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専 門 職 学 位 論 文 - DSpace at Waseda University

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専 門 職 学 位 論 文 - DSpace at Waseda University
2 0 1 0 年 度 ( 3 月 修 了 )
早稲田大学大学院商学研究科
専
門
職
学
題
位
論
文
目
B to B 企業のブランディングにおけるデザイン性の影響
~人材市場に対する効果からのアプローチ~
プ ロ ジ ェ ク ト 研 究
マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 研 究
指 導 教 員
恩 蔵
35092752-3
学 籍 番 号
氏
直 人
名
山 崎 奈 保
1
概要書
問題の所在と本研究の意義
本論文は 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響 」 について 、 実験式
の調査を 用いた仮説検証型の実証研究を 通じ 分析を 行っ てい る 。 本論文では B to B 企業の
ブ ラ ンデ ィ ン グの中で も 特に 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性 」 の関
係に注目し 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企業
の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではないか 。 」 と い う 課題に取組む こ と
で 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し よ う
と 試みてい る 。
本論文で 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響 」 について研究を 行
お う と 考え たのは 、 1 つには私自身が段ボール と い う 生産財の象徴の よ う な製品を 製造す
る B to B の企業に勤めてい る こ と 、 そ し て も う 1 つは美術大学でデザ イ ン を 学んだ と い う
経験を 生かす こ と がで き ないか と 考え た こ と が理由であ る 。 こ の 2 つの特徴を 生か し 、
「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ 」 について 「 デザ イ ン 」 の視点か ら 研究を 行 う こ と で 、
B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの研究に新し い切 り 口を 提供で き る のではないか と 考え た 。
こ れま でに も 、 B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究 、 B to C ( 消費
財 ) 市場のブ ラ ン ド 要素に関する 研究 、 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究 、
では様々な も のが行われてい る 。 し か し 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン
ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではない
か 。 」 と い う こ と については 、 ケ ン ウ ッ ド のCI再編や B to B の企業であ る 村田製作所のブ
ラ ンデ ィ ン グの事例の よ う に 、 事例と し ては存在し て も 研究に よ っ て明ら かに さ れた こ と
はなかっ た 。 そ こ で 、 本論文では B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効
果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性 」 の関係に注目し て研究を 行 う こ と で 、 「 B to B 企業のブ
ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ
ン グの研究に新し い切 り 口を 提供する 。
本論文は 5 つの章か ら 構成さ れてい る 。 序章では 、 本研究をする に至っ た問題意識や本
論文の構成を 紹介し てい る 。 第 1 章では 、 B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す
る 研究 、 B to C ( 消費財 ) 市場のブ ラ ン ド 要素に関する 研究 、 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド
2
の効果に関する 研究 、 人材市場へ企業のブ ラ ンデ ィ ン グが好影響を 与え た事例 、 について
先行研究の調査を 行い本論文の位置づけの確認を 行っ てい る 。 第 2 章では 、 先行研究を も
と に本研究の調査仮説の設定及び調査方法の設計を 行っ てい る 。 第 3 章では 、 調査票作成
のための予備調査及び調査票の設計について紹介し てい る 。 第 4 章では 、 調査の実施概要
及び仮説の検証結果を 紹介し てい る 。 終章では 、 本研究か ら 得ら れ る 実務への イ ンプ リ ケ
ーシ ョ ン 及び本研究の限界 、 さ ら に今後の課題について考察を 行っ てい る 。
調査概要と実務へのインプリケーション
本調査は2010年の 7 月16日に 、 私立の 4 年制大学でマーケテ ィ ン グ を 専攻する 学生を 対
象に実施し た 。 調査対象の学生は就職活動を こ れか ら 行 う 、 ま たは現在行っ てい る 、 も し
く は行っ ていた大学 2 年生か ら 4 年生学生 195 名で 、 178 の有効回答を 得た 。
調査は 「 人材市場に対する 効果 」 の具体的なシーン と し て企業の採用活動に焦点を 当
て 、 企業を 象徴する ブ ラ ン ド 要素 と し て 「 ロ ゴマー ク 」 を 設定し 、 「 企業の ロ ゴマー ク の
デザ イ ン 性 」 を 説明変数に 、 学生の企業に対する 就職活動の意向や意欲の評価を 被説明変
数に設定し て調査を 行 う こ と で 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影
響 」 を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。
本論文では 「 ロ ゴマー ク の有無 」 や 「 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低 」 が学生の評価に
影響を 与え る のではないかな ど 合計で11個の仮説を 設定し てい る 。 仮説検証の結果 、 ロ ゴ
マー ク を 有し ていない企業よ り も 有し てい る 企業の方が 、 学生か ら 就職活動の意向や意欲
について 総じ て高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性
が低い企業よ り も 高い企業の方が 、 ロ ゴマー ク が企業の特性を 表現し ていない企業よ り も
表現し てい る 企業の方が 、 同様に学生か ら 高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に
ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 就職活動の意向や意欲の間には 、 強い正の相関がみ ら れた 。 ま
た ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が学生の就職活動の意向や意欲の評価に与え る 影響は 、 男性よ
り も 女性の方が強い こ と も 明ら か と な っ た 。
本研究の結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの人材市場への効果では 、 ブ ラ ン ド の 「 デ
ザ イ ン 」 が重要な影響を 与え てい る こ と が明ら か と な っ た 。 つま り 本研究の結果は 、
B to B の企業であ っ て も ブ ラ ン ド を 構築する 際には 、 ロ ゴマー ク をは じ め と する ブ ラ ン ド
の 「 デザ イ ン 」 について 、 慎重に検討する 必要があ る こ と を 示唆し てい る 。
一方で本研究の限界と し ては 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効
3
果 」 のみに注目し てお り 、 「 営業活動に対する 効果 」 については取 り 上げていない点や 、
ブ ラ ン ド 要素を 「 ロ ゴマー ク 」 のみに限定し てい る 点 、 ま たプ ロ モーシ ョ ンや広告活動な
ど のブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン と 組み合わせた場合の影響については検証し ていない
点 、 デザ イ ン 性の影響を 同業種 ・ 同規模の企業で比較し てい る 点 、 な ど を 挙げ る こ と がで
き る 。 今後の課題と し ては 、 上記の限界を 踏ま え てブ ラ ン ド のデザ イ ン 性の営業活動に対
する 効果や 、 ロ ゴマー ク 以外のブ ラ ン ド 要素での検証 、 ブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン を
組合せた場合の効果 、 な ど についての研究の可能性が考え ら れ る 。
上記の よ う な限界はあ る も のの 、 本研究の結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る
デザ イ ンの重要性について明ら かにで き た こ と は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの研究に
「 デザ イ ン 」 と い う 新し い切 り 口を 与え る も の と し て 、 研究の発展に貢献で き た と 考え
る。
4
目次
序章
第 1 節 本研究の背景と 目的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7
第 1 項 問題の所在
第 2 項 研究の概要と 意義
第 3 項 論文の構成
第 2 節 用語の整理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10
第 1 項 企業間取引に関する 用語
第 2 項 略称の表記方法
第 3 項 ブ ラ ン ド 要素に関する 用語
第 1 章 研究の背景と 本論文の位置づけ
第 1 節 先行文献の調査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 15
第1 項
B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究
第2 項
B to C ( 消費財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究
第 3 項 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究
第 2 節 企業のブ ラ ンデ ィ ン グが人材市場へ好影響を 与え た事例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 28
第1 項
ケ ン ウ ッ ド のCI再編
第 2 項 村田製作所のブ ラ ンデ ィ ン グ
第 2 章 仮説と 調査方法の設計
第 1 節 仮説の設定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 34
第1 項
ロ ゴマー ク の性質の違いに よ る 影響
第 2 項 企業の性質の違いに よ る 影響
第 3 項 調査対象の属性の違いに よ る 影響
第 2 節 調査方法の設計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 39
第 1 項 調査の目的と 調査方法
第 2 項 調査対象と 調査に使用する 業界の設定
第 3 項 ブ ラ ン ド を 象徴する 要素の設定
5
第 3 章 予備調査及び調査票の作成
第 1 節 予備調査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 44
第 1 項 予備調査 ( 1 )
学生が就職活動時に重視する 企業情報
第 2 項 予備調査 ( 2 )
就職活動で重視する 企業イ メ ージ
第 3 項 予備調査 ( 3 )
ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の確認
第 2 節 調査票の作成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 47
第 1 項 調査票の作成及び調査実施時におけ る 配慮点
第 2 項 質問項目
第 3 項 調査票の構成
第4 項
ロ ゴマー ク の作成におけ る 色や形の設定
第 4 章 本調査の実施と 分析結果
第 1 節 本調査の実施 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 54
第 1 項 本調査の実施概要
第 2 節 分析結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 55
第 1 項 母集団の当分散性の確認
第 2 項 分析に使用する 説明変数と 被説明変数
第 3 項 仮説の検証結果
終章
第 1 節 研究のむすび ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 76
第 1 項 本研究か ら 得ら れ る イ ンプ リ ケーシ ョ ン
第 2 項 本研究の限界
第 3 項 今後の課題
謝辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 82
参考文献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 83
付録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 88
6
序章
第1 節 本研究の背景と目的
第1 項 問題の所在
本論文は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデ
ザ イ ン 性 」 の関係に注目する こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド
のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではないか 。 」
と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かに し よ う と 試
みてい る 。 私が今回こ のテーマについて研究し よ う と 考え たのは 、 「 B to B 企業のブ ラ ン
デ ィ ン グ 」 と 「 デザ イ ン 」 の 2 つについて実務や経験を 通じ 興味を 持つ よ う にな っ たか ら
だ。
1 つ目の 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ 」 について興味を 持つよ う にな っ たのは 、 私自
身が B to B の 、 それ も 段ボール と い う 生産財の象徴の よ う な製品を 製造する 企業に勤めて
お り 、 段ボールをは じ め と する 包装資材の よ う に コ モデ ィ テ ィ 化し た製品を 扱 う 生産財 メ
ーカーが陥っ てい る 「 低利益率の業界体質 」 に危機感を 感じ る よ う にな っ たか ら であ る 。
特に 、 私が勤務する 大手包装資材 メ ーカーの主幹製品であ る 段ボールは 、 品質の差がほ
と んど な く 、 各社の品ぞろ え も 拮抗し 、 供給量が飽和状態に達し てい る な ど 、 ま さ に 「 企
業間の技術的水準が次第に同質と な り 、 供給さ れ る 製品やサービ ス の本質的部分での差別
化が困難で 、 顧客側か ら はほ と んど 違いを 見出す こ と がで き ない 。 」 ( 恩藏 2007 ) が示
す よ う な 、 コ モデ ィ テ ィ と し ての特徴を 備え た製品であ る 。 結果と し て段ボール業界は常
に熾烈な価格競争に さ ら さ れ る 厳し い業界と な り 、 業界全体が低利益率の体質と な っ てい
る 。 さ ら に最近では環境意識の高ま り や容器包装 リ サ イ ク ル法の改正の影響等を 受け 、 段
ボールな ど の包装資材の使用を で き る 限 り 削減し よ う と する 風潮が益々強ま っ てお り 、 包
装資材市場の縮小も 避けては通れない道と な り つつあ る 。
上記の よ う な厳し い環境の中で も 、 コ モデ ィ テ ィ 化し た製品を 扱 う 生産財 メ ーカーが生
き 残っ てい く ためには 、 何ら かの方法に よ っ て他社と の差別化を 図 り 、 顧客か ら 選ばれ る
企業にな っ ていかな く てはな ら ない 。 Bendixen, Bukasa and Bendixen ( 2004 ) は企業が生産
財を 購入する 際に重視し てい る 項目と し て 「 価格 」 「 デ リ バ リ ー 」 「 製品性能 」 「 サポー
7
ト ・ サービ ス 」 「 ブ ラ ン ド 」 の 5 つの項目を 挙げてい る 。 こ の中で 「 価格 」 での競争を 避
け よ う と し た場合 、 「 価格 」 以外で大き く 差別化で き る 可能性が残っ てい る 項目と し て
は 、 「 ブ ラ ン ド 」 し かないのではないか と 考え る よ う にな っ た 。
2 つ目の 「 デザ イ ン 」 について 興味を 持っ たのは 、 私が美術大学でデザ イ ン を 学んでい
た こ と が最大の理由であ る 。 私自身が大学でデザ イ ン を 学んだ と い う 経験を 生かす こ と に
よ っ て 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ を 「 デザ イ ン 」 と い う 新し い切 り 口で研究で き る の
ではないか と 考え た 。 以上の よ う に 、 私は実務や経験を 通じ 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン
グ 」 と 「 デザ イ ン 」 について特に興味を 持つよ う にな っ た こ と か ら 、 本論文で 「 B to B 企
業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 について研究を 行っ た 。
本論文では B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 に注目し 、 「 B to
B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し よ う と 試みてい
る。
図表 序-1
本 研究 の ア プ ロ ー チ イ メ ー ジ
こ こ で人材市場に注目し たのは大島 ( 2007 ) の村田製作所の事例に も あ る よ う に 、 日本
の B to B 企業でブ ラ ンデ ィ ン グに力を 入れ る 場合 、 人材市場に対する 効果を 目的と する こ
と が多いか ら であ る 。 近年では B to B 企業において も ブ ラ ンデ ィ ン グの重要性は十分に認
識さ れつつあ る 。 し か し 現場レベルにおいては 「 一般消費者がお客ではないので 、 コーポ
8
レー ト ・ ブ ラ ン ド に力を 入れて も 意味が無い 」 や 「 広告な ど を し てい る と 顧客か ら 値下げ
要求を さ れ る 」 な ど 、 ブ ラ ンデ ィ ン グの重要性は も ち ろん 、 ま し てやデザ イ ン 性の善し 悪
し な ど についてはほ と んど 考慮さ れていないのが現状であ る 。 そ こ で本研究を 通じ て B to
B 企業におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グ 、 さ ら にはそのデザ イ ン 性の影響を 明ら かにす る こ と に よ
っ て 、 B to B 企業におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グの新し い価値の発見に貢献し たい 。
第2 項 本研究の概要と意義
本論文では B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 に注目し 、 「 B to
B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し よ う と 試みてい
る 。 本論文は実験式の調査を 用いた仮説検証型の実証論文であ る 。 本調査は2010年の 7 月
16日に 、 私立の 4 年制大学でマーケテ ィ ン グ を 専攻する 学生を 対象に 、 質問紙法を 用いて
実施し た 。 調査対象の学生は就職活動を こ れか ら 行 う 、 ま たは現在行っ てい る 、 も し く は
行っ ていた大学 2 年生か ら 4 年生学生 195 名で 、 178 の有効回答を 得た 。
仮説の検証は 「 企業の ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性 」 を 説明変数と し 、 学生の 「 興味を 感じ
る 企業の順位 」 及び 「 印象 」 「 会社に対する 興味 」 「 会社について調べてみたいか 」 「 会
社説明会に参加し てみたいか 」 「 エ ン ト リ ーを し てみたいか 」 の評価を 被説明変数と し て
統計的分析を 用いて行っ た 。 分析の結果 、 ロ ゴマー ク を 有し ていない企業よ り も 有し てい
る 企業の方が 、 学生か ら 就職活動の意向や意欲について 総じ て高い評価を 得る こ と が明ら
か と な っ た 。 さ ら に 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が低い企業よ り も 高い企業の方が 、 ロ ゴマ
ー ク が企業の特性を 表現し ていない企業よ り も 表現し てい る 企業の方が 、 同様に学生か ら
高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 就職活動の意向
や意欲の間には 、 強い正の相関がみ ら れた 。 ま た ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が学生の就職活
動の意向や意欲の評価に与え る 影響は 、 男性よ り も 女性の方が強い こ と も 明ら か と な っ
た。
本研究を 行っ た結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの人材市場に対する 効果では 、 ブ ラ
ン ド の 「 デザ イ ン 」 が重要な影響を 与え てい る こ と が明ら か と な っ た 。 つま り 本研究の結
果は 、 B to B の企業であ っ て も ブ ラ ン ド を 構築する 際には 、 ロ ゴマー ク をは じ め と する ブ
ラ ン ド の 「 デザ イ ン 」 について 、 慎重に検討する 必要があ る こ と を 示唆し てい る 。
9
第3 項 本論文の構成
本論文は大き く 5 つの章か ら 構成さ れてい る 。 序章では 、 本研究をする に至っ た問題意
識や本論文の構成を 紹介し てい る 。 第 1 章では 、 B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グ
に関する 研究 、 B to C ( 消費財 ) 市場のブ ラ ン ド 要素に関する 研究 、 人材獲得におけ る ブ
ラ ン ド の効果に関する 研究 、 人材市場へ企業のブ ラ ンデ ィ ン グが好影響を 与え た事例 、 に
ついて先行研究の調査を 行い本論文の位置づけの確認を 行っ てい る 。 第 2 章では 、 先行研
究を も と に本研究の調査仮説の設定及び調査方法の設計を 行っ てい る 。 第 3 章では 、 調査
票作成のための予備調査及び調査票の設計について紹介し てい る 。 第 4 章では 、 調査の実
施概要及び仮説の検証結果を 紹介し てい る 。 終章では 、 本研究か ら 得ら れ る 実務への イ ン
プ リ ケーシ ョ ン及び本研究の限界 、 さ ら に今後の課題について考察を 行っ てい る 。
第2 節 用語の整理
第1 項 企業間取引に関する用語
は じ めに本論文で使用し てい る 用語について 整理を 行っ た 。 本論文では 「 マーケテ ィ ン
グ 」 「 ブ ラ ン ド 」 「 ブ ラ ンデ ィ ン グ 」 と いっ た用語の前に 、 「 生産財 」 や 「 B to B 」 と い
う 用語を 合わせて使用する 場合があ る 。 高嶋 、 南 ( 2006 ) は企業間取引すなわち 、 売 り 手
企業が消費者個人ではな く 企業 ・ 組織を 対象に製品 ( サービ ス を 含む ) を 販売する 場合 、
取引の目的が 「 ( 1 ) 顧客の生産活動目的 」 「 ( 2 ) オ フ ィ ス な ど での組織的利用 」
「 ( 3 ) 流通業者に よ る 再販売目的 」 と い う 3 つに分かれ る 事を 指摘し てい る 。 さ ら に こ
の 3 つの目的の う ち ( 1 ) と ( 2 ) に当た る 、 生産活動目的と 組織利用の製品需要に対す
る 企業 ・ 組織向けのマーケ テ ィ ン グの こ と を 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 と 定義し てい る 。
一方で 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 ではな く 「 B to B マーケテ ィ ン グ 」 と 呼ぶ場合は 、 生
産活動目的以外に使用さ れ る 製品やサービ ス のマーケ テ ィ ン グ も 含まれ る 。 つま り 「 B to
B マーケテ ィ ン グ 」 の方が 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 よ り も よ り 広義の意味を 持つ も の と
し て 2 つの用語を 使い分けてい る 。
ま た 、 個人や家庭ではな く 営利企業 ・ 政府機関 ・ 公益機関な ど の組織を 対象と し たマー
ケ テ ィ ン グについて研究を 行っ た Hutt and Speh ( 2004 ) も 、 こ の分野の呼び方には 、 提供
さ れ る 財の特性に注目し た 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 、 顧客の組織性に注目し た 「 ビ ジネ
10
ス ・ マーケテ ィ ン グ ( 事業者向けマーケテ ィ ン グ ) 」 、 売 り 手と 買い手が両方と も 事業者
であ る こ と に注目し た 「 ビ ジネ ス ・ ト ゥ ・ ビ ジネ ス ( B to B /B2B ) マーケ テ ィ ン グ 」 、
Hutt and Speh ( 2004 ) が採用し てい る 「 Industrial Markets ( 産業向け用途市場 ) 」 と い う
副題付き の 「 Business Marketing ( ビ ジネ ス ・ マーケ テ ィ ン グ ) 」 と い う よ う に 、 複数の方
法が存在する こ と を 指摘し てい る 。 し か し Hutt and Speh ( 2004 ) の翻訳を 行っ た笠原は 、
こ れ ら の呼び方に多尐の語感の違いはあ る も のの 、 企業をは じ め と する 組織が顧客と な る
マーケテ ィ ン グ と い う 点で共通し てお り 、 ニ ュ ア ン ス の違いを 細か く 議論する 特別な意味
はない と の考え を 示し てい る 。 そ し て Hutt and Speh ( 2004 ) の翻訳においては 「 産業財マ
ーケ テ ィ ン グ 」 と い う 訳を 適用し てい る 。
そ こ で本論文においては 、 企業をは じ め と する 組織が顧客と な る こ と を 表わす表現と し
