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品格ある医療職を目指そう
品格ある医療職を目指そう 品格ある看護師を目指そう 東部地域病院 - 55 - - 56 - 東部地域病院 品格ある医療職を目指そう 身だしなみそろえ隊 ◎石川 晴美 ○佐藤 純 上杉 有希 堀越 美栄子 渡辺 由美子 1 テーマ選定理由 私たち医療職の身だしなみは、個々の仕事に対する責任と誇りを表すものであり、接する 患者に不快感を与えないような容姿・服装などを整える必要がある。温かい笑顔や態度、整 えられた身だしなみは、患者や家族に安心感を与え、医療専門職としての信頼感が増し、病 院のイメージやサービスに対する心構えを表すことに繋がる。 私たち医療者は、患者から評価されていることを認識する必要がある。また、身だしなみ は、感染やリスクの観点からも、問題がないか検討する必要がある。そのためにもチェック リストは重要であり、その浸透の急務が必要である。 2 現状と問題 現在、当院には身だしなみに関する明確な規定がないため、統一のユニフォーム以外は、 個人の好みによる髪の色、化粧、アクセサリーなど、さまざまなスタイルで業務に従事して いる。その中には、仕事をするには不釣り合いな身だしなみの職員もいる。また、感染・リ スク面への配慮が不足している身だしなみの医療従事者もいる。 信頼を低下させないよう全職員が身だしなみを意識する必要がある。 3 改善策 (1)社会人として、病院職員として、ふさわしい身だしなみで業務にあたるための身だし なみの基準・チェックリストの作成と身だしなみ活動の周知 (2)チェックリストに基づく自己チェックの実施 (3)チェック結果 どの職種も、1回目の自己チェックより2回目のチェックのほうが「×」が減少したが、 職種によっては、腕時計や、髪の毛のまとめ方、名札の位置など、現在のチェック項目 では適していない職種があり更にチェック項目の検討事項も見えた。 4 今後の取り組み 身だしなみチェックを実施した結果、各自、病院職員が身だしなみを振りかえるきっかけ となり、できていなかった項目を理解し改善に取り組む職員がふえた。 病院に一歩踏み入れた時の印象が患者の良き印象として残るように、身だしなみに関する 取り組みが必要である。各職種に合わせた身だしなみチェック基準を作成し、チェック機能 を継続すること、病院全職員での取り組みを定着させていきたい。 - 57 - 東部地域病院 品格ある医療職を目指そう 身だしなみそろえ隊 ◎石川 晴美 ○佐藤 純 上杉 有希 堀越 美栄子 渡辺 由美子 1 テーマ選定理由 病院において「患者サービス」は重要である。来院した人が「この病院に来て良かった」 「次 もこの病院にしよう」と思ってもらえるようなサービスを提供できることが大切である。私 たちは、病気や怪我で疼痛や不安を抱えて来院する患者や家族に少しでも安心を感じてもら いたいと考えて業務にあたっている。人の印象は、視覚的要素が 55%、聴覚的な要素が 38%、 その他、話そのものの内容が 7%だと言われているように、第一印象は、まず外見が大事で あり、特に病院職員は、身だしなみを整えることが重要である。 身だしなみとは、他者に不快感を与えない容姿・服装・言葉遣い等を整えることをいう。 一方、おしゃれは、自分が満足するように装うことである。おしゃれは同じ好みの人には受 け入れられるが、周囲の人たち全員が好ましいと感じるとは限らない。 私たち医療職は、もちろん「おしゃれ」ではなく、個々の仕事に対する責任と誇りを表す 「身だしなみ」として容姿・服装を整える必要がある。だらしない身だしなみは、人格を疑 わせ、さらには、東部地域病院の信頼をも失わせることにもなりかねない。温かい笑顔や態 度、整えられた身だしなみは、社会人、医療専門職としての信頼感が増し、病院のイメージ 向上や、サービスに対する心構えを表すことに繋がる。 病院内には多種多様な職種があり、様々な年代の人が働いている。お互いに「人を尊重し、 親切にする」態度・行動は、 「相手に快い感じを持たせ、相手への思いやりを正しくあらわす」 ことになる。