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ブルネイにおける日本造船業 並びに舶用工業セミナー報告書

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ブルネイにおける日本造船業 並びに舶用工業セミナー報告書
助成
ブルネイにおける日本造船業
並びに舶用工業セミナー報告書
2008 年 3 月
社団法人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会
財団法人 日 本 船 舶 技 術 研 究 協 会
目
次
日 本 造 船 業 紹 介 セ ミ ナ ー ······································································ 1
1.
実 施 内 容 ··················································································· 1
2.
参 加 者 リ ス ト ·············································································· 1
3.
セ ミ ナ ー ス ケ ジ ュ ー ル ·································································· 3
<資 料 集 >
1.
タ イ ト ル ··················································································· 6
2.
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ····································································· 7
⑴
日 本 造 船 業 ・ 舶 用 工 業 の 現 状 ( ジ ェ ト ロ シ ン ガ ポ ー ル ) ················· 7
⑵
今 治 造 船 の 紹 介 ····································································· 11
⑶
神 田 造 船 所 の 紹 介 ·································································· 13
⑷
墨 田 川 造 船 ・ ODA に よ る イ ン ド ネ シ ア 海 上 警 察 向 け
巡 視 艇 の 紹 介 ····································································· 14
⑸
ヤ ン マ ー の 紹 介 ・ IMO 排 ガ ス 規 制 と そ の 対 策 ······························· 19
⑹
ナ カ シ マ プ ロ ペ ラ の 紹 介 ························································· 20
3.
プ レ ス 記 事 ················································································ 25
4.
ブ ル ネ イ の 海 事 政 策 と 登 録 船 舶 ( 運 輸 通 信 省 ) ··································· 29
5.
ブ ル ネ イ ・ ダ ル サ ラ ー ム 国 ( Brunei Darussalam) の 一 般 事 情 ··············· 31
⑴
歴 史 的 背 景 ·········································································· 31
⑵
地 理 的 位 置 ·········································································· 31
⑶
地 質 学 的 特 徴 ······································································· 31
⑷
気
⑸
首 都 及 び 主 要 都 市 ·································································· 32
⑹
政
府 ················································································ 32
⑺
司
法 ················································································ 32
⑻
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 憲 法 ··················································· 32
⑼
人
口 ················································································ 33
⑽
雇
用 ················································································ 33
⑾
通 貨 と 銀 行 業 務 ····································································· 33
⑿
経
済 ················································································ 34
①
石 油 ・ 天 然 ガ ス ······························································ 34
②
