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地域ブランド化

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地域ブランド化
地域ブランド化
城西大学 現代政策学部 社会経済システム学科
庭田プロジェクト(2011 年度卒業候補生)
LS08132
仲里武浩
目 次
はじめに
1章 地域ブランド化について
1.1 ブランドとはなにか
1.2 地域ブランド
1.3 地域ブランド化による地域活性化
1.4 ブランド化の対象としての地域の特徴
2 章 事例研究
2.1 京野菜
2.2 金沢デザイン
2.3 沖縄音楽
3 章 暮らしとの関係
3.1 地域におけるブランド拡張
3.2 住民の暮らしぶりが地域ブランドを支えている
3.3 地域ブランドと地域資源ブランドの新たな関係
3.4 地域ブランドの 3 箇条
3.5 東京府中市の例
4 章 総括
4.1 地域ブランドづくり
4.2 地域の暮らしは、地域ブランドの大切な要素
4.3 まとめ
はじめに
地域の振興や活性化に向けた方策の一つとして、地域ブランドに対する関心は日増しに高まってい
ると考える。地域と関連性のある商品又はサービスを提供する動きが全国に広がっており、こういっ
た取り組みを積極的に後押ししようとする地方自治体の支援も増えている。それに加え、2006 年 4 月
からは商標法 1が改正されて、地域名を冠した商品又は役務の商標登録基準が緩められた、攻めと守り
の両面で地域ブランドを積極的に活用できる環境が整ってきている。
地域ブランドに対する定義が未だに曖昧だと考えられる。本論では、定義付けと共にどうしたら成
功なのか、また成功には共通点があるのではないか、調べることにした。総括として、地域ブランド
の立ち上げ方を述べようと考えている。
1章
1.1
地域ブランド化について
ブランドとはなにか
ブランドいう言葉の語源は、「焼印をつける」ことを意味するBranderという昔のノルド語から生ま
れた。米国マーケティング協会 2では、ブランドを「ある売り手あるいは売り手集団の製品およびサー
ビスを識別し、競合他社のものと差別化することを意図した名称、言葉、シンボル、デザイン、ある
いはその組合せ」と定義している。
ここでの差別化とは、顧客にとって他の製品やサービスよりも異なって優れている状態を意味し、
企業にとっては、この差別化を図ることによって自社ブランドに価値を生じさせることができる。こ
のような特徴を持つブランドを企業が持つ重用な資産とし、その価値を概念化したものをブランド・
エクイティと呼ぶ。
ブランドの付加的な価値には、商品の機能に対する顧客の評価や、安心感などの情緒的な便益、
ブランドを持つことによってお洒落だったり、環境への意識が高かったりする自分を表現するという
自己表現便益などが含まれると考える。
1
2
商標法(2011)法律第七四号
ケネス・J.クック(1999)
「中小企業のための戦略計画
米国マーケティング協会による完全ガイド版」同友館
1.2
1.2.1
地域ブランド
地域ブランドの定義
現在、全国各地でみられる地域ブランドによるまちづくりは、地域発の商品物財の開発・販売が主
流であるといえる。本来、地域ブランドは「地域発の商品・サービスのブランド化」と「地域イメー
ジのブランド化」を結びつけ、好循環を生み出し、地域外の資金・人材を呼び込むという持続的な地
域経済の活性化を図ることである。
それは、地域発の個別ブランドと地域全体を示すブランドを結びつけ、地域経済を活性化すること
である。そこでの対象とされる財・サービスは、地域の農産物・工業製品などの地場産品やサービス
財の地場産品の物財に加えて、地域の観光・エンターティメントなどのサービス財も含まれる。
このような視点で、地域ブランドを構築するには、地域の歴史・文化・風土はもとより、地域独自
の自然環境や街並み景観、歴史的・伝統的・文化的建造物などの再生利用も含めた、その地域独自の
心象風景を確立することが望まれる。そのためには、地域固有のまちづくりの価値を導き出し、地域
独自のアンデンティティの確立が必要不可欠になる。
まさしくそれは、地域のブランド・アイデンティティを発揮することである。それが、地域の誇り
や愛知客を生み、住みよいまち、訪れたい街を創出することに結び付くといえる。
1.2.2
ブランド問題への関心の高まり
消費者や生活者の生活の様式ともに「モノ」や「サービス」に対する価値観も大きく変化しており、
これらに対する消費者の見極めの厳格化や「安全志向・健康志向・本物志向」等がかつて以上に求め
られてきていると考え、ブランド問題への関心の高まりと合わさって、地方の特産品や観光地を有す
る地域は、全国の市場に対しても新たなビジネスチャンスを迎えているといえる。
従来からある地域資源(農産物・海産物、地場産業の加工品等の特産品、歴史や文化、自然、観光
地等)を積極的に活用して、地域の特産品について「ブランド化」を図り、地域から全国へ情報発信
するなどして地域産業の活性化を図ろうとする動きが盛んになりつつある。
このように地域ブランドに対する関心の高まりの背景には、国内における地域間の競争が増し加え
て、外国とのグローバル競争が激化しているという問題があり、地域の個別企業における特産品のブ
ランド化事業だけではなく、地域の産業振興策と地域全体のブランド化により他の地域との競争に関
して優位性を確保し、高い付加価値の向上を図ることが重要視されてきたことにあると考える。
また、こうした中で地方の多くの地域では、優れた地域資源を活用して地域の活性化モデルとして
地域ブランド化にしようとする傾向が有り、現実に企業や地域グループ等においては、自社による開
発商品のブランド化の成功によって成長・発展している企業もある。これらの企業等は、地域におい
て更なる商品の付加価値の維持・向上及び品質保証等により、信頼と名声を高め、結果として「地域
ブランド化」に成功し、地域経済を後押ししている企業も出現している。
1.2.3
地域ブランドの捉え方
日本での地域ブランドという言葉を使用する場合は、都道府県や市町村、地区などを指す。広辞苑第
五版 3によれば、地域とは「区切られた土地、土地の区域」と記載されている。この定義からすると、「地
域」は都道府県よりも大きな単位の「国」や、反対に小さな単位の「建物」などを指してもおかしくは
ない。
一方、海外では、「地域」という言葉はどんな語に置き換えられるのだろうか。グランドコンサイス
和英辞典 4によると英語で日本語の「地域」に該当する言葉として、Area、Region、District、Zone、Part、
Tractがある。ただ、どの言葉も「地域ブランド」と言った場合の日本語の「地域」という言葉が持つ意
味を十分に表現されていなく適切ではない。
コトラーの「地域のマーケティング」5での「地域」は、国、州、地方、地区、市町村など全てを含む
用語として使用されている。コトラーがいう「地域」は、マーケティングの対象、つまり市場価値の有
無が問題とされる「商品」として捉えられている。商品を「ニーズや欲求を満たすために市場に提供さ
れるものすべて」と定義している。したがって、財やサービスだけでなく人、場所、組織、活動、アイ
デアなども商品に入ると述べている。これは国や都道府県、市町村、地区といった「地域」の商品的な
側面を捉えている。地域をブランド化の対象として考えるためには、まずそれをマーケティングの対象
となる商品として捉える必要がある。
よって、市場価値を持ち得る国や都道府県、市町村、地区を、広く「地域ブランド」の対象としての
「地域」と捉えることによって、海外での認識と研究の流れに沿いながら、我が国における「地域」と
いう言葉のそもそもの定義からも外れない、本論文はこの定義に基づいている。
1.3
地域ブランド化による地域活性化
経済財政白書 6では、所得格差をこのまま放置すれば全体の国民生活水準が低下すると予想した。こう
した地域間格差を改善するための案として、都市再生や構造改革などが取り上げられ、そして「頑張る
地方応援プログラム」が始められた。
この「頑張る地方応援プログラム」は、「やる気のある地方が自由に独自の施策を展開することによ
り、魅力ある地方に生まれ変わるよう、地方独自のプロジェクトを自ら考え、前向きに取り組む地方公
共団体に対し、地方交付税等の支援措置を打つ」目的で始められた。農林水産省、経済産業省や国土交
3
4
5
6
新村出(1998)
「広辞苑第五版」岩波書店
三省堂編集所(2002)「グランドコンサイス和英辞典」三省堂
コトラー (1996)「地域のマーケティング」東洋経済新報社
内閣府(2007)「経済財政白書」内閣府ホームページ
通省など各省の施策との連携による支援を行うとしている。
地域ブランドに関係する施策としては、農林水産省の「農林水産物の輸出促進と産地ブランド化」、
経済産業省の「中小企業地域資源活用プログラム」、国土交通省の「観光振興・交流」がある。この中
で経済産業省の「中小企業地域資源活用プログラム」は、地域の強みとなる地域資源を活用して新商品
や新サービスの開発・販売に取り組む企業に対して、税制や補助金等による支援、アドバイスなど総合
的な支援を行い、地域経済の活性化を手助けした。平成18年4月1日に地域団体商標登録制度 7が始まった。