ては 、 基本的には 「 B to B 」 と い う 用語を 用いてい る 。 その中で も 特に生産に使用さ れ る
財を 示す場合には 「 生産財 」 と い う 用語を 用い る こ と と し た 。 こ れ ら の用語間の意味の違
いについては Hutt and Speh ( 2004 ) の翻訳を 行っ た笠原の意見を 参考に し 、 ほ と んど 違い
はない も の と みなす こ と と し た 。
第2 項 略称の表記方法
ま た企業間取引を 表わす表記方法は 「 B to B 」 「 B2B 」 「 Business to Business 」 な ど 、 幾
つかのパ ターンが存在する が 、 本論文では表記は全て 「 B to B 」 に統一し て用いてい る 。
ただ し 文献を 引用し た際に 、 引用元の文献で 「 B to B 」 以外の表記方法が使用さ れてい る
場合は 、 文献で使用さ れてい る 表記方法を 踏襲する 。 ま た企業間取引を 「 B to B 」 と 表記
する こ と か ら 、 企業対一般消費者間の取引を 「 B to C 」 と 表記する 。 文献での使用方法が
異な る 場合は 、 「 B to B 」 の場合と 同様に対処する 。
第3 項 ブランド要素に関する用語
本論文では 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響に注目し てい る 。
そ こ でブ ラ ン ド 要素の中で も 特に 「 ロ ゴマー ク 」 について 用語の整理を 行っ た 。
ロ ゴマー ク をは じ め と する 企業 ・ 製品が も つマー ク の分類や呼び方は研究者に よ っ て異
11
な っ てお り 、 統一さ れていないのが現状であ る 。 例えば Keller ( 2008 ) は 、 ロ ゴには独特
の書体で書かれた企業名や商標 ( 文字だけで作っ た ワー ド ・ マー ク ) か ら 、 企業名 ・ 企業
活動と 関係ない抽象的デザ イ ンの 「 シ ンボル 」 に至る ま で 、 様々な タ イ プが存在し 、 多 く
の ロ ゴが ワー ド ・ マー ク と シ ンボルの両極の中間に位置する と 指摘し てい る 。
一方で小川 ( 2009 ) は 、 ロ ゴマー ク は日本の法律では 「 表章 」 と 呼ばれてい る も のを 指
し 、 ロ ゴマー ク には 「 ワー ド マー ク 」 と 「 シ ンボルマー ク 」 の 2 つがあ る と し てい る 。
図表 序-2
ロ ゴ マ ー ク と 商標 の分 類
( 出所 ) 小川 ( 2009 ) 641 ペ ー ジ よ り 作成
ワー ド マー ク は文字表章と も 呼ばれ 、 企業名や団体名をデザ イ ン し た も のであ る 。 一方
でシ ンボルマー ク は記号表章と も 呼ばれ 、 人物 、 団体組織な ど の表示対象を 記号化し た も
のであ る 。 さ ら に こ の ロ ゴマー ク の う ち 、 商業的に使用さ れてい る も のを 「 商標 」 と い
い 、 商標の種類と し て文字商標 ・ 図形商標 ・ 記号商標 ・ 総合商標の 4 つを 挙げてい る 。 文
字商標は企業名やブ ラ ン ド 名をデザ イ ン し た も のであ る 。 図形商標は名前や商品内容を 図
形化し た も のであ る 。 記号商標は表示対象を 記号化し た も ので文字商標と 記号商標の中間
的な形態であ る 。 総合商標は文字商標 ・ 図形商標 ・ 記号商標を 組み合わせた商標であ る 。
さ ら に芳賀 、 八つ橋 ( 2002 ) は 、 ロ ゴの タ イ プを 大き く 企業ロ ゴ と 商品ロ ゴに分けそれ
12
ぞれに 、 主に文字を 用いた ワー ド ・ マー ク と 、 主に図形を 用いたシ ンボル ・ マー ク があ る
と し てい る 。 ワー ド ・ マー ク は独特の書体で書かれた企業名や商標の こ と で 、 シ ンボル ・
マー ク は ワー ド ・ マー ク 以外の図形を 中心と し て表現さ れた ロ ゴ の こ と であ る 。
図表 序-3
ロ ゴ の種類 と タ イ プ
企業ロゴと商品ロゴ
商品のユニークさを伝達するために商品ブランドが、商品間の共有情報を伝達したり、企業ブランドとの相乗効果を発揮させるため
に、企業ブランドが必要であることから、企業ブランドと商品ブランドはその両方が一緒に用いられることが一般的である。
分類
ロゴの種類
ロゴの役割・機能
ロゴの選択基準とデザイン
企業ロゴ
商品との結び つけを目的とするなら ば、ワー ド・マー クを選択
企業ロゴの役割は、商品に企業ロゴ
するべきである。しかし5文字以上の連なりは認識されにくいの
を付けることで起業と商品を結び付
で、シンボル性を持たせると効果的である。企業ロゴ にシ ンボ
けること、企業名に結び付いた様〄
ル・マークを用いる場合は、そのシ ンボル・マー クが特定の企
な連想の想起、等である。
業を表わすという認識が予め確立されている必要がある。
商品ロゴ
商品ロゴ では商品名を認知させるため 、多くの場合ワー ド・
特定のター ゲ ット に当該 商品 のユ マークが用いられる。しかしワード・マークであっ ても 商品の特
ニー ク な特徴、機能、ベネフ ィッ トな 徴を素早く伝えられるように、より独自性を持たせる工夫が必
どを視覚的に伝達。
要である。しかしサービスなど無形の商品においてはシ ンボ
ル・マークも有効である。
種類
ブランドネームをそのまま文字で表現したもの。(ルイ・ヴィトン等のように文字の一部を用いて図案
化したものはシンボル・マークの一種とする)ワード・マークの基本的な役割は、無ラ ンド・ネーム を素
ワード・マーク 早く正確に伝達することにある。したがって視認性や可読性が高いこ とがまず 重要になる。また視覚
的訴求力に弱いが、ユニークな書体を用いたり、色を工夫することによって、ブ ランドのイメ ージ や意
味を伝達できることもある。
タイプ
シンボル・
マーク
ブランド・ネームのイニシャルや人物、動物、風景など をモ チー フにした具体的なものから 抽象的な
図案まで幅広い種類が存在する。シンボル・マークはブランドを象徴する図形であり、企業の理念や
アイデンティティ、商品の特徴、機能、ベネフィット、コンセプトなど、何ら かの意味を伝達す る役割を
果たす。
( 出所 ) 芳賀 、 八 つ 橋 ( 2002 ) 44 ペ ー ジ か ら 48 ペ ー ジ よ り 作成
し たがっ て芳賀 、 八つ橋 ( 2002 ) は 、 ロ ゴには ワー ド ・ マー ク が有し てい る 言語的な も
の ( ソ ニーやエル メ ス ) か ら 、 抽象的で非言語的な も の ( 花王の月マー ク やナ イ キの ス ウ
ォ ッ シ ュ ) ま で 、 様々な タ イ プがあ る と 指摘し てい る 。
ま た原田 ( 1989 ) は 、 シ ンボルは 「 シ ンボルマー ク 」 と 「 ロ ゴマー ク 」 の 2 つの種類に
わけ る こ と がで き る と し てい る 。 シ ンボルマー ク と は単純な図形で表わせる シ ンボルの こ
と で 、 文字な ら ば 1 文字か 2 文字 、 あ る いは他の形を モチーフ と し た比較的ま と ま り のあ
る シ ンボルの こ と だ と し てい る 。 一方で ロ ゴマー ク は社名やブ ラ ン ド 名な ど 、 その名称を
13
表わす一連の文字全体をデザ イ ン し てシ ンボル化し た も のであ る と し てい る 。
以上の よ う に 、 ロ ゴマー ク をは じ め と する 企業 ・ 製品が も つマー ク の分類や呼び方は 、
研究者に よ っ て異な っ てい る 。 そ こ で本研究においては 、 先行研究を も と 下図の様に改め
て用語の整理を 行っ た 。 本研究では 、 まず こ れ ら の最も 大き な く く り を 「 シ ンボル 」 と
し 、 ブ ラ ン ド を 象徴する あ ら ゆ る 要素を 表わす広義の意味で用いてい る 。 さ ら にシ ン ボ
ル ・ マー ク やワー ド ・ マー ク 、 その他の各表章を 代表する 用語と し て 「 ロ ゴマー ク 」 を 用
いてい る 。 上記の整理を 反映し 、 本論文の中でブ ラ ン ド のマー ク について記載する 場合は
「 ロ ゴマー ク 」 に統一し て表記する こ と と し た 。
図表 序-4
ロ ゴ に 関 す る 用語 の 位 置 づ け
14
第 1 章 研究の背景と本論文の位置づけ
第1 節
先行研究の調査
第1 項 B to B ( 生産財 ) 市場のブランディングに関する研究
本論文では 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド の
デザ イ ン 性 」 の関係に注目す る こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン
ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではない
か 。 」 と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かに し よ
う と 試みてい る 。 は じ めに関連する 分野の先行研究及び事例の調査を 行っ た 。 本研究で
は 、 先行研究を 大き く 3 つの視点か ら 調査し てい る 。 それは 「 B to B 市場のブ ラ ンデ ィ ン
グに関す る 研究 」 「 B to C 市場ブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 、 ブ ラ ン ド 要素の研究 」 「 人材獲
得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究 」 の 3 つであ る 。
生産財取引には 、 高嶋 、 南 ( 2006 ) が言 う よ う に 「 合目的性 」 「 継続性 」 「 総合依存
性 」 「 組織性 」 の 4 つの特徴があ る 。 そのため 「 バ イ ヤーの意思決定は合理的な理由に よ
る 判断に基づいて行われ る ので 、 非合理的なブ ラ ン ド はほんど 重要性を 持たない 。 」
( Rosenbroijer 2001 ) と い う 考え方が根強 く 残っ てお り 、 ブ ラ ン ド の効果については懐疑的
な見方も 多かっ た 。 崔 ( 2008 ) に も あ る よ う に 、 こ れ ま でブ ラ ン ド の研究のほ と んどは消
費者を 対象に行われ 、 生産財にはあ ま り 関心が向け ら れて こ なかっ た 。
し か し 最近では Tybout and Calkins ( 2005 ) や余田 ( 2006 ) に も あ る よ う に 、 B to B 企業
も ブ ラ ンデ ィ ン グ を 重視すべき だ と い う 意見が強ま っ てい る 。 Kotler and Pfoertsch ( 2006 )
はその理由と し て次の 3 つを 挙げてい る 。
( 1 ) 似通っ た商品 ・ サービ ス の増殖に よ っ て差別化が難し く な っ てい る こ と
( 2 ) 商品と サービ ス を 組合せた ソ リ ュ ーシ ョ ン 型の複雑な商品の台頭 。
( 3 ) 価格引下げ圧力の一層の強ま り 。
さ ら に Keller ( 2008 ) は生産財及び B to B 製品のマーケテ ィ ン グにおいては 、 消費財と
異な る ブ ラ ンデ ィ ン グ活動が必要な場合があ る と 指摘し 、 「 戦略的ブ ラ ン ド マネジ メ ン ト
15
第 3 版 」 の中で 、 生産財及び B to B 製品のブ ラ ンデ ィ ン グに対する 以下の よ う な 5 つの追
加的なガ イ ド ラ イ ン を 提示し てい る 。
( 1 ) 生産財企業は製品ラ イ ンの数が多 く 製品バ リ エーシ ョ ンが複雑であ る 。 そのた
め論理的で明快なブ ラ ン ド 階層を 構築する 必要があ る 。 そ こ で有名で一目置か
れてい る 企業名と 製品モデ ィ フ ァ イ アーを 組み合わせたサブ ・ ブ ラ ン ド の構築
な ど 、 コ ーポ レー ト ・ ブ ラ ンデ ィ ン グやフ ァ ミ リ ー ・ ブ ラ ンデ ィ ン グ を 採用し
た明確なブ ラ ン ド 階層の構築が有効であ る 。
( 2 ) そ も そ も 生産財は機能性や費用対効果の製品関連連想が強い製品であ る 。 し か
し 消費財の よ う にパフ ォーマ ン ス 非関連連想に結びつけ る こ と も 、 新し いブ ラ
ン ド ・ エ ク イ テ ィ の構築につなが る 方法であ る 。
( 3 ) 生産財のマーケテ ィ ン グは顧客と 直接 、 も し く は対面での コ ミ ュ ニケーシ ョ ン
が多 く な る 傾向があ る 。 し か し 広告な ど の間接的な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン手段を
適度に組み合わせる こ と で 、 認知やブ ラ ン ド 連想の強化につなが り 、 よ り 効果
的な コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンに発展さ せ る こ と がで き る 。
( 4 ) 自社の製品やサービ ス の顧客であ る 企業を 明ら かにする こ と で 、 顧客であ る 他
社のエ ク イ テ ィ を 活用し 、 二次的連想の強化につなげ る 。
( 5 ) 生産財の顧客は 1 つの企業であ っ て も 、 エン ジニアや経理担当者 、 購買責任者
な ど 複数のセグ メ ン ト の顧客が同時に存在する 。 そのためそれぞれのセグ メ ン
ト に共通する ポ イ ン ト を し っ か り と 押さ え 、 さ ら にその上に よ り 細かな顧客セ
グ メ ン ト に合わせた コ ミ ュ ニケーシ ョ ン を 行 う 必要があ る 。
上記の よ う に 、 最近では B to B 企業において も ブ ラ ンデ ィ ン グの重要性が高ま っ てい
る 。 こ の よ う な中で 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおいて も 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ を
構成する 要素に注目し た研究がな さ れ る よ う にな っ てい る 。 B to B において ど の よ う な要
素がブ ラ ン ド 価値の構築につなが る のか 、 と い う ブ ラ ン ド の価値を 構成する 要素に関する
研究と し ては 、 まず Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) の生産財商品の購入におけ る ブ ラ ン
ド 価値構成モデルに関する 研究を 挙げ る こ と がで き る 。
Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) は生産財の購入プ ロ セ ス のモデルか ら 「 製品性能 」
「 デ リ バ リ ー 」 「 サポー ト ・ サービ ス 」 「 企業業績 」 の 4 つの要素を 基本的な柱と する 、
16
生産財商品の購入におけ る ブ ラ ン ド 価値構成モデルを 構築し てい る 。 さ ら にそのモデルを
イ ギ リ ス のベア リ ン グ精密機器を 扱 う メ ーカー 、 卸売業者 、 購入者15名に対し 詳細な イ ン
タ ビ ューを 行っ た結果と 照ら し 合わせて 、 構築し たモデルについて検証を 行っ てい る 。
図表 1-1
ブ ラ ンデ ィ ング ・ システム
( 出所 ) Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) 439 ペ ー ジ よ り 作成
図表 1-2
カ ス タ マ ー ・ ブ ラ ン ド ・ バ リ ュ ー の 風 車 を 構成 す る 要素 の例
( 出所 ) Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) 435 ペ ー ジ よ り 作成
17
その結果 、 今回作成し た生産財商品の購入におけ る ブ ラ ン ド 価値構成モデルでは 、 全て
の現象を 説明し き る こ と はで き なかっ た 。 し か し こ の研究を 通じ て 、 生産財と 消費財のブ
ラ ンデ ィ ン グにおけ る 相違点が明ら か と な っ た 。 例えば生産財商品の購入の意思決定で重
視さ れ る 項目が製品や業界の特性に よ っ て異な る 点や 、 意思決定が組織的に行われてい る
点 、 ま た買い手と 供給業者の間に リ レーシ ョ ン シ ッ プが形成さ れてい る 場合があ る こ と な
ど が挙げ ら れ る 。 以上よ り 、 Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) は生産財ブ ラ ンデ ィ ン グに
消費財ブ ラ ンデ ィ ン グの方法論を その ま ま 水平展開さ せる こ と は難し い と い う 示唆を 与え
てい る 。
他には Bendixen, Bukasa and Bendixen ( 2004 ) が行っ た 、 B to B ブ ラ ン ド のブ ラ ン ド ・ エ
ク イ テ ィ の源泉と な る 要因に関する 研究を 挙げ る こ と がで き る 。 Bendixen, Bukasa and
Bendixen ( 2004 ) は B to B で取扱われ る 製品におけ る ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の存在の確認
する ために 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の源泉と な る 要因及び 、 効果的な コ ミ ュ ニケーシ ョ
ン ・ チ ャ ンネル 、 さ ら にブ ラ ン ド 重要性について研究を 行っ てい る 。 Bendixen, Bukasa and
Bendixen ( 2004 ) は成熟市場と し て中型の屋内のブ レーカーパネル市場を 設定し 、 中型の
屋内のブ レーカーパネルの購入を 検討し てい る 南ア フ リ カの生産財 メ ーカーの DMU ( 意
思決定部門 ) で働 く 54人に対し て ア ン ケー ト 調査を 行っ てい る 。
図 表 1-3 ブラ ンド によ る価 格 プレ ミア ムの 効果
( 出所 ) Bendixen, Kalala, and Abrattb ( 2004 ) 377 ペ ー ジ よ り 作成
18
そのデー タ と 購買プ ロ セ ス において重要な要因であ る 「 ブ ラ ン ド 」 「 価格 」 「 納期 」
「 技術 」 「 保守整備 」 の 4 つの要因を 用いて分析を 行っ てい る 。 その結果 、 名前が有名な
ブ ラ ン ド 力のあ る 企業の方が 、 よ り 高い価格プ レ ミ ア ムが得ら れ る こ と が明ら か と な っ
た 。 さ ら にブ ラ ン ド 力のあ る 企業の方が 「 ハ ロ ー効果 」 が得ら れ る こ と 、 ま たブ ラ ン ド ・
エ ク イ テ ィ の源泉と な る 要因と し て 、 デ リ バ リ ーな ど の 「 知覚品質 」 が重要であ る こ と 、
さ ら に効果的な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン方法と し てバ イ ヤーの主な情報源と な っ てい る 展示会
等が有効であ る こ と 、 な ど を 指摘し てい る 。
最近ではKuhu, Alpert, and Pope ( 2008 ) が行っ た 、 Keller の顧客ベース のブ ラ ン ド ・ エ ク
イ テ ィ ・ ピ ラ ミ ッ ド を 、 B to B ブ ラ ン ド に応用する 試みを 挙げ る こ と がで き る 。 下図の右
側のピ ラ ミ ッ ド は Keller の顧客ベース のブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ ・ ピ ラ ミ ッ ド を B to B に応
用し た も のであ る 。 Kuhu, Alpert, and Pope ( 2008 ) の図に よ れば B to B ブ ラ ン ド の構築の最
も ベース と な る も のは 、 個別商品のブ ラ ン ド ではな く コーポ レー ト ・ ブ ラ ン ド の認知と な
っ てい る 。 次の段階では 、 企業の レ ピ ュ テーシ ョ ン ( 評判 ) が B to C におけ る イ メ ージに
取っ て代わっ てい る 。
図表 1-4
B to Bに 応用 し た ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ ・ ピ ラ ミ ッ ド
( 出所 ) Kuhu, Alpert, and Pope ( 2008 )
42 ペ ー ジ 及 び 50 ペ ー ジ よ り 作成
19
さ ら にその次の段階であ る レ ス ポ ン ス においては 、 B to C のフ ィ ー リ ン グの代わ り に営
業担当者と の関係があ てはめ ら れてい る 。 そ し て最後の B to C の リ レーシ ョ ン シ ッ プの段
階では 、 B to C と はやや異な り 、 自社に と っ て最適な ソ リ ューシ ョ ンの提案であ る と か 、
ビ ジネ ス 上のパー ト ナーシ ッ プが感じ ら れ る か と い う 「 パー ト ナーシ ッ プ ・ ソ リ ュ ーシ ョ
ン 」 が置かれてい る 。
以上の よ う に B to B において も ブ ラ ン ド 価値を 構成する 要素についての研究はな さ れて
い る 。 し か し B to B においては 「 合目的性 」 と い う よ う な取引の特徴や 、 価格や性能な ど
の製品関連連想が強い と い う よ う な影響で 、 Keller ( 2008 ) が代表的なブ ラ ン ド 要素し て
挙げてい る よ う な 、 「 ブ ラ ン ド ・ ネーム 」 「 URL 」 「 ロ ゴ 」 「 シ ンボル 」 「 キ ャ ラ ク タ
ー 」 「 ス ポー ク スパー ソ ン 」 「 ス ロ ーガ ン 」 「 ジ ン グル 」 「 パ ッ ケージ 」 「 サ イ ネージ
( 記号 ) 」 と いっ た 、 製品非関連連想についての研究は 、 ま だあ ま り な さ れていない 。
第2 項 B to C ( 消費財 ) 市場のブランディングに関する研究
一方で B to C 市場においては 「 ブ ラ ン ド ・ ネーム 」 「 URL 」 「 ロ ゴ 」 「 シ ンボル 」 「 キ
ャ ラ ク タ ー 」 「 ス ポー ク スパー ソ ン 」 「 ス ロ ーガン 」 「 ジ ン グル 」 「 パ ッ ケージ 」 「 サ イ
ネージ ( 記号 ) 」 と いっ た製品非関連連想のブ ラ ン ド 要素に関する 研究も 盛んであ る 。 例
えば Aaker ( 1991 ) がブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の中心的な要素と し て挙げてい る 「 ブ ラ ン ド
のシ ンボル 」 と し て最も よ く 用い ら れ る 「 ロ ゴマー ク 」 につて も 、 様々な研究がな さ れて
いる 。
ロ ゴマー ク に関する 最も 代表的な研究と し ては 、 Henderson and Cote ( 1998 ) の ロ ゴマー
ク 作成 ・ 修正時のガ イ ド ラ イ ンに関する 研究を 挙げ る こ と がで き る 。 Henderson and Cote
( 1998 ) は ロ ゴマー ク の重要なデザ イ ン 特性と し て 「 ナチ ュ ラ ル ( 具象性 ・ 有機性 ) 」
「 ハーモニー ( 対称性 ・ バ ラ ン ス ) 」 「 精密 ( 複雑さ ・ 動的さ ・ 深さ ) 」 「 平行 」 「 円 」
「 プ ロ ポーシ ョ ン ( 縦横比 ) 」 「 繰 り 返し 」 と い う 7 つの要素を 識別し てい る 。 加え て よ
いシ ンボル ・ マー ク の条件と し て 「 正確に認知さ れ る 」 「 誤っ て認知さ れ る ( 見た こ と が
ないシ ンボルを 見た こ と があ る と 錯覚する ) 」 「 ポジテ ィ ブな感情を 生む 」 「 共有さ れた
意味を 持つ 」 の 4 つを 識別し てい る 。 そ し てデザ イ ン 特性がシ ンボル ・ マー ク の よ さ に下
図の よ う な影響を 与え る こ と を 明ら かに し てい る 。
20
さ ら にHenderson and Cote ( 1998 ) は こ の結果か ら 、 高い認知を 目的と する 場合には 「 正
確な認知 」 「 ポジテ ィ ブな感情 」 「 共有さ れた意味 」 を 、 省投資を 目的と す る 場には 「 誤
っ た認知 」 と 「 ポジテ ィ ブな感情 」 を 、 ハ イ ・ イ メ ージ を 目的と する 場合には 「 ポジテ ィ
ブな感情 」 を 、 つ く り だす よ う にデザ イ ン 特性を 組み合わせる こ と を 提案し てい る 。 そ し
てそれ ら の効果を も つデザ イ ン を 作成する ために 、 ロ ゴマー ク の重要な 7 つのデザ イ ン 特
性を ど の よ う に組み合わせる べき かの示唆を 与え てい る 。
図表 1-5
ロ ゴ マ ー ク 作成 ・ 修正 時の ガ イ ド ラ イ ン
目的
ロゴの特性
正確な認知
デザインのガイドライン
誤って
認知される
ポジティブな
(見たことがあ 感情を生む
ると錯覚する)
共有された
意味を持つ
ナチュラル
ハーモニー
精密
(洗練)
平行
プロポーション
繰り返し
正確な認知の
ロゴ
非常に
望ましい
◎
望ましくない
×
望ましい
○
望ましい
◎
適度に高い
適度に高い
適度に高い
-
-
少し含む
省投資のロゴ
不可能 ×
非常に
望ましい
◎
非常に
望ましい
◎
有効だが
必然ではない
△
適度に
高い
適度に高い
適度に高い
黄金比に近く
-
非常に
望ましい
◎
有効だが必然
ではない
△
高い
高い
高い
-
-
-
非常に低い
低い
凄く高い
もしくは
凄く低い
-
-
-
ハイ・イメージ
両立できない 両立できない
の
×
×
ロゴ
貧相なデザイ 達成できない 達成できない 達成できない 達成できない
ンのロゴ
×
×
×
×
( 出所 ) Henderson and Cote ( 1998 ) 25 ペ ー ジ よ り 作成
ま たHenderson and Cote ( 2004 ) は 、 タ イ プフ ェ イ スデザ イ ンの選択をサポー ト する ガ イ
ド ラ イ ンについて も 研究を 行っ てい る 。 Henderson and Cote ( 2004 ) は企業の印象構築へタ
イ プ フ ェ イ ス の選択が影響を 与え る こ と 、 タ イ プフ ェ イ ス の種類に よ っ て与え る 印象が違
う こ と を 明ら かに し 、 逆に タ イ プ フ ェ イ ス の持つデザ イ ン 的な特性か ら 、 企業側が意図す
る 印象を 顧客の中に構築する ためには 、 ど の よ う なデザ イ ン 的特徴を 持つタ イ プフ ェ イ ス
を 選択する のが好ま し いのかを 示唆する ガ イ ド ラ イ を 提示し てい る 。 し か し なが ら 、 タ イ
プフ ェ イ ス で伝え る こ と ので き る 印象の量には限界があ る ため 、 企業側は伝え たい印象の
取捨選択 ( ト レー ド ・ オ フ ) を し な く てはな ら ない と も 指摘し てい る 。
Henderson and Cote ( 2004 ) は 、 タ イ プフ ェ イ ス のデザ イ ンの主要な要因 4 個
( Pleasing ・ Engaging ・ Reassuring ・ Prominent ) を 抽出し 、 こ れ ら の要因を 用いて 、 大
21
学生 3 3 6 人に収集し た タ イ プフ ェ イ ス のサンプルに対する 印象の調査を 実施し てい る 。
上記で抽出し た要因及び調査結果を 用いて ク ラ ス タ ー分析を 行い 、 最終的に 6 個の ク ラ ス
タ ーを 抽出 。 それぞれの印象 ・ デザ イ ンに関する 評価及び 、 それ ら に適合する タ イ プフ ェ
イ ス のサンプルを 提示し てい る 。
図表 1-6
タ イ プ フ ェ イ ス デ ザ イ ン の 選択 を サ ポ ー ト す る ガ イ ド ラ イ ン
( 出所 ) Henderson and Cote ( 2004 ) 68 ペ ー ジ よ り 作成
22
さ ら に ロ ゴマー ク の形に関する 研究と し ては 、 Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) の ロ ゴ