対 外 貿 易 ······································································· 34
③
外 国 直 接 投 資 ································································· 35
候 ················································································ 32
は じ め に
豊 富 な 石 油 資 源 を 保 有 す る ブ ル ネ イ は 、石 油・天 然 ガ ス が 輸 出 総 額 の 9 割
を 占 め 、そ の 収 益 を ベ ー ス に 目 覚 ま し い 発 展 を 続 け て い る 。そ の 石 油 等 の 資
源 は 、オ フ シ ョ ア リ グ に よ り 採 掘 さ れ て い る こ と か ら ワ ー ク ボ ー ト 等 の 船 舶
が大きな役割を果たしている。
ブ ル ネ イ に お い て 石 油 採 掘 を 一 手 に 引 き 受 け て い る ブ ル ネ イ シ ェ ル は 、自
社 船 は 保 有 せ ず 必 要 に 応 じ て 船 主 か ら チ ャ ー タ ー し て い る 。そ の た め 、同 社
の方針が船主の新造船建造の判断に大きく影響しているところである。
近 年 、東 南 ア ジ ア の 経 済 発 展 は 目 覚 ま し く 、そ の 発 展 を 支 え る 石 油・天 然
ガスの需要は益々高まっている。そのような状況の中、ブルネイシェルは、
よ り 沖 合 い で の 採 掘 を 目 指 し 、 5 年 後 に は Deep Water で の 作 業 を 可 能 と す
る船舶のチャーターへと移行する方向である。
ま た 、政 府 船 に つ い て は 海 洋 局 等 が 所 有 し 、今 後 の 代 替 船 に つ い て は 全 て
新造船とする方向である。
ブ ル ネ イ で は 、100G/T 以 上 の 登 録 船 は 70 隻 あ り 、う ち ブ ル ネ イ シ ェ ル 関
係 が 45 隻 、 政 府 関 係 が 8 隻 と な っ て い る 。
100G/T 以 下 の 船 舶 に つ い て は 、 海 上 警 察 が 高 速 ア ル ミ 船 等 の 船 舶 を 保 有
し て い る も の の 船 齢 が 20 年 以 上 と 老 齢 化 し て い る よ う な 状 況 で あ る 。
こ の よ う に 、現 在 の ブ ル ネ イ に お い て は 商 船 に あ っ て は 、よ り 高 度 な 新 た
な船種へと移行し政府船にあっては、代替が見込まれる状況となっている。
こ の よ う な 状 況 で あ る こ と か ら 、ブ ル ネ イ シ ェ ル 、ブ ル ネ イ 船 主 、政 府 機
関 等 に 対 し 、わ が 国 造 船 業 を 紹 介 す る セ ミ ナ ー を 開 催 す る こ と は ア ン カ ー ハ
ン ド リ ン グ ベ ッ セ ル 等 の 作 業 船 、高 速 交 通 船 、油 防 除 船 、パ ト ロ ー ル ボ ー ト
等の船舶のわが国造船業界での建造へと繋がる最適な時期である。
そ の た め 、ブ ル ネ イ に お け る 海 運 関 係 者 に 対 し て 日 本 造 船 業 並 び に 舶 用 工
業を紹介するセミナーを開催するとともに同国の海事関係機関を調査した。
ジェトロ・シンガポール・センター船舶部
(社団法人日本中小型造船工業会共同事務所)
ディレクター
田中信行
日本造船業・舶用工業紹介セミナー
日 本 中 小 型 造 船 工 業 会( CAJS)と ジ ェ ト ロ シ ン ガ ポ ー ル セ ン タ ー 船 舶 部 は 、日 本 財 団
の支援を受けるとともに、三菱商事ブルネイ支店の協力を得て、ブルネイにおける海運
関 係 者 に 対 し 、“ 日 本 造 船 業 及 び 舶 用 工 業 の 紹 介 ”と 題 し 、平 成 20 年 2 月 19 日 、シ ェ
ラトン・ウタマ・ホテルにて、セミナーを開催した。
1.
実施内容
本セミナーへは、日本側から、造船会社、舶用機器メーカー、同工業会事務局、ジェ
トロシンガポールが出席した。ブルネイ側からは、運輸通信省、経済開発庁、ブルネイ
シェル、ブルネイ船主等が出席した。
セミナーでは、以下のプレゼンテーションが行われた。
•
日本造船業・舶用工業の現状(ジェトロシンガポール)
•
今治造船の紹介(今治造船)
•
神田造船の紹介(神田造船)
•
墨 田 川 造 船・ODA に よ る イ ン ド ネ シ ア 海 上 警 察 向 け 巡 視 艇 の 紹 介( 墨 田 川 造 船 )
•
ヤ ン マ ー の 紹 介 ・ IMO 排 ガ ス 規 制 と そ の 対 策 ( ヤ ン マ ー )
•
ナカシマプロペラの紹介(ナカシマプロペラ)
その後引き続き、ブルネイへの造船業に掛かる投資、造船所・舶用機械メーカの受注
状況、船価等について、活発な意見交換が行われた。
2.
参加者リスト
(1)
日本側参加者
(2)
山口嘉弘
墨田川造船株式会社
専務取締役
渡部健司
今治造船株式会社
取締役東京副支社長
神田
朗
株式会社 神田造船所
取締役副工場長
井原
浩
ヤンマー株式会社
執行役員特販部長
吉川
滋
ヤンマー株式会社
特機エンジン事業本部開発部技監
朝原
登
ナカシマプロペラ株 式 会 社
常務取締役
北村和芳
日本中小型造船工業会
事務局長
田中信行
ジェトロシンガポールセンター
船舶部長
ブルネイ側参加者
H. Hohd. Salihin Bin H. Aspar
Marine Officer
Marine Department, Ministry of Communications
PG Aki Ismasufian
Senior Officer
Marketing & Investment Promotion
The Brunei Economic Development Board
-1-
Embran HJ Momin
Head of Marine
BSP Logistics Discipline
Brunei Shell Petroleum
Ak Nor Hazman Vin PHA Hamid
Senior Marine Engineer
Brunei Gas Carriers Sendirian Berhad
Hubert Yong
Sales & Matketing Executive
Tendrill Co.
