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Infiniium 90000A シリーズ・ オシロスコープでの

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Infiniium 90000A シリーズ・ オシロスコープでの
Infiniium 90000A シリーズ・
オシロスコープでのイコライゼーション
手法の使用
Application Note
このアプリケーション・ノー
トでは、フィードフォワード
/デシジョン・フィードバッ
ク・イコライゼーションの概
要 を 紹 介 し ま す。 ま た、
Infiniium シリアル・データ・
イコライゼーション・ソフト
ウェアの機能についても説明
しています。
Infiniium 90000A シリーズ・
オシロスコープでイコライ
ゼーション手法を使用するに
は、N5461A Infiniium シリア
ル・データ・イコライゼーショ
ン・ソフトウェアをオシロス
コープにインストールする必
要 が あ り ま す。 オ プ シ ョ ン
DSO90000A-012 を オ ー ダ す
る こ と に よ り、 こ の ソ フ ト
ウェアがインストールされた
90000A シリーズ・オシロス
コープを購入できます。ソフ
トウェアのサーバ・ライセン
スを購入することもできます
(N5435A-025)。
Infiniium シリアル・データ・
イコライゼーション・アプリ
ケーションを使用するには、
E2688A シリアル・データ解
析オプションがオシロスコー
プにインストールされている
必要があります。
目次
イコライゼーションの基礎 ....................................................................2
フィードフォワード・イコライゼーション .........................................6
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション ....................... 11
N5461A Infiniium シリアル・データ・
イコライゼーション・ソフトウェア .................................................. 18
関連カタログ.......................................................................................... 27
イコライゼーションの基礎
問題
イコライゼーションの動作を理解するにはまず、イコライゼーションによって補正
される問題を理解する必要があります。
トランスミッタは、シリアル信号を伝送チャネル(例:バックプレーン、ケー
ブル)経由でレシーバに送信します。信号速度の高速化に伴い、信号が通るチャ
ネルによって、レシーバの信号に歪みが生じます。この歪みが原因で、アイ・
ダイアグラムが部分的に、または完全に閉じてしまい、レシーバはクロックや
データを抽出できなくなります。アイ・ダイアグラムからクロック/データを
復元するには、アイ・ダイアグラムを再び開く必要があります。このときに、
イコライゼーションが効果を発揮します。
下の図 1 を見てください。アイがクリーンで開いている信号がトランスミッタ
から出て、チャネルを経由して送信されています。信号がチャネルを通過する
ときに、ランダム雑音、クロストーク、シンボル間干渉(ISI、4 ページを参照)
により信号に歪みが生じます。これらはすべて、アイが閉じる原因となります。
イコライゼーションを使用することにより、ISI を補正してアイを再び開くこ
とができます。これは、ISI がデターミニステックだからです(つまり、ISI は
送信前に確定できます)。
ノイズ
クリーンな
信号
トランスミッタ
チャネル
ISI と雑音が
追加
ISI を補正
イコライズされた
信号+雑音
イコライザ
シンボル
検出器
図 1. トランスミッタは、シリアル信号を伝送チャネル経由で送信します。チャネルを通過すると
きに、信号に歪みが生じます。
2
イコライゼーションの基礎
発生したランダム雑音は、デターミニステックではないので、イコライゼーショ
ンによって補正することはできません。このため、アイを再び開くことはでき
ますが、こうしたランダム雑音の補正は不可能なので、不完全なものになる可
能性があります。
シリアル・データの解析時に ISI(およびアイのクロージャ)により生じた問題
の原因を確認するために、図 2 に示されている 2 つのスクリーン・ショットを
見てください。これらのスクリーン・ショットは、バックプレーンを横切る前
と後のデータ信号を示しています。
受信信号 r(t)
送信信号 s(t)
図 2. バックプレーンを通貨する前(左側)と後(右側)のシリアル・データ。
5、4、3、2、1 というラベルの付いた 5 つのビットを見ると、ロジック・パター
ンが 11110 であることがわかります(V = 0 のデシジョンしきい値)。また、
矢印で示されたビット(ビット 1)は送信時にはロジック 0 であるにも関わらず、
レシーバから見たそのビットのロジック・レベルはデシジョンしきい値に非常
に近いことが分かります。このため、間違ってロジック 1 とカウントされる可
能性があります。バックプレーンの周波数応答により波形の高周波成分が減衰
されたために、このような状況が発生しています。
トランスミッタが送信するパターンと同じものをレシーバが測定することが不
可欠です。イコライゼーションは、このような状況の発生を補正するために用
いられる手法です。
