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介護施設のポータルサイトで 地域活性化をめざす
B.新たな市場の開拓 業 種 介護事業コンサルティング TEL 0952-62-5369 FAX 0952-62-5369 E-mail [email protected] http://www.uk2-silver.info URL 創業年 平成15年9月 法人化年 平成15年9月 従業員数 2人 資本金 300万円(平成16年度) 年 商 ― 佐賀県 有限会社UK2(ユーケイツー) 〒840-0201 佐賀県佐賀市大和町大字尼寺844-3-503 第2古賀ビル 介護施設のポータルサイトで 地域活性化をめざす ●お客様の「ありがとう」が創業のきっかけ ●施設選びをお手伝い ●地域性がビジネスチャンス ●各店舗・施設を取材して本当の情報を伝える ●商工会を通じて、ビジネスチャンス拡大 ●人とのつながりを大切に 代表者 右近 享 氏 1.お客様の「ありがとう」が創業のきっ かけ 平成15年9月に創業した有限会社UK2は、介護 福岡 福岡県 佐賀県 佐賀市 施設の立ち上げ支援、設計・運営のサポートについ てのコンサルティングを中心に事業展開していた 大分県 大分 が、新規事業として介護事業のスタッフ不足や介護 施設への入居サポートを強化するために、地域支援 ポータルサイト「さがんよかとこ」を立ち上げた。 長崎県 熊本 長崎 熊本県 経営者である右近氏は、平成13年に佐賀市内の介 護施設運営・サポート、医療系システム開発等の大 30 手企業L社に就職した。L社は全ての社員に現場を りがとう」と言われることに喜びを感じ、やりがい 体験させることをモットーとしていたため、ヘルパ を持って働いていた。しかし、L社の会社規模が大 ー2級の資格を取得後、自社運営する介護施設等で きくなるとともに事業の方向性が変わってきたた 介護を経験しながら、システム事業部、会社の事業 め、もっときめ細かい、小回りのきくサービスを提 全般に携わる事業推進部の管理職として働いてい 供したいとの想いから、在職中の平成15年に有限会 た。ヘルパーとして介護の現場でお客様に直接「あ 社UK2を設立、平成16年8月にL社を退職した。退 職後も在職中と類似業種だったが、特にトラブルは のは、高齢者自身ではなく息子や娘の場合がほとん なく、L社がターゲットとしていない小規模の事業 どであるため、インターネット利用に問題は少ない。 所をターゲットに事業を展開している。 また、介護施設の質として施設も大切だが、介護 <有限会社UK2の経営理念> するスタッフの質が重要である。チラシや情報誌で 社会的に必然性の高いビジネスにおいて は配布地域が決まっており、広範囲にスタッフを募 社会にとって有用な価値を追求・創造し続けるこ 集するにはコストがかかる。しかし、インターネッ とにより、社会貢献を行います。 トでは、地域を越えてスタッフを募集することも可 能であるため、優秀な人材を全国から募集すること 2. 「安心して過ごせる・任せられる」施 設選びをお手伝い 介護施設ではオーナーが介護の現場を良く知らな も可能である。そこで「安心して過ごせる・任せら れる」介護施設で過ごすことをサポートするための ポータルサイト事業の実施を検討することにした。 い場合があり、現場を知るスタッフとのギャップを を開業しようとしている人を対象にコンサルティン 3.新しいものを受け入れない地域性がビ ジネスチャンス グを実施する中で入居者確保とスタッフに問題があ 新事業(地域支援ポータルサイト)について事業 る事業所が多かったため、これらを解消する方法が 計画書を作成することはコンサルティング事業をコ ないかと考えていた。更に当社のコンサルティング アとする当社にとって大きな問題はなかったが、イ はアドバイスだけではなく、介護施設で現場の介護 ンターネット広告で収入を得ることについてはノウ を行うことも多く、高齢者と接する際に介護施設と ハウが足りなかった。そこで、広告代理店の知人な 高齢者ニーズにミスマッチを感じることもあった。 どに相談したところ、佐賀の地域性としてある「新 既に大手企業では有料で入居者を斡旋するビジネス しいものを受け入れない人が多いこと」「わかりに モデルがあったが、希望する高齢者にとってよい介 くいものに対して費用をかけないこと」が問題とな 護施設を斡旋するのではなく、収益のあがる施設を った。特にターゲット顧客となる介護施設のオーナ 紹介してしまう場合がある。介護施設の入居案内は ーにはインターネットを活用している人は少なく、 埋めるニーズを感じていた。介護事業者や介護事業 ほとんどがチラシや地域情報誌に よるものであり、これらは配布時 期のタイミングによって情報を必 要とする人に届かない場合があ る。インターネットでは、サイト 訪問者がホームページをみつける ことができれば、いつでも必要な 情報を入手することができる。