M. Shah’rin Bin Shahbuddin
Director
Briny Marine Services SDN. BHD
PG Hj Hassan Bin Pg Zahari
Managing Director
Belait Shipping Co. Sdn Bhd
Pg Irwan Bin Pg Salleh Ab Rahaman Chairman/Managing Director
Rahaman
(各社代表者のみ)
-2-
プログラム
Seminar on
I n t ro d u c t i o n o f J a p a n e s e S h i p s
and Machineries
Date
Venue
Tuesday, February 19 2008
‘Mutiara Hall’ Function Room, Sheraton Utama Hotel
Forum Schedule of Activities
09:00
Registration open
09:30-09:35
Opening, by CAJS
09:35-09:45
Current situation of shipbuilding industries in Japan,
by JETRO Singapore
09:45-10:05
Introduction of Shipyard, by Imabari Shipbuilding
10:05-10:15
Introduction of Shipyard, by Kanda Shipbuilding
10:15-10:25
Introduction of Shipyard, by Sumidagawa Shipyard
10:25-10:35
Introduction of Ship Machinery, by Yanmar
10:35-11:15
IMO exhaust emission standard, by Yanmar
11:15-11:45
Introduction of Propeller, by Nakashima Propeller
11:45-12:00
Discussion
12:00-12:05
Closing
12:05-12:30
Buffet Lunch
12:30
End of Forum
Organized by
CAJS (The Cooperative Association of Japan Shipbuilders)
and
JETRO Singapore (Japan External Trade Organization)
Supported by
Nippon Foundation
-3-
-4-
資
料
-5-
集
1.
タイトル
-6-
2.
(1).
プレゼンテーション
日本造船業・舶用工業の現状
-7-
-8-
-9-
- 10 -
(2).
今治造船の紹介
今治造船の渡部と申します。
今治造船グループの紹介を簡単にさせていただきます。
今 治 造 船 は 1901 年 に 創 業 、100 年 を 超 え る 歴 史 を 持 ち そ の 建 造 隻 数 は 1500 隻 を 超 え て
います。
現 在 今 治 造 船 グ ル ー プ は 8 工 場 11 基 の 建 造 設 備 を 保 有 し そ の 建 造 量 は 2007 年 に 於 い て
は 進 水 ベ ー ス で 83 隻 、 総 ト ン 数 で 370 万 総 ト ン の 建 造 実 績 を 上 げ て い ま す 。
本 年 に は 念 願 の LNG 船 も 竣 工 い た し ま す 。
建造する船種もあらゆる船型に対応可能となっています。
何らかの形で皆様のお手伝いが出来ればと考えていますので宜しくお願い致します。
- 11 -
- 12 -
(3).
神田造船所の紹介
- 13 -
(4).
