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Cプログラム 『片岡優子の作り方』 片岡優子 ビデオ/10分 『訪問者』加藤

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Cプログラム 『片岡優子の作り方』 片岡優子 ビデオ/10分 『訪問者』加藤
Cプログラム
『片岡優子の作り方』
片岡優子 ビデオ/10分
『訪問者』加藤正顕
ビデオ/15分
『NERVE』大野喜子
『地形譜』中尾峰
ビデオ/45分
酒呑童子ならぬ酒呑優子の酔中日記とでもいおうか。少女時代にシャ
ボン玉の液を呑んで意識不明になった記憶と、それが今ではお酒に変
わって意識不明を継続し、ときには自分が自分を殺すというドッペル
ゲンガーを体験する。そんな酒と悪夢の日々をという設定…。この作
者でなければできないアプローチという点では方向性は正しい。けれ
ど、酔っぱらって自宅へ帰った主人公(作者)を室内にセットされた
カメラが待ち受けているという「演出」はいかがなものか?ここは主
観で、床に放りだしたカメラが主人公を捉えるべき。再編集して、現
実と幻想をないまぜにした構成の強度を確乎としましょう。
思いっきり白くすっ飛ばした画面。手前から人影が白光の中に溶解する。
と今度は思いっきり暗い画面に転換…。冒頭から囁き声のナレーション
が流れるが、何を話しているのか聴き取りづらい。全編を通じて明確に
見えるのは壁や、電球や、なぜかもぞもぞ動いているベッドや、皿の上
で苦悶するネズミといったイメージ。これが狙いなのだろうが「ワタシ
ノヘヤ…」「ダレカ、ダレカキテイル…」といった断片的なナレーショ
ンからはなにが起きているのか判然としない。自家現像のフィルムによ
る映像は、それなりの質感を伝えてくれるものの、作者が何を伝えよう
としているのかぼくには掴めなかった。
力作である。ひとつひとつのシーンの演出はきわだっているし、海や室
内の描写もなかなかもって贅沢なのだが、いったいどういう物語りなの
か判然としない。解説によると(これも意味不明なのだが)二人の姉妹
とひとりの男が、美しく冷たい季節を精神的に漂うということらしい。
タイトルの意味「神経繊維」からすると、風景もまた主人公の内面の投
影なのだろう。冒頭から男とも女とも判然としない登場人物が、波が逆
巻く海を背景に叫び声をあげて、やがて死んでしまう(と見えた)シー
ンが、お屋敷のセットでは何事もなかったかのように再登場するあたり
の混乱を、是非とも整理して欲しい…。
ビデオ/3分
山脈の航空写真のような画面に、アニメーションで等高線状のグリッ
トが描かれる。作者は、音をパソコンのデータとして見たときに、普
段は見ることの出来ないものが地形の断面のように明確に見えたとこ
ろからこの作品を発想したという。いわば音声の視覚化というところ
なのだが、作者はそのことを発見した時点ですぐに作品に結びつけて
しまったようだ。素直なのだろう。音の視覚化というテーマを発想し
たらそれを熟成して欲しかった。テーマをめぐってさまざまな方法と
可能性をアタマの中でころがして、作品としてのふくらみを画策して
欲しかった。興味あるコンセプトの骨子だけなのが残念。
『サーカスのつなわたり』
古川実来 ビデオ/15分
テーブルの上に白い紙でつくった無数の人型。女性の手が伸びて、ど
れにしようか躊躇する様子。幕が一転すると、森の中の動物たちがシ
ルエットで登場するアニメーション。「淋しいとき人形劇を見に行く
…」散文的なナレーションが加わり、森の中が色彩と光に彩られる。
ふたたび一転すると、いっぱいいっぱいに洗剤をつけた泡だらけの皿
をスポンジで丁寧にこする。この過剰さはいったいなんの比喩なのだ
ろうか。ひとつひとつのシーンはとても丁寧に手がけられ、森のアニ
メーションだけでも魅力的なのだが、トータルなイメージへ結ばれて
いかないところがいささか残念。俳優の牛水里美いいですね。
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