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極めて稀な 景気・市場サイクル

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極めて稀な 景気・市場サイクル
フィデリティ・インターナショナルが考える
■
21 世紀の投資テーマ
お客さま用資料
PERSPECTIVES
2015 年
12 月
2016 年の見通し
極めて稀な
景気・市場サイクル
2016 年を迎えるにあたり、グローバル債券には当面 3 つの
投資テーマがあると考えています。まず、市場は米国の利
上げを受け、金融政策の乖離の影響が試されるでしょう。
第 2 に、クレジット資産とキャリー(利回り)に再び脚光が
当たると思われます。特にクレジット資産は投資対象とし
てもはや見逃すことができない水準まで割安となっていま
す。第 3 に、ボラティリティが高く、流動性の低い時には、
フィデリティ・インターナショナル
グローバル債券最高投資責任者
アンドリュー・ウエルズ
分散投資が唯一の防衛策になるはずです。
2015 年:安堵感
2015 年が終わりに近づくにあたり、債券投資家はある程度の
安堵感を持ってこの 1 年を振り返ることができるでしょう。
確実な兆候が見られると未だに慎重過ぎるぐらい慎重になり
ドイツ国債の急落、中国の景気減速懸念、人民元の唐突な切
2015 年はまた、景気サイクルの成熟段階の典型的な特徴が現
り下げ、コモディティ価格の更なる下落、相次ぐ企業の悪材
れた年でもありました。負債比率とアニマル・スピリットが
料など、今年はリターンを阻害しかねないさまざまなイベン
高まり、雇用者数が伸び続けて賃金もじわじわと上がりまし
トが目白押しでした。それにもかかわらず、年末を迎えてみ
た。それでも金利上昇サイクルはまだ始まらなかったので
れば、大半の債券は前年比で横ばいからプラス 1 桁のリター
す。2015 年はより高い利回り資産が幅広く物色される年で
ンと、思ったほど悪い年ではありませんでした。とは言うも
もありませんでしたが、かといって長いデュレーションを求
のの、今年は米連邦準備制度理事会( FRB)が動かず、世界中
める年でもありませんでした。投資家はさまざまなデュレー
の国債利回りを低水準に抑え続けた 1 年として記憶されるで
ションとクレジットに十分な分散を行い、国債利回りとスプ
しょう。中央銀行は、市場または経済の行く末に少しでも不
レッドの変化に見られる負の相関から利益を得たのです。
ます。そのことを債券投資家は改めて思い知らされました。
利上げをものともせずに前進:金融政策の乖離の影響が試される
2016 年の国債市場がどうなるかは、FRB のみならず他の中
ンフレーションとも闘わなければなりません。したがって慎
央銀行各行の行動にもかかっています。ゆっくりと着実なス
重に利上げを進めるというアプローチが妥当であることは
ピードで「正常化」に向かって行くことが予想されます。市
間違いないのですが、しかしその一方で、FRB には将来景気
場が正しければ、インフレ目標時代において、今回はこれま
後退に陥らないための十分な準備ができていないまま現状
でで最も緩やかな引き締めサイクルになるでしょう。FRB は
を迎えているのかもしれないのです。
成長トレンドから逸脱させたくないと考えており、ディスイ
※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。
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PERSPECTIVES
フィデリティ・インターナショナルが考える
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21 世紀の投資テーマ
2015 年 12 月 お客さま用資料
世界中の中央銀行にとっての課題は、経済成長を促しなが
がってはいないようですが、ユーロ圏の抱える人口動態上の
ら、同時にこれまでの景気循環で慣れてきた水準をはるかに
問題と構造改革問題は日本と同様、相当に重くのしかかって
下回るインフレ率に対処しなければならない、ということで
います。この長期的な逆風と低インフレにより、欧州中央銀
す。実際のところ、これまでに十分機能してきた経済モデル
行( ECB)には講じることのできる策がほとんど残されてお
の多くが今やあまり役に立たなくなりました。低インフレ率
りません。ただし来年については、中銀預金金利のさらなる
と潜在成長率の鈍化は、中央銀行にとってアキレス腱です。
引き下げと 2016 年 9 月までとされている量的緩和策の延長
しかも各国は莫大な債務を抱え、人口動態は変化し、生産性
など、金融緩和の余地はまだあります。これは、北欧諸国を
の向上が望めなくなるなど状況は複雑化しています。
含む、欧州全域の他国の中央銀行にも波及的影響を及ぼすで
しょう。一方日本では、マクロ経済が引き続き弱く、政府が
一方 FRB にとっての主な課題は、経済環境がある程度良好と
企業に設備投資を促すような状況の中で、低インフレ率が一
はいえ、外部要因の影響を無視できないため、利上げを軌道
向に上がる気配を見せないため、さらなる景気刺激策が講じ
に乗せるにはかなり苦労するかもしれないということです。
られると思われます。
低成長とディスインフレ圧力を受けて、日本とユーロ圏は
2016 年には追加緩和策に乗り出すでしょう。その結果、米
概して言えば、2016 年も金融緩和の 1 年となり、世界中の中
ドルと米国の金融環境には新たな上昇圧力がかかり、米国の
央銀行のバランスシートは拡大するでしょう。これは債券市