墨田川造船の紹介 ( ODA に よ る イ ン ド ネ シ ア 海 上 警 察 向 け 巡 視 艇 の 紹 介 )
ブルネイプレゼン資料
1. 墨田川造船の概要
当 社 は 1913 年 4 月 に 設 立 さ れ 、 4 年 後 に 100 周 年 を 迎 え ま す 。
設立以来巡視艇、救命捜索艇、消防艇、旅客船など特殊船を国内外の
船主向けに建造してまいりました。
特に我々の得意とするところは高速巡視艇、救命捜索艇であります。
お手元に配布させていただきました当社のカタログを御覧いただければ
お 解 か り 頂 け る と 思 い ま す が 、我 々 の 主 要 顧 客 は 国 内 で は 日 本 の 海 上 保 安 庁 、警 察
庁、各都道府県の消防局であります。
一方海外においてはインド、フィリッピン、タイ、バングラデシュ、
イラン、クーウェート、マレーシア、台湾などに数多くの高速救命
捜索艇、消防艇などを引渡してきました。
また昨今各国とも船舶建造は現地造船所での建造方針になってきておりますが
我々は現地造船所との技術協力にも興味を持っております。
1982 年 に イ ン ド コ ー ス ト ガ ー ド 向 け に 44M SEARCH & RESCUE BOAT( 救 命 捜
索 艇 )を 4 隻 当 社 で 建 造 し 、3 隻 を 当 社 の 技 術 協 力 に て 現 地 造 船 所 で 建 造 し 引 渡 し
た 実 績 が あ り ま す 。今 現 在 も そ れ ら の 船 は 運 航 し て お り 船 主 か ら 非 常 に 高 い 評 価 を
受けております。
現在東京都内で新造船を建造しているのは当社だけであります。
特 殊 船 と い え ば 皆 様 ご 存 知 の 東 京 デ イ ズ ニ ー シ ー 内 の 交 通 艇( ト ラ ン ジ ッ ト ス テ イ
ーマー)は当社で建造した船であります。
今後も付加価値の高い小型特殊艇を建造してゆく所存でありますので当社にて建
造可能な特殊船の引合が御座いますなら是非とも声を掛けていただきたいと思い
ます。
続きましてお手元に 2 種類の船のカタログを配付させて頂いておりますが、
それについて簡単に説明いたします。
- 14 -
- 15 -
- 16 -
- 17 -
- 18 -
(5).
ヤンマーの紹介 ( IMO 排 ガ ス 規 制 と そ の 対 応 )
- 19 -
(6).
ナカシマプロペラの紹介
- 20 -
- 21 -
- 22 -
- 23 -
- 24 -
3.
プレス記事
- 25 -
- 26 -
- 27 -
- 28 -
4.
ブルネイの海事政策と登録船舶
- 29 -
- 30 -
5.
(1).
ブルネイ・ダルサラーム国(Brunei Darussalam)の一般事情
歴史的背景
ブルネイダルサラーム国は、この地域で最も古い王国の一つである。5世紀の資料に
よ れ ば 、 414 年 に ブ ル ネ イ が ヒ ン ズ ー 教 ・ 仏 教 の 都 市 国 家 と し て 存 在 し て い た 。
イ ス ラ ム 教 に な っ て 、ブ ル ネ イ は 多 島 海( 群 島 )か ら な る 最 大 の 帝 国 の 一 つ と な っ た 。
15 世 紀 及 び 16 世 紀 前 半 は 、 こ の ス ル タ ン 国 家 が ボ ル ネ オ 島 全 土 と フ ィ リ ピ ン の 幾 つ か
の島々を支配し、強大な帝国をなしていた。
スペインと英国による、ボルネオ及びフィリピンの島々にあるブルネイの領土への侵
略 は 、1571 年 に 始 ま り 19 世 紀 第 三 四 半 期 に は 最 盛 期 を 迎 え た 。1888 年 に ブ ル ネ イ は 英
国の保護領となった。
1906 年 に 、ブ ル ネ イ に お け る 居 住 制 度 が 確 立 さ れ た 。1 人 の 英 国 人 居 住 者 が 英 国 政 府
の代表として指名され、マレーの習慣、伝統、イスラム教以外の全てにおいてスルタン
にアドバイスする役目を担った。この制度は、その地域にある他の英国保護領と同様の
政府形態を導入したものだが、これは、ブルネイの伝統的な制度と全く異なるものであ
った。最初に税関、後に国家において、様々な管轄部署を形成しながら、英国人は行政
上の要職を占めた。
1959 年 の 協 定 に よ り 、 憲 法 が 発 布 さ れ 、 ブ ル ネ イ 政 府 は 内 政 自 治 を 回 復 し た 。 1971
年にその協定は、修正・改訂され、軍事・外交以外の全てについて独立性を認めるもの
となった。
1984 年 1 月 1 日 、 ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 は 主 権 国 家 と し て 完 全 独 立 を 回 復 し た 。
(2).