身だしなみを整え、相手に不快な思いをさせない努力は、共に働く仲間として の心配りでもある。 当院には 20 代から 60 代と様々な年齢層の職員がおり、各年代においてジェネレーションギ ャップや価値観の違いも見られる。まとまっていない髪型、明るすぎる髪の色、派手なアク セサリー等、自分は良いと感じても、周囲はどう感じるのか、患者にどう映るのか、一人ひ とりが自覚する必要がある。医療従事者は「人」と関わる仕事である。その業務の多くを患 者という「人」と接する。 「人」と関わる機会が多ければ、多いほど、身だしなみは重要であ る。 また、 「身だしなみ」は、感染対策や医療事故リスクの観点からも、検討の必要がある。 以上の理由から東部地域病院の職員が、品格ある身だしなみになるためにこのテーマに取 り組んだ。 2 現状と問題 現在、当院には活用できる身だしなみに関する明確な規定やチェックリストはない。 看護師のユニフォームは、昨年度サーモンピンクの V ネック型のユニフォームに統一した。 - 58 - ユニフォームの変更後、ネックレスなどアクセサリーを身につける看護師が目立つようにな った。アクセサリーは患者さんを誤って傷つけたり、リネンなどにひっかかったりする恐れ がある。また何かの拍子にネックレスがひっぱられると自分も怪我をする恐れもある。 乱れた髪の毛、無精髭、エクステンション、汚れたシューズなどは周囲に不快感を与える 可能性がある。医療職としてふさわしくないと指摘される可能性もある。患者の中には、治 療により匂いに過敏な方も少なくない。香り付きのハンドクリームなどを不快に感じること もある。ポニーテールのように束ねただけの髪形は振り返ると髪が周囲にいた患者にぶつか る可能性があり、せん妄の患者さんが思い切り看護師の髪を引っ張れば怪我をすることにな りかねない。 このような外見を慎み、信頼を低下させないよう医療職として身だしなみを意識する必要 があると考えた。 3 改善策 (1)基準・チェックリストの作成(資料1) まず、東部地域病院の医療従事者として、ふさわしい身だしなみを整えるために、文献や、 身だしなみの資料を検討しながら「身だしなみ基準」を作成した。 作成した身だしなみ基準は、看護部運営会議にて提案し、意見を集め、追加修正を行い完 成させた。基準をもとにしたチェックリストを作成し、各自が身だしなみのチェックを行え るようにした。身だしなみの基準は、視覚的にも「よい例」を写真にて表示し、基準の内容 をわかりやすく伝え、個人的主観が入らないように工夫した。 なぜ髪をまとめないといけないのか、アクセサリーをしてはいけないかなどの根拠も写真 と共に掲示、各部署にも配布した。 身だしなみチェックリスト 化粧 化粧髭 髭 マスク 派手になっていない(つけまつ毛・エクステ不可) 化粧をしている 男性:髭は剃っている あごや腕にしない (2)チェックリストに基づく自己チェックの実施 看護師全員に現状の自己チェックを実施した。 「 」は改善点と自覚する。各自、改善を図 り、チェック後、翌日~1周間後に再度自己チェックをしてもらい、変化を調査した。 (3)チェック結果 まず、看護部門で実施した結果、 「 」の平均は 5.5%であったが、自己改善した後の自己チェ ックの「 」の平均は 2.0%と効果が見られた。そこで院内全部署に拡大し、全職員を対象にチェッ クリストに基づいた自己点検を実施することにした。 - 59 - 結果、医師以外どの職種も1回目の自己チェックより2回目のチェックのほうが「×」が少 なくなっている。全体では、チェック前「○」は 96.4%、後は 97.9%に改善している。職種によっ ては、時計や髪型、名札の位置など現在のチェック項目では「×」になってしまうが、職種 の専門性、内容により、今回作成したチェック項目では適さない内容があることもわかり、 検討事項も見えた。 表1 職種ごとのチェック前後の比較 - 60 - 4 今後の取り組み 身だしなみチェックを実施した結果、各自、病院職員が身だしなみを振りかえるきっかけ となり、できていなかった項目を理解し改善に取り組む職員がふえた。 