造
では臭気や環境負荷物質ゼロも大きな技術課題であ
る。これを実現する新造型法開発は重要であり、そこに
鋳造溶湯が保有する熱を有効利用できれば自工程完
結型の技術となる。
鋳鉄鋳物の生砂型との焼付き、シェルモールド中子や
コールドボックス型などの砂落ちの悪さは後工程に大
きな負荷をかけている。易崩壊型開発のニーズは大き
い。
振動造型法は砂を液状化させて造型する技術であり、
造型作業低減、短縮にはその効果が期待できる。
このように、土木工学等他分野の技術を応用した新プ
ロセスの開発が期待できる。
アンダーカット部を形成する特殊な中子を開発し
て、より複雑な形状の部品をダイカスト化すること
で付加価値を上げる。
鋳鉄の溶接は難しく、現在でも補修程度しか実用に供
されていない。原理的には高炭素鋼の溶接であり、難
しい技術ではあるが、溶接が可能となれば鋳鉄の用途
の著しい拡大につながる。新しい発想で取り組みた
い。
大型の鋳鋼品の球状黒鉛鋳鉄化が進行しているが、
現状では大きさに制限がある。これは黒鉛形状が球状
でなくなる問題である。この機構は既に解明されている
ので、後は実験あるのみではあるが、超大型鋳物の製
造には多大の費用を要する。実験技術の開発と新しい
51
10 15 年後
●
●
実用化 普及
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
造型法の開発
現
●
開発
10 15 年後
●
●
実用化 普及
○
○ ○
○
○
○ ○
○
材料開発
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
10
●
現
●
開発
15 年後
●
実用化 普及
○
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
新溶接技術
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
現 3 8 年後
● ●
●
開発 実用化 普及
○
○ ○
○
新しい溶湯処
理技術
○
○ ○
○
中項目
小項目
(テーマ名)
重要度
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
現在
5 年後
10 年後
15 年後
20 年後
25 年後
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
溶湯処理の開発が必要である。
Ⅰ○
25 精密鋳造セラミックス中
子の開発
Ⅰ○
Ⅰ -4
26 高融点金属の精密鋳造
新規ユー
技術の開発
ザ分野に
対応する新
素形材製
品
Ⅰ○
27 薄板の連続鋳造圧延技
術
◎
Ⅰ○
28 異 材 質鋳 ぐ るみ に よ る
製品の製造
Ⅰ○
29 生体材料(RP を利用)
◎
精密鋳造セラミックス中子は生産性が悪く入手困難で
あり、欧米のセラミックコアにもまだ追いついていない。
耐熱強度を有し且つ生産性の良いセラミックコアの材
料開発、成形技術の開発が必要。また鋳造後、セラミッ
ク中子の溶出にも非常な時間を要しているのが現状で
あり、容易に溶出可能な材料開発或は溶出技術の開
発も必要である。
応力方向に結晶を成長させる一方向凝固・単結晶(以
下 DS・SC)鋳造方法と新材料開発により、ガスタービ
ン動翼のさらなる耐熱化と長寿命化を図る。また、高効
率鋳造技術を開発することで、生産性を大幅に向上す
る。
インゴットから圧延により薄板製造する技術は確立され
大きな市場を占めているが重厚長大である。コンパクト
でフレキシブルな製造技術となる可能性を持つ薄板連
続鋳造圧延技術が開発できれば、部品成形工程と直
結した製造一環工程が実現し、コスト低減も図ることが
できる。
異種材料を重ねて鋳造・融合一体化し、一部品にとど
まることなく製品としてその要求機能を適在適所で付
与できる製造技術開発が求められている。
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
現
5 10 年後
●
●
●
開発 実用化 普及
移植する部位にぴったりフィットする「オーダーメード生
体材料(代替骨)を作製する技術を開発する。
現
●
52
材料開発
成形技術
○ ○
○ ○
○ ○ ○ ○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○ ○
○
組織制御技術
の開発
連続鋳造圧延
技術の開発
界面組織制御
技術の開発
○
医療認可
10 15 年後
●
●
開発
実用化 普及
○ ○ ○ ○ ○
○
【重点化の評価】
1.日本の技術競争力優位
2.共通基盤性
3.ブレークスルー技術
4.市場のインパクト
Ⅱ.設計・製造プロセスを高度化するための技術
小項目
開発・実用化・普及 線表
重要度
技術の概要
(テーマ名)
現在 5 年後 10 年後 15 年後 20 年後
Ⅱ○
Ⅱ -1
1 3D を活用した一気通 ◎ 受注時のコスト試算や設計変更に始まり、生産及び
設計・製造
貫システムの構築
不具合管理までを、3D データを基本に一気通貫さ
現
5 10 年後
プロセス最
せたシステムの開発が望まれている。具体的には、
●
●
●
適化のため
コスト試算・日程管理・強度解析・方案解析(湯流
の知能化・
れ・凝固・変形)・製造履歴・溶解管理・寸法精度・ 開発 実用化普及
情報化技
不具合までが管理もしくは予測可能なシステム
術
中項目
Ⅱ○
2 鋳造シミュレーションの
高度化及び高精度化
Ⅱ○
3 3D データの徹底的活
用
◎
◎
Ⅱ○
4 鋳造品の設計支援シス
テム
Ⅱ○
5 鋳造エキスパ-トシステ
ム
Ⅱ -3
Ⅱ○
6 RP の RM 化による鋳
設計データ
型、模型量産製造技術
鋳造シミュレーションは、鋳造プロセス中に発生す
るさまざまな物理現象を定式化して近似的に解く
現
5 10 年後
数値解析方法であり、溶湯の充填状況や凝固過程等
●
●
●
の挙動を計算機上で予測する技術。
開発 実用化普及
3 次元 CAD を使用して作成された設計モデルデー
タをもとに図面を介さず(図面レスで)直接模型や
現
5 10 年後
鋳型を製作する技術、さらに、設計モデルを寸法精
●
●
●
度測定、数値解析及び試作品の代替等さまざまな工
開発 実用化普及
程で利用する技術。
鋳造品の設計支援のためのソフトウェアの実現が
望まれている。すなわち、鋳造品の設計における最
現
5 10 年後
適解を導くための様々な条件(歩留まり・寸法・形
●
●
●
状・強度・ひけ巣・湯流れ)を統合・連携した納期・
開発 実用化普及
品質・コストが予測可能なソフトウェアの開発。
25 年後
5.基礎技術の開発が必要
6.安全・安心の確保のために必要
7.標準化の検討が望まれる技術
8.省資源、省エネルギ
律速要因
1
現状の量産製法に匹敵するコスト、量産性を持つ安 現
価 で 高 速 な 鋳 型 ( 模 型 ) 製 作 、 即 ち RM(Rapid ●
53
5
●
10 年後
●
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
シミュレーショ
ンの進歩
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
産学の協力
○ ○ ○ ○ ○
○
○ ○ ○ ○ ○
○
技術開発
情報の共有化
○
5 10 年後
鋳造欠陥に対してその発生原因の特定及び欠陥対策 現
●
●
を支援するシステムが求められている。また、鋳造欠陥 ●
開発 実用化 普及
だけでなく、納期・コストを分析し、改造の手助けとする
システムの開発ももとめられている。
◎
2
○ ○
○
○
コスト
○
○ ○ ○ ○
○
中項目
小項目
(テーマ名)
重要度
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
現在
Manufacturing)技術
の即時製
品化技術
Ⅱ○
7 RP の RM 化 対象拡大
◎
Ⅱ○
Ⅱ -4
8 計測技術の高度化(寸 ◎
高品質・新
法・欠陥・材質・温度・
機能を支
湯流れ)
える評価
技術
Ⅱ○
9 コンピュータを利用した
鋳物の組織・特性評価
予測による品質保証技
術
5 年後
10 年後
15 年後
20 年後
25 年後
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
○ ○ ○ ○
○
開発 実用化普及
高精度 RP 技術(0.1mm 単位レベル)、模型レス大型
一品鋳物 RP 技術など RP 対象の拡大とその量産技
術(RM=Rapid Manufacturing)
5
10
15 年後
●
●
●
開発 実用化普及
鋳造品の寸法検査・内部及び外部の欠陥検査・異物
の欠陥検査・組織・強度・硬さ等の検査・溶湯性状
現
5 10 年後
の検査・機械設備等の各種検査・鋳造過程の温度・
●
●
●
流れ等の計測・鋳物や鋳型の物性値の計測等が定量
的に容易かつ高速・高精度に計測できる技術の確立 開発 実用化普及
が期待される。
5 10 年後
鋳造プロセスの違いによる鋳造内部材料組織変化及 現
●
●
び鋳造品としての機械的性質が予測できる技術及び ●
開発 実用化 普及
システム開発が期待されている。
54
コスト
○
情報の共有化
○ ○ ○
○
○ ○
○
○
【重点化の評価】
1.日本の技術競争力優位
2.共通基盤性
3.ブレークスルー技術
4.市場のインパクト
Ⅲ.社会的要請や制約に対応するための技術
小項目
開発・実用化・普及 線表
重要度
技術の概要
(テーマ名)
現在 5 年後 10 年後 15 年後 20 年後
Ⅲ○
Ⅲ -1
1 熱回収・利用技術(鋳物 ◎ 溶解工程における熱効率の向上さらに鋳造後製品を
省エネ・温
本体からの熱回収も)
冷却する時の廃熱の利用が期待されている。
現
5 10 年後
暖化ガス削
●
●
●
減のための
開発 実用化 普及
素形材技
術 ( 長 寿 命 Ⅲ○
2 短時間溶解(ハイパワー ◎ 周辺電子制御技術の活用により高周波炉などの発達
化など)
5 10 年後
溶解、二重溶解)
が促進され大容量急速溶解技術が普及していくことが 現
●
●
期待される。また不純物を除去する溶解炉が開発され ●
一次溶解された溶湯を保持し、調整して利用する技術 開発 実用化 普及
も期待される。
◎
銅
合金鋳物業者は中小企業が多く、その材質は
Ⅲ○
3 省エネルギ・短時間銅
5 10 年後
JISH5120 だけでも 9 合金系で 35 種類あり,受注ロッ 現
合金溶解システムの開
●
●
トは,数量・重量とも非常に少ない単位である。銅合金 ●
発
開発 実用化 普及
鋳物の生産において最も重要な溶解も多くはガス炉。
重油炉を用いており、その溶解効率(熱効率と原材料
歩留まり、溶解速度)が悪く、受注ロットに対応した少量
で迅速溶解可能なこれに適した安価な小型誘導電気
炉の開発が望まれている。
Ⅲ○
4 無押湯・無湯道
◎ 鋳造方案は湯道、押湯そして製品からなっており、歩
5 10 年後
留の向上は CR の重要な柱となっている。鋳造した溶 現
●
●
湯が全て製品化されることは究極の鋳造技術であり鋳 ●
開発 実用化 普及
造技術に関わる者全てから期待される。
中項目
Ⅲ○
5 押湯不要の引けなし球
状黒鉛鋳鉄鋳物の溶
解・造型鋳造技術の開
発
◎
球状黒鉛鋳鉄品を無押湯で製造する条件は鋳物形状
5 10 年後
や鋳型種類など凝固挙動を制御する因子によるが、更 現
●
●
に安定化を図るには溶湯性状や鋳型の均一性を検出 ●
開発 実用化 普及
し管理できる技術が期待されている。
55
25 年後
5.基礎技術の開発が必要
6.安全・安心の確保のために必要
7.標準化の検討が望まれる技術
8.省資源、省エネルギ
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
基礎研究不足
○
○ ○ ○
○ ○
○ △ ○ ○
○
○
○ △ ○ ○
○
○
○
○ ○ ○
コスト高
基礎研究不足
基礎研究不足
○ ○
基礎研究不足
○ ○ △ ○ ○
○ ○
中項目
小項目
開発・実用化・普及 線表
重要度
技術の概要
(テーマ名)
現在 5 年後 10 年後 15 年後 20 年後
Ⅲ○
6 ハイブリッド・プレスキャ ◎ 砂型に溶湯を注入し、半溶融状態で鍛造することによ
り溶湯の補給を行い湯道、押湯が不要となる。より均一 現 3 5 年後
スティング、無押湯・無
● ●●
な薄肉製品も実現可能になることが期待されている。
湯道
開発 実用化 普及
Ⅲ○
7 銅合金鋳物高効率生産
システム
◎
Ⅲ○
8 バイオマス利用による溶
解
Ⅲ○
9 高硬度・高剛性・精密
鋳物の開発(鋼材の鋳
物化)
律速要因
1
◎
◎
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
○ ○ ○
○ ○ ○ ○
材料開発・金
型開発
〇
○ ○ ○
黒鉛が内在す
ることによる劣
化の防止に
は、鋼よりの高
○ ○ ○ ○ ○
度が要求され
る。
・鉱石から選鉱・抽出するよりは、スクラップ材から再生
精製する技術。・還元溶解技術を利用した鋳造での同 現
金属利用。例えば、従来廃棄されている各種メッキスラ ●
ジから、Ni、Cu、Cr、Ag など有用金属を再生し、鋳造
材料として有効活用する技術(有効利用するためのメッ
キ技術も変わる)。資源のない我が国では、スクラップ
やスラグからの有用金属を再生利用することが必要と
なってきている。
廃棄物の処理
技術
開発
○
技術開発
湯道外し、堰折から湯口研削など鋳仕上げ作業はそ
の多様性から自動化が難しく作業環境の改善が期待 現
●
されている。
10
●
開発
56
15 年後
●
実用化 普及
20 年後
●
実用化
普及
○
○
自動車部品のハイテン採用や高強度樹脂部品への転
5
10 年後
換などにより、高硬度な金型材料の採用が増加してい 現
●
●
る。現状鋼材焼入れが一般的であるが、加工除去体積 ●
が大、かつ熱処理によるエネルギロスが大きい。また、 開発 実用化 普及
熱処理不要の高硬度鋳物は開発されているが高価で
あり、そのコストダウンと安定供給可能なレアメタルを使
わない素材による鋳造工法開発が課題である。
10
●
8
経済性の見極
め
環境循環型社会に貢献を目指す鋳造業にあって大量
10 15 年後
消費しているエネルギの代替源としてその有効活用が 現
●
●
●
期待される。
開発 実用化 普及
Ⅲ○
Ⅲ -2
10 有用金属再生と鋳造で
省資源のた
の利用
めの素形
材技術(資
源枯渇問
題への対
応)
Ⅲ○
Ⅲ -3
11 鋳仕上げ作業の合理化
安 全 ・ 安
(苦渋作業の解消、自動
心・快適な
化)
生活のため
アルミニウム合金で実用化が進んでいる金型鋳造、ダ
5 8 年後
イカスト、低圧鋳造技術の高融点金属への適用ととも 現
● ●
に、方案歩留まり向上を図った抜本的な生産システム ●
開発 実用化 普及
開発を行う
25 年後
○ ○
○
○
小項目
開発・実用化・普及 線表
重要度
技術の概要
(テーマ名)
現在 5 年後 10 年後 15 年後 20 年後
の 素 形 材 Ⅲ○
12 鋳 仕 上 げ レ ス ( 高 品 質
製品形状の最適化や鋳造方案の改善により堰折後全
5 10 年後
技術(医療・
化)