地理的位置
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 は 、 ボ ル ネ オ 島 の 北 西 部 、 東 経 114 度 04 分 ~ 115 度 23 分 、
北 緯 4 度 00 分 ~ 5 度 05 分 に 位 置 す る 。 面 積 は 5,765 平 方 km( 協 会 注 釈 : 三 重 県 と ほ
ぼ 同 じ 大 き さ ) で 、 南 シ ナ 海 に 面 し 約 161km の 海 岸 線 を 有 し て い る 。 国 境 は 北 側 は 南
シナ海で、北側以外の国境はマレーシア・サラワク州と面しており、サラワク州がブル
ネイダルサラーム国を二分している。即ち、東部はテンブロン地区、西部はブルネイ・
ムアラ地区、ツトン地区、ベライト地区から成る。
(3).
地質学的特徴
国土表面は砂岩、頁岩、粘土から成る第三紀の床岩上に発達したものである。
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 西 部 の 国 土 は 、主 と し て 起 伏 に 富 ん だ 91m 以 下 の 低 地 か ら な る
が 、 後 背 地 で は 約 300m ま で 隆 起 し て い る 。
東 部 の 国 土 は 、 岩 の 多 い 山 岳 地 帯 が 支 配 的 で あ り 、 ブ キ ト ・ パ ゴ ン 山 で は 海 抜 1,850m
ある。海岸には、広くて潮の干満がある湿地帯がある。
- 31 -
(4).
気
候
ブルネイダルサラーム国は、高温多湿の熱帯雨林気候である。
2004 年 に は 、 平 均 温 度 が 23.9℃ か ら 32.0℃ へ 、 平 均 湿 度 が 63% か ら 98% へ 変 化 し 、
ま た 1 日 の 最 大 雨 量 は 88.6mm を 記 録 し た 。
(5).
首都及び主要都市
バ ン ダ ル ・ セ リ ・ ブ ガ ワ ン (BSB)は 、 ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 の 首 都 で あ り 、 そ の 面
積 は 16 平 方 km、 人 口 は 2001 年 国 勢 調 査 に よ る と カ ン ポ ン ・ ア イ ル ( 水 上 集 落 ) の 住
民 を 含 め 、 約 28 千 人 で あ る 。 BSB は 、 ブ ル ネ イ ・ ム ア ラ 地 区 に あ り 政 治 と 経 済 活 動 の
中心である。
そ の 他 の 都 市 と し て は 、BSB の 北 東 約 41km に 主 要 港 ム ア ラ 、石 油・天 然 ガ ス の 町 セ
リア、並びにベライト地区の行政の中心地クアラベライト、ツトン地区の行政の中心地
ペカン・ツトン、テンブロン地区の行政の中心地バンガルがある。
(6).
政
府
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 は 1984 年 1 月 1 日 に 完 全 独 立 を 果 た し 、 主 権 国 家 と し て の
国際的責任を再び負うことになった。また、同時に省庁制度を採用した。
(7).
司
法
司法権は、最高裁判所とその付属裁判所に与えられている。最高裁判所は、上告裁判
所 ( Court of Appeal) と 高 等 裁 判 所 ( High Court) か ら な り 、 付 属 裁 判 所 は 治 安 判 事
裁 判 所 か ら 成 っ て い る 。 そ の 中 間 に 中 間 裁 判 所 ( Intermediate Court) が あ る 。 イ ス ラ
ム教教義関連の問題についてはイスラム宗法の裁判官であるカーディの裁判所で取り扱
われる。
(8).
ブルネイダルサラーム国憲法
ブルネイダルサラーム国には成文化された憲法があり、それは2つの基本的な法律か
ら な っ て い る 。即 ち 、憲 法( The Constitution of Brunei Darussalam)と 王 位 継 承 と 財
産 相 続 に 関 す る 発 布 1959 年 (the Succession and Legacy Proclamation 1959)で あ る 。
1984 年 1 月 1 日 に は 、憲 法 は 完 全 独 立 主 権 国 家 と し て の ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 の 地
位を表す条文が加えられた改正憲法が施行された。
憲 法 は 、ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 の 最 高 権 限 を ス ル タ ン に 授 け る こ と を 規 定 し て い る 。
ス ル タ ン は 、 閣 僚 会 議 ( the Council of Ministers) 、 枢 密 院 ( the Privy Council) 、
宗 教 評 議 会 ( the Religious Council) 、 王 位 継 承 評 議 会 ( the Succession Council) 、
及 び 立 法 府 ( the Legislature) に よ っ て 補 佐 さ れ て い る 。
- 32 -
(9).
