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果樹園の土壌管理(1、136K)

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果樹園の土壌管理(1、136K)
果樹園の土壌管理
1.土壌管理とは
土づくりだけでなく、施肥や除草・潅水など、土や根に関する幅広い管理作業をいう。
2.土壌管理の重要性
◎地上部と地下部の生育は連動
3.土壌管理の実際
(1)土作り
植物にとって良い土とは?
フカフカして柔らかく、通気性と保水性を兼備している。
地力窒素が多い。
微量要素等の養分が十分ある。
中性に近い微酸性の土
保肥力が大きい
→
施肥した肥料を抱え込むので、ゆっくり長期間効く
悪い物質が入っても中和する力(緩衝能)が強い
良い土の作り方(土作り)
①
有機物の施用(堆肥、稲ワラ、枯草、木材のチップ、家畜の糞等)
有機物の働き
〇有機物が分解してできる物質(腐植)が土の粒子を結びつけ、
フカフカして、通気性と保水性を兼備した土を作る。(団粒性)
〇地力窒素の源
有機物が土壌中で分解して、窒素・燐酸・加里等が出てくる
〇有機物には多量の微量要素が含まれている
〇腐植は保肥力が極めて大きい
→腐植が多いほど保肥力も大きい
〇腐植は緩衝能が極めて大きい
②
石灰の施用
日本の土地は自然に酸性化
酸性化の原因
酸性の害
好適範囲
対策
=
pH
=
←
石灰で中和
雨、肥料
根が障害→
異常落葉、樹勢低下
6.0 ~ 6.5
通常は、苦土石灰
10 a当り 100 ~ 150kg(毎年)施用
土壌分析して、土壌が酸性なら、石灰の施用量が少なすぎる。
→
石灰資材
石灰の施用量を増やす。
苦土石灰、サンライム、マリンカル等
消石灰は避ける
留意点
施肥の直前・直後は避ける
-1-
施肥する所は、多く施用する
施用する際には、重さが重要(容量ではない)
③
微量要素の補給
通常は、あまり気にしなくて良い
苦土欠
多くは、着果過多。
対策
摘果
水マグ
40kg / 10a 又は硫マグ
50kg / 10a を樹冠下に散布する。
水マグ:宇部マグ、マグゴールド
硫マグ:硫酸マグネシウム
亜鉛欠
0.3 %硫酸亜鉛液にクレフノンを200倍液となるように加用する(薬害防
止)。
この液を、2~3リットル/樹土壌潅注する。葉面散布しても良いが、
その場合は、発芽期を避けて6月以降に散布する。
ホウ素欠
ほうしゃ
40g/樹
銅欠
市販のボルドー液(ICボルドー、コサイドボルドー等)の葉面散布と土壌潅
注(2~3リットル/樹)。毎年ボルドー液で防除していればほとんど発生し
ない。
◎
中耕・深耕
(2)除草
雑草の害
:
樹との養分競合
、農作業の邪魔
根本が雑草に覆われていると、ゴマダラカミキリ(天牛)に加害
されやすい。
雑草のメリット
:
土作り(有機物の補給、柔らかな土)、天敵の巣
→イタリアンやナギナタガヤの草生栽培
各種除草剤の特徴
〇ラウンドアップ
柑橘への害が少ない、土壌中で微生物の働きで無害化され
る、ほとんどの雑草が根まで枯れる(土手が崩れる)、茎
葉からしか吸収しない(発芽前の草には効果なし)、遅効
性、スギナ・ツユクサに効かない、人間への害も少ない
〇バスター
柑橘への害が少ない、土壌中で微生物の働きで無害化され
る、茎葉からしか吸収しない(発芽前の草には効果なし)、
スギナ・ツユクサにも効果あり、比較的速効的、しっかり
かける
〇プリグロックス
土壌にふれると不活性化、非選択的に殺草(霧状で散布す
ると薬害)、速効的、しっかりかける、人間に害
(3)湿害対策
-2-
排水溝の整備
→
溝の途中が埋まっているとダムになる
暗渠排水
水田転換園では、盤の破壊
地下水位が高い場合は、盛り土して植え付け
(4)かん水・干ばつ対策
乾燥の害
:
樹勢低下、落葉、枝の枯込み、果実肥大の低下(小玉化)、酸
の上昇
乾燥のメリット
:糖度の上昇
幼木時の干ばつは一生影響