く仕上工程を経ずにそのまま素材となるような製品設 現
●
●
●
生体関連、
計方案設計技術の確立が期待されている。
開発 実用化 普及
低騒音・低
振動、有害
物 質 の 排 Ⅲ○
13 トレーサビリティ向上
◎ 鋳造工程で生産される生産物の品質を保証し、品質を
出抑制な
5 10 年後
向上させていくために、鋳造条件、検査結果と製品と 現
ど)
●
●
●
の紐付けをする技術。
開発 実用化 普及
中項目
Ⅲ○
14 ゼロエミッション
◎
鋳造工程から出される廃棄物を全て再利用する技術
は環境保全の観点から期待されている。これらの産廃 現
物を分別しもとに戻す技術、または、ここの貴重な元素 ●
を取り出す技術、無害化して別の用途に再生する技術
の開発を行う。
57
10
●
開発
20 年後
●
実用化
普及
25 年後
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
○ ○ ○
技術開発
コスト
○ ○ ○ ○ ○
○
技術開発
環境規制
○ ○
○ ○ ○ ○ ○
【重点化の評価】
1.日本の技術競争力優位
2.共通基盤性
3.ブレークスルー技術
4.市場のインパクト
Ⅳ.素形材技術革新を支える技術的基盤
小項目
開発・実用化・普及 線表
重要度
技術の概要
(テーマ名)
現在 5 年後 10 年後 15 年後 20 年後
Ⅳ○
Ⅳ -1
1 鋳造現象の科学的解明 ◎ これからの鋳造産業界が職人技能中心から脱皮してよ
5 10 年後
新たな技術
と定量化
り技術力を向上させていくためには、鋳造現象の科学 現
●
●
体系の構
的解明と定量化が不可欠。鋳造現象を科学的に解明 ●
築
し、デジタル技術によって暗黙的知識の定量化を図 開発 実用化 普及
る。
中項目
Ⅳ○
2 鋳物製造技術の標準
化、データベース化
Ⅳ○
Ⅳ -2
3 業界の連携・協力とコア
素形材技
組織の構築
術の支援
技術・周辺
技術の構
築
Ⅳ○
4 垂直連携の研究開発の
ためのプラットフォーム
構築
Ⅳ○
Ⅳ -3
5 公設試の強化
研究開発
体制の整
備
Ⅳ -4
Ⅳ○
6 熟練技能のデジタル
◎
律速要因
一企業・一大学で技術体系を語れる時代は終わった。
産学官の協調の下、研究開発・教育の組織の構築が
必要。国として、半官・半民の鋳造研究を行う開発機関
の設立が求められる。
産業界のニー
ズの把握
58
重点化の評価
3 4 5 6 7
○
○
5
10 年後
8
○
○ ○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
国の予算措置
2 5
10 年後
● ● ●
開発 実用化 普及
道州制の導入による公設試のテリトリーの広域化と、特
定分野への特化。東北や関東などの地域に 1 つの鋳 現 4 6 年後
造に特化した公設試を立ち上げ、中小企業の研究・開 ● ●●
開発 実用化 普及
発力の強化を図る。
これからの鋳造産業界がより技術力を向上させていく 現
2
○ ○ ○
技術情報の流
動化
2 5
10 年後
● ● ●
開発 実用化 普及
1
技能者の大量
退職
国全体としての鋳物品質の向上にはデータベース化
が不可欠。特に、失敗事例はなかなか世に出難いが、 現 2 3 年後
同じ過ちを多くの工場で繰り返すので、成功事例にこ ●●●
だわることなく、実施する。
開発 実用化 普及
工学は製品ができてこそ意味がある。国研・大学・産業
界の密な連携が必要で、課題ごとに機動的に組織化
することが必要。時期を失うと世界に取り残される。
◎
25 年後
5.基礎技術の開発が必要
6.安全・安心の確保のために必要
7.標準化の検討が望まれる技術
8.省資源、省エネルギ
国の予算措置
中核人材の不 ○ ○ ○
中項目
技術・技能
の伝承
小項目
(テーマ名)
化、中核人材の育成
重要度
Ⅳ○
7 鋳造関連情報ネットシス
テムの構築
Ⅳ○
Ⅳ -5
8 人材育成システムの構
人材の育
築と独立型企業の育成
成と確保
Ⅳ○
9 「鋳造大学校」(仮称)で
の人材育成
Ⅳ○
Ⅳ -6
10 製品の開発、試作、製
技術と経営
造、販売等の全てある
の融合
いは一部を他企業・他
機関と連携して実施す
ることを支援するシミュレ
-タ、データベース意志
決定システム
Ⅳ○
11 知的財産経営
Ⅳ -7
Ⅳ○
12 優秀な人材の確保と経
グローバル
営の国際化
◎
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
現在
5 年後
10 年後
15 年後
20 年後
律速要因
25 年後
ためには、高度技術・技能を確実に次世代に伝承して ●
●
●
いくことが不可欠。デジタル技術によって暗黙的知識
開発 実用化 普及
の定量化を図り中核人材の育成に活用する。
5 10 年後
鋳造に関する情報をネット上で発信でき、共有化でき 現
●
●
るシステムの構築が望まれている。具体的には、鋳造 ●
開発 実用化 普及
工学会、鋳造協会、素形材センター等による文献検
索・物性値の共有化・情報発信等のネットシステム。
足
入門編から中級・上級編までのクラス分けをした教育シ
5 10 年後
ステムの構築と。固有の技術を持った企業の育成と、こ 現
●
●
●
れによる業者間の棲み分け。
開発 実用化 普及
業界内の連携
中核人材育成事業は軌道に乗り、教育が行われてい
る。しかし、受講者のレベルが低く、ばらつきが大きく、
高度教育は不可能である。そこで、更に上のバージョ 現 2 3 年後
ンが必要。大学での鋳造に関連する教員数が著しく減 ●●●
少し、教員ネットワークの構築(1 大学では対応できな 開発 実用化 普及
い)による教育システムの構築。地域ごとに小規模な事
業を行うのではなく、全体全国を 1 つにまとめることが
必要。教える側の人材も育成する必要がある。
1
2
○
○
○ ○
○ ○ ○
○
国の予算措置
2 5
10 年後
● ● ●
開発 実用化 普及
これからの社会を考えると、鋳造分野で優秀な日本人 現 2 4 年後
が十分に確保できるとは考え難い。そこで海外、特に ● ● ●
59
○
8
国の予算措置
これまでの鋳造の固定概念に囚われない技術開発に
は異業種との交流が必要である。このための技術交流 現 2 5 10 年後
●
●
サロンを立ち上げ、これを援助するためのデータベー ●
開発 実用化 普及
スを構築する。
高度ものづくりのためには知財経営が必要で、鋳造知
財センター的な組織が必要。
重点化の評価
3 4 5 6 7
○ ○
○
○
○
中項目
小項目
(テーマ名)
化への対
応
Ⅳ○
13 人材流出防止策
Ⅳ○
14 日本主導の鋳造技術の
ISO 化
Ⅳ○
15 ノウハウの蓄積の「ブラ
ックボックス化」
重要度
開発・実用化・普及 線表
技術の概要
現在
東南アジアの理工系卒業生の積極的な採用を考え、こ
れらの人材で海外進出にも供えるべきであろう。
鋳造はノウハウ産業であり、人材流出が最大の課題で
ある。この場合、定年退職者の雇用問題でもあり、技術
アドバイザー制度や、ものづくり教育の現場での定年
退職者の採用システムが求められる。
5 年後
10 年後
15 年後
25 年後
律速要因
1
2
重点化の評価
3 4 5 6 7
8
開発 実用化 普及
現 2 4 年後
● ● ●
開発 実用化 普及
ISO 規格の制定に積極的に参加し、わが国固有の技
術、例えば人工砂などの ISO 化を積極的に推し進め 現 2 4 年後
● ● ●
る。
開発 実用化 普及
ノウハウのデジタル化には限界がある。例えば自転車 現 2 5 10 年後
●
●
の乗り方は体で覚えるしかない。同様に、鋳造の作業 ●
開発 実用化 普及
には多くのノウハウがあり、これを積み上げて、ブラック
スボックス化し、製品の品質にフィードバックするシステ
ムを構築する。
60
20 年後
産業界のニー
ズの把握
○
○
○
人材の確保
○
○
○ ○
3.1.3 鋳造技術分野の技術マトリクス
製品高度化
目標
技術要素
目標内容
技術内容
鋳鉄
鋳鋼
銅合金
軽合金
材料
a
キュポラ
電気炉
溶解
b ガス炉
重油炉
溶湯処理
寸法精度
強度
形状
表面性状
組織
軽量化
欠陥
Ⅰ⑧:a1B1
Ⅰ⑫:a1-4B4
(Ⅰ⑬:a3B1)
Ⅰ⑮:a2B4
Ⅰ⑯:a1-4B3
Ⅲ③:a3B1
Ⅲ④:a1B4
Ⅲ⑤:a1B4
Ⅲ⑥:a1B4
(Ⅲ⑬a1-4B7)
b1 (Ⅰ⑤(3):b5A7)
Ⅰ29:b6A1
b2 Ⅲ②:b2A7
b3
Ⅲ②:b2B3
(Ⅲ⑬b1-5B7)
中子
仕上げ
d
e
その他
期間短縮
C
環境保全
D
経 営
B1
B2
B3
B4
B5
B6
B7
リードタイム 工程検討
方案
試作
模型
物流
C1
C2
C4
C5
C6
C7
CO2・エネルギー削減
資源保護
リサイクル・廃棄物処理
作業環境改善
地域環境改善
有害物質削減
潤滑剤・加工油削減
塗型・離型剤
Ⅰ⑤(2):a4D1,a4D3
Ⅰ⑤(3):a3D3
Ⅰ⑦:a4D1
Ⅰ⑤(1):a1D6
Ⅲ⑩:a1D6
D1
D2
D3
D4
D5
D6
D7
D8
人材育成
国際化
技能・技術伝承
産学連携
品質保証
標準化(規格)
安全管理
Ⅰ⑪:c5A2
Ⅰ⑯:a1-4C2
(Ⅰ⑦:c3B3,c4B3)
Ⅰ⑬:c3B1
Ⅰ⑱:c5B3
Ⅰ
⑥:c1B1,c2B1,c6B1
Ⅰ21:c1B1
Ⅲ⑦:c3-4B1-7
(Ⅲ⑬c1-6B7)
(Ⅲ⑦:c3-4C2)
(Ⅲ⑭b1-5D3)
d1 Ⅰ22:d1A2,d3A2
Ⅰ⑲:c1A2
d2
Ⅰ⑳:d1A2
d3 Ⅰ25:d3A1
Ⅰ⑥:d1B1
(Ⅰ22:d1D8,d3D8)
Ⅲ⑫:e1-4B2
(Ⅲ⑬e1-4B7)
Ⅲ⑪e1D4
(Ⅲ⑪e2-4D4)
ばり取り
e1
堰折り
e2
砂落とし
e3
E
情報化
(CAD・CAM・CAE)
CAD
CAM
CAE
データベース化
Ⅰ⑰:c1-6E5,7
Ⅳ⑨:c1-6E1,4
ショットブラスト e4
熱処理
応力除去
f1
f 調質・改質
f2
寸法・重量
検査
g
材質・強度
欠陥
木型
金型
模型
h
(Ⅰ⑦:f2B3,f2D1)
g1 Ⅱ⑧:g3A7
(Ⅱ⑧:g1A1)
(Ⅱ⑧:g2A2)
g3
Ⅲ⑬g3B7
(Ⅲ⑬g1,2B7)
(Ⅱ⑧:g3C4)
h1 (Ⅱ⑥:h4A3)
(Ⅱ⑦:h4A3)
(Ⅱ⑦:h4B5)
(Ⅲ⑬h1-6B7)
Ⅱ⑥:h4C1
Ⅱ⑦:h4C3
g2
h2
h4
型設計
h5
検査
h6
Ⅰ⑭:iA5
(Ⅰ⑱:iB3)
Ⅰ23:iA5
Ⅰ28:iA3
その他
Ⅱ⑤:g3E5
Ⅳ①:iE6
Ⅳ③:iE4
Ⅳ④:iE4
Ⅳ⑤:iE4
Ⅳ⑥:iE6,iE1,iE3,iE4
Ⅳ⑧:iE1,3
Ⅳ⑪:iE1,3
Ⅳ⑫:iE2
Ⅳ⑬:iE3
Ⅳ⑭:iE2,6
Ⅳ⑮:iE3
i
61
Ⅱ⑨:g2F5
Ⅱ①:h5F3,h6F4
Ⅱ②:h5F3
Ⅱ③:h1F1,h2F1
Ⅱ④:h5F4
フルモールド h3
RP
F
E1
F1
E2
F2
E3
F3
E4
F4
E5 エキスパートシステムF5
E6
E7
(Ⅰ⑤(1):b1,2D6)
(Ⅰ⑤(3):b5D3)
Ⅲ①:b2D3
Ⅲ⑧:b1D
Ⅲ⑭b2D3
(Ⅲ⑭b1,3-5D3)
b5
c1 (Ⅰ⑬:c3A2)
(Ⅰ⑱:c5A1)
c2
(Ⅰ⑤(2):c3A2)
重力金型鋳造 c3 (Ⅰ⑤(2):c4A2)
低圧金型鋳造 c4 (Ⅰ⑤(2):c5A2)
(Ⅰ⑱:c5A1)
c ダイカスト
c5
(Ⅰ22:c5A3)
精密鋳造
c6 Ⅰ26:c6A5
Ⅰ③:c5A2
Ⅰ⑲:c2A2
金型
B
b4
自硬性鋳型
砂型
A1
A2
A3
A4
A5
A6
A7
生産性向上
コスト削減
生産速度
歩留り
省エネルギー
省資源
少量生産対応
自動化
システム化
a1 Ⅰ①:a1A5
(Ⅰ①:a1A6)
a2 (Ⅰ⑦:a4A2)
a3 (Ⅰ⑤(2):a4A2)
a4 Ⅰ②:a4A5
(Ⅰ③:a4A5)
Ⅰ④:a1A6
Ⅰ⑨:a1A2
Ⅰ⑩:a4A6
Ⅰ⑫:a1-4A2
Ⅰ⑭:a3A5
Ⅰ24:a1A5
Ⅰ27:a4A1
Ⅲ⑨:a1A2
生砂型
鋳造プ
ロセス
(主型)
A
Ⅱ⑤:iF5
Ⅳ②:iF4
Ⅳ⑦:iF5
Ⅳ⑩:iF5
3.1.4
鋳造技術分野のロードマップ個票
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ①
小 項 目 (テーマ名 )
鋳鉄の傾斜組織化(シリンダブロック等への活用)
関連マトリクス分野
a1A5、(a1A6)
鋳物内の黒鉛形状を片状から球状へと自由に制御できる鋳鉄鋳造技術を開発す
技 術 の 概 要
ることで、シリンダブロックのように材料強度、減衰能、熱伝導性などの各特性を鋳
物部品各部の要求に応じて作り込むことができ、軽量・高性能な製品を市場に出す
ことができる。
軽量化、一体化による材料低減
経済社会的背景
◎
重
要
度
緊
急
性
製品中で部位毎に異なる機械的特性要求値に対応でき、新たな高機能商品
開発の有効な武器になる。
②
軽量化による車両の燃費向上策アイテムの一つとして活用。
シリンダブロックの FCV 材料(FC と FCD の中間特性)は大型ディーゼル車や一部
現在の技術レベル
のスポーツカーで採用されつつあるが、部位毎で黒鉛組織を傾斜させた実用例は
ない。基地組織の傾斜化は熱処理などにより実用化されている。
要素項目
到達目標の時期と 黒鉛組織部分
レベル
傾斜化技術
短期
(2 年後)
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
基礎研究レベ
シリンダブロッ
他部品への普
ル
クでの実用化
及ができてい
現状
実用化なし
る
材料強度、減衰能、熱伝導性などの各特性を鋳物各部位の要求に応じて作り込む
目 標 設 定 の根 拠
ことが必要で、必要な部位での凝固時の黒鉛形状を決める要因解明と制御方法の
実用化をシリンダブロックで実現できればその波及効果は大きい。
目標に到 達 するた
1.必要部位毎に材質を変える技術
・溶湯の化学成分、酸素量など最適化する溶解技術確立
めの技術開発内容
例
・接種効果や凝固速度の制御などによる、部位を特定した改質技術
2.部位毎に異なる組織の確からしさを計測する技術
鋳造品の高機能化が出来、新たな商品開発につながる
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
鋳型内溶湯処理技術の実用化はあるが、部位毎材質を変える技術への適用では
技術レベル
ない。
国際的優位性の
製品設計の優位性
予測
長期間リードできる技術として独占できる。
備
考
組織の確からしさの計測技術はⅡ⑧の計測技術の高度化テーマに含まれる。
技術指針の関連項目 * 2
(1)①②③④、(2)④、(3)②、(5)②④⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
62
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑤(1)
小 項 目 (テーマ名 )
材料の無害化・不純物除去技術(鋳鉄)
関連マトリクス分野
a1D6、(b1D6)、(b2D6)
高性能、高機能材料の使用量増加にともない有害元素(Mn、B、Pb、Al、Ti など)が
技 術 の 概 要 増加し、部品性能確保や鋳造が難しくなる。それらの元素の工程内無害化や除去・リ
サイクル技術開発は必須である
