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木質バイオマス発電と森林再生に関するフィールドワーク(第 2 回)の報告

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木質バイオマス発電と森林再生に関するフィールドワーク(第 2 回)の報告
木質バイオマス発電と森林再生に関するフィールドワーク(第 2 回)の報告
平成 25 年 9 月 24 日(火)に群馬県沼田市、川場村、みなかみ町において、
木質バイオマス発電と森林再生に関するフィールドワーク(第 2 回)を行った。
参加者は、11 名。概要は次の通り。
1. 利根沼田森林管理署
24 日 13 時より、沼田市にある利根沼田森林管理署において中澤文彦森林
署長から署 内の国有林の状況について次の説明を受け、意見交換を行った。
群馬県内には、3 つの森林管理署があり、利根沼田森林管理署は、群馬県
北部の 5 市町村を地区としている。
この地区には、151,000ha の森林があり、うち国有林は 97,000ha である。
みなかみ町には、このうち 70,000ha の森林があり、国有林は 57,000ha で
ある。国有林は、人工林と天然林からなっているが、現在、伐採は人工林だ
けで行っており、天然林の伐採はしていない。人工林は 28,000ha あり、う
ち 8,000ha がみなかみ町にある。
みなかみ町の北半分は天然林となっており、旧新治村、旧月夜野町等が人
工林が多いところとなっている。みなかみ町の国有林の人工林は、スギとカ
ラマツがほとんどであり、間伐齢級である 5~10 齢級が 5,100ha、11 齢級
以上が 1,500ha である。
国有林については、5 か年計画を策定し、これに従って施業を行う仕組み
となっている。現在の計画は、平成 23 年度~27 年度の計画であり、みなか
み町の場合では、この間に 2,600ha の施業、うち間伐が 2,400ha、主伐が
200ha である。国有林の伐採量年約 11 万㎥のうち 4 割がみなかみ町からで
あり、年 5 万㎥弱を伐採している。
これを年間の出材量(販売量)で見ると、丸太 26,000 ㎥であり、うちみ
なかみ町が 9,000 ㎥である。立木材積では 41,000 ㎥、うちみなかみ町は
15,000 ㎥である。伐採量と出材量の差が大きいが、これは、道がなく搬出
が困難な場合があること、材の品質が悪くて売れない場合があることにより、
伐採はしても出材しない林地残材になっているものがあるからである。道が
ありかつ A 材や B 材がある場合は、C 材も含めて出材している。
施業の受け手は、7 社あり、みなかみ町の三国林産もその一つである。森
林組合は国有林については施業の受け手にはなっていない。
販売方法については、契約林の立木販売が一部あるが、ほとんどは原木販
売である。 原木販売は、自前で原木(丸太)までにし、土場で売却する場
合と原木市場で売却する場合とが半々である。主に前橋の原木市場に出荷し
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ており、渋川県産材センターには出荷していない。
低質の NL 材は、5,000 ㎥程度で、2 メートルに切った材を森林管理局で
システム販売を行っている。買い手は山平木材、こうわ林業、県森連である。
国有林については、計画的に施業が行われており、民有林のように必要な
間伐が行われていないという状況ではない。このため、未利用材の需要拡大
によって間伐そのものが進むようなことはないが、林地残材になっている未
利用材の出荷が増える余地はある。現状は、署によっては、未利用材の販売
に取り組んでいる例はあるが、土場でトンいくらと言った取引で、価格はか
なり低いようである。
2. 利根沼田森林組合
24 日 15 時 30 分より、川場村にある利根沼田森林組合において、外山京
太郎常務理事から森林組合の業務内容について次の説明を受け、意見交換を
行った。
利根沼田森林組合は、平成 15 年に水上町森林組合と、昭和村森林組合が
加わり、現在の姿になった。
職員は、正職員 5 名、作業班 15 名、林産加工を行うみみずく工房に 3 名
である。
組合員の所有する森林は、15,000ha、年 100ha の間伐事業を行い、7,000
㎥~10,000 ㎥を出材している。
出荷先は、渋川県産材センターが主で 8 割となっている。センターでは、
利根沼田森林組合は 2 番目に多い出荷者となっている。
間伐作業に先立って、NPO である利根川源流森林整備隊に、刈り払い作
業をしてもらっている。この隊長には、森林組合の組合長がなっている。
川場村では、木材コンビナートの取り組みが行われており、東京農大と清
水建設が中心となり、平成 27 年にバイオマス発電を開始することとなって
いる。また、みなかみ町月夜野には、クリーンエネルギー沼田がバイオマス
発電を行うという計画があり、明日当森林組合を訪ねてくることになってい
る。
森林組合としては、現在は A 材から C 材までを渋川の県産材センターに
出しているが、木質バイオマス発電用の需要が地元で生まれれば、C 材や D
材を地元の木質バイオマス発電に向けることができる。
同じ価格であれば、遠い渋川より、地元の方が運搬効率が良いことになる
ので、メリットはある。トン 3,000 円~5,000 円でも魅力があると考えてい
る。
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間伐については、補助金の仕組みが変わり、ha 当たりの出材量で補助金
額のランクが決められるようになったため、従来の切り捨て間伐がなくなり、
多くの材を出すようになった。道がないなど出材が困難な場所も 3 割程度あ
り、これは切り捨て間伐にならざるを得ないが、県の補助事業で対応してい
る。
木質バイオマス発電用の材としては、川場村の分は地元で十分に対応でき
ると考えている。クリーンエネルギー沼田の分は、規模が大きいので利根沼
田だけでは材が不足するのではないか。
森林組合としては、木質バイオマス発電用の C 材 D 材については、丸太
で売却することを想定しており、森林組合側でチップ化することは考えてい
ない。
緑の雇用制度で森林組合に若い人が就職できるようになったが、民主党時
代に予算を削減されて困っていた。自民党に戻ったので、これへの増額を期
待している。
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