この制度は、地域ブランドを適切に保護することにより、事業者の信用の守り、産業競争力の強化と
地域経済の活性化を支援することを目的とした。商標登録できなかった地域名と商品名からなる商品を
早い段階で登録を受けられるようにした制度である。
出願人は、「法人格を持った事業協同組合等の特別の法律により設立された組合」などの条件がある
が、この制度の開始以来、出願件数は平成19年11月から今現在までで、全国で774 件に上っている。
以上を踏まえ、近年の地域経済や地域自体の活性化を図るために、地域独特の農水産物、加工品、工
業製品を地域ブランド化する活動が盛んになっている。さらに地域によっては個別製品だけでなく観光
地や商業地を含めた地域全体をブランド化する動きも出始められている。
1.4
ブランド化の対象としての地域の特徴
一般に商品のブランド化は、主として企業の利益向上という目的のために、消費者や顧客企業をタ
ーゲットに実施される戦略の1つである。それが「地域」である場合、ブランド化の主目的は地域の
活性化や地域経済の振興であるわけだが、その目的達成のためのターゲット市場は一体何だろうか。
コトラーの「地域のマーケティング」8では、地域は、①ビジター(大きく分けてビジネス客と観光
客、旅行者)
、②住民と勤労者、③ビジネスと産業(企業誘致など)、④輸出市場(地元産の製品やサ
ービスの創出)の4つのターゲットを引きつけることが出来ると述べているビジターや企業、投資、
就業チャンスの増加や、地域産品の販売による利益は、地域経済を活性化させる。地域が活性化され
ることで住民の生活の質は向上し、新住民を呼び寄せることにもつながるからである。コトラーは、
これらのターゲットを満足させるために、地域のインフラの整備、地域の魅力づくり、地域の魅力や
生活の質を宣伝するための積極的なイメージ形成、地域の人々の協力が必要だとも述べている。この
ように、地域をブランド化の対象として捉えると、地域ブランドがこれら4つのターゲット市場を持
つ存在だということがわかる。一般的な商品に比べての地域の特徴は、ブランド化の最終目的、コミ
ュニケーション対象、実施主体である。
最終目的は、商品ブランドが自社商品(サービス)の販売量の増加等による企業利益の増大である
7
8
特許庁(2006)「地域団体商標登録制度」特許ホームページ
フィリップ・コトラー(1996)「地域のマーケティング」東洋経済新報社
のに対し、地域ブランドは多様な要因を通しての地域の経済的活性化や、住民の生活文化に対する満
足度向上などの精神的活性化を含めた QOL の向上を目的としている。
地域ブランドのコミュニケーション対象は、地域ブランドの側面によって異なる。
「地域のマーケテ
ィング」
ではコトラーらの概念化に従って、地域活性化に結びつく地域ブランドの側面として、「産品」、
「観光」
、
「住みやすさ」
、
「投資受け入れ」の4つある。
「産品」は、農林・畜産、水産、工業、工芸な
どの分野に分かれており、その地域ならではの生産品を指し、対象は一般消費者や企業が考えられる
だろう。
「観光」は、景勝地や建築物、祭りやイベントなどを含むその地域のアトラクションであり、
対象は旅行者である。
「住みやすさ」は、その土地に住む人々の生活の質が向上するような取組みを指
し、交通、福祉、保育、自治体サービスなどが考えられる。対象は地域住民と、
「住みやすさ」に魅か
れて集まるであろう潜在的な住民である。
「投資受け入れ」は、資本の流入や就業機会の確保、産業の
振興等につながるような取組みを指し、その対象は企業や投資家が考えられる。実施主体も、一般の
商品ブランドに比べ、地域ブランドの場合は多数存在する。各地方自治体や地域住民、生産者や民間
団体、この他に一般企業の参画も考えられる。そして、これらの主体が単体としてだけでなく、連携
して地域ブランドへ取り組むケースも想定できる。
2章
2.1
事例研究
京野菜
波積真理教授の「一次産品におけるブランド理論の本質」9によると、京野菜とはおばんざいとして
地域の食文化の中で教育されてきた長い伝統を他場の野菜を指す。
おばんざいとは、庶民の普段のおかずのことで、昔の家では、月のおきまり料理を決めて、忙しい
時の献立を考える時間を短縮し、栄養バランスをとる知恵が受け継がれてきた。おばんざいの風習が
ある京野菜を行政と生産者、小売企業が一体となってブランド化に取り組み、生産者、流通体系を再
構築してきたのが京野菜だ。ブランド化については、京都市の「京の旬野菜」京都府の「京ブランド
産品」の二つある。
「京の旬野菜」は認定マークや統一値札を付けて販売するようにし、旬の時期をは
ずすとマークはつけられないといった徹底した指導で旬のおいしさにこだわり、品質保持に努めてい
る。一方の「京のブランド産品」は、京都の伝統的野菜を扱う府下の飲食店を「旬の京野菜提供店」
としての認定する制度をつくり、認定書や看板を掲げ、チラシを置くなどして、府民や観光客にも京
野菜を宣伝している。首都圏にも毎日出荷してデパートや販売協力店に供給している。
波積真理教授は、京野菜事業の順調な成長について「京都の食文化を背景にしたブランド戦略が展
開されてきたこと」を理由としてあげている。京都の人にとっては生活の知恵であったおばんざいと
う習わしが、京都のブランド力の拡大に従い、いつしか憧れの食文化として認知されるようになり、
おばんざいに欠かせない食材であった京野菜も同時にブランドとしての価値を高めている。
京のブランド産品の認証については、1988 年には 7 品目に 52t だったものが、2006 年には 21 品目
1819t に増加した。現在では、ほんまもん京野菜取扱店は 38 店に増え、旬の京野菜提供店は 218 店以
上に増加し、京のブランド産品の販売、情報提供、京野菜の宣伝などが効果的に行われるようになっ
た。
図1
おばんざい
10
9
10
波積真理(2002)「一次産品におけるブランド理論の本質」白桃書房
京都府ホームページ
2.2
金沢デザイン
金沢は、明治 19 年から絹織物を主要な産業として展開していた。染織技術や織機、自動車制御装置
の製造といった関連分野も含めて加工技術全般に優れたものをもっていた。ただ、近年は日本全体が
不景気であると共に、中国などからの安価な輸入によってものづくりが衰退傾向にあり、高機能化、
高付加価値化といった新しい方向を模索してきた。
新たな案として、1990 年代の半ばの「金沢市民芸術村」にはじまり、工房、美術館といった市民が
集い参加できる場の整備や「ファッション産業都市宣言」といった方向性のもとに、特優の優れたデ
ザイン活動を後押した。認定制度「創造都市議会」の断続的に開催、研究、人材の育成などを行政と
経済業界が一体となって進めた結果、
「加賀百万石、加賀友禅、金箔など歴史ある城下町と伝統的な職
人芸というイメージで語られる金沢にあって、最も先鋭的な事業が実施されてきた」 11と言いえるま
でに、街は新たな成長してきた。
金沢美術館は、工芸やデザインを新展開させ、新しいものを生み出すという方針の元に新美術館を
開設した。美術館を開館後は児童・学生や団体客に対する鑑賞教育活動が盛んに行われていくように
なった。開館後の第 1 回展は収蔵品等を一堂に集めた展覧会、無料の場所を開放し名品展が同時開催
され、多くの観客を集めることに成功した。
また、市内の小中学生に対する無料招待効果は、後日家族連れで再来館するという効果を得た。公
立美術館は冬の時代と言われていたが、各地の美術館から入館者の推移が注目されたが、開館から 1
年間で地方都市の公立美術館としては驚くべき 157 万人もの入館者を集めた。平成 18 年 8 月に入館者
数 250 万人を突破した。平成 23 年 8 月に入館者が 1000 万人を突破しセレモニーが行なわれた。金沢
美術工芸大学の卒業制作展が毎年ここで行われている。
金沢を訪れた人は分かると思うが、元々の歴史的な美しい街並みや空間の広がりに、設計や創造力
を大切に工夫されて作られていると気がつくと思う。そのなかでも見せ場だと思えるのが、JR 金沢駅
東口にある巨大な木製の門だ。何本のも柱を束ね合わせ、曲面の柔らかさ、組み立て方の不思議さが
感じ取れる。
金沢は、市民の営みを基盤として見事にブランド拡張を遂げつつあるのだと思う。そしてこの先、
その文化的創造的な都市から生み出されるものたちは、ブランド力を持った「金沢デザイン」として
市場価値を獲得していくことだと考える。
11
橋爪紳也(2009)
「創造するアジア都市」NTT 出版
図2
もてなしドーム
12
2.3
沖縄音楽
沖縄は、日本国内最大の地上戦があった。この沖縄戦によって沖縄県の一般住民が多くの人亡くな
った。昔は琉球王国という独立した島でありながら、アメリカに統治などの歴史をもつこの島を連想
するとき、南の楽園、リゾートアイランドなどという明るさだけの呼びかたに複雑な気持ちになる。
一方で、書店の観光雑誌の棚には、沖縄ガイドが何種類も並んでいる。観光地ランキングでも沖縄
はいつも上位にあり人気だ。世界遺産の首里城、世界最大の水族館の美ら海水族館など訪れたくなる
観光スポットが次々と思い浮かぶ。ビーチやリゾートも定番の魅力だと思う。伝統的な家造りや独特
の食文化、産品なども人を引き付ける。