マー ク と 黄金比の関係に関する 研究が挙げ ら れ る 。 Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) は ロ
ゴデザ イ ンにおけ る 黄金比の文化を 越え た反応を 調査し てい る 。 オース ト ラ リ ア 、 シ ンガ
ポール 、 南ア フ リ カの 3 国で調査を 実施し た結果 、 文化の違いを 越え て黄金比を 取 り 入れ
た ロ ゴマー ク を 好む傾向があ る こ と を 明ら かに し てい る 。
図表 1-7
調 査 に 使用 し た ロ ゴ マ ー ク
( 出所 ) Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) 462 ペ ー ジ よ り 作成
図表 1-8
黄 金比 の影 響
( 出所 ) Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) 464 ペ ー ジ よ り 作成
23
自然を モチーフ に し た ロ ゴでは黄金比をベース に作ら れた ロ ゴが最も 好まれ 、 人工的に
作ら れた ロ ゴでは 1 : 1 の比率が好まれた 。 その こ と か ら 当論文は次の 3 つの示唆を 与え
てい る 。 1 つ目は 、 人々は黄金比に対し て普遍的な魅力を 感じ る と い う こ と 。 2 つ目は 、
こ の調査結果は一般的に黄金比に対し て信じ ら れてい る 美学的な優位性を 支持する こ と 。
そ し て 3 つ目は 、 ロ ゴデザ イ ンにおけ る 黄金比の審美的な優位性が自然を モチーフ に し た
ロ ゴデザ イ ンに限定さ れ る ( 人工的に構築さ れた ロ ゴでは 1 : 1 の比率を 用いた も のが最
も 好まれ る 傾向があ っ た ) こ と であ る 。
また消費財市場におけるブランド要素の研究では、ブランド要素間の関係性に注目した
ものもなされている。例えば Klink ( 2003 )は、ブランドネームとブランドマーク
(色・形・サイズ)間の関係に関する研究を行っている。 Klink( 2003 )はこの研究で
2 つの調査を行っている。 1 つ目は、ブランドネームとブランドマーク(色・形・サイ
ズ)の関係についての調査である。調査方法は Mid-Atlantic university の 134 人の平均
19.7歳の学生を対象に、ブランドマークとそれにふさわしいと思われるブランドネームを
選択させるものである。 2 つ目は、ブランドネームとブランドマーク間のデザインの一貫
性が本当に意図されたブランド意味を強化することができるかについて、 Mid-Atlantic
university の大学院生 82 人に対し、新しい黒ビールブランドのブランド・ネームとブラ
ンドマークの形を見せた後で質問に答えてもらう方法で調査を行っている。
2 つの調査を 通じ 、 Klink ( 2003 ) はブ ラ ン ド の構築においては商品特性に対し て 、 ブ
ラ ン ド ネーム と ブ ラ ン ド マー ク ( 色 ・ 形 ・ サ イ ズ ) の一貫性があ る ほど よ り 効果的なブ ラ
ン ド の構築につなが る こ と を 明ら かに し てい る 。
さ ら に Hynes ( 2009 ) は 、 ロ ゴの色 ・ デザ イ ン ・ 想起さ せる 意味の 3 者の関係が企業イ
メ ージの構築にど の よ う な影響を 与え てい る かについて研究を 行っ てい る 。 デー タ は ス コ
ッ ト ラ ン ド で行っ た路上調査及び 、 MBA の学生に対し て行っ た イ ン タ ーネ ッ ト 調査に よ
っ て収集さ れてい る 。 調査は 、 は じ めにモ ノ ク ロ で表現さ れた架空も し く はほ と んど 知ら
れていない企業の ロ ゴ を 企業を 説明と 文章を 一緒に見せ 、 その ロ ゴの イ メ ージに最も 当て
はま る と 思われ る 言葉を リ ス ト の中か ら 3 つ選択し て も ら う 。 次に青 ・ 赤 ・ 黄色 ・ 緑 ・
紫 ・ オ レ ン ジ ・ ピ ン ク ・ 茶色の 8 色でそれぞれ色付け し た ロ ゴ を 見せ 、 どの色が最も ロ ゴ
に合っ てい る か選択し て も ら い 、 最後に 8 つの色に対し て10個の言葉を 用いて想起さ れ る
イ メ ージ を 説明し て も ら う 方法であ る 。
24
Hynes ( 2009 ) は研究の結果 、 企業の ミ ッ シ ョ ン ス テー ト メ ン ト の言葉と ロ ゴか ら 想起
する 言葉の間には非常に強い関係性があ る こ と 、 さ ら に ロ ゴ と ロ ゴか ら 想起する 意味 、 ロ
ゴ と ロ ゴにふ さ わ し い と 思われ る 色の間には 、 強い関係性があ る こ と を 明ら かに し てい
る 。 し か し 想起する 意味と ロ ゴにふ さ わ し い と 感じ る 色の間にはほ と んど 関係がなかっ
た。
図表 1-9
ロゴ
ロ ゴ の色 ・ デ ザ イ ン ・ 想起 さ せ る 意 味 の調 査結 果
連想する言葉
回答者が選んだ色
(ブラケット理論による
色)
ミッションステートメント
からの言葉
ミッションステートメント
から連想する色
カラー・ミーニング協会が
選んだ正しい色
家庭的な
頼りになる
ぬくもりのある
青/茶
(青)
頼もしい
信頼性のある
頼りになる
青
緑・赤
保護的な
安定的な
信頼のある
青/茶
(青もしくは茶)
保護的な
家庭的な
集団力
茶/青
黄・ピンク
楽しい
想像力に富んだ
元気な
黄
(黄もしくはピンク)
楽しい
元気な
健康的な
ピンク/黄
緑
幸せな
陽気な
黄
(黄)
元気な
陽気な
フレンドリー
黄
黄
情熱的な
陽気な
わくわくするような
紫
(赤)
情熱的な
ダイナミックな
わくわくするような
赤
紫・茶
楽しい
陽気な
幸せな
赤
(オレンジ)
楽しい
陽気な
幸福
オレンジ
なし
安定性のある
静止した
緑/紫
(緑/紫)
ビジョンのある
正直な
正義
紫
ピンク・赤
一流な
安心感のある
ダイナミックな
青
(緑/赤)
一流な
堅固な
成長
緑
黄・オレンジ・茶・青
( 出 所 ) Hynes (2009) 553 ペ ー ジ よ り 作成
第3 項 人材獲得におけるブランドの効果に関する研究
さ ら に本研究で注目し てい る 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 「 人材市場に対す
る 効果 」 について も 先行研究の調査を 行っ た 。 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 「 人
材市場に対する 効果 」 については 、 余田 、 首藤 ( 2006 ) が言及し てい る 。
余田 、 首藤 ( 2006 ) は B to B におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グの効果について 、 顧客企業に対す
る 効果と 社会全般にわた る 様々な ス テー ク ホルダー ( 従業員 ・ 投資家 ・ 人材市場な ど ) に
25
対する 効果の 、 大き く 2 つ視点か ら 考察を 行っ てい る 。 人材市場に対する 効果について
は 、 B to B 企業は製品やサービ ス が一般層の目に全 く 触れない こ と も あ る ので 、 B to C 企
業に比べて業界関係者以外での知名度が低 く 、 事業内容を イ メ ージ し に く い場合が多い 。
こ う し た状況は人材獲得競争において B to B 企業を 不利な立場に置 く と 指摘し てい る 。
さ ら に本書の中で余田 、 首藤 ( 2006 ) は B to B 企業の人材市場に対する ブ ラ ンデ ィ ン グ
の効果と し て主に 2 つの効果を あげてい る 。 1 つ目は企業と 人材の ミ ス マ ッ チを 最小限に
と ど め る 効果であ る 。 企業風土や事業内容への理解が増せば 、 その企業に合っ た人材が積
極的に応募する よ う にな る か ら であ る 。 2 つ目は企業への応募者層の拡大と 質的向上であ
る 。 こ れは就社タ ーゲ ッ ト 層での認知と 事業内容理解の向上に よ っ て 、 こ れま でその会社
に就職する 意向が無かっ た層を も 取 り 込む効果があ る 。 余田 ・ 首藤 ( 2006 ) は こ の よ う に
B to B 企業に と っ て 、 ブ ラ ン ド 強化に よ る 人材市場へのアプ ロ ーチが重要であ る こ と の例
と し て 、 村田製作所の事例を 取 り 上げてい る 。
ま た海外では 、 B to B 企業に限定さ れてはいないが Collins and Stevens ( 2002 ) が 、 パブ
リ ィ シテ ィ ・ ス ポ ンサーシ ッ プ ・ 口コ ミ ・ 広告の 4 つの早期採用関連活動が 、 工学部の学
生の応募意思決定にど の よ う な影響を 及ぼすのかについて 、 顧客ベース のブ ラ ン ド ・ エ ク
イ テ ィ の理論を 応用し た研究を 行っ てい る 。
Collins and Stevens ( 2002 ) は採用活動と 親和性の高いマーケテ ィ ン グ ・ ミ ッ ク ス の手法
と し て 、 パブ リ ィ シテ ィ ・ ス ポ ンサーシ ッ プ ・ 口コ ミ に よ る 裏付け ・ ブ ラ ン ド 関連の広告
の 4 つを 抽出し てい る 。 こ れ ら の 4 つのマーケテ ィ ン グ ・ ミ ッ ク ス の手法と ブ ラ ン ド ・ エ
ク イ テ ィ の構成要素であ る ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの関連性を 調査する こ と に よ り 、 応募意思
決定におけ る ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの影響を 明ら かに し よ う と し てい る 。 調査は 3 校の工学
大学院の就職課のサポー ト を 得て 、 就職活動を 行っ てい る 学生に対し 調査票を 郵送する こ
と で実施し 、 133 の有効回答を 得てい る 。 調査の結果 、 早期採用関連活動と ブ ラ ン ド ・ イ
メ ージの間には間接的な影響があ る こ と が明ら かに さ れてい る 。 特に口コ ミ に よ る 裏付け
と ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの関連が強い事も 判明し た 。
Cable and Tueban ( 2003 ) は 、 会社の評判が求職者に与え る 影響と 、 その理由について調
査を 行っ てい る 。 Cable and Tueban ( 2003 ) は採用活動のシーン を 用いて実施し た実験結果
を も と に分析を 行っ てい る 。 調査はフ ォーチ ュ ンの ラ ン キ ン グ を 参考に 、 評判が良い企
業 ・ 悪い企業 、 評判広告が十分な企業 ・ 不足し てい る 企業 、 給与が多い企業 ・ 尐ない企業
の 2 × 2 × 2 の組み合わせて操作し て作成し た架空の企業の採用活動の資料を 被験者に配
26
布し 、 その評価を 回答し て も ら う も のであ る 。 さ ら に 1 週間後に メ ールで与え ら れた資料
の記憶に関する 調査を 行い 、 最終的に 339 の有効回答を 得てい る 。 分析の結果以下の事を
明ら かに し てい る 。
( 1 ) 求職者は仕事の特徴について評判を シ グナル と し て参考に し てい る 。
( 2 ) 評判は個人が組織の メ ンバーシ ッ プに期待する こ と に誇 り を 感じ さ せ る 。
( 3 ) 求職者は会社の評判を よ り 肯定的な も のに結びつけ る ためには 、 賃金が低 く
な る 形で価格プ レ ミ ア ム を 支払 う こ と をい と わなかっ た 。
( 4 ) 組織への親し みやす さ は 、 求職者が人材公募について 1 週間後に思い出す こ
と がで き た情報量と 影響し ていた 。
( 5 ) 架空の企業ではあ っ たが 、 評判は主に口コ ミ に よ っ て伝播さ れ 、 広告では効
果が全 く ない 。
Cable and Tueban ( 2003 )
は 、 こ れ ま で採用活動と マーケテ ィ ン グの間にはほ と んど 架
け橋と な る 研究が無かっ たが 、 イ メ ージ と 評判を 通じ た コ ミ ュ ニケーシ ョ ンに よ っ て 、 個
人の限ら れた市場を 惹きつけ る のを 助け る と い う 機能は両方に共通し た も のであ り 、 採用
活動と マーケテ ィ ン グには類似し た点があ る と いえ る と し 、 採用活動におけ る マーケテ ィ
ン グ的な視点の有用性を 指摘し てい る 。
DelVecchio, Jarvis, Klink and Dineen ( 2007 ) は 、 学生に対する 2 つの実験結果を も と に 、 ブ
ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ が求職者の求人案内に対する 認識に影響を 与え る 事がで き る こ と を 明
ら かに し てい る 。 1 つ目の実験はフ ァ イ ナン ス ・ 会計学 ・ コ ン ピ ュータ ー情報シ ス テ ム を
専攻する 学生 385 人に対し 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の高い企業の仕事の求人案内と 、 ブ ラ
ン ド ・ エ ク イ テ ィ の低い企業の仕事の求人案内の 2 種類を 提示し 、 給与条件と 仕事の魅力
に関し て質問を 行 う も のであ る 。 2 つ目の実験は在学中のビ ジネ ス ・ スチ ューデン ト 147
人に対し 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の高い企業の仕事の採用通知と ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の
低い企業の仕事の採用通知で 、 給与金額をわずかに変更し た も のを 提示し て 、 職業選択に
関する 質問を 行 う も のであ る 。
調査の結果 、 求職者がブ ラ ン ド 力のあ る 企業の仕事に就き たい と い う 強力な願望を 持っ
てい る こ と が明ら かに さ れてい る 。 こ の願望の根底には 、 ブ ラ ン ド 力のあ る 企業の仕事が
概し て訓練と 技術を 従業員に提供し 、 彼ら に能力を 発揮する 場を 提供する こ と で 、 労働意
27
欲の発露を 与え て く れ る こ と があげ ら れ る 。 さ ら にその結果と し てブ ラ ン ド 力のあ る 企業
の仕事に就 く こ と で 、 その後の履歴書に箔が付 く こ と も 理由の一つ と な っ てい る こ と が明
ら か と な っ た 。 以上の こ と か ら 、 企業と 求職者の関係が企業と 消費者の関係に非常に似て
い る こ と 、 ま た求職者が認識する 会社の評判その も のが 、 消費者に向けたブ ラ ン ド ・ コ ミ
ュ ニケーシ ョ ンに よ っ て築かれてい る こ と か ら 、 求職者に対する コ ミ ュ ニケーシ ョ ンにお
いて も ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の考え方が応用で き る のではないか と 指摘し てい る 。
以上の よ う に 、 コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンに よ っ て個人の限ら れた市場を 惹きつけ る のを 助け
る と い う 機能は採用活動と マーケテ ィ ン グの両方に共通し た も のであ り 、 両者には似通っ
た点が多い 。 こ のため採用活動において も マーケ テ ィ ン グで研究さ れてい る よ う な 「 ブ ラ
ン ド ・ エ ク イ テ ィ 」 の考え方は 、 有効であ る と 言え る 。
第2 節 企業のブランディングが人材市場へ好影響を与えた事例
第1 項 ケンウッドのCI 再編
実際に企業のブ ラ ンデ ィ ン グが人材市場へ好影響を 与え た事例と し ては 、 山本 ( 1989 )
及び中西 ( 2010 ) で取 り 上げ ら れてい る 、 1980年初めご ろに行われた 「 ケ ン ウ ッ ド 」 のCI
再編の事例と 、 大島 ( 2006 ) 、 大島 ( 2007 ) 及び余田 、 首藤 ( 2006 ) で取 り 上げ ら れてい
る 、 1990年ご ろか ら 始ま っ た 「 村田製作所 」 のブ ラ ンデ ィ ン グの事例を 挙げ る こ と がで き
る。
1 つ目のケ ン ウ ッ ド は主に消費財を 取扱 う 企業であ り 、 ま たCI ( コーポ レー ト ・ ア イ デ
ン テ ィ テ ィ ) 再編に取組んだの も 前身であ る ト リ オの経営が行き 詰ま っ ていた こ と が理由
であ る が 、 CI再編後の人材市場への効果には著し い も のがあ る 。 当社は1980年代初めご
ろ 、 それ ま で市場に よ っ て使い分けていた 「 ト リ オ ( TORIO ) 」 と 「 ケ ン ウ ッ ド
( KENWOOD ) 」 と い う 2 つのブ ラ ン ド の 1 本化をは じ め と し た 、 CIの再編に取 り 組ん
でい る 。 こ の際に新し く 取 り 入れ ら れた 「 KENWOOD 」 と い う 社名及びデザ イ ンは 、 そ
の ス テ ッ カーを 車に貼る こ と が若者の間で流行する ほど 高い評価を 受け成功を 収めた 。 さ
ら に こ のCI再編は人材市場対し て も 効果を 発揮する こ と と な っ た 。
まず 「 工場採用 」 への効果については 、 当時山形県にあ っ た東北 ト リ ノ の工場を こ の新
し いCIを 元に リ ニ ューアル し た と こ ろ 、 ス マー ト な イ メ ージでカ ッ コ イ イ 工場だ と 人気に
28
な り 、 女子従業員の応募が増え 、 東北 ト リ ノ は地域内で女子就業者の人気ナンバーワ ン と
な っ た こ と が挙げ ら れ る 。
さ ら に 、 同時に全社的な就職人気ラ ン キ ン グで も ケ ン ウ ッ ド が上位に躍進する よ う にな
っ た 。 こ の全社的な就職人気ラ ン キ ン グの向上は特に 「 新卒の文科系学生 」 と 「 技術系の
中途採用 」 の面で顕著な効果が表れてい る 。 「 新卒の文科系学生 」 への効果については 、
若者の間で 「 KENWOOD 」 ブ ラ ン ド は イ メ ージがカ ッ コ イ イ と し て人気が高ま り 、 技術
系学生のみな ら ず文科系学生の応募が増加し た こ と が挙げ ら れ る 。 昭和58年か ら 昭和62年
ま での 5 年間の応募状況を 見る と 、 会社訪問学生の中には地方大学 ( 旧帝大 ) や 、 4 年制
の女子学生も ま じ る よ う にな り 、 4 年制女子の10名採用予定に 150 名程度が会社説明会に
参加する よ う な年も あ っ た 。 文科系の内定後の定着性も 良 く な り 、 以前は20%程あ っ たキ
ャ ンセル率がCI再編後には10%程度に ま で低下し てい る 。
図表 1-10
ケ ン ウ ッ ド の CI 再 編後の 採 用活 動状 況
採用数(大卒)
会社説明会参加
ハガキの資料請求
昭和58年(1983)
0人
0人
(未集計)
昭和59年(1984)
0人
0人
(未集計)
昭和60年(1985)
44人
500人
5500通
昭和61年(1986)
87人
7000人
6500通
昭和62年(1987)
68人
1,200人
(未集計)
( 出所 ) 山本 ( 1989 ) 59 ペ ー ジ よ り 作成
さ ら に 「 技術系の中途採用 」 については 、 も と も と ケ ン ウ ッ ド に対する 評価が高い こ と
に加え 、 TORIOか ら KENWOOD に改めた背景には総合エ レ ク ト ロ ニ ク ス メ ーカー志向が
あ る こ と が理解さ れて 、 信頼感を 一段と 高め る 効果があ っ た 。
リ ク ルー ト の営業マ ン 達に聞いて も 、 TORIO-KENWOOD は 、 AIWA 、 TEAC に比べて
上位であ る と の認識が定着し た 。 実際 、 応募の問合せは AIWA が 300 名程度に対し て 、
KENWOOD は 5,000 名と 約17倍以上の人気であ り 、 ラ ン キ ン グ も 上がっ た 。 若い人たち
に KENWOOD を 何で知っ たか 、 と 聞 く と オーデ ィ オの ス テ ッ カーでな どの回答が返っ て
き た 。 文科系では昭和61年には 236 位と な り 、 住友電気工業や日本道路公団が同順位 、 ポ
ッ カ 、 松坂屋 、 兼松江商 ( 全て 228 位 ) な ど に次ぐ 上位進出を 果た し た 。 理科系の ラ ン ク
は文科系以上で昭和61年には 111 位ま で上昇し た 。 野村証券 ( 109 位 ) 、 キ リ ン ( 110
29
位 ) に次ぐ 位置であ る 。 いずれに し ろ 、 CI再編前は ラ ン キ ン グ外にあ っ た企業が一躍人気
企業の仲間入 り を し たのであ る 。
図表 1-11
リ ク ルー ト の ラ ン キ ン グ
昭和57年
(1982)
昭和58年
(1983)
ランキング外
ランキング外
昭和59年
(1984)
昭和60年
(1985)
昭和61年
(1986)
文系 880位
文系 332位
文系 236位
理系 252位
理系 193位
理系 111位
( 出所 ) 山本 ( 1989 ) 60 ペ ー ジ よ り 作成
図表 1-12
ケンウ ッ ド のブ ラ ン ド イ メ ージ
( 出所 ) 山本 ( 1989 ) ペ ー ジ 58 及 び 75 ペ ー ジ よ り 引用
30
第2 項 村田製作所のブランディング
2 つ目の村田製作所の事例は 、 ま さ に B to B 企業がブ ラ ンデ ィ ン グに取組んだ事例であ
り 、 ま たその目的も 「 優秀な人材の確保 」 であ っ た 。 村田製作所は1989年頃か ら 本格的に
ブ ラ ン ド 構築に取 り 組んで き たが 、 その契機と な っ たのは新卒採用者の メ ーカー離れに伴
い 、 優秀な人材の確保が難し く な っ た こ と であ る 。 優れた人材を 得ら れなければ 、 将来の
事業の成長 ・ 発展は望めない 。 ま た知名度がない と い う 事実は 、 若手社員の自信を 挫 く こ
と につながっ てお り 、 中期的な経営の観点か ら 社内を 活性化する こ と も 命題の 1 つであ っ
た 。 「 大学生が就職先を 選ぶ時 、 経営成績な ど の数値で表さ れ る 実力と は別に 「 有名な会
社 」 と い う 大き な要素があ る 。 さ ら に 「 雰囲気が良い 」 と か 「 活気があ る 」 と いっ た要素
が上位にあげ ら れ る が 、 こ れは外に発信さ れた情報に よ っ て形成 さ れ る イ メ ージであ
る 。 」 ( 大島 2007 ) と あ り 、 そ う い う 意味で知名度の高さ 、 企業イ メ ージの良さ 、 は優
れた人材を 確保を し て企業が長期的に成長を 続けてい く 上で 、 重要な要件であ る と いえ
る 。 し か し B to B の企業は 、 そ も そ も 一般の人に名称を 露出さ せに く い と い う ハンデ ィ を
背負っ てい る 。 だが村田製作所は企業イ メ ージ広告に力を 入れ る な ど 、 従来の枠を 超えた
広報 ・ 広告活動を 展開し た結果 、 知名度 ・ 認知度 ・ 就職意向の全てにおいて 、 大幅な向上
を 実現し た 。
村田製作所は大き く 2 つの方法で 、 「 優秀な人材の確保 」 のための知名度の向上に取 り
組んでい る 。 1 つ目の取 り 組みは広報活動の充実であ る 。 そ も そ も エ レ ク ト ロ ニ ク ス 業界
は特に技術競争の激し い業界であ る ため 、 情報発信には慎重な風土があ っ た 。 し か し その
中で も 「 言え ない こ と は言わないが 、 言え る こ と は積極的発信し てい こ う 」 と 言 う 方針
で 、 社内の空気を 外向き にす る こ と に取 り 組んでい る 。 例えば 、 社長をは じ め と する 経営
陣に積極的にマ ス コ ミ 対応を し て も ら っ た り 、 社内の様々な人に取材や記者発表の場に登
場し て も ら う こ と で 、 広報活動の大切さ や 、 難し さ 、 そ し て重要性を 感じ て も ら い 、 徐々
に企業全体が広報活動に慣れ る よ う な取 り 組みを 行っ てい る 。
2 つ目は 、 テ レ ビ CM を 中心と し た企業イ メ ージ を ア ピールする 広告活動への取 り 組み
であ る 。 「 村田製作所は何を セ イ サ ク し てい る のだろ う 」 と い う 印象的な CM をは じ め 、
「 村田製作所 」 「 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 」 「 メ ーカー 」 と い う 根本的な メ ッ セージ を 、 複数の
ビ ジ ュ アルや広告媒体な ど を 通じ て繰 り 返す こ と に よ っ て 、 企業名及び企業イ メ ージの浸
透を 図っ てい る 。 ま た若手社員の自主的なプ ロ ジ ェ ク ト に よ っ て生み出さ れた 2 代目の
「 ム ラ タ セ イ サ ク 君 」 を 活用し た一連の コ ミ ュ ニケーシ ョ ン活動も 、 企業イ メ ージの構築
31
にシ ンボルの 1 つ と し て重要な役割を 果た し てい る 。
その結果 、 日経企業イ メ ージ調査で90年には42%だっ た知名度が 、 本格的な広告展開を
開始し た92年には75% 、 さ ら に05年には93%ま で上昇し てい る 。 さ ら に就職意向について
も 90年の 7 %か ら 92年の20%へ 、 さ ら に05年には43% と な り 6 倍に ま で上昇し てい る 。
図表 1-14
ム ラ タ セ イ サ ク 君 と 広 報広 告展 開 ミ ッ ク ス 例
( 出所 ) 左 : 村田 製作 所 WEB サ イ ト よ り 引用
( 出所 ) 右 : 大島 ( 2007 ) 23 ペ ー ジ よ り 引用
図表 1-13
村 田製 作所 の 企業 イ メ ー ジ 指標 推移
( 出所 ) 大島 ( 2007 ) 22 ペ ー ジ よ り 作成
32
1 つ目のケ ン ウ ッ ド は B to C 企業であ る が 、 企業のブ ラ ン ド のデザ イ ンが 、 人材市場に
影響を 与え てい る こ と を 示し てい る 。 ま た 2 つ目の村田製作所の事例では 、 B to B の企業
に と っ て も 認知度の向上をは じ め と する 企業のブ ラ ンデ ィ ン グが 、 人材市場に好影響を 与
え てい る こ と を 示し てい る 。 以上の 2 つの事例か ら は 、 企業のブ ラ ンデ ィ ン グが人材市場
へ好影響を 与え る こ と 、 さ ら にその効果にブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が影響し てい る のではな
いか と い う こ と 、 ま たそれが B to B の企業において も 有効なのではないか と い う こ と が示
唆さ れてい る 。
確かに こ れま でに 、 B to B のブ ラ ンデ ィ ン グにおいて影響する 要素や B to C のブ ラ ン ド
要素に関する 研究 、 ま た企業のブ ラ ンデ ィ ン グの人材市場への影響について検証さ れた研
究は様々な も のがな さ れてい る 。 し か し B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グについて 、 人材市場
への効果の側面か ら 検証さ れた研究 、 さ ら にはその効果を ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性の面か ら
検証し た研究は こ れま でな さ れていない 。
33
第 2 章 仮説と調査方法の設計
第1 節 仮説の設定
第1 項 ロゴマークの性質の違いによる影響
本論文では 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド の
デザ イ ン 性 」 の関係に注目する こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン
ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではない
か 。 」 と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かにする
ために 、 仮説を 大き く 3 つの視点か ら 設定し てい る 。
それは 「 ロ ゴマー ク の性質の違いに よ る 影響 」 「 企業の性質の違いに よ る 影響 」 「 調査
対象の属性の違いに よ る 影響 」 であ る 。 こ の 3 の視点か ら 、 企業の評価に影響を 与え る と
考え ら れ る 要因を 組み合わせて検証を 行 う こ と で 、 様々な角度か ら B to B 企業のブ ラ ンデ
ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。
図 2-1
仮説 を 構 築す る 3 つ の 視 点
ロ ゴマー ク の性質の違いに よ る 影響と し て 、 まずロ ゴマー ク の存在の有無に よ っ て 、 企
業の評価が影響を 受け る のではないか と い う 仮説を 設定し てい る 。 そ も そ も ロ ゴマー ク の
存在その も のが企業の評価に影響を 与え る のではないか と 考え たのは 、 次の 2 つの理由に
よ る 。 1 つ目は Aaker ( 1991 ) が指摘する よ う に 、 非常に似通っ た企業や製品の違いを 認
識する 際や 、 サービ ス の よ う に形の無い も のの品質の認識や差別化には 、 シ ンボルがブ ラ
34
ン ド ・ エ ク イ テ ィ の中心的な要素 、 つま り シ ンボルがあ る ブ ラ ン ド を 差別化する 際の中核
的な特性と な り う る も のだか ら であ る 。 2 つ目は芳賀 、 八ツ 橋 ( 2002 ) が指摘し てい る 、
ロ ゴのブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ 構築への貢献であ る 。 芳賀 、 八ツ 橋 ( 2002 ) は ロ ゴのブ ラ ン
ド ・ エ ク イ テ ィ 構築への貢献と し て次の 5 つのポ イ ン ト を 挙げてい る 。 1 つ目は 、 ロ ゴの
視覚表現的な性質と 記憶可能性と の結びつき であ る 。 こ のため ロ ゴは記憶可能性を 高め
る 、 つま り ブ ラ ン ド を 覚えやす く する こ と に よ っ て 、 購買場面や消費場面で当該ブ ラ ン ド
を 消費者に容易に思い出さ せ る と い う 機能を 持つ 。 2 つ目は 、 ロ ゴが製品カ テ ゴ リ ーの性
質やブ ラ ン ド の属性 ・ ベネ フ ィ ッ ト と いっ た意味性を 備え てい る ため 、 マーケ テ ィ ン グ ・
コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン活動の負担軽減につなが る 点であ る 。 3 つ目は 、 国境や文化に と ら わ
れ る こ と の尐ない ロ ゴは 、 グ ロ ーバルなブ ラ ン ド 構築におけ る 地理的な移転可能性の向上
につなが る 点であ る 。 4 つ目は 、 他のブ ラ ン ド 要素に比べて ロ ゴは新し いデザ イ ン を 加え
る こ と に よ る 変更が容易な点であ る 。 こ のため ロ ゴの更新に よ っ て時代に合わせたブ ラ ン
ド ・ イ メ ージの変更が可能であ る 。 5 つ目は 、 ロ ゴが商標登録で き る ため法的な防御が可
能であ る 点であ る 。 芳賀 、 八つ橋 ( 2002 ) は こ の 5 つを 挙げ 、 ロ ゴマー ク がブ ラ ン ド ・ エ
ク イ テ ィ の構築において非常に重要な要素であ る こ と を 指摘し てい る 。 以上よ り 、 まずは
ロ ゴマー ク の存在の有無その も のが企業への評価に影響し てい る と 考え 、 下記の 2 つの仮
説を 設定し た 。
仮説 1-1
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て も 、 ロ ゴマー ク を 有する 企業の方
が有し ていない企業よ り も よ り も 、 学生か ら 就職活動対象の企業と し て高
い順位で選ばれ る 。
仮説 1-2
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て も 、 ロ ゴマー ク を 有する 企業の方
が有し ていない企業よ り も よ り も 、 学生か ら 就職活動対象の企業と し て 、
印象・興味・調査意欲・説明会・エントリーにおいて高い評価を受ける。
さ ら に ロ ゴマー ク の性質に関する 仮説と し て 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低に よ っ て
企業の評価が影響を 受け る のではないか と い う 仮説を 設定し てい る 。 ロ ゴマー ク のデザ イ
ン 性の高低が企業の評価に影響を 与え る のではないか と 言 う 仮説を 設定し たのは 、 日経就
職ガ イ ド 担当 ( 2001 ) 、 川島 ( 2009 ) 及びモ ゾ タ 、 河内 、 岩谷 、 長沢 ( 2010 ) に よ る 。
35
日経就職ガ イ ド 担当 ( 2001 ) では 、 優秀な人材を 確保する こ と への企業間の競争が激化
する 中では 、 企業の理念やア イ デン テ ィ テ ィ をはっ き り と 学生に示す こ と がで き る 企業こ
そが勝ち残っ ていけ る と の指摘があ り 、 コ ーポ レー ト ・ ブ ラ ン ド の確立が よ い人材を 確保
する ために も 欠かす こ と ので き ない重要な要素であ る こ と が示さ れてい る 。
ま た川島 ( 2009 ) はブ ラ ン ド の イ メ ージ を 想像し た時に 、 必ず商品のパ ッ ケージや広
告 、 ロ ゴデザ イ ンが同時に想起さ れ る こ と か ら 、 ブ ラ ン ド に まつわ るデザ イ ンが 、 ブ ラ ン
ド ・ イ メ ージの形成において大き な影響力を 持っ てい る こ と を 指摘し てい る 。
さ ら にモ ゾ タ 、 河内 、 岩谷 、 長沢 ( 2010 ) は 、 他と の差異化を よ り 顕在化さ せる ための
手法の一つ と し てデザ イ ン 性の重要性を 指摘し てい る 。 モ ゾ タ ら は 、 「 デザ イ ン 形態
( design-form ) 」 は 、 その視覚的イ メ ージに よ っ て心理的な イ メ ージ ( 心像 ) を 描 く 過程
を 活性化さ せる と し 、 市場競争において他社製品と の差異化が難し い と き 特に重要と な る
と し てい る 。 「 デザ イ ン 形態 ( design-form ) 」 の認知的な知覚は ( 1 ) 製品やブ ラ ン ド 、
売 り 場 、 事業についての消費者の信用 。 ( 2 ) 品質 、 耐久性 、 価格に見合 う 価値 ( コ ス
ト ・ パフ ォーマ ン ス ) と いっ た消費者評価 、 お よび よ り 高い価格で買 う 場合の消費者の性
癖 。 ( 3 ) 情報 ( 機能と 審美の双方 ) に対する 消費者の解釈 。 デザ イ ン 形態はそれを 通し
て顧客がその製品やア イ デア を 初めて経験し 、 評価する 最初の接点であ る 事が示さ れてい
る 。 以上よ り ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低が企業の品質の違いの認識に影響し てい る と
考え ら れ る ため 、 下記の 2 つの仮説を 設定し た 。
仮説 2-1
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てい る 場合 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 高い企業の方がデザ
イ ン 性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業よ り も 、 学生か ら 就職活動対象の企
業と し て高い順位で選ばれ る 。
仮説 2-2
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てい る 場合 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 高い企業の方がデザ
イ ン 性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業よ り も 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説
明会 ・ エ ン ト リ ーにおいて高い評価を 受け る 。
36
さ ら にゴマー ク の性質に関する 仮説と し て 、 ロ ゴマー ク が表現する 企業の特性の度合い
に よ っ て 、 企業の評価が影響を 受け る のではないか と い う 仮説を 設定し てい る 。 こ の仮説
を 設定し たのは 「 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ と は 、 ブ ラ ン ド 、 その名前やシ ンボル と 結びつい
たブ ラ ン ド の資産と 負債の集合であ る 。 資産ま たは負債がブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の基礎に
な る ためには 、 製品やサービ ス がブ ラ ン ド の名前かつま たはシ ンボルに関連し ていなけれ
ばな ら ない 。 」 ( Aaker 1991 ) か ら であ る 。
さ ら に深見 ( 1991 ) が企業イ メ ージ を 構成する 2 つの要素と し て 、 ( 1 ) 企業が提供す
る 製品やサービ ス の質を 通し て培われ る 「 受け手の実体験に よ る イ メ ージ 」 。 そ し て
( 2 ) 「 視覚的表現や音に よ っ て培われ る イ メ ージであ る 感覚的印象 」 の 2 つを 挙げてお
り 、 幅広い社会に好ま し い イ メ ージ を 形成する 上で 、 こ の感覚的印象が重要な働き をする
こ と を 指摘し てい る 。 そ し て こ の感覚的印象の核と な る も のが コーポ レー ト ・ シ ンボルで
あ る と し てい る 。 以上よ り ロ ゴマー ク が表現する 企業の特性の度合いに よ っ て 、 企業の評
価が影響を 受けてい る と 考え 、 下記の 2 つの仮説を 設定し た 。
仮説 3-1
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てい る 場合 、 企業の特性を よ り 表現し た ロ ゴマー ク を 有する 企業のほ う
が 、 学生か ら 就職活動対象の企業と し て高い順位で選ばれ る 。
仮説 3-2
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てい る 場合 、 企業の特性を よ り 表現し た ロ ゴマー ク を 有する 企業のほ う
が 、 学生か ら 就職活動対象の企業と し て 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明
会 ・ エ ン ト リ ーにおいて高い評価を 受け る 。
ま た上記の仮説 1-1 か ら 仮説 3-2 ま でが成立する のであれば 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性
と 就職活動の対象と し て興味を 感じ る 企業の順位には相関関係があ る と 言え る のではない
か と 考え下記の仮説を 設定し た 。
仮説 4-1
ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 興味を 感じ る 企業の順位には相関関係があ る 。
37
第2 項 企業の性質の違いによる影響
次に企業の性質の違いに よ る 影響と し て 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低に加え て企業
規模の違いに よ っ て 、 評価が影響を 受け る のではないか と い う 仮説を 設定し てい る 。 ロ ゴ
マー ク のデザ イ ン 性の高低に加え て企業規模の違いが影響を 与え る のではないか と 考えた
のは 、 柘植 ( 2007 ) や安田 ( 2006 ) が指摘し てい る よ う に 、 最近の学生が重視する 項目が
変わ り つつあ る こ と が挙げ ら れ る 。
以前であれば 、 給料を 中心と する 待遇や労働条件が何よ り 重視さ れていたが 、 現在では
労働条件への 「 プ ラ ス アルフ ァ 」 が重要と な っ て き てい る 。 つま ら なそ う な会社やつ ら そ
う な会社 、 興味のない会社には見向き を し ない と い う 傾向があ る 一方で 、 大企業か ら 内定
を も ら っ て も 、 面白そ う だ と 思えばベンチ ャ ー企業や名も ない中小企業に就職する 学生も
お り 、 企業の ス テータ ス よ り も 自己実現の要求の方が高ま っ てい る と いえ る 。
以上よ り 企業規模は一概に大き ければよ い と い う わけではな く な り つつあ る 。 企業規模
だけではな く 、 企業の イ メ ージに も 大き く 影響を 受けてい る のではないか 。 その傾向が特
に将来性の ま だ未確定なベンチ ャ ー企業の方が強いのではないか と 考え 、 下記の 2 つの仮
説を 設定し た 。
仮説 5-1
同業種であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有し てい る 場合 、 規模の大
き な企業の方が学生か ら 就職活動対象の企業と し て 高い順位で選ばれ る 。
仮説 5-2
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てい る 場合 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ンが良い企業の方が悪い企業よ り も 人
気があ る 。 こ の傾向が 、 大企業よ り も 中小企業 ・ ベンチ ャ ー企業のほ う が
顕著であ る 。
第3 項 調査対象の属性の違いによる影響
次に調査対象の調査対象の属性の違いに よ る 影響と し て 、 調査対象の性別や文系 ・ 理系
な ど の属性の違いに よ っ て も 、 企業の評価が影響を 受け る のではないか と い う 仮説を 設定
し てい る 。 まず 、 調査対象の性別の違いに よ っ て企業の評価が影響を 受け る のではないか
38
と 考え たのは 、 Pease and Peas ( 2001 ) が指摘し てい る よ う に 、 そ も そ も 男性と 女性ではホ
ルモ ンのバ ラ ン ス な ど の影響に よ っ て 、 脳の働き 方が異な る か ら であ る 。 こ のため女性の
方が鋭敏な感覚や豊かな表現力を 有し てい る のに対し 、 男性は よ り 論理的で空間把握能力
に優れ る な ど 、 その特性に違いがあ る 。 さ ら に Pease and Pease ( 2001 ) の研究を 元に し た
三田 、 伊藤 、 指宿 ( 2007 ) の研究に よ っ て 、 日本において も 男女の思考パ タ ーンに違いが
あ る こ と が明ら かに さ れてい る 。 上記よ り 、 男性よ り も 女性の方がデザ イ ン 的な イ メ ージ
の影響を 受けやすいのではないか と 考えた 。 ま た竹内 ( 2009 ) に も あ る よ う に 、 文系 ・ 理
系において も 思考パ タ ーンに違いがあ る こ と か ら 、 よ り 論理的 ・ 分析的な傾向が強い理系
よ り も 、 文系の方がデザ イ ン 的な イ メ ージの影響を 受けやすいのではないか と 考え た 。 上
記よ り 下記の 2 つの仮説を 設定し た 。
仮説 6-1
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てお り 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 高い企業の方と デザ イ ン
性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業が存在する 場合 、 女性の方が男性よ り も
ロ ゴマー ク のデザ イ ン性の高低に評価が影響を 受け る 。
仮説 6-2
同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有
し てお り 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 高い企業の方と デザ イ ン
性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業が存在する 場合 、 文系の方が理系よ り も
ロ ゴマー ク のデザ イ ン性の高低に評価が影響を 受け る 。
第2 節 調査方法の設計
第1 項 調査の目的と調査方法
本論文は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデ
ザ イ ン 性 」 の関係に注目する こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド
のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではないか 。 」
と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かに し よ う と 試
みてい る 。
39
本研究では 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 について調査を
行 う ために 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの効果の 1 つであ る 「 人材市場に対する 効果 」
に注目し てい る 。 そ し て こ の人材市場への効果において B to B 企業の コ ーポ レー ト ・ ブ ラ
ン ド におけ るデザ イ ン 性の影響を 検証する こ と に よ っ て 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グに
おけ るデザ イ ン 性の影響の一端を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。 本研究では上記の検証を
行 う ために下図の様な予備調査及び本調査を 計画し てい る 。
図表 2-2
本研究の 調 査 概要
予備調査・本調査の構成
対象
調査
予備調査
予備調査(1)
大学院生1名
学生が就職活動時に重視する企業情報
予備調査(2)
大学院生16名
就職活動で重視する企業イメージ
予備調査(3)
社会人4名
調査に使用するロゴマークのデザイン性の確認
仮説1-1、仮説1-2、仮説2-1、仮説2-2の検証を行うことを
目的としたグループ
調査A
本調査
内容
調査B
学部生195名
仮説3-1、仮説3-2の検証を行うことを目的としたグループ
仮説5-1、仮説5-2、仮説6-1、仮説6-2の検証を行うことを
目的としたグループ
調査C
は じ めに調査票を 作成する ための予備的な調査と し て 「 予備調査 ( 1 ) 」 「 予備調査
( 2 ) 」 「 予備調査 ( 3 ) 」 の 3 つの予備調査を 計画し てい る 。 1 つ目の予備調査 ( 1 )
は 、 学生が企業情報について就職活動時に重視する 項目についての調査であ る 。 こ の調査
を 実施する のは 、 調査票を 作成する 際に説明変数以外の要素の影響を 最小限に抑え ら れ る
よ う に配慮を 行 う ためであ る 。 2 つ目の予備調査 ( 2 ) は 、 大学生が就職活動をする 際に
重視する 企業イ メ ージについての調査であ る 。 こ れは実験に使用する ロ ゴマー ク を 作成す
る 際に 、 被験者が ロ ゴマー ク を 評価する 際の 「 よ い ロ ゴマー ク の基準 」 と な る 方向性を 探
る ためであ る 。 3 つ目の予備調査 ( 3 ) では 、 上記の予備調査 ( 1 ) や予備調査 ( 2 ) な
ど の結果を も と に作成し た本調査で使用する ロ ゴマー ク が 、 意図通 り に作成さ れてい る か
ど う かを 確認する ための調査であ る 。 こ れに よ り 特に ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低が正
し く 認識さ れ る かの確認を 行 う 。
次に 、 本調査では 「 ロ ゴマー ク の性質の違いに よ る 影響 」 「 企業の性質の違いに よ る 影
40
響 」 「 調査対象の属性の違いに よ る 影響 」 の 3 つの視点で設定し た仮説の検証を 行 う ため
に 、 調査票を 用いた質問紙法に よ る 以下の本調査を 計画し てい る 。
本調査の調査内容は大き く 「 調査A 」 「 調査B 」 「 調査C 」 の 3 つのグループで構成さ
れてい る 。 1 つ目の 「 調査A 」 のグループは仮説 1-1 、 仮説 1-2 、 仮説 2-1 、 仮説 2-2 の
検証を 行 う こ と を 目的と し たグループであ る 。 こ のグループでは 「 紙 ・ パルプ業界 」 を 想
定し 、 売上高や資本金 、 従業員数な ど がほぼ同等規模の企業で 、 説明変数であ る ロ ゴマー
ク だけ を 、 「 ロ ゴマー ク が無い企業 」 「 ロ ゴマー ク はあ る がデザ イ ン 性が低い企業 」 「 ロ
ゴマー ク があ り デザ イ ン 性も 高い企業 」 の 3 種類に変化さ せた 2 社ずつ 、 合計で 6 社の人
材募集を 行っ てい る 企業の企業概要を 提示し てい る 。 それぞれ 2 社ずつ設定し てい る の
は 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の認識の個人差を 想定し た予備のためであ る 。
2 つ目の 「 調査B 」 のグループは仮説 3-1 、 仮説 3-2 の検証を 行 う こ と を 目的と し たグ
ループであ る 。 こ のグループでは 「 繊維 ・ 素材業界 」 を 想定し 、 売上高や資本金 、 従業員
数な ど がほぼ同等規模の企業で 、 説明変数であ る ロ ゴマー ク だけ を 、 「 企業の特性を よ り
表現し た ロ ゴマー ク 」 「 企業特性を 表現し ていない ロ ゴマー ク 」 の 2 種類に変化さ せた 3
社ずつ 、 合計で 6 社の人材募集を 行っ てい る 企業の企業概要を 提示し てい る 。
3 つ目の 「 調査C 」 のグループは仮説 5-1 、 仮説 5-2 、 仮説 6-1 、 仮説 6-2 の検証を 行
う こ と を 目的と し たグループであ る 。 こ のグループでは 「 化学 ・ 樹脂業界 」 を 想定し 、 売
上高や資本金 、 従業員数な ど を 変化さ せ企業規模を 「 大企業 」 「 中小企業 」 「 ベンチ ャ ー
企業 」 の 3 種類に設定し 、 さ ら にそれぞれの企業規模において説明変数であ る ロ ゴマー ク
を 「 ロ ゴマー ク はあ る がデザ イ ン 性が低い企業 」 「 ロ ゴマー ク があ り デザ イ ン 性も 高い企
業 」 の 2 種類ずつを 作成し 、 合計で 6 社の人材募集を 行っ てい る 企業の企業概要を 提示し
てい る 。 さ ら に最後に調査に使用し た全18社の ロ ゴマー ク のみを 提示し 、 その ロ ゴマー ク
のデザ イ ン 性について も 評価を 行っ て も ら う 。 こ の評価と 上記の 「 調査A 」 「 調査B 」
「 調査C 」 の 3 つのグループの順位の評価を 用いて 、 仮説 4-1 の仮説検証を 行 う 計画であ
る。
41
第2 項 調査対象と調査に使用する業界の設定
本研究では B to B ブ ラ ン ド の 「 人材市場へのア ピール 」 面での効果に注目し てい る こ と
か ら 、 日本で最も 大き な人材市場であ る 「 新卒採用 」 を 想定し て調査を 行 う こ と と し た 。
そ こ で就職活動を こ れか ら 控え た 、 も し く は現在行っ てい る 、 ま たは終了し た直後の 、 大
学 3 年生 ・ 4 年生を 調査対象と し て選択し てい る 。
ま た調査では 「 紙 ・ パルプ業界 」 「 繊維 ・ 素材業界 」 「 化学 ・ 樹脂業界 」 の 3 つの業界
を 想定し た調査を 行っ てい る が 、 こ の業界の選定は嶋村 ( 2009 ) 及びMudambi ( 2002 ) を
参考に行っ てい る 。 一口に B to B 企業と いっ て も 、 嶋村 ( 2009 ) が B to B マーケテ ィ ン グ
と B to C マーケテ ィ ン グの違いの中で指摘し てい る よ う に 、 B to B 市場を 構成する 商品 ・
サービ スは非常に範囲が広 く 複雑であ る 。 そ こ で今回調査をする にあた っ てはMudambi
( 2002 ) の研究を 参考に し 、 B to B を 代表する 業界と し て 「 素材産業 」 を 選択し た 。
Mudambi ( 2002 ) は研究の中で 、 B to B の代表的な製品を 抽出する ために 、 「 平均購入頻
度であ る 」 「 ISO 製品標準が確立し てい る 」 「 複数購買が一般的であ る 」 「 そ し て産業間
取引であ る 」 の基準を 用いて 、 B to B の代表的な製品を 製造する 業界と し て 「 素材 メ ーカ
ー 」 を 導き 出し 、 さ ら に こ の基準を 応用し て具体的な製品ま で絞 り 込みを 行っ てい る 。 本
研究では複数の業態を 用いて調査を 行 う 狙いか ら 、 「 素材産業 」 と い う 業界ま での大ま か
な絞 り 込みに と ど め 、 「 素材産業 」 を 代表する 業界と し て 「 紙 ・ パルプ業界 」 「 繊維 ・ 素
材業界 」 「 化学 ・ 樹脂業界 」 の 3 つを 設定し た 。
第3 項 ブランドを象徴する要素の設定
本研究では 、 ブ ラ ン ド を 象徴する 要素し て 「 ロ ゴマー ク 」 を 選択し てい る 。 Keller
( 2008 ) が言 う よ う に 、 ブ ラ ン ド 要素と はブ ラ ン ド ・ ア イ デン テ ィ テ ィ を 構成し 、 ブ ラ ン
ド を 識別し 差別化する のに有効で商標登録可能な手段であ る 。 ブ ラ ン ド 要素は主な も のだ
けで も 「 ブ ラ ン ド ・ ネーム 」 「 URL 」 「 ロ ゴ 」 「 シ ンボル 」 「 キ ャ ラ ク ター 」 「 ス ポー ク
スパー ソ ン 」 「 ス ロ ーガン 」 「 ジ ン グル 」 「 パ ッ ケージ 」 「 サ イ ネージ ( 記号 ) 」 を 挙げ
る こ と がで き る 。 こ の よ う に一口にブ ラ ン ド 要素と いっ て も 様々な も のが存在する 中で
「 ロ ゴマー ク 」 を その代表と し て選んだ事には 、 大き く 2 つの理由があ る 。
1 つ目の理由は 、 Aaker ( 1991 ) が提唱し てい る 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の概念であ
42
る 。 Aaker ( 1991 ) は 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ はブ ラ ン ド ・ ロ イ ヤ リ テ ィ 、 ブ ラ ン ド 認
知 、 知覚品質 、 ブ ラ ン ド 連想 、 他の所有権のあ る ブ ラ ン ド 資産の 5 つか ら 成る ブ ラ ン ド の
価値だ と し 、 こ のブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ は 、 ブ ラ ン ド の名前やシ ンボル と 結びついたブ ラ
ン ド の資産と 負債の集合であ る と 説明し てい る 。 そ し て こ の資産ま たは負債がブ ラ ン ド ・
エ ク イ テ ィ の基礎にな る ためには製品やサービ ス が 、 ブ ラ ン ド の名前やシ ン ボルに関連し
ていなければな ら ない 、 と し てお り 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ を 構成する 中核の要素と し て
ブ ラ ン ド の名前やシ ンボルがあ る こ と を 指摘し てい る 。
2 つ目の理由は調査方法であ る 。 本調査では被験者に複数の企業を 同時に提示し て 、 そ
の評価を 回答し て も ら う 方法を 採用し てい る 。 こ のため 「 キ ャ ラ ク ター 」 や 「 ス ポー ク ス