病院の印象は、玄関から決まるとも言われている。清潔感、安心感、そして病院に一歩踏 み入れた時の印象が患者の良き印象として残るように、継続した取り組みが必要と考えてい る。各職種に合わせた身だしなみチェック基準を作成し、チェック機能を継続すること、院 全体で取り組むこと、各部門、職種ごとで自主的に取り組むシステム作りにも取り組んでい きたいと考えている。 - 61 - 資料1-1 身だしなみチェック表 職種 名前 項目 髪色 過度なカラー色になっていない 前髪 目にかかっていない ヘアクリップ 髪・髪型 月 日 内容 髪型 月 日 ○or× ○or× 前 後 華美な飾りを使用していない ボブ 会釈をしたときに頬に髪がかからない 襟足が隠れていない ロング 肩までの長さになったら、一つにまとめている 毛先はシニヨン(おだんご)にまとめている ゴムの色 化粧 化粧・髭 髭 ピアス 大きさ5mm以下。片耳につき1個まで。 腕時計 していない 指輪 していない 長さ マニキュア カラーコンタクトはしない できるだけ短く していない(透明なマニキュアは可) 香りの強いボディークリームやハンドクリーム、整髪料は使用しない 香水は不可 生地 色 無地である 派手でない ユニフォーム ユニ フォーム あごや腕にしない していない(引っ張られると危険な為) 香水等 インナー カーディ ガン 男性:髭は剃っている ネックレス コンタクト 爪 派手になっていない(つけまつ毛・エクステ不可) 化粧をしている(女性) マスク アクセサ リー等 黒・紺・茶を使用している 名札 清潔感があり、汚れ、ほころびがない(汚れ・ほころび時は用度に持参 する) 私物エプロンは不可 左胸につける(ケア時外す) 胸ポケットに物をいれ過ぎない(PHSや鍵は可) 下着が透けていない ズボン 靴下 足元 シューズ・靴 ユニフォーム色にふさわしい色合い、 ズボン丈は適切に調整されている(折り曲げ不可) ユニフォームに相応しい色調(基本無地) つま先・かかとがあるものを履いている 汚れていない その他 H27.11一部修正 看護部QC「身だしなみそろえ隊」 参考文献:ナーシングビジネス5周年記念別冊 看護管理者・教育担当者のためのナースの品格 接遇・マナー指導ツール集 - 62 - 資料1-2 身だしなみチェック表 看護師用 部署 名前 月 日 内容 髪色 過度なカラー色になっていない 前髪 目にかかっていない ヘアクリップ 髪・髪型 髪型 月 日 ○or× ○or× 前 後 華美な飾りを使用していない ボブ 会釈をしたときに頬に髪がかからない 襟足が隠れていない ロング 肩までの長さになったら、一つにまとめている 毛先はシニヨン(おだんご)にまとめている ゴムの色 化粧 化粧・髭 髭 ピアス 大きさ5mm以下。片耳につき1個まで。 腕時計 していない 指輪 していない 長さ マニキュア 生地 色 できるだけ短く していない(透明なマニキュアは可) 無地である 派手でない 名札 清潔感があり、汚れ、ほころびがない(汚れ・ほころび時は用度に持参 する) 私物エプロンは不可 左胸につける(ケア時外す) 胸ポケットに物をいれ過ぎない(PHSや鍵は可) 下着が透けていない ズボン 足元 カラーコンタクトはしない 香りの強いボディークリームやハンドクリーム、整髪料は使用しない 香水は不可 ユニフォーム ユニ フォーム あごや腕にしない していない(引っ張られると危険な為) 香水等 インナー カーディ ガン 男性:髭は剃っている ネックレス コンタクト 爪 派手になっていない(つけまつ毛・エクステ不可) 化粧をしている マスク アクセサ リー等 黒・紺・茶を使用している 靴下 シューズ・靴 ズボンの色は白 ズボン丈は適切に調整されている(折り曲げ不可) 原則白 (基本無地) つま先・かかとがあるものを履いている 汚れていない その他 H27.11一部修正 看護部QC「身だしなみそろえ隊」 参考文献:ナーシングビジネス5周年記念別冊 看護管理者・教育担当者のためのナースの品格 接遇・マナー指導ツール集 - 63 - - 64 -