3
イコライゼーションの基礎
シンボル間干渉(ISI)
シンボル間干渉(ISI)は、信号が通貨するチャネルのフラットでない周波数応
答(高周波成分は低周波成分より損失が大きい)に起因し、信号のパルス形状
に歪みが生じます。
次の図 3 に示されている単純化した周波数応答のプロットを参照してくださ
い。
周波数
図 3. フラットでない周波数応答のプロットの簡単な例
低周波では周波数応答がフラットですが、周波数が上がるに従って振幅が低下
していることがわかります。この領域に信号の周波数成分が含まれていると、
歪みが生じます。
例えば、シリアル・データ(11010 . . .)をトランスミッタからチャネル経由で
レシーバに送信するとします。
理論上は、これらの各ビットを方形波パルスとしてトランスミッタから送信す
ることができます。しかし、現実には、帯域幅による制限があるため、パルス
は多少丸みを帯びます。
このデータ・シーケンスがチャネル経由で送信されるときに通る媒体により、
丸くなったパルスが不鮮明化し引き伸ばされるため、歪みが生じます(この歪
みの程度は、周波数成分によって決まります)。これにより、各ビットのエネ
ルギーの一部が隣接するビットと重なり合い、それらのビットの電圧レベルに
影響を与える可能性があります。信号がチャネルを出てレシーバに入ったとき
に、レシーバは結果として異なるビット電圧レベルを測定することになります。
高周波成分では、ISI が大きな問題となり、シリアル信号のアイをプロットす
ると、波形の低周波成分は正確に反映されますが、高周波成分は減衰され、ア
イは完全にまたは部分的に閉じます。
ISI は以下の組み合わせが原因で生じます。
•• 回路の形状(すなわち、トレースのデザイン)
•• 媒体の材質(すなわち、伝導体や誘電体)
これらの各要因は、信号の伝送前に確定できます。このため、ISI はデターミ
ニステックであり、イコライゼーション手法を用いて補正することができます。
4
イコライゼーションの基礎
解決法:イコライゼーション
問題が明確になれば、イコライゼーション手法で問題を解決できます。
イコライゼーションの主な目的は、伝送チャネルに起因する問題を補正するこ
とです。イコライゼーション手法は、レシーバの信号に歪みが生じていると仮
定して、元の信号(トランスミッタから出てくる信号)を求める方法です。
すなわち、イコライゼーションは、高周波成分の電圧レベルを補正し、その過
程で、アイ・ダイアグラムのそれらの成分に起因する部分を補正します(結果
として、アイを開きます)。
図 4. イコライズされていない 6 Gb/s アイ・ダイアグラム
(アイが完全に閉じている)
図 5. イコライズされた 6 Gb/s アイ・ダイアグラム
(イコライゼーションが適用されアイが開いている)
Infiniium 90000A シリーズ・オシロスコープで使用されているイコライゼー
ション手法は、フィードフォワード・イコライゼーション(FFE)とデシジョン・
フィードバック・イコライゼーション(DFE)の 2 種類です。
5
フィードフォワード・イコライゼーション
フィードフォワード・イコライゼーション(FFE)は、波形に対して行われる
ロジックのデシジョンに関する情報ではなく、波形そのものの情報である受信
波形を補正するイコライゼーション手法です。FFE は基本的に FIR(有限イン
パルス応答)フィルタのように動作し、受信波形の電圧レベルを使用して現在
のビットの電圧レベルを補正します。
FFE では、イコライゼーションは実際の波形に対して適用されます。FFT ア
ルゴリズムでは、ロジックのデシジョン(このビットは 1 か 0 か ?)は行われま
せん。その代わりに、FFE は波形の電圧レベルの補正のみを行います。次の
セクションを読むと、これがデシジョン・フィードバック・イコライゼーショ
ン(DFD)と正反対の動作をすることがわかります。
このセクションでは、FFE を 4 種類の方法で説明します。各サブセクション
の基本的な内容は同じです。
FFE の数学的な記述
この解説の目的から、使用する FFE アルゴリズムが 3 つのタップを持つと仮
定します。タップは、補正のために電圧レベルに適用される無次元単位の補正
係数です。これらの補正係数を理解する 1 つの方法は、レシーバの要求電圧と
実際の電圧の比として考えることです。
3 タップ FFE の数学的な表現:
e(t)= c0 • r(t –(0 • TD))+ c1 • r(t –(1 • TD))+ c2 • r(t –(2 • TD))
ここで、
•• e(t)は、時間 t における補正済み(イコライズ済み)電圧波形
•• TD は、タップ遅延
•• r(t - nTD)は、現時点から n タップ遅延前の時点での未補正の入力波形
•• cn は、n タップ遅延分だけ時間的に進んでいる未補正波形に対して乗算され
る補正係数(タップ)
したがって、FFE では、イコライズ前の目的の位置に加えて、その前の 2 つ
のタップ遅延位置でのタップ値と電圧レベルの積を加算することにより、波形
の目的の位置(時間 t)での補正済み(イコライズ済み)電圧レベルが求められ
ます。
上述の FFE 法で 1 タップ遅延を 1 ユニット・インターバルとすると、1 ビット
の補正に 3 つのビット
(目的のビットとその前の 2 つのビット)
が使用されます。
これは、アルゴリズムで 3 つのタップを使用したためです。5 つのタップを使
用した場合は、上述の式にさらに 2 つの項 [c3r(t - 3T D)お よ び c4r(t -
4T D)] が追加されます。つまり、FFE アルゴリズムでは、目的の電圧レベル
のビットの補正に、目的のビットとその前の 4 つのビットが使用されます。
6
フィードフォワード・イコライゼーション