引き締めサイクルが予定通りに進まないかもしれません。最
場にとっては強力な追い風です。量的緩和が巻き戻される可
終的には、各国間の金融政策がどの程度乖離できるのかには
能性は低く、各国の中央銀行が保有する債券を売却すること
一定の限界があるため、米国が正常な金利環境に向けて他国
は全く考えられません。FRB が金利を正常化したいという強
とは方向の違う政策を進めようとすれば、世界中の中央銀行
い熱意を持っていることは事実ですが、他国の状況を無視し
との調整が必要になるかもしれないからです。
て単独で利上げをし続けるわけにはいかないのです。金利上
昇リスクや、あるいは債券市場からの資金逃避を懸念してい
ユーロ圏経済には「日本化」の様相が見え始めています。
る投資家にとっては、この点は安心材料となるでしょう。
1990 年代の日本のように企業の債務と投資が過剰に膨れ上
クレジット資産とキャリー(利回り)に再び脚光:バリュエーションがもはや見逃すことが
出来ない水準まで割安に
2016 年にはクレジット市場は堅調に推移すると予想してお
クレジット資産の中では、我々は絶対リターンベースでは、
り、世界経済が景気サイクルの成熟期に向かう中で、スプ
ハイイールド債を投資適格債よりも選好しており、新興国債
レッドは縮小に向かうでしょう。企業の信用力を取り巻く
券では、現地通貨建て債券に回復余地があると見ています。
ファンダメンタルズは(特に米国で)再びやや弱含んだもの
新興国通貨のボラティリティは高止まりする可能性が高い
の、スプレッドの拡大によるバリュエーション面からの投資
ものの、2016 年の後半は新興国通貨の回復が主要テーマに
機会が生まれました。実際、幅広い資産クラスにおけるスプ
なるかもしれません。新興国経済の成長安定化や不均衡是正
レッドはほぼ 3 年ぶりの高水準まで拡大しました。この動き
の兆候が見られれば、投資家は再びその魅力的な利回りに着
は投資適格債、ハイイールド債、新興国債券などクレジット
目し始めるものと思われます。やや仕組みの難解な資産クラ
の領域全体に広がるもので、バリュエーションが反発する時
スも好調に推移するでしょう。ハイブリッド証券(株式のよ
機がまさに熟したと言えるでしょう。
うな特徴を持つ債券)は、2016 年に向けて注目すべき資産ク
ラスの一つです。相対的に高い利回りが期待できるだけでな
この見方を支えているのは、発行体企業にとって有利な金利
く、新たな投資家が成長を続ける新しい資産クラスに参入す
環境であり、さらには ECB と日銀をはじめとする、金融緩和
ることによる潜在的なスプレッドの縮小も期待できるから
策スタンスを維持している中央銀行です。これらにより、良
です。
好な資金再調達環境が継続され、インタレスト・カバレッ
ジ・レシオが上昇し、債務不履行(デフォルト)率は低水準に
地域ごとの状況を見比べると、2015 年には米国クレジット
留められるものと予想されます。米国の利上げ懸念が再び一
のファンダメンタルズが最も弱含みましたが、その主な背景
部の投資家を神経質にさせるかもしれませんが、現在のスプ
となったのは、エネルギー関連の発行体への懸念と市場全体
レッドは過去の利上げサイクルの開始時よりもはるかに大
の需給等のテクニカル要因でした。足元で米国の景気循環は
きく、クレジット市場には米国の緩やかな利上げを吸収する
回復期から成熟期に突入しつつあり、今後、起債は和らぎ、企
だけの相当の余地があると見ています。
業の負債の再拡大はより緩やかなものになるでしょう。実
際、2015 年の米国株式市場は大きく変動しましたし、企業の
※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
また予告なく変更されることがあります。最終ページを必ずお読みください。
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21 世紀の投資テーマ
合併および買収( M&A )と自社株買いの増加が債券市場に
2015 年 12 月 お客さま用資料
は 2016 年も変わらないと思われます。
とってのリスクとなった一方で、市場のセンチメントの悪化
が 2015 年に最高潮に達していたアニマル・スピリットを落
しかし、おそらく 2016 年のクレジット資産における最大の
ち着かせたという側面もありました。それどころか、2015
魅力は、株式など他のリスク資産とは異なるリスク・リター
年におけるクレジット市場の軟調さはこのサイクルの引き
ン特性を持つことであると考えます。ハイイールド債のよう
延ばしに一役買ったのです。
な資産クラスは、成長重視のポートフォリオではリスクを減
らす要素として役立つことが過去の推移から分かっており、
バリュエーションがその魅力の中心と思われる米国クレ
ハイイールド債を通じて投資家は、景気サイクルの後期とい
ジットの見通しとは異なり、欧州のクレジット市場は、ハイ
うタイミングをうまく利用することで、下落リスクからポー
イールド債を中心に価格押し上げ要因のバランスが良く取
トフォリオを守りながら魅力的な利回りを享受することが
れていて、より有利な位置づけにあります。ECB によるさら
できます。今回の景気循環もこれまでと変わらないと思われ
なる金融緩和に、発行体企業のファンダメンタルズの改善が
ます。景気サイクルのタイミングを計ることは難しいのです
重なれば、投資家はこの資産クラスに強い関心を持つでしょ
が、2015 年を通じてクレジット市場が低調であったことか
う。何と言っても、欧州のクレジット市場は、これまでも、そ
ら、景気サイクルの成熟期入りで慎重になっていたマルチア
してこれからも、米国のクレジット・サイクルに遅行するこ
セットの投資家へ絶妙な投資タイミングを提供しました。
