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仕様書(PDF形式:209KB)

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仕様書(PDF形式:209KB)
仕様書
1.事業名
平成27年度発電用原子炉等安全対策高度化技術基盤整備事業(原子炉圧力容器及び炉
内構造物の照射影響評価手法の高度化)
2.事業目的
東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、平成26年4月に閣議決定されたエネル
ギー基本計画では、過酷事故対策を含めた軽水炉の安全性向上に資する技術や信頼性・効
率性を高める技術等の開発、高いレベルの原子力技術・人材の維持・発展等が必要である
とされた。これを踏まえ、平成26年8月、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分
科会原子力小委員会の下に「自主的安全性向上・技術・人材ワーキンググループ」が設置
され、平成27年6月16日、国、事業者、メーカー、研究機関、学会等関係者間の役割
が明確化された軽水炉安全技術・人材ロードマップが取りまとめられた。同ロードマップ
においては、高経年化評価手法・対策技術の高度化に係る取組の重要性が指摘されている。
また、平成24年4月の日米首脳会談で両国首脳の主導により設置された民生用原子力
協力に関する日米二国間委員会の下の民生用原子力研究開発ワーキンググループにおいて
は、軽水炉に係る日米の研究開発協力が進められているが、高経年化評価手法・対策技術
の高度化に係る取組は、同ワーキンググループにおける日米の研究開発協力の観点からも
重要である。
軽水炉の安全性向上に当たっては、放射性物質の閉じ込め機能と炉心冷却機能を担保す
る原子炉圧力容器と、炉心支持機能や制御棒の挿入による反応停止機能及び炉心冷却機能
を担保する炉内構造物の構造健全性を確保することが、軽水炉の事故発生リスクの低減の
観点から重要である。軽水炉の運転期間においては、中性子照射により、低合金鋼製の原
子炉圧力容器の脆化(照射脆化)や、ステンレス鋼を主要材料とする炉内構造物の破壊靱
性の低下、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)
、ボイドスウェリング等の経年劣化が進展
することが知られている。原子炉圧力容器及び炉内構造物の照射影響評価手法を高度化し、
その管理方法を継続的に改善していくことは、既設軽水炉の更なる安全性向上に繋がる。
原子炉圧力容器については、現在照射脆化予測式と監視試験片を用いた健全性評価が行
われているが、廃炉材等の実機プラントで中性子照射を受けた材料の評価による既存の評
価手法の妥当性の評価や、破壊靭性を直接的に評価することのできる手法の高度化等に取
り組むことは、原子炉圧力容器の健全性評価手法の高度化に繋がる。
炉内構造物に使用されているステンレス鋼の照射影響については、国内外の研究機関等
において研究が実施されてきたが、機械的特性の評価が中心であり、ステンレス鋼の照射
影響をより正確に評価するためには、破壊靱性の低下等の機械的性質の変化の原因となる
ミクロ組織変化のモデル化や、その機械的性質との相関の評価に取り組む必要がある。
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このような周辺状況を踏まえ、本事業では、原子炉圧力容器及び炉内構造物の照射影響
評価手法の高度化のために必要となる実験、解析、調査等に取り組む。
3.事業内容・実施方法
(1)原子炉圧力容器の照射脆化評価手法の高度化
①照射脆化の圧力容器板厚方向減衰の評価
原子炉圧力容器は原子炉内の核燃料からの中性子の照射を受けるため、原子炉圧力容器
の内側から外側に行くにしたがって中性子の照射量が減り、それに伴い脆化量も減少する
(板厚方向減衰)
。板厚方向減衰については、指数関数的な減衰モデルが日米規格の照射脆
化予測評価において採用され、既存軽水炉の脆化量の予測に利用されているが、実機プラ
ントの原子炉圧力容器鋼材を用いた板厚方向減衰モデルの検証は行われていない。また、
原子炉圧力容器は製造時においても板厚方向に機械的特性の分布を有しており、脆化量の
板厚方向減衰と製造時の機械的特性の重ね合わせの効果を検証することが、原子炉圧力容
器の健全性評価の信頼性を高める上で重要である。
このため、資源エネルギー庁と協議の上、海外において廃炉になった原子炉圧力容器若
しくは国内外の研究機関等で用いられている代表的な実機相当材から板厚方向の各位置か
ら試験片を採取して分析を実施する。この結果を板厚方向減衰モデルや既存の実験結果等
と比較することにより、現行の評価手法の妥当性について検討する。また、今後の研究計
画をとりまとめるとともに、必要に応じて、国内外の有識者からなる検討会を開催し、研
究成果及び今後の研究計画の評価を実施する。
より詳細な調査・検討・研究等が必要となる場合には、専門性を有する調査機関・研究
機関等へ再委託することを妨げない。
②原子炉圧力容器の照射脆化の監視方法の高度化
原子炉圧力容器の健全性を評価する監視試験においては、原子炉圧力容器と同一の鋼材
から加工した試験片(監視試験片)を封入した監視試験カプセルを原子炉圧力容器内部に
装荷し、ここから監視試験片を定期的にとり出して材料試験を実施する。現在、監視試験
片を破壊するのに必要なエネルギーから間接的に破壊靭性値を評価するシャルピー衝撃試
験法が利用されているが、既設軽水炉の運転期間の長期化に伴い、シャルピー衝撃試験法
に加えて少量の監視試験片から破壊靭性値を直接的に評価するための技術を確立すること
が構造健全性評価の信頼性を高める上で重要になる。
このため、資源エネルギー庁と協議の上、中性子照射を受けた原子炉圧力容器の破壊靭
性を小型の試験片を用いて直接的に評価することのできる手法について検討するとともに、
その評価手法を利用してシャルピー衝撃試験片の破断材から破壊靭性値を測定する。この
結果を破壊靱性に関する既存の試験結果等と比較することにより、利用した評価手法の妥
当性について検討する。また、今後の研究計画を取りまとめるとともに、必要に応じて、
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国内外の有識者からなる検討会を開催し、研究成果及び今後の研究計画の評価を実施する。
より詳細な調査・検討・研究等が必要となる場合には、専門性を有する調査機関・研究
機関等へ再委託することを妨げない。
(2)ステンレス鋼の照射影響の定量化
中性子照射を受けたステンレス鋼のミクロ組織変化に関する照射条件や鋼材の違い等を
考慮したモデルの開発と、機械的性質の変化とミクロ組織変化の相関を得ることが重要で
ある。このため、中性子照射を受けたステンレス鋼のミクロ組織変化を定量的に評価する
ための手法について検討するとともに、適切な評価手法を利用した分析を実施する。この
結果を用いて、照射条件や鋼材の違い等を考慮したステンレス鋼のミクロ組織変化のモデ
ル化や、機械的性質の変化とミクロ組織変化の相関の評価に向けた研究開発課題の抽出・
検討を実施する。また、今後の研究計画を取りまとめるとともに、必要に応じて、国内外
の有識者からなる検討会を開催し、研究成果及び今後の研究計画の評価を実施する。
より詳細な調査・検討・研究等が必要となる場合には、専門性を有する調査機関・研究
機関等へ再委託することを妨げない。
4.報告及び事業報告書等の作成
3の結果について、資源エネルギー庁に対して定期的に報告を行う(月に1回程度)ほ
か、状況に応じた報告を適宜行った上で、結果を報告書として取りまとめて提出すること。
なお、報告内容の原文が外国語である場合には、当該内容の和訳を添付すること。
5.事業期間
委託契約締結日から平成28年3月31日まで
6.納入物
事業報告書電子媒体(CD-R等) 1枚
7.納入場所
資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課
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