信号への FFE の影響について
FFE を理解するもう 1 つの方法は、波形への影響を理解することです。図 6
のようなイコライズされていない波形がレシーバで測定されたと仮定します。
図 6. この例に用いられているイコライズされていない波形
FFE が信号にどのように作用して、補正するかを確認します。この場合も、
この例の目的上、FFE アルゴリズムで 3 つのタップを使用すると仮定します。
2
1 0
xxx
目的の位置
図 7. イコライゼーションに用いられる目的の位置とその前の 2 つの位置
「目的の位置」としてラベル付けされている波形の部分が、補正(イコライズ)
対象の電圧です。1 および 2 とマークされている波形上の位置は、指定したタッ
プ遅延により決まります。位置 1 は目的の位置から 1 タップ遅延離れたところ
に、位置 2 は目的の位置から 2 タップ遅延離れたところにあります。
波形の電圧レベルだけが対象であることに注意してください。このプロセスで
は、FFE アルゴリズムはロジックのデシジョン(1 または 0)を行いません。
7
フィードフォワード・イコライゼーション
最初に、伝送チャネルに存在する歪みのタップ値を知る必要があります。これ
らの値の決定方法については、後で説明します。差し当たり、これら 3 つのタッ
プ 値 が 決 定 さ れ て い る と 仮 定 し ま す( 上 述 の 式 の c0、c1、c2 に 対 応 し て、
Tap0、Tap1、Tap2 とします)。
オシロスコープは、目的の位置(位置 0)の電圧を測定し、それに Tap0 の値を
乗算します。次に、オシロスコープは位置 1 の電圧を測定し、それに Tap1 の
値を乗算します。次に、オシロスコープは位置 2 の電圧を測定し、それに
Tap2 の値を乗算します。最後に、オシロスコープはこれらの電圧/タップの
積を加算して、位置 0 の補正済み(イコライズ済み)電圧を求めます。さらに、
位置 0 の電圧がこの補正値に合わせて調整されます。
3 つの X がサンプリング・レートに従って波形上の次の位置に移動します。
2
x
1 0
目的の位置
xx
図 8. FFE 後の新しい位置
以前の「目的の位置」(今は "1" で示されている)のイコライズ済み電圧レベル
が新しくなっていることに注意してください。タップ値によってその位置の電
圧レベルが低下したことがわかります。
新しい目的の位置に対して、同じプロセスが繰り返されます。位置 0 の電圧レ
ベルに Tap0 が乗算され、位置 1 の電圧と Tap1 の積に加算されます。最後に、
これに、位置 2 の電圧と Tap2 の積が加算され、ビット 0 の新しい補正済み電
圧が得られます。
さらに、3 つの X はサンプリング・レートに従って新しい位置に移動し、プロ
セス全体が繰り返されます。これが、波形の最後まで続けられます。
8
フィードフォワード・イコライゼーション
FFE のデシジョン・
ダイアグラム
3 タップ FFE のデシジョン・ダイアグラムを理解することも有用です。
r(t)
r(t–TD)
遅延
C0
遅延
r(t–2TD)
C2
C1
e(t)
CDR
図 9.
ここで、
•• r(t - nTD)は、現時点から n タップ遅延前の時点での入力波形
•• Cn は、n 番目の係数(タップ)
•• TD は、タップ遅延
•• e(t)は、時間 t におけるイコライズ済み波形
•• CDR はクロック/データ・リカバリ
これは、前の 2 つのセクションで説明したプロセスを理解するための別の方法
に過ぎません。この場合も、各電圧レベルに対応するタップ値が乗算され、そ
れらの積がすべて加算され、目的の位置の新しいイコライズ済み電圧が与えら
れることがわかります。
9
フィードフォワード・イコライゼーション
周波数応答による FFE の理解
FFE について理解する最後の方法は、信号の周波数応答から考えることです。
周波数
図 10. フラットでない周波数応答の例
信号帯域幅全体で周波数応答がフラットなチャネルで信号を送信して、信号の
すべての周波数成分が等しく表されるのが理想的です。しかし、ISI に関する
解説でお分かりのように、高周波では周波数応答により信号が減衰することが
あります(図 10 を参照)。
この減衰を補正するために、イコライゼーションでピーキング・フィルタを適
用することができます。FFE では、図 11 に示すように、ピーキング・フィル
タ応答とチャネル応答の和がフラットな周波数スペクトラム(下のプロットの
赤線)になるように、フィルタ応答(破線)を適用します。
周波数
図 11. チャネルのフラットでない周波数応答(黒線)を補正するために、FFE により作成された応
答(破線)
ISI がチャネルのフラットでない応答の結果であることから、応答をフラット
にすると、ISI がなくなります。
10
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション(DFE)は、ロジックのデ
シジョン(ビットが 0 か 1 か)を行い、情報をフィードバックして、現在のビッ
トが 1 か 0 かを簡単に判定できるようにするイコライゼーション手法です。
DFE を実現する方法は複数あります。このセクションでは、Infiniium 90000A
シリーズ・オシロスコープに採用されている DFE アルゴリズムを説明します。
4 種類の方法で DFE を説明します。各サブセクションの基本的な内容は同じ
です。
DFE の数学的な記述について検討する前に、アルゴリズムの実行結果を理解
することが重要です。一般に、DFE では、ロジックのデシジョンしきい値(そ
れより上では波形がロジック・ハイと見なされ、下ではロジック・ローと見な
