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3 「新指定・新登録・新選定」答申物件 《史跡名勝天然記念物の新指定
「新指定・新登録・新選定」答申物件 《史跡名勝天然記念物の新指定》 【史跡】6件 きゅうしんまちぼうせきじょ 1 旧 新 町 紡績所【群馬県高崎市】 明治10年(1877)群馬県新町に操業開始した我が国最初の絹糸紡績工場。佐々木 ながあつ 長淳のヨーロッパでの紡績業などの視察報告に基づき,内務省が官営工場として設立した。 明治10年に建設された工場本館が現存する。 (明治10年(1877)群馬県新町に操業開始した我が国最初の官営絹糸紡績工場。) 2 みみとり い せ き 耳取遺跡【新潟県見附市】 ば て い け いしゅうらく たいしゅ 縄文時代中期から晩期の大規模な集落跡。中期中葉の馬蹄形 集 落 からはヒスイ製大珠が きっこうがた 出土し,後期前葉の環状集落は北陸地域では最大規模,そして晩期後葉の集落は亀甲形の 掘立柱建物によって構成される。3時期の集落跡それぞれの構造がよくわかる北陸地域で は稀有な遺跡として重要。 (縄文時代の中期から晩期までの集落変遷がわかる北陸地域では稀有な遺跡。) 3 か え つ くにざかいしろあと ぐんおよ みち 加越 国 境 城跡群及び道 きりやまじょうあと 切山城跡 ま つ ね じょうあと 松根 城 跡 お は ら ごえ 小原越 【富山県小矢部市,石川県金沢市】 ほくりくどう お は ら ごえ た ぢ か ごえ わきかいどう か が ま え だ がた えっちゅう 北陸道から分岐する小原越や田近越などの脇街道に沿って築城され,加賀前田方と 越 中 さ っ さ がた 佐々方との攻防の舞台となった城跡群と道からなる遺跡。今回,小原越とそこに沿う切山 城跡及び松根城跡を対象とする。城跡は道を堀により断ち切っている。 (加賀・越中を舞台とする前田方と佐々方の攻防や街道と城跡の関係を考える上で重要な 遺跡。) 4 た だ ぎんどう ざん い せ き 多田銀銅山遺跡【兵庫県川辺郡猪名川町】 ぎんどうこうせき 大阪平野中心部から北約20kmに所在する銀銅鉱石の採掘から製錬を行った遺跡。江 戸時代における鉱山の管理や生産に係る遺構が良好に残されている。史料も豊富にあり, 3 江戸から明治時代に至るまでの鉱山の在り方や産業技術史を考える上で重要。 (江戸から明治時代に至るまでの鉱山の在り方や産業技術史を考える上で重要な遺跡。) 5 かんまき く ど こ ふ ん ぐん 上牧久渡古墳群【奈良県北葛城郡上牧町】 奈良盆地西部に位置する,7基からなる古墳時代前期及び終末期の古墳群。前期初頭の 3号墳は,中国製の鏡や鉄製武器が出土しており,奈良盆地の中でも最古級の古墳である。 大和政権成立期の諸集団の勢力関係を考える上で重要。 (7基からなる古墳群で,奈良盆地の中でも最古級の古墳を含むことで重要。) 6 お お の はら こ ふ ん ぐん 大野原古墳群 わんかし づか こ ふ ん 椀貸塚古墳 ひらづか こ ふ ん 平塚古墳 かくづか こ ふ ん 角塚古墳 【香川県観音寺市】 古墳時代後期,6世紀後葉から7世紀前半までに築造された古墳群。椀貸塚古墳は四国 しゅうこう 最大級の全長14.8mの横穴式石室と二重の 周 溝 をもつ円墳,平塚古墳は直径50.2 mの香川県最大の円墳,角塚古墳は長軸約42mの方墳である。当該時期の四国のみなら ず西日本の政治や社会の在り方を知る上で重要。 (6世紀後葉から7世紀前半までに築造された,卓越した墳丘規模で大規模な横穴式石室 をもつ古墳群。) 