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第1章 隠花植物 Cryptogamous plants n n n 2n

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第1章 隠花植物 Cryptogamous plants n n n 2n
生物学:花の生殖戦略 第1章
教科書p.1
第1章
植物の生殖のタイプから見た花の進化
(植物の生殖戦略)
花とは?
植物の生殖器官である!
•種子植物(seed plants≒顕花植物 [flowering plants])概要
「花」と呼ばれる生殖器官を有するタイプ 教科書p.1
「花」のタイプ:
◎裸子植物(gymnosperms):進化した時代、飛翔昆虫が少なかった!
◎被子植物(angiosperms, or “flowering plants”) :
風媒花:裸子植物以外、昆虫
水媒花 (ex.クロモ)
が少ない高緯度、高地に多い
ex.イチイ
雄花
雌花
虫媒花
コウモリ媒花
隠花植物 Cryptogamous plants
c.f. crypto-: 隠れた、
教科書p.1
gamous: gamos(ギリシャ語)の「婚姻」
コケ植物門(Bryophyta) 苔類綱 (Hepaticopsida)
(a)
(b)
(c)
n
センダングサで吸蜜するオオスカシバ
鳥媒花
リュウゼツランで吸蜜する
オガワワラオコウモリ
カタツムリ媒花
Blackberry lilly で吸蜜する Rubythroated hummingbird
担当者:山岡景行
n
n
2n
ゼニゴケMarchantia polymorpha L. ゼニゴケ科
(a) 半数体(n)の葉状体上の杯状体(無性生殖)、
(b)葉状体の雄株上の造精器、
(c)葉状体の雌株上の雌株造卵器。卵子が受精すると2
倍体(2n)の胞子体が出来る。
ヤマネコノメソウ
1
生物学:花の生殖戦略 第1章
参考
c.f. 核相交代 (alternation of nuclear phases)
有性生殖の生活環において、減数分裂の結果生ずる単
相(≒生殖細胞)と、受精(=接合)によって形成される複
相が交互に現れる現象。
隠花植物、シダ植物門(Pterophyta)
(b)
(a)
有節植物門(Sphenophyta) トクサ綱(Sphenopsida) 教科書p.1
(a)
(b)
スギナ Equisetum arvense トクサ科 Equisetaceae
(a)栄養茎、
(a)栄養茎、(b)胞子嚢穂(ツクシ)
種子植物 裸子植物イチョウGinkgo biloba
(c)
(e)
( )
造卵器
2n
造精器
n
ワラビ Pteridium aquilinum真正シダ目 Filicales コバノイシカ
グマ科 Dennstaedtiaceae (a)胞子体(sporophyte) (2n) 、 (b)胞子
嚢集合体、(c)胞子嚢、(d)胞子(2n)、(e)前葉体 (prothallium) シ
ダ植物の配偶体(n)
教科書p.1
種子植物 seed plants 裸子植物 gymnosperm
ソテツ門(Cycadophyta) 薄嚢シダ綱(Leptosporangiopsida)
(a)
(b)
(c)
ソテツCycas revoluta ソテツ目Cycadales ソテツ科
(a)雄花、 (b)雌花、 (c)果実(果実は有毒成分、cycasinを含み、ホル
ムアルデヒドに変化して中毒を起こす。c.f.奄美大島の呼び方:「なり」)。
風で運ばれて受粉した花粉は精子に変化して卵子と接合する
(精子は池野成一郎により発見)。
イチョウの精子と受精
雄花
雌花
イチョウ目
教科書p.1
(d)
2n
n: 単層の半数体 (haploid)
(haploid):核相交代の結果、減
:核相交代の結果、減
数分裂で生ず半数の染色体数を持つ個体or
数分裂で生ず半数の染色体数を持つ個体
or細胞
or細胞。
細胞
細胞。
2n:複相の二倍体(diploid):生活環の中で相同
2n:
(homo)または異種(hetero)の染色体組を2組持つ
個体or細胞。
教科書p.1
c.f. 精子
イチョウ門
平瀬作五郎の描画
担当者:山岡景行
2
生物学:花の生殖戦略 第1章
教科書p.2
教科書p.2
種子植物 裸子植物 球果植物門 Coniferophyta
(a)-1
(b)
(c)
(d)
(a)-2
クロマツPinus thunbergiiスギ目 Taxodiales マツ科 Pinaceae
(a)-1 二年生梢、(a)-2 冬芽と球果、 (b)新梢先端の雌花、
(c)新梢基部の雄花、(d)新梢下の球果(矢印)
(c)新梢基部の雄花、
教科書p.2
種子植物 裸子植物 球果植物門
クロマツの花と受粉模式図
花の形成の、ホメオティック遺伝子支配ABCモデル
花弁
(a)
(b)
正常
(d)
教科書p.3
雌蕊
雄蕊
変異1
正常
萼
B
変異1
B
A
C
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