とから、投資家の資金が向かう先となるでしょう。この関係
分散投資 − ボラティリティが高く、流動性の低い時期には極めて重要
2016 年はクレジット市場は良好な 1 年になりそうですが、
思われます。特に量的緩和策の影響で自国市場の利回りが下
投資家はどのような短期的な投資行動をとるにせよ、分散投
がり、より高い利回りを求めている投資家にとっては、通貨
資を基本とすることが重要です。クレジットのバリュエー
はもう一つの有益な分散投資先となるでしょう。米ドルは、
ションを考えるとアロケーションを高めておくことは理に
(円やユーロ、その他欧州通貨等金融緩和を続ける地域の通
適っていますが、さまざまな資産への分散投資が重要となり
貨に比べ、利回りが高いことから生じる)キャリー収入とい
ます。ハイイールド債、新興国債券、ハイブリッド証券はす
う利点に加え、極端な状況に見舞われたときのクレジット・
べて有望な投資対象となるでしょう。新興国債券の中では、
リスクに対する有益なヘッジ手段になり得ます。
現地通貨建て債券も含めて組み合わせることで、分散効果を
十分に得ることが出来ると見ています。
そして最後に、流動性は課題ではありますが、このリスクを
回避するのは難しいと思います。したがって、投資家は自分
低金利環境下でリターンを得るために、投資家が一段のリス
の期待値がどこにあるのか、もう一度考え、資産ごとの流動
クを取るという傾向は引き続き継続するものと予想されま
性の特徴と自らの資金流出入の必要性を踏まえて幅広い資
す。このニーズはクレジット資産クラスだけでなく、デュ
産に分散投資しなければなりません。魅力的な資産クラスほ
レーションや通貨、アクティブ運用の使用などにも広がるで
ど、多くの場合流動性が低いという点が難しいところです。
しょう。具体的には、信用力に影響を及ぼすような稀な状況
この点から、ハイイールド債や新興国債券はそもそも短期売
から資産を守るためには、アクティブ運用により様々な個別
買に向かないため、短期的に市場の値動きからリターンを得
銘柄に分散投資することでリスク分散効果が期待されます
たい場合には、流動性の高い資産を通じて行うことが賢明で
し、金利デュレーションや米ドルに対するエクスポージャー
しょう。
を持つことでリスク分散を図ることも可能でしょう。
総括すると、現在は、景気が回復し、リスク資産が上昇してい
2015 年は、ポートフォリオの中でデュレーションを中程度
に保つことの重要性が改めて注目されました。2016 年には
るにもかかわらず、次の金利サイクルはまだ始まっていない
米国債利回りがある程度上昇するかもしれませんが、投資家
いうことです。そして、景気サイクルが成熟期に入ろうとす
はクレジット・エクスポージャーを中程度のデュレーション
る今、2016 年にはクレジット資産全般において堅調なリ
でバランスを維持し続けるべきでしょう。インデックスの構
ターンが期待できると考えています。中央銀行による下支え
成銘柄に左右されることを避け、景気サイクルの微妙な変化
も依然続いており、これだけ割安なバリュエーションを見逃
を利用すべく金利リスクの源泉を組み合わせるのが得策と
す手はないと思います。
という、極めてユニークな景気と市場のサイクルにある、と
※記載は当レポート作成月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
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21 世紀の投資テーマ
2015 年 12 月 お客さま用資料
フィデリティ・インターナショナルは、アジア太平洋、欧州、ラテンアメリカの 24 か国において投資家向けに資産運用サービスを展開
しています。運用資産 31 兆円※、従業員数約 7,000 名を有し、世界有数の資産運用会社としてさまざまなアセットクラスを網羅する投
資商品や、リタイアメント・ソリューションを提供しています。資産運用に特化し、優れた運用ソリューションとサービスによって、お
客様の求める資産形成を実現することを使命としています。フィデリティ・インターナショナルは 1946 年米国ボストンで創業された
「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として 1969 年に設立されました。1980 年に米国の組織から独立し、現在は経営陣
と創業家が主要株主となっています。
(※ 1 ドル= 119.765 円で計算、データは 2015 年 9 月 30 日現在)
• 当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではあ
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※当該手数料・費用等の上限額および合計額については、お申込み金額や保有期間等に応じて異なりますので、表示することができ
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ご注意)上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。
費用の料率につきましては、フィデリティ投信が運用するすべての公募投資信託のうち、徴収する夫々の費用における最高の料率を記
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加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
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