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1/5 第5節 「一般流通での自然食品市場」 山口 それすごく大事なことだと

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1/5 第5節 「一般流通での自然食品市場」 山口 それすごく大事なことだと
第5節 「一般流通での自然食品市場」
山口
それすごく大事なことだと思いますね。身近な話で申し訳ないんですけど、正食協
会で料理教室をやっていますが、同じビルにムスビガーデンというムソーの直営店がある
んですけど、料理教室で習ったお店のスタッフはあきらかにお客様の対応が変ってきます。
今まで、質問されるのが嫌で腰が引けていたのが、積極的に関わるようになります。天と
地の差がありますね。料理法から味からかなりの説明できるわけですから大きいです。
元気なお店というと、何年か前ですが札幌にある「まほろば」さんというお店が、面白い
なと思いました。社長の宮下周平さんが開発したエリクサーという浄水器があるんですが、
それが店の中央に設置されていて、その水を近所の人たちが、容器を持って汲みに来てい
るんです。山の湧き水を汲みに来るような感じで、衝撃的でした。もちろん商品アイテム
も多いし、有機の農場ももっておられて新鮮な野菜も販売されていて、賑わっていました
が、あのシーンは面白かったですね。
スーパーの話が出ましたが、そういうところで自然食品やオーガニックの商品が販売さ
れているということなんですけど、自然食と一般流通との棲み分けというか、市場はどの
ような状況になっているのでしょうか。セルフの売り場で自然食品が売れるのでしょうか。
勝又
直接的にはあまり関係ないかもしれませんが、さきほど専門店の後継者の問題が出
ました。
当社の場合、小売店や生産者の二代目だとか、三代目を対象に研修制度を設けています。
グループ会社である、オーサワジャパンと普及啓蒙する日本 CI 協会と、店舗販売を行って
いるリマコーポレーションと、それぞれ 1 年間勤務してもらうんですよ。これは月給 15 万
しか払わないんですが、過去 30 年間ほどずっとやってきた中で、この 5、6 年が、応募者
がものすごく増えました。
3 つの会社で 3 年間勉強しますと、お店がどういうものか学びますし、問屋の流通もどう
いうものか学びますし、CI 協会でマクロビオティックの勉強をすることもできます。それ
までは取引先という関係しかないですけど、そういう経験をすることで、問屋が提案した
企画をそのままやるのではなく、お店独自の企画を作っていくという店舗がぽつぽつ出て
きました。やはりそういうお店が元気です。
今おっしゃっていたセルフの件ですが、あるデパートなんかはオーガニックの商品は一
通り置いてありますし、某宅配業者の野菜が置いてあったりします。しかしそのセルフの
世界では分かっている人が買うだけだと思います。専門店に行けば、ソフトがまだまだあ
ります。例えば、この時期はこういう野菜をこういう調理法で食べたらいいよ、というよ
うな指導や知識がこれから先どんどん重要になってくるんじゃないかなと思っています。
その専門知識をどう学んでいくか。その方が自分でアンテナを張って探していくのでし
ょうけど、もし無理な部分があれば、例えば業界団体である全健協であったり、正食協会
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さんでは「むすび」という雑誌がありますし、当社では「マクロビオティック」という雑
誌があって、その中には季節に応じたレシピや話題が載っていますので活用できます。そ
ういったものもソフトだと思います。そういう必要情報を私たちが提供していくことで、
専門店というのは、まだまだ活躍の場が広がると思っています。
また、食育がだいぶ一般的になってきましたけど、これまでは、じゃあ食育で何かやろ
うかとなった場合、なかなかそれを子どもたちに伝える場がなかったりしたのです。そう
いう時にお店が、そこに絡んで何か提案するということも少しずつ出てきています。実際、
去年、静岡の三島で、食育推進全国大会があって、マクロビオティックをテーマにしたワ
ークショップも実施されているんですね。そういうことも出てきています。
杢谷
岡田さん、アメリカのホールフーズなんかはセルフの店ですよね、どうやってマー
ケット、市場開拓をしているんでしょう。
岡田
個人的な感想にはなってしまいますけど、先ほどから出ている専門店と一般のスー
パーというか量販店の違いというのは確実にあると思うんですね。勝又社長がおっしゃっ
たソフトの部分なくしてこの業界というのはある意味がないのかなと思います。私どもは
オーガニックという付加価値をつけて一般の食品より高いものを売っている販売業者なん
ですけど、その価値が正しく販売店さん、さらにはその先の消費者さんに伝わっているん