川下側から自動車軽量化のニーズと、低コストと高品質の両立も求められ、市場で入
経 済 社 会 的 背 景 手可能な主原料を自動車用鋼板スクラップとしながら有害元素対応のために高価な
銑鉄などの高純度材料を多く使うこともできない実情がある。
重
要
度
緊
急
性
現在の技術レベル
◎ 原料に起因する問題であり、鋳造業全体に波及する共通の問題になりつつあ
り、その対応技術は最重要課題レベルとなっている。
① 鋳鉄の主材料である自動車用鋼板は軽量化目的で高張力鋼板の採用拡大を
急速に進めており、当技術の開発を急ぐ必要がある
鋳造工場で実用化された例は無い
短期
中期
長期
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
○Mn ・ B ・ Pb ・ 実 用 化 研 除 去 技 術 基 礎 除 去 技 術 実 用 除 去 技 術 の 普
到達目標の時期と Ti ・ Al 等 除 去 究中
開発レベル
化レベル
及
技術
レベル
○ 中 和 化 無 害 基礎研究レ 情 報 の 集 約 と 特 定 部 品 実 用 高 強 度 品 に 普
及
化技術
ベル
基礎研究レベ 化
ル
FCD 鋳鉄材は高強度でありながら伸びを有する材料であるが、原料として増加して
いる高張力鋼板は Mn 含有量が 0.8~2%はあり、他に B,Ti などが含有される。また
防錆など耐食性のため Zn や Pb・Al などを被覆した鉄板があり、溶解後では過剰の
目 標 設 定 の 根 拠 Mn、B、Pb、Al、Ti など黒鉛形状を悪化させたり伸びを阻害したり鋳造性を悪化させ
る元素が残留する。これら不純物元素を除去または中和化(無害化)する技術の開発
を進めないと鋳鉄の品質が成り立たない状況である。
要素項目
現状
1.溶湯の不純物元素を酸化など熱力学的・化学反応的に固定化、スラグ化し除去ま
たは低沸点元素では蒸発を促進する不純物除去技術開発
めの技術開発内容
2.不純物元素が有っても他の元素との結合により機械的性質を低下させない無害化
例
技術
当開発により鋳造性の有害元素の対応のみでなく鋳造品の高強度化および低グレ
波 及 効 果 ード材料の使用拡大などが期待できる
目標に到 達 するた
海 外 の取 組 状 況 ・
実用化レベルでは無い
技術レベル
国際的優位性の
この技術を開発できれば大いに優位に立てる
予測
備
考
技術指針の関連項目* 2
(4)①、(5)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
63
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑤(2)
小 項 目 (テーマ名 )
材料の無害化・不純物除去技術(アルミニウム合金)
関連マトリクス分野
a4D1、a4D3、(a4A2)、(c3A2)、(c4A2)、(c5A2)
高性能が求められるアルミニウム合金鋳物・ダイカストには,Fe 等の不純物元素が問
技 術 の 概 要 題となる。これらの元素を除去あるいは無害化する技術を開発することで、スクラップ
の利用が可能となる。
循環型社会の構築のために、アルミニウム合金スクラップの利用が重要となる。高性
経 済 社 会 的 背 景 能を求められるアルミニウム合金鋳物・ダイカストでは新塊を用いざるを得ず、スクラッ
プの利用ができないのが現状である。
重
要
度
緊
急
性
現在の技術レベル
◎
原料に起因する問題で、鋳造業界全体に波及する共通の問題になりつつあり、
対応技術は最重要課題レベルである。
①
アルミニウム合金スクラップは最終的には一般ダイカスト材となっており、需給バ
ランスが崩れる可能性が高い。
AC4CH 合金に関しては、新塊を用いている。無害化の例はない。
要素項目
到達目標の時期と
レベル
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
短期
(2 年後)
現状
無害化技術
中期
(5 年後)
AC4CH と同
AC4CH と同
機械的性質
実用化なし
等
等
Fe 許容量
0.2%
0.4%
0.6%
長期
(10 年後)
AC4CH 以上
0.6%
一般的なアルミニウム鋳造合金の不純物元素量を基に設定した。
1.不純物元素により生成される金属間化合物の微細化技術(微細化元素添加等)
めの技術開発内容 2.金属間化合物を微細化させるための鋳造技術(急冷凝固等)
3.溶湯から不純物元素を除去するための溶湯処理技術
例
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
スクラップの有効利用による循環型社会の構築と CO2 削減が可能となる。
実用化レベルにはない。
技術レベル
国際的優位性の
新塊の輸入が抑制され、循環型社会の構築と CO2 削減が可能となるため、技術的に
予測
国際的優位に立てると考えられる。
関連技術:Ⅰ③半溶融、半凝固鋳造技術によるアルミニウム合金鋳物の開発、Ⅰ⑫金
備
考
属材料の凝固組織微細化法、Ⅰ㉗薄板の連続鋳造圧延技術、Ⅱ⑨有用金属再生と
鋳造での利用
技術指針の関連項目*
2 (4)①、(5)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
64
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑤(3)
小 項 目 (テーマ名 )
材料の無害化・不純物除去技術(非鉄金属)
関連マトリクス分野 a3D3
近年の材料革新により、リサイクル材に混入する元素の多様化が進み、有害元素(Si,
技 術 の 概 要 Al, Be, Ti, Cr, Bi, Pb)の混入の課題が増えている。これら除去・無害化技術を開発
して、リサイクルシステムを維持する。
新たな環境規制等に伴い、新材料の開発が進んでいる。鋳造品のリサイクル過程で
経済社会的背景
従来にない新たな元素の混入が課題になっている。一方、他の素材についても鉛フ
リーハンダのリサイクルに伴う Ag の増加などがあり、総じてリサイクル材の品質低下が
問題になっている。
重
要
度
緊
急
性
現在の技術レベル
◎
原料に起因する問題であり、その対応技術は最重要課題である。
①
新材料の実用化が急速に進展しており、それらのリサイクル材が既に流通して
おり、技術開発を緊急に進める必要がある。
従来の精錬技術により対応できる元素も多いものの、Bi, Pb など近年混入が増加し
たり、新たに除去が必要とされる元素も多くこれらは未解決である。
要素項目
到達目標の時期と
レベル
目 標 設 定 の根 拠
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
有害不純物元 検 査 技 術 ・ 除 簡易検査技術 精錬技術の確 生産現場での
素の除去技術
去 技 術 と も 未 の確立
立
除去技術確立
非金属介在物 確立
簡易検査技術 生産現場での
の除去技術
の確立
除去技術確立
対象とする元素により難易度が異なるが、従来精錬技術の応用により、リサイクルシス
テムが構築される。
インゴット製造や鋳造品製造の溶解プロセスで有害元素を短時間で効率よく除去す
目標に到 達 するた
る技術
めの技術開発内容 ・銅合金中の有害不純物元素の簡易検査・精錬・除去技術
例
・銅合金中の非金属介在物の簡易検査・除去技術
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
鋳造品のリサイクル率向上、鋳造企業のコスト競争力向上に寄与する
実用化レベルではない
技術レベル
国際的優位性の
この技術の開発により大いに優位に立てる
予測
関連技術:Ⅲ②省エネルギ・短時間銅合金溶解システムの開発、Ⅲ⑥銅合金鋳物高
備
考
効率生産システム
技術指針の関連項目* 2
(4)①、(5)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
65
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑥
小 項 目 (テーマ名 )
高機能人工砂
関連マトリクス分野
c1B1、c2B1、c6B1、d1B1
高性能なムライト系人工砂が開発され、熱膨張率の低いことにより寸法精度のよい
技 術 の 概 要
鋳物製造に貢献している。さらに金属と同等の熱伝導のよい砂が開発されれば砂
型でも凝固組織微細化による高強度化とサイクル短縮による生産性向上が期待で
きる。
鋳造品の高精度化、高強度化、生産性向上
経済社会的背景
重
要
緊
◎
製品の付加価値を向上させると共に、製造コスト低減に寄与できる技術と成り
得る
②
近年の素形材産業は国際競争により、軽量化やコスト低減及び環境負荷低減
の実現に迫られている。この様な課題に対応するためには、熱伝導の改良な
ど更なる高機能な人工砂の開発・実用化が望まれる。
度
急
性
現在実用化されているムライト系人工砂の熱伝導率は 0.55W/m・K レベルで金属
の熱伝導率比べはるかに低い。また精密鋳造、鋳鋼で使用されていて高価で供給
現在の技術レベル 不安のあるジルコン砂(熱伝導率 0.85 W/m・K)に近い特性の人工砂開発が望まれ
ている。更に開発を通じより高い熱伝導率の人工砂ができれば砂型鋳造の用途が
格段に広がり競争力向上に寄与できる。
要素項目
現状
到達目標の時期と 熱伝導の高い 低熱膨張砂は
人工砂技術
実用化
レベル
短期
(2 年後)
基礎研究
中期
(5 年後)
ジルコン砂に
近い熱伝導特
性を目標にし
た開発
長期
(10 年後)
更に高度な用
途に適合した
砂種の開発と
実用化
高価な天然硅砂として特性優位なジルコン砂並みの特性を備えた人工砂により精
目 標 設 定 の根 拠
密鋳造、鋳鋼のコスト低減や砂の供給不安の解消が実現できる。更に熱伝導率の
高い砂が開発できれば砂鋳型でありながら金型鋳造並みの品質も期待でき、競争
力が飛躍的に向上できる。
目標に到 達 するた
現在実用化されている熱膨張レス、高耐摩耗破砕を兼ね備えた人工砂のベース材
めの技術開発内容 料はムライト系(アルミナ)である。熱伝導向上のためにベース材料から見直す砂材
例
料技術の開発
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
鋳造品の高機能化が出来、新たな商品展開につながる
現状でも日本は優位
技術レベル
国際的優位性の
更に優位に立てる
予測
備
考
技術指針の関連項目 * 2
(1)⑥、(2)①、(3)②、(4)②③、(5)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
66
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑦
小 項 目 (テーマ名 )
非熱処理アルミ合金
関連マトリクス分野
a4D1、(a4A2)、(c3B3)、(c4B3)、(f2B3)、(f2D1)
鋳造のまま(熱処理なし)で、熱処理品と同等の機械的性質を有するアルミニウム合
技 術 の 概 要
金鋳物用材料あるいは工法の開発。
アルミニウム合金鋳物は熱処理により高強度,高性能化が図られている。しかし、熱
経 済 社 会 的 背 景 処理のためのエネルギ、リードタイムがかかっており、また、寸法変化や残留応力の
課題も大きい。
◎
重
要
鋳造部品の薄肉・高強度化が望まれており、寸法精度向上や残留応力低減
の課題が顕在化してきている。また、コスト低減や CO2 削減の要求もあり、重要
度
度は増してきている。
③
緊
急
現状、熱処理で対応できているため、緊急性はそれほど高くないが、将来を考
性
えて、着実に取り組んでいく必要がある。
アルミニウム合金鋳造品に関しては、既存の材料、工法で対応している。高真空ダ
現在の技術レベル
イカストに関しては材料開発が行われており、実用化されてきている。
要素項目
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
到達目標の時期と 引張強さ
160MPa 以上
200MPa 以上
250MPa 以上
レベル
3%以上
5%以上
5%以上
伸び
(AC4CH-F)
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
めの技術開発内容
例
現在の AC4CH 合金 T6 処理の機械的性質の値から設定した。
1.熱処理なしで目標の特性を得られる合金の開発(展伸材の適用等)
2.上記合金の鋳造性を従来合金と同等にするための合金あるいは工法の開発(鋳
造欠陥解決のための元素添加、冷却速度の制御、セミソリッド鋳造法の適用等)
熱処理を廃止することによる設備投資削減及び製造コストの削減が可能となる。ま
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
国際的優位性の
予測
備
た、CO2 排出量の削減が可能となる。
高真空ダイカスト用材料においては、欧州を中心に非熱処理材の開発が進んでお
り、すでに実用化されている。鋳物用材料の開発はほとんどと取り組まれていない。
アルミニウム合金鋳物用材料は国際的に標準化されており、本技術開発により材料
開発ができれば、国際的優位性が増すと考えられる。
考
技術指針の関連項目 * 2
(2)②③④、(5)①⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
67
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑧
小 項 目 (テーマ名 )
快削性に優れた球状黒鉛鋳鉄
関連マトリクス分野
a1B1
鋳物部品は鋳造と機械加工を経て組立へと回る。機械加工が製品コストに占める
技 術 の 概 要 割合は大きく、難切削材は生産性にも影響する。球状黒鉛鋳鉄は普通鋳鉄に比べ
ると極めて被削性が悪く、快削化は製品価格の低減に大きなメリットが出る。
大量生産のために加工ラインを増強する時代から、加工ラインの高速化へと変化
経 済 社 会 的 背 景 してきている。この目的のために鋳造品の加工特性を向上させることで対応する。
◎
重
要
度
緊
急
性
②
鋳造品の最大の欠点は寸法精度に劣ることであり、精密鋳造といえども寸法
精度は全く不十分である。すなわち、機械加工が不可欠な加工法に留まって
いる。
緊急の課題ではないが、省エネ・コストの低減の観点からも、是非とも必要。
中小の鋳物屋には快削性に対する認識が少なく、自動車メーカは既に一部で対応
現在の技術レベル しているが、その技術は公開されていない。しかし、快削鋼に対応する快削球状黒
鉛鋳鉄に関しては十分な研究は無い。
要素項目
現状
短期
中期
長期
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
工具寿命
メ ー カ 任 せ で 業 界 と し て 重 切削性の支配 工具寿命 2 倍
到達目標の時期と
仕上げ面粗さ あ り 、 仕 上 げ 要性の啓蒙を 因子の明確化 切削速度 2 倍
レベル
工 具 との 相 性
高速切削
加 工 を 要 し 、 要する。
中速切削であ 切 削 基 礎 実 の検討。
験。
る。
目 標 設 定 の根 拠
高速度鋼の工具寿命、切削速度を基準にした。
