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3月号 - 石油エネルギー技術センター

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3月号 - 石油エネルギー技術センター
CONTENTS
■ 特 集
◎技術報告
水素社会構築共通基盤整備
「水素インフラに関する安全技術の研究開発」事業
◎調査報告
「新規膜分離技術等の製油所の省エネルギーへの適用
可能性に関する調査」
■ トピックス
◎「第5回アジア石油技術シンポジウム開催」
◎市原水素ステーション開所式
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特集
1.背景
エネルギーセキュリティや世界的な広がりを見せている温室効果ガス排出削減
の動きの中で、今、注目を集めているのが、二酸化炭素の排出されない燃料であ
る水素を有効活用した燃料電池です。この燃料電池の普及にあたって、必要とな
る水素の製造、運搬、貯蔵に関しては、安全性の観点から既存の法規制の見直し
が産業界より要望されています。
こうした状況を踏まえて、当センターでは、圧縮水素や液体水素を利用する燃
料電池自動車の普及に対応する水素スタンドの導入・普及を図るため、平成15年
度からNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)委託事業
として、「水素インフラに関する安全技術研究」に参画し、規制の見直し等に取
り組んできました。
ここでは、燃料電池自動車の航続距離を伸ばすために、更なる高圧化を目指す
70MPa充てん対応型水素スタンドと液体水素を利用する水素スタンドに関する検
討状況を中心に紹介いたします。
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2007.3
2.実施体制
本事業は、当センターが代表者となりNEDOより受託して、三菱重工業株式会社、
株式会社 日本製鋼所、株式会社 タツノ・メカトロニクス、有限責任中間法人 日
本産業ガス協会の5者連名の体制により実施しています。
水素インフラに係わる安全性の検証は、スタンドモデルを作成し、産業界で一般的
に用いられている安全性評価手法により、事故要因・想定事故のリストアップを行っ
た後、機器・材料の安全性検証とともに事故が発生した場合の影響度を考慮して、リ
スク全体を評価する手法を採用しています。
上記の各連名機関での研究成果は、前述のリスク評価にあたっての検討資料として
使用されますが、これらの成果を一体的に管理、利用する目的から4つのワーキンググ
ループ(影響度評価WG、材料評価WG、液体水素WG及び自主基準・ガイドライン作
成WG)を設置し、個々の研究成果の確認や整合性を取っています。また、これらWG
で検討されたものは上位の組織である2つの専門委員会(安全性評価専門委員会、自主
基準・ガイドライン審査専門委員会)にて専門家による審議を行うこととしています。
専門家の審議を経た技術的検討案件は、さらに上位組織である有識者から構成される
「水素インフラに関する安全技術検討委員会」にて検討・審議され、承認を得て当事業
の成果として公表されます。
3.研究の成果と取組の内容
当センターでは、NEDOの委託事業として、平成15年度から「水素安全利用等基盤
技術開発事業」に参画し、平成16年度までに圧縮水素スタンド(40MPa以下)設置の
制約となる法規制の見直し及び技術基準案の策定に資するデータの取得、安全性検証
を行ってきました。これらの安全性検証に基づく技術基準案は、関係機関の確認を経
て、平成17年には、関係する法・政令等の改正(高圧ガス保安法一般則、危険物の規
制に関する政令、建築基準法施行令に係わる告示)のベースとなりました。この見直
しの結果、水素スタンドを市街地の既設給油所に併設して設置することが可能となり
ました。この結果に基づき、トピックスに示す市原水素ステーションの運用開始とな
りました。
平成17年度以降も引き続き「水素社会構築共通基盤整備事業・水素インフラ等に係
る規制再点検及び標準化のための研究開発・水素インフラに関する安全技術研究」に
参画し、超高圧(70MPa)の圧縮水素スタンドや液体水素スタンドの安全性検証に関
する研究開発を実施しています。
これは燃料電池自動車の普及に際して、超高圧での充てん要望があり、また液体で
の輸送、充てんといった機動性のある形態の設備についての規制緩和の要望が強いた
めです。
現在の検討状況は、以下のとおりです。
2
1)70MPa充てん対応型水素スタンドに係る安全性評価と安全対策の検討
