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医療費のあり方について

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医療費のあり方について
医療費のあり方について
ー2015年度概算医療費からー
定例記者会見
2016年9月28日
公益社団法人 日本医師会
「概算医療費」の集計範囲
2016年9月、厚生労働省から2015年度の概算医療費が公表された。
「概算医療費」は、審査支払機関における算定ベース(確定ベースではない)の
診療報酬の集計である。また、「概算医療費」には、はり・きゅう、保険証忘れ等に
よる全額自費による支払い、労働者災害補償保険等による医療費は含まず※)、
「国民医療費」の98%程度で推移している。
(億円)
2010
2011
2012
2013
① 国民医療費
374,202
385,850
392,117
400,610
② 概算医療費
366,178
377,666
384,074
392,556
97.9
97.9
97.9
98.0
②÷①(%)
2014
2015
未公表
未公表
399,556
-
414,627
-
*厚生労働省「国民医療費」「平成27年度 医療費の動向」から作成
※)厚生労働省の説明では「労災・全額自費等の費用を含まない」となっているが、全額自費は美容整形などの自費医療ではなく、
保険証を忘れるなどしていったん全額自己負担したケースである。美容整形等の自費医療は「国民医療費」にも含まれない。
1
医療費の推移
2015年度の医療費は41.5兆円、対前年度比は+3.8%(2016年は閏年であり
休日数補正後では+3.6%)であった。
医療費の推移
(兆円)
50.0
40.0
39.3
40.0
41.5
37.8
38.4
4.9
4.9
5.3
5.4
6.0
10.0
薬剤料(院外)
調剤技術料
30.0
20.0
訪問看護
13.3
13.4
13.6
13.8
14.2
歯科
医科入院外
15.2
15.6
15.8
16.0
16.4
2011
2012
2013
(年度)
2014
2015
医科入院
0.0
*厚生労働省「平成27年度医療費の動向」「調剤医療費の動向 平成27年度版」から作成。
入院および入院外院内処方の薬剤料はそれぞれの区分に含む。
2
医療費の伸びの内訳
2015年度の医療費の伸び3.8%のうち、薬剤料(院外処方のみ)の寄与は
1.5%と計算された。
医療費の伸びの内訳
(%)
3.8
4.0
訪問看護
3.1
3.0
1.5
2.2
1.2
0.1
1.0
0.8
0.9
0.3
0.8
1.0
2011
2012
0.0
調剤技術料
1.8
1.7
2.0
薬剤料(院外)
0.3
歯科
1.1
0.6
0.4
0.5
0.7
0.8
2013
2014
2015
医科入院外
医科入院
(年度)
*厚生労働省「平成27年度医療費の動向」「調剤医療費の動向 平成27年度版」から作成。
入院および入院外院内処方の薬剤料はそれぞれの区分に含む。
3
診療種類別医療費の伸び
診療種類別の伸びでは、薬剤料(院外処方のみ)の伸びが11.3%であった。
2015年度には高額なC型肝炎治療薬が薬価収載されており、その影響を受け
ているが、そうでなくても、薬価改定のない年の薬剤料は相当の伸びを示す。
診療種類別医療費の伸び
(%)
11.3
12.0
10.0
9.5
医科入院
7.4
8.0
医科入院外
歯科
6.0
調剤技術料
4.0
2.4
2.0
薬剤料(院外)
0.5
0.0
2011
2012
2013
2014
2015
(年度)
*厚生労働省「平成27年度医療費の動向」「調剤医療費の動向 平成27年度版」から作成。
入院および入院外院内処方の薬剤料はそれぞれの区分に含む。
4
抗ウイルス剤の影響
C型肝炎治療薬は、薬効分類別では抗ウイルス剤に分類される。抗ウイルス
剤の投与状況について、電算処理レセプトもそれ以外も同じ、院外処方分も院
内処方分も同じという前提で計算すると、医療費の伸び3.8%のうち、C型肝炎
治療薬ほかの抗ウイルス剤の影響は1%程度である。
医療費全体の伸びのうち抗ウィルス剤の影響
(%)
3.8
4.0
3.0
2.0
1.0
2.7
1.8
その他
抗ウィルス剤の影響
1.6
1.1
0.0
0.1
2014
2015
(年度)
*厚生労働省「平成27年度医療費の動向」「調剤医療費の動向 平成27年度版」、公益社団法人日本薬剤師会