A A+B B+C
C
C
B
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
C B+C B+C C
←領域
(c)
変異3
変異2
変異2
B
C
A
A
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
A
スギ目 Taxodiales ヒノキ科Cupressaceae
スギCryptomeria japonica
(旧スギ科 Taxodiaceae )
(a)Feb ’05スギ木立、 (b)同、雄花 (c)同、Mar ’98、
(d)花粉 スケールバー:20μm
花弁化
ツツジ
Rhododendron pulchrum
オオムラサキツツジ
c.f. 教科書p.3
C
C
遺伝子A単独:萼片
A+B:花弁
B+C:雄蕊全変異
C単独:雌蕊
( 全ての領域で葉が
形成される)
A、B、C
共に働かない:葉の形成
「八重咲き」
B
Ⅰ Ⅱ
B
A
Ⅲ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
A A+B A+B A
全変異
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ
萼片化
全ての領域で葉が形
成される。
c.f. 教科書p.3
アザレア
Rhododendron Bergian Azalea
Hybrids
c.f. Rhododendron: ツツジ属
中国南部原産シナノサツキとのサツ
rhodon(バラ)+ dendron(樹木)」
キの交雑種(主にベルギーで改良)。
pulchrum : 美しい,優雅な
担当者:山岡景行
A
変異3
東洋欄(「春剑素奇蝶 」 の事例)
中国云南省保山市
3
生物学:花の生殖戦略 第1章
教科書p.4
MADS遺伝子
 花の形成を制御している多くの遺伝子:MADS boxとK box と言う配
MADS-box遺伝子の例
[RARTF] : RIKEN Arabidopsis Transcription Factor database より。
列を含む(次スライド)。
シロイヌナズナ
 MADS boxを持つ遺伝子(MADS遺伝子)は、動物や、花を形成しな
い菌類、シダ植物にもある。
 花がないリチャードミズワラビCeratoptris richardiiから9個の
教科書p.4
転写
AGI ID: At2g26880 (Arabidopsis Genome Initiative
Aug1998に始まった国際共同研究の名称)
TF ID: TF71 (c.f. transcription factor ID)
MADS遺伝子が単離された。
Super family: MADS
 全て、種子植物型のMADS遺伝子であった。
Sub family: PISTILLATA (雌花:pistillate flower)
Gene name: putative MADS-box protein
花がない植物にも存在する、動物も含む生物界に普遍的なMADS遺
伝子が花の形成を支配する新しい機能をもった、と考えられる。
ただし、MADS boxとK boxの両方を有する遺伝子は、種子植物のみ
( Lawton-Rauh et al.(2000) Molecular evolution of flower development. Tree 15,
144-149)。
参考: アミノ酸の略号
1文字
3文字 名称
教科書p.4
1文字
3文字
名称
Alanine アラニン
N
Asn
Asparagine アスパラギン (2)
B
Asx
アスパラギン酸またはアスパラ
ギン (1)
P
Pro
Proline プロリン
C
Cys
Cysteine システイン
Q
Gln
Glutamine グルタミン (2)
D
Asp
Aspartic acid アスパラギン酸
R
Arg
Arginine アルギニン
E
Glu
Glutamic acid グルタミン酸
S
Ser
Serine セリン
F
Phe
Phenylalanineフェニルアラニン
T
Thr
Threonine トレオニン
G
Gly
Glycine グリシン
U
Sec
Selenocysteine セレノシステイン (3)
H
His
Histidine ヒスチジン
V
Val
Valine バリン
I
Ile
Isoleucine イソロイシン
W
Trp
Tryptophan トリプトファン
K
Lys
Lysine リシン
X
Xaa
未知またはその他のアミノ酸 (4)
L
Leu
Leucine ロイシン
Y
Tyr
Tyrosine チロシン
M
Met
Methionine メチオニン
Z
Glx
グルタミン酸またはグルタミン (5)
MTRKKVKLAW
VERLMDIELF
YSRETIMSFR
TRIINIDSLR
EMMSVSPK
IENDNTRAIS
LNEKTNKVNE
KKFDFMQHSP
ENKSYYLIDQ
Length = 248 AA.