される値)に加算される補正値が計算されます。したがって、DFE ではしきい
値が上下に変動し、この新しいイコライズ済みしきい値レベルに基づいて、波
形に対するロジックのデシジョンが新たに行われます。
11
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
DFE の数学的な記述
この解説では、使用する DFE アルゴリズムが 2 つのタップを持つと仮定して
います。タップは、補正のために電圧レベルに適用される補正係数です。これ
らの補正係数を理解する1つの方法は、レシーバの要求電圧と実際の電圧の比
として表示することです。
2 タップ DFE のデシジョンしきい値に加算される補正値の数学的な記述:
V(k)= c1s(k – 1)+ c2(k – 2)
ここで、
•• V(k)は、ビット k のロジック値を決定する際に使用されるデシジョンしき
い値に加算される補正値
•• s(k – n)は、ビット k の n ビット前に位置するデータ・ビットのロジック値。
s(n – k)のロジック・ハイ値が Infiniium シリアル・データ・イコライゼーショ
ンの上側ターゲット・フィールドに等しくなるのに対して、s(n – k)のロジッ
ク・ロー値は下側ターゲットに等しくなります。
•• cn は、目的のビットより n ビット前にあるビットの補正値(タップ)。
したがって、DFE で目的のビットのしきい値レベルの補正済み電圧オフセッ
トを求めるにはまず、最初の数ビットの正確なビット値をシードとして与える
必要があります。最初の数ビットのロジックのデシジョンが正しいと仮定する
と、このアルゴリズムでは、現在のロジック値を決定するためにそれらの情報
が順方向に送られます。
2 タップ DFE では、現在のビットの前の 2 つのビットのビット・レベルが決
定済みである必要があります。この後、アルゴリズムは、ビット・レベルと対
応するタップ値を乗算します。これらの 2 つのタップ/ビット・レベルの積を
加算することにより、デシジョンしきい値のシフト量が得られます。ただし、
Infiniium オシロスコープでは、しきい値を一定にして、しきい値を基準にし
て波形をシフトします。
上の DFE 法では、現在のビットを補正するのに前の 2 つのビットを使用して
います。これは、アルゴリズムに 2 つのタップを使用したためです。4 つのタッ
プを使用する場合は、上述の式にさらに 2 つの項(c
[ 3(k
s – 3)
および c4(
s k – 4))
]
が加算されます。すなわち、DFE アルゴリズムでは、目的の電圧レベルのビッ
トの補正に、前の 4 つのビットが使用されます。
目的のビットが加算に使用されていないこともわかります。FFE では加算に
前のビットと現在のビットが使用されますが、DFE では前のビットしか使用
されません。
12
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
DFE のアイ・ダイアグラムへの
影響
DFE を理解するもう 1 つの方法は、アイ・ダイアグラムへの影響を理解する
ことです。
最初に、図 12 のシリアル・データ信号のセグメントを見てください。
Bit 1
Bit 2
Bit 3
UI 1
Bit 4
Bit 5
UI 3
UI 2
図 12. シリアル・データの例
波形上の縦の赤線は各ビットのクロック・エッジに対応し、図の下部に示され
ている赤いセグメントは、アイ・ダイアグラムを形成するディスプレイ上で重
なり合う 3 つのユニット・インターバル(UI)を表します。グレーの線はロジッ
クのしきい値レベルです(これより上の電圧のビットはロジック 1、これより
下の電圧のビットはロジック 0 と見なされます)。
これら 3 つのユニット・インターバルを重ね合わせてアイ・ダイアグラムを作
成すると、ユニット・インターバル 2 と 3 のロジック・ハイの電圧レベルは、
ユニット・インターバル 1 ほど高くはなりません。つまり、ユニット・インター
バル 2 と 3 から形成されるアイが部分的に閉じます。
2 つのタップを使用してビット 4 の電圧をイコライズして、ユニット・インター
バル 3 を補正します。
13
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
最初に、伝送チャネルに存在する歪みのタップ値を知る必要があります。これ
らの値の決定方法については、次のセクションで説明します。差し当たり、こ
れら 2 つのタップ値が決定されていると仮定します(12 ページの式の c1 と c2
に対応して、Tap1 と Tap2 とします)。
DFE アルゴリズムにまず、最初の数ビットの正確なビット値(ハイかローか)
をシードとして与えます。アルゴリズムで初期ビット値が正しく決定されたと
仮定すると、現在のビットを決定するために以前のビット値が順方向に送られ
ます。この例では、ビット 2 はロー、ビット 3 はハイであるとオシロスコープ
が判断したと仮定します。
DFE アルゴリズムでは、3 番目のビットに理想的なロジック・ハイ値が与えら
れ(例えば、+ 1)、その値と Tap1 が乗算されます。次に、この積が、2 番目
のビットの理想的なロジック・ロー値と Tap2 の積に加算されます。
この合計により、ロジックのデシジョンしきい値のシフト量が得られます。結
果として、図 13 でブルーの線で表されているようなしきい値のシフトが生じ
ます。
Bit 1
Bit 2
Bit 3
UI 1
Bit 4
UI 3
UI 2
Bit 5
デシジョン
しきい値に
加算される
補正値
新しい補正済み
しきい値レベル
図 13. ブルーの矢印は、4 番目のビットに DFE が適用された後の新しいしきい値レベルを表し