人
口
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 の 2004 年 中 間 期 調 査 に お け る 推 定 人 口 は 、約 357,800 人 で 、
男 性 約 186,200 人 、女 性 約 171,600 人 で あ る 。最 大 人 種 は 、マ レ ー 系 で 237,100 人 (66.3% )。
続 い て 中 国 系 40,200 人 (11.2% )、 そ の 他 80,500 人 (22.5% )と な っ て い る 。 約 119,800
人 (33.5% )が 15 歳 以 下 で あ り 、 8,000 人 (2.2% )が 65 歳 以 上 で あ る 。 人 口 増 加 率 は 、 年
2.3% で 、ブ ル ネ イ / ム ア ラ 地 区 は 最 大 の 人 口 247,200 人 (69.1% )を 有 し 、ベ ラ イ ト 地 区
59,600 人 (16.7% )、ツ ト ン 地 区 41,600 人 (11.6% )で あ る 。テ ン ブ ロ ン 地 区 に は 、最 少 の
9,400 人 (2.6% )し か い な い 。
(10).
雇
用
ブルネイダルサラーム国は、人口が少ないために、国家開発計画の目標を達成するた
めに必要な全てのマンパワーを自国だけで確保するには不十分である。そのため、ブル
ネイダルサラーム国では、不足労働人口を主にマレーシア、タイ、フィリピン、インド
ネシア、バングラディッシュ、インドからの外国人労働者に依存している。
ブルネイダルサラーム国では、外国人労働者への依存度を減らす努力として、政府は
技術的・専門的分野でのブルネイ国民への訓練を優先的に行っている。
ブルネイダルサラーム国への外国人労働者が入国する流れは、労働局と移民局がそれ
ぞれ労働割当と雇用許可をもって管理している。
2001 年 の 国 勢 調 査 に よ れ ば 、 15 歳 以 上 の 労 働 力 は 157,594 人 で あ り 、 そ の 内 全 就 業
人 口 は 約 146,254 人 で あ っ た 。
64,865 人 が 政 府 部 門 ( 国 家 公 務 員 ) で 雇 用 さ れ 、 86,738 人 が 民 間 部 門 、 叉 4,651 人
が政府出資企業に雇用されている。
2001 年 の 失 業 率 は 、 7.2% で あ っ た 。
(11).
通貨と銀行業務
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 は 、1967 年 に 独 自 の 通 貨 を 発 行 し た 。そ れ ま で は 、シ ン ガ ポ
ー ル と マ ラ ヤ と 共 通 で あ っ た マ ラ ヤ・ブ リ テ ィ ッ シ ュ・ボ ル ネ オ 貨 幣 が 使 用 さ れ て い た 。
現 在 の ブ ル ネ イ 国 の 通 貨 は 、 紙 幣 は 1 ド ル 、 5 ド ル 、 10 ド ル 、 25 ド ル 、 50 ド ル 、 100
ド ル 、500 ド ル 、1,000 ド ル 、10,000 ド ル で 、コ イ ン は 1 セ ン ト 、5 セ ン ト 、10 セ ン ト 、
20 セ ン ト 、 50 セ ン ト で あ る 。 ブ ル ネ イ ・ ド ル は 、 シ ン ガ ポ ー ル ・ ド ル と 等 価 交 換 さ れ
る。
2001 年 6 月 末 現 在 の ブ ル ネ イ 国 の 通 貨 発 行 量 は 、627.5 百 万 で あ る 。外 国 為 替 レ ー ト
は、毎日変化している。
ブルネイダルサラーム国において運営している銀行・金融機関は、香港上海銀行、ス
タンダード・チャータード銀行、ブルネイ・イスラミック銀行、シティバンク、メイ銀
行 、オ ー バ ー シ ー ズ・ユ ニ オ ン 銀 行 、RHB 銀 行 、バ イ デ ュ リ 銀 行 、ブ ル ネ イ・イ ス ラ ミ
ック開発銀行、タブン・アマナー・イスラム・ブルネイである。
- 33 -
(12).