70MPa充てん対応型水素スタンドについて、安全性評価に使用するスタンドモデル
を作成し、想定事故の抽出を行いました。今後、個々の想定事故に関するリスク評価
を実施していく計画ですが、安全性の検証に係わる材料データ取得のため、平成18年
度事業において、日本で初めて、㈱日本製鋼所 室蘭研究所に80∼90MPa迄の超高圧
水素の雰囲気下で疲労試験が可能な評価試験装置「金属材料試験用超高圧疲労試験装
置」(図1参照)を導入しました。
本試験装置は、将来の水素スタンドの普及及び燃料電池自動車の航続距離伸張のニー
ズに対応した金属材料を評価するもので、超高圧水素雰囲気下における高強度クロ
ム・モリブデン鋼を中心とした金属材料の材料劣化特性の調査及び適用材料鋼種の拡
大研究を実施するための試験装置です。
今後、この試験装置を活用し、蓄圧器の素材候補となる材料に対して、設計強度評
価に必要な引張・疲労、破壊靱性、疲労き裂進展試験を行う予定です。
図1
「金属材料評価試験用 超高圧疲労試験装置」
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2)液体水素スタンドに係る安全性評価と安全対策の検討
液体水素スタンドのモデル作成とともにリスク評価を行いました。また、既設液体
水素スタンドを例として、液体水素貯槽の耐震性の確認や操業操作における種々の懸
案事項について検討いたしました。
液体水素スタンドのリスク評価は、次の検討フローに示すように、これまでに実施
した35MPa充てん対応型水素スタンドのリスク評価と同様の手法(検討フロー、リス
クマトリクス、可能性評価、影響度評価等)を使って行いました。
なお、リスク評価結果については、平成18年度末までにまとめる予定です。
リスク評価の検討フロー
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ここで、液体水素スタンドと35MPa充てん対応型水素スタンド(圧縮水素ガス)と
の特徴を以下に記します。
①取り扱い時の物性
液体水素の場合、取り扱い時の温度が極低温の−253℃であるのに対して、圧縮水素ガ
スは常温付近の15∼30℃です。液体水素と圧縮水素ガスとの比較は、次のとおりです。
液体水素と圧縮水素ガスとの比較
状態
圧力
密度
特徴
液体水素
液体
0.4MPa
71kg/Nm3
(水の14分の1と小さい)
・気体に変化すると、体積が
約8百倍に増加する。
・液体が気化しやすい。
圧縮水素ガス
気体
35MPa
0.0838kg/Nm3
②液体水素スタンドの設備構成(図2)
圧縮水素ガスは蓄圧器(ボンベ)に貯蔵されていますが、液体水素は二重壁から成
る真空断熱機構の貯槽に保管されており、配管も二重管とし真空断熱機構となってい
ます。また、燃料電池自動車への水素充てんにあたっては、圧縮水素ガスの場合、急
激に充てんすると発熱するため、充てん速度を制御する必要があります。これに対し
て、液体水素の場合、充てん時に配管を冷却する必要があります。
図2
液体水素スタンドの設備構成
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4.今後の課題
当センターで実施している水素スタンドの安全性検証の検討内容を踏まえて、水素
スタンド設備の設計・建設を行っていくことで、将来の水素社会を見据えた水素スタ
ンド建設に有効に寄与するものと思われます。
将来の水素スタンド普及にあたっては、現在抱えている課題をできるだけ早く達成
し安全性が担保され、安価に建設できる水素スタンド仕様(自動車への充てん圧力、
形態)を確定することが必要となります。
また、普及時の障害(低コスト化、短納期化、低品質の排除)となる構成部品の調達に
支障を与えないよう国内メーカーでの部品製造も重要な要素になると考えられます。
水素スタンドの構成部品やスタンド全体のシステムとしての信頼性を向上させるた
め、今後、さらに以下の点を追求・検証する必要があります。
1)70MPa充てん対応型水素スタンドの構成機器
蓄圧器、高圧バルブ、圧縮機、流量計、ディスペンサー部品(制御バルブ、過流防止
弁など)等の主要な構成部品の使用条件における安全性の検証を行う必要があります。
2)70MPa充てん対応型水素スタンドにおける水素充てん時のプレクール設備
70MPa充てん対応型水素スタンドの運用において、70MPa水素ガス対応燃料電池
自動車に対して充てん時間をガソリン車並みとするためには急速充てんする必要が
あります。この時、車載タンク内の水素温度が車載タンクの耐熱温度上限を超える
可能性があることから、充てん前に水素ガスを冷却するプレクール設備が必要とな
ることが考えられます。