→
(温州ミカンでは、意識的に乾燥させる)
用心しすぎるぐらい用心
敷草・敷わらで乾燥防止。乾燥時にはかん水
成木
:
7~ 10 日晴天が続きと要注意
1樹当り2~3カ所穴を軽く掘って、そこに集中的にかん水
全根量の 10 %が適湿状態なら、水分不足にならない
(5)敷わら・敷草
メリット
:
有機物の補給、乾燥防止、夏季の地温低下(35 ℃以上では
高温障害)、雑草の発芽抑制(遮光の効果)
(6)施肥
〇
中晩柑・香酸柑橘は、常に窒素が効いている状態が良い
→
樹勢が良く、大玉
温州ミカンは、夏季~ 10 月下旬の間は窒素不足気味の方が果実品質が良い
〇
中晩柑・香酸柑橘は、年4~5回の施肥
温州ミカンは、年2~3回の施肥
◎
留意点
〇地温が 12 ℃以上でないと根は休眠状態
→
肥料を吸収しない
12 ~2月の間は養分吸収しない
春早くやりすぎてもダメ
12 月以降もダメ
〇温度が高いほど養分吸収が盛ん
→
〇土壌中に水分がないと吸収できない
〇石灰との同時施用はダメ
(7)緩効性肥料による年1回施肥
有機入り LP 複合 N600
(16:10:10)
甘夏・ハッサク
175kg/10a
伊予柑
160kg/10a
ユズ
145kg/10a
-3-
肥料の利用効率は夏季が最高、次が秋
時期
3月
6月
9月
11月
10a当りの施肥基準(kg)
夏みかん
はっさく
ネーブル
N成分量 有機配合 N成分量 有機配合 N成分量 有機配合
9.6
120
9.6
120
9.0
113
6.4
80
8
100
6.0
75
6.4
80
8
100
9.0
113
9.6
120
6.4
80
6.0
75
時期
3月
4月下旬
6月
9月
11月
伊予柑
ユズ
ポンカン
N成分量 有機配合 N成分量 有機配合 N成分量 有機配合
9.0
113
4.8
60
6.0
75
4.0
19
9.0
113
7.2
90
6.4
80
6.0
75
7.2
90
6.4
80
6.0
75
4.8
60
6.4
80
注1)4月下旬の伊予柑は硫安
注2)有機配合は、窒素成分が8%として算出
(8)各種堆肥の施用法
県内堆肥の成分量と肥効率
水分
pH
窒素
燐酸
加里
石灰
苦土
珪酸
(%)
(1:10)
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
牛糞堆肥
58.4
7.1
0.7
0.8
1.0
0.6
0.3
4.2
豚糞堆肥
55.2
6.8
0.9
1.8
1.2
2.2
0.6
1.6
鶏糞堆肥
26.6
8.6
1.9
4.9
2.8
14.9
1.1
2.5
(山口農試調査)
肥効率(%)
鶏糞の全窒素含有率
窒素
鶏糞の肥効率
現物当たり (乾物当た
り)
窒
素
65
0~1.6% (0~2%)
20
100
65
1.6~3.2% (2~4%)
60
100
65
3.2%以上 (4%以上)
40
100
65
リン酸
加里
40
100
30
60
豚ぷん堆
肥
30
バーク堆肥
20
非連用
連用
稲ワラ堆肥
20
牛ふん堆
肥
リン
酸
加
里
石
灰
80
90
90
50
80
90
90
60
80
90
90
加里が、1.5%以下なら 肥効率は、50%
※
肥効率:化成肥料に換算するときの割合
※
鶏糞窒素は、窒素含量が高いほど肥効率が高い。
一般に、鶏糞窒素の肥効率は、窒素含量× 10 %といわれている。
-4-
図11 有機物からの窒素
の放出
-5-
平成14年度の調査結果
%
100
80
溶 60
出
率 40
LP 100
ロング100
鶏糞
20
0
4/4
5/24
7/13
9/1
10/21
各種肥料の溶出率の推移
※
鶏糞は、施用して2ヶ月以降は、ほとんど分解しない。
ほとんどが、1ヶ月以内に分解している。
-6-
→
速効性
12/10
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