「医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)」から作成
5
医療機関の費用構造
厚生労働省も過去に医療機関の費用構造を推計している。厚生労働省の推計手
法が公開されていないので、あくまで参考として今回推計分と比較するが、10年前と
比べて人件費が49.1%から47.0%に縮小し、医薬品費が20.9%から21.8%に上昇
したほか、材料費およびその他の支出(設備関係費、経費)も増加している。
医療費の構成比(推計)
(%)
100.0
80.0
18.5
5.1
6.4
18.6
5.1
6.2
19.6
4.9
6.6
60.0
20.9
22.2
21.8
40.0
20.0
その他
委託費
材料費
医薬品費
49.1
47.9
47.0
2004年度
2009年度
2014年度
人件費
0.0
厚生労働省推計
今回推計
*厚生労働省「平成27年度医療費の動向」「第20回医療経済実態調査」「医療機関の費用構造の推移」(2012
年8月30日 医療機関等における消費税負担に関する分科会資料)から作成。訪問看護を除く。
6
病院・診療所の従事者数
病院・診療所には全国で300万人以上が従事している。
従事者数は年々増加しており、2014年は2002年に比べて1.2倍以上に伸びて
いる。
病院・診療所従事者の推移(※)
総数
2002=100
400
110
)
万
人 100
252
263
277
295
304
140
120 2
0
100 0
80 2
60 年
=
105
121
(
従 300
事
者
数 200
100
117
40
20
0
0
2002
2005
2008
2011
1
0
0
2014
(年)
※保険薬局の従事者は含まない。2002年以降常勤換算数での調査になったため2002年以降を表示
*国立社会保障・人口問題研究所「社会保障統計年報データベース 」から作成。元データは、厚生労働省「病
院報告」「医療施設(静態)調査」。
7
外来医療費の構成比
外来医療費の構成比を計算したところ、2001年度には医科技術料が50.6%で
あったが、2015年度には医科技術料は44.2%に縮小し、外来医療費に占める
薬剤料の割合は36.2%に拡大している。
外来医療費の構成比(推計)
(%)
100.0
80.0
29.0 29.7 31.5 31.8 32.8 31.8 32.3 32.3
34.4 33.8 34.8 34.6 35.3 35.3 36.2
その他
5.8
60.0
6.4
6.4
6.5
6.6
6.9
6.9
7.2
7.2
7.6
7.6
7.7
7.6
7.6
7.7
薬剤料
薬局技術料
40.0
歯科技術料
20.0
50.6 49.3 48.1 47.9 47.2 48.3 48.2 47.7 46.2 46.4 45.5 45.5
45.0 44.9 44.2
医科技術料
0.0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
(年度)
*厚生労働省「社会医療診療行為別統計(旧調査)」「概算医療費データベース」から作成
薬剤料には特定保険医療材料料を含む。その他は訪問看護。
8
調剤技術料
調剤基本料※)は、後発医薬品調剤体制加算の要件が厳しくなっているものの、上昇傾
向が続いている。
調剤料は処方日数が長くなるほど段階的に高くなる(医科院内処方にはこのような仕組
みはない)。31日以上は一定であるが、長期処方が拡大するにしたがって処方せん1枚当
たり調剤料は上昇する。
処方せん1枚当たり調剤技術料の推移
調剤基本料
調剤料
加算料
800
200
調
剤
基
本 600
料
・
調
剤 400
料
150
( )
加
算
100 料
円
( )
50
円
200
0
4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2 4 6 8 1012 2
2011
2012
2013
2014
2015
*厚生労働省「最近の調剤医療費の動向平成28年3月号」から作成
※)調剤基本料には、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算、夜間・休日等加算、時間外等の加算、及び在宅患者調剤加算を含む。
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