なお、図3に70MPa水素スタンドにおける技術課題(例示)を示しています。
<蓄圧器材料>
・高強度合金鋼は、耐圧性
能上、問題はないが、耐
水 素 脆 化という点で課
題がある。
・SUS316Lでは肉厚が非
常に厚くなり、製作コスト
が非常に高くなる。
・FRPでは現状、高圧ガス
保安法 特定則では製
作できない。
SUS316L(低炭素ステンレス材料)
FRP(繊維強化プラスチック)
<過流防止弁>
・現状、70MPa対応水素用
の仕様が定まっていない。
<水素漏洩時の影響>
・70MPa対応水素漏洩時の爆発圧力、火炎長さ、水素濃
度1%の到達距離などのデータがない。
<プレクール設備>
・現状、
まだ仕様が定まって
いない。
<流量計>
<緊急離脱カプラー>
・70MPa対応の流量計は市販品(コリオリ)があるが、計測精度及 ・緊急離脱カプラーは開発中であり、市販品がない
びフローチューブ材質の耐水素脆化の点で課題がある。
6
図3
70MPa水素スタンドにおける技術課題(例示)
図4
・単独スタンドにおける
大型改質器と高圧ガ
ス設備との離隔距離
の緩和
4.35/70MPa級
共通
・保安周期の延長
(現行1年)
・液体水素スタンドの
技術基準案策定に
資するデータ収集
3.液体水素受入
型対応規制見
直し
2.70MPa充てん ・70MPa充てんスタン
ドの技術基準案策定
対 応 のための
に資するデータ収集
規制見直し
1.普及期における ・35MPa充てんスタンド
35MPa充てん
の改訂(使用可能材
料の拡大、低コスト化
対 応 のための
のための規制緩和、
規制見直し
安全対策の追加)
5.研究計画について
本研究開発事業は、平成21年度までの予定ですが、図4は、各研究開発分野の概略ス
ケジュールを示しています。
研究開発スケジュール
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1.調査の目的
膜分離技術の石油産業への適用は、製油所における高純度水素の回収装置において既に
実用化されており、また、環境対策として揮発性炭化水素ベーパーの回収設備に使用され
ている例もあります。一方、新しい膜分離技術等の研究開発が、主として燃料電池用水素、
酸素の効率的製造あるいはCO2回収のための技術として進められています。そこで、開発
途上にあるこれらの革新的な膜分離技術等の開発状況を調査して、製油所における省エネ
ルギー、CO2削減対策、環境保全対応の対策として可能性の大きいと思われる新規技術等
のシーズを製油所のニーズに結びつけて、実用化するために石油産業が取り組むべき技術
開発課題を明らかにしました。
2.調査の内容
2.1
水素含有ガスからの水素回収
図1
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水素分離膜の種類
水素透過速度の大きい膜素材を用いて、膜の両側の水素分圧差を駆動力とする水素膜分
離には図1に示すような種類があります。石油精製装置の水素含有オフガスから膜分離によ
って高純度水素を回収し、脱硫反応用の水素源とする省エネルギー対策は、高圧で高水素
濃度の重質油脱硫装置セパレーターオフガスあるいは接触改質装置のオフガスを対象とし
て、有機膜材料を用いて実用化されております。
より低圧で水素濃度の低い軽油脱硫装置セパレーターガスなどから水素を回収すること
は省エネルギー対策として魅力でありますが、現在実用化されている有機膜は硫化水素が
高濃度のサワーガスに対しての耐久性がないため、低圧にして硫化水素を吸収したスイー
トガスから水素を回収することになり再昇圧のための動力が損失として発生します。
製油所向けの膜分離技術の開発課題としては、硫化水素耐久性の向上、透過・分離性能
の向上、支持体の耐圧性向上、高集積化、コスト低減などが挙げられます。
2.2
非平衡型膜分離水素製造装置
図2に示すように、水素分離膜を使用して改質ガスから水素を取り去り、非平衡条件にす
ることによって水素製造を行う反応器が非平衡型膜分離水素製造装置で、改質反応器と水
素純度向上プロセスを統合してシンプルな構造にできるとともに、高純度の水素が高効率
で製造できる有望なプロセスです。有機膜は高温条件においては使用できない制約がある
ため、燃料電池用高純度水素製造の要求に応えるために、高温の非平衡条件のもとでの改
質反応あるいはシフト反応を実現し、水素製造効率を向上する金属膜が生まれました。
パラジウム合金を水素分離膜とした非平衡型膜分離水素製造装置は現在実証化段階にあ
りますが、パラジウムが高価なため必ずしもコスト的に有利な分離技術とはいえません。
そのため、非パラジウム合金膜あるいはセラミックス多孔質膜が開発されており、一部は