パー ソ ン 」 と い う よ う な 、 保有し てい る 企業と いない企業があ る よ う な要素を 採 り 上げ る
こ と が難し い 。 つま り 本調査で用い る ブ ラ ン ド 要素には 、 あ る ブ ラ ン ド を 象徴する よ う な
要素であ る と 同時に 、 ど の企業で も 保有し てい る よ う な要素であ る と い う 特性が必要にな
る 。 以上よ り 、 本調査においてはブ ラ ン ド を 象徴する ブ ラ ン ド 要素と し て多 く の企業が一
般的に保有し てい る と 考え ら れ る 「 ロ ゴマー ク ( 「 ロ ゴ 」 と 「 シ ンボル 」 を 内包する ) 」
を 用い る こ と と し た 。
43
第 3 章 予備調査及び調査票の作成
第1 節 予備調査
第1 項 予備調査(1) 学生が就職活動時に重視する企業情報
調査票の作成に際し 、 学生が 「 企業情報について就職活動時に重視する 項目 」 について
聞取 り 調査を 行っ た 。 こ れは企業情報について就職活動時に重視する 項目を 事前に整理す
る こ と で 、 説明変数以外の要因に よ る 影響を 最小限に抑え る 事を 目的と し てい る 。
予備調査 ( 1 ) は 、 こ れ ら か ら 就職活動を 控えた都内の大学に通 う 大学院 1 年生 1 名に
対し 1 対 1 の対面式で聞取 り 調査を 行っ た 。 こ の聞取 り 調査の結果 、 就職活動を 行 う 学生
が企業を 調査も し く は選択する 際に一番重視し てい る 項目は 、 ほ と んど が 「 1 番目 : 分野
( 業界 ・ 職種 ) 」 「 2 番目 : 知名度 」 「 3 番目 : 企業の規模 」 「 4 番目 : 企業の雰囲気や
イ メ ージ 」 の 4 つの要素であ り 、 順番も ほぼ こ の通 り であ る こ と が判明し た 。 ただ 1 番
目 : 分野 ( 業界 ・ 職種 ) については 、 最初に業界か ら 範囲を 狭め る 場合も あれば 、 付き た
い職種 ( 営業や研究開発な ど ) か ら 狭め る 場合も あ る ので 、 ど ち ら が先かは状況に よ っ て
違い 、 一概には言い き れない よ う であ る 。 し か し なが ら 大き な要素 ・ 順位と し ては
「 1
番目 : 分野 ( 業界 ・ 職種 ) 」 「 2 番目 : 知名度 」 「 3 番目 : 企業の規模 」 「 4 番目 : 企業
の雰囲気やイ メ ージ 」 であ る こ と が確認で き た 。 以上の結果か ら 調査票の作成時において
は 、 主な説明変数であ る 「 ロ ゴマー ク 」 に関連する 「 4 番目 : 企業の雰囲気や イ メ ージ 」
以外の 、 「 1 番目 : 分野 ( 業界 ・ 職種 ) 」 「 2 番目 : 知名度 」 「 3 番目 : 企業の規模 」 に
ついてそれぞれの影響が最小限にな る よ う に 、 配慮を 行 う 必要があ る こ と が判明し た 。
図 3-1
学生が 就 職活 動 時に 重視す る 企業 情報
予備調査(1)
順位
項目
1位
分野(業界・職種)
2位
知名度
3位
企業の規模
4位
企業の雰囲気やイメージ
44
第2 項 予備調査(2) 就職活動で重視する企業イメージ
本研究の調査は 、 架空の企業と その ロ ゴマー ク を 被験者に見せ 、 その企業を 就職活動生
の立場か ら 評価し て も ら う も のであ る 。 そ こ で実験に使用する ロ ゴマー ク を 作成する ため
に予備調査 ( 2 ) を 行っ た 。 予備調査 ( 2 ) は実験に使用する ロ ゴマー ク を 作成する ため
に 、 被験者であ る 学生が ロ ゴマー ク を 評価する 際の 「 よ い ロ ゴマー ク の基準 」 と な る 方向
性を 決定する こ と が目的であ る 。 そ こ で予備調査 ( 2 ) では大学生が就職活動をする 際に
重視する 企業イ メ ージについて 、 被験者であ る 学生に近い人たち を 対象に調査を 行っ た 。
予備調査 ( 2 ) は 、 国立大学で学ぶ学生16名に対し 調査票を 用いた質問紙法に よ っ て調
査を 行っ た 。 調査は 「 日経企業イ メ ージ調査 」 で使用さ れてい る 調査項目の う ち イ メ ージ
に関する 項目 8 個を 抜粋し て学生に提示し 、 就職活動をする 際に重視する 項目を 1 位か ら
3 位ま で各 1 つずつ回答し て も ら う も のであ る 。 分析は 1 位を 3 点 、 2 位を 2 点 、 3 位を
3 点に換算し て集計を 行い 、 その合計点を 比較し た 。 その結果 1 位は 「 信頼性があ る 」 、
2 位は 「 成長力があ る 」 、 3 位は 「 安定性があ る 」 、 4 位は 「 活気があ る 」 が選ばれた 。
以上の結果か ら ロ ゴマー ク を 作成する 際には 、 「 よ い ロ ゴマー ク の基準 」 と し て主に 「 信
頼性があ る 」 「 成長力があ る 」 「 安定性があ る 」 「 活気があ る 」 の イ メ ージ項目を 意識す
る 必要があ る こ と が判明し た 。
図 3-2
就職活動 で 重 視す る 企業 イ メ ー ジ
イメージ項目
信頼性がある
成長力がある
安定性がある
活気がある
親しみやすい
センスがよい
個性がある
伝統がある
1位
15
6
15
6
3
3
0
0
予備調査(2)
2位
6
16
6
4
0
0
0
0
3位
4
1
1
3
3
1
2
1
合計
25
23
22
13
6
4
2
1
(単位:点)
45
第3 項 予備調査(3) ロゴマークのデザイン性の確認
予備調査 ( 3 ) では 、 実験で使用する ロ ゴマー ク が意図通 り に作成で き てい る かを 確認
する ための調査を 行っ た 。 予備調査 ( 3 ) は 、 美術大学でデザ イ ン を 学んだ27歳~28歳の
社会人 4 名に対し 、 調査票を 用いた質問紙法に よ っ て調査を 行っ た 。 調査内容は 、 作成し
た ロ ゴマー ク を グループ 1 、 グループ 2 、 グループ 3 の 3 つのグループに分けて提示し 、
それぞれのグループ内でデザ イ ン 性が高い と 思 う 順番に順位を 付けて も ら う も のであ る 。
結果は 1 位を 6 点 、 2 位を 5 点 、 3 位を 4 点 、 4 位を 3 点 、 5 位を 2 点 、 6 位を 1 点に換
算し て集計を 行い 、 その平均点を 比較し た 。 その結果 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が想定通
り に評価さ れてい る こ と が確認で き た 。
図表 3-3
調査に 使用す る ロ ゴ マ ー ク の デ ザ イ ン 性の 確認
調査グループ
グループ1
グループ2
グループ3
ロゴマーク
ロゴマーク12
ロゴマーク14
ロゴマーク11
ロゴマーク16
ロゴマーク22
ロゴマーク24
ロゴマーク26
ロゴマーク21
ロゴマーク23
ロゴマーク25
ロゴマーク32
ロゴマーク35
ロゴマーク36
ロゴマーク31
ロゴマーク33
ロゴマーク34
予備調査(3)
作成意図
デザイン性が高い
〃 高い
〃 低い
〃 低い
〃 高い
〃 高い
〃 高い
〃 低い
〃 低い
〃 低い
〃 高い
〃 高い
〃 高い
〃 低い
〃 低い
〃 低い
46
平均値
4
2.75
1.75
1.5
5.25
4.75
3
1
3.25
3.75
3.75
5
5.25
2
2.5
2.5
適合性
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
図表 3-4
ロ ゴ マ ー ク の デ ザ イ ン 性の 評価
第2 節 調査票の作成
第1 項 調査票の作成及び調査実施時における配慮点
本研究では 「 ロ ゴマー ク の性質の違いに よ る 影響 」 「 企業の性質の違いに よ る 影響 」
「 調査対象の属性の違いに よ る 影響 」 の 3 つの視点で仮説の設定を 行い 、 こ れ ら の仮説の
検証を 、 調査票を 用いた質問紙法に よ る 調査の結果を 用いて行 う こ と を 計画し てい る 。
調査票の作成及び調査の実施に際し ては 、 予備調査 ( 1 ) の聞取 り 調査の結果を も と
に 、 説明変数以外の要因に よ る 影響を 最小限に抑え る ための工夫を 行っ てい る 。 具体的に
は説明変数以外の要因に よ る 影響を 最小限に抑え る ために 、 主な説明変数であ る 「 ロ ゴマ
ー ク 」 に関連する 「 4 番目 : 企業の雰囲気やイ メ ージ 」 以外の 、 企業情報について就職活
動時に重視する 項目であ る 「 1 番目 : 分野 ( 業界 ・ 職種 ) 」 「 2 番目 : 知名度 」 「 3 番
目 : 企業の規模 」 についてそれぞれ配慮を 行っ てい る 。
「 1 番目 : 分野 ( 業界 ・ 職種 ) 」 の影響で最も 心配さ れ る のは 、 就職活動ではは じ めか
ら 希望の業界 ・ 職種を 限定し てい る 学生が多いため 、 業界 ・ 業種の設定に よ っ ては 、 全 く
関心を 持っ て も ら えず 、 回答し づ ら い 、 も し く は回答を し て も ら え ない危険性があ る こ と
であ る 。 そ こ で業界の設定の影響については 、 本調査実施時の事前ガ イ ダン ス において
47
「 現在 、 採用活動を 行っ てい る 企業が提示し た企業し かない と 仮定 」 し て回答し て も ら う
よ う に指示を 与え る こ と で 、 影響を 最小限に と どめ ら れ る よ う に配慮し た 。 ま た同様の危
険性が想定さ れ る 職種の設定の影響について も 、 調査実施時の事前ガ イ ダン ス において
「 提示し た全ての企業で 、 希望の職種に就け る と 仮定 」 し て回答し て も ら う よ う に指示を
与え る こ と で 、 影響を 最小限に と どめ ら れ る よ う に配慮し た 。
「 2 番目 : 知名度 」 の影響で最も 心配さ れ る のは 、 尐し で も 知名度の高い企業に学生の
評価が集中し て し まい 、 本来の説明変数であ る 「 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性 」 の影響が計測
で き な く な っ て し ま う こ と であ る 。 そ こ で知名度の影響については 、 全て架空の企業を 用
い る こ と で影響を 最小限に と どめ ら れ る よ う に配慮し た 。 し か し こ の場合 、 逆に架空の企
業名が企業選択に影響を 及ぼす可能性も 考え ら れ る 。 そ こ で本調査に使用し た架空の企業
の社名は 、 日本人に多い名字の 1 位~18位ま で を 用い る こ と で 、 社名の違いに よ る 影響を
最小限に抑え ら れ る よ う に配慮し た 。
「 3 番目 : 企業の規模 」 の影響で最も 心配さ れ る のは 、 尐し で も 売上高な ど の数値が高
い企業に学生の評価が集中し て し ま う こ と であ る 。 し か し 逆に 、 全 く 同じ 数値を 使用し て
し ま う と 、 調査意図を 被験者に見抜かれて し ま う 可能性も あ る 。 そ こ で企業規模の影響に
ついては 、 同等の規模に見せたい場合はそれぞれの数値を 僅かだけ変化さ せる こ と で 、 リ
ア リ テ ィ を 演出し なが ら も 影響を 最小限に抑え る よ う に配慮し た 。 ま た本調査実施時の回
答時間に尐し 短めの時間制限を 設け る こ と で 、 イ ン ス ピ レーシ ョ ンで企業選択を 行 う 状況
に近い環境を 作 り 出す こ と で も 、 企業規模の影響を 最小限に抑え る よ う な配慮を 行っ てい
る 。 こ の数値の変化の影響については 、 事前に予備調査を 行っ て 、 僅かな数値の変化であ
ればほ と んど 違いを 見分け る こ と がで き ない と い う こ と を 確認し た 。
第2 項 質問項目
本調査では 3 つの調査グループ 「 調査A 」 「 調査B 」 「 調査C 」 それぞれにおいて 、 大
き く 3 種類の質問を 行っ てい る 。 1 つ目は同時に会社概要が提示さ れ る 6 社について 、 就
職活動の対象と し て興味を 感じ る 順に 、 1 位か ら 6 位ま で順位をつけて も ら う も のであ
る 。 2 つ目は 6 社それそれぞれについて 「 印象 」 「 会社に対する 興味 」 「 会社について調
べてみたいか 」 「 会社説明会に参加し てみたいか 」 「 エ ン ト リ ーを し てみたいか 」 と い う
5 つの項目に 、 5 段階で評価をつけて も ら う も のであ る 。 こ の 5 つの項目は 、 印象か ら 最
48
後はエ ン ト リ ーに至る ま で 、 順に よ り 具体的な活動にな る よ う に段階を 踏んで設定し てい
る 。 3 つ目は 1 つ目の順位について 、 なぜその企業を 1 位に選んだのか 、 その理由を 自由
に記入し て も ら う も のであ る 。
第3 項 調査票の構成
調査票には大き く 次の 2 つの機能が求め ら れ る 。 1 つ目は 3 つの調査グループ 「 調査
A 」 「 調査B 」 「 調査C 」 それぞれにおいて 、 提示さ れ る 6 社の会社概要を 一覧する こ と
がで き る 機能であ る 。 こ れは 6 社の中で就職活動の対象と し て興味を 持つ順番に順位を 付
けて も ら う な ど 、 各社を 比較し なが ら 回答する 項目が存在する か ら であ る 。 2 つ目は リ ク
ナビやエ ン ジ ャ パン な どの就職活動サ イ ト で企業情報を 確認する よ う な実際の状況に近い
企業情報の提示であ る 。 こ れは調査時に よ り 現実に近い感覚で 、 企業を 評価し て も ら う た
めであ る 。 そ こ で調査票は全て フルカ ラ ーで出力し た冊子状の も のを 作成する こ と と し
た 。 ま た 6 社を 一覧し て見ら れ る よ う に 「 調査A 」 「 調査B 」 「 調査C 」 のグループご と
に 2 ページの見開のページで企業情報を レ イ ア ウ ト し てい る 。 調査票の構成は以下の と お
り であ る 。
図表 3-5
調 査票 の ペ ー ジ 割 概略
1ページ目
2ページ目
3ページ目
表紙
調査対象の
属性に関する
質問項目
調査A
中表紙
6ページ目
7ページ目
無地
調査B
中表紙
10ページ目
11ページ目
無地
調査C
中表紙
4ページ目
5ページ目
調査A
6社の企業情報と
質問項目
8ページ目
9ページ目
調査B
6社の企業情報と
質問項目
12ページ目
13ページ目
調査C
6社の企業情報と
質問項目
49
第4 項 ロゴマークの作成における色や形の設定
本研究においては 、 各企業の ロ ゴマー ク を 説明変数と し て設定し 、 その有無やデザ イ ン
の良し 悪し が 、 企業の評価にど の よ う な影響を 与え る かについて調査を 行っ てい る 。 こ の
調査においては 、 説明変数であ る ロ ゴマー ク が非常に重要な役割を 果たす こ と にな る が 、
その ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低と い う 認識には個人差があ る 。 そのため本研究の調査
で使用し た ロ ゴマー ク の作成においては先行研究を 参考にする と と も に 、 デザ イ ン 性につ
いては予備調査に よ っ て事前に意図通 り に認識さ れてい る かど う かの確認を 行っ てい る 。
ロ ゴマー ク の作成においては 、 ロ ゴマー ク を 構成する 基本的な要素であ る 「 色 」 と 「 形 」
それぞれに対し て工夫を 行っ てい る 。
まず 「 色 」 については 、 認識や連想する イ メ ージについて個人差があ る と い う 点が課題
と し て挙げ ら れ る 。 Thomas, Hewett, and Roth ( 2000 ) や Mubeen ( 2006 ) の研究では 、 色
に対する イ メ ージや解釈は国や異文化間において異な る こ と が明ら かに さ れてい る 。 ま た
羽城 、 高橋 ( 2009 ) が行っ てい る 色の好みの傾向やス タ イ ルについての研究では 、 嫌悪さ
れ る 色は突出し て評価が一致する こ と や 、 色嗜好ス タ イ ルがど の色も ま んべんな く 好む タ
イ プ ( 全体嗜好型 ) と 特定の色を 選 り 好みする タ イ プ ( 特定嗜好型 ) に分かれ る な ど 、 色
の好みにあ る 程度の傾向があ る こ と が指摘さ れてい る 。 し か し こ れに当てはま ら ない事例
が多々あ る こ と も 同時に指摘さ れてお り 、 日本人の間において も 個人に よ っ て色の好みや
イ メ ージは様々であ る と いえ る 。 ロ ゴマー ク を 評価し て も ら う 際に も 、 デザ イ ン 性の高低
や企業特性の表現性の要因以外に 、 こ の 「 色に対する 個人の好み 」 が影響し て し ま う 可能
性があ る 。 そ こ で こ の様な色の影響を 最小限に抑え る ため 、 ロ ゴマー ク の作成にあた っ て
は 「 調査 A 」 「 調査B 」 「 調査C 」 のそれぞれのグループご と にテーマ色を 設けて 、 6 社
の色の方向性を そ ろ え る こ と で 、 影響を 最小限に抑え ら れ る よ う に配慮を 行っ た 。
次に 「 形 」 については 、 Henderson and Cote ( 1998 ) や Kohli and Rajneesh ( 2002 ) な ど を
参考に作成を し てい る 。 前述で も 紹介し た よ う に 、 Henderson and Cote ( 1998 ) は ロ ゴのデ
ザ イ ン 特性について よ り 詳細な検討を 行い 、 マネージ ャ ーが良い企業イ メ ージの構築を 目
指し て企業の ロ ゴ を 選定も し く は修正する 際の指針と な る ガ イ ド ラ イ ン を 提供し てい る 。
こ のHenderson and Cote ( 1998 ) の研究はア メ リ カで行っ た調査を も と に し た も のであ る
が 、 Henderson, Coteb, Leongc and Schmittd ( 2003 ) が同様の方法を 用いてシン ガポール及び
中国で行っ た研究で も 、 デザ イ ン と 強い関連性を 示す要素の多 く が 、 Henderson and Cote
( 1998 ) のア メ リ カでの調査結果と 類似性を 有し てい る こ と が明ら かに さ れてい る 。
50
ま たKohli, Rajneesh ( 2002 ) では 、 過去の文献の レ ビ ューを 通じ て以下の よ う な 6 つの ロ
ゴ 作成のためのガ イ ド ラ イ ン を 提示し てい る 。
( 1 ) イ メ ージは重大な影響力があ る ので慎重に選ぶ こ と 。 ( 強い イ メ ージ を 作る に
は長い時間がかか る 。 し か し それ と 同じ く ら い イ メ ージ を 払拭する のに も 時間
がかか る 。 )
( 2 ) 大き な視野を 持つ こ と 、 そ し て時代を 越え てブ ラ ン ド の複数の要素間での一貫
性を 確実に維持で き る よ う する こ と 。 ( ブ ラ ン ド ア イ デン テ ィ テ ィ のすべての
要素が一貫性を 持つ こ と が 、 よ り 強いブ ラ ン ド イ メ ージの構築に貢献す る 。 )
( 3 ) 変え ら れ る も の と 、 変え ら れない も のを よ く 把握する こ と 。 も し ロ ゴマー ク を
変え る な ら ば 、 ブ ラ ン ド 戦略の変更に よ っ て正当化さ れ る よ う な内容の変更
や 、 時代の変化に合わせて ス タ イ ルを ア ッ プデー ト し たほ う が よ い と 感じ た
時 、 に変え るべき であ る 。
( 4 ) 流行に合わせて 、 月ご と に変え る よ う な こ と は し ない こ と 。
( 5 ) ブ ラ ン ド の管理は組織的に 、 そ し て客観的に行 う こ と 。 ロ ゴはマーケ テ ィ ン グ
コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンの目標に合わせて作る こ と 。
( 6 ) デザ イ ナーの感覚だけに頼ら ずに 、 ロ ゴ も 市場テ ス ト を 行 う こ と 。
その他に も ロ ゴマー ク の作成には 、 中川編 ( 2008 ) や三嶋編 ( 2009 ) 、 オブ ス キ ュ ア イ
ン ク ( 2010 ) な ど のデザ イ ン 関連の書籍を 参考に し てい る 。
本研究では 「 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 」 と 「 デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 」 を 作 り
分けたい と い う 意図か ら 、 特にHenderson and Cote ( 1998 ) が提示する ガ イ ド ラ イ ンの中の
「 ハ イ ・ イ メ ージの ロ ゴ 」 作成時のア ド バ イ ス に注目し てい る 。 こ の 「 ハ イ ・ イ メ ージの
ロ ゴ 」 においては 、 推奨する ロ ゴのデザ イ ン 要素と し て 「 ナチ ュ ラ ル 」 「 ハーモニー 」
「 精密 ( 洗練 ) 」 の 3 つの要素がア ド バ イ ス さ れていた 。 そ こ で 、 本研究におけ る ロ ゴマ
ー ク は特に こ の 3 つの要素を 意識し て作成し た 。 ま た上記以外に も ロ ゴマー ク の作成に
は 、 中川編 ( 2008 ) や三嶋編 ( 2009 ) 、 オブ ス キ ュ ア イ ン ク ( 2010 ) な どのデザ イ ン 関連
の書籍を 参考に し てい る 。
51
図表 3-5
ロ ゴ の選定 ・ 作成 時の ガ イ ド ラ イ ン
目的
ロゴの特性
正確な認知
デザインのガイドライン
誤って
認知される
ポジティブな
(見たことがあ 感情を生む
ると錯覚する)
共有された
意味を持つ
ナチュラル
ハーモニー
精密
(洗練)
平行
プロポーション
繰り返し
正確な認知の
ロゴ
非常に
望ましい
◎
望ましくない
×
望ましい
○
望ましい
◎
適度に高い
適度に高い
適度に高い
-
-
少し含む
省投資のロゴ
不可能 ×
非常に
望ましい
◎
非常に
望ましい
◎
有効だが
必然ではない
△
適度に
高い
適度に高い
適度に高い
黄金比に近く
-
非常に
望ましい
◎
有効だが必然
ではない
△
高い
高い
高い
-
-
-
非常に低い
低い
凄く高い
もしくは
凄く低い
-
-
-
ハイ・イメージ
両立できない 両立できない
の
×
×
ロゴ
貧相なデザイ 達成できない 達成できない 達成できない 達成できない
ンのロゴ
×
×
×
×
ナチュラル
High
ハーモニー
Low
High
精密(洗練)
Low
High
Low
単に複雑なだけでなく、シンプルな
一体化したパターン、もしくはシンメ
ラインを用いながらも、コンセプトの
ありふれた対象を、象徴的で有機 トリーやバランスなどがよいデザイ
本質をついたもの。要素として、複
的にデザインしたものが多い。
ンの一部を用いて再構成したも
雑さやアクティブさ、奥深さから成り
の。
立っている。
( 出所 ) Henderson and Cote ( 1998 ) 16 ペ ー ジ か ら 17 ペ ー ジ 、 及び 25 ペ ー ジ よ り 作成
以上の調査方法及び 、 ロ ゴマー ク の 「 色 」 や 「 形 」 に関する 先行研究を 参考にする こ と
で 、 本調査に使用する ロ ゴマー ク を 作成し た 。 こ れ ら の ロ ゴマー ク が意図通 り に作成さ れ
てい る かど う かについては予備調査 ( 3 ) に よ っ て確認を 行っ てい る 。 ま た作成し た ロ ゴ
マー ク の一覧を 次に示す 。
52
図 3-6
調査 に 使 用 し た ロ ゴ マ ー ク 一覧
53
第 4 章 本調査の実施と分析結果
第1 節 本調査の実施
第1 項 本調査の実施概要
本調査は2010年 7 月16日に 、 私立大学でマーケ テ ィ ン グ を 専攻する20歳か ら 25歳の学生
( 大学 3 年生及び 4 年生 ) 195 名を 対象に調査票を 用いた質問紙法に よ っ て実施し た 。 有
効回答数は 178 であ っ た 。 調査対象の学生には 「 就職活動に関する 意識調査 」 であ る と 伝
え て参加を 依頼し 、 約20~30分程度の所要時間で調査を 実施し た 。 は じ めに 5 分程のガ イ
ダ ン ス を 行い 、 調査の目的や回答方法な ど について説明し た後 、 調査会場に集合し た学生
に対し て一人 1 冊ずつ調査票を 配布し た 。 回答は制限時間15分以内に配布し た調査票に直
接を 記入し て も ら い調査票を 終了後にその場で回収し た 。 ま た終了後 、 調査の本当の目的
について も 解説を 行っ てい る 。 調査対象の概要は以下の と お り であ る 。
図表 4-1
母集団の 基 礎 統計 量
母集団の基礎統計量
要因
度数
平均値
.15
標準偏差
.36
分散
最大値
1.00
178
178
.36
.48
.23
.00
1.00
年齢
178
21.15
1.00
1.00
20.00
25.00
学年
国籍
178
178
3.46
.92
.50
.36
.25
.13
3.00
.00
4.00
2.00
進路
178
1.10
.38
.15
1.00
3.00
54
.13
最小値
.00
文理
性別
第2 節 分析結果
第1 項 母集団の等分散性の確認
は じ めに各被説明変数の等分散性について確認を 行っ た 。 Levene の検定で当分散性が仮
定で き なかっ た被説明変数については Welch の検定に よ っ て等分散性の検証を 行い 、 全て
の被説明変数において等分散性を 仮定で き る こ と を 確認し た 。 詳細は以下の通 り であ る 。
調査A の 、 順位 ・ 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ー ・ デザ イ ン 性の等分散性
についてはLevene の検定を 用いて確認を 行っ た 。 し か し 印象 ・ 興味 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ー
については 5 %水準で等分散性を 仮定で き なかっ た 。 そ こ で再度 Welch の検定を 用いて分
析を 行っ た と こ ろ 、 順位 ・ 調査意欲 ・ デザ イ ン 性について も 5 %水準で有意であ っ た 。
調査B の順位 ・ 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ー ・ デザ イ ン 性の等分散性に
ついて も Levene の検定を 用いて確認を 行っ た 。 し か し 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会については
5 %水準で等分散性を 仮定で き なかっ た 。 そ こ で再度 Welch の検定を 用いて分析を 行っ た
と こ ろ 、 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会について も 5 %水準で有意であ っ た 。
調査C の順位 ・ 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ー ・ デザ イ ン 性の等分散性に
ついて も Levene の検定を 用いて確認を 行っ た 。 し か し 説明会 ・ デザ イ ン 性については 5 %
水準で等分散性を 仮定で き なかっ た 。 そ こ で再度 Welch の検定を 用いて分析を 行っ た と こ
ろ 、 説明会 ・ デザ イ ン 性について も 5 %水準で有意であ っ た 。
55
図表 4-2
調査 A / 等 分 散性の 確 認
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
図表 4-3
調査A 等分散性の検定
Levene 統計量
自由度1
自由度2 有意確率
4.21
5
1062
.00
1.32
5
1062
.25
1.53
5
1062
.18
3.30
5
1062
.01
1.80
5
1062
.11
1.14
5
1062
.34
152.57
5
1062
.00
調査A 平均値同等性の耐久検定
検定手法
統計
自由度1 自由度2 有意確率