ます
多くの DFE アルゴリズムでは次に、4 番目のビットで電圧しきい値(グレーの
破線)がこの新しい電圧レベルにシフトされますが、Infiniium 90000A シリー
ズ・オシロスコープでは逆のことが行われます。この例のように電圧しきい値
を変動させるのではなく、しきい値は変えずに、ビット 4 の電圧レベルが同じ
量(ブルーの矢印で表された量)だけ上げられます。これにより、アイの対応
する部分が上昇してアイが開きます。
このアルゴリズムでは次に、インデックスが1つ順方向にシフトされ、目的の
新しいビットがビット 5 になり、それをイコライズするために使用される 2 つ
のビットがビット 3 と 4 になります。このプロセスが、信号の最後まで繰り返
されます。
14
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
DFE デシジョン・ダイアグラム
DFE のデシジョン・ダイアグラムを理解することも有用です。
r(t)
CDR
s(k)
遅延
リアルタイム・
アイ
s(k–1)
C1
s(k–2)
遅延
C2
V(k)
図 14. DFE デシジョン・ダイアグラム
このダイアグラムで、
•• r(t)は、時間 t におけるイコライズされていないアナログ波形電圧
s – n)
は、現在のビットより n タップ遅延前にあるビットのロジック値(上
•• (k
側ターゲットまたは下側ターゲット)
•• Cn は、n 番目の係数(タップ)
•• CDR はクロック/データ・リカバリ
•• V(k)は、ビット k のロジック値を決定する際に使用される、デシジョンし
きい値に加算される補正電圧。(Infiniium オシロスコープでは実際には、し
きい値は一定で、この量だけ波形が反対方向にシフトします)。
このデシジョン・ダイアグラムは、上述のプロセスの別の見方に過ぎません。
DFE アルゴリズムに、最初にいくつかの正確なビット値をシードとして与え
ます。次に、各ビット間にタップ遅延(各クロック・エッジに対応)が挿入さ
れます。アルゴリズムで用いられている前の各ビットが、ハイかローか判定さ
れ、それに対応するタップ値が乗算されます。これらの電圧/タップの積が加
算され、ロジックのデシジョンしきい値を基準にした波形のシフト量が決定さ
れます。
15
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
周波数応答による DFE の理解
DFE について理解する最後の方法は、信号の周波数応答から考えることです。
周波数
図 15. フラットでない周波数応答の例
信号帯域幅全体で周波数応答がフラットなチャネルで信号を送信して、信号の
すべての周波数成分が等しく表されるのが理想的です。しかし、これまでの解
説でお分かりのように、高周波では周波数応答により信号が減衰することがあ
ります(図 15 のプロットを参照)。
この減衰を補正するために、イコライゼーションでピーキング・フィルタを適
用することができます。DFE では、下のプロットに示すように、ピーキング・
フィルタ応答とチャネル応答の和がフラットな周波数スペクトラム(図 16 のプ
ロットの赤線)になるように、ピーキング・フィルタ応答(破線)を適用します。
周波数
図 16. チャネルのフラットでない周波数応答(黒線)を補正するために、DFE によって作成さ
れた応答(破線)
16
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション
ISI がチャネルのフラットでない応答の結果であるため、応答をフラットにす
ると、ISI がなくなります。
レシーバのアイとトランスミッタのアイを同じ大きさにするには、利得項を適
用する必要があります。利得項(A)が必要な理由を理解するには、FFE の場
合の周波数応答を思い出してください。
周波数
図 17. チャネルのフラットでない周波数応答(黒線)を補正するために、FFE により作成され
た応答(破線)
FFE では、低周波を減衰させずに、そのままにしておきました。
DFE 応答に関しては、FFE 応答全体を下にシフトさせたため、低周波が減衰
しています(図 16)。すなわち、最終的に得られるフラットな応答も下にシフ
トされます。利得係数(A)を使用して、フラットな応答を正しい値に戻すこと
ができます。
これにより、レシーバのアイがトランスミッタのアイと同じ大きさになります。
17
N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
Agilent N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェ
アを使用すれば、90000A シリーズ・オシロスコープで DFE と FFE の両方を
実行できます。イコライゼーションは、手動またはイコライゼーション・ウィ
ザードを使って設定することができます。このセクションでは、このソフトウェ
アの機能の一部を紹介します。
シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェアの使用方法の詳細につ
い て は、www.agilent.co.jp で、『Agilent N5461A Infiniium Serial Data
Equalization User's Guide』
(N5461-97000)を参照してください。
イコライゼーション・
ウィザード
イコライゼーション・ウィザードでは手順が順次詳細に示されるので、イコラ
イゼーションのセットアップに便利です。ユーザ入力に基づいて制御が自動的
に調整されるので、オシロスコープの GUI を探す必要はありませんが、必要
に応じてユーザ固有のイコライゼーションを実行することもできます。