こ のインターネットの特徴を利用し て介護施設の情報を発信し、各施 設の特徴を伝えることで、高齢者 が安心して快適に過ごすことがで きる施設を選ぶことができるので はないかと考えた。地域の高齢者 のインターネット利用率は低い が、幸いなことに介護施設を探す ヘルパーの資格をもったスタッフ 31 知らない人や知らないことにお金 をださないことがわかった。この ことは当社の営業活動を困難なも のとしたが、右近氏は「他の人が 参入しにくいなら、当社が実施す ることはチャンスかもしれない」 と考え、段階的に介護施設のポー タルサイトを構築することにし た。平成17年10月に地域支援ポー タルサイト「さがんよかとこ」 (http://www.saganyoka.com)を 公開し、第一段階として女性をタ ーゲットとした飲食店の紹介をは じめた。地道な営業活動と知人の 紹介などによって、41店舗の飲食 店に登録してもらうことができ た。情報登録スペースの広さによ って無料登録と有料登録があり、 現在登録している店舗のうち、5 店舗が有料登録である。介護施設 情報はコンサルティングを行って いる2社を掲載している。 4.各店舗・施設を取材し て本当の情報を伝える 店舗情報などを自店が登録する ことができるサイトは、サイト運 営者にとって手間が省けて、多く の情報が集まる可能性がある。し かし、当社では実際に取材するこ とで感じた印象をサイトに掲載 し、サイト閲覧者になるべく正し い印象を伝えようとしている。 新事業のポータルサイト アクセス数は1日あたり平均80 32 名/日、平成18年1月現在では4ヶ月で10万円の売 ホームページのアクセスログ分析等の管理は外部 上で、将来的なサイトによる目標年間売上高は500 に委託しており、1日ごとの新規訪問者数、再訪問 万円である。ポータルサイトの営業を行うことで、 者数、曜日・時間帯別アクセス数、リンク元、検索 顧客の幅が広がり、ホームページ作成やメール配信、 キーワードデータを分析することができる。分析結 バナー広告等の売上が期待できる。この分野におい 果より地域情報誌などにサイトが紹介されたときに ては他県への進出も視野にいれている。 はアクセス数が伸びることから、当事業に関心を持 つ人は少なくないことがわかった。アクセス数を伸 く、株式上場するような大きな会社になるよりも経 ばすためにホームページを毎日更新することは理想 営理念に基づいて、お客様に対して細かいサービス だが、右近氏を含めて3名でコンサルティング事業 を行い、社会貢献できる会社になりたいと考えてい と並行して店舗取材を行い、コンテンツを増やすこ る。 とには限度があるためにブログ(インターネット上 創業時、第二創業時ともに顧客は知人からの紹介 の日記)を利用している。ブログでは毎日起こる些 が多く、顧客とのトラブル時にも当社を信用してく 細なことを読みやすく書いている。その他にも取材 れる人がいたことは、当社にとって大きな経営資源 した店舗からの食事券のプレゼントなどを行いホー だと実感している。仕事上の人のつながりだけでは ムページのアクセス数を増やす努力をしている。 なく、プライベートでのつきあいからも多くのネッ トワークが生まれている。これらのネットワークは 5.商工会を通じて、ビジネスチャンス拡大 お金で買うことはできず、信用はすぐに得られるわ 運転資金確保のため、地元の大和町商工会の斡旋 けでもない。また、ネットワークがすぐにビジネス を受け、県信用保証協会の制度融資を活用するとと に結びつくわけではないが、今までのネットワーク もに、新事業の立ち上げにあたっても、その進行手 を大切にするとともに今後も人とのつながりを大切 順・方法、顧客先の選定方法等に関するアドバイス にして経営していきたいと思っている。 を受けるなど、商工会を積極的に活用することによ り、事業の安定的な発展を図っている。 閉鎖的な地域性を新規事業のチャンスと捉え、目 標を段階的に達成していく計画性を持ち「仕事がき また最近では、経営指導員の仲介により、地元大 ついのもおもしろい」と語る右近氏、前向きかつ堅 手建設会社の高齢者住環境開発担当者の紹介を受け 実な事業展開と人を大切にしようと思う誠実さがあ ており、さらなるビジネスチャンス拡大を目指し、 る。 今後も商工会の支援を活かしていく考えだ。 この右近氏と社員が介護の現場を知り、それぞれ の個性と人とのつながりを大切にすることで、規模 6.人とのつながりを大切に は小さいが暖かく、高齢者や介護事業者、そのスタ 「将来は自分の介護施設を持ちたい」と語る右近 ッフにも信用してもらえる企業へと成長してきたの 氏だが、佐賀ではコンサルティング先である介護事 だと思われる。今後は地域におけるインターネット 業者との競合となるため実現は困難であり、生まれ 利用が広がるとともに、地域支援ポータルサイト事 育った佐賀から離れるつもりもない。順調に売上を 業の有効性が認知され、掲載希望店舗や施設の増加 伸ばしているが、有限会社を組織変更する予定はな が期待できる。 33