だろうか、と常々疑問に感じます。私ども販売会社、もしくはメーカーであれば製造業者、
販売店も含めてでしょうけど、業界一丸となってもう少しソフトの面、正しい情報、なぜ
それを選ぶのかというところまでを伝えていかなければ、スーパーとの差別化というのは
難しいのではなかろうかと思います。そういう意味では専門店のありようというのはある
のかなと思っているんですけど。
杢谷社長の質問に関しては、完全にホールフーズはスーパーです。日本の小さなスーパ
ーと比べたら大きいくらいです。扱っている商品はオーガニックと自然食品に特化したも
ので、セルフだけどなんで売れているんだとなるわけですけど、実はホールフーズという
のはアメリカのスーパーマーケットの中でも、1 平方メートルあたりの売り上げ面積高がも
っとも高いとされている、いわゆる超高級店なんですね。
日本でなぜあのようなスーパーが出てこないんだ、もしくはどこかの企業があの業態を
出した時に成功するのかという疑問が業界の中で出るんですけど、例えばアメリカのオー
ガニック市場は約 3 兆円弱、EU においても 3.5 兆円ぐらいの規模まで伸びています。日本
においてはオーガニックだけで言うと 2000 億とか 4000 億とか、定まらない数字の議論が
ありますけど、間違いなく 10 分の 1 以下なんですね。
その背景に国や地域の中に根付いているバックボーンが日本と異なるのかなと。ぼく個
人の意見ですけど、農業の問題が大きくあるのかなという気がしています。オーガニック
の先進国であるアメリカやドイツ、イタリア、スペイン、フランスなんていう国は、農業
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の自給率が皆 100%近い、もしくは 100%超えているんですね。いわゆる消費生活を送る人
たちと農業に従事する人たちの距離感が非常に近い。だからおのずとオーガニックを選ぶ
という感覚があると思います。
加えてもう一つベースになる食文化の違い。日本食というのは本当に繊細でレパートリ
ーが豊富です。和食と言っても、煮物、焚き物、蒸し物、焼き物、炒め物、生でいただく
もの、創作的なものまで入れるとさらにジャンルが広いんですけど、海外は意外と料理し
ない文化なんですね。食が粗悪というと語弊があるかもしれませんけど、アメリカであれ
ばマクドナルドなどのファストフードであったり、肉食過多であったりして 8 割の国民が
メタボリックである環境。そういう人たちの健康意識というのが、そういう店に足を向か
せるというのがあるのかなと思います。お店の自己主張がはっきりしているというのもあ
りますし、お国柄と食文化の違いと、農業事情のバックボーンが日本と大きく異なるのか
なという気がします。
山口
セルフの販売店ということでは、ぼくが東京に出た時によくナチュラルハウス青山
店に行くんですが、オーラが出ていて元気なんです。たぶん売れていると思います。あそ
こが元気なうちは業界も大丈夫かなという気がします。近くのクレヨンハウスも続いてい
ますよね。その二つを見て安心している部分はあります。
引き続き岡田さんにお聞きします。オーガニックの将来性についてなんですが、私ども
が発行している雑誌「むすび」で、グループ会社であるむそう商事を取材して特集を組み
ました。オーガニック&マクロの世界事情を長時間お話をお聞きすると、うらやましいくら
い活気があって、日本との違いは何だろうと思うわけです。そんな中で、ドイツで毎年開
催されているビオファというオーガニックの展示会の規模が半端じゃないということも含
めて、お話いただけますでしょうか。
岡田
日本でも毎年秋に東京でビオファの展示会がありますが、ヨーロッパに比べるとこ
じんまりした規模ですね。ヨーロッパのビオファはドイツのニュルンベルグで長い歴史を
持っています。ビオの名のごとく、オーガニックの認定商品以外は出してはだめだよとい
う定義の中で開催されているんですけど、出展業者数は例年 2500 社以上で、農産物、コス
メやコットンなども一部ありますが、食品が圧倒的で 7 割ぐらい占めています。
何度か行かせてもらっていますけど、初めて行った時はマーケット規模の違いに唖然と
したというのが第一の感想です。ビオというテーマで展示会を開くと、もちろんドイツだ
けではなくイギリスもフランスも皆来ていますが、それだけのものが一同に集まることに
驚きました。FOODEX が開催されている千葉の幕張メッセの会場 8 ホール全部がオーガニ
ックというイメージです。
山口
テーマ的には健康自然食業界の展望というものに移ってきているんですけど、自然
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食品という曖昧な言葉ではなく、オーガニック、有機という分かりやすい言葉で出てきま
した。2000 年に有機認証制度がスタートしまして、沢山の企業が参入されたんですけど、