そして近年、ブームといえるほどに高まりつつある新しい魅力が、沖縄の自然な暮らしへの憧れ、
ゆったり自分らしく生きる、働くといったライフスタイルそのものだ。癒しや、都会暮らしから解放
といった言葉で語られることもある。こうした流れを反映していると思えるのが最近の沖縄音楽だ。
沖縄への全国的関心が高まるとともに、沖縄音楽への注目度が高まっている。
沖縄音楽とは、沖縄地方で確立された音楽のであり、外国のロックテイストと民謡と合体がしたも
のである。国内の音楽市場でも、初期の頃はまだ民俗的関心や歴史を背景としたメッセージの関心と
いったものが沖縄音楽の支持の中身だったように思うが、今までは安らぎがあり、確かな数字はない
が知名度が増していると感じる。その根底にあるのが、沖縄らしい暮らしへの憧れといえる。
沖縄音楽の中でも、琉球音階とよばれる独特の 5 音音階や八重山諸島に伝わる律音階によるもの、
心の楽器のとも表現される三線の音色を含むもの、あるいはそうではなくても沖縄の自然や精神性を
穏やかにうたっているものなど、昨年の音楽シーンのなか「沖縄らしいナチュラルな暮らし」の憧れ
と共にブランドとして成立しているはずだ。その土地の特有の暮らしへの憧れが根底にある商品。そ
れが音楽であっても、市場で商品として流通している以上、ブランドの拡張の考え方はあてはまると
12
金沢市観光協会公式ホームページ
思う。
沖縄の「沖縄全島エイサー祭り」では、個性的な街並みや文化を地域観光資源とし、県外からの来
客に力を入れ地域活性に繋げた。エイサーのまち宣言日(2007 年 6 月 13 日)
、市内各地で全 10 回の
エイサーナイトを開催され、約 8,800 人の観客を集めた。国道 330 号線、コザゲート通り、市庁舎前
線、中央パークアベニュー、街中をエイサー一色とし「エイサーのまち」の普及を図った。エイサー
祭りグッズとして、かりゆしウェア、エコバッグ、エイサーラブバンド、簡単クラフト締太鼓、ポス
トカードなど沖縄独特の商品を並べている。また、企業との結びつき及び商品取引における販路拡大
など、エイサーブランドの確立にも力を注いだ。
3章
3.1
暮らしとの関係
地域におけるブランド拡張
2 章の事例で紹介した京野菜の地域産品ブランドの成立過程を調べ考えるのは、ブランド化の条件
としての、地域の人々の暮らし、ライフスタイルについてだ。ここでのライフスタイルとは、人生観、
価値観、習慣などを含めた、その人の個人を表すような生き方、営み方というように定義した。会社
や集団に共通する様式でもあり、消費の上で統一された行動パターンを示すためマーケティング的に
も重要だと考える。
京野菜においては、おばんざいという京都独自の食文化が背景にある。おばんざいと一体になって
PR や流通対策、認証制度などが投入されたことがブランド化成功の方法であると考える。京都らしい、
日本情緒あふれる暮らし方への憧れがその裏にはあると考える。
金沢デザインは、伝統産業で培われた術力をもとにし、街が「創造都市」という新しい方向性を考
え、伝統工芸品に対する愛着がある金沢市民の暮らしを目に見える形で強調して市場での連続性を保
つことに成功した。
沖縄音楽は、沖縄らしいライフスタイルに憧れる人に向けて「癒し」を切り口とした新たな方法で
ジャンルを成立したと考える。
製品の場合は、ブランド拡張の適合基盤は多くあるが、地域の場合、ブランド拡張の適合基盤は「ラ
イフスタイル」にあると考える。どのようなライフスタイルであっても重要なのはその地域に独自の
快適なライフスタイルがあり、そのことが市場(基本的には地域の外)に広く浸透していることだ。
地域のブランド拡張は、ライフスタイル存在の認知と補完性である。製品のブランド化拡張も同じよ
うに、
「平凡ではなく包括的な認知」は拡張を成功させる鍵となる。
製品の場合として「平凡ではない包活的な認知」というとき、品質や技術力が前提とされているが、
地域における前提は、
「地域の多くの人々が大切にしている暮らしぶりが平凡下はなく、そのことが包
括力に広く認知されている」と言い換える。
京野菜は、おばんざいという食文化(ライフスタイル)を基盤とした農産品ブランドだ。金沢デザ
インは、金沢らしい伝統工芸文化(ライフスタイル)を基盤としたとして今後成長していく新産業ブ
ランドである。沖縄音楽は、沖縄から創造されるゆったりと生活(ライフスタイル)を基盤とした音
楽ブランドと考える。
3.2
住民の暮らしぶりが地域ブランドを支えている
森文雄教授 13によると「地域ブランドとまちづくりが一体化すべきものである」という意見は、地
域ブランド形成の一つの方向性を示す指摘だが、解釈を加えることが出来るなら「一体化」すべき相
手は「まちづくり」に加えてそこに暮らす人々のライフスタイルまで含むのではないかと考えること
もできる。まち、街区、家並みという物理的なまちそれ自体も確かに重要ではあるが、人々が暮らす
生活様式、すなわちライフスタイルがあってのまちづくりであろうと思えるし、あるいはまちづくり
のライフスタイルがまず一体化していて、そこからブランドが生まれるという順序が本来なのであろ
う。
壽里茂名誉教授 14は、ライフスタイルについて「狭義において個別の生き方を意味するなら、それ
は人々の生において実現を望む価値によって規定されるし、価値のものもの選択の基準は決して斉一
でないにせよ、当の個別の生と不可分な経験や体験との交錯を経た人生の軌跡のうちで形成される」
、
「まず個別によって選択・決定された一定の生き方に対する価値志向――いかなる価値にコミット
「愛
着」し、これをいかにして生活において実現するかについての姿勢と志向のレベルにおいて問題とな
る。価値とは、実現すべき生き方の望ましさの程度にかかわる」と説明している。
ライフスタイルという言葉は、多くの研究者によって定義されているが、その概念は個別から社会
の中の位置づけ、社会全体に至るまで様々なレベルで取り上げている。
ライフスタイルは、消費のパターンではなく、その人が追い求めた結果としての、あるいは追い求
めている最中である、生き方と解釈すべき、と壽里教授は話している。基本的にライフスタイルとは、
それは好ましいものであるべきで、社会・経済的地位、就業地その他の社会的拘束性を乗り越えなが
ら達成されたそれは、他社にしてみれば、憧れの対象となりうるものであると考えることができるの
だと思う。
3.3
地域ブランドと地域資源ブランドの新たな関係
地域ブランドについての研究「地ブランド」 15を取り上げる。そこでは、「地域ブランド」は「場に
着目する観光ブランド・モノに着目する特産品ブランド・そこに住む人、生活に着目する暮らしブラン
ド」の3つの考えで整理されている。
地域からモノのブランド拡張において、住民のライフスタイルが基盤になるのではないかという考え
を当てはめるなら、地域ブランドと「特産品ブランド」との間には「住民のライフスタイル」という適
合基盤が置かれるべきであるということになる。
13
14
15
加藤正明 橋爪紳也(2010)
「成功する地域ブランド」PHP 研究所
加藤正明 橋爪紳也(2010)
「成功する地域ブランド」PHP 研究所
博報堂地ブランドプロジェクト(2006)
「地ブランド日本を救う地域ブランド論」弘文堂
観光地については、十分な検証の上ではないがモノの場合と同様、「住民のライフスタイル」を適合
基盤として「観光というサービスを購入する」という構造が考えられるのではないかと思う。
とすると、「住みたい価値=暮らしブランド」だ。これについては、壽里教授は「ライフスタイルは
社会・経済的消費や特定の「精神的傾向」の反映と考えられる生活様式を生み出す」16と記載していた。
住みたい価値=暮らしブランドもまた、地域住民のライフスタイル(暮らしぶり)を通して規定される。
地域と「モノ」「観光」「暮らし」全ての間にブランド拡張の適合基盤として「住民のライフスタイル」
を置くことができる。
結論は、「地域と地域資源の間におけるブランド拡張にはすべてにおいて適合基盤として住民のライ
フスタイルがある」ということになる。地域にとっては、今住んでいる人の暮らしぶりが、消費を呼び
寄せる上でいかに大事かという認識が必要だろうと考える。
3.3
地域ブランドづくりの 3 箇条 17
地域ブランドをつくる方法を 3 つにまとめてみた。まず一つ目は、推進母体づくりだ。ブランドの
核となる専門部会や協議会をつくる、そのブランドに対する意思や案を一括する。企業でのブランド
づくりと違い、地域では、利害関係が対立する多くの人々の意見をまとめていく。この推進母体が成
功するか失敗するかを握る。関係する人々の「ブランド」に関する理解を深め、ブランド戦略や目標、
計画を立て共有する。
次にシンボルを考える。名前やロゴマークなどの作成、そのブランドが持つ資産を形にする。ブラ
ンドの価値の設定や戦略方針の設定を決めて、シンボル及びスローガンの開発、基本戦略と運営体制
の検討などを行う。
最後は、接点作りを考える。流通関係やメディア等により、ブランドと社会や生活者との接点をつ
くり、そのブランド独自の価値や魅力を公開させる。ブランド活動の設計、実施、その評価が行われ
る。以上が全体の流れになる。
この内容を詳しく説明していく、地域ブランド・コンセプトの作り方としてシンボルの作成にも手
順があり、外部に発信する核となるコンセプトや言葉、表示などの表現を決めるのだが、それには地