膜モジュールも試作されています。経済性および装置規模の面から製油所への適用はまだ
困難ですが、水素透過速度が現在に比べて100倍程度の革新的な水素分離膜が出現すれば分
散型の水素製造装置として利用できる可能性はあります。
図2
水素分離膜を用いた非平衡水素ガス製造
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2.3
酸素分離膜の酸素富化燃焼への適用
図3に示すように、燃焼に用いる空気の酸素濃度を高くする酸素富化燃焼は、製油所の加
熱炉等での効率を向上させる可能性があり、省エネルギーの一手段と考えられます。
酸素ガスの製造法は、深冷分離法(空気液化蒸留法)、あるいはゼオライト系吸着剤
を用いて高圧下での吸着と減圧下での脱離を循環させて濃縮する圧力スウィング吸着
法(PSA)が一般的ですが、有機膜を用いた空気分離と酸素透過膜を組合せて濃縮す
る基礎的な研究も行なわれております。
製油所の加熱炉に酸素富化燃焼を適用する場合のケーススタディの結果からは、消費
する電力エネルギーが、加熱炉効率向上による燃料削減エネルギーを上回り、現状の技
術では魅力は小さいものです。しかし今後CO2排出規制が厳しくなると、高濃度酸素で
燃焼させCO2濃度の高い排気ガスからのCO2の効率的回収を行う手段として有効なもの
となる可能性があります。
図3
2.4
酸素富化燃焼
酸素分離膜を用いた改質反応場への酸素供給
重質油やメタン等から水素を製造する部分酸化反応やオートサーマル反応等には、酸
素が必要となります。空気は最も安価な酸素源ですが、酸素濃度が低く部分酸化装置が
大きくなる等の欠点があります。実用化されている装置は純酸素を使用していますが、
深冷分離などの空気分離装置はやはり大型となります。
最近、図4に示すような、電子・酸素イオン混合導電性セラミック膜等を用いて空気か
ら分離した純酸素をメタン部分酸化等の反応の場へ供給する検討が小型燃料電池などで
の応用を目指して行われています。材料自身が酸素イオン導電性と電子導電性を持って
いる混合導電体と、酸素イオン導電体に金属を混合した複合材料との2種類に大別されま
す。本技術は基礎段階にあるため、製油所に適用する課題を検討するのは将来の問題で
すが、アメリカのDOEプロジェクトでは石炭ガス化複合発電(IGCC)での商業化を目指
した酸素分離膜の検討が行われ、パイロットプラントレベルを想定した検討が行われて
います。
10
図4
2.5
混合導電膜を用いた部分酸化反応場への酸素供給
CO2膜分離回収技術
原油あるいは天然ガス生産時の排出ガスや産業プロセスガスを対象として燃焼ガスか
らCO2を分離回収する技術には、図5に示すような方法がありますが、いずれもコスト
を大幅に削減するための技術開発が不可欠な課題です。膜分離法は吸収法や吸着法など
の他の分離回収法に比べてコスト的に有望となる可能性が大きいと考えられています。
CO2の膜分離法としては有機膜によるCO2分離が検討されてきましたが、最近では配
向性ゼオライト膜やCO2分子ゲート分離膜と呼ばれるCO2のみを透過する膜技術が研究
されています。
CO2分離膜は、将来の実用化を見据えて膜性能の向上およびモジュール化、システム
化技術開発が進められている段階で、製油所に適用できるレベルには至っていません
が、今後も注目に値します。
図5
CO2の各種分離法1)
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2.6
揮発性炭化水素蒸気の膜分離回収技術
揮発性炭化水素蒸気回収用の分離膜は、膜材料として炭化水素蒸気に耐久性のある有機
膜が用いられ、膜に炭化水素が選択的に溶解・拡散することで分離を行います。ガソリン
出荷時に排出される炭化水素を含む空気から炭化水素を回収するなど省エネルギーという
よりも、厳しい炭化水素排出規制のある地域の環境対策設備に利用されていますが、建設
費の面からPSAによる回収設備の方が優位といわれています。
2.7
石油留分の液相分離膜
石油留分の液相分離はいずれも分離膜素材の製法を検討する基礎段階の開発ですが、こ
のなかで比較的研究が進んでいる分野にパーベーパレーションがあります。エタノールの
脱水は、通常共沸蒸留によって行われておりますが、高純度に脱水するにはベンゼン等を
加えた共沸蒸留が一般に行われていますが、図6に示すように、膜の一方を減圧にした分離
膜を介して、水を減圧側に蒸発させるパーベーパレーションがあります。
図6
パーベーパレーション法によるアルコールの高純度脱水2)
有機膜を使用した例では、水蒸気の有機蒸気に対する透過速度比は、エタノールで数百