しばらくして潮が引くように引いていって、いまひとつ火がつかない状況です。日本の有
機農産物も全ての農産物に対する割合が 0.18%ぐらいの流通しかない、ということです。
有機農産物、有機食品がもっと勢いがついて市場を席巻するのかなと思ったんですがそう
でもなかった。なぜ日本ではだめなんですかね、杢谷さんいかがでしょう。
杢谷
ことさら有機とはいわなくてもナチュラルな生活ができる日本という幸せな部分が
あると思うんですね。近所の八百屋さんで野菜を買って、豆腐屋さんで豆腐を買って、魚
屋さんで魚を買って焼いて食えば、かなりパーフェクトに近いナチュラルで健康的な食生
活が送れるというのもありますね。話はちょっと変わりますけど、有機野菜の宅配会社の
らでぃっしゅぼーやさんを、NTT ドコモさんが買収された件について、お話を聞かせて欲
しいのですが、中村さんお願いします。
中村
私の意見としてしか言えませんが、ドコモさんはこれから俗に言うスマホ端末を売
っていくのに、強敵は iPhon だと思うんですよ。今 iPhon のほうが人気があるのはなぜか
というとコンテンツがまだ iPhon のほうが充実していて、ドコモとしてはスマホや iPad の
ようなタブレット版の分野を普及させていくのにコンテンツを充実させていく中で、食品
のオーガニックとかこだわりとかナチュラル系の通販にたぶん目をつけたんだろうなと。
実はらでぃっしゅぼーやさんというのは、あるファンド会社がほとんど株式をお持ちにな
っていらっしゃいましたから、いつかはどこかに売りたかったわけで、売りたかったファ
ンド会社と、そういうコンテンツを欲しがっていたドコモさんの利害関係が一致して、今
回の売り買いが成立したのかなと思っています。
そこにもう一つローソンさんの思惑があって、大阪にはナチュラルローソンはないそう
ですが、東京近郊にはナチュラルローソンは 90 店舗ぐらいあるんです。看板は通常のロー
ソンとは違っていて小豆色の看板を掲げて展開していて、ローソンさんはこれからイメー
ジを変えていこうと考えておられるのではと思います。競争が大変ですから。
私はローソンさんの CM を面白いなと見ているんですが、
「コンビニのパンと牛乳なんて
どこへ行ったって同じでしょ」ってあるのご存知ですよね。直立不動のおじさんが「いえ、
違います」と一生懸命言っていますよね。あの方は全国の店長さんを束ねている店長さん
という肩書きを持つローソンさんの社員の方だそうです。イメージを変えていこうと考え
てらっしゃるんだと思うんです。そんな中で目をつけたのが、オーガニックだとかナチュ
ラルなものが、彼らからすると光り輝く虹色の世界に見えているのではないかなと思いま
す。確かに私たちのやりようによっては光り輝く虹色の世界なんです。決して斜陽じゃあ
りませんし、まだまだ広がっていくと思います。
よく私は例として話すんですけど、地元横浜の百貨店の地下の食品売り場で、直営店を
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やらせていただいているんですけど、その百貨店の地下の売り場にお見えになるお客様の
うちの実に 1%、100 人に 1 人か 2 人しかうちのレジ通っていないんですよ。ということは
逆に言うと、100 人のうち 98 人は我々のやっていることに興味がない、全く知らない人だ
から、まだまだビジネスチャンスは一杯あると私は言っているんです。おそらくそういう
ところに彼らも目を向けてきているんだろうなと思います。我々にとってはこういうメジ
ャーな企業が目を向けてこういうことをやってくれると、我々のほうにも目を向けてもら
えますから、非常に有り難いというのはあります。でも、やりました、始めました、でも
思っているほど儲からなかったと言って、ぐちゃぐちゃに踏み荒らされて「やーめた」と
言って出ていかれるのがちょっと怖いです。そういう意味では、正直な話、彼らが入って
きて我々にとって吉として出るのか凶と出るのか、まだ五分五分でちょっと分からないな
というのことを、私の周りの皆さんにお話しているんですけど。
杢谷
今、宅配の話がありましたけど、会場に大阪愛農センターさんいらっしゃいます?
宅配事業が伸びていて元気な会社です。
大阪愛農 トラック 5 台で 1200 人規模の宅配事業をしております。宅配の会員さんという
のが去年以降急に増えていまして、それを支えるシステムが対応できずに、てんてこまい
の状況です。
杢谷
システムが追いつかないくらいマーケットがあるということですね。愛農さんは、
宅配でお客様とフェイストゥフェイスのコミュニケーションをとってらっしゃる、あるい
は会員様への情報紙の配布、店頭と同じような機能を持っていて、さらに配達してくれる。
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