域を深く見つめ直すことが必要になる。自分たちならではの個性を最大限に出すにはどのような考え
が必要かを考える。他の地域にはない、その地域ならではの個性、強みとは何かを考える。また、地
元学の活用も有効な手段だ。企業などが戦略立案のために状況を把握するときによく用いられるが、
SWOT 分析というマーケティング手法だ。S は Strengths(強み)、W は Weaknesses(弱み)、O は
Opportunities(機械)
、T は Threats (脅威)。強み、弱み。は自分たちに内在しているものである。機
16
17
加藤正明 橋爪紳也(2010)
「成功する地域ブランド」PHP 研究所
博報堂地ブランドプロジェクト(2006)
「地ブランド日本を救う地域ブランド論」弘文堂
械と脅威は自分たちの外、つまり市場にあるもの。その地域における 4 つの原因を関係者の提供価値
の整理してみる作業だ。地域が持つ資産、属性が持つ出発点に、それがどんなか機能価値を持つか、
その機能がどのように人々にアピールする情緒価値となるか、最終的に地域ブランドのコンセプトに
直結する社会・生活価値としてどう位置づけマーケティングもブランドも相手あってのものだ。相手
は自分をどのように見ているか、評価しているのかなどのことを考えて戦略は立てる。対象やターゲ
ットを決めることも必要だと思う。
コアコンセプトとして分かりやすく表現する。
対象が定まったら、
最後に外部に出ること考えた上で、地域としてお客様に約束するのかを短い文章にする。これがブラ
ンドステートメントと呼ぶものだ。これをもとにすれば、パンフレットにも商品パッケージにも町の
広報誌にも、主旨がぶれることもなく、地域ブランドに込めた価値や意思を書き表すことができる。
そしてもう一つはタグラインだ。
タグラインとはブランドに込められた価値を一言で言い当て、ブランドのマークその他の象徴と一
緒に発信していくための言葉だ。短いキャッチコピーとして表現されている。同時にタグラインは、
ブランドづくりに関わる内部の人間に対し、そのブランドを実質化するための行動を換気する役割も
果たす。タグラインでブランド価値が明確に意識されることによってブランドの自体が高まることが
分かる。
3.4
東京府中市の例
最後の事例として、東京都府中市の例を挙げる。日本は人口減少時代を迎えつつある。これから
の地域は「住んでもらうまち」
「来てもらうまち」になる為、それぞれ努力しなければならない環境に
「府
ある。そんな中、府中市はHBS 18で博報堂「地ブランドプロジェクト」とともに勉強を重ねてきた。
中市は典型的な郊外型のベットタウンだ。こうした都市に共通する『市民意識の希薄さ』という悩み
の克服をめざし、地ブランドに関心を持つようになった。
人口増加時代は、ベットタウンとして黙っていても居住人口は増えた。しかし、日本が人口減少時
代に突入し、都市部近郊においては、そこに住まう意味をきちんと提示できなければ、居住人口は減
っている。府中市が選んで住んでもらうために、どのようなアンデンティティを持つことが必要なの
か。そんな問題意識から、地ブランドづくりの発想を参考にしようとしたわけだ。
HBS では、まず SWOT 分析により府中市ブランドの自己確認を行った。すると、住民は町の機能
に満足しているものの、精神的な価値、すなわちまちへの愛着や誇りをあまり持っていないことが分
かった。
次に他者から見たブランド価値を調査したところ、
『家族にうれしい』
『日帰りお出かけ』
『歴史があ
る』
『企業や競馬場があって税金が安い』等のイメージが抽出されてきた。
18
博報堂ブランディングスクール
これらをもとにエッセンとパーソナリティーも設定を検討した。検討過程において、全国平均とし
て 20 代~30 代の子育て世代の住居人口が突出して多いという事実に着目すると、現在の、そして未
来に向けての『府中らしいブランド価値』を言い当てることができることに気づいた。
コアコンセプトの作成に向けては、府中市ならではの価値連鎖を考察した。都心に近い充実した行
政サービスという属性から出発し、便利で住みやすいという機能価値、肩ひじを張らずに都市と郊外
の良い部分をもとに味わえる情緒価値があることが見出されてきた。
こうして検論を重ねてきた結果、
『三世代で東京を豊かに暮らすことが出来る』という社会・生活価
値が、府中市ならではのオリジナリティーとしてすでに実現しており、また、今後も守り、進化させ
続けたい価値であるもとが明らかになった。
最終的に、
『いつまでも、住み続けたい。東京三世代生活。府中市』という府中市ブランドのコアコ
ンセプトにまとめられた。
」 19
19
博報堂地ブランドプロジェクト(2006)
「地ブランド日本を救う地域ブランド論」弘文堂
4章
4.1
4.1.1
総括
地域ブランドづくり 20
視点を変えて、地域の資源から価値を引き出す
地域にある資源や、今ある商品やサービスなどを見直して、これまで見えていなかった価値を引き
出し活かすには、どのような視点で見直していけばよいのか。その価値を引き出す視点として、以上
の 2 つが重要になると考える。
まず、これまでとは別の尺度・ものさしで見直すある物事について、それのどこに価値があるかを
考える時、必ず「何を価値とするか」という基準と共に考えることが必要だ。基準が無いようでも、
それを無意識で持っていたりする。その基準を変えてみようということだ。
例えば、利便性を基準としたら大都市はとても価値があるが、田舎は価値が低い。しかし、自然環
境を基準としたら田舎の方が価値が高く、大都市は価値が低いことになる。その中で特徴的な考え方
の一つが、
「マイナスに見えるものをプラスにならないか見直す」ということだ。
次に、想定される受け手を変えて見直す地域に住んでいる人にとっての何気ない日常的な体験が、
地域外の人には非日常・異体験であることはよくある。また、普段のお客様とは別のタイプの人が商
品を見て、これまで認識していなかった新しい魅力を発見して教えられることもある。このように、
同じ物事も受け手次第で見え方が違う。地域資源の価値を見直す時には、想定される受け手を変えて
みることで、物事の別の側面が見え、これまで気付かなかった価値を見出せることも多くある。
4.1.2
伝統・古いものを今に合った形にして活かす
地域の伝統や古いものは、色々な人から大切にされ、保護されることがある。それだけ、多くの人
が伝統や古いものに特別な価値を感じている。これは、地元の地域や市町村の伝統でも、沖縄県の伝
統でも、また国の伝統でも言えることだ。伝統は自分たちが持っている DNA に働きかけるのか、「な
つかしさ」を感じることが多くある。これまでの長い時間の中で起こってきた数々の出来事や伝統を
伝えてきた人の想いが、その伝統にまつわる物語であり、多くの人が興味ひかれると考える。何十年、
何百年と継続してきたこと自体に代えがたい大きな価値があるのだ。こうした価値は、地元の人にと
っては見慣れていて珍しくはないものしれないが、地域外の人から見ると新鮮で特別な価値を感じる
ことなのかもしれない。
しかし、伝統や古いものは、そのままではなかなか受け手にとって本来の価値を理解しづらいこと
が多いのが現状だ。それを現代の生活や消費者の感覚に合った形に変えて提供することで、伝統の価
値の良さを活かすことができる。例えば、八重山のミンサーウェア(ミンサー柄の入ったかりゆしウ
20
目瀬 守男(1992)
「地域活性化シリーズ」明文書房
ェア)など、伝統工芸の技術や素材を活かし、現代に合ったデザインや使い方が考慮された商品が生
まれている。伝統などを「今に合った形にする」ポイントの一つは、「伝統的な要素と新しい要素の
組み合わせ」だ。事例のように、伝統的な技術と新しい形やデザインを組み合わせる。食品であれば、
伝統的な中身に新しいパッケージとネーミングを組み合わせる。
また、これまで見るだけだった伝統的な建物を、補修して宿泊できるようにする、レストランとし
て活用するなど新しい利用方法で活かす例もある。古いものと新しいものとを融合することによって、
新しい輝きを放っていく、そんな資源の活かし方を考えてみることも重要だと思う。
4.1.3
次の時代を読み、価値に気付く視点を広げる
視点を変えて資源から価値を引き出し活かす上で、「いかに資源の価値に気付くか」について「次の
時代を読むこと」が視点の幅・価値の気付きの幅を広げてくれまる。「次の時代の消費者のニーズは何
か?」「次の時代にはどんな社会の変化が起こりそうか?」そういった視点から資源を見直すことで別
の側面が見え、そこで見えた価値は次の時代に求められるものになっていくことも考えられる。出来事
の背景を探る出来事を知識として知るだけでなく、その出来事がなぜ起こったのか?「物事の背景に目
を向ける」ことも重要である。その中で特に重要なのが「どのような人の心の動きがあって、出来事が
起こったのか?」ということだ。
例えば、ある商品が世界中で大ヒットしている場合、その背景として「なぜ多くの人はこの商品を買
おうと思ったのか?」といったことに関心を持ち、考え、調べてみることだと考える。この心の動きや
出来事の背景が見えてくると、次に何が起こりそうか、つまり時代の流れが段々と見えてくる。グロー
バルな視点を持つ地元の地域の出来事も、実はその背景を見てみると県や国また世界の流れの影響を受