Welch
243.29
5
494.51
.00
Welch
127.98
5
495.39
.00
Welch
60.81
5
495.16
.00
Welch
48.44
5
494.78
.00
Welch
46.01
5
495.06
.00
Welch
44.13
5
495.09
.00
Welch
1291.92
5
430.66
.00
調査 B / 等分散性の 確 認
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
調査B 等分散性の検定
Levene 統計量
自由度1
自由度2 有意確率
4.52
5
1062
.00
1.46
5
1062
.20
2.27
5
1062
.05
1.69
5
1062
.13
2.10
5
1062
.06
2.49
5
1062
.03
3.12
5
1061
.01
調査B 平均値同等性の耐久検定
検定手法
統計
自由度1 自由度2 有意確率
Welch
108.04
5
495.10
.00
Welch
38.86
5
495.54
.00
Welch
30.19
5
495.55
.00
Welch
21.58
5
495.50
.00
Welch
19.80
5
495.52
.00
Welch
22.57
5
495.49
.00
Welch
120.61
5
494.50
.00
56
図表 4-4
調査 C / 等分 散性の 確 認
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
調査C 等分散性の検定
Levene 統計量
自由度1
自由度2 有意確率
9.10
5
1062
.00
6.51
5
1062
.00
3.68
5
1062
.00
2.68
5
1062
.02
2.10
5
1062
.06
2.65
5
1062
.02
1.76
5
1062
.12
調査C 平均値同等性の耐久検定
検定手法
統計
自由度1 自由度2 有意確率
Welch
85.97
5
494.86
.00
Welch
42.81
5
494.62
.00
Welch
31.08
5
495.06
.00
Welch
30.22
5
495.20
.00
Welch
28.55
5
495.33
.00
Welch
34.65
5
495.34
.00
Welch
49.58
5
493.73
.00
* は 5 % 水準 で 有 意
第2 項 分析に使用する説明変数と被説明変数
本調査では ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性を 主な説明変数と し て設定し てい る 。 し か し デザ イ
ン 性の認識には個人差があ る ため 、 事前に ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が意図通 り に被験者に
評価さ れてい る かど う かの確認を 行っ た 。 確認は仮説の検証に最も よ く 使用する 「 順位の
平均点 」 と 、 「 順位か ら エ ン ト リ ーま での平均点 」 の 2 つで行っ た 。 こ の順位は 1 位を 6
点 、 6 位を 1 点に換算し 分析に用いてい る 。 こ の確認結果を 元に各仮説検証に用い る ロ ゴ
マー ク ( 説明変数 ) の選別を 行っ た 。
調査A では 、 予備調査を 元に 「 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 企業 」 「 デザ イ ン
性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業 」 「 ロ ゴマー ク の無い企業 」 を それぞれ 2 社ずつ設定し
て調査を 行っ てい る 。 調査A では 「 順位の平均点 」 と 「 順位か ら エ ン ト リ ーま での平均
点 」 の両方において 、 デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク と し て設定し た ロ ゴマー ク 11の平均値
がデザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク と し て設定し た ロ ゴマー ク 12の平均値と ほ と んど 変わ ら な
かっ た 。 被験者が順位を 決めた理由を 分析し た結果 、 ロ ゴマー ク 11のデザ イ ンに 「 矢印 」
57
と い う 強い記号的な意味を 持つ要素を 使用し て し ま っ た こ と で 、 矢印の持つ 「 前進する よ
う な 」 「 前向き な 」 と 言っ たポジテジブな意味が ス ト レー ト に転嫁さ れ 、 高い順位で選ば
せる 理由を 被験者に与え て し ま っ た こ と が判明し た 。 そ こ で 「 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー
ク を 有する 企業 」 「 デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業 」 「 ロ ゴマー ク の無い企
業 」 と い う それぞれのグループで 、 よ り 差が顕著に表れ る 代表的な組み合わせを 用いて分
析を 行 う こ と で 、 デザ イ ン 性の認識に起こ る 個人差を で き る 限 り 排除で き る のではないか
と 考え た 。 以上よ り 仮説 1-1 、 仮説 1-2 、 仮説 2-1 、 仮説 2-2 の分析には 、 デザ イ ン 性の
高い も の と し て ロ ゴマー ク 12 、 デザ イ ン 性の低い も の と し て ロ ゴマー ク 16 、 デザ イ ンの無
い も の と し て ロ ゴマー ク 15を 用いて分析を 行っ た 。
図表 4-5
調査 A / 説 明 変数の 選 別
調査A 基礎統計量
被説明変数
デザイン性
高い
順位
低い
無い
説明変数
ロゴマーク12
ロゴマーク14
ロゴマーク11
ロゴマーク16
ロゴマーク13
ロゴマーク15
合計
度数
178
178
178
178
178
178
1068
平均値
4.91
4.66
4.46
2.87
2.17
1.91
3.50
標準偏差
1.21
1.23
1.26
1.30
1.23
.96
1.71
標準誤差
最小値
.09
.09
.09
.10
.09
.07
.05
最大値
1
1
1
1
1
1
1
6
6
6
6
6
6
6
調査A 順位からエントリーまでの平均値
ロゴマーク
平均値
3.32
ロゴマーク11
3.66
ロゴマーク12
2.21
ロゴマーク13
3.63
ロゴマーク14
2.15
ロゴマーク15
2.63
ロゴマーク16
調査B では 、 予備調査を も と に 「 文字商標 」 「 記号商標 」 「 複合商標 」 のそれぞれにお
いて 「 企業特性を よ り 表現し た ロ ゴマー ク 」 と 「 企業特性を 表現し ていない ロ ゴマー ク 」
の 2 種類ずつを 作成し 調査を 行っ た 。 確認し た と こ ろ 、 文字商標 ・ 記号商標 ・ 複合商標と
い う 商標の種類の違いにおいては 、 文字商標と 記号商標 ・ 複合商標の間には差がみ ら れた
も のの 、 記号商標と 複合商標の間にはほ と んど 差が認め ら れず 、 意図通 り の結果と はな ら
なかっ た 。 一方で 、 企業特性の表現度合いの違いについては文字商標では明確な差が得ら
れなかっ た も のの 、 記号商標 ・ 複合商標では平均値に明確な差が認め ら れた 。 以上よ り 仮
58
説 3-1 、 仮説 3-2 の分析には企業特性の表現度合いの違いについて よ り 大き な差が認め ら
れた 、 企業特性を よ り 表現し た ロ ゴマー ク 24 と 企業特性を 表現し ていない ロ ゴマー ク 25を
用いて分析を 行っ た 。
図表 4-6
調査 B / 説明変数の 選別
調査B 基礎統計量
被説明変数
種類
文字商標
順位
記号商標
複合商標
合計
ロゴマーク
ロゴマーク26
ロゴマーク21
ロゴマーク24
ロゴマーク25
ロゴマーク22
ロゴマーク23
-
デザイン性
高い
低い
高い
低い
高い
低い
-
度数
平均値
178
178
178
178
178
178
1068
標準偏差
2.69
2.18
4.71
3.15
4.81
3.38
3.49
1.55
1.45
1.37
1.47
1.22
1.33
1.71
標準誤差
.116
.109
.103
.110
.092
.099
.052
最小値
最大値
1
1
1
1
1
1
1
6
6
6
6
6
6
6
調査B 順位からエントリーまでの平均値
ロゴマーク
平均値
2.53
ロゴマーク21
3.73
ロゴマーク22
3.03
ロゴマーク23
3.66
ロゴマーク24
2.92
ロゴマーク25
2.81
ロゴマーク26
調査B 平均値の分析
被説明変数
種類
ロゴマーク
デザイン性
企業特性
ロゴマーク26
高い
高い
ロゴマーク21
低い
低い
ロゴマーク24
高い
高い
ロゴマーク25
低い
低い
ロゴマーク22
高い
高い
ロゴマーク23
低い
低い
文字商標
順位
記号商標
複合商標
種類の違いによる
平均値の差
ロゴマーク22-24
=0.096
ロゴマーク23-25
=0.23
ロゴマーク24-26
=2.022
ロゴマーク25-21
=0.966
ロゴマーク22-26
=2.118
ロゴマーク23-21
=1.197
企業特性の違いよる
平均値の差
0.51
1.57
1.43
調査C では 「 大企業 」 「 中小企業 」 「 ベンチ ャ ー企業 」 の 3 種類の企業規模で 、 「 デザ
イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 企業 」 と 「 デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク を 有する 企業 」
の 2 種類ずつを 作成し 調査を 行っ た 。 確認し た と こ ろ 、 企業規模ご と に差が出る と 同時
に 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性に よ っ て も 差がでてお り 、 調査C では意図通 り の結果と な っ
ていた 。 以上よ り 仮説 5-1 と 仮説 5-2 の分析には 、 ロ ゴマー ク 31か ら ロ ゴマー ク 36ま での
全ての ロ ゴマー ク を 用いて分析を 行っ た 。
59
図表 4-7
調査 C / 説明 変数の 選別
調査C 基礎統計量
被説明変数
企業規模
デザイン性
説明変数
高い
ロゴマーク32
178
4.96
1.26
標準誤差
.09
低い
ロゴマーク34
178
4.17
1.65
高い
ロゴマーク36
178
3.61
低い
ロゴマーク31
178
高い
ロゴマーク35
低い
ロゴマーク33
合計
大企業
順位
中小企業
ベンチャー企業
平均値
度数
標準偏差
最小値
最大値
1
6
.12
1
6
1.47
.11
1
6
3.19
1.33
.10
1
6
178
2.65
1.59
.12
1
6
178
2.37
1.48
.11
1
6
1068
3.49
1.71
.05
1
6
調査C 順位からエントリーまでの平均値
ロゴマーク
平均値
2.81
ロゴマーク31
3.91
ロゴマーク32
2.52
ロゴマーク33
3.43
ロゴマーク34
2.80
ロゴマーク35
3.23
ロゴマーク36
第3 項 仮説の検証結果
( 1 ) 仮説 1-1 と 仮説 1-2 の検証
仮説 1-1 の検証では 、 調査A で用いたデザ イ ンの無い ロ ゴマー ク 15 と 、 デザ イ ン 性の低
い ロ ゴマー ク 16の順位 ( 点数に変換 ) を 用いて分析を 行い 、 ロ ゴマー ク のあ り ・ 無し の影
響について検証を 行っ た 。 ロ ゴマー ク 15 と ロ ゴマー ク 16の順位について一元配置の分散分
析を 行っ た と こ ろ 、 F 値 219.23 ( 自由度 5 、 1062 ) と な り 、 5% 水準でグループ間が有意
であ っ た 。 さ ら に Tukey の検定で多重比較を 行っ た と こ ろ 、 ロ ゴマー ク 15 と ロ ゴマー ク 16
の差は 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た平均値の差を 見る と 、 要因 1 -要因 2 の差がマ イ ナ
ス であ り 、 ロ ゴマー ク が無い企業に比べて ロ ゴマー ク を 有する 企業の方が順位の平均値が
高い 、 つま り 高い順位で選ばれ る こ と が明ら か と な っ た 。 以上よ り 仮説 1-1 は支持さ れ
た。
図表 4-8
仮説 1-1 分析結果
被説明変数
グループ間
順位
グループ内
合計
仮説1-1 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
1589
5
317.85
1540
1062
1.45
3129
1067
60
F値
219.23
有意確率
.00
仮説1-1 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
.13
順位
ロゴマーク15 ロゴマーク16
-.95506 *
*は5%水準で有意
有意確率
.00
仮説 1-2 の検証では 、 調査A で用いたデザ イ ンの無い ロ ゴマー ク 15 と 、 デザ イ ン 性の低
い ロ ゴマー ク 16の印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの素点を 用いて分析を 行
い 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーにおけ る ロ ゴマー ク のあ り ・ 無し の影響
について検証を 行っ た 。 ロ ゴマー ク 15 と ロ ゴマー ク 16の印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・
エ ン ト リ ーについて一元配置の分散分析を 行っ た と こ ろ 、 印象では F 値 124.52 ( 自由度
5,1062 ) 、 興味では F 値 60.12 ( 自由度 5,1062 ) 、 調査意欲では F 値 46.50 ( 自由度
5,1062 ) 、 説明会では F 値 44.90 ( 自由度 5,1062 ) 、 エ ン ト リ ーでは F 値 42.62 ( 自由度
5,1062 ) と な り 、 5% 水準でグループ間が優位であ っ た 。 さ ら に Tukey の検定で多重比較
を 行っ た と こ ろ 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの全てにおいて ロ ゴマー ク
15 と ロ ゴマー ク 16の差は 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た平均値の差を 見る と 要因 1 -要因
2 の全ての結果がマ イ ナス であ り 、 ロ ゴマー ク が無い企業に比べて ロ ゴマー ク があ る 企業
の方が常に印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価の平均値が高い 、 つま り ロ
ゴマー ク を 有する 企業の方が印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーにおいて も 高い
評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 以上の こ と か ら 仮説 1-2 は支持さ れた 。
61
図表 4-9
仮説 1-2 分析結果
被説明変数
グループ間
印象
グループ内
合計
グループ間
興味
グループ内
合計
グループ間
調査意欲 グループ内
合計
グループ間
説明会
グループ内
合計
グループ間
エントリー グループ内
合計
仮説1-2 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
431
5
86.17
735
1062
.69
1166
1067
284
5
56.87
1005
1062
.95
1289
1067
246
5
49.29
1126
1062
1.06
1372
1067
249
5
49.89
1180
1062
1.11
1430
1067
233
5
46.64
1162
1062
1.09
1395
1067
仮説1-2 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
.09
印象
ロゴマーク15 ロゴマーク16
-.43258 *
*
.10
興味
ロゴマーク15 ロゴマーク16
-.38202
*
.11
調査意欲 ロゴマーク15 ロゴマーク16
-.43820
*
.11
説明会 ロゴマーク15 ロゴマーク16
-.36517
*
.11
エントリー ロゴマーク15 ロゴマーク16
-.35955
*は5%水準で有意
62
F値
124.52
有意確率
.00
60.12
.00
46.50
.00
44.90
.00
42.62
.00
有意確率
.00
.00
.00
.01
.02
( 2 ) 仮説 2-1 と 仮説 2-2 の検証
仮説 2-1 の検証では 、 調査A で用いたデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 16 と 、 デザ イ ン 性の
高い ロ ゴマー ク 12の順位を 用いて分析を 行い 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の良し 悪し の影響
について検証を 行っ た 。 ロ ゴマー ク 16 と ロ ゴマー ク 12の順位について一元配置の分散分析
を 行っ た と こ ろ F 値 219.23 ( 自由度 5 、 1062 ) と な り 5% 水準で 、 グループ間が有意であ
っ た 。 さ ら に Tukey の検定で多重比較を 行っ た と こ ろ 、 ロ ゴマー ク 16 と ロ ゴマー ク 12の差
は 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た平均値の差を 見る と 、 要因 1 -要因 2 の差がマ イ ナス で
あ り 、 デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク の企業に比べて 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有す
る 企業の方が順位の平均値が高い 、 つま り 高い順位で選ばれ る こ と が明ら かにな っ た 。 以
上よ り 仮説 2-1 は支持さ れた 。
図表 4-10
仮説 2-1 分析結果
被説明変数
グループ間
順位
グループ内
合計
仮説2-1 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
1589
5
317.85
1540
1062
1.45
3129
1067
仮説2-1 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
.13
順位
ロゴマーク16 ロゴマーク12 -2.04494*
*は5%水準で有意
63
F値
219.23
有意確率
.00
有意確率
.00
仮説 2-2 の検証では 、 調査A で用いたデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 16 と 、 デザ イ ン 性の
高い ロ ゴマー ク 12の 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーについて分析を 行い 、
印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーにおけ る ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の良し 悪し
の影響について検証を 行っ た 。 ロ ゴマー ク 16 と ロ ゴマー ク 12の印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説
明会 ・ エ ン ト リ ーについて一元配置の分散分析を 行っ た と こ ろ 、 印象では F 値 124.59 ( 自
由度 5,1062 ) 、 興味では F 値 60.12 ( 自由度 5,1062 ) 、 調査意欲では F 値 46.50 ( 自由度
5,1062 ) 、 説明会では F 値 44.90 ( 自由度 5,1062 ) 、 エ ン ト リ ーでは F 値 42.62 ( 自由度
5,1062 ) と な り 、 5% 水準でグループ間が優位であ っ た 。 さ ら に Tukey の検定で多重比較
を 行っ た と こ ろ 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーにおいて も 、 ロ ゴマー ク
16 ・ ロ ゴマー ク 12の差は 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た平均値の差を 見る と 、 要因 1 -要
因 2 の全ての結果がマ イ ナス であ り 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が低い企業に比べて 、 ロ ゴ
マー ク のデザ イ ン 性が高い企業の方が印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エン ト リ ーの平均
値が高い 、 つま り デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する 企業の方が印象 ・ 興味 ・ 調査意
欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーについて も よ り 高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 以上よ り
仮説 2-2 は支持さ れた 。
図表 4-11
仮説 2-2 分析結果
被説明変数
グループ間
印象
グループ内
合計
グループ間
興味
グループ内
合計
グループ間
調査意欲 グループ内
合計
グループ間
説明会
グループ内
合計
グループ間
エントリー グループ内
合計
仮説2-2 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
431
5
86.17
735
1062
.69
1166
1067
284
5
56.87
1005
1062
.95
1289
1067
246
5
49.29
1126
1062
1.06
1372
1067
249
5
49.89
1180
1062
1.11
1430
1067
233
5
46.64
1162
1062
1.09
1395
1067
* は 5 % 水準 で有 意
64
F値
124.52
有意確率
.00
60.12
.00
46.50
.00
44.90
.00
42.62
.00
仮説2-2 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
印象
ロゴマーク16 ロゴマーク12 -1.02809 *
.09
*
.10
興味
ロゴマーク16 ロゴマーク12
-.84270
.11
調査意欲 ロゴマーク16 ロゴマーク12
-.72472 *
*
.11
説明会 ロゴマーク16 ロゴマーク12
-.75281
*
.11
エントリー ロゴマーク16 ロゴマーク12
-.73034
*は5%水準で有意
有意確率
.00
.00
.00
.00
.00
( 3 ) 仮説 3-1 と 仮説 3-2 の検証
仮説 3-1 の検証では 、 調査B で用いた企業特性を 表現し た ロ ゴマー ク 24 と 企業特性を 表
現し ていない ロ ゴマー ク 25の順位を 用いて分析を 行い 、 企業特性の表現度の影響にいて検
証を 行っ た 。 ロ ゴマー ク 24 と ロ ゴマー ク 25の順位について一元配置の分散分析を 行っ た と
こ ろ F 値 103.22 ( 自由度 5 、 1062 ) と な り 、 グループ間が 5 %水準で有意であ っ た 。 さ ら
に Tukey の検定で多重比較を 行っ た と こ ろ ロ ゴマー ク 24 と ロ ゴマー ク 25の差は 5 %水準で
有意であ っ た 。 ま た平均値の差を 見る と 、 要因1- 要因 2 の差がマ イ ナス であ り 、 企業特性
が表現さ れた ロ ゴマー ク の企業に比べて企業特性が表現さ れていない ロ ゴマー ク を 有する
企業の方が順位の平均値が高い 、 つま り 高い順位で選ばれ る こ と が明ら か と な っ た 。 以上
よ り 仮説 3-1 は支持さ れた 。
65
図表 4-12
順位
仮説 3-12 分析結果
要因
グループ間
グループ内
合計
仮説3-1 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
1019
5
203.73
2096
1062
1.97
3115
1067
F値
103.22
仮説3-1 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
.15
順位
ロゴマーク25 ロゴマーク24
-1.56742 *
*は5%水準で有意
有意確率
.00
有意確率
.00
仮説 3-2 は 、 調査B で用いた企業特性を 表現し た ロ ゴマー ク 24 と 企業特性を 表現し てい
ない ロ ゴマー ク 25の 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーについて分析を 行い 、
印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーにおけ る 企業特性の表現度の違いに よ る 影響
について検証を 行っ た 。 ロ ゴマー ク 24 と ロ ゴマー ク 25の印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・
エ ン ト リ ーについて一元配置の分散分析を 行っ た と こ ろ 、 印象では F 値 38.18 ( 自由度
5,1062 ) 、 興味では F 値 30.62 ( 自由度 5,1062 ) 、 調査意欲では F 値 21.87 ( 自由度
5,1062 ) 、 説明会では F 値 20.10 ( 自由度 5,1062 ) 、 エ ン ト リ ーでは F 値 22.47 ( 自由度
5,1062 ) と な り 、 5% 水準でグループ間が優位であ る こ と が確認さ れた 。 さ ら に Tukey の
検定で多重比較を 行っ た と こ ろ 、 印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーにおいて も
66
ロ ゴマー ク 24 と ロ ゴマー ク 25の差は 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た平均値の差を 見る と 、
要因1- 要因 2 の差がマ イ ナス であ り 、 企業特性が表現さ れた ロ ゴマー ク を 有する 企業に比
べて企業特性が表現さ れていない ロ ゴマー ク を 有する 企業の方が印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・
説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価の平均値が高い 、 つま り 企業特性を 表現し た ロ ゴマー ク を 有す
る 企業の方が印象 ・ 興味 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エン ト リ ーについて も よ り 高い評価を 得ら
れやすい と い う こ と が明ら か と な っ た 。 以上よ り 仮説 3-2 は支持さ れた 。
図表 4-13
仮説 3-2 分析結果
被説明変数
グループ間
グループ内
印象
合計
グループ間
グループ内
興味
合計
グループ間
グループ内
調査意欲
合計
グループ間
グループ内
説明会
合計
グループ間
グループ内
エントリー
合計
仮説3-2 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
135
5
26.93
749
1062
.71
884
1067
135
5
26.90
933
1062
.88
1068
1067
107
5
21.40
1039
1062
.98
1146
1067
104
5
20.86
1103
1062
1.04
1207
1067