①
経
済
石油・天然ガス
ブルネイダルサラーム国の経済は、石油と天然ガスに大いに依存している。
5 ヵ年国家開発計画の下、政府は下流(物流)部門の確立、高付加価値産業の育成、
他の天然資源の開発、国民の生活が自給自足でき且つ質の高いものになるように、経済
の多様化を推進する措置を講じるように計画している。
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 に お け る 石 油 と コ ン デ ン セ ー ト の 平 均 生 産 量 は 、1975 年 に は
192 千 b/d で あ っ た が 、 1979 年 に は 261 千 b/d に 増 加 し た 。 1981 年 に は 、 石 油 保 存 政
策 を 採 用 し 、石 油 産 出 量 を 合 理 化 し た 。石 油 生 産 量 は 徐 々 に 減 少 し 、1988 年 と 1989 年
に は 150 千 b/d の レ ベ ル に な っ た 。 し か し な が ら 、 1990 年 11 月 以 降 、政 府 は 石 油 保 存
政 策 に 対 し て 柔 軟 性 を 持 た せ 、そ の 結 果 、増 産 と な っ た 。2000 年 に お け る ブ ル ネ イ ダ ル
サ ラ ー ム 国 の 石 油 ・ コ ン デ ン セ ー ト 生 産 量 は 、平 均 193 千 b/d と な っ た 。天 然 ガ ス 生 産
量 は 、 2000 年 で 日 量 平 均 約 32 百 万 立 方 メ ー ト ル で あ り 、 そ の 大 部 分 は 、 液 化 天 然 ガ ス
( LNG) の 形 で 日 本 と 韓 国 に 輸 出 し て い る 。 2004 年 に お け る 石 油 ・ コ ン デ ン セ ー ト の
生 産 量 は 、平 均 約 206 千 b/d、天 然 ガ ス の 生 産 量 は 、日 量 平 均 約 34 百 万 立 方 メ ー ト ル で
あった。
2004 年 に お け る 石 油 ・ コ ン デ ン セ ー ト の 輸 出 先 は 、 ア セ ア ン 諸 国 ( 22.8% ) 、 豪 州
( 15.3% ) 、 韓 国 ( 15.3% ) 、 日 本 ( 13.5% ) 、 中 国 ( 7.0% ) 、 米 国 ( 6.0% ) 、 ニ ュ
ー ジ ー ラ ン ド ( 5.2% ) で あ っ た 。
ま た 、 BLNG 社 は 、 ス ペ イ ン と 米 国 向 け に LNG の ス ポ ッ ト ・ カ ー ゴ を 1 隻 ず つ 販 売
した。
ブ ル ネ イ・シ ェ ル・ペ ト ロ ー リ ア ム 社 と は 別 に 、石 油 と 天 然 ガ ス の 探 鉱 活 動 は 他 の J/V
2 社 が 実 施 し て い る 。即 ち 、ト タ ル・フ ィ ナ・エ ル フ J/V と フ レ ッ チ ャ ー・チ ャ レ ン ジ ・
エ ナ ジ ー・ボ ル ネ オ J/V で あ る 。マ ハ ラ ジ ャ レ ラ・ジ ャ マ ル ラ ラ ム・ガ ス 田 は 、ト タ ル ・
フ ィ ナ ・ エ ル フ J/V が 発 見 し 、 1999 年 3 月 か ら 天 然 ガ ス と コ ン デ ン セ ー ト の 生 産 を 開
始した。
ブ ロ ッ ク J と ブ ロ ッ ク K( 海 上 ) 、 及 び ブ ロ ッ ク L( 陸 上 ) は 、 石 油 と 天 然 ガ ス を 発
見する潜在性が大きいことが証明されている。「生産分与契約」に基づいて参加する会
社 又 は コ ン ソ ー シ ア ム に 対 し て 、 探 鉱 ブ ロ ッ ク に 対 す る 入 札 が 2002 年 上 半 期 に 行 わ れ
る。
総 理 府 が 100% 所 有 す る 国 営 石 油 公 社 が 2001 年 11 月 に 誕 生 し た 。 そ の 設 立 目 的 は 、
(1)ブ ル ネ イ に お け る 石 油 産 業 を 整 理 統 合 し 、 活 性 化 さ せ る こ と 、 (2)石 油 探 鉱 ・ 開 発 を