切削工具の寿命は工具の磨耗であり、工具表面の温度に依存している。工具温度
目標に到 達 するた が高くなるほど寿命は短くなる。通常の切削速度 100~200m/min は、シャルピー
などの衝撃試験での変形・破壊速度である。そこで、素材の高速変形抵抗と工具温
めの技術開発内容
度の関連を、鋳造材側と工具側の両面から検討することが必要である。高速変形
例
抵抗の小さい球状黒鉛鋳鉄の製造が不可欠で、Sn、Sb などの微量添加の検討を
要する。
工具寿命を 2 倍にできれば、工具の取替え時間も節約でき、生産性の向上のみ
ならず、コスト低減にもつながる。一方で、切削速度が 2 倍にできれば、既存の設備
波 及 効 果
で 2 倍近い生産性の向上が望める。これらは、コスト低減のみならず、省エネ・省資
源にもつながる。
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
切削性の研究は主として工具側からの検討が行われており、鋳造材では材料側
の研究事例は殆ど無い。これまでは、硬さと工具寿命、球状黒鉛鋳鉄と片状黒鉛
鋳鉄などの相違が検討されてきた。
国際的優位性の
予測
切削速度や工具寿命といった情報は工場内でのみ通用し、外部にはブラックボッ
クス化が可能である。したがって、目に見えないコスト低減であり、鋳造品の付加価
値の向上にもつながる。
我が国では、片状黒鉛鋳鉄で快削性を売り物にしている鋳造会社もある。
備
考
技術指針の関連項目 * 2
(2)④、(3)②、(5)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
68
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑫
小 項 目 (テーマ名 )
金属材料の凝固組織微細化法
関連マトリクス分野
aA2、aB4
金属凝固組織(結晶粒)の微細化は材料強化の基本である。冷却速度の増大、
技 術 の 概 要
微細化元素の添加がポピュラーであるが、電磁攪拌などの外部エネルギ導入でも
その効果が認められつつあり、結晶粒にサブミクロンが得られる新規な技術開発が
求められる。
鋳造材の原材料は主としてリサイクル材(スクラップ)である。近年は金属材料に対
経済社会的背景
するコスト低減・機能付加の要求が増大し、数種類の微量元素添加や表面処理が
行われ、スクラップの汚染(微量元素の含有)が進行し、この無害化が不可欠になっ
ている。
◎
重
要
度
緊
急
性
③
鉄、非鉄に係わらず、最近急激に大きな問題となってきた。鋳鉄用の鋼スクラ
ップ問題はサポインで既に検討に入っているが、この問題は常時新しい課題
が出てくる。
必ずしも緊急の課題とは思えないが、基礎研究から開始しないと対応できない
テーマである。
金属の凝固に関する部門では永遠の課題でもあリ、これまでにも、鋳鉄分野での
現在の技術レベル 接種や Al 分野での結晶粒微細化処理はこの範疇の技術であるが、ブレークスルー
が望まれる。
要素項目
現状
短期
中期
長期
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
到達目標の時期と 結晶粒の微細 凝固法での微 新プロジェクト 基礎研究の段 新 し い現 象 の
階
確 認 と応 用 法
化 材 、微 細 化 細化は 10μm の立ち上げ
レベル
の検討
法 ( 電 磁 振 動 が限界。
など)
国家プロジェクトの超鉄鋼でも、加工と熱処理を併用して数 μm に留まっている。
目 標 設 定 の根 拠
新しい核生成材の開発と並行して、基礎研究の段階では一応の成果が得られて
めの技術開発内容 いる電磁攪拌、超音波、機械攪拌などの凝固への影響、その実用化の課題などに
関して幅広い研究が必要。
例
目標に到 達 するた
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
国際的優位性の
予測
備
考
結晶粒度~数 μm:高濃度の不純物元素を含有するスクラップの用途拡大、
結晶粒度 2μm 以下:ホールペッチ効果による高強度材の実現。
結晶粒度 0.1μm 以下:微粒子分散型高強度材の製造
安価で高強度の鋳造材の提供・普及
アメリカでは自動車産業を除くと鋳造業の衰退、大学での鋳造研究者の著しい減
少がある。ヨーロッパでもほぼ同様であるが、EU としての取り組みが始まっており、
更には機動的な企業の合併が始まっており、無視できない。ただし、研究の主体は
リサイクルにある。
この分野でも基礎研究は欧米に依存しており、これからは基礎研究の充実が不可
欠であるが、我が国の大学・国研はこれと異なった動きをしており、問題である。
これまでは経験が主体で、職人の技に依存していた鋳造業は、これからは基礎研
究に重点を置かざるを得ない。ドイツと比べ、ここに我が国の問題がある。
技術指針の関連項目 * 2
(1)②、(2)①④、(5)①②⑥
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
69
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑯
小 項 目 (テーマ名 )
組織制御と成形プロセス(接合、表面処理など)の融合一体化と対応設備の開発
関連マトリクス分野 aB3、aC2
鋳造をベースに塑性加工、熱・表面処理など複数の加工技術を融合させ、それぞれ
技 術 の 概 要 の加工技術の特徴を反映させた材料組織制御を行い、多機能な高性能製品の製造
を実現する。
1 つの加工法だけでユーザの要求を満たすのは難しくなり、熱処理などの後加工が行
経 済 社 会 的 背 景 われ、製品の価格の高騰を招いている。これらの加工法を一体化できれば、鋳造品
の付加価値の大幅な増大が可能になる。
一部の実用化は始まっているが、コストの問題から大幅な適用には至っていな
◎
い。この解決には新しい加工機の開発が不可欠であり、基礎と応用の両面から
重
要
度
の検討要。
① これからの我が国の鋳造業の展開を考えると、高付加価値化・高信頼化は避け
て通れない。しかし、この研究は長時間を要するため、至急開発に取り組みた
緊
急
性
い。
幾つかの企業で実用化研究の段階であるが、その進歩は遅い。特に、最近の経済動
現在の技術レベル 向からしてこの分野から撤退しかねない。折角芽が出ており、進展させる必要がある。
要素項目
短期
(2 年後)
これら技術の
公開と啓蒙。
プ ロ ジ ェク ト の
立上げ。
現状
中期
(5 年後)
用途の部分的
拡大。
新研究開発の
立上げ。
長期
(10 年後)
研究成果の
公開と啓蒙
新製品の展
示会
開発の続行
異 材 接 合 ・ 部 一部の企業で
到達目標の時期と 分複合化:鋳包 こ れ ら の 技 術
は実用化され
み
レベル
凝固後の直接 ているが、用途
が限られてい
表面焼入れ
鋳造品の部分 る。
鍛造
鋳造を利用した複合化・接合プロセス:学振 鋳物 第 24 委員会複合化プロセス分科
目 標 設 定 の根 拠
会編平成 20 年 2 月
鋳包みの熱的条件に関しては近年研究が進んできた。しかし、小物部品、表面処理、
合金元素の影響に関しては未解明である。また、鋳造品の冷却過程での溶体化熱処
目標に到 達 するた
理に関しては殆ど検討事例は無く、省エネ・省プロセスの関連からも解明が必要。
めの技術開発内容 全体の合金化・組織制御ではなく、必要な箇所の部分合金化・部分組織制御法の検
討も重要。塑性加工と鋳造の組み合わせは、これに適した加工条件・材質などの検討
例
を要する。
波
及
効
全体として、部分的な機能付与であり、省資源、省エネ、低価格化に繋がり、リサイク
果 ルの観点からも望ましい。
海 外 の取 組 状 況 ・
この様な研究論文を読んだ記憶が無く、海外では未検討であろう。
技術レベル
国際的優位性の
予測
備
考
海外での検討事例が殆どなく、この開発が成功すれば、我が国の優位性が確保で
き、国内産業の育成・保護に有用。
半凝固プロセスのように、鋳造品の冷却過程で、その熱を利用して塑性加工や熱処
理に応用するプロセスの開発。Ⅲ①とも関連する。
技術指針の関連項目* 2
(1)①③④⑤⑥⑧、(2)①③④、(5)①②⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
70
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑰
小 項 目 (テーマ名 )
インライン計測技術
関連マトリクス分野 cE5、cE7
製造ラインのモニタリング技術はかなり進歩している。しかし、熟練技術者の現象によ
技 術 の 概 要
り、これまでは彼らの五感に依存していたノウハウが失われつつある。工場全体は順
調に稼動しているかを、熟練技術者のノウハウを自動計測化し、製造ライン全体として
計測、評価する技術が重要である。
現状では製品検査から製造ラインの状況を判断し、これを製造条件にフィードバック
経済社会的背景
重
要
緊
度
急
している。これを事前に予知し、不良の低減、生産性の向上に結びつける。
◎
生産現場のインテリジェント化であり、安全・安心・高度のための技術である。
②
特に緊急性はないが、このテーマは分野が多岐にわたり、研究開発のオーガナ
性
イザーが重要になる。この点の研究開発箇所の選定も重要であり、新たな展開も
考えたい。
現状では製品のトレーサビリティが最先端であり、この開発はその上を行く。
現在の技術レベル
短期
中期
(2 年後)
(5 年後)
到達目標の時期と 設備の可動状 熟練作業者の 作業者の感性 計 測 値 と 作 業
況 : 音 、 臭 い 、 感性(センサ)に の定量化・自動 環境の関連の
レベル
計測化
明確化
煙、温度との関 依存
連の調査
要素項目
現状
長期
(10 年後)
自動計測装
置の工場への
導入と性能向
上
バスや鉄道車両のハンマーリング、人間の定期健康診断システムの応用、機器の世
目 標 設 定 の根 拠
寿命判断などを活用。リスクベース・メンテナンス
異常音、異常臭、異常煙、異常温度などを個々の機器ではなく、工場全体の(雰囲気)
目標に到 達 するた
めの技術開発内容
例
値として計測し、どの機械の調子が悪いか、ラインの何処に問題が生じたか、などを
検出する技術。個々の装置に関しては既にほぼ確立されているが、何か通常とは異
なる値の検出とその解析。そこで、製造ラインでの音や臭い、温度の変化から、ライン
の故障診断ができれば、ライン効率の向上につながる。これらノウハウの故障診断とし
てのメカニズム解明から始め、自動検出機器の開発までが必要。
故障予知、安全予知であり、従来とは異なる、新しい発想に基づくプラントエンジニア
波
及
効
果 リング。機器の安全性の向上・不良率の低減、ノウハウとしての技術輸出などが考えら
れる。
海 外 の取 組 状 況 ・
リスクベース・メンテナンスに関しては海外が先行しており、我が国は遅れている。この
技術レベル
開発では先行したい。
国際的優位性の
同上
予測
関連技術:Ⅱ⑧計測技術の高度化
備
考
技術指針の関連項目* 2
(1)⑩、(3)③、(5)③④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
71
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ⑱
小 項 目 (テーマ名 )
ネットシェイプ技術(ダイカスト)
関連マトリクス分野
c5B3、(c5A1)、(i1B3)
ダイカストの抜き勾配を極限まで小さくすることと寸法精度を向上させることで、後加
技 術 の 概 要
工を極力低減してネットシェイプ化を図る。
ダイカストは金型を使用することから抜き勾配が不可欠で,後加工を必要とするた
経 済 社 会 的 背 景 め、ネットシェイプ化ができない。
重
要
度
緊
急
性
現在の技術レベル
到達目標の時期と
レベル
◎
ダイカストのネットシェイプ化により後加工せずに組み立てることができ、大幅な
コスト・エネルギの削減になる。
①
後加工の削減は、コスト的な競争力の拡大と地球環境保護に貢献することが
できる。
現在のダイカストは抜き勾配が不可欠で、ニアネットシェイプの領域にある。
短期
(2 年後)
要素項目
現状
抜き勾配ゼロ
抜き勾配不可
寸法精度向上
欠
現状把握
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
寸法精度向上
抜き勾配ゼロ
技術の開発
寸法精度は
CT5 等級
目 標 設 定 の根 拠
後加工を必要としないことを前提に目標値を設定した。
1.現状の抜き勾配,寸法精度の調査
目標に到 達 するた
めの技術開発内容
例
2.抜き勾配ゼロ、寸法精度向上のための鋳造条件の把握(射出速度、鋳造圧力の
低減等)
3.抜き勾配ゼロ、寸法精度向上のための鋳造システムの開発
4.抜き勾配ゼロ、寸法精度向上のための金型設計技術開発
ダイカスト部品の納期短縮,コスト低減が図れる。また、ダイカスト部品の用途が拡
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
大する。機械加工を低減することで省エネルギが可能となる。
海外ではほとんど取り組まれていない。
技術レベル
国際的優位性の
ダイカスト部品のコスト競争力が拡大し、国際的優位性が図れる。
予測
関連技術:Ⅱ④鋳造品の設計支援システム、Ⅳ①鋳造現象の科学的解明と定量化
備
考
技術指針の関連項目 * 2
(1)⑨、(2)③、(3)①、(5)①⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
72
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ㉒
小 項 目 (テーマ名 )
ダイカスト用の高品質中子の開発
関連マトリクス分野
d1A2、d3A2、(d1D8)、(d3D8)、(c5A3)
アンダーカット部を形成する特殊な中子を開発して、より複雑な形状の部品をダイカス
技 術 の 概 要 ト化することで付加価値を上げる。
ダイカストは高速・高圧で溶融金属を金型に射出・充填して鋳造するプロセスであるこ
とから、複雑なアンダーカットを有する製品の成型が難しい。過酷な鋳造条件に耐
経 済 社 会 的 背 景 え、鋳造後容易に取り出すことのできる中子を開発することで、新たなダイカストの市
場を開拓できる。
◎
重
要
度
緊
急
性
今後ディーゼルエンジンの拡大が予想され、クローズドデッキタイプのシリンダブ
ロックなどへの適用が期待される。
①
地球環境改善策の一環としてディーゼルエンジンの普及が期待され、早期の開
発が期待される。
ダイカスト用の砂中子、ソルト中子などがすでに開発されているが、性能的、コスト的
現在の技術レベル に問題があり、広く使用されるまでには至っていない。
要素項目
到達目標の時期と
レベル
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
鋳造条件の把握
砂 中 子 、 ソ 溶湯挙動の把 中子の材料選 開発技術の普
中子材料の開発
ルト中子が 握
定と鋳造条件 及
ある
の把握
中子材料の開発だけではなく,流動,凝固過程での溶湯挙動を把握して,適切な鋳
目 標 設 定 の根 拠
造条件を設定することも重要となる.