けて起こっていることもある。地域の出来事も県や国・世界の出来事も幅広く情報を得て、そのつなが
り・関係を見る視点が重要だ。そうすることで、より深く出来事の背景を理解でき、地域のみならず世
界全体の時代の流れまでも知ることにつながる。常に自分の中でアンテナを張り「出来事の背景にある
のはこんなことではないか?」・「次の時代はこうなるのでは?」など、出来事から仮説を立てていく
と、次に何か起こった時に以前立てた仮説と照らし合わせることで、自分の考えや感性を磨いていくこ
とができる。
4.1.4
こだわりを持つ・細部までこだわる
こだわりを持たせる為に、生み出した価値を表現する「こだわりの一品」など、良い商品を表現す
るときに「こだわり」という言葉がよく使われる。地域物語・コンセプトや作り手としての想いを伝
えたいという気持ちが強くなればそれが「こだわり」に繋がっている。「こだわりの一品(逸品)
」と
して消費者に認識されるかどうかは、地域や生産者が「細部にまでこだわり続けられるかどうか」が
極めて重要だ。これは商品に限らず、店舗・施設やサービスでも同様に大事だ。地域のストーリーや
コンセプトを設定しましょう、というと大きな方向性だけを示していると思われがちですが、例えば
商品ならば内容のみならずパッケージのデザインの細部に至るまでコンセプトが一貫しているかどう
かで、消費者に与えるインパクトや生まれる感情は違ったものになる。
例えば、夢と魔法の国ディズニーランドを挙げる。ミッキーたちと遊べる夢の空間が売りだ。そこ
でもしミッキーの着ぐるみを脱ぐ瞬間を見てしまったとしたら夢も魔法も崩れてしまう。もちろん、
ディズニーランドではそういった事態が発生しないように徹底している。地域ブランドでも、コンセ
プトを明確に打ち出す上で、細かな部分までこだわりつくすことが大事である。
また、エコツーリズムを推進する東村では、村内の施設「つつじエコパーク」を作る際にも徹底的
に「エコ」にこだわり、緑があふれエコなイメージ・景観づくりを徹底し、つつじエコパークに設置
する自動販売機の色は緑色に統一している。細部までこだわる上では、
「こだわりのポイントを明確に
して」
「それを周りの人・関わる人に伝え続ける・共有し続ける」ことが大切である。
上の事例でいえば、こだわりのポイントは「エコ」になる。そういったこだわりのポイントを活動
メンバー内また地域内に伝え続け、こだわりを持って細部までも見つめる視点を共有することが重要
だ。
また、細部までこだわろうとすると「それは難しい」とか「そこまでしなくても」と言われがちだ
が、たとえ困難でも細部までのこだわりを実現する策を探し続け、実行していくことが重要だと考え
る。そうした困難を乗り超えて細部までこだわったものは、人の心に響くものだと考える。
4.1.5
価値が伝わる表現をする
価値を表現する方法として、地域、またその地域の商品やサービスの価値を伝える機会として、商品
のパッケージからパンフレット、広告など様々なものがあるが、いずれの場合でも単に商品・サービス
の外面的内容(品質や性能、価格など)を伝えるだけではその魅力はなかなか伝わらない。特に作り手
は自分で商品を作ってきて、内容のことを詳しく知っており、またそこに思い入れもあるので、内容に
偏って表現をしがちだ。内容を伝えることはもちろん重要だが、商品やサービスが持つ世界観や、商品
を使うことで得られるうれしさ・楽しさなどの感覚といった、「価値」を伝えることが重要になる。
価値をうまく表現してヒットした商品の例として、ホンダのステップワゴンという車がある。広告の
際に、車のエンジン性能やインテリアの部品の特徴などをメインに発信したのではない。「こどもとい
っしょにどこいこう」をキャッチコピーとし、この車から生まれる「楽しい家族のお出かけ」という価
値を提案したのだ。そして、その広告紙面のデザインも、手書きで書かれた、子供の楽しさを十分に表
現したものだったの(もちろん、車の性能やインテリアなどについても消費者に発信している)。では、
このような価値が伝わる表現のポイントとはどのようなものがあるか。
1.文章・キャッチコピー
価値が明確に伝わる言葉・文章を書く商品やサービスを表現する場合、それを使うことで得られる価
値、作り手のこだわり、コンセプトなどを明確に書くことが重要だ。文章として価値やコンセプトをは
っきり書かない方が良いケースもあるが、その場合も文章を読んで消費者が世界観や価値をイメージで
きるように書くことが重要だ。
2.デザイン
世界観や価値がイメージできるデザインを作るパッと見ただけで商品・サービスの世界観や価値がイ
メージできるようなデザインであることが重要である。色使いや字体・文字の大きさなど細部に渡るま
で、その商品・サービスの価値や世界観を表しているか、価値や世界観とずれていないかが大切だ。例
えば、「たまぐすく村のさとうきび酢」では、ラベルの緑と青の色合いで沖縄の豊かな自然を象徴し、
風にゆれるさとうきび畑と青い空を表現している。また主な対象が女性であることを踏まえ、全体にひ
らがなを使うことでソフトな商品イメージを伝えようとしている。
3.表現を考える時の考え方
「誰に何を伝えたいのか?」を明確にする「何がこの商品の価値なのか?」そして「誰に、何を伝え
たいのか?」を明確にして表現を考えることが重要だ。自分にとって分かりやすい表現でも、それが相
手にとっても分かりやすいとは限らない。その表現を受け取る相手が誰で、この言葉・デザインを見て
どんな気持ちになるかを意識して、伝わりやすい表現を考えることが大事だ。
4.1.6
あらゆる表現機会で価値を伝える
主なお客様・消費者に価値を伝える機会伝えたい価値をどのような機会で表現していくのかが次の
ポイントになる。表現する機会としては顧客との接点全て、つまり顧客が見たり触れたりするもの全
てが対象になる。
例えば商品のパッケージ、パンフレット、店舗内装や店頭広告(POP)、メディアでの記事掲載、イ
ンターネット等があり、様々な表現機会がある。商品の名前も価値を伝えるものになりますし、地域
の景観からも地域イメージが伝わる。また、地域ブランドでは地域のストーリーやコンセプトなどを
消費者にしっかりと伝えることが重要だ。イベントや店頭での接客など消費者と直接触れられる接点
も、深く伝えられる場として重要な表現機会だ。直接会って話して感じるインパクトは大きいものが
ある。このように、表現機会というのは実に沢山あるが、一度「お客様・消費者に価値を伝える機会
リスト」を作ってみると、どれくらい伝える機会があるのか整理できる。その機会一つ一つを大切に
し、文章やデザインなどの表現を練って価値を伝えていくことが重要だ。表現機会を整理しても、本
当に伝えたい相手との接点がなくても、価値を十分に伝えられる機会が少ない場合には、表現機会を
自分から作り出すこと。商品や地域に触れるイベントを作る、メディアに取材依頼の FAX を送る、様々
な機関のホームページに掲載してもらうなど、自分からアクションを起こして作り出せる表現機会は
様々ある。
ただ、本当に価値が伝わり浸透していくには、長い時間がかかる。雑誌などメディアに一度載った
から、一度イベントをしたから、もうそれで十分ということはなく、様々な表現機会で伝えるという
アクションをいかに「継続して」行っていくかが重要になる。表現し続ける時間の長さが積み重なる
ことで、そこで表現された価値は浸透していく。
新聞・テレビなどメディアの掲載・報道 WEB サイトイベント、口コミ、チラシ、ポスター、パン
フレット、メールマガジン・一斉同報 FAX 地域の景観広報・タウン誌での掲載、地域の掲示板での掲
示自分自身、ダイレクトメールなど、お客様・消費者に価値を伝える機会は実は沢山ある。実行でき
るポイントを考え、価値を伝えて続けていくことが大事だと思う。
4.1.7 メディアへのアプローチ・メディアからの発信
メディアには、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など様々なものがある。最近では、インターネットも大
きなメディアだし、地域に根ざしたコミュニティラジオというメディアも登場している。そういったメ
ディアで自分の地域や、商品・サービスの情報が発信されることは大きなインパクトを持つ。メディア
で発信される情報は多くの人が見たり聞いたりするので、魅力が広く伝わる。このメディアでの発信が、
それまで地域に蓄積してきた魅力を幅広い消費者に伝え、地域の人気のブレイクにつながる例も少なく
ない(地域の中に魅力を蓄積してきていることが前提)。
例えば黒川温泉は、九州内では温泉通の人の口コミで温泉地になったが、その後「じゃらん九州発」
の人気観光地調査でトップとなり、人気が全国的に広まりブレイクした。メディアで発信されるには、
お金を払って広告を載せることもできる、それだけが手段ではない。記事・番組の内容として取上げて
もらう形もある。これならば、お金はかからない(一般にパブリシティと呼ばれる方法です)。上記の
黒川温泉も、ランキングという記事で情報が掲載された。発信したい内容がメディアにとって魅力ある
ものなら、メディアに取上げてもらうことは意外と出来る。それには、取材して記事・番組にしてほし
いことをメディアの人に伝えることから始まる。まずFAX、電話などで伝えること。ここで大事なのは
