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プリズム機関紙 第7号
●三重県いなば園 発行責任者 園長 〒514-1252 ●電 話 北 民雄 津市稲葉町 3989 (059)-252-1780 ●ファックス (059)-252-1374 ●ホームページアドレス 第7号 http://www.inabaen.com ●発行年月日 平成 25 年 5 月日 「プリズム」3 年目を迎えて 三重県いなば園 園長 北 民雄 桜の季節が過ぎ、初夏の風が感じられる季節にプリズムは 3 回目の穏やかな 新シーズンを迎えています。 皆様方のご理解とご協力を頂き、今日を迎えられます事に感謝申し上げます。 さて、本園では 36 年間蓄積した支援技術に加え、ミュージックケア、スヌ ーズレン等、近年の新たな手法を試みるなど、専門職は常に支援技術の研鑽に 励むとともに、お子様の現状を分析し日々支援を工夫して児童本位の支援継続 を致します。このためには、保護者の皆様と充分に意見交換や情報の共有をす ることが丌可欠ですので、お気軽にスタッフに声かけしていただき、家庭での 様子などお聞かせいただけたら幸いです。平成 25 年度は、児童発達管理責任 者のもと、専任作業療法士と専任児童指導員を配置しておりますのでなんなり とご相談下さい。 さて私ども福祉事業者に求められる社会の期待はますます大きくなっており、 法人の持つ支援技術を地域に活かすことはもちろん、様々な方面で地域に貢献 することが求められております。皆様から頂くご意見に真摯に向き合ってまい りますので今後ともよろしくお願い申し上げます。 スタッフからの挨拶 ―平成 25 年度スタート!― 児童発達管理責任者 辻知佳子 プリズムは新しいスタッフを2名迎え25年度が スタートしました。早いもので3年目を迎えること となりました。現在、児童発達支援(未就学児) 33名、放課後等デイサービス(就学児)32名 のお子様にご利用していただいています。 4月にはグルーピングの組み換えをさせていただきました。プリズムの活動 も、それぞれのカラーが出てきています。活動の中身を尐し紹介させていただ くと、全身を使った運動や四肢のバランスが必要な動作を取り入れた遊びや活 動を経験してもらっています。そして一人ひとりの子どもに合わせて回を重ね るごとに活動の中身をレベルアップしたものにしています。子ども達も最初は ドキドキしながらですが、何度も経験することで遊びも活動もよりレベルアッ プしたものに取り組むことができるようになっています。子ども達の成長ぶり に私たちスタッフも驚かされています。 子ども達にとって、プリズムが楽しく活動できる場所で有り続けるよう、保 護者の皆さまのご支援をいただきながらスタッフ全員が最善の努力をしてまい ります。今後とも、皆さまのご理解・ご協力のほどよろしくお願い致します。 専任作業療法士 小坂泰久 前年度は火曜日のみ担当しておりましたが、4 月より 専任となりました。プリズムはまだまだ発展途上の段階 ですが、意味のある支援、より良い支援に向けてどんどん 変化していきたいと考えています。よろしくお願い致します。 専任児童指導員 大西亜耶佳 初めまして、4 月よりプリズムでお世話になることに なりました。元気な子どもたちのパワーに驚いている 毎日ですが、我々も負けないよう明るく元気に支援 に取り組んでいきますので、よろしくお願い致します。 【連載コラム①第一回】 発達の始まりは 「感覚」から!? 作業療法士 小坂 泰久 例えば、生後 1~2 か月の赤ちゃんの手のひらを指で触ったとき、赤ちゃん が指をぎゅっと握りしめてきたという経験がある方もいるのではないでしょう か。自分の子どもであってもなくても、微笑ましい光景で、生まれたばかりな のに何とかわいらしいんだと思うこともあると思います。ところが、赤ちゃん からしてみれば、大人のことを好きで指を握っているわけではなく、手のひら を触られたことにより「把握反射」というものが働き、勝手に手が動いて指を 握っていたのです。 把握反射の場合だと「触られる」ことで「手が動く」といったように、感じ ること(感覚)と動くこと(運動)は別々のものではなく、密接につながって いるものであることが言えます。生まれたばかりの頃は、自分の身を守るため、 あるいは環境に適応していくために様々な反射がありますが、自身の体や環境 の変化を「感じて」 「動く」経験を積んでいくことで、多くの反射が出なくなっ ていきます。そして感じたことに対して、反射的ではなく、自分の意思で体を 動かせることが増えてきます。この変化は脳の発育、発達を目で見える形で表 しています。 生後7か月頃になるとハイハイが徐々にできるようになってきますが、自分 で移動ができるようになることで、目に映る景色は変わり、体に入ってくる感 覚も変わってきます。移動することで環境の変化を「感じ」、さらに「動く」こ とによって、また変化を感じる、その繰り返しが空間認識の形成につながって います。遊びの発達の面からみると、口や手でおもちゃの形、素材の感覚を楽 しむことから始まり、徐々に動かす、押すなどの動作を通じておもちゃにはた らきかけ、その感覚を感じることが楽しくなり、次第におもちゃの形や動きが 変化することを楽しむという段階を踏んでいきます。