1.ダイカストの金型キャビティ内での溶湯挙動の把握
目標に到 達 するた
2.鋳造条件(高圧力)に耐え、鋳造後容易に崩壊可能な中子材料の選定(砂、ソルト、
めの技術開発内容 樹脂、金属・・・)
例
3.鋳造条件と中子の最適化(射出速度、鋳造圧力低減等)
ダイカストの一体成型が進展し、加工・組立工数を大幅に削減できる。
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
海外ではほとんど取り組まれていない。
技術レベル
国際的優位性の
ダイカスト製品の付加価値が向上し、国際的に優位に立てる。
予測
関連技術:Ⅰ⑳極めて崩壊しやすい砂型、砂中子、Ⅰ⑥高機能人工砂
備
考
技術指針の関連項目* 2
(1)⑧⑨、(2)③、(5)②⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
73
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ㉖
小 項 目 (テーマ名 )
高融点金属の精密鋳造技術の開発
関連マトリクス分野
c6A5
応力方向に結晶を成長させる一方向凝固・単結晶(以下 DS・SC)鋳造方法と新材料
技 術 の 概 要 開発により、ガスタービン動翼のさらなる耐熱化と長寿命化を図る。また、高効率鋳造
技術を開発することで、生産性を大幅に向上する。
金属間化合物に代表される高融点金属の溶解・鋳造は難しい。ガスタービン動翼の
経 済 社 会 的 背 景 性能向上と長寿命化に必要な合金材料開発とその性能を引き出す鋳造組織制御が
可能な高効率精密鋳造技術開発(深耕)が望まれる。
◎
重
要
度
緊
急
性
DS・SC 化が進むことから鋳造技術の深耕は必須である。
①
現在の技術レベル
ガスタービンの効率向上に伴いタービンブレードは過酷な使用環境となり今後
化石エネルギの枯渇と高騰により、コンポジット・スタービン発電機の需要が急増
している。これらには DS(SC)ガスタービン翼が必須となる。
DS・SC 鋳造技術および合金の基本技術は開発済みである。
要素項目
到達目標の時期と
レベル
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
DS ・ SC 組 織 DS ・ SC 組 織 DS 鋳造法確 SC 鋳造方法 多数個鋳造制
制 御 技 術 と合 制御の基本技 立
金開発
術あり
確立
御 技 術 と耐 熱
性能向上(+20
~30℃)
現状技術レベルとの対比
目 標 設 定 の根 拠
1. 鋳型製造方法
鋳型材料選定(含むセラミック中子)
目標に到 達 するた
めの技術開発内容 2. DS・SC 鋳造方法
鋳造条件(方案、鋳造温度、引抜時間等)の確立
例
3. 複数個鋳造技術の確立 (生産性向上)
高効率(60%)ガスタービン市場の拡大。
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
DS 翼は既に一部のガスタービンで使用されている。 SC 翼も一部のガスタービン発
技術レベル
電機メーカで実証試験中である。
国際的優位性の
品位の安定化と高い生産性によりコスト的に優位に立つことが可能である。
予測
多数個鋳造制御技術と耐熱性能向上(+20~30℃)
備
考
関連技術:Ⅰ㉕精密鋳造セラミックス中子の開発
技術指針の関連項目* 2
(1)②③④⑤⑦⑩、(2)④、(4)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
74
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅰ㉙
小 項 目 (テーマ名 )
生体材料(RP を利用)
関連マトリクス分野
b6A1
移植する部位にぴったりフィットする「オーダメード生体材料(代替骨)を作製する技術
技 術 の 概 要 を開発する。
高齢社会では、生体機能の低下あるいは損失を生体材料で代替する機会が増えてく
る。人は個々に異なった骨格を有している。その損傷部位を医療用 3D-CT で撮影し
経 済 社 会 的 背 景 た詳細 3 次元データで再現し RP 法により代替骨を作製する、その模型から精密鋳造
で生体材料を作製する技術が求められている。
重
要
度
緊
急
性
◎
新市場、新分野の開発に役立つ技術である。
②
RP 技術(材料、製造方法)と精密鋳造の組み合わせによる生体材料の開発が求
められている。
Ti合金、CoCrMo 合金の生体材料は消失模型法による精密鋳造で作製されている。
現在の技術レベル
要素項目
到達目標の時期と RP 技術
鋳造技術
レベル
短期
(2 年後)
現状
RP 技術確立
なし
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
生体材料の製 精密鋳造技術
作技術確立
の確立
生産性 2 倍
現在の技術レベルとの対比
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
1.RP技術(材料、製造方法)
めの技術開発内容 2.高い形状精度
3.精密鋳造技術
例
医療分野への参入できる
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
国際的優位性の
予測
生体用 Ni フリー-Co-Cr 合金の材料開発は日本がリード。韓国でキャッチアップ。Ti
合金の実用化は欧米がリード。日本も実用化に取り組んでいる。
1500 億円を越える金属系生体材料の国内市場を有しながらその 90%は海外から輸
入であり、国内での実用化がすすめば国際的優位性もある。
Ⅰ-4 「新規ユーザ分野に対応する新素形材製品」の開発促進に貢献する。
備
考
技術指針の関連項目* 2
(1)⑦⑧⑩、(2)④、(3)②、(4)④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
75
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅱ①
小 項 目 (テーマ名 )
3D を活用した一気通貫システムの構築
関連マトリクス分野
h5F3
受注時のコスト試算や設計変更に始まり、生産及び不具合管理までを、3D データを
基本に一気通貫させたシステムの開発が望まれている。具体的には、コスト試算・日
技 術 の 概 要
程管理・強度解析・方案解析(湯流れ・凝固・変形)・製造履歴・溶解管理・寸法精度・
不具合までが管理もしくは予測可能なシステム
21 世紀は多品種少量化の時代になっている。このような環境の中で、鋳造業に要求
されているのは、売れる商品をタイムリーに市場に投入できる、短納期で自由度のあ
経済社会的背景
る鋳物作りである、これまでは職人に頼って対応してきたが、団塊世代が退いてから
は壁にぶつかっている。
◎ 受注から発送までの全行程を、3D データを一気通貫させることにより、多品種
重
要
度
少量化への対応が可能になると期待される。
緊
急
性
①
多くの職人が退いたために、従来のやり方では 21 世紀の要求を満たすことがで
きなくなっている。
自動車、工作機械、産業機械メーカからは 3D データによる注文が 50%程度まで増え
現在の技術レベル ており、フルモールド鋳造法では、模型製作に活用されている。しかし、3D データを
一気通貫システムにするレベルまでは達していない。
短期
中期
長期
要素項目
現状
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
シ ス テ ム の 開 工程毎に管理 一気通貫管理 一気通貫予測 一 気 通 貫 管
発
シ ス テ ム の 開 シ ス テ ム の 開 理・予測システ
到達目標の時期と
発
発
ムの普及
レベル
シミ ュレーショ 従来の経験に 凝固解析の開 方案解析の開 凝 固 ・ 方 案 解
ンの進歩
依存
発
発
析の実用化
デ ー タ ベ ー ス 記録保存
記 録 の デ ー タ データの活用 データの運用
化
化
一部の会社では 3D データを用いて、模型製作やシミュレーション等をトライしてい
る。また、日本鋳造協会では、技術データベース構築委員会を立ち上げ、データベ
目 標 設 定 の根 拠
ース化を始めている。これらを基に考えると、3D を活用した一気通貫システムは十分
期待できるものと思われる。
目標に到 達 するた 1.受注から発送までの各工程を結びつけるシステムの開発
めの技術開発内容 2.3D データを基にした、凝固解析や方案解析ソフトの開発
3.3D データを活用した見える化を進め、技術伝承システムを開発
例
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
国際的優位性の
1.多品種少量化への対応が可能になる。
2.高品質・短納期・低コストが可能になり、海外同業者との差別化確立
1.韓国では 3D データを基にデータベース化を進め、鋳造法案に活用することをトラ
イしている。
2.3D データを一気通貫システムにすることは海外の方が進んでいる。
3D を活用した一気通貫システムの開発により、海外同業者との差別化ができる。
予測
備
考
関連技術: Ⅱ②鋳造シミュレーションの高度化及び高精度化、Ⅱ③3D データの徹底
的活用、Ⅱ④鋳造品の設計支援システム、Ⅱ⑧計測技術の高度化
技術指針の関連項目* 2
(3)③、(5)②⑤⑥
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
76
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅱ②
小 項 目 (テーマ名 )
鋳造シミュレーションの高度化及び高精度化
関連マトリクス分野
h5F3
鋳造シミュレーションは、鋳造プロセス中に発生するさまざまな物理現象を定式化して
技 術 の 概 要 近似的に解く数値解析方法であり、溶湯の充填状況や凝固過程等の挙動を計算機
上で予測する技術。
金型製作や鋳造方案の策定は熟練者の経験による試行錯誤的な作業のために多大
経 済 社 会 的 背 景 な時間と費用を費やしており、開発期間短縮及び試作回数削減による競争力強化の
阻害要因となっている。また、熟練者の高齢化も危惧されている。
◎
重
要
度
鋳造プロセス中のさまざまな物理的挙動を科学的に可視化(予測)する技術の実
用化は、リードタイム短縮及びコスト低減だけではなく、質の高い設計を実現す
るために重要度が増している。
①
緊
急
性
設計及び鋳造方案の妥当性及び欠陥発生を予測するために、鋳造シミュレー
ションは現場で欠かせないツールとなっており、シミュレーション技術の向上が鋳
造プロセスの高度化に直結している。
計算機の進歩と共に研究開発が進み、既に市販ソフトも登場して設計現場で利用さ
現在の技術レベル れている。しかし、ガスの巻き込み等の現象及び半溶融鋳造等各鋳造プロセスに適
応できる高度なシミューション技術レベルに達していない。
短期
中期
要素項目
現状
(2 年後)
(5 年後)
到達目標の時期と 鋳 型 等 連 成 解
レベル
析
凝固ワレ・ソリ
-
背圧条件
鋳型変形
定性的レベル
ソリ
ワレ
長期
(10 年後)
ガス巻込み等
シミュレーション技術の向上には、各プロセスで発生する物理現象のモデル(定式)化
目 標 設 定 の根 拠
と凝固後の応力解析等後工程への引継ぎが必要となる。また、より実現象に近い条
件(金型変形等)を考慮することが求められる。
目標に到 達 するた
・半溶融等材料状態のモデル化
めの技術開発内容 ・背圧・鋳型の変形等他条件との連成導入による高精度化
例
・凝固後の応力解析等後工程との連携を考慮したシステム化
・各鋳造プロセスで発生する不具合現象の科学的な解明と対策
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
・試作レスによる大幅な開発期間短縮・コスト低減及び設計品質の向上
Pro-Cast(米・UES 社)、MAGMA(独・EKK 社)等の鋳造シミュレーションソフトウェア
が開発され、現在も盛んに研究及び利用者のニーズに対応したソフトの改善改良が
行なわれている。
国際的優位性の
ソフトウェアの高度・高精度化には基礎研究も含めた取り組みが必要であり、産学連
予測
携等国内の継続的な研究協力体制が国際的優位性に影響する。
備
考
関連技術:Ⅱ①3D を活用した一気通貫システムの構築、Ⅱ③3D データの徹底的活
用、Ⅱ④鋳造品の設計支援システム、Ⅱ⑧計測技術の高度化、Ⅳ①鋳造現象の科
学的解明と定量化、Ⅳ④垂直連携の研究開発のためのプラットフォーム構築
技術指針の関連項目* 2
(1)⑩、(3)③、(5)①②③④⑤⑥
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
77
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅱ③
小 項 目 (テーマ名 )
3D データの徹底的活用
関連マトリクス分野
h1F1、h2F1
3 次元 CAD を使用して作成された設計モデルデータをもとに図面を介さず(図面レス
技 術 の 概 要
で)直接模型や鋳型を製作する技術、さらに、設計モデルを寸法精度測定、数値解
析及び試作品の代替等さまざまな工程で利用する技術。
普及段階に入った 3 次元 CAD により作成される設計モデルデータは、川下工程で
経済社会的背景
の 3D データ活用技術に課題が多く、その効果を十分に生かせず設計 3D 化の負担
解消に直面している。
3 次元設計モデルデータを活用は、設計・製造プロセスの革新に不可欠であり、
◎
重
要
度
緊
急
性
開発期間短縮・コスト削減・品質向上が期待されている。
3D データ活用の遅れは、劇的な QCD 効果をもたらす設計・製造プロセスの変
①
革による競争力強化を阻害する。
既に 3D データを参考に NC データ作成は行なわれている。しかし、3D データから
現在の技術レベル 直接模型・鋳型及び中子を作成する技術、3 次元測定機と連動した検査の自動化技
術等は確立されていない。
要素項目
到達目標の時期と 模型・鋳型作成
-
レベル
-
計測等への活用
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
表記方法標準
Viewer 活用拡大
長期
(10 年後)
模型・鋳型作成
測定機と連動
3D データ活用による QCD 改善実現には、鋳造方案策定等川下工程での 3D デー
タを使用できる技術(ツール)構築が必要となる。
・3D データから抜き勾配等を考慮して直接模型・鋳型・中子を作成する技術
めの技術開発内容 ・3 次元測定機と連動した検査の自動化技術
例
・3D データを活用したコンカレントな設計検討による設計効率向上
波
及
効
果
・CAE・CAT 等との相乗効果による高品質・高信頼性の実現
海 外 の取 組 状 況 ・
海外製の製品設計用 3 次元 CAD を軸として 3D データの活用が各社で進展してい
技術レベル
る。
国際的優位性の
予測
組織的に 3D 化を推進することにより大きな効果が期待できると同時に、鋳造プロセス
の変革により国際的優位性を確保できる。
関連技術:Ⅱ①3D を活用した一気通貫システムの構築、Ⅱ⑧計測技術の高度化、
備
考
Ⅱ②鋳造シミュレーションの高度化及び高精度化、Ⅱ④鋳造品の設計支援システム
技術指針の関連項目* 2
(3)③、(4)④、(5)②③⑤⑥
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
78
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅱ⑥
小 項 目 (テーマ名 )
RP の RM 化による鋳型、模型量産製造技術
関連マトリクス分野
h4C1、(h4A3)
現状の量産製法に匹敵するコスト、量産性を持つ安価で高速な鋳型(模型)製作、即
技 術 の 概 要
ち RM(Rapid Manufacturing)技術
現在の RP(Rapid Prototyping)は、高速簡易型製作ないし直接鋳型製作により、少
経 済 社 会 的 背 景 量品の納期は非常に短い。しかし、コストが高いことと、量産性にかけるため、主に試
作にしか適応されていない。一方ニーズはより短納期、低コスト志向が強い。
RP のコスト低減技術が確立できれば、開発競争で優位にたてる。RM レベルに
◎
重
要
度
緊
急
性
できれば優位性はさらに高まる。
海外の RP メーカも現在の RP のコスト低減やリードタイム短縮にトライしていると