119
5
23.71
1120
1062
1.06
1239
1067
F値
38.18
有意確率
.00
30.62
.00
21.87
.00
20.10
.00
22.47
.00
仮説3-2 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
.09
印象
ロゴマーク25 ロゴマーク24
-.65730 *
.10
興味
ロゴマーク25 ロゴマーク24
-.62921 *
.10
調査意欲 ロゴマーク25 ロゴマーク24
-.53371 *
有意確率
.00
.00
.00
ロゴマーク25
ロゴマーク24
-.54494 *
.11
.00
エントリー ロゴマーク25
*は5%水準で有意
ロゴマーク24
-.56180 *
.11
.00
説明会
67
( 4 )仮説 4-1 の検証
仮説 4-1 は 、 本調査で使用し た ロ ゴマー ク 11か ら ロ ゴマー ク 36ま での18個の ロ ゴマー ク
それぞれの順位の平均値と デザ イ ン 性の評価の平均値を 用いて相関分析を 行い 、 ロ ゴマー
ク のデザ イ ン 性と 順位の関係について検証を 行っ た 。 その結果ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と
順位の相関係数は 0.78 で 、 1 %水準で有意であ っ た 。 以上よ り ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と
順位の間には非常に強い相関があ る こ と が明ら か と な り 、 仮説 4-1 は支持さ れた 。
図表 4-14
仮説 4-1 分析結果
仮説4-1 相関係数
デザイン性
順位
デザイン性
順位
*は5%水準で有意
**は1%水準で有意
.78 **
68
( 5 ) 仮説 5-1 と 仮説 5-2 の検証
仮説 5-1 の検証では 、 調査C で用いた大企業 ・ 中小企業 ・ ベンチ ャ ー企業それぞれで 、
デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 32 ・ ロ ゴマー ク 36 ・ ロ ゴマー ク 35 と 、 デザ イ ン 性の低い ロ ゴ
マー ク 34 ・ ロ ゴマー ク 31 ・ ロ ゴマー ク 33の組み合わせの 2 つのグループで 、 順位について
分析を 行い企業規模の違いに よ る 影響について検証を 行っ た 。 まず調査C で用いた全ての
企業の順位について一元配置の分散分析を 行っ た と こ ろ F 値 77.36 ( 自由度 5 、 1062 ) と
な り 、 グループ間が 5 %水準で有意であ っ た 。 次に Tukey の検定で多重比較を 行っ た と こ
ろ 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 32 ・ ロ ゴマー ク 36 ・ ロ ゴマー ク 35の差は 5 %水準で有意
であ っ た 。 ま たデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 34 ・ ロ ゴマー ク 31 ・ ロ ゴマー ク 33の差につい
て も 同様に 5 %水準で有意であ っ た 。 平均値の差を 見てみる と 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマ
ー ク 及びデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク の両方のグループで 、 大企業 、 中小企業 、 ベンチ ャ
ー企業の順で平均値が高かっ た 。 つま り 大企業 、 中小企業 、 ベンチ ャ ー企業の順で評価が
高い傾向があ る こ と が明ら か と な っ た 。 以上よ り 仮説 5-1 は支持さ れた 。
69
図表 4-15
仮説 5-1 分析結果
被説明変数
グループ間
順位
グループ内
合計
図表 4-16
仮説5-1 グループ間の優位性の検定
平方和
自由度
平均平方和
833
5
166.54
2286
1062
2.15
3119
1067
F値
77.36
有意確率
.00
仮説 5-1 (1) 分析結 果
仮説5-1(1) 多重比較(Tukeyの検定)
被説明変数
要因1
ロゴマーク36
ロゴマーク35
ロゴマーク32
ロゴマーク36
ロゴマーク35
ロゴマーク32
ロゴマーク35
ロゴマーク36
ロゴマーク32
順位
要因2
平均値の差
(1-2)
1.34831 *
2.30899 *
-1.34831 *
.96067 *
-2.30899 *
-.96067 *
*は5%水準で有意
70
標準誤差
.16
.16
.16
.16
.16
.16
有意確率
.00
.00
.00
.00
.00
.00
図表 4-17
仮説 5-1 (2) 分析結果
仮説5 - 1 (2 ) 多重比較( Tu ke yの検定)
被説明変数
順位
要因1
要因2
ロゴマーク31
ロゴマ ーク3 4
ロゴマ ーク3 3
ロゴマ ーク3 4
ロゴマ ーク3 1
ロゴマ ーク3 3
ロゴマ ーク3 4
ロゴマ ーク3 3
ロゴマ ーク3 1
平均値の差
(1-2)
.9 8 3 1 5*
1 .7 9 7 7 5*
- .9 8 3 1 5*
.8 1 4 6 1*
- 1 .7 9 7 7 *5
- .8 1 4 6 1*
標準誤差
.1 6
.1 6
.1 6
.1 6
.1 6
.1 6
有意確率
.0 0
.0 0
.0 0
.0 0
.0 0
.0 0
* は5 %水準で 有意
仮説 5-2 の検証では 、 調査C で用いた大企業 ・ 中小企業 ・ ベンチ ャ ー企業それぞれでデ
ザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク と デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク の順位について一元配置の分散
分析を 行い 、 異な る 企業規模の間で ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性がど の よ う に影響する かの検
証を 行っ た 。
71
図表 4-18
仮説 5-2 分析結果
仮説5-2 多重比較(Tukeyの検定)
平均値の差
被説明変数
要因1
要因2
標準誤差
(1-2)
.16
ロゴマーク34 ロゴマーク32
-.78652 *
順位
ロゴマーク31 ロゴマーク36
-.42135
.16
ロゴマーク33 ロゴマーク35
-.27528
.16
有意確率
.00
.07
.49
* は 5 % 水準 で 有 意
Tukey の検定で多重比較を 行っ た と こ ろ 、 ど ち ら も 大企業でデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー
ク 34 と デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 32の順位の差は 5 %水準で有意であ っ た 。 平均値の差
をみる と 数値がマ イ ナス であ り 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 32の方が学生か ら 高い順位
で選ばれていた 。 ど ち ら も 中小企業でデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 31 と デザ イ ン 性の高い
ロ ゴマー ク 36の順位は10%水準で有意であ っ た 。 こ の場合も 平均値の差をみる と 、 数値が
マ イ ナス であ る こ と か ら デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 36の方が学生か ら 高い順位で選ばれ
てい る こ と が判明し た 。 ど ち ら も ベンチ ャ ー企業でデザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 33 と デザ
イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 35の順位は優位確率 0.47 で優位性を 確認で き なかっ た 。 し か し 平
均値の差をみる と 、 数値がマ イ ナス であ り デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 35の方が学生か ら
僅かではあ る が高い順位で選ばれていた 。 以上よ り 仮説 5-2 で想定し た よ う に 、 ロ ゴマー
ク のデザ イ ン 性の良し 悪し の影響は大企業よ り も ベンチ ャ ー企業の方が強い と はえいなか
っ た 。 む し ろ 分析の結果はベンチ ャ ー企業よ り も 大企業の方が 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性
の良し 悪し の影響が大き い こ と を 示唆し てい る と いえ る 。
72
( 6 ) 仮説 6-1 と 仮説 6-2 の検証
仮説 6-1 の検証では 、 調査A で用いたデザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 12 と デザ イ ン 性の低
い ロ ゴマー ク 16の組み合わせを 、 調査対象の 「 性別 」 と い う 属性の違いか ら 分析し 、 調査
対象の性別の違いに よ る 評価への影響について検証を 行っ た 。 モデル全体では 、 F 値
83.01 ( 自由度 3 ) と な り 、 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た説明変数であ る 性別と ロ ゴマ
ー ク については 、 性別が F 値 0.25 ( 自由度 1 ) と な り 有意性を 確認で き なかっ た 。 一方で
ロ ゴマー ク は F 値 246.42 ( 自由度 1 ) と な り 5% 水準で有意であ っ た 。 性別と ロ ゴマー ク
の交互作用は F 値 8.64 ( 自由度 1 ) と な り 5 %水準で有意であ っ た 。
図表 4-19
仮説 6-1 分析結果
仮説6-1
要因
級間要因
級内要因(誤差)
修正総和
要因
性別
ロゴマーク
性別*ロゴマーク
*は5%水準で有意
平方和
358
546
932
平方和
.39
381.92
13.38
自由度
3
352
355
平均平方和
128.65
1.55
仮説6-1
自由度
平均平方和
1
.39
1
381.92
1
13.38
73
F値
83.01
有意確率
.00
F値
有意確率
.62
.00
.00
.25
246.42
8.64
さ ら に図を 確認する と 、 デザ イ ン 性の低い ロ ゴマー ク 16では男性よ り も 女性の評価が低
く な っ てい る が 、 デザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 12では 、 男性よ り も 女性の評価の方が高い
こ と が分か る 。 以上よ り 、 男性よ り も 女性の方が ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の影響を よ り 受
けやすい と い う こ と が明ら か と な っ た 。
仮説 6-2 の検証では 、 調査 A で用いたデザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク 12 と デザ イ ン 性の低
い ロ ゴマー ク 16の組み合わせを 、 調査対象の 「 文系 ・ 理系 」 と い う 属性の違いか ら 分析
し 、 調査対象の文系 ・ 理系の違いに よ る 評価への影響について検証を 行っ た 。 モデル全体
では 、 F 値 78.20 ( 自由度 3 ) と な り 、 5 %水準で有意であ っ た 。 ま た説明変数であ る 文
系 ・ 理系と ロ ゴマー ク については 、 文系 ・ 理系が F 値 0.21 ( 自由度 1 ) と な り 有意性を 確
認で き なかっ た 。 一方で ロ ゴマー ク は F 値 122.05 ( 自由度 1 ) と な り 5% 水準で有意であ
っ た 。 文系 ・ 理系と ロ ゴマー ク の交互作用は F 値 0.93 ( 自由度 1 ) と な り 有意性を 確認で
き なかっ た 。 以上よ り 、 文系 ・ 理系と い う 属性の違いでは 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の影
響に差を 見出せない こ と が明ら か と な っ た 。
図表 4-21
仮説 6-2 分析結果
仮説6-2
要因
級間要因
級内要因(誤差)
修正総和
平方和
372
559
932
自由度
3
352
355
平均平方和
124.18
1.59
F値
78.20
有意確率
.00
F値
有意確率
.65
.00
.93
仮説6-2
要因
文理
ロゴマーク
文理*ロゴマーク
*は5%水準で有意
平方和
.34
193.81
.01
自由度
平均平方和
1
.34
1
193.81
1
.01
74
.21
122.05
.01
75
終章
第1 節 本研究のむすび
第1 項 本研究から得られるインプリケーション
本論文は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデ
ザ イ ン 性 」 の関係に注目する こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド
のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではないか 。 」
と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かに し よ う と 試
みてい る 。
研究の結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの人材市場に対する 効果のでは 、 ブ ラ ン ド の
「 デザ イ ン 」 が重要な影響を 与え てい る こ と が明ら か と な っ た 。 つま り 本研究の結果は B
to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおいて も 「 デザ イ ン 」 が重要な要素であ る こ と を 示唆し てい
る 。 本研究では全部で11個の仮説の検証を 行っ てい る 。 こ れ ら の仮説の検証結果か ら は具
体的に以下の様な示唆を 得る こ と がで き る 。
まず仮説 1-1 及び仮説 1-2 では 、 「 ロ ゴマー ク の存在の有無 」 その も のが学生の就職活
動意向 ( 興味 ・ 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価 ) に対し 影響を 与え てい る か
について検証を 行っ てい る 。 分析の結果 、 明ら かに学生の就職活動意向に影響を 与え てい
る こ と 、 ま たその影響は ロ ゴマー ク を 有する 企業の方が 、 学生か ら 高い評価を 得てい る こ
と が判明し た 。 さ ら に仮説 2-1 及び仮説 2-2 では 、 「 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低 」 が
学生の就職活動意向 ( 興味 ・ 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価 ) に対し 影響を
与え てい る かについて検証を 行っ てい る 。 分析の結果 、 明ら かに学生の就職活動意向に影
響を 与え てい る こ と 、 ま たその影響は ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 学生か
ら 高い評価を 得てい る 事こ と が判明し た 。
以上の分析結果か ら 、 学生が リ ク ナビやエ ン ジ ャ パン な ど の就職活動支援サ イ ト で企業
情報を 検索し てエ ン ト リ ーや説明会の予約を 行 う 際に 、 あ ま り 企業名の知ら れていない企
業については 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性な ど の見た目の 「 印象 」 を 手掛か り に し てい る こ
と が分か る 。 ケ ン ウ ッ ド の事例で 「 中途採用の技術者か ら 社名を TORIOか ら KENWOOD
に改めた背景には 、 総合エ レ ク ト ロ ニ ク ス メ ーカー志向があ る こ と が理解さ れて信頼感を
76
一段と 高めた 。 」 ( 山本 1989 ) と あ る よ う に 、 企業のブ ラ ン ド を 扱 う 姿勢はその ま ま 企
業の姿勢と し て学生に捉え ら れてい る 。 例えば 、 古かっ たブ ラ ン ド を 一新する 出来事は 、
市場環境の変化へ積極的に対応する 姿勢を 企業が示し てい る と 捉え る こ と がで き る 。 特に
同業種 、 同規模の類似し た企業で あ り なが ら 、 「 印象 」 の捉え ら れ方に も 配慮し てブ ラ ン
デ ィ ン グに取組む企業と 、 全 く 取組ま ない企業が同時に存在し た場合は 、 両企業の差が一
層際立つ こ と と な る 。
さ ら に仮説 3-1 及び仮説 3-2 では 、 「 ロ ゴマー ク が表現する 企業特性の度合い 」 が学生
の就職活動意向 ( 興味 ・ 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価 ) に対し 影響を 与え
てい る かについて検証を 行っ てい る 。 分析の結果 、 明ら かに学生の就職活動意向に影響を
与え てい る こ と 、 ま たその影響は ロ ゴマー ク が企業特性を よ り 表現し てい る 企業の方が 、
学生か ら 高い評価を 得てい る こ と が判明し た 。 ま た以上の仮説 1-1 か ら 仮説 3-2 ま での検
証結果を 受け 、 仮説 4-1 では 、 「 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 就職活動の対象と し て興味を
感じ る 企業の順位の相関関係 」 について検証を 行っ てい る 。 分析の結果 、 相関係数は 0.78
と い う 非常に高い数値を 示し 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 就職活動の対象と し て興味を 感
じ る 企業の順位については明ら かに相関関係があ る こ と が判明し た 。
上記の仮説 3-1 か ら 仮説 1-4 の分析結果は 、 B to B 企業に と っ てブ ラ ンデ ィ ン グが重要
であ る こ と に加え 、 さ ら に B to B の企業がブ ラ ンデ ィ ン グに取組む際には 、 ブ ラ ン ド の
「 デザ イ ン 性 」 について も 十分な検討を 行 う 必要があ る こ と を 示唆し てい る 。 た と えブ ラ
ン ド を 一新し た と し て も 、 新し いブ ラ ン ド が学生か ら 「 良さ そ う な会社だ 」 「 先進性があ
り そ う 」 「 仕事が面白そ う 」 と いっ たポジテ ィ ブな印象を 持たれなければ効果がない 。 上
記の分析結果は 、 こ の よ う なポジテ ィ ブな印象を 学生に持っ て も ら う ための要素が 「 デザ
イ ン 性の高さ 」 及び 「 ロ ゴマー ク が企業特性を 表現し てい る かど う か 」 であ る こ と を 示し
てい る 。
ま た企業がデザ イ ン 性の高い ロ ゴマー ク を 有する と い う こ と は 、 学生に 「 こ んなに し っ
か り と し た ロ ゴマー ク を 持て る と い う こ と は 、 ブ ラ ン ド 開発に も 十分な費用を かけ る こ と
がで き る 資本力のあ る 企業なのだ 。 」 と い う 情報も 発信し てい る こ と にな る 。 こ の こ と が
ポジテ ィ ブな印象と 合わ さ っ て 、 知名度の低い企業に と っ ては 「 信頼性の向上 」 を 後押し
する 効果につながっ てい る と 推察さ れ る 。
仮説 5-1 及び仮説 5-2 では 、 「 企業規模と ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の影響 」 の関係につ
いて 、 学生の就職活動意向 ( 興味 ・ 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価 ) を 通じ
77
検証を 行っ てい る 。 分析の結果 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低に関係な く 企業規模の大
き い企業の方が評価が高ま る こ と 、 し か し ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低の影響は企業規
模が大き く な る につれて高ま る こ と が判明し た 。
以上の仮説 5-1 及び仮説 5-2 の分析結果は 、 学生が就職活動を 行 う 際にはやは り 「 企業
規模 」 の大き い企業の方が選ばれやすい と 同時に 、 様々な規模の企業の中に 、 自社 と 同規
模の企業が存在し た場合には 、 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 学生か ら 選ばれ
やすい こ と を 示し てい る 。
さ ら に仮説 6-1 及び仮説 6-2 では 、 「 学生の性別も し く は文系 ・ 理系 」 が就職活動意向
( 興味 ・ 印象 ・ 調査意欲 ・ 説明会 ・ エ ン ト リ ーの評価 ) に対し 影響を 与え てい る かについ
て検証を 行っ てい る 。 分析の結果 、 文系 ・ 理系の違いでは差を 見いだせなかっ たが 、 性別
の違いでは 、 女性の方が男性よ り も 強 く ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低に よ っ て 、 企業へ
の評価が影響を 受けてい る こ と が判明し た 。
上記の仮説 6-1 及び仮説 6-2 の分析結果は 、 就職活動を 行 う 学生の性別に よ っ て 、 ブ ラ
ン ド のデザ イ ン 性の影響が異な る こ と を 示し てい る 。 具体的には男性と 比べて女性の方
が 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が低い場合には男性よ り も 評価が低 く な り 、 一方で ロ ゴマー
ク のデザ イ ン 性が高い場合には男性よ り も 評価が高 く な る 。
こ の こ と は就職活動を 行 う 学生の性別に合わせて 、 企業側の コ ミ ュ ニケーシ ョ ンの方法
を 変え る こ と で 、 よ り 効率的に学生を 集め ら れ る のではないか と い う 可能性を 示し てい
る 。 例えば 、 特に男性の社員を 増やし たい企業は 、 数値な ど を 多用し た 具体的な内容の説
明を 強化する 。 一方で女性の社員を 増やし たい企業は 、 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性を 向上さ せ
た り 、 映像を 用いて企業イ メ ージ を 伝え る 工夫をする 。 と いっ た方法が有効であ る と 考え
られる 。
第2 項 本研究の限界
本研究では 、 上記の よ う に B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響につ
いて明ら かにする こ と がで き た 。 し か し 全て を 網羅し き れたわけではな く 課題も 残し てい
る 。 本研究の限界と し ては次の 5 つを 挙げ る こ と がで き る 。
1 つ目の限界は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響について 、 人
78
材市場に対する 効果の側面か ら アプ ロ ーチ し てい る 点であ る 。 そのため B to B 企業の営業
活動におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グの効果については取 り 上げてお ら ず 、 営業活動において も ブ
ラ ン ド のデザ イ ン 性が影響を 与え る かど う かは 、 本論文か ら は断定で き ない 。 し か し ブ ラ
ン ド の よ り 広い役割に目を 向ければ 、 従業員 、 人材市場 、 株主 、 社会と い う よ う な ス テー
ク ホルダーへの効果が認め ら れれば 、 ブ ラ ン ド に と っ て 「 デザ イ ン 」 も 重要な要素であ る
と 言え る だろ う 。
2 つ目の限界は 、 ブ ラ ン ド を 象徴する 要素を 「 ロ ゴマー ク 」 に限定し てお り 、 その他の
ブ ラ ン ド 要素には言及し ていない点であ る 。 本論文では 、 様々な企業が一般的に有し てい
る ブ ラ ン ド 要素で 、 さ ら にブ ラ ン ド を 象徴する も の と し て 「 ロ ゴマー ク 」 を 選択し た 。 し
か し 企業に よ っ ては 「 キ ャ ラ ク タ ー 」 や 「 ス ロ ーガ ン 」 が企業を 象徴する ブ ラ ン ド 要素と
な っ てい る 場合も あ る 。 ま た 「 ロ ゴマー ク 」 はブ ラ ン ド を 象徴する 要素ではあ る が 、 ブ ラ
ン ド の全て を 表わ し てい る わけではない 。 本調査はブ ラ ン ド 要素の中の 1 つであ る ロ ゴマ
ー ク のデザ イ ン 性の影響に注目し て調査を 行っ てい る ため 、 ロ ゴマー ク がブ ラ ン ド の全て
を 表わ し てい る わけではない と い う 点において 、 デザ イ ン 性の影響が限定さ れ る 可能性が
ある 。
3 つ目の限界は 、 調査設計の段階で様々な工夫は行っ てい る も のの 、 デザ イ ン 性な ど の
意図し た説明変数以外の要因を 、 完全に排除し き れていない点であ る 。 例えば同規模の企
業であ る こ と を 示す場合には 、 実際に就職活動を 行っ てい る よ う な リ ア リ テ ィ を 演出する
ために 、 売上高や資本金 、 従業員数な ど の数値を 僅かずつ変化さ せてい る 。 調査票に記載
さ れた被験者の コ メ ン ト では 、 ほ と んど 違いが分か ら ない と い う 意見が大半であ っ た 。 し
か し 被験者が無意識の う ちに僅かな変化であ っ て も 、 売上高や資本金 、 従業員数な ど の数
値が大き い企業を 選んでい る 可能性はあ る 。 ま た調査も リ ク ナビやエ ン ジ ャ パン な ど の就
職活動支援サ イ ト を 模し た調査票を 使用し てい る が 、 Web サ イ ト ではな く 出力し た冊子を
用いて行っ てお り 、 実際の就職活動と 全 く 同じ 状況ではない点も 限界と し て挙げ る こ と が
でき る 。
4 つめの限界は 、 あ く ま で も 同業種 、 同規模の類似し た企業同士で比較し て評価さ せて
い る 点であ る 。 そのため企業規模や業界の違 う 複数の企業が同時に存在し た場合には 、 学
生の希望し てい る 業界や業種な ど の影響を 受け 、 必ず し も ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企
業が選ばれ る と は限ら ない 。
5 つ目の限界は 、 本調査ではあ く ま で も ブ ラ ン ド 要素単一の影響に注目し て調査を 行っ
79
てい る 点であ る 。 実際に企業がブ ラ ンデ ィ ン グ を 行 う 際には 、 テ レ ビ CM な ど の広告や広
報活動 、 イ ベン ト 実施な ど の様々な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン手段合わせて用い 、 ブ ラ ンデ ィ ン
グの効果の増大を 図る 場合が多い 。 し か し 本論文では 「 ロ ゴマー ク 」 と い う 単一のブ ラ ン
ド 要素に説明変数を 限定し て調査を 行っ てい る ため 、 プ ロ モーシ ョ ン な ど を 組み合わせた
場合の 、 ブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン全体の影響については明ら かにで き ていない 。
第3 項 今後の課題
以上の よ う な本研究の限界を 踏ま え る と 、 今後は さ ら に下記の よ う な研究の可能性が想