よ り 活 発 に 行 い 、か つ そ の 分 野 に 参 加 す る 役 割 を 果 た す こ と 、(3)ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム
国内の産業基盤の発展を加速させること、である。
②
対外貿易
2004 年 に お け る ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 の 貿 易 収 支 は 、 6,150.2 百 万 ド ル の 黒 字 を 記
録した。
再 輸 出 を 含 む 輸 出 総 額 は 、 8,562.7 百 万 ド ル で 、 輸 入 総 額 は 2,412.5 百 万 ド ル で あ る 。
- 34 -
主 要 輸 出 品 目 は 、 原 油 が 4,505.4 百 万 ド ル 、 液 化 天 然 ガ ス ( LNG) が 2,683.1 百 万 ド
ル 、 繊 維 が 308.8 百 万 ド ル で あ る 。
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 製 品 の 主 要 輸 入 国 は 、日 本 が 3,229.2 百 万 ド ル 、タ イ が 589.8
百 万 ド ル 、韓 国 が 1,100.4 百 万 ド ル 、豪 州 が 1,003.7 百 万 ド ル 、米 国 が 591.0 百 万 ド ル 、
中 国 が 346.9 百 万 ド ル 、 シ ン ガ ポ ー ル が 223.8 百 万 ド ル 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド が 257.0 百
万ドルである。
同 期 間 の 輸 入 額 は 、2,412.5 百 万 ド ル で あ り 、主 要 輸 入 品 目 は 、機 械 と 輸 送 設 備 841.9
百 万 ド ル 、 工 業 製 品 600.9 百 万 ド ル 、 食 料 354.8 百 万 ド ル 、 そ の 他 製 造 品 295.3 百 万 ド
ル 、 化 学 品 192.2 百 万 ド ル 、 飲 料 水 ・ 煙 草 64.4 百 万 ド ル 、 食 用 に 適 さ な い 鉱 物 20.2 百
万ドルである。
ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 へ の 主 要 輸 出 国 は 、 米 国 が 283.1 百 万 ド ル 、 シ ン ガ ポ ー ル が
442.6 百 万 ド ル で あ る 。 日 本 が 237.0 百 万 ド ル 、 西 マ レ ー シ ア が 421.4 百 万 ド ル 、 英 国
90.0 百 万 ド ル 、香 港 123.7 百 万 ド ル 、中 国 149.2 百 万 ド ル 、タ イ 111.5 百 万 ド ル 、ド イ
ツ 103.1 百 万 ド ル 、 豪 州 66.7 百 万 ド ル で あ る 。
③
外国直接投資
2004 年 に お け る 外 国 か ら ブ ル ネ イ ダ ル サ ラ ー ム 国 へ の 直 接 投 資 額 は 、280.5 百 万 ド ル
であった。
ア セ ア ン 諸 国 か ら の 直 接 投 資 は 11.5% 、欧 州 連 合 か ら の 直 接 投 資 が 44.2% 、そ の 他 か
ら が 44.3% で あ っ た 。
ブルネイダルサラーム国への直接投資が多い国・地域は、アセアン、英国、日本であ
り 、 全 体 の 89.8% を 占 め る 。
(資料:社団法人日本ブルネイ友好協会)
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この報告書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました。
ブルネイにおける日本造船業
並びに舶用工業セミナー報告書
2008 年 ( 平 成 20 年 ) 3 月 発 行
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ブルネイにおける日本造船業並びに舶用工業セミナー報告書
二〇〇八年三月
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