「メディアにとって価値ある情報かどうか」だ。つまり、新聞なら新聞を読む人、テレビならテレビを
見る人が、見たい・聞きたいと思う内容かどうかが重要になる。
また、一度伝えてみて取材してもらえなくても、何か発信したい内容があれば連絡するなど、継続的
にアプローチすることが大切だ。「なぜ取材してもらえなかったか?」を考え、また相手のメディアの
雰囲気や読者・視聴者の層などを踏まえて、魅力が伝わりやすいような表現へと伝え方を改善しながら
継続的にアプローチしていくことが大事だ。
4.1.8
地域ブランドの魅力を「語り部」が広める
メディアでの発信とは、また別のタイプで影響の大きいのが、お客様が「語り部」となり地域の魅力
を語ってくれる「口コミ」の効果である。地域ブランドの先進事例を見ても、大量に広告を打って発信
をするというより、本当にいい中身に感動したお客様、地域のファンになってくださっているお客様が
「語り部」となって周りの人に伝え、広まったケースが多くある。
最近では、インターネットでの情報発信・情報共有がより盛んになっており、インターネットの口コ
ミの影響力・スピードは大きなものがある。周りの人に地域の魅力を語ってくれる「語り部」が増える
にはどのようなことに気をつければよいかを挙げる。
お客様と接点を持ち、価値や魅力をしっかり伝える周りの人に語りたくなるというのは、それだけ感
情が動いた、感動があったということ。パッと見た広告の内容よりも、直接人に触れ、人の言葉で伝え
られたことの方が感動は生まれやすいはずだ。同じ内容でも伝え方が変われば相手の感じ方は変わりま
す。一人一人を大切にして伝えることで、伝える相手の心に感動が生まれやすくなり、口コミに結びつ
きやすくなる。店舗を持たない生産者や農家など消費者に直接触れる接点がない場合、小売店や卸業者
の人に語り部となってもらえるように、商品の価値や魅力をしっかりと伝えることが大切だ。語り部に
なってくれやすい人に見逃さずに伝える男性よりも女性の方が楽しかったこと、うれしかったことを周
りの人に言いやすい傾向があることはよく言われている。性別に限らず、人に色々なことを伝えようと
する人、人への発信力の強い人がいる。こういった人を見逃さずに伝えることで、口コミの効果はより
大きく広がる(発信力のある人だけを大切にするということではなく、大切にするのはそれに限らず一
人一人です。発信力のある人も「見逃さず」伝えること)。地域内の人々にもしっかり伝える(地域内
の人の口コミ効果は大きい)地域内の人に、地域の商品の価値やイベントの良さ、地域ブランドづくり
で目指すものや取り組みの内容などをしっかり伝えること。そこから生まれる共感は地域内の人からの
口コミに結びつく。「地元の人が好きで勧める」ことは、地域外の人に深く伝わる効果を生むことが分
かった。
4.1.9
地域から発する価値を更に高める
ここまでで地域から価値を生み出し、それを表現して伝える点を考える。そしてその後のステップ
は「地域から発する価値を更に高める」だ。ひとたび世の中に発した価値に対して、消費者や他地域
の人の様々な意見・気持ちや、商品を好きかどうか、地域のストーリーに共感するかどうか、買う・
買わないといった消費者の選択が生まれてくる。顧客に直接触れて、顧客の意見・気持ちを知る外部
や異なるものと関わる中で地域性が成長する地域ブランドづくりは身の丈に合った形で
「顧客を知る」
ことの重要性はよく語られますが、地域ブランドでは「顧客の感性・価値観を知る」ことが特に重要
だ。
では、どのように感性や価値観を知っていくのか。顧客に直接触れること、接点を持つことがその
一つのカギとなる。商品やサービスを提供し、その価値を発信することで、消費者・他地域の人が意
見を返してくれる。また自分とは異なる意見を持つ人がその意見を伝えてくれる。一度発信すると、
そういった外部・異なるものとの関わりが生まれる。その関わりの中で、価値観や感性の混ざり合い
が生じる。この機会が、地域性そして地域ブランドの成長につながる。地域が成長していくにあたり、
「身の丈に合った」成長・発展をすることが重要になる。他の地域のマネをするのではなく、自分の
地域らしさを活かした発展する。自分の地域のキャパシティをオーバーしないような無理のない成長
を考える。こうした身の丈に合った展開を行うことで、地域ブランドの価値がぶれることなく成長・
発展していくことができる。
4.1.10 顧客に直接触れて、顧客の意見・気持ちを知る
商品や地域に対する消費者の気持ち・意見を知り、改善につなげる商品やサービスを改善し、地域の
価値を見直していく上で、顧客の意見や気持ちを知ることは重要だ。「この商品のどこに魅力を感じて
いるだろうか?」「伝えたい地域のイメージはしっかり伝わっているだろうか?」「今求めていること
は何だろうか?」など、商品・サービスや地域についての顧客の捉え方や、今の顧客のニーズなどを知
ることが大事なる。顧客を知る上で有効な手段となるのが、「顧客に直接触れる」ことだ。店舗の店頭
でも、地域のイベントの時でも、顧客に触れて話をする中で、商品やサービス、地域コンセプトやスト
ーリーについての意見、求めていることなどを聞くことができる。顧客に触れる際には、漫然と話すの
ではなく「相手はなぜこの商品に魅力を感じているのだろう?」「相手はどんなものの見方をしている
のか?」などを念頭に置きながら話すことだ。そこで聞いた内容を踏まえて、商品やサービスの改善や
地域の進む方向性などを考え、反映していくのだ。深い部分まで顧客のニーズを知るには、「顧客に直
接触れる」ことが有効「顧客に直接触れる」ことの特徴には、深く顧客のニーズや気持ちが分かる点が
ある。顧客のニーズには、顧客自身が求めていると認識していること(表面的ニーズ)と、本当は求め
ているが、顧客自身は求めていると気付いていないこと(内面的ニーズ)がある。表面的ニーズとは、
顧客に聞いて「こんなものが欲しい」と出てくるものである。
一方、内面的ニーズとは、何が欲しいか聞いても出てこないが、提供すると「こんなのが欲しかった!」
となるものがある。内面的ニーズを捉えた提案・提供は、顧客の感動につながりやすい重要なことだ。
顧客の表面的ニーズも内面的ニーズも両方を知ることが重要なのだが、顧客の感性や価値観の深い部分
にあたる内面的ニーズを知るには、「顧客に直接触れて話す」ことが有効だ(同時に表面的ニーズも知
ることができます)。他に顧客の気持ち・ニーズを知る手段としてはアンケートがある。
アンケートは、表面的ニーズを知るにはとても有効な手段ですが、顧客自身が認識していない内面的
ニーズまでアンケートで捉えることはなかなか難しいと言われている。一方、「顧客に直接触れる」と
いう手段は表面的ニーズだけでなく内面的ニーズも捉えられるが、アンケートのように消費者のニーズ
や意見のボリュームを数値として捉えられる訳ではない。このように、顧客を知る手段にはそれぞれの
手段の特徴があり、状況に合った手段の使い分けが重要なのだ。
4.1.11 外部・異なるものと関わる中で地域性が成長する
地域性は、ずっと一定のものではなく、長い時間の間に変わっていく。例えば、その地域の文化が成
熟していくということ。そうすれば、おのずから地域の物語や、地域の商品への定評も徐々に変わって
いく。沖縄についても、百年という単位で見れば文化も地域性も時間と共に変わってきた。このように
地域性が変化していく上で、魅力が増す方向へ変わっていくには何がポイントなのでしょうか。その一
つが「外部や異なるものとの関わり方」だ。外の地域と関わり、接点を持つことで、その地域のライフ
スタイル・文化・価値観など様々なものに触れる。自分の地域の地域性と、外の地域の地域性とが混流
し、新しい地域性へと変化していくのだ。
まず、地域から商品や店舗・施設、景観など地域の魅力を発信する。そして、発信した内容に対して、
興味・関心のある人が商品を購入したり、地域を訪れたりする。商品の購入や地域への来訪といった外
部の人との接点が生まれると、そこで外部の人の意見や気持ちを聞く交流の機会が生まれてくる。この
ような外部との交流の中で、地域の中に外部の価値観や文化、感性といった要素が入ってきて、元々地
域の中にあった価値観や文化と混ざり合う。この混ざり合いの中で地域の文化や感性が磨かれ、徐々に
地域性が変化・成長していく。この時、外部の意見が地域内の考え・価値観と異なるものだからといっ
て拒絶し、争おうとすると、文化や価値観の混ざり合いはなかなか起こらない。外部の意見としっかり
向き合い受け止めることで、この混ざり合いが起こる。
そして、こうした文化や価値観といった地域性の変化・成長が、新しいもの作りや新しい地域の魅力
作りに結びつく。これは、沖縄に元々ある考え方で言うと、「チャンプルー文化」にあたる。チャンプ
ルーすることで、混ぜる前とは別の、新しいものが生まれる。これが地域性の成長に他ならないという
こと。沖縄にも、かつてウチナーンチュがレキオスと呼ばれ、海外との貿易を盛んに行っていた時代が
あった。海外との貿易を行う中で、沖縄に多くの国の産物・文化が集まり、諸外国の文化が混ざり合っ
て沖縄の独自の文化が生まれた。例えば、紅型もその中で出来てきたものと言われている。こうした文
化・産品は、外部と関わる中で地域性が成長してできた賜物なのだ。このように、外部との関わりにオ