例えば、使用する DFE/FFE の正確な組み合わせを最初に指定することがで
きます。各オプションを簡単に確認できるように、これらのオプションはグラ
フィックで表されています。表 1 に使用可能なオプションを示します。
18
N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
表 1. イコライゼーション・ウィザードのオプション。
ダイアログ・ボックスのイメージ
概要
FFE は適用されますが、リアルタイム・アイは表示されません。代
わりに、FFE を適用した結果の波形が表示されます。
イコライゼーションは実行されず、イコライズされていないリアル
タイム・アイが表示されます。これは、比較対象となる基準が必要
な場合に有用です。例えば、一番上のグリッドにイコライズされて
いないアイを、一番下のグリッドにイコライズされたアイを配置し
て、同じ画面上で比較することができます。
FFE はクロックのリカバリだけに使用され、実際に表示されるリア
ルタイム・アイはイコライズされません。これは、比較対象となる
基準が必要な場合に有用ですが、イコライズされていないアイは完
全に閉じます。閉じたアイのクロックを復元することはできないの
で、アイを開いてクロックが復元されるように、FFE が適用されま
す。つまり、このオプションは直前のオプションと同じ目的に使用
できますが、閉じたアイに使用されます。
フィードフォワード・イコライゼーション後のアイがオシロスコー
プに表示されます。これは標準的な FFE の実装で、部分的または完
全に閉じたアイに対して使用できます。
デシジョン・フィードバック・イコライゼーション後のアイがオシ
ロスコープに表示されます。この方法ではクロックを復元すること
はできないので、この構成を完全に閉じたアイに対して使用するこ
とはできません。アイが閉じているために DFE を実行する必要が
ある場合は、下のオプションを使用します。
クロックを復元するために FFE が使用され(リアルタイム・アイの
表示は実行されない)、デシジョン・フィードバック・イコライゼー
ション後のアイがオシロスコープに表示されます。このため、完全
に閉じたアイに対して DFE を実行できます。
FFE が適用された後、DFE がリアルタイム・アイに適用されます。
さらに、FFE がクロックを復元するためにも使用されるため、この
構成は完全または部分的に閉じたアイに対して使用できます。
19
N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
イコライゼーション・ウィザードでは、ディスプレイを上側グリッドと下側グ
リッドに分割することにより、基準構成を設定することもできます。このため、
例えば、上側グリッドにイコライズされていないアイを、下側グリッドにイコ
ライズされたアイを表示して比較することができます。DFE アイと FFE アイ
を直接比較することもできます。
イコライゼーション・ウィザードでは、クロック・リカバリ/しきい値/捕捉
に関連する豊富なパラメータの中から選択できます。これらの各フィールドは、
デフォルトでは、ユーザのイコライゼーション設定に基づいて特定の値に自動
的に設定されますが、これらのデフォルト値を使用したくない場合は、これら
のパラメータを調整することもできます。
イコライゼーション・ウィザードで利用可能なクロック・リカバリ・アルゴリ
ズム:
•• First order PLL(phase lock loop)
•• Second order PLL
•• Equalized first order PLL
•• Equalized second order PLL
•• Constant frequency
•• Explicit
•• Explicit first order PLL
•• Explicit second order PLL
•• Fibre channel
イコライズ済み 1 次 /2 次 PLL では、閉じたアイを開くために 1 次 FFE が閉
じたアイに適用され(オシロスコープは閉じたアイからクロックを抽出できな
いため)、対応する PLL アルゴリズムを使用してクロックが抽出されます。
しきい値制御には、しきい値レベル、ヒステリシス、縦軸のオートスケール・
ボタンが含まれています。
捕捉制御には、タイムベース・スケール、サンプリング・レート、メモリ長が
含まれています。
この場合も、これらのフィールドはすべて、ユーザのイコライゼーション設定
と信号に基づいて自動的に決定されます。なお、これらのデフォルト値を変更
することもできます。
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
FFE 専用の 2 つの追加パラメータ:
帯域幅
前述のように、イコライゼーションを理解する 1 つの方法は、信号が通るチャ
ネルの周波数応答の観点から考えることです。信号帯域幅全体で周波数応答が
フラットなチャネルで信号を送信して、信号のすべての周波数成分が等しく表
されるのが理想的です。
実際には、周波数応答は図 15 のプロットに似ている可能性があります。図 15
では、高い周波数で信号が減衰します。これに起因して ISI が発生し、アイ・
ダイアグラムが閉じます。
この減衰を補正するために、ピーキング・フィルタ応答とチャネル応答の和が
フラットな周波数スペクトラム(図 16 の赤線)になるように、ピーキング・フィ
ルタ応答(図 16 の破線)を適用することができます。
イコライゼーションの実行時に行うことは、この応答を計算して適用すること
です。
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
