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アイムジャグラーEXの認定期間切れに関するレポート
アイムジャグラーEXの認定期間切れに関するレポート 店舗強化委員会 遊技機研究部会 平成24年3月21日 ■ アイムジャグラーEXを取り巻く概況 現在設置されている、アイムジャグラーEX(北電子)は、平成24年8月以降、認定の 有効期間が終了する。(都道府県ごとに1ヶ月程度の差がある) アイムジャグラーEXの全国設置台数は、全国で12万2775台(2012年1月現在、 ビジョンサーチ社調べ) 、設置シェア率11.0%であり、同機種の「正当後継機」とされ るニューアイムジャグラーEX(2012年4月販売)の生産台数は約5万台(メーカー 発表)、予想シェア率5%。仮に全台撤去する場合、約7万2000台、シェア率7%の「ジ ャグラー空白」が生まれる。 ※参考資料:全国パチスロ台設置台数(2012年1月現在) ・パチスロ北斗の拳 世紀末救世主伝説(サミー) ・押忍!番長2(大都技研) 14万1979台 9万6576台 ・ミリオンゴッド~神々の系譜~(ミズホ) ・パチスロ「モンキーターン」(山佐) 5万4620台 4万2294台 今回のアイムジャグラーEXの認定期間終了に際して、そもそもアイムジャグラーEXの 継続設置の可能性についての検討が必要である。 -アイムジャグラーEXの、いわゆる「再認定」は可能か? 【結 論】 アイムジャグラーEXの、いわゆる「再認定」は、法的には可能であるが、現実的には限 りなく不可能であると考える。 【根 拠】 認定の有効期間内のアイムジャグラーEXが、再度認定を受けるためには、以下の方法が 法的に可能であると考える。 1)保通協での遊技機試験を受ける(検定型式試験ではないので全台試験) 2)型式試験申請時と同等の諸元表などの書類等を、ホールが公安委員会に提出する。 3)遊技機取扱主任者の業務権限拡大による認定作業 1)はもとより、2)もメーカーの協力が絶対不可欠であり、また各地域の公安委員会が 基準審査の実質的能力を持ち合わせていない現状で、現実的には不可能な方法。 3)に関しては、中古遊技機健全化要綱第2条第2項の「認定とは、風俗営業等の規制及 び業務の適正化等に関する法律(以下、 「法」という。)第20条第2項の認定をいう。た だし、法第20条第4項の検定を受けた型式に属する遊技機について、検定の有効期間が 経過する前に受けようとするものに限る。」の文脈から、中古遊技機健全化要綱の改定が ない限りは、遊技機取扱主任者による再認定業務は現実的に不可能である。また昨今、業 界を取り巻く情勢を鑑みる時、遊技機取扱主任者の権限拡大に関する協議、陳情等も極め て難しいものである。 ※上記3)の内容に関しては、平成23年12月8日、回胴遊商回胴式中古流通委員会よ り通達。 -認定の有効期間が経過した後、アイムジャグラーEXの継続設置、営業は可能か? 【結 論】 認定の有効期間が経過した後、みなし遊技機としてアイムジャグラーEXの継続設置は可 能。 【根 拠】 「みなし遊技機」とは? ・ 「みなし遊技機」とは、認定または検定の有効期間にない機械。 (平成16年2月27日 若田課長補佐講話) ・ 平成16年改正後の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則等に 基づき風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第20条第4項に規定する 検定を受けた型式に属する遊技機について、検定の有効期間が経過した後、法第20条 第2項に規定する認定を受けずに引き続き営業の用に供することは、法第20条第1項 に違反しない限り、可能です。 (平成19年7月17日 ※ 全日遊連への書面、警察庁生環発第155号) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第20条第1項 「第4条第4項に規定する営業を営む風俗営業者は、その営業所に、著しく客の射幸心 をそそるおそれのあるものとして同項の国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊 技機を設置しその営業を営んではならない。」 上記の内容からも、当面はアイムジャグラーEXを「みなし遊技機」として継続設置し、 然るべきタイミングで他の遊技機と順次入替を行っていくという方向性を示す企業、店舗 が大多数であると想定されるが、法令遵守や機械寿命の観点から、遠くない未来に各社、 各店舗は下記のいずれかの方向性を選択せざるならなくなる。 1) アイムジャグラーEXは撤去するが、他のジャグラーシリーズとの入替を行い、 店舗内のジャグラー比率を維持する。 2) アイムジャグラーEXは撤去し、他のジャグラーシリーズを含めた、Aタイプの パチスロ機による、Aタイプ比率を維持する。 3) アイムジャグラーEXは撤去し、ARTタイプのパチスロ機を中心とした入替を 行い、Aタイプ比率の縮小を行う。 何事に対しても先見の明を持ち、確実な準備と対処を行う事が店舗強化の最重要課題であ る。 本レポート作成により、店舗強化委員会では、アイムジャグラーEXの継続設置もしくは 撤去におけるリスクの明確化を図り、各社、各店においてはジャグラーを取り巻く営業戦 略立案に際した参考として頂ければ幸いである。 ■ アイムジャグラーEXの継続設置に際するリスク 1) 故障即、撤去。移動は店内移動のみ。 