ープンになり交わりを持つ中で、地域性が成長し新たなものが生まれてくる。
4.1.12 出来栄えの水準を明確にイメージする
自力・手づくりで作り上げる。自力、と言って、誰にも頼らず全部自分の手で作る、ということでは
ない。「全てを人任せにせず、自分で作るという意識を基本に置く」ということだ。自分で作る、特に
自分の手で作ることによって、自分にノウハウが貯まっていく。わずかずつであったとしても、この蓄
積が大事である。
例えば、イベントにしても、全てをイベント会社に頼んで終わっては、地域にノウハウは貯らない。
自分たちでできる部分は責任を持って取り組み、どうしても専門家に頼まないといけない部分は頼むこ
とが大事だ。専門家に頼む時も、自分の作りたいイメージを持ち、それを専門家にしっかりと伝え、専
門家と共に一緒に考えていくなど、丸投げはしない姿勢が重要です。地域や商品のコンセプト作りも、
外部の専門家の力を借りたとしても、その意見を聞きながら自分たちでどのようなコンセプトにするか
考え、決めていく。地域ブランドづくりの主役はあくまでも自分たちであるという姿勢が大切だ。そし
て自分で作るという意識を基本に置いて取り組むことで、作っていく地域の様々な物事への気持ち・こ
だわりは高まり、作り上げた時の喜びは一層大きなものになるでしょう。出来栄えの水準を明確にイメ
ージすること。地域ブランドづくりにおいて商品開発や景観づくりなど様々なアクションを行う上で、
出来栄えの水準をイメージすること。小布施町の町並み修景事業では、「建築雑誌に取上げられるよう
なレベル」を目指して、取り組みが行われた。このようにどのぐらいの水準の出来栄えを目指すかを明
確にした上で取り組むことで、メンバーがそのイメージを共有でき、その水準を実現しやすくなる。
例えば、品質を高くしていきたい場合は、やみくもに高い品質・高い水準を目指すのではなく、具体
的にどんなレベルまで高めたいのか、それを明確にイメージすること。そうやって、出来栄えの水準を
明確にするよう、常に心がける姿勢が大切だと思う。
4.1.13 地域ブランドづくり
地域ブランドづくりで、短期間で効果が出るケースはあまりなく、むしろ長い間の継続した取り組
みでしっかりとした蓄積が生まれ、一過性のブームで終わらない魅力・人気が生まれているケースが
多くあります。様々な先進事例を見ると、取り組みが継続している秘訣がある。その中の大きな点は
「楽ではない状況も楽しむこと・楽しみを見出すこと」だ。この厳しい状況でそんな楽しんでなんて
言っていられない、という見方も多いかと思う。
しかし、地域ブランドの先進事例を見るとき、その多くは過疎地域、村全体が経済的に苦しいとい
った状況から地域一丸となって地域ブランドを作り上げているケースが多く見られる。そこでは「楽
ではない状況も楽しむ」姿勢で活動を継続してきた。
「楽」とは負担が少ないこと。
一方、
「楽しみ」とは喜び・うれしさ。実は、この二つは別のポイントなのだ。
「楽」ではない大変
な状況の中でも、
「楽しみ」を見つけて取り組みを継続してきた事例が多く見られるのだ。やっている
人が楽しそうだから、地域の人も参加したくなる。地域の人が楽しそうだから、地域外の人もその地
域に魅力を感じる、商品を買いたくなる。その地域に行ってみたくなる。地域住民に活気があって、
地域の暮らしに誇りを持っているような地域はそれだけで魅力的であり、人が集まりたくなるのでは
ないか。地域ブランドの取り組みを継続しながら楽しむコツとしては、
「楽しむポイントを見出す」こ
と。どんなことでも、楽しむポイントが何かあるはず。辛い状況だと辛いことだけが目に入りがちだ
が、
そこで意識を変えて、
「楽しめることは何かないだろうか」
と自分から意識して楽しみを探すこと。
待っていても楽しみがなかなか出てこないならば、
自分から探すこと。一つでも楽しみを見出せれば、
気持ちの流れは変わっていくだろう。
4.2
地域の暮らしは、地域ブランドの大切な要素
地域ブランドに取り組む地域には、最初から多くの資源や資金がある状態からスタートしたところ
はあまり多くない。むしろ過疎や経済的に厳しい状況に追い込まれたところから取り組みを始めた地
域の方が多いのだ。地域外の消費者に商品を購入、また観光に来てもらうという経済的効果を狙って
取り組みを続ける中で、実は取り組みによって生まれたのは経済的効果だけではなく、地域内の自分
たちが元気になり、そして自分たちの暮らしが楽しく豊かになったことに気づくことが少なくない。
ここでの「豊かさ」とは、お金やモノがたくさんあるという物質的な豊かさだけではなく、その地域
で暮らすことを楽しく感じること、そして地域で誇りを持って、自信を持って暮らせることだ。地域
の暮らしの中にある魅力・豊かさが地域ブランドにつながっている。地域の物語・コンセプトなどを
伴った地域の産品が売れる、観光客が地域に来る、というのはその地域の中に魅力があることが原点
になる。地域の暮らしが楽しく豊かになることが地域の魅力を高めることそのものである、と気付い
た。これに気付くと、逆に「自分たちの暮らしの豊かさが地域ブランドの価値の源泉になり、豊かな
暮らしのある地域に人は集まり、商品も売れる」ことになる。地域ブランドの取り組みを長年続けて
きた地域では、この考え方を持って取り組みを行っているところも多くある。
「楽しい人の周りに人は
集まる」傾向は一般によく見られる。地域でも同じで、豊かに楽しく暮らす地域に人は注目し集まっ
てくるということ。
このように、地域の生活・暮らしが豊かになることが地域ブランドづくりにおいて重要な点だ。そ
して、それが結果として地域性を持った商品の販売や観光客の増加など経済的結果にもつながってい
く。地域資源も人も地域性も、どう活かすかを考える。成功のポイントを見てくると、地域資源でも、
人でも、地域性でも、共通して「活かす」という点が浮かびある。
それはつまり、資源も人も地域性も共通して、
「これはダメ、と思ったらそれまでで、そこから発展
しない。しかし、この資源等の特徴は一見活用しづらく見えても、工夫して何か活かせないか、誰か
の『うれしい・楽しい』につながらないかと考える視点が重要」ということ。地域資源を活かすこと
については 4.1.1 節で触れた通りですが、地域ブランドに取り組んできた様々な地域で、それほど注目
されていなかった資源、一見使い道の無さそうな資源でも、活かし方を工夫し視点を変えたりして価
値を生み出してきた。人も同じだ。地域内のメンバーの中でも、取り組みを始めてすぐに活躍する人
とそうでない人がいるかもしれない。
しかし、一人一人に特徴があり、その特徴はどうしたら活きるのか、輝くのかを考えることが大切
だ。それによって、それまでは活躍につながらなかったその人の特徴が、地域の価値を大きく生む行
動につながるかもしれない。それにはまず、一緒に地域ブランドづくりの活動・作業をしてメンバー
の特徴を知ること。普段近所に住んでいても、いざ一緒に作業してみると意外な一面が見えたりする
かもしれない。その一面を見逃さず、どうしたらその特徴がどう活きるのかを考え、より特徴が活き
るように役割分担などをしていくことが重要だと考える。また、そもそも地域ブランド自体が、地域
性を活かして価値にしていこう、というもの。地域のストーリーやコンセプト、産品への定評をうま
く活かした地域が地域ブランドの成功例として活躍していく。地域ブランドに取り組んできた地域は、
豊富に資源があって、資金もたくさんあって、人もたくさんいて、というところはほとんどない。無
い中で、わずかでもある資源等を「活かす」ことで発展してきた。
「あれがない、これがない」と言う
より、
「地域にある○○をどう活かして、誰かの『うれしい・楽しい』につなげていこうか」を考える
ことが重要になる。自分の手でそれを考え工夫することが、地域の智恵として蓄積されていき、魅力
ある地域へと発展する鍵となる。
4.2
まとめ
ブランドの付加価値には、商品の機能に対する顧客の評価や、安心感などの情緒的な便益、ブラン
ドを持つことによってお洒落だったり、環境への意識が高かったりする自分を表現するという自己表
現が含まれることが分かった。
地域ブランド定義としては、「地域に対する消費者からの評価」であり、地域が有する無形資産の
ひとつである。地域ブランドには、地域そのもののブランドと、地域の特徴を生かした商品のブラン
ドとから構成される。地域ブランド戦略とは、これら 2 つのブランドを同時に高めることにより、地
域活性化につながることが分かった。
2 章では事例を取り上げて自分なりに分析し、共通点を探してみた。京野菜はおばんざいという京
都独自の食文化が背景にある。京都と京野菜、おばんざいと一体になって PR や流通対策、認証制度
などが投入されたことがブランド化成功の方法であると考える。京都らしい、日本情緒あふれる暮ら
し方への憧れがその裏にはあると考える。金沢デザインは、伝統産業で培われた術力をもとにし、街
が「創造都市」という新しい方向性を考え、伝統工芸品に対する愛着がある金沢市民の暮らしを目に
見える形で強調して市場での連続性を保つことに成功した。沖縄音楽は沖縄らしいライフスタイルに
憧れる人に向けて「癒し」を切り口とした新たな方法でジャンルを成立したと考える。
地域からモノのブランド拡張において住民のライフスタイルが基盤になるのではないかという考え