上の例では、イコライズされていない応答は非常に単純でした。より現実的な
周波数応答は、図 18 のプロットのようになるはずです。
雑音
周波数
図 18. 現実的な周波数プロットでは、多くの雑音が見られます。
一定の周波数(または帯域幅)を超えると、ほとんどデータはなく、大部分が
雑音であることに注意してください。上述のようにイコライゼーションを適用
すると、最終的には雑音もデータも増幅されることになります。Bandwidth
フィールドを使用して、大部分が雑音となる周波数より上の応答をロール・オ
フすることにより、このノイズの増幅を最小限に抑えることができます。
Bandwidth フィールドに適用可能な 3 つのオプション:
•• Track Scope BW(デフォルト):このオプションは、オシロスコープの帯域
幅全体にわたる応答を単に生成します。このため、12 GHz オシロスコープ
を使用している場合、ロール・オフが必要な周波数が 12 GHz 以上である場
合に適しています。また雑音がオシロスコープの帯域幅の中で支配的な要因
である場合には、ノイズを最大にしてしまいます。
•• Track Tap Delay:帯域幅とデータ・レートの代表的な比(0.75 x データ・レー
ト)で、応答がロール・オフします。このオプションは雑音を最小限に抑え
るので、どの周波数スペクトラムから雑音が支配的になっているかわからな
い場合でもノイズの利得を最小限に抑えることができます。
•• Manual:応答をロール・オフさせたい周波数がわかっている場合は、手動
で入力できます。
タップ遅延
タップ数を設定する場合は通常、1 タップ/ビットにします。1 タップ/ビッ
トを実際に使用する場合は、タップ遅延は(1/ データ・レート)と定義される
ので、このフィールドで Track Data Rate を選択することによってこれを設定
することができます。
1 ビット当たり複数のタップが使用されるように、イコライゼーションを設定
することもできます。この場合、
Tap Delay フィールドを Manual に設定します。
次に、以下の式を用いて、タップ遅延の大きさを計算します。
1
タップ遅延=
(データ・レート)
[
•(ビット当たりのタップ数)]
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
タップ
どちらのイコライゼーション方法(DFE と FFE)に対しても、最大 40 個のタッ
プを使用できます。適切なタップ値を決定する方法が 2 つあります。1 つ目の
方法ではタップ値がわかっていると仮定するので、タップ値を手動で入力でき
ます。2 つ目のオプションでは、オシロスコープにタップ値を最適化させます。
オプティマイザは FFE と DFE で異なる動作をするため、個別に説明します。
FFE タップの最適化
最適化アルゴリズムを正常に機能させるためには、オシロスコープに入力され
るパターンがわかっていなければなりません。オシロスコープに特定のパター
ン信号を覚えさせ、それらのタップ値を使用してライブ・トラフィックをイコ
ライズすることができます。
タップ値は特定のパターンではなく、歪みのタイプだけに依存するので、基準
信号のタップ値を用いることができます。このため、同じ ISI 特性を持つ特定
のパターン信号をライブ・トラフィック信号に入力する必要があります。例え
ば、PRBS 2^6-1 信号は、8b/10b トラフィックと同様に、5 つの連続する 1 と
0 を持っています。
短い PRBS(擬似ランダム・バイナリ・シーケンス)を基準信号として用いて
練習するのが最適です。これには次の理由があります。
•• PRBS 信号は情報量が豊富で、さまざまな組み合わせの 1 と 0 が多く含まれ
ています。オプティマイザは、「測定される」組み合わせが多いほど、より
適切にタップ値を最適化できます。このため、CJT パターンは基準パター
ンとしては適切ではありません。
•• 短いパターンの場合は正確なデータ・レートがわかっていなくてもよいので、
短いパターンを使用することが重要です。例えば、長いパターン長を使用し
ていて、そのデータ・レートがなくなると、オプティマイザがパターンの終
わりに達するまでに、ビットが正しい位置に存在しなくなる可能性がありま
す。
Equalizer Auto Tap Setup ダイアログ・ボックスの Pattern フィールドで、数
種類の PRBS パターンの中から選択できます。このフィールドを Custom に設
定し、使用するパターンを記述する .ptrn ファイルをインポートすることもで
きます。
図 19. Equalizer Auto Tap Setup ダイアログ・ボックス。
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
Eye Width フィールドでは、最適化に使用するアイの幅を選択できます。この
フィールドには 0 ~ 1 の範囲の値を入力できます。0 を入力すると、アイはク
ロックの位置だけで最適化されます。1 を入力すると、捕捉全体が使用されま
す。FFE では通常、レシーバは、クロックの位置だけでなく、その近傍でもデー
タをサンプリングします。このサンプリング位置の違いを考慮するために、デ
フォルトは 0.33 UI(ユニット・インターバル)に設定されています。通常は、0.0
UI ~ 0.5 UI の範囲の値が最も有効です。
ここに入力すべき値はわからないが、デフォルトは使用したくないという場合
は、垂直方向と水平方向のどちらのマージンが大きいかを考えます(不確かな
場所は ?)。アイの狭い部分を使用してタップ値を最適化した場合は、アイのピー
クが大きくなりますが、中心付近だけです。