倍、イソプロパノールで数千倍になり、蒸留法よりも安価との報告もあります。またこの
技術は、ETBE製造装置のリサイクルエタノールからの水分除去にも適用できる可能性があ
ります。また低水分エタノールを原料にすると副生物の生成を抑制して、製品ETBEの収率
を向上させる方法としても膜分離の適用が考えられます。
3.まとめ
技術開発を始めるにあたっては、分離膜の専門家の意見を求めて、さらに広い範囲で分
離膜素材を検討することも必要です。PECでは技術的な観点から広く産業界の橋渡しをす
べく活動を行っております。新規な分離膜の技術開発が広く行われている中で、石油産業
のニーズを発信し、シーズをニーズに結びつける技術開発が成功すれば、製油所の省エネ
ルギーに資する可能性は大きいものがあります。
文献:
1) 山田興一、CO2分離回収技術の研究開発動向、第15回地球環境産業技術動向調査報告会、平成18年1月
2) 宇部興産カタログ、UBE 有機溶剤脱水システム、'03-06 500 SP
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「第5回アジア石油技術シンポジウム開催」
当センター(PEC)および社団法人日本自動車工業会(JAMA)は、自動車技術と燃料品
質の向上および石油精製技術開発によるアセアン地域の大気環境改善を目指して、毎年
「アジア石油技術シンポジウム」を主催しています。今年度は、インドネシア国営石油・ガ
ス研究所LEMIGAS(Research and Development Centre for Oil and Gas Technology)
をアセアン側の共催機関として、2007年1月23日(火)∼25日(木)にかけ、インドネシ
ア・ジャカルタ市にて、
「第5回アジア石油技術シンポジウム ∼燃料の品質改善と技術開
発∼」を開催しました。
2日間にわたるセッションでは、日本およびアセアン各国から自動車燃料の製造から利用
にわたる現状の課題と今後の対応技術について発表がなされ、例年にも増して活発な質疑
応答が行われました。 また、3日目はサイトツアーとして、インドネシア国立研究所
BPPTのバイオ燃料研究施設を見学し、同国の最新の研究成果について紹介頂きました。
今後も、当センターは、燃料製造と利用技術に関して、アセアン諸国と日本の継続的な
技術交流の場を企画し、同地域の大気環境改善に向けた活動を推進すると共に、 わが国の
石油産業の国際競争力強化やビジネス展開に資する技術情報の収集に努めてまいります。
【主な参加者】
(日本側)
(アセアン側)
全97名
PEC、JAMA、在インドネシア日本大使館、豊田中央研究所、新日本石油、
出光興産、ジャパンエナジー、 群馬大学、 国際協力銀行
タイ(資源環境省、PTT公社)
、 マレーシア(ペトロナス)
、シンガポー
ル(シンガポール石油、南洋大学)
、フィリピン(エネルギー省、石油協
会)、インドネシア(エネルギー鉱物資源省、技術評価応用庁、LEMIGAS、プルタミナ、インドネシア自動車工業会(GAIKINDO)他)
【概要】
シンポジウムは、プレナリーセッション、自動車/燃料品質WGセッション、石油精製
WGセッションの3部構成とし、日本側より8件、アセアン側より15件の計23件の発表※が
ありました。
アセアンおよび日本の発表者全員写真
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2007.3
①プレナリーセッション アセアンの代表として、インドネシアのDr.Evita H.Legowo(エネルギー鉱物資源省)か
ら石油および代替エネルギー政策について、また、Ms.Mingquan Wichayarangsaridh(タイ
資源環境省)からは同国の大気改善に向けた自動車燃料品質向上と代替燃料政策について
発表が行われました。
日本側からは、引き続き行われるWGセッションに関する総括報告として、JAMA(トヨ
タ)茂木氏から世界の自動車燃料規格動向とバイオ燃料の品質課題について、新日本石油
の畑中氏からは日本におけるクリーン燃料製造技術の開発経緯について自社の脱硫触媒開
発と実用化を例に発表が行われました。
②自動車/燃料品質WGセッション
このセッションでは、燃料政策、品
質規格、自動車エミッションの話題に
ついて、13件の発表が行われました。
代替燃料、中でもバイオ燃料(バイオ
エタノール、バイオディーゼル)に関
する発表が中心となりました。質疑応
答も活発に行われ、バイオ燃料の補助
税制にまで質問がおよび、各国の関心
の高さが伺われました。
各国の政策、技術情報に皆さん熱心に聞き入っていました。
③石油精製技術WGセッション