「みなし遊技機」となった遊技機は、故障した場合において、その部品の変更が承認 を要する場合は撤去しなければならない。また店内移動のみ可能であり、他店への移 動や、チェーン店移動も出来ない。なお不正対策部品については届出事項であれば問 題ないが、承認が必要な場合は撤去が必要となる。 ※コンプライアンスの徹底、部品交換等の無承認変更は絶対にしない。 無承認変更を行った場合、営業停止処分引いては営業許可取消処分等の行政処分対象 となるので一般社員にいたるまでの徹底したコンプライアンス教育の必要性がある。 2)「アイムジャグラーEXの撤去」を推進する内外的な社会的環境醸成の可能性 社会的不適合機となった4号機の一斉撤去時とは違い、法的な強制力を持って、アイ ムジャグラーEXの撤去を推進する事は出来ない。従って行政からも撤去に関する直 接的な指導や通達は出ない。 しかし長年にわたり射幸性抑制の旗印として設置稼働してきたアイムジャグラーE Xの継続設置は、業界健全化の側面からは決して好ましい事案ではない。長期設置稼 働してきた遊技機であるだけに、ホールが認知していない故障や破損が見受けられ、 またゴト師等による不正改造の温床となっている遊技機でもある。 遊技産業健全化推進機構によれば、現在設置されている、アイムジャグラーEX「偽 造された本体封印シールが貼られていた事案」や「回胴式遊技機の本体封印シールが 貼られていなかった事案」(遊技産業健全化推進機構ニュース第57号)等が行政に 報告されている。またアイムジャグラーEXの不正改造事案がある一定の地域に集中 しているという報告もあり、現在は「不正改造事案と言うよりもホール側の無関心事 案」という評価に留まっている現在の状況が、一部心ないホール関係者による無承認 変更事案と相まって、「アイム自主撤去」の風潮が一気に醸成される可能性は否定で きない。 ■ アイムジャグラーEXの撤去に際してのリスク 1) 入替時における他のジャグラーシリーズ中古機相場の高騰 アイムジャグラーEXを撤去し、他のジャグラーシリーズの遊技機と入替える場合、 中古機相場の高騰は不可避であり、大幅な遊技機購入予算が割かれる事が予測される。 2009年5月、アイムジャグラーEXの検定期間終了直前に、同機種の中古相場は、 平均価格約40万円から、平均価格60万円へと跳ね上がった。 代替機となる対象のジャグラー機種の現在の設置状況を見る時、軒並み20万円以上 の高騰は十分に予測の範疇である。 仮に1店舗20台設置のアイムジャグラーEXを、6月にアイムジャグラーAPEX と入替える場合、約1200万円の機械購入費が必要となる可能性がある。 【参 考】 -ジャグラーシリーズの中古相場(2012年3月1日現在) ・アイムジャグラーAPEX ¥360,000~¥400,000 ・ハッピージャグラー ¥310,000~¥330,000 ・マイジャグラー ¥530,000~¥580,000 ・ミラクルジャグラー ¥600,000~ ・クラッシックジャグラー ¥ 15,000~¥ 18,000 -全国のジャグラー機種設置台数(2012年1月現在) ・アイムジャグラーAPEX 4万0567台 ・ハッピージャグラーV 1万4524台 ・クラッシックジャグラー 9753台 ・マイジャグラー 6020台 ・ミラクルジャグラー 3957台 (※検定期間が経過した遊技機) ・アイムジャグラーSP 2万4707台 ・ジャンキージャグラー 1万4969台 ・ラブリージャグラーA 5206台 ・アイムジャグラー7 9744台 ※中古機市場に影響を与えると思われる、想定されるいくつかの事柄 ・ニューアイムジャグラーの再販 ・全日遊連(都道府県遊協)からの自主撤去のお願い等 ・任意のホールの無承認変更による行政処分 2) アイムジャグラーEX撤去に際するコンプライアンス及びリサイクル等の問題 全国約12万台のアイムジャグラーEXの撤去は、業界にとっての重要課題でもある コンプライアンスの問題や環境問題にも直結する。 ㈱北電子は、一般社団法人遊技機リサイクル協会に加盟しておらず、リサイクル協会 が推奨するリサイクル処理の工程からは除外される。 また液晶パネルがない機種なので、移動以外の転売価値も皆無に等しく、一般のリサ イクル業者も引き取るメリットがない。ほぼ無価値の鉄とプラスチックの塊の処理を どうするのかは、業界全体の問題になる可能性が高い。 また一部心ないホール営業者(または販社)では、部品取り(無承認変更)のために、 多台数のアイムジャグラーEXを確保する動きも見てとれる。 ※実際、回胴遊商が上記通達を販社に流した翌日には、アイムジャグラーEXの相場 が若干上がり、中古機トレードサイトの掲載情報がほぼ「売却済」となった。 営業に供す余地のない遊技機を多台数保有する事自体が、あらぬ嫌疑の根拠になって しまう状況で、撤去したアイムジャグラーEXのリサイクル問題は、コンプライアン ス堅持の重要課題になると思われる。 ■ 提言 ① 各社・各店舗におけるパチスロ営業戦略の見直し ・他のジャグラーシリーズとの入替を行い、店舗内のジャグラー比率を維持する。 ・Aタイプのパチスロ機による、Aタイプ比率を維持する。 ・ARTパチスロ機を中心とした入替を行い、Aタイプ比率の縮小を行う。 ② 代替のジャグラーシリーズ機を、長期間掛け、適正価格で購入 ・「相場の底」は、3月中旬~4月上旬。またジャグラー再販機の納品時 ・「みなし遊技機」として使用する場合も、入替の準備は必要不可欠 ・大規模チェーン店の動向の注視 ③ 徹底したコンプライアンス教育