①
考えられる
試作でしか使用できない高コスト、長リードタイム(量産時)
現在の技術レベル
(従来の試作よりは大幅に短く、量産型完了後は大幅に長い)
要素項目
到達目標の時期と
レベル
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
鋳型製作 LT
数 H~数十 H
数十分
鋳型製作コスト
≧シェル 100
≦シェル 10 倍 シェルレベル
数分
倍
模型製作 LT
数日
数日
数H
模型耐摩耗性
数十ショット
数百ショット
数千ショット
現在の量産製法に匹敵するレベル(小、中量生産を対象とした場合)
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
1.量産個数に対応可能な超高速積層機械 及び 方法の開発
めの技術開発内容 2.積層後の後処理工程(仕上げ等)を簡略化する技術の確立。
例
1.抜き勾配や型抜きのための余肉が不要となり材料低減が可能
2.上記により設計 3D データをほぼそのまま使用できるため 3D-CAD 修正工数が大
波
及
効
果
幅に低減可能
3.従来の大掛りな砂型造型設備や模型の保管スペースが不要となり投資が抑制でき
る。
海 外 の取 組 状 況 ・
海外 RP メーカが現在の技術の発展形として研究している可能性大
技術レベル
国際的優位性の
現在の RP 装置は外国製が主流。この技術を実現できれば、試作短納期化・スムー
予測
ズな量産移行などで優位にたてるだけでなく、装置の販売も可。
備
考
関連項目:Ⅱ⑦RP の RM 化 対象拡大、Ⅱ③3D データの徹底的活用
技術指針の関連項目* 2
(3)①⑤、(4)④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
79
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅱ⑦
小 項 目 (テーマ名 )
RP の RM 化 対象拡大
関連マトリクス分野
h4C3、(h4A3)
高精度 RP 技術(0.1mm 単位レベル)、模型レス大型一品鋳物 RP 技術
技 術 の 概 要 など RP 対象の拡大とその量産技術(RM=Rapid Manufacturing)
鋳物への高寸法精度化、大型一品鋳物の短納期化ニーズなど現在の RP では実現
経 済 社 会 的 背 景 できないニーズがある。
RP の対象範囲が拡大できれば、それらの分野での開発競争・量産で優位にた
◎
重
要
度
緊
急
性
てる。
②
現在の技術レベル
海外での同様技術の開発にも長い時間がかかると思われるので
RP の RM 化による鋳型、模型量産製造技術開発後で可
現在の RP にはないレベル。
ただし、フルモールドは一種の模型レス製造法である
要素項目
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
到達目標の時期と 高寸法精度
0.3-0.4mm
0.1mm
レベル
―
10tクラス
大物 RM
長期
(10 年後)
寸法精度 粗加工レベル
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
めの技術開発内容
大物
ある程度数量が見込める大物までとした(超大物除外)
1.寸法精度用安価な鋳型材料とその高速結合方法の開発
2.3D 直結超高速発泡加工機の開発(フルモールドの発展形)
加工法:熱(粗)+機械(仕上げ)
例
1.ニアネットシェイプ(加工低減、材料低減)、試作・開発と量産の一体化
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
2.手込少量量産品用模型の発泡型化
海外 RP メーカが現在の技術の発展形として研究している可能性大
技術レベル
国際的優位性の
現在の RP 装置は外国製が主流で、サイズや精度に限界がある。本技術が実現でき
予測
れば、短納期市場で優位にたてる。
関連項目: Ⅱ⑥RP の RM 化による鋳型、模型量産製造技術、Ⅱ③3D データの徹底
備
考
的活用
技術指針の関連項目* 2
(3)①⑤、(4)④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
80
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅱ⑧
小 項 目 (テーマ名 )
計測技術の高度化(寸法・欠陥・材質・温度・湯流れ)
関連マトリクス分野
g3A7、(g2A2)、(g1A1)、(g3C4)
鋳造品の寸法検査・内部及び外部の欠陥検査・異物の欠陥検査・組織・強度・硬さ等
の検査・溶湯性状の検査・機械設備等の各種検査・鋳造過程の温度・流れ等の計
技 術 の 概 要
測・鋳物や鋳型の物性値の計測等が定量的に容易かつ高速・高精度に計測できる
技術の確立が期待される。
厳しい国際価格競争の中で、高付加価値産業への進出こそが日本鋳造業の生き残
経 済 社 会 的 背 景 り道になっている。しかしながら、団塊世代が退いたことにより、職人に頼ることは難し
い状況である。
◎ 計測技術を高度化することにより、高品質の鋳物生産が可能になり、高付加価
重
要
度
値産業への進出が期待される。
緊
急
性
①
日本の鋳物技術を支えてくれた職人達が退いたために、従来のやり方では高
品質の鋳物作りができなくなっている。
熱分析法による溶湯性状の確認や機械的性質を予測する研究が行われているが、
現在の技術レベル 精度に問題がある。また、シミュレーションに必要な各種の物性値のデータも不足して
いる。
短期
中期
長期
要素項目
現状
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
計 測 技 術 の 高 人 の 手 に よ る 自動検査シス 自動検査シス 自動検査シス
度化
計測
テムの開発
テムの運用
テムの普及
到達目標の時期と
物性値の測定と 保管するだけ 物性値の測定 データの活用 データの運用
レベル
活用
とデータベー
ス化
予 測 ソ フ ト の開 測定に依存
溶 湯 性 状 ソフ 欠 陥 予測 ソフ 欠 陥 予 測 ソフ
発
トの開発
トの開発
トの普及
3 次元寸法測定ソフト、X 線・UT 等による非接触欠陥検査等が測定精度を上げてい
目 標 設 定 の 根 拠 る。また、熱分析による溶湯性状の確認が可能になっている。今後、測定技術の高度
化、物性値のデータベース化等により、予測ソフトの開発が期待できると思われる。
目標に到 達 するた 1.寸法、欠陥、物性値等を正確に調査できる方法を開発する。
めの技術開発内容 2.各種データを活用し、シミュレーションの精度を上げる。
3.溶湯性状、欠陥、機械的性質が予測できるソフトを開発する。
例
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
国際的優位性の
1.正確に寸法・欠陥・物性値等を調査することにより、高精度のシミュレーションソフト
の開発ができる。
2.溶湯性状・欠陥・機械的性質が予測できるようになり、高付加価値の製品が作れる
ようになる。
1.NOVA-CAST では、冷却曲線より溶湯性状を予測する研究を行っており、ソフトも
販売している。ただし、精度に問題がある。
2.欠陥・機械的性質の予測ができるソフトは開発されていない。
高付加価値の製品が製造できるために、海外同業者との差別化ができる。
予測
備
考
技術指針の関連項目*
関連項目:Ⅰ⑰インライン計測技術、Ⅱ②鋳造シミュレーションの高度化及び高精度
化
2
(1)⑩、(3)①③、(5)③④⑤⑥
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
81
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ①
小 項 目 (テーマ名 )
熱回収・利用技術(鋳物本体からの熱回収も)
関連マトリクス分野
b2D3
技 術 の 概 要
溶解工程における熱効率の向上さらに鋳造後製品を冷却するときの廃熱の利用が期
待されている。
鋳鉄鋳物 1 トン製造するに CO2 が 1 トン以上排出されている。これらの多くは溶解工
程で消費され、注湯後は、1400℃程度に溶解されたその熱エネルギが大気に放出さ
経 済 社 会 的 背 景 れている。これは、経済的な問題だけでなく、環境の問題としても大きく、その技術開
発が強く望まれている。
◎
重
要
度
緊
急
性
溶解の熱の高効率化、凝固、冷却過程での熱回収技術は鋳物工場だけの問題
に限らず、社会的にも強く望まれている。
①
溶解の効率化、及び鋳物冷却過程での熱回収技術は、要因も多く、今から順次
対応しなければ間に合わないテーマである。
溶解の効率化は、電源装置の発達に伴い、かなりの水準。
現在の技術レベル しかし、鋳物冷却過程での廃熱回収はほとんどなされていない。
要素項目
到達目標の時期と
製品高度化
短期
(2 年後)
現状
長期
(10 年後)
熱回収の各種 熱回収要素技 開発要素技術 熱 回 収 シ ス テ
要素技術の開 術の確立
レベル
中期
(5 年後)
と経済性
ムの開発
発
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
現状技術レベルとの対比
1.熱回収要素技術の開発
蓄熱、熱電化等の要素技術の開発
めの技術開発内容
2.熱回収要素技術の鋳造工程、鋳造装置のシステム化
例
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
若年労働者、女性が働ける鋳物工場の実現が期待される。
研究として、電気炉冷却水の熱エネルギの熱電化がある。
技術レベル
国際的優位性の
エネルギの大量消費産業である、鋳造において本技術が実現されれば、国際競争力
予測
は非常に高い。
大規模技術開発に相当する開発テーマであり、産官学の参加による推進が望まし
備
考
い。
技術指針の関連項目* 2
(3)①②④、(4)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
82
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ②
小 項 目 (テーマ名 )
短時間溶解(ハイパワー溶解、二重溶解)
関連マトリクス分野
b2B3、b2A7
周辺電子制御技術の活用により高周波炉などの発達が促進され大容量急速溶解技
技 術 の 概 要 術が普及していくことが期待される。また不純物を除去する溶解炉が開発され一次溶
解された溶湯を保持し、調整して利用する技術も期待される。
鋳造品製造に関わるエネルギの約 60%以上が溶解に関わるものである。金属を溶解
するに必要なエネルギは決まっているが、現状は放熱等で理論値の倍以上のエネル
経済社会的背景
ギが消費されている。短時間で溶解され、また、清浄な溶湯が得られる技術が開発さ
れることは強く望まれている。
重
要
度
緊
急
性
◎
短時間で高効率・清浄な溶湯が得られる溶解技術の開発は鋳物メーカから強く
求められている。
①
高効率溶解だけでなく、溶湯の清浄化に関しても要因も多く、今から順次対応し
なければ間に合わないテーマである。
高周波炉の溶解装置の開発は進み、高効率溶解はかなりのレベルまできているが、
現在の技術レベル 溶湯の不純物除去に関しては、基礎研究開発が必要である。
要素項目
到達目標の時期と
現状
短期
(2 年後)
長期
(10 年後)
生産性向上
溶解エネルギ 60~70%
レベル
中期
(5 年後)
70%以上
75%以上
90%以上
効率
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
めの技術開発内容
例
現状技術レベルとの対比
1.溶解炉技術の開発
2.溶湯中の不純物除去技術の開発
3.システム技術の開発
上記 1、2 項をシステムとしての確立する技術開発
波
及
効
果
灼熱作業の低減により、若年労働者、女性が働ける鋳物工場の実現が期待される。
海 外 の取 組 状 況 ・
電気炉の効率、ハイパワー化は進んでいる。
技術レベル
溶湯の清浄化に関しては、基礎研究が一部なされている程度である。
国際的優位性の
エネルギ消費産業である鋳造分野においては、本技術の国際優位性は高い。
予測
大規模技術開発に相当する開発テーマであり、産官学の参加による推進が望まし
備
考
い。
技術指針の関連項目* 2
(3)①④、(4)①⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
83
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ③
小 項 目 (テーマ名 )
省エネルギ・短時間銅合金溶解システムの開発
a3B1、bB3
関連マトリクス分野
銅合金鋳物業者は中小企業が多く、その材質は JISH5120 だけでも 9 合金系で 35
種類あり、受注ロットは、数量・重量とも非常に少ない単位である。銅合金鋳物の生産
技 術 の 概 要 において最も重要な溶解も多くはガス炉。重油炉を用いており、その溶解効率(熱効
率と原材料歩留まり、溶解速度)が悪く、受注ロットに対応した少量で迅速溶解可能な
これに適した安価な小型誘導電気炉の開発が望まれている。
現状では溶解熱効率は、ガス炉で 1 回目は 15%、2 回目以降は 20%、重油炉では 1
回目は 8%で、2 回目以降は 15%程度とされている、これに対して鋳鉄用の高周波溶
経 済 社 会 的 背 景 解炉では 50%以上の熱効率が得られ、溶解に要する時間もこれら炉の 50%以下であ
り、地金の酸化消耗も少ない。その結果として生産リードタイムが長くなり、短納期生
産の癌になっており、国際競争力を劣化させている。
◎ 省エネ・省資源・生産性の向上を同時に満足できる新しい溶解炉の開発が急務で
重
要
度
ある。できれば、1鋳型に 1 溶解の、ワンバッチメルチングが理想か。
①
緊
急
性
地金、重油、ガスの高騰銅合金鋳物屋にとって大問題であり、緊急の取り組みを
要する。
極めて低い熱効率と生産性が地金の酸化消耗をもたらしており、初回の溶解には 2
現在の技術レベル 時間を要している。また、コスト面から高周波誘導炉の使用が極めて限定されている。
要素項目
現状
短期
中期
長期
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
安 価 な 、 高 付 ガス炉、重油と 表皮生成型合 マッシィ型合金 20kg を 10 分
到達目標の時期と 加 ・ 小 型 高 周 での溶解に 2 金 溶 解 用 で 溶 解 用 で 以内に溶解で
波誘導炉の開 時間程度を要 50kg を 30 分 50kg を 30 分 きるワンバッチ
レベル
以内に溶解で 以内に溶解で メ ル チ ン グ (1
発 ( 溶 解 時 間 している。
き 、 熱 効 率 は き 、 熱 効 率 は 溶解/1 鋳型)
10 分程度)。
55%以上。
55%。
精密鋳造の分野ではワンバッチメルチングの普及が著しい。これは予め準備したイン
目 標 設 定 の 根 拠 ゴットを溶解するためで、銅合金の場合も地金の条件はこれに近く、可能と判断した。
ワンバッチメルチング炉(1700℃)があリ、これを安価にするために最高温度 1300℃
で、安価で断熱性のある耐火物の開発。銅合金は鋼ほど化学的に活性ではなく、現
めの技術開発内容
状と異なる耐火物の使用が可。尚、表皮生成型合金の場合、溶湯処理が安易な為。
例
2 年後に設定し、マッシィ型合金の場合、溶湯処理の検討が必要な為 5 年後とした。
生産性の向上、省エネ・省 CO2、省資源、製品価格の低減に寄与。また、作業環境
波 及 効 果 の改善、単位床面積当たりの生産性の向上が期待できる。
目標に到 達 するた
海 外 の取 組 状 況 ・
海外においてもこの様な取り組みはない。
技術レベル
国際的優位性の
予測
備
我が国の人件費の高いことを考慮しても、銅合金鋳物は付加価値が高く、この意味か
らも、国際的に優位に立てる。マザーマシン、産業機械に必要不可欠な銅合金鋳物
を安価で迅速に調達できる体制が整えば、それらの機械のリードタイムが短縮でき、
輸出大国として国際的に優位に立てる。
Ⅲ-2 省資源のための素形材技術参照
考
技術指針の関連項目* 2
(3)①④⑤、(4)⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
84