を当てはめるなら、地域ブランドと「特産品ブランド」との間には「住民のライフスタイル」という適
合基盤が置かれるべきであるということになった。
観光地については、十分な検証の上ではないがモノの場合と同様、「住民のライフスタイル」を適合
基盤として「観光というサービスを購入する」という構造が考えられるのではないかと思う。とすると、
「住みたい価値=暮らしブランド」となる。地域と「モノ・観光・暮らし」全ての間にブランド拡張の
適合基盤として「住民のライフスタイル」を置くことができることが分かる。
3.4 節の東京府中市の事例を挙げると、都心に近い充実した行政サービスという属性から出発し、便
利で住みやすいという機能価値、肩ひじを張らずに都市と郊外の良い部分をもとに味わえる情緒価値
があることが見出されてきた。コンセプトとして「いつまでも、住み続けたい。東京三世代生活。府
中市」とまとめられた。
地域ブランドづくりとしては、視点を変えて、地域の資源から価値を引き出す。地域にある資源や、
今ある商品やサービスなどを見直して、これまで見えていなかった価値を引き出し活かすことが大切
だと分かった。地域の伝統や古いものは、色々な人から大切にされ、保護されることがある。それだ
け、多くの人が伝統や古いものに特有な価値を感じていると考える。視点を変えて資源から価値を引
き出し活かす上で、「いかに資源の価値に気付くか」について「次の時代を読むこと」が視点の幅・
価値の気付きの幅を広げてくれる。「次の時代の消費者のニーズは何か?」「次の時代にはどんな社
会の変化が起こりそうか?」そういった視点から資源を見直すことで別の側面が見え、そこで見えた
価値は次の時代に求められるものになっていくことも考えられる。
新たに生み出した価値を表現する。
「こだわりの一品」など、良い商品を表現するときに「こだわり」
という言葉がよく使われる。地域物語・コンセプトや作り手としての想いを伝えたいという気持ちが
強くなればそれが「こだわり」に繋がっている。
「こだわりの一品」として消費者に認識されるかどう
かは、地域や生産者が「細部にまでこだわり続けられるかどうか」が極めて重要だ。これは商品に限
らず、店舗・施設やサービスでも同様に大事だ。地域のストーリーやコンセプトを設定する。消費者
に与えるインパクトや生まれる感情は違ったものになる。
地域商品やサービスの価値を伝える機会を考える。方法としては、商品のパッケージからパンフレッ
ト、広告など様々なものがあるが、いずれの場合でも単に商品・サービスの外面的内容(品質や性能、
価格など)を伝えるだけではその魅力はなかなか伝わらない。特に作り手は自分で商品を作ってきて、
内容のことを詳しく知っており、またそこに思い入れもあるので、内容に偏って表現をしがちだ。内容
を伝えることはもちろん重要だが、商品やサービスが持つ世界観や、商品を使うことで得られるうれし
さ・楽しさなどの感覚といった、「価値」を伝えることが重要になる。
地域ブランドのキャッチコピーをつくる。価値が明確に伝わる言葉・文章を書く商品やサービスを表
現する場合、それを使うことで得られる価値、作り手のこだわり、コンセプトなどを明確に書くことが
重要である。文章として価値やコンセプトをはっきり書かない方が良いケースもあるが、その場合も文
章を読んで消費者が世界観や価値をイメージできるように書くことが重要である。
宣伝としては、メディアでの発信とはまた別のタイプで影響の大きいのが、お客様が「語り部」と
なり地域の魅力を語ってくれる「口コミ」の効果である。商品や地域に対する消費者の気持ち・意見
を知り、改善につなげる商品やサービスを改善、地域の価値を見直していく上で、顧客の意見や気持
ちを知ることは重要だと思う。商品・サービスや地域についての顧客の捉え方や、今の顧客のニーズ
などを知ることが大事なる。顧客を知る上で有効な手段となるのが、「顧客に直接触れる」ことが大
事である。店舗の店頭でも、地域のイベントの時でも、顧客に触れて話をする中で、商品やサービス、
地域コンセプトやストーリーについての意見、求めていることなどを聞くことができる。顧客に触れ
る際には、漫然と話すのではなく「相手はなぜこの商品に魅力を感じているのだろう?」・「相手は
どんなものの見方をしているのか?」などを念頭に置きながら話すことだ。そこで聞いた内容を踏ま
えて、商品やサービスの改善や地域の進む方向性などを考え、反映していくことが必要だ。深い部分
まで顧客のニーズを知るには、「顧客に直接触れる」ことが有効「顧客に直接触れる」ことの特徴に
は、深く顧客のニーズや気持ちが分かる点がある。顧客のニーズには、顧客自身が求めていると認識
していること(表面的ニーズ)と、本当は求めているが、顧客自身は求めていると気付いていないこ
と(内面的ニーズ)がある。表面的ニーズとは、顧客に聞いて「こんなものが欲しい」と出てくるも
のだ。
一方、内面的ニーズとは、何が欲しいか聞いても出てこないが、提供すると「こんなのが欲しかった!」
となるもの。内面的ニーズを捉えた提案・提供は、顧客の感動につながりやすい重要なことだ。顧客の
表面的ニーズも内面的ニーズも両方を知ることが重要なのだが、顧客の感性や価値観の深い部分にあた
る内面的ニーズを知るには、「顧客に直接触れて話す」ことが有効だ(同時に表面的ニーズも知ること
ができます)。他に顧客の気持ち・ニーズを知る手段としてはアンケートがある。アンケートは表面的
ニーズを知るにはとても有効な手段ですが、顧客自身が認識していない内面的ニーズまでアンケートで
捉えることはなかなか難しいと言われている。
地域性は、ずっと一定のものではなく、長い時間の間に変わっていく、沖縄についても、百年という
単位で見れば文化も地域性も時間と共に変わってきた。このように地域性が変化していく上で、魅力が
増す方向へ変わっていくには何がポイントなのでしょうか。その一つが「外部や異なるものとの関わり
方」だ。外の地域と関わり、接点を持つことで、その地域のライフスタイル・文化・価値観など様々な
ものに触れる。自分の地域の地域性と、外の地域の地域性とが混流し、新しい地域性へと変化していく
のだ。地域から商品や店舗・施設、景観など地域の魅力を発信する。そして、発信した内容に対して、
興味・関心のある人が商品を購入したり、地域を訪れたりする。商品の購入や地域への来訪といった外
部の人との接点が生まれると、そこで外部の人の意見や気持ちを聞く交流の機会が生まれてくる。この
ような外部との交流の中で、地域の中に外部の価値観や文化、感性といった要素が入ってきて、元々地
域の中にあった価値観や文化と混ざり合う。この混ざり合いの中で地域の文化や感性が磨かれ、徐々に
地域性が変化・成長していく。この時、外部の意見が地域内の考え・価値観と異なるものだからといっ
て拒絶し争おうとすると、文化や価値観の混ざり合いはなかなか起こらない。外部の意見としっかり向
き合い受け止めることで、この混ざり合いが起こる。
自力・手づくりで作り上げることが必要だ。自力とは、自分の手で作るのではなく全てを人任せにせ
ず、自分で作るという意識を基本に置くということだ。自分で作る、特に自分の手で作ることによって、
自分にノウハウが貯まっていく。わずかずつであったとしても、この蓄積が大事である。地域や商品の
コンセプト作りも、外部の専門家の力を借りたとしても、その意見を聞きながら自分たちでどのような
コンセプトにするか考え、決めていく。地域ブランドづくりの主役はあくまでも自分たちであるという
姿勢が大切だと分かった。出来栄えの水準を明確にイメージすることも大切だ。地域ブランドづくりに
おいて商品開発や景観づくりなど様々なアクションを行う上で、出来栄えの水準をイメージすること。
水準の出来栄えを目指すかを明確にした上で取り組むことで、メンバーがそのイメージを共有でき、そ
の水準を実現しやすくなる。
地域ブランドの課題も少なくない。何よりもまず、地域ブランドを効果的にマネジメントするために
は、始まったばかりの「地域ブランド」研究を充実させ、
「地域ブランド構築にあたっての知識の不足」
を補っていく必要がある。今現在、実務的なマニュアルの不足以前に、概念整理などの学術的な基礎研
究も十分でないこと。理論研究に基づいた分析枠組みが提示されれば、地域ブランドのマネジメントに
関する事例研究の積み上げが促進されるはずである。
また、
「地域ブランド構築にあたっての知識」を充実させることと平行して、それを広めていく必要
がある。それによって、「人材の不足」を補っていくのである。そのためには、体系だった人材育成の
仕組みをつくり、それを効果的に実施していかなければならないだろうと考える。都道府県においても、
地域ブランドを意識した取組みは始まったばかりである。今後の地道な努力なしには期待される成果は
生まれるはずもないと考える。
謝辞
卒業論文発表会に際しては、宮嶋康仁氏(庭田セミナー3 年)より、ブランドづくりについてもっ
と詳しく論じて欲しかった。といった有益なコメントを頂いた。ここに記して感謝の意を表したい。
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目瀬 守男(1992)「地域活性化シリーズ」明文書房
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