遊びにおいても「感じる」 ことから始まり、「はたらきかける(動かす)」ことによって感じるというサイ クルを繰り返しています。このサイクルによって時間、空間、因果の関係など、 ものの法則の理解が促されていきます。以上のように、「感じて」「動く」とい うサイクルの積み重ねは、単に運動機能だけでなく、認知機能、知的機能など、 子どもが様々な発達をしていくうえでの基盤となっています。 発達を促すことについて、これが正しい方法だというものはなく、どの方法 がそれぞれのお子さんにとって合っているか、お子さんが自発的に取り組める かという視点が重要になります。プリズムにおいて私たちは、発達の基礎とな る「感覚」と「運動」のつながりを大切にしながら、一人ひとりの発達の段階 を把握し、お子さん自身が持っている力をどうすれば引き出すことができるか を日々考え、接しています。プリズムの利用は週1回の方が多く、お子さんに とって普段の生活の場は自宅であり、保育園、幼稚園または学校となります。 その普段の生活の場でいきてくるような支援ができるよう、今後も努力してい きたいと考えています。 【連載コラム②第一回】 家族支援・家族相談について 臨床心理士 加藤孝正 親と子は家族を形成し、豊かな生活をしていく上での基礎といえます。清水国明(ミ ュージシャン)は 2 年程前の 3.11 の東日本大震災の東北の地へボランティアとして 行った折に、ある子どもに『何か欲しいものはない?』と尋ねた際、その子どもはお母 さんを探してきてと訴えられて、それに答えられず絶句したと述べています。それをき っかけに『独りにしないで』の歌を作ったと言っています。これは 1 人の子どもとの 体験に留まりません。人は家族の中で家族と共にのみならず、社会の中で社会と共に生 き、暮らしています。子どもを育てる時、親はこの被災地の子どもが口にした心の寂し さを求めているものに気づいていくべきでしょう。 ところで障がいを持つハンディのある子を家族の中に抱えるとなんで私だけが子育 てに苦労ばかりしなければならないかと、親として子どもの顔や姿を見て悲嘆したりし ます。ハンディのある子と分かっていても子どもに当たってしまったり、陰うつな気持 ちを態度や表情に表してしまい、親子ともぎこちなくなったりします。どのように対応 をしたらよいでしょうか?家庭でいろいろ工夫し、子どもに働きかけを行って見えると 思います。ハンディがある子だからと、子どもとの付き合いを諦めがちに親はなりませ んか? NHK 教育 TV をご存知かと思います。その番組の中で、昨今は発達障がいの子への 対応がしばし取り上げられたりします。昨今の発達障がいの子の番組では、子ども 3 人とも発達障がいを持つ母親の例が紹介されていました。障がいを持つ子が 1 人いて も大変な毎日かと推察しますが、歳の違う発達障がいの子への対応はとても参考になる と思います。 TV で紹介された 3 人の子を持つ母親の話を尐し紹介すると、毎日この子らと対面し ていて、いつも子どもに怒り散らしていたが、どの子も興味あることは驚くほどよく覚 えることに気付いた。ある時、子どもがやれたことや行おうとしたことを褒めるように すると、やる気は見えてきた。3 歳過ぎても言葉が出なかった子がその後に歌を 100 曲近く覚えて歌ったり、運動神経が優れていると思った子をサッカークラブに入れると とても熱心にやりだした。言語障がいを持つ子には絵で表現してもらった。食事の後の 皿洗いや片付けが好きな子にその作業を手伝ってもらうと、きちんと良く洗って片付け る等、その子は関心の強い活動になると、よく覚えよくやることが分かった。母親とし ても一緒に楽しみ、一緒に行うようにしているとのことであった。 この紹介された例はハンディを持つ子への対応の仕方についてのポイントを我々に 示唆しています。それは簡単に言えばその子どもの良い面を発見して伸ばすこと、それ には子ども本人の興味・関心を我々がキャッチし、それが開発され実行できる場面を設 けること、親としてそれだけでなく、子どもと一緒に楽しく活動することです。ハンデ ィを持つ子との関わりは、基本的には健常児と同じですが、私たちは子どもにハンディ がある分だけ急がずに、子どもの思いや世界をキャッチしてそれを子どもの目の前で具 体的に展開できる「場」を不えることでしょう。親もその「場」に一緒に入り、子ども と共に楽しみながら活動出来れば最高です。 家庭で子どもと一緒に活動すると言っても、疲れてイライラしながら活動するのでは なく、上記のようにハンディを持つ子のエキスを発見し(これがなかなか容易ではない のですが…) 、親としてそれが発展できる活動の場を尐しでも設けることでしょう。ハ ンディを持つ子の療育や家庭での活動、それに親としての悩み等相談したいことがあり ましたらお申し出ください。 編集後記 新年度を迎え、約 1 ヶ月経ちました。お子様も新しい環境(入学・入園・ 進級)にも馴れつつある頃ではないでしょうか?いなば園・プリズムでも新 園長、新スタッフと大きな変化がありました。お子様や保護者様も戸惑わ れたことと思いますが、一生懸命、支援に取り組んでまいりますのでよろ しくお願い致します。初夏の風が感じられる季節となり、これから暑くな ってまいりますが、熱中症等お気を付け下さい。 ・総括責任者 谷口 ・児童発達支援管理責任者 辻 ・プリズム編集責任者 大西 美代 知佳子 亜耶佳