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児童労働の概要

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児童労働の概要
児童労働について
今日、世界で6人に1人の子どもが、心と身体、感情の発達に悪影響を及ぼす児童
労働にたずさわっています。
子どもたちは、世界各地のいろいろな産業で働かされています。有害な農薬にさら
され、危険な機械を使って農作業する大勢の子どもたち。道で物売りをしたり、使い走
りをして日銭を稼ぐストリートチルドレン。家事使用人、買春される子ども、工場で働
く子どもたち。皆、本当の子ども時代を奪われ、教育を受けてより良い生活を送るチャ
ンスに恵まれない子どもたちです。
子どもたちは、自分たちが生き延びるため、そして、家族を支えるために働いてい
ます。児童労働は、それが不法とされる国々にもはびこり、しばしば沈黙と無関心の壁
に囲われています。
しかし、この壁は崩れ始めています。児童労働を完全になくすことは、多くの国に
とって長期的な目標ですが、最悪の形態の児童労働には、ただちに取り組まなければな
りません。働かされる子どもたちの4分の3(1億8000万人)は、トラフィッキン
グ(人身売買)、武力紛争、奴隷、性搾取、危険有害作業など、最悪の児童労働に就か
されています。児童労働を実質的になくすことは、私たちの時代の最も緊急の課題の一
つです。
統計
● 世界中で2億4600万人の子どもたちが働かされています。
● このうち7300万人は10歳未満です。
● 児童労働に無関係な国はありません。先進諸国でも、市場経済移行諸国(例えば旧
ソ連邦諸国)でも、両方とも250万人の子どもたちが働いています。
● 毎年、2万2000人の子どもたちが、仕事中の事故で死んでいます。
● 14歳以下の働く子どもたちのうち、1 億2700万人は、アジア太平洋地域にい
ます。
● 働く子どもの割合が一番高いサハラ以南アフリカでは、14歳以下の子どもの3分
の 1 にあたる4800万人が働いています。
● 子どもたちのほとんどは、法律や規制による保護を受けられないインフォーマル経
済で働いています。
○ 70%が農業、商業的狩猟、漁業、林業
○ 8%が製造業
○ 8%が卸売業、小売業、レストラン、ホテル
○ 7%が家事サービス労働などの対個人・地域・社会サービス
● 840万人の子どもたちは、奴隷、トラフィッキング(人身売買)、債務労働、買
春・ポルノなどの不法活動に陥れられています。
1
児童労働問題へのILOの取り組み
児童労働をなくすことは、「すべての人々にディーセント・ワークを」を目標に掲
げるILOにとって、最重要課題の一つです。ILOは、児童労働を単独の問題として
ではなく、経済社会開発に向けた各国の努力の一環と位置付け、取り組んでいます。
1919:
第 1 回ILO総会で、最低年齢(工業)条約(第5号)採択
1930:
最初の強制労働条約(第29号)採択
1973:
最低年齢条約(第138号)採択
1992:
ILO児童労働撤廃国際計画(IPEC)開始。
活動内容は、調査研究、能力開発、法律改革、意識啓発、社会の動員、子ど
もたちが危険有害作業に就くことを予防・救済し、リハビリを行なう。児童労
働に替わる家族のための選択肢を提供する。
1996:
ストックホルム宣言と行動アジェンダ
子どもに対する犯罪は、世界中のどこにおいても犯罪であるという原則を
具体化。ILOは、3年後に最悪の形態の児童労働に関する条約を採択。
1998:
仕事に関する基本的原則及び権利に関するILO宣言採択
結社の自由、強制労働の廃止、職場における差別の排除、児童労働の撤廃。
1999:
最悪の形態の児童労働条約(第182号)採択
子どもの心と身体、健全性を損なう有害で危険な児童労働をなくすために、
即時の行動をとる必要性に世界の関心が集まる。ILO加盟国(177ヵ
国)の85%(2004年6月1日現在150ヵ国)が批准。
2002:
ILOが、6月12日を「児童労働反対世界デー」と定める。
世界80ヵ国以上で、児童労働と闘うプログラムをILOが支援。
注:
資料の一部を引用される場合には、「出所:ILO資料」と明記して下さい。
2
表1 経済活動・児童労働・最悪の形態の児童労働に従事してい子どもの数・割合(2000年、年齢別)
5-14才
数(単位:
100万人)
当年齢グループに
おける割合
15-17才
計
当年齢グループに
数
数
おける割合
当年齢グループに
おける割合
経済活動に従事している子ども
210.8
18
140.9
12
351.7
23
児童労働に従事している子ども
186.3
16
59.2
18
245.5
16
─
─
─
─
178.9
11.5
■危険な労働に従事する子ども
111.3
9
59.2
18
170.5
11
■無条件に最悪の形態とされる
児童労働に従事する子ども
─
─
─
─
8.4
0.5
■最悪の形態の児童労働に
従事している子ども
─ は不明
Source: ILO estimates for 2000 and World Population Prospects: The 2000 Revision. Vol. 2. The sex
and age distribution of the world popoulation (New York, United Nations, 2001)
表2 無条件に最悪の形態とされる児童労働に従事している子どもの数(推計)
最悪の形態の児童労働の種類
強制労働・債務労働
武力紛争のための強制的な徴収
買春・ポルノの対象
その他の不正な活動
人身売買1
計
子どもの数(単位:100万人)
5.7
0.3
1.8
0.6
(1.2)
8.4
1 子どもたちは多くの場合、他の最悪の形態の児童労働に売られていく。そのため、重複を避けるため、
人身売買される子どもの数は、合計の子どもの数の計算に含まれていない。
Source: ILOestimates for 2000 based on various secondary sources.
(参考)
表3 経済活動に従事している子ども(5∼14才)の数・割合(推計、2000年)
地域
経済活動に従事している
世界全体に占める
子どもの数(単位:100万人) 各地域の割合
先進国(工業国)
移行経済国
アジア・太平洋
中南米・カリブ海諸国
サハラ以南のアフリカ
中東・北アフリカ
計
2.5
2.4
127.3
17.4
48
13.4
211
1
全児童数における経済活動に
従事している子どもの割合(%) 1
1
1
60
8
23
6
─
2
4
19
16
29
15
16
1 これらの推計は計算に使われるデータのセット数が少ないことから、世界全体の推計よりも誤差が大きくなりがちで
あり、割合の合計が100にならない。グループ分けはILOの労使市場主要指標の分類に準ずる。2000年に世界の
5∼14才の子どもの数は12億人で、このうちアジア・太平洋が28%、サハラ以南のアフリカが7.4%を占める。
Source: ILO Bureau of Statistics: Data for 2000 based on 29 national household surveys; ILO; The ILO economically
active population estimates and projections(LABPROJ), see www.ilo.org./public/english/bureau/stat/
info/dbases.htm; and United Nations Population Division: World Population Prospects: The 2000 Revision. Vol. 2. The
sex and age distribution of the world popoulation (New York, United Nations, 2001)
表4 働く子どもの産業別割合
働く子どもの産業別割合
農業、狩猟、林業、漁業
製造業
70.4
小売・卸売業、飲食業、ホテル
8.3
8.3
6.5
3.8
1.9
0.8
0
対地域・社会・個人サービス業
運輸、倉庫、通信
建設
鉱業、採石
20
40
パーセント
60
80
◇インフォーマルセクターで働く子どもたちの例
・ストリートチルドレン(露天商、磨き、フロ トガラス拭き、タイヤ修理、ゴミ拾い、物乞い、荷物運びなど)
・零細作業場での仕事(大工、車両修理、食品加工など)
・家内労働
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