3. Glx (Z) : Glu, Gln のほか、Gla (4-カルボキシグルタミン) や Glp (5-オキソプロリン) など
KVRELSILCD
EYVSNELMMQ
VQVEQFKSTT
VTYQQIGYET
IKACTIVFSP
LQRGRRIHDL
KDAFLGGDLD
SNRRGYNPYQ
NEAELMVWPS
NLSEIYTLLS
VERARNTNEA
GSSSNGNPNF
アミノ酸の略号は次スライド参照
ABCモデル、ホメオティック遺伝子支配 キンギョソウの例
Hiroyasu Yamaguchi et al. (2010)J. Japan. Soc. Hort. Sci. 79 : 192–199.
葯
副花冠を形成しない品種
「
「イエロー・バタフライ」
バタ
1. Asx : Asp または Asn
2. B : D または N
gene At2g26880
LRKRRVGLVK
KLIKSCKKNK
LRDPPVLPFE
WFPTPEPPKP
雄蕊型
中
間
型
副花冠
Ala
1
61
121
181
241
花糸
A
Amino Acid Sequence:
副花冠を形成する品種
「マダム・バタフライ・イエロー」
花弁型
c.f. キンギョソウの
クラスA遺伝子:SQUAMOSA
クラスB遺伝子:DEFICIENS とGLOBOSA
クラスC遺伝子:PLENA と FARIELL
ラッパスイセン Narcissus pseudo-narcissusの仲間をベースに作出。
園芸区分 1Y-O(後出)
その他の副花冠を持つ花
花被片
副花冠
副花冠
子房
ワスレナグサMyosotis scorpioides
トウワタ Asclepias curassavica
雌蕊
雌蕊
子房
雄蕊
子房横断面
雄蕊
ニホンスイセンNarcissus tazetta
var.chinensis
担当者:山岡景行
トケイソウ Passiflora caerulea
4
生物学:花の生殖戦略 第1章
系統区分(部門: Division)
参考:スイセンの園芸区分(英、王立園芸協会)
第1区分 ラッパスイセン 1茎1花、副花冠、花被片と同じか長い。
第2区分 大杯スイセン 1茎1花、副花冠、
花被片の1/3以上で花被片より短い。
第3区分 小杯スイセン 1茎1花、副花冠、花被片の1/3以下。
混乱を防ぐため、花の形態、交配した原種等に基づき1万
種を超えるスイセンの園芸品種の系統区分を策定。
第4区分 八重咲きスイセン 副花冠や雄・雌蕊が弁化。
http://apps.rhs.org.uk/advicesearch/profile.aspx?pid=365
Daffodils are divided into 13 divisions, based mainly on flower
form, and these divisions are often referred to in bulb catalogues.
第5区分 トリアンドロス・スイセン N. triandrusの特徴を持ち、
下向きに咲く小型スイセン。花被片、僅かに反転。
第9区分 ポエチックス・スイセン N. poeticusの特徴を
持つ大型の花被片に明瞭な色彩の小型副花
冠を持つ。
第6区分 キクラミネウス・スイセンN. cyclamineusの特徴を持ち、
下向きに咲く比較的小型スイセン。花被片、反り返る。
第10区分 ペチコート・スイセン N. bulbocodiumの特徴
を持つ原種とその交配種。ペチコート咲き。
第7区分 ジョンキル・スイセン N. jonquillaの特徴を持ち、芳香
がある。基本は黄ズイセン。
第11区分 スプリットコロナ・スイセン
バタフライ・スイセン。副花冠が大きく1/3以上が
断裂する。
第8区分 タゼッタ・スイセンN. tazettaの特徴を持つ芳香を持つ
房咲き。ニホンズイセンを含む。
第12区分 上記何れの区分にも属さない。
第13区分 上記以外の野生種
スイセンの花色記号
G(green) O(orange) P(pink)
花はなぜ発達したか?