定で き る 。 1 つ目は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響について 、
営業活動に対する 効果ではど の よ う な影響かあ る のかの検証であ る 。 Bendixen, Bukasa and
Bendixen ( 2004 ) や余田 ( 2006 ) では 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グは営業活動に対し て
も 効果があ る と 示唆さ れてい る 。 さ ら に こ の効果に 「 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性 」 と い う 軸を
持ち こ む こ と で 、 B to B 企業におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グの さ ら に詳し い影響や価値の発見に
つなが る と 考え ら れ る 。
2 つ目は 、 プ ロ モーシ ョ ンや広告活動な ど のブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン と 組み合わ
せた場合の影響の変化の検証であ る 。 例えば同業種 、 同規模の類似し た企業であ っ て 、 さ
ら にど ち ら も ロ ゴマー ク を 有し てい る が 、 デザ イ ン 性は高い企業と 低い企業が存在する 場
合に 、 デザ イ ン 性の低い企業が広告な ど の コ ミ ュ ニケーシ ョ ン 活動を 組合せた ら 結果がど
の よ う に左右さ れ る のか 、 と い う よ う な課題も 考え ら れ る 。
ま た 3 つ目と し ては 、 「 キ ャ ラ ク ター 」 や 「 ス ローガ ン 」 な ど 注目する ブ ラ ン ド 要素の
違いに よ っ て影響が変化する のではないか と い う 課題も 考え ら れ る 。 上記の よ う な課題に
ついて さ ら に検証を 重ねる こ と で 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影
響について 、 よ り 知見が深ま る に違いない 。
こ れま で B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおいては 、 Keller ( 2010 ) に も あ る よ う に価格
や性能な ど のブ ラ ン ド 関連連想と のつなが り が強 く 、 ブ ラ ン ド 非関連連想の影響は尐ない
と み ら れて き た 。 し か し 余田 、 首藤 ( 2006 ) が示し てい る よ う に 、 B to B 企業のブ ラ ンデ
ィ ン グの効果は営業活動への貢献を 目的と し た も のだけではない 。 ブ ラ ン ド 効果の対象
を 、 従業員 、 人材市場 、 株主 、 社会と いっ た よ り 大き な範囲で と ら えれば 、 B to B 企業に
おいて も 、 ブ ラ ンデ ィ ン グ を 行 う 際には効率だけではな く 、 他社か ら ど う い う 企業と し て
80
見ら れたいのか 、 と い う こ と について よ り 深 く 考え てい く 必要があ る 。
1980年代か ら 1990年にかけて 、 日本ではCI ・ VI と 呼ばれ る 企業ブ ラ ン ド の再考が盛んに
行われた時期があ る 。 最近ではCI ・ VI と い う 考え方はあ ま り に も 普及し て ま たため 、 それ
ほど 意識さ れな り つつあ る 。 し か し Keller ( 2010 ) が示し た生産財及び B to B 製品のブ ラ
ンデ ィ ン グに対す る 追加的なガ イ ド ラ イ ンの中で も 、 生産財企業では コーポ レー ト ・ ブ ラ
ンデ ィ ン グやフ ァ ミ リ ー ・ ブ ラ ンデ ィ ン グ を 採用し た明確なブ ラ ン ド 階層の構築が有効で
あ る と い う 指摘があ る こ と か ら 、 生産財を 含めた B to B の企業に と っ て こ そ 、 改めてCI ・
VI と いっ た企業ブ ラ ン ド の再考が求め ら れ る 時代が訪れつつあ る のではないだろ う か 。
81
謝辞
本論文作成だけではな く 、 2 年間の学生生活を 通じ て特にお世話にな っ た方々に 、 改め
てお礼を 申し 上げます 。 美術大学出身の私が ま さ か早稲田大学で学ぶ こ と にな る と は 、 私
自身が未だに信じ がたい気持です 。 そんな私が こ の よ う に無事に論文を 完成さ せ 、 2 年間
の学生生活を 終え る こ と がで き たのは 、 本当に様々な面か ら ご 支援をいただいた方々のお
かげだ と 心よ り 感謝し てお り ます 。
主査であ り モジ ュールの担当教授で も あ り ます恩蔵先生には 、 2 年間のモジ ュールでの
ご 指導をは じ め 、 本論文作成において も 本当にお世話にな り あ り が と う ご ざい ま し た 。 論
文作成を 進め る 程 、 シ ンプルな先生のア ド バ イ ス が 、 いかに的確で洗練さ れた も のか と い
う こ と が 、 身に沁みて分か る よ う にな り ま し た 。 モジ ュールの メ ンバー と し て 2 年間一緒
に学んだ 、 大平さ ん 、 梶浦さ ん 、 鳥井さ ん 、 中谷さ ん 、 村岡さ んに も 大変お世話にな り ま
し た 。 こ の よ う な自由で 、 大人な 、 素晴ら し い メ ンバーに恵まれたか ら こ そ 、 学生生活を
よ り 楽し く 、 素晴ら し い も のにで き た と 心よ り 感謝し てい ます 。 上司の石井課長には 、 忙
し い仕事の中で も 私が学校に通え る よ う に様々な配慮を し ていただ き 本当にあ り が と う ご
ざい ま し た 。 入学試験の研究計画書の校正か ら 論文の予備調査ま で 、 影に日向に本当に
様々な ご 支援をいただ き 感謝し て も し き れません 。 家族の中では特に妹の茜にお世話にな
り ま し た 。 茜には論文の予備調査に何度も 何度も 協力し て も ら い本当に感謝し てい ます 。
さ ら に大学時代の恩師であ り ます田口先生には 、 大学院への進学の相談にのっ ていただ き
本当にあ り が と う ご ざい ま し た 。 大学時代に先生のご 指導があ っ たか ら こ そ 、 社会人にな
っ てか ら MBA で学んでみたい と い う 気持ち を 持てたのだ と 思います 。
こ の 2 年間の学生生活を 通じ て私が得た最も 大き い も のは 、 学ぶ こ と の楽し さ を 改めて
実感で き た こ と だ と 思い ます 。 「 学ぶ 」 と い う こ と は 、 私を 早稲田大学の学生し て し ま う
ほど 凄い力を も っ てい る のだ と い う こ と を 、 身を 持っ て体験する こ と がで き ま し た 。 大学
院に進学で き た と い う こ と 自体が私に 、 努力に よ っ て夢であ っ た も のが現実にな る のだ と
い う こ と を 教え て く れま し た 。 こ の経験を 生か し て 、 今後も ぜひ 「 学び 」 を 継続さ せてい
き たい と 思っ てい ます 。 本当にあ り が と う ご ざいま し た 。
山崎奈保
82
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The Kellogg School of Management, John Wiley and Sons, Inc. (小林保彦、広瀬哲
治訳『ケロッグ経営大学院
ブランド実践講座』ダイヤモンド社、 2006 ) .
84
<和書の部>
大島幸男( 2007 )、「 B to B 企業
村田製作所におけるブランディング活動」
『 Business Research 』 995 ( 4 ) 14-23 。
———— ( 2006 )、「 B to B ブランディングの実際:村田製作所
リクルート効果か
らインターナルへ、次世代に続くブランド循環」『日経ブランディング』 Win,
12-17 。
小川孔輔( 1994 )、『ブランド戦略の実際』(日本経済新聞出版社)。
———— ( 2009 )、『マーケティング入門』(日本経済新聞出版社)。
オブスキュアインク( 2010 )、『ロゴデザインのアイデア:実例で学ぶ!!プロのデザ
インルール & テクニック』(ワークスコーポレーション)。
恩蔵直人( 2007 )、『コモディティ化市場のマーケティング論理』(有斐閣)。
川島蓉子( 2009 )、『ブランドのデザイン』(文藝春秋)。
北原登志喜、加藤泰弘( 2007 )、『日本のロゴ』(成美堂出版)。
嶋村和恵( 2009 )、「営業支援の B to B 広告から、企業価値向上の B to B ブランディン
グの時代へ」『産業広告』 41 ( 10 ) 10-15 。
高嶋克義、南知恵子( 2006 )、『生産財マーケティング』(有斐閣)。
竹内薫( 2009 )、『理系バカと文系バカ』( PHP 研究所)。
崔容熏( 2008 )、「生産財ブランド研究の視座」『 Japan Marketing Journal 』 27
( 3 ) 59-81 。
柘植智幸( 2007 )、『採用崩壊:若者に好かれる会社、見捨てられる会社』(同友
館)。
中川信行編( 2008 )、『DESIGNING:ロゴ』(毎日コミュニケーションズ)。
仁科貞文、田中洋、丸岡吉人( 2007 )、『広告心理』(電通)。
日経就職ガイド担当( 2001 )、「新卒採用状況
人材確保へコーポレートブランドの確
率が一段と重要に」『日経広告手帖』 4 月号8-10。
中西元男( 2010 )、『コーポレート・アイデンティティ戦略:デザインが企業経営を変
える』(誠文堂新光社)。
芳賀康浩、八つ橋治郎( 2002 )、「ロゴ」『ブランド要素の戦略論理(早稲田大学出版
部)』 39-58 。
羽成隆司、高橋晋也( 2009 )、「複数色に対する色嗜好スタイルと個人の色認知特性」
85
『日本色彩学会誌』 33 ( 4 ) 319-326 。
原田進( 1989 )、『 CI デザインニング』(実務教育出版)。
深見幸男( 1991 )、『 CI 入門』 ( 日本経済新聞社 ) 。
ブリジット・ボーシャ・ド・モゾタ、河内奈々子、岩谷昌樹、長沢伸也、脇坂康弘
( 2010 )、『戦略的デザインマネジメント:デザインによるブランド価値の創造
とイノベーション』(同友館)。
三嶋康次郎編( 2009 )、『デザインノート:今、話題の企業、商品のロゴデザイン徹底
メイキング』(誠文堂新光社)。
三田雅敏、伊藤知佳、指宿明星( 2007 )、「男女の思考パターンに違いはあるか?:男
脳・女脳の分析」『東京学芸大学紀要
自然科学系 57 集』 37-14 。
安田佳生、阿久津聡、齋藤淳一( 2006 )、「コーポレートブランド第 58 回
優秀な人
材の確保と企業ブランディング」『日経広告手帖』 9 月号 30-33 。
余田拓郎( 2006 )、「企業間の取引接点を強化する B to B ブランディング」『日経ブラ
ンディング』 Win, 12-17 。
———— ( 2006 )、「B2Bブランディングのすすめ」『一ツ橋ビジネスレビュー』 54
( 1 ) 70-83 。
———— 、首藤敏明編( 2006 )、『B2Bブランディング』(日本経済新聞社)。
PAOS BOOKS 編集委員会( 1989 )、『 CI 戦略シリーズ 1
ケンウッド』(三省
堂)。
<Web サイトの部>
『日本の名字七千傑』 http://www.myj7000.jp-biz.net/1000/0100f.htm (2010.7.1)
『リクナビ2011』 http://job.rikunabi.com/2011/ ( 2010.7.1 )
『エンジャパン2011』 http://enjapan2011.com/companySearch/index.cfm
( 2010.7.1 )
<調査設計及び統計参考文献の部>
石村貞夫( 1997 )、『 SPSS による分散分析と多重比較の手順』(東京図書)。
小島寛之( 2006 )、『完全独習
統計学入門』(ダイヤモンド社)。
86
鍵和田京子、石村貞夫( 2001 )、『よくわかる卒論・修論のための統計処理の選び方』
(東京図書)。
竹田茂生、藤木清編( 2010 )、『使えるシーンが見える
ゼロからの統計学』(くろし
お出版)。
田村正紀( 2006 )、『リサーチ・デザイン』(白桃書房)。
村瀬洋一、高田洋、廣瀬毅士( 2009 )、『 SPSS による多変量解析』(オーム社)。
87
付録
<予備調査 ( 2 ) 調査票>
88
<予備調査 ( 3 ) の調査票>
予 備 調査
調 査票
1 ペー ジ 目
89
予 備 調査
調 査票
2 ペー ジ 目
90
予 備 調査
調 査票
3 ペー ジ 目
91
<本調査の調査票>
本調査の調査票は以下の様なページ割で構成さ れてい る 。
1ページ目
2ページ目
3ページ目
表紙
調査対象の
属性に関する
質問項目
調査A
中表紙
6ページ目
7ページ目
無地
調査B
中表紙
10ページ目
11ページ目
無地
調査C
中表紙
92
4ページ目
5ページ目
調査A
6社の企業情報と
質問項目
8ページ目
9ページ目
調査B
6社の企業情報と
質問項目
12ページ目
13ページ目
調査C
6社の企業情報と
質問項目
本調査 調査票 1 ページ目 (表紙)
93
本調査 調査票 2 ページ目 (調査対象の属性に関する質問項目)
94
本調査 調査票 3 ページ目 (調査A 中表紙)
95
本調査 調査票 4 ページ目 (調査A6 社の企業情報と質問項目-1)
96
本調査 調査票 5 ページ目 (調査A6 社の企業情報と質問項目-2)
97
本調査 調査票 6 ページ目 (無地)
本調査 調査票 7 ページ目 (調査B 中表紙)
98
本調査 調査票 8 ページ目 (調査B6 社の企業情報と質問項目-1)
99
本調査 調査票 9 ページ目 (調査B6 社の企業情報と質問項目-2)
100
本調査 調査票 10 ページ目 (無地)
本調査 調査票 11 ページ目 (調査C 中表紙)
101
本調査 調査票 12 ページ目 (調査C6 社の企業情報と質問項目-1)
102
本調査 調査票 13 ページ目 (調査C6 社の企業情報と質問項目-2)
103
本調査 調査票 14 ページ目 (ロゴマークのデザイン性に関する質問-1)
104
本調査 調査票 15 ページ目 (ロゴマークのデザイン性に関する質問-2)
105
被説明変数
順位
印象
興味
調査意欲
説明会
エントリー
デザイン性
説明変数
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合計
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合計
ロゴマーク11
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合計
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合計
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合計
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合計
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合計
調査A 基礎統計量
度数
平均値 標準偏差 標準誤差
178
4.46
1.26
.09
178
4.91
1.21
.09
178
2.17
1.23
.09
178
4.66
1.23
.09
178
1.91
.96
.07
178
2.87
1.30
.10
1068
3.50
1.71
.05
178
3.42
.87
.07
178
3.69
.89
.07
178
2.24
.80
.06
178
3.70
.81
.06
178
2.22
.77
.06
178
2.66
.84
.06
1068
2.99
1.05
.03
178
2.99
1.06
.08
178
3.38
1.05
.08
178
2.19
.94
.07
178
3.40
1.00
.07
178
2.16
.87
.07
178
2.54
.90
.07
1068
2.78
1.10
.03
178
2.98
1.14
.09
178
3.30
1.15
.09
178
2.21
.95
.07
178
3.33
1.06
.08
178
2.14
.87
.07
178
2.58
.96
.07
1068
2.76
1.13
.03
178
3.05
1.18
.09
178
3.33
1.16
.09
178
2.22
.98
.07
178
3.38
1.05
.08
178
2.21
.96
.07
178
2.58
.97
.07
1068
2.80
1.16
.04
178
3.03
1.19
.09
178
3.32
1.14
.09
178
2.22
.98
.07
178
3.33
1.02
.08
178
2.23
.95
.07
178
2.59
.97
.07
1068
2.79
1.14
.03
178
2.66
1.17
.09
178
3.52
1.00
.07
178
.01
.07
.01
178
3.63
.91
.07
178
.02
.24
.02
178
1.43
.73
.06
1068
1.88
1.70
.05
106
最小値
最大値
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
6
6
6
6
6
6
6
5
5
4
5
5
5
5
5
5
5
5
5
4
5
5
5
5
5
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5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
1
5
3
5
5
被説明変数
順位
印象
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合計
ロゴマーク21
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合計
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合計
ロゴマーク21
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合計
調査B 基礎統計量
度数
平均値 標準偏差 標準誤差
178
2.18
1.45
.11
178
4.81
1.22
.09
178
3.38
1.33
.10
178
4.71
1.37
.10
178
3.15
1.47
.11
178
2.69
1.55
.12
1068
3.49
1.71
.05
178
2.75
.82
.06
178
3.68
.81
.06
178
3.10
.86
.06
178
3.62
.86
.06
178
2.97
.83
.06
178
2.90
.86
.06
1068
3.17
.91
.03
178
2.54
.92
.07
178
3.53
.93
.07
178
2.95
.91
.07
178
3.46
.98
.07
178
2.83
.92
.07
178
2.82
.96
.07
1068
3.02
1.00
.03
178
2.57
.98
.07
178
3.45
.96
.07
178
2.91
.98
.07
178
3.39
1.07
.08
178
2.86
.96
.07
178
2.81
.98
.07
1068
3.00
1.04
.03
178
2.56
.97
.07
178
3.42
1.03
.08
178
2.93
1.00
.07
178
3.39
1.07
.08
178
2.85
1.00
.07
178
2.80
1.03
.08
1068
2.99
1.06
.03
178
2.54
1.00
.07
178
3.48
.99
.07
178
2.92
.99
.07
178
3.41
1.10
.08
178
2.85
1.06
.08
178
2.83
1.01
.08
1068
3.00
1.08
.03
178
1.60
.83
.06
178
3.81
.96
.07
178
2.54
1.03
.08
177
3.12
1.03
.08
178
2.35
.98
.07
178
2.44
1.07
.08
1067
2.64
1.20
.04
107
最小値
最大値
1
1
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1
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6
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5
5
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5
5
5
5
5
5
5
5
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5
5
5
被説明変数
順位
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合計
ロゴマーク31
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合計
ロゴマーク31
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合計
調査C 基礎統計量
平均値 標準偏差 標準誤差
度数
178
3.19
1.33
.10
178
4.96
1.26
.09
178
2.37
1.48
.11
178
4.17
1.65
.12
178
2.65
1.59
.12
178
3.61
1.47
.11
1068
3.49
1.71
.05
178
2.85
.77
.06
178
3.83
.82
.06
178
2.66
1.03
.08
178
3.37
.96
.07
178
2.90
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.08
178
3.32
.89
.07
1068
3.16
1.00
.03
178
2.74
.84
.06
178
3.70
.94
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2.63
1.10
.08
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3.30
.99
.07
178
2.84
1.02
.08
178
3.16
.96
.07
1068
3.06
1.04
.03
178
2.71
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178
3.66
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.07
178
2.51
1.09
.08
178
3.26
1.01
.08
178
2.85
1.08
.08
178
3.08
1.01
.08
1068
3.01
1.08
.03
178
2.70
.94
.07
178
3.63
1.01
.08
178
2.49
1.07
.08
178
3.24
1.10
.08
178
2.80
1.09
.08
178
3.11
1.04
.08
1068
3.00
1.11
.03
178
2.70
.93
.07
178
3.70
.98
.07
178
2.46
1.09
.08
178
3.26
1.08
.08
178
2.76
1.06
.08
178
3.11
1.03
.08
1068
3.00
1.11
.03
178
2.52
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.10
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2.22
1.15
.09
178
2.18
.91
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178
3.00
1.10
.08
178
3.53
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最小値
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18
18
日本の名字七千傑
上位30位
順 位
苗 字
人 口
由来
1
佐藤
約1,928,000 藤原秀郷の後裔、左衛門尉公清が佐藤を称するに始まる。
2
鈴木
約1,707,000 物部氏族穂積氏の後裔、紀伊国熊野の豪族で熊野神社勧請で広まる。
3
高橋
約1,416,000 物部氏族の高橋連、伊勢神宮祠官、弥彦大宮司など全国的に諸流多し。
4
田中
約1,336,000 蘇我氏族の田中臣、清和源氏、桓武平氏、藤原氏、橘氏などの諸流多し。
5
渡辺
約1,135,000 嵯峨源氏、源融四世の孫、渡辺綱の後裔。摂津国西成郡渡辺発祥。
6
伊藤
約1,080,000 藤原秀郷の後裔、佐藤公清の曾孫基景が伊勢に住み称したのに始まる。
7
山本
約1,077,000 賀茂社神職家、清和源氏、桓武平氏、藤原氏、日下部氏など諸流多し。
8
中村
約1,058,000 中村連、清和源氏、宇多源氏、桓武平氏、藤原氏など諸流多し。
9
小林
約1,019,000 大神姓、清和源氏、桓武平氏、藤原氏秀郷流など、神官系が多い。
10
斎藤
約980,000 藤原利仁の子、斎宮頭叙用が斎藤を称するに始まる。
11
加藤
約860,000 加賀の藤原氏。藤原利仁の六世正重に始まり、全国に分布。
12
吉田
約835,000 吉田連、卜部姓公家、吉田社社家、清和源氏、桓武平氏、藤原氏など諸流多し。
13
山田
約816,000 山田臣、山田連、山田県主、平城天皇の山田皇子裔、源氏、平氏、藤原氏など。
14
佐〄木
15
山口
約641,000 山口臣、清和源氏、桓武平氏、多〄良氏、日下部氏、小野姓横山党など。
16
松本
約634,000 伏見稲荷神職家、石清水祠官、清和源氏、宇多源氏、桓武平氏など諸流多し。
17
井上
約610,000 清和源氏頼季流(信濃国高井郡井上)、安倍氏(三河)などが有名。
18
木村
約584,000 藤原氏秀郷流(下野)、紀氏(近江)、物部氏(摂津)、穂積氏(紀伊)など。
19
林
約541,000 林連、林臣、林宿禰、大伴氏、越智氏、清和源氏、桓武平氏、藤原氏など。
20
清水
約524,000 丹党、清原氏、清和源氏、藤原氏秀郷流など諸流多し。
21
山崎
約488,000 清和源氏、宇多源氏、村上源氏、藤原氏、橘氏など全国の山崎地名より発祥。
22
中島
約481,000 尾張の神魂命裔、山城の鴨県主裔。諏訪神家、清和源氏、村上源氏、藤原氏も。
23
池田
約461,000 池田首の裔。ほかに美濃国土岐郡発祥の清和源氏頼光流は後の岡山藩池田氏。
24
阿部
約458,000 孝元帝皇子大彦命後裔の大族。福山藩主は藤原道兼流、半原藩主は滋野氏。
25
橋本
約448,000 和泉の和田氏族。ほかに清和源氏、宇多源氏、桓武平氏、公家藤原氏など。
26
山下
約435,000 清和源氏、宇多源氏、藤原秀郷流、宇都宮氏流など諸流多し。
27
森
28
石川
約414,000 蘇我石川宿祢後裔の大族。ほかに清和源氏、小野氏、紀氏、伴氏など。
29
前田
約395,000 加賀藩主は尾張菅原氏の後裔。前田臣、橘氏、藤原氏など諸流多し。
30
小川
約387,000 小川真人、小川造、日奉姓西党、清和源氏、桓武平氏、藤原氏など諸流多し。
約716,000 近江国蒲生郡佐〄木より起こる宇多源氏。
約434,000 戦国大名森氏は清和源氏義家流。宇多源氏、藤原氏、清原氏など諸流多し。
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リ ク ナ ビ 2011
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( 出所 ) リ ク ナ ビ 2011
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エ ン ジ ャ パ ン 2011
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( 出所 ) エ ン ジ ャ パ ン 2011
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111
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