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ④
小 項 目 (テーマ名 )
無押湯・無湯道
関連マトリクス分野
a1B4
鋳造方案は湯道、押湯そして製品からなっており、歩留の向上は CR の重要な柱とな
技 術 の 概 要 っている。鋳造した溶湯が全て製品化されることは究極の鋳造技術であり鋳造技術に
関わる者全てから期待される。
鋳造方案歩留は全国平均約 60%、製品歩留りは約 50%と言われており、これは溶解
経済社会的背景
した溶湯の約半分しか鋳物製品になっていないことを意味する。これは単に経済的な
問題だけでなく、エネルギの浪費につながっており、環境負荷の問題にもなってい
る。
重
要
度
緊
急
性
現在の技術レベル
◎
経済社会的背景に鑑み、また、鋳物メーカの要望も強く、これへの対応は必須
である。
①
溶解技術から造型、注湯、鋳仕上げまでのトータル技術で、関係する要因も多
く、今から順次対応しなければ間に合わないテーマである。
球状黒鉛鋳鉄では、一部 フラン鋳型での無押湯方案、直湯口方案など、製品限定
で施行されているものもある。
要素項目
到達目標の時期と 生産性向上
レベル
方案歩留り
目 標 設 定 の根 拠
現状
短期
(2 年後)
60%
70%
中期
(5 年後)
90%
長期
(10 年後)
95%
現状技術レベルとの対比
1.液体・凝固収縮と黒鉛晶出の基礎解明
目標に到 達 するた
2.清浄な溶湯溶解技術の開発
めの技術開発内容 3.高精度な注湯機の開発
例
4.無押湯、無湯道方案ができる鋳型の開発(鋳型強度、表面安定性、溶湯反応性等)
鋳仕上げレスが図れることにより、鋳造工場のイメージの一新、若年労働者、女性が
波
及
効
果
働ける鋳物工場が実現できる。
海 外 の取 組 状 況 ・
黒鉛の晶出時の体積膨張などの基礎研究はなされている。
技術レベル
しかし、トータルシステムとしての取組は認められない。
国際的優位性の
トータルシステムが実用化されると国際競争力はかなり高い。
予測
関連技術:Ⅲ⑤押湯不要の引けなし球状黒鉛鋳鉄鋳物の溶解・造型鋳造技術の開
備
考
発、Ⅲ⑥ハイブリッド・プレスキャスティング、無押湯・無湯道
技術指針の関連項目* 2
(3)①②④、(4)②⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
85
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑤
小 項 目 (テーマ名 )
押湯不要の引けなし球状黒鉛鋳鉄鋳物の溶解・造型鋳造技術の開発
関連マトリクス分野
a1B4
球状黒鉛鋳鉄品を無押湯で製造する条件は鋳物形状や鋳型種類など凝固挙動を
技 術 の 概 要 制御する因子によるが、更に安定化を図るには溶湯性状や鋳型の均一性を検出し管
理できる技術が期待されている。
鋳造メーカとして歩留り向上を図ることは、経営上重要な事項である。その歩留り向上
対策として、無押湯で製造するできることは有効な手段であるとともに、引け巣の無い
経 済 社 会 的 背 景 鋳造品が得られることは、鋳物に対するイメージ、信頼性を向上させるためにも開発
が期待されている。
重
要
度
緊
急
性
◎
引けなし球状黒鉛鋳鉄品を安定して製造できる技術であり、鋳物メーカの要望
も強く、これへの対応は必須である。
①
球状黒鉛鋳鉄品の安定製造に関する技術であり、要因も多く、今から順次対応
しなければ間に合わないテーマである。
フラン鋳型にて、鋳物モジュラスの限界がある。
現在の技術レベル 溶湯の判定、黒鉛晶出時の体積膨張による鋳型の張り等を検出する体系だった技術
は未確立
要素項目
到達目標の時期と
製品高度化
溶解
レベル
造型
目 標 設 定 の根 拠
現状
短期
(2 年後)
判定方法が無
い
鋳型としての
張り判定が無
い
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
判定技術の開 システムとして 実用化
の開発
発
判定技術の開
発
現状技術レベルとの対比
1.溶解技術
・元湯の性状、球状化処理後の性状判定
目標に到 達 するた
2.鋳型技術
めの技術開発内容
・鋳型強度と鋳型としての張りの判定
例
3.システム
上記 1、2 項と製品形状、肉厚等とのシステムとしての技術開発
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
鋳物の信頼性が向上され、鋳物に対するイメージが一新されることが期待される。
フラン鋳型における球状黒鉛鋳鉄の無押湯に関する研究・開発(方案、鋳物モジュラ
ス等)は北米を中心に行われている。
ただし、溶解、造型、方案を含めたトータルシステムとしての取組はまだ無い。
国際的優位性の
トータルシステムが開発されれば、国際的優位性はかなり高い。
予測
関連技術:Ⅲ④無押湯・無湯道
備
考
技術指針の関連項目* 2
(3)①④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
86
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑥
小 項 目 (テーマ名 )
ハイブリッド・プレスキャスティング、無押湯・無湯道
関連マトリクス分野
a1B4
技 術 の 概 要
砂型に溶湯を注入し、半溶融状態で鍛造することにより、溶湯の補給を行い湯道、押
湯が不要となる。より均一な薄肉製品も実現可能になることが期待されている。
製品歩留まりの向上は、鋳物メーカの利益アップに直結する課題である。従来の鋳造
経 済 社 会 的 背 景 プロセスでは製品歩留まりに限界があり、湯道のない砂型プレスキャスティングの実用
化が期待されている。
重
要
度
緊
急
性
◎
砂型プレスキャスティングは、製品歩留まりを画期的に改善できる鋳造プロセス
であり、これへの取り組みは必須である。
①
対象製品の見極めと、量産化への目処をつけるために、ここ数年で取り組むこと
が必要なテーマである。
比較的単純形状かつ、肉厚でない製品に関しては、良質な鋳物が得られているが、
現在の技術レベル 量産技術が確立しておらず、複雑かつ肉厚鋳物への適用限界と、半溶融とのハイブ
リッドのよる効果は、未知である。
要素項目
到達目標の時期と 量産化技術
レベル
複雑形状
への対応
短期
中期
(2 年後)
(5 年後)
試作レベル
プ ラ ン ト 構 想 確 量産テスト
立
プラント始動
肉厚 20t 以下 中子利用の確 半溶融の活用
の単純形状
立
現状
長期
(10 年後)
量産技術確立
肉厚 50t 対応
既に試作に成功したものもある。既存の鋳造プラントを改良することで、量産化技術
目 標 設 定 の根 拠
の確立が可能である。複雑形状への対応も、既存の中子技術、半溶融技術の活用に
より、対象製品の拡大が見込める。
1.鋳造方案
・砂型プレスキャスティングに適した鋳造方案の開発
目標に到 達 するた
・中子固定技術の開発
めの技術開発内容 2.注湯量制御技術
・実用レベルで注湯量精度 3%以下の制御技術の開発
例
3.プラント技術
・低コスト、かつ、極少砂量で造型する鋳造プラント技術の開発
波
及
効
果
鋳仕上げレスが図れることにより、鋳造工場のイメージの一新、若年労働者、女性が
働ける鋳物工場が実現できる。
海 外 の取 組 状 況 ・
黒鉛の晶出時の体積膨張などの基礎研究はなされている。
技術レベル
しかし、トータルシステムとしての取組は認められない。
国際的優位性の
トータルシステムが実用化されると国際競争力はかなり高い。
予測
関連技術:Ⅲ④無押湯・無湯道
備
考
技術指針の関連項目* 2
(3)②④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
87
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑦
小 項 目 (テーマ名 )
銅合金鋳物高効率生産システム
関連マトリクス分野
c3-4B1-7、(c3-4C2)
アルミニウム合金で実用化が進んでいる金型鋳造の高融点金属への適用とともに、
技 術 の 概 要 方案歩留まり向上を図った抜本的な生産システム開発を行う。
銅合金の主要生産品である給水栓等の水回り部品では、材料価格の高騰により、プ
経 済 社 会 的 背 景 ラスチックなど他材料への材料転換圧力が高まっており生産性向上が求められてい
る。
重
要
度
緊
急
性
◎
非常に高い
②
銅合金鋳造では材料単価および副資材の高騰が進んでおり、格段の歩留まり
向上が求められている。
アルミ青銅、黄銅では、すでに金型鋳造が可能になっているものの、青銅合金では、
現在の技術レベル
割れの発生等により金型鋳造は実用化できていない。
要素項目
到達目標の時期と
レベル
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
方案歩留まり
60%
60%
75%
85%
鋳造コスト
100%
90%
80%
70%
金型鋳造化、無湯口・無湯道化による生産効率の向上、方案歩留まりの向上、副資
目 標 設 定 の根 拠
材コストの低減を図る。
目標に到 達 するた
金型鋳造用青銅合金の開発
めの技術開発内容 金型鋳造法の青銅合金への適用
セル生産システムの銅合金鋳造への適用
例
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
金型材料・断熱材の開発など、他の高融点材料への技術の展開が期待される。
銅ロータ、黄銅バルブ部材など、一部の形状・合金種において金型鋳造が行われる
など、取り組みが進められているものの、主力の青銅部材においては実用化されてい
ない。
現在日本国内の銅合金鋳造企業が保持している卓越した技術に加えて、生産性の
国際的優位性の
予測
高効率化を図ることにより、原材料高の時代においても国際的競争力の維持が図ら
れる。
関連技術:Ⅰ⑬金型鋳造用青銅合金の開発
備
考
技術指針の関連項目* 2
(3)①④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
88
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑨
小 項 目 (テーマ名 )
高硬度・高剛性・精密鋳物の開発(鋼材の鋳物化)
関連マトリクス分野
a1A2
熱処理不要の高硬度鋳物の開発。たとえば、FCD700 などの高強度鋳物に高硬
技 術 の 概 要 度廉価微粒材(セラミックなど)を均一に拡散させた材料組織。
自動車部品のハイテン採用や高強度樹脂部品への転換などにより、高硬度な金型
経 済 社 会 的 背 景 材料の採用が増加している。現状鋼材焼入れが一般的であるが、加工除去体積が
大、かつ熱処理によるエネルギロスが大きい。
◎
重
要
度
緊
急
性
部品の軽量化と開発期間の短縮を高いレベルで両立する上で、機械加工が
容易な高硬度鋳物の開発は極めて重要である。
①
機械加工および熱処理エネルギの抑制は、型製作の CO2 低減を図る
上で緊急性は高い。
焼入したマルテンサイトべースで、レアメタルである炭化バナジウムを析出させた高
現在の技術レベル 硬度鋳物はあるが、極めて高価。(硬度 :HRC67、価格 3000 円/kg 以上)
要素項目
到達目標の時期と
レベル
高硬度廉価微
短期
(2 年後)
現状
事例なし
粒材の均一分
散
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
基本調査
基礎材料開発
実用化開発
(均一分散法)
(HRC 60)
(1000 円以下
( 引 張 強 度
/kg)
700MPa)
セラミックなど廉価材料はあるが、鋳物に対して比重が軽く、均一に分散できない。
目 標 設 定 の根 拠
また、比重が類似した材料でも、対流の影響で均一化は難しい。
目標に到 達 するた
高硬度微粒材と鋳物との均一拡散工法の開発(硬度と強度の両立)
めの技術開発内容 切削加工可能な材料開発
加工後の型材硬度・強度を、素材段階で保証する非破壊検査法
例
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
工作機械、重機などの鋳物高強度化による素材重量の低減
事例なし
技術レベル
国際的優位性の
これまでの日本が有する高精度な鋳造技術に、高硬度化の付加価値が加わり、
予測
国際的優位性はダントツとなる。
備
考
技術指針の関連項目 * 2
(1)②③④、(2)④
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
89
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑪
小 項 目 (テーマ名 )
鋳仕上げ作業の合理化(苦渋作業の解消、自動化)
関連マトリクス分野
e1D4、(e2-4D4)
湯道外し、堰折から湯口研削など鋳仕上げ作業はその多様性から自動化が難しく
技 術 の 概 要
作業環境の改善が期待されている。
多品種少量生産に対応した汎用ロボットまたはマニピュレーターを開発し、苦渋作
経済社会的背景
業の解消と魅力ある鋳物工場の実現が期待される。
◎
重
要
鋳造を進化させ続けるための魅力ある工場とするためにも、苦渋作業の解消
度
は必須である。
①
緊
急
労働力不足問題の解決に寄与する技術であり、かつ複雑な形状を特徴とする
性
鋳造製品に係るため、実現には数年かかるが、今から対応しなければ間に合
わないテーマである。
現在の技術レベル 多品種少量生産に対応できず、ロボット化率 5%程度が限界。
要素項目
到達目標の時期と 生産性向上
自動化、省人
レベル
短期
(2 年後)
現状
5%
5%
中期
(5 年後)
10%
長期
(10 年後)
20%
化
(ロボット化率)
現状技術レベルを加味して設定
目 標 設 定 の根 拠
1.製品の認識・識別方法
・製品形状、位置、材質などの識別センサの開発
目標に到 達 するた
めの技術開発内容 2.仕上げ、検査用ロボットの開発
・多軸、重可般、高精度なロボットシステムの開発
例
・自動判別、自動修正機能をもった仕上げ、検査ツールの開発
魅力ある鋳物工場として、若年・高齢・女性が働ける環境が期待される。
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
形状、位置などの識別センサの開発、重可般ロボットの開発が強力に進められてい
技術レベル
る。
鋳造への展開についての開発は、海外の方が進んでいるように思える。日本のもの
国際的優位性の
づくり感性とこれらの要素技術開発をリンクして進めれば、国際的優位性を確保で
予測
きると考える。
関係領域が広く、鋳造分野だけでは解決できないため、産・官・学の参加による推
進が望ましい。関連技術:Ⅰ⑱ネットシェイプ技術、Ⅰ㉒ダイカスト用の高品質中子
備
の開発、Ⅱ⑦RP の RM 化 対象拡大、Ⅲ④無押湯・無湯道、Ⅲ⑤押湯不要の引け
考
なし球状黒鉛鋳鉄鋳物の溶解・造型鋳造技術の開発Ⅲ⑥ハイブリッド・プレスキャ
スティング、無押湯・無湯道、Ⅲ⑫鋳仕上げレス、Ⅳ③業界の連携・協力とコア組織
の構築、Ⅳ⑥熟練技能のデジタル化、中核人材の育成
技術指針の関連項目 2
*
(3)①、(4)⑦、(5)②
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
90
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑬
小 項 目 (テーマ名 )
トレーサビリティ向上
関連マトリクス分野
g3B7、(a1-4B7)、(b1-5B7)、(e1-4B7)、(g1,2B7)、(h1-6B7)
鋳造工程で生産される生産物の品質を保証し、品質を向上させていくために、鋳造
技 術 の 概 要
条件、検査結果と製品との紐付けをする技術
グローバルで造られる製品の品質を同一品質として高いレベルで保証することは、鋳
経 済 社 会 的 背 景 物の信頼性、環境貢献度などを時代の要請に答えていることを見えるようにすること
が望まれる。
◎
重
要
度
緊
急
性
グローバル化と世代交代が進展しており、鋳造品質の国際的優位性を維持する
ために重要。
②
業界あげて開発を望んでいるが、鋳造の品質メカニズム解明をしなければなら
ないことから開発に数年かかり、今から開発着手する必要がある。
表面性状のよい製品へのシリアル No.付与技術、設備設定との紐つけ技術、などは
現在の技術レベル あるが、加工点などの状態の計測、表面性状の悪い(中子など)ものへのシリアル No.