R(red)
W(white)
Y(yellow)
シラカシ
1Y-Y
5W-W
9W-YR
担当者:山岡景行
2W-WO
3W-O
6Y-Y
7Y-O
10Y-Y
教科書p.4
花色素の基:葉のDNA保護 or 紫外線対策
エノキ
ネズミモチ
4Y-Y
8W-Y
11W-Y
イロハカエデ
オオシマザクラ
ベニカナメの生垣
ミズキ
ベニカナメの新芽
5
生物学:花の生殖戦略 第1章
花の進化
最古の昆虫化石:ポリネーターは何時出現? 教科書p.5
c.f.地質時代区分
シルル紀(4.4億万~4.1億万年前)の昆虫化石
Engel, M.S. & Grimaldi, D.A. (2004) New light shed on the oldest insect. Nature 427, 627-630
有翅昆虫亜綱と共通の特徴を持つ:
飛翔力昆虫の出現時代が石炭紀以前と考えられるようになった。
フィリップスの地質時代区分 (Phillips,1860)
A eudicot from the early
Cretaceous of China
(G Sun et al. Nature
471, 625-628, 2011)
Fig.3 キンポウゲ科近縁
種Leefructus mirusの化石
(正基準標本)
白亜紀前期、1億
2500万年前の真正
双子葉植物の化石、
中国、遼寧省で発見。
花が見られる地質時代
教科書p.5
古生代 (Paleozoic era) 5.6億年前~2.4億年前
隠花植物が全盛
中生代 (Mesozoic era) 2.4億年前~6500万年前
のジュラ紀 (Jurassic period) 2.1億年前~1.4億年前
Fig.4 復元図
被子植物が出現
白亜紀(Cretaceous period) 1.4億年前~6500万年前
The fossil shows multistranded
stems, several leaves clustered
at two distinct nodes , threelobed leaves, and a single (節)
reproductive auxiliary shoot.
Scale bar, 1 cm.
Photograph by C. T. Li.
種類数が増加
ex.シラカバ
ヤナギ類
カエデ類
クルミ類
種子植物の送粉:種族維持上極めて重大
教科書p.5
•風媒花・水媒花:隠花植物や、中生代に出現した被子植
物の生殖戦略(地味で、色も目立たない)
風や水に頼って花粉or胞子を
散布する植物
(a)イヌコリヤナギ
(Salix integra)
豊かな色彩の「花」を必要としない
(多量の花粉をまき散らす→花粉症)
(b)イロハカエデ
((Acer p
palmatum))
飛翔力を持つ昆虫の出現
(確実な花粉媒介仲介者)
教科書p.5
(c)オニグルミ
(Juglans mandshurica)
var. sieboldiana
(d)シラカバ
(Betula platyphylla
var. japonica)
担当者:山岡景行
昆虫の誘引作戦 (色&蜜)
•鳥媒花、虫媒花:
送粉者(鳥、昆虫)を誘因する色彩豊かな花被が発達
花と送粉者の双方が利益を得ることにより両者の密接な関
係が進化史的に確立したと考えられるからである。
6
生物学:花の生殖戦略 第1章
教科書p.5
被子植物の花
•概して大型
•色彩豊か
進化の隘
路 その1
教科書p.6
行き過ぎた
適応進化は
共倒れの危
険を伴う
花粉媒介動物への視覚的適応戦略
風媒花のアントシアニジンを出発点として:
•鮮紅色~橙色:鳥がポリネーター(熱帯中心の鳥媒花)
•青色系統:ミツバチなどがポリネーター(温暖帯中心の虫媒花)
オーストラリア産ランChiloglottis trapeziformisに誘引され、疑似交尾を
行うハチNeozeleboria cryptoides。 c.f. trapeziformis:不等片四角形
(a)性フェロモン様化合物に誘引され、唇弁(labellum)の雌に似た構造
(矢印)」接近する雄。
(b) 擬似後尾する雄。胸部背面に花粉が付着している。
進化の隘路
その2
教科書p.7
c.f. Kew植物
園に送られてき
たアングレカム
の花を見た
Darwinが、固
有のポリネー
ターの存在を予
言したことで有
名。
マダガスカル産ランAngraecum sesquipedale
(http://www. rbgkew.org. ukより)
キサントパンスズメメガXanthopan morgani praedicta
担当者:山岡景行
7
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