アイの幅を小さな値に設定
図 20. 最適化に使用するアイの幅を小さな値に設定すると、アイ・ダイアグラムの中心付近だけピー
クが大きくなります。
アイのより多くの部分を使用してタップ値を最適化した場合は、アイのピーク
はそれほど高くなりませんが、水平方向への広がりが大きくなります。
アイの幅を大きな値に設定
図 21. 最適化に使用するアイの幅を大きな値に設定した場合は、ピークはそれほど大きくなりませ
んが、アイ・ダイアグラムの水平方向への広がりが大きくなります。
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
これら 2 つのフィールドを設定したら、Run Auto Set を押してオプティマイザ
を起動します。完了すると、Auto Tap Status ボックスにタップ値が表示され
ます。
オプティマイザは、入力信号と Pattern フィールドに指定されたパターンの間
の相関も確認します。強い相関が確認されない場合は、図 23 のスクリーン・
ショットの赤い円で囲まれているような警告メッセージが表示されます。
図 22. オプティマイザは、強い相関が確認されない場合は、警告メッセージを出します。
弱い相関があり、すべてが正しく入力された場合は、オプティマイザはやはり
タップ値を生成していることに注意してください。ただし、このような警告メッ
セージを受け取った場合は、次の 2 つのことをチェックしてください。
•• オシロスコープに対する入力パターンが、Pattern フィールドに指定したパ
ターンと同じであることを確認します
•• データ・レートが正確に設定されていることを確認します
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
DFE タップの最適化
一部のシリアル・データ規格では、DFE に使用できるタップ値に制限があり
ます(規格でのこのような制限は調べることができます)。したがって、この
ダイアログ・ボックスでは、生成されたタップの最大値/最小値を入力できま
す。
図 23. 最小/最大タップ値を自分で入力できます。
Eye Width フィールドは、最適化に使用するアイの幅を指定します(前の「FFE
タップの最適化」のセクションの説明を参照)。DFE の場合は、真のレシーバ
はクロックの位置だけでデータをサンプリングするため、0.0 UI(ユニット・
インターバル)の値がデフォルトとして使用されます。使用するアイの幅を広
げたい場合は、この数字を大きな値に設定するだけです(DFE の場合は、0.0
UI ~ 0.5 UI が有効です)。
DFE に関する説明で、DFE の適用後に描かれたアイは減衰すると説明したこ
とを思い出してください。アイを増幅させて元の大きさに戻す(レシーバのア
イとトランスミッタのアイを直接比較できるようにする)には、利得係数を適
用する必要があります。Normalize DC Gain チェック・ボックスを選択すると、
送信されたアイと同じ大きさになるように、アイ・ダイアグラムが自動的にス
ケーリングされます。
これら 2 つのフィールドを設定したら、Run Auto Set を押します。オプティマ
イザが起動し、Auto Tap Status ボックスにタップ値が表示されます。
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N5461A Infiniium シリアル・データ・イコライゼーション・ソフトウェア
使用するタップ数の決定
通常は、2 つのタップを使用するとアイ・ダイアグラムが大きく開きます。た
だし、信号エラーが 3 つ以上のビットにわたる場合もありますが、このような
場合は、より多くのタップが必要です。
必要なタップ数を求める簡単な方法は、試行錯誤することです。タップ数(最
初は、3 ~ 4)を設定し、オシロスコープで信号に対してタップ値を最適化さ
せます。最適化後のタップ値を調べて、タップ値が大きいほど(例えば、タッ
プ 4 から始め、次に 3、...)寄与が大きいか、またはゼロに近いかを確認します。
ゼロに近いタップ値がある場合は、そのタップは不要です。すべてのタップ値
が大きい場合は、タップを増やし、再度最適化して、再び調べます。特定のセッ
トアップに使用するタップの数がわからない場合は、これが最適な方法です。
まとめ
このアプリケーション・ノートでは、イコライゼーションの基本とシリアル・
データ・イコライゼーション・ソフトウェアの概要を説明しました。ソフトウェ
アによる制御方法の詳細については、www.agilent.co.jp で、『Agilent N5461A
Infiniium Serial Data Equalization User's Guide』(N5461-97000)を参照してく
ださい。
関連カタログ
タイトル
カタログ番号
Agilent Technologies N5461A Infiniium Serial Data Equalization Software for Infiniium 90000A Series Oscilloscopes Data Sheet 5990-3330EN
Infiniium DSO/DSA90000A シリーズ Data Sheet
5989-7819JAJP
N5461A Infiniium Serial Data Equalization User’s Guide
N5461-97000
27
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Published in Japan, March 16, 2009
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