付与技術などは不十分。
要素項目
到達目標の時期と
レベル
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
トレーサビリテ
ィ付与率
5%
10%
20%
40%
現状技術レベルからの推定
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
1.鉄、中子などへのシリアル No.付与技術
めの技術開発内容 2.湯流れ、凝固などの加工点、欠陥などの品質の定量計測技術
3.トレーサビリティ結果の検索技術
例
品質向上などの技術開発、改善に波及できる。
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
アルミダイカスト製品で一部実施されている。
技術レベル
他分野での展開は拡大基調。
国際的優位性の
本テーマに早急に取り組み結果を出せれば、国際的優位性を確保できる。
予測
関連技術:Ⅰ⑰インライン計測技術、Ⅱ①3D を活用した一気通貫システムの構築、
Ⅱ②鋳造シミュレーションの高度化及び高精度化、Ⅱ④鋳造品の設計支援システ
ム、Ⅱ⑤鋳造エキスパ-トシステム、Ⅱ⑧計測技術の高度化、Ⅳ①鋳造現象の科学
備
考
的解明と定量化、Ⅳ②鋳物製造技術の標準化、データベース化、Ⅳ⑥熟練技能の
デジタル化、中核人材の育成、Ⅳ⑦鋳造関連情報ネットシステムの構築、Ⅳ⑩製品
の開発、試作、製造、販売等の全てあるいは一部を他企業・他機関と連携して実施す
ることを支援するシミュレ-タ、データベース意志決定システム
技術指針の関連項目
*
2
(1)⑩、(3)③、(5)⑤⑥
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
91
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅲ⑭
小 項 目 (テーマ名 )
ゼロエミッション
関連マトリクス分野
b2D3、(b1,3-5D3)、(b1-5D3)
鋳造工程から出される廃棄物を全て再利用する技術は環境保全の観点から期待さ
技 術 の 概 要 れている。これらの産廃物を分別しもとに戻す技術、または、ここの貴重な元素を取
り出す技術、無害化して別の用途に再生する技術の開発を行う。
鋳造工場の溶解、造型、仕上げなどの各工程から発生する廃棄物は、一部再利用
経済社会的背景
されているものの、ほとんどが処理業者に委託して処理されているのが現状。路盤
材などへの単純な用途にもキャパに限界があり、法的規制などの強化の動きに対
応できず問題が生じてきている。
◎
重
要
度
緊
急
性
鋳造工場で発生する産廃物を自己処理することは、地球環境の改善とともに、
鋳造業界の発展に必要不可欠なことである。
①
業界あげて開発を望んでいるが、実現に数年かかるが、今から対応しなけれ
ば間に合わない緊急性の高いテーマ。
一般廃棄物用処理炉レベルで、重金属などが含まれる廃棄物に対する高温溶融
現在の技術レベル 処理炉などはない。また、無害化でなく、貴重元素を取り出し再利用する技術はな
い。
要素項目
短期
(2 年後)
現状
環境保全
到達目標の時期と 作業・地域・地球 100
廃棄物の減容・リ
レベル
サイクル(現 状 廃
棄物量を 100 とし
て評価)
目 標 設 定 の 根 拠 現状技術レベルからの推定
80
中期
(5 年後)
60
長期
(10 年後)
40
1.産廃物の高温溶融(スラグ化)の開発
目標に到 達 するた
・低コスト高温化エネルギの開発
めの技術開発内容
・スラグの固形・細粒化技術の開発
例
・リサイクル技術の開発
2.貴重金属を分離する技術
波
及
効
果
循環型生産により、地球環境保全に貢献できる
鋳造に係る内容については、ほとんど取り組みがない。
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
本テーマに早急に取り組み結果を出せれば、国際的優位性を確保できる。
国際的優位性の
予測
関連技術:Ⅰ⑤無害化・不純物除去技術、Ⅰ⑥高機能人工砂、Ⅰ⑲環境対応の新
しい造型法Ⅰ⑳極めて崩壊しやすい砂型、砂中子、Ⅲ⑩有用金属再生と鋳造での
備
考
利用、Ⅳ①鋳造現象の科学的解明と定量化、Ⅳ③製品の開発、試作、製造、販売
等の全てあるいは一部を他企業・他機関と連携して実施することを支援するシミュレ
-タ、データベース意志決定システム
技術指針の関連項目 2
*
(4)①②③④⑤
3
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
92
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅳ①
小 項 目 (テーマ名 )
鋳造現象の科学的解明と定量化
関連マトリクス分野
iE6
これからの鋳造産業界が職人技能中心から脱皮してより技術力を向上させていくた
技 術 の 概 要 めには、鋳造現象の科学的解明と定量化が不可欠。鋳造現象を科学的に解明し、
デジタル技術によって暗黙的知識の定量化を図る。
鋳造の生産現場の技術は、経験と勘に依るところが多いと言われている。新たな人
材に対するこれらの技能の伝承が過去のように円滑に行える環境があるなら良い
経 済 社 会 的 背 景 が、我が国では産業界が必要とする人材を量・質共に獲得できていない現状にあ
る。今後は、鋳造現象の科学的解明により、技能を技術として解明し、ものづくりに
活用していく必要がある。
◎
重
要
度
鋳造現象の科学的解明と定量化は技能の伝承のみならず製品開発のリード
タイム短縮、品質向上、コスト低減、新技術の開発等を図るために重要。
鋳造業界では熟練技能者の退職が続く傾向にあり、熟練技能を伝承する若
い人材の供給も十分でない。また、技能中心の経営から技術を活かした戦略
緊
急
性
的経営が求められることからここ数年で取り組み完成させていかなければなら
ないテーマ。
実際の製造現場における製造技術の計測・分析・ヒアリング・観察などを実施し、鋳
現在の技術レベル 造現象を解明し、作業者のもつ暗黙的知識の構造の解明に取り組んでいる。さらに
解明された知識を製造現場で生かすための利用技術(デジタル化)の開発。
要素項目
現状
短期
中期
長期
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
データベース化 科 学 的 解 明 鋳 造 現 象 の システム開発 データベース
到達目標の時期と 及 び デ ー タ の が実施されて 解 明 、 分 析 、 50%
化・活用・更
新
いない鋳造現 整理、分類
更新
レベル
20%
解 明 す べ き 対 象が多く存在 80%
する
象の選定
システム開発
②
科学的に解明されていない鋳造現象の対象の選定、それに適応したシステムの開
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
発、データベース化に時間を要する。
標準モデルの開発
めの技術開発内容 暗黙知の計測技術・分析技術・データベース化
例
暗黙知データベースの使いやすさの検証
技能伝承の円滑化、製品開発のリードタイム短縮、品質向上、低コスト化
波
及
効
果
技術レベル
ドイツにおいては、鋳造マイスターが製造現場において重要な役割を担っておりシ
ステムとして技能・技術を伝承する仕組みが健在であり暗黙知の形式知化の動きは
見られない。
国際的優位性の
東アジア諸国等のライバル国の技術面のキャッチアップに対する優位性を確保する
予測
ことが可能。
海 外 の取 組 状 況 ・
備
考
プログラム等の継続的メンテナンス、定期的なノウハウのフィードバックを中小企業
が実施する体制作りが必要。
3
技術指針の関連項目 * 2
(3)
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
93
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅳ⑤
小 項 目 (テーマ名 )
公設試の強化
関連マトリクス分野
iE4
道州制の導入による公設試のテリトリーの広域化と、特定分野への特化。東北や関東
技 術 の 概 要 などの地域に 1 つの鋳造に特化した公設試を立ち上げ、中小企業の研究・開発力の
強化を図る。
現状は、個々の公設試には 1~2 名の鋳造関係者は残っている箇所もあるが、新素
経 済 社 会 的 背 景 材ブームから、公設試では多くの鋳造技術者が新分野へと展開し、鋳造関連の研究
者が著しく減少し、弱体化した。
◎
重
要
度
鋳造技術開発の核となる公設試を設ける必要がある。
①
緊
急
全国に展開している中小鋳造企業の技術開発等を支援するために、地域ごとに
性
この様な状況下では我が国の鋳造業から開発の芽が排除され、今後は縮小し
か道はない。中小鋳物企業が新技術の開発に取り組める状況の緊急な取り組
みが必要。
鋳造協会を中心に、関係者による連絡会の開催(2 回/年)に留まっている。また、鋳造
現在の技術レベル
協会自体に開発の力が全くない。
要素項目
短期
(2 年後)
現状
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
到達目標の時期と 中核公設試の 個々の公設試 一部地域で試 一部地域で実 主要地域で実
設立
に 1~2 名の 行の開始
現
現
レベル
鋳造技術者。
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
現状レベル(平成 19 年度経営基盤強化策 報告書 経済産業省)からの予測
国の基本的な制度改革が必要であり、一日も早い取り組みの開始が不可欠。公設試
めの技術開発内容 に鋳造関係者の数を増やすのではなく、特定の公設試に集中させるのであって、資
金的な問題は少ない。
例
研究・開発力に劣る中小鋳物企業の製品開発への支援の充実。これにより、我が国
波
及
効
果
海 外 の取 組 状 況 ・
技術レベル
中小鋳造業の生き残りと、発展が期待できる。
スペインのアズテラン研究所、ドイツの FDG 研究所、フランスの ATFMM などに相当
する鋳物の研究所は我が国には全くない。早稲田大学の鋳物研究所も 15 年前に材
料技術研究所と改名し、鋳造関連の教員は著しく減少した。
国際的優位性の
この制度ができても、国際的にはやっと平均値に到達するに過ぎない。できれば、上
予測
記の研究所に相当する鋳造研究所を作り、海外に先行したい。
中国においてもものづくり教育に特化し始めており、現状では、鋳造に関しては、我
備
考
が国の大学は余りに弱体化している。
技術指針の関連項目* 2
(5)①②⑤
3 (2)
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
94
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅳ⑥
小 項 目 (テーマ名 )
熟練技能のデジタル化、中核人材の育成
関連マトリクス分野
iE6、iE1、iE3、iE4
これからの鋳造産業界がより技術力を向上させていくためには、高度技術・技能を確
技 術 の 概 要 実に次世代に伝承していくことが不可欠。デジタル技術によって暗黙的知識の定量
化を図り中核人材の育成に活用する。
鋳造の生産現場の技術は、経験と勘によるところが多いと言われている。新たな人材
に対するこれらの技能の伝承が過去のように円滑に行える環境があるなら良いが、我
経 済 社 会 的 背 景 が国おいては産業界が必要とする人材を量・質共に獲得できていない現状にある。
人材不足を背景として技能の伝承が円滑に進まないことが懸念されており、鋳造中核
人材の育成が急務。
重
要
度
◎
熟練技能のデジタル化は技能の伝承のみならず製品開発のリードタイム
短縮、品質向上、コスト低減を図るにあたって重要。
②
緊
急
鋳造業界では熟練技能者の退職が続く傾向にあり、熟練技能を伝承する
性
若い人材の供給も十分でないことから、ここ数年で取り組み、完成させていかな
ければならないテーマ。
実際の製造現場における製造技術の計測・分析・ヒアリング・観察などを実施し、製造
現象を解明し、作業者のもつ暗黙的知識の構造の解明に取り組んでいる。さらに解
現在の技術レベル 明された知識を製造現場で生かすための利用技術(デジタル化)の開発を実施中。中
核人材の育成についてもさらに大学院レベルのアドバンス人材育成の必要性が指摘
されている。
要素項目
現状
短期
中期
長期
(2 年後)
(5 年後)
(10 年後)
データベース
到達目標の時期と 熟練技能の見 鋳 造 カ レ ッ ジ 熟練技能の見 システム開発
人 材 育 成 カ リ 化、中核人材
において中核 える化
える化
レベル
中核人材育成 人材育成を実 中核人材育成 キ ュ ラ ム の 構 育成への活用
20%
システムの強 築
シ ス テ ム の 展 施中
50%
化
80%
開
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
デジタル化すべき熟練技能の対象の選定、計測技術、分析技術、それに適応したシ
ステムの開発、データベース化に時間を要する。
暗黙知の計測技術・分析技術・データベース化
めの技術開発内容 暗黙知データベースの使いやすさの検証
例
人材育成カリキュラム、産学人材育成スキームの創設
波
及
効
果
技能伝承の円滑化、中核人材育成、製品開発のリードタイム短縮、品質向上、低コス
ト化
例えば、ドイツにおいては、鋳造マイスターが製造現場において重要な役割を担って
海 外 の取 組 状 況 ・
おりシステムとして技能・技術を伝承する仕組みが健在であり暗黙知の形式知化の動
技術レベル
きは見られない。また通常はマイスターが工場長や管理職といった中核人材になるケ
ースはめったにない。
国際的優位性の
東アジア諸国等のライバル国の技術面のキャッチアップに対する優位性を確保するこ
予測
とが可能。
プログラム等の継続的メンテナンス、定期的なノウハウのフィードバックを中小企業が
備
考
実施する体制作りが必要。
技術指針の関連項目* 2
(5)①
3 (2)
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
95
分野名:鋳造技術
小項目№:Ⅳ⑨
小 項 目 (テーマ名 )
「鋳造大学校」(仮称)での人材育成
関連マトリクス分野
cE1、cE4
中核人材育成事業は軌道に乗り、教育が行われている。しかし、受講者のレベルが
低く、ばらつきが大きく、高度教育は不可能である。そこで、更に上のバージョンが必
技 術 の 概 要
要。大学での鋳造に関連する教員数が著しく減少し、教員ネットワークの構築(1 大学
では対応できない)による教育システムの構築。地域ごとに小規模な事業を行うので
はなく、全体全国を 1 つにまとめることが必要。教える側の人材も育成する必要があ
る。
経済社会的背景
重
要
度
緊
急
性
現在の技術レベル
鋳造業界は、熟練技術者の退職に直面しており、優秀な人材の確保・育成が求めら
れている。
◎
鋳造産業ビジョンが目指す提案型企業を実現するため必要不可欠な人材育成
を行うものであり、早期の実現が望まれる。
鋳造カレッジ(日本鋳造協会)が平成 19 年度より開始しており、鋳造における高
①
度教育の体系化の整備が求められている。
鋳造に関してはこれに特化した公設試はなく、開発力は弱い。
要素項目
短期
(2 年後)
現状
到達目標の時期と
中期
(5 年後)
長期
(10 年後)
鋳造大学校の 一部地域で実 複数地域で実 全国主要地域 全国主要地域
レベル
展開
目 標 設 定 の根 拠
目標に到 達 するた
現
現
で実現
で実現
現状レベルから、日本鉄鋼協会の『鉄鋼工学セミナー』を模したシステムの構築が必
要。
特にない。あえて言えば、我が国の制度に道州制を導入することが近道か。
めの技術開発内容 公設試のテリトリーを拡大する手法があればそれでも対応化。
例
波
及
効
果
鋳造業の IT 化、シミュレーションの導入などにも寄与し、鋳造業の国際競争力の進
展に大きく寄与する。
ドイツの大学における鋳造教育、VDG(ドイツ)工業マイスター教育、フランスにおける
海 外 の取 組 状 況 ・
レオナルド・ダビンチ校がこれに相当する。特に、フランスのシステムは良くできてい
技術レベル
る。
現状では、各企業は高収益化に走り、研究開発部門の縮小が著しく、大学において
国際的優位性の
は独立法人化の結果として、生き残りをかけて資金が集め易い先端材料分野に特化
予測
しており、EU やアメリカの特殊な箇所の強化策に逆行している。全く後塵を拝してい
るので、このシステムができて、やっと同一レベルか。
備
考
3 (2)
技術指針の関連項目* 2
*:「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく技術高度化指針(案)において「2.高度化の方向性」または「3.配慮事項」として掲げられた項目
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