【名勝】 1 3件 みなかた ま ん だ ら ふうけいち 南方曼陀羅の風景地 かしま 神島 とうけい じんじゃ 鬪雞神社 す さ じんじゃ 須佐神社 い さ い だ い な り じんじゃ 伊作田稲荷神社 つぎざくら お う じ 継 桜 王子 たかはら く ま の じんじゃ 高原熊野神社 き ぜ つ きょう 奇絶 峡 りゅうぜんさん 龍 神山 や が み じんじゃ 八上神社 4 た な か じんじゃ 田中神社 く ろ しま こ と 九龍島 ひ ら じんじゃ 金刀比羅神社 てんじん ざき 天神崎 【和歌山県田辺市・西牟婁郡白浜町・西牟婁郡上富田町・東牟婁郡串本町】 みなかたくまぐす 植物学・民俗学・博物学の分野で世界的に著名な南方熊楠(1867~1941)は, 近代日本の風景の保護に先駆的な役割を果たした。明治末期から大正期にかけて急速に進 ごうし しんらばんしょう んだ神社合祀政策への反対運動に取り組む中で,特有の天然風景に潜む森羅万象を真言密 教の本質を示す「曼陀羅」になぞらえ,多様な生態系に基づく風景美の発見に新たな視点 をもたらした。その世界観・風景観は,後に南方熊楠の研究者らによって「南方曼陀羅」と して普及した。そうした「特有の天然風景」のうち条件の整った13か所を指定する。 (南方熊楠が「特有の天然風景」と評価した一群の風致景観。) 2 お お ぼ け 大歩危【徳島県三好市】 江戸時代には通行の難所であったが,近代に鉄道・道路が河岸に開通することにより広 こ ぼ け く知られるようになった渓流の風致景観。小歩危も含め昭和初期の日本百景に選ばれるな ど,近代の景勝地として著名。天然記念物の指定地と同範囲を名勝として指定する。 (江戸時代の通行の難所が,近代になって著名になった渓流の風致景観。) 3 もり アマミクヌムイ(アマミクの杜) な き じん う たき う たき 今鬼神ノカナヒヤフ(テンチジアマチジ)及びこはおの御嶽(クバの御嶽) く だか むい く だか う たき 久高コハウ森(久高のフボー御嶽) 【沖縄県国頭郡今帰仁村・南城市】 ちゅうざんせいかん 琉球国正史の『 中 山 世鑑』をはじめ琉球国が編纂した史料において,国土創生神として かいびゃく 記されたアマミクの琉球 開 闢 神話にまつわる13の御嶽は,琉球固有の地形・地質,植生 から成る聖地としての風景地である。今回は,そのうち条件の整った2か所を指定する。 (アマミクの琉球開闢神話にまつわる固有の地形・地質,植生から成る一群の風致景観。) 【天然記念物】 1 い ま り わ ん 3件 はんしょくち 伊万里湾カブトガニ繁殖地【佐賀県伊万里市】 伊万里湾内奥部では,生きた化石とも呼ばれ学術上貴重なカブトガニが安定的に繁殖し ている。指定対象区域はカブトガニが産卵する砂浜とその幼生が生育する干潟が良好な状 5 態で維持されており,地域における保護意識も高く,重要な繁殖地である。 (学術上貴重なカブトガニが安定的に繁殖する,重要な繁殖地。) たねがしまあだけがわ 2 りん 種子島阿嶽川のマングローブ林【鹿児島県熊毛郡中種子町】 種子島にあるマングローブ林で,メヒルギのみの群落。自然分布における北限域の群落 として重要。気温が低いことなどから,河川沿いでは形態的に樹高が低く,大きく枝を広 げた独特の樹形の個体が多く見られる。 (独特の樹形をもったマングローブ林で,自然分布の北限域として貴重。) くだかじま 3 かいがん しょくぶつぐんらく 久高島の海岸 植 物 群落【沖縄県南城市】 かくらん 久高島は沖縄における最高の聖域として守られてきたため,人為的攪乱が少なく,砂浜, かいがい ち 隆起サンゴ礁,海崖地などの多くの地形に対応して,南西諸島の様々なタイプの海岸植物 群落が良好に生育している。島内で亜熱帯地域の様々な植生を見ることができ,重要であ る。 りゅうき しょう かいがい ち (亜熱帯地域の砂浜,隆起サンゴ 礁 ,海崖地の海岸植物群落が一つの島に発達する貴重な 地域。) 《登録記念物の新登録》 【名勝地関係】 1 3件 しちりいわ 七里岩【山梨県韮崎市】 かまなしがわ 八ヶ岳南麓の釜無川の侵食で形成された約30kmの断崖は七里岩と呼ばれ,詩歌等の 文学作品の題材となるなど,韮崎の歴史・伝統にゆかりの深い景勝地の事例として意義深 びょうぶいわ い。今回登録する地点は屏風岩と呼ばれ,七里岩を構成する崖のひとつである。 (釜無川の侵食で形成された断崖で韮崎の歴史・伝統にゆかりの深い景勝地。) 2 さんすいえんていえん 山水園庭園【山口県山口市】 いけにわ かれさんすい ちゃてい ろ じ 池庭,枯山水,茶庭(露地)から成る温泉旅館の庭園。大正期に実業家の別荘として造 ごとうじゅうえい 営が始まり,第二次世界大戦後に京都の庭師後藤重栄により現在の形に整備された。山口 県の造園文化の発展に寄与している庭園の事例として意義深い。 (池庭,枯山水,茶庭(露地)からなる温泉旅館の庭園。) 6 3 う がんざき 御神崎【沖縄県石垣市】 石垣島西岸の断崖・奇岩から成る海浜。岩礁の頂上のブナリヌツブルイシ(姉の頭石) と呼ぶ石が民話の題材となっているほか,かつては神女たちが航海安全を祈願する聖地で もあった。石垣島の歴史・文化・伝承を知ることができる風致景観として意義深い。 (民話の題材にもなっている石垣島西岸の断崖・奇岩から成る海浜の景勝地。) 《重要文化的景観の新選定》 【重要文化的景観】 1 さ ど あいかわ 3件 こうざん およ こうざんまち ぶ ん か て き けいかん 佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観【新潟県佐渡市】 かみまち 金銀山開発に伴い発展してきた都市の文化的景観で,鉱山地区の生産機能,上町地区の したまち 居住及び行政機能,下町地区の流通及び行政機能が,金銀採掘の盛衰に伴い動的な関係を 構築しつつ展開してきた当地の歴史的変遷を示す景観地。 (金銀採掘の盛衰に伴い動的な関係を構築しつつ展開してきた鉱山及び鉱山町の景観地。) 2 おおざわ かみおおざわ ま が き しゅうらくけいかん 大沢・上大沢の間垣 集 落 景観【石川県輪島市】 日本海に面した能登半島の厳しい気候環境の中で,中世以前からの半農半漁の生活の中 さ と ち さとやま で育まれてきた,里地里山利用を特徴とする文化的景観。集落の間垣(ニガタケなどを用 いた防風用の垣根)や耕作地のイナハザに代表される景観が特徴的である。 (能登半島の日本海に面する部分にある間垣(防風用の垣根)で囲まれた集落の文化的景 観。) 3 きょうとおかざき ぶ ん か て き けいかん 京都岡崎の文化的景観【京都府京都市】 しらかわ 京都白川の扇状地の利点を最大限に活用し,古代から中世にかけては寺院群,中世から び わ こ そすい 近世には都市近郊農業が営まれ,近代には琵琶湖疏水開削に伴う公共施設や園池を伴う庭 園が造られた,京都市街地周縁部における重層的な土地利用の変遷を現在に伝える文化的 景観。 (白川や琵琶湖疏水を中心とした京都周縁部の重層的な土地利用の変遷を伝える文化的景 観。) 7