このセッションでは、日本側から低硫黄化などの環境対応型自動車燃料製造に向けた
製油所での取り組み事例が紹介されました。また、本シンポジウムに初参加となるシン
ガポール石油やプルタミナからも環境改善に向けた今後の高品質燃料製造の取り組みに関
する発表があり、計6件の興味深いセッションとなりました。
各国よりトップクラスの技術者が出席されました。
どのセッションも活発な質疑応答が行われました。
なお、次回第6回アジア石油技術シンポジウムは、2008年1月にフィリピンでの開催を
予定しています。
※各国からの発表資料はPECホームページ(What's New)で公開中です。
14
市原水素ステーション開所式
平成18年12月4日から千葉県市原市において、日本初の給油所併設型水素ステーション
「市原水素ステーション」の運用を開始しました。
この水素ステーションは独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)が実施する「水素社会構築共通基盤整備事業」のうち、財団法人 石油産業活
性化センター他が受託している「水素インフラに関する安全技術研究」の一環として運
用されるものです。
市原水素ステーションは、併設型水素ステー
「市原水素ステーション」概要
ションの先駆けとして、石油業界における将来
(1)水素製造方式:水蒸気改質
の水素社会に向けた事業展開モデルとして期待
(2)水素製造能力:50Nm3/時間
されております。
本ステーションは、新法令を準拠した仕様で
(3)水素充填能力:高圧充填
(25MPa及び35MPa)
建設されており、ここでの実証データの取得・
評価を通して、併設型水素ステーションの安全
(4)連続充填能力:乗用車5台また
はバス1台
性検証を行います。
注:消防法の規定で併設型水素ステーションでは、まだRX-8(手前の車)に給ガスできません。
15
Japan Petroleum Energy Center
財団法人
石油産業活性化センター
ホームページアドレス http://www.pecj.or.jp/
本 部 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4丁目3番9号
住友新虎ノ門ビル
●総務部 TEL・東京03
(5402)
8500 FAX・東京03
(5402)
8511
●企画調査部 TEL・東京03
(5402)
8502 FAX・東京03
(5402)
8512
●技術企画部 TEL・東京03
(5402)
8503 FAX・東京03
(5402)
8520
●JCAP推進部 TEL・東京03
(5402)
8505 FAX・東京03
(5402)
8520
●新燃料部 TEL・東京03
(5402)
8506 FAX・東京03
(5402)
8512
○水素利用推進室 TEL・東京03
(5402)
8513 FAX・東京03
(5402)
8527
(5402)
8506 FAX・東京03
(5402)
8512
○バイオ燃料評価研究室 TEL・東京03
●統計解析部 TEL・東京03
(5402)
8507 FAX・東京03
(5402)
8514
○解析室 TEL・東京03
(5402)
8515 FAX・東京03
(5402)
8529
●石油情報プラザ TEL・東京03
(5402)
8508 FAX・東京03
(5402)
8511
石油基盤技術研究所
〒267-0056 千葉県千葉市緑区大野台1丁目4番10号
TEL:043
(295)
2233
(代) FAX:043
(295)
2250
米国長期出張員事務所(ジェトロ共同事務所)
Petroleum Energy Department JETRO Chicago 1 E. Wacker Dr., Suite 600 Chicago,
IL 60601, USA
TEL:+1-312- 832-6000 FAX:+1-312- 832-6066
欧州長期出張員事務所(ジェトロ共同事務所)
Brussels Representative Office Rue d'Arlon 69 - 71, Box2, 1040 Brussels - BELGIUM
TEL:+32-2-282-0500 FAX:+32-2-280-2530
至ホテルオークラ別館
(財)石油産業
活性化センター
住友新虎ノ門ビル
至飯倉・三田
みずほ銀行
地下鉄・日比谷線「神谷町」駅
神
谷
りそな銀行 町
交
差
点
16
【交通機関】
地下鉄・日比谷線
「神谷町」下車、徒歩3分
至虎ノ門・霞ヶ関
桜田通り
●:地下鉄出入口
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