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NMIJの周波数遠隔校正システム について
NMIJの周波数遠隔校正システム について 産業技術総合研究所 計測標準研究部門 時間周波数科 周波数システム研究室 藤井靖久(澁谷靖久) 持込校正の場合 遠隔校正の場合 <校正の流れ> 申請 申請 校正システム持込 校正器物持込 アンテナ 受信機 PC システム返却 再申請 校正 再申請 (12ヶ月後) 初期導入確認 器物返却 12ヶ月間 校正 校正証明書発行 校正証明書発行 校正証明書送付 校正証明書送付 1 <時刻比較用GPS受信機の役割:イメージ図> 遠隔校正の場合 持込校正の場合 国家標準−校正器物 国家標準−校正器物 TIC 校正器物−GPS時 TIC 校正器物 国家標準−GPS時 TIC GPS 時 国家標準 国家標準 <遠隔校正のメリット> 校正器物 ・実際に使用した 実際に使用した周波数値と不確かさがわかる(校正周期が短い) 周波数値と不確かさがわかる(校正周期が短い) <遠隔校正のデメリット> ・アンテナケーブル、アンテナの固定が必須 ・初期投資費用が必要 <持込校正の不確かさ> タイムインターバルカウンター法 周波数カウンター法 1.0×10-13@1日 2.0×10-13 @1日 <遠隔校正の不確かさ> マルチチャネル シングルチャネル 50km) 1.1×10-13 @1日 1.6×10-13 @1日 つくば−大阪(∼ 500km) 1.4×10-13 @1日 2.4×10-13 @1日 つくば−沖縄(∼1600km) 4.9×10-13 @1日 9.3×10-13 @1日 つくば−東京(∼ 2 <NMIJと遠隔校正を開始するにあたって最低限必要なもの> ①時刻比較用GPS受信機セット データをCGGTTSフォーマットで転送する必要あり (市販のGPS受信機でもCGGTTSフォーマットでデータを再 構築できれば必ずしも時刻比較用である必要はありません) ②PC データ取得/転送用(データ処理用) ③アンテナ座標 GPSを利用した時刻比較では、衛星と自局の位置を既知として、時 計誤差を測定することを目的としています。当社でも測量いたします が、1[m]RMS程度で測れていれば問題ありません。 ④校正器物 RbやCs以外に、水晶内蔵型の時刻比較用GPS受信機もあります <遠隔校正で想定している標準セットアップ> ①時刻比較用GPS受信機セット : JRC製JQE-102 (受信機、アンテナ、アンテナケーブル100m) ②PC : ノート型PC (OSはWindows XPまたはLinux Redhat 9) ③アンテナ座標 : 申請時に申し込み ④校正器物 : ⑤その他 Rbクラスの発振器 : LAN環境(データ送付の自動化) 3 Antenna Note PC RS-232C LAN ( Network ) GPS Receiver (JRC:JQE-102A) Local Reference (1pps / 5 / 10 MHz) Antenna Cable 5D-SFA : 150m(Max) UPS CGGTTS フォーマット データ “e-trace” GPS Receiver NMIJ GPS Receiver 国家標準 校正器物 PC DATA 指定アドレスへ E-mailで送付 データサーバー INTERNET DATA(E-mail) コモンビュー抜き出し 校正証明書 Note PC SMTP DATA DATA (E-mail) 担当者 クライアントサイト 4 周波数比較の原理:コモンビューの原理と処理フロー PRN #N2 PRN #N1 PRN #N3 ・・・ 自局データと相手局データ を取得 GPS time コモンビュー抜き出し 一定時間内の平均値 を計算 校正期間内の平均値 から校正結果を算出 Reference1 Reference2 REF1 - GPS time − REF2 - GPS time REF1 – REF2 (見かけ上、比較したい発振器同士の時刻差を直接得ることが出来る) データの自動送付:SMTP(E-mail) “ Simple Mail Transfer Protocol ” 街角の郵便ポスト=SMTPサーバー 「とりあえず宛先さえ書いてあれば、その住所まで届けます」 認証不要 = 誰でも使用できる (スパムメールの発信源として利用される) [特定エリア内からのみにアクセス権を制限] SMTPサーバーの概念図 rcpt to: 以下をチェック (認証付きSMTP:ESMTP=認証後、一定時間 だけ使用を許可や、 POP3、IMAPなどSMTP を使わない傾向あり) 指定エリア内 インターネット SMTPを前提とした自動運用 フリーのローカルSMTPサーバープログラムが利用できれば、 サイト側でSMTPサーバーを備えている必要もありません。 5 CGGTTSフォーマットとは GPS時刻比較の標準フォーマット=CGGTTSフォーマット 「1秒毎の時刻比較データに対して、15秒間の2次フィットから15秒間 の平均値を作り、それを52セッション行う。それらに対してさらに一次 フィットをかけた直線の中央値を測定データとする」 “Technical Directives for Standardization of GPS Time Receiver Software, D.W.Allan and C.Thomas, Metrologia, 1994, 31, 69-79” → 15×52=780秒間=13分間で1データ (データは16分間隔になります) <例> ヘッダ部 (19行) データ部 座標・測地系 基準信号の基準点に対する遅れ 方位角 仰角 衛星番号 日 時 MJD UTC 観測時間長 自局のクロックとGPS時との差 “Reference – GPS time” 6 Time Series of CV data (ΔREFGPS) UTC(NMIJ) – Commercial Rb Standard Time Series of CV data ( converted to Frequency Deviation) UTC(NMIJ) – Commercial Rb Standard 7 Calibration Result of GPS CV data ( Frequency Deviation) UTC(NMIJ) – Commercial Rb Standard 8 1日間の周波数偏差 ( 参考値) 1ヶ月間の平均周波数偏差 (校正結果) 1日間のコモンビュー 成立セッション数 ( 参考値) 1時間の周波数偏差の 1日間での標準偏差 ( 参考値) 1ヶ月間の周波数偏差に 対する1日の周波数偏差 のばらつきから求めた 1日の拡張不確かさ (校正結果) 9 <セキュリティと非改ざん性についての配慮> ○セキュリティ確保のため、NMIJ側からクライアント側をコントロー ルしない(SMTP(社内LANから外部へメールを出す機能のみ) ← モニターしないことにはならない(下記参照) ○データが改ざんされたことは、 データをプロットする過程で明確 にわかる ・受信機内のデータは改ざんできない(3週間程度ストア) ・現地校正支援者にも同じデータが送付される ・CGGTTSフォーマット、マルチチャネル ・位相の連続性を見れば一目瞭然。 GPSコモンビュー法による周波数測定では、校正結果に 影響を与えるほどの改ざんは極めて難しい まとめ <手続きの違い> ・校正器物ではなく校正システムを初回・導入時に送付 <メリット> ・実際に使用した 実際に使用した周波数値と不確かさがわかる 周波数値と不確かさがわかる <デメリット> ・アンテナケーブル、アンテナの固定 ・初期投資費用 <セキュリティ、非改ざん性> ・セキュリティ確保のため、外部からコントロールしない ・校正結果に影響を与えるほどの改ざんは極めて難しい (GPSコモンビュー法) 10 Fin 11