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インド - 真空工業会

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インド - 真空工業会
2008 年度秋季海外企業視察(インド)報告
初めて行った世界が注目する国“インド”
日本真空工業会 専務理事 山本
博義
日本真空工業会は、会員会社の皆さんを募り、毎年春と秋に海
1)
は、最初の訪問地ムンバイに着き古い空港ターミナルビルを出
外企業視察研修団を編成して産業視察を目的とした視察研修を
たところの群集を見て、
インドの人口11億人、識字率60%、
ス
行っています。この視察は、海外の真空産業や真空利用産業の
ラムで生活する人50%
(ムンバイ)
、平均寿命60歳を実感しま
状況、訪問先の国や地域の状況などを自分の目と耳で確かめて、
した。
また参加者相互の交流を深めることにより、会員各社の事業展
開の一助にしていただこうというものです。
秋の視察は毎年いくつかの候補地を事前にお聞き、
その中から
会員の要望の多いところを選定して訪問しています。昨年は中国:
瀋陽・成都・上海・蘇州、06年は韓国:半導体製造装置メーカ・液晶
工場・大学・国家検定所、05年はロシアの真空の実態、
いずれも新
08.10.6 インド真空協会
(IVS)
訪問
たな知見を得て感動に満ちた視察でした。
今年は、真空産業にとても大きな可能性を秘める国インドを訪問
3)
は、10月7日にMahindra & Mahindra Ltd.社
(ムンバイ)
、
することにしました。J V I Aのインド視察は初めてです。会員会社の
10月10日にMoser Baer India Ltd.社、Moser Baer Photo
方の特別な計らい、
ご好意でCDR、DVDRなど光記録メディアで
Voltaic Ltd.社
(デリー)
を訪問し、工場見学をさせていただきま
世界第2位の製造メーカの視察を受諾いただける運びになり、
また
会員の皆様からの情報提供もいただきました。
した。
08.10.7 インド ムンバイ市内の交通渋滞
Mahindra & Mahindra Ltd.社は1947年に創業した自動車メー
視察団は、会員企業の幹部を中心とする11名と事務局から山
本が加わって12名でした。団長は、1997年に一度視察訪問し今
バスが人と乗り合いタクシーなどがひしめく空港の駐車場を後に
回2回目という小俣邦正常任理事
(
(株)
昭和真空 代表取締役社
してようやくホテルまでの道に出ると、渋滞の中を数頭の牛が暗い
長)
にお願いしました。
道の中央車線を悠然と歩いていました。
インドに行かれたことがある
一行は10月5日
(日)集合時間10時より30分も前に全員成田空
会員の方から出発前に伺った
「山本さん、
インドは日本でもアメリカで
港第2ターミナル3階「南団体」
カウンターに集合しました。
チェックイン
もヨーロッパでもない全く別世界だよ。」、
なるほどその通りだと思いま
を済ませて「特別待合室」で小俣団長のもとで結団式と参加者の
した。
ホテルは、参加者に安心して泊っていただけるよう良いホテル
自己紹介を行い、
デリー国際空港を経て最初の訪問地ムンバイに
にしたので、先ほどの光景との隔たりの大きさにまた驚き、
これから
向けて出発しました。
の1週間に期待と不安が交錯しました。
今回の視察は、
2)
は、
インド真空協会
(IVS)
を訪ねました。IVSはバーバ原子力研
1)
インドという国を肌身で感じること。大きく揺れる世界経済の渦
の中で、最近のインドは目が離せません。折りしも米国サブプラ
の破綻、原材料・資源の高騰や物価抑制のための高金利政策
Mittal
(インド真空協会会長)
、
Mr. T.K. Saha
(同事務局長)
ら7名
が自動車業界などに暗雲が立ち込める中、
それでもそれまでの
と、IVSの組織の概要と活動を伺い、JVIAからも活動状況を説明
年率9%超の経済成長を背景に、通信や素材などの業界が収
しました。
2)
インドの真空技術に関わる活動はどうか、
3)
インド企業を訪問して見学させていただくこと、
4)
インドでの事業環境を知ること、
でした。
38 真空ジャーナル 2008年11月 121号/URL http://www.jvia.gr.jp
う車を手作業で組立てていました。作業者のスキルは高いようで、
術的な面から真空技術を広める活動を行っており、40回の教育
“6006”というトラブル対応コンセプト
(6分60分6時間)
と営業利
コース、国内25回、国際5回のシンポジウムを開催したとのことでし
益率11%という説明が耳に残りました。
た。IVSの活動は日本真空協会
(VSJ)
の活動と似たところがあり、
Moser Baer India Ltd.社の訪問は、今回視察に参加されたア
親近感を感じました。
ルバックテクノ
(株)
小林役員のお兄様 小林雅人様が同社の副社
長で日本支社長であられ、私達がインド視察することを聞かれて訪
問を受入れて下さり実現しました。同社はCDR、
DVDRなど光記録
メディアで世界第2位の製造メーカであり、太陽電池製造も積極的
に取り組んでいます。会員会社の中にも装置を納入しているところ
かで閑静な一角でした。
BARCゲストハウス&トレーニング建屋の一室に導かれ、
Dr. K.C.
立て試験ラインを見学しました。
“世界の技術を使って安価な製品
を供給する”
をモットーに掲げるとおり、
これが自動車の基本だ、
とい
IVSは1970年に創立し現在800人の会員からなり、主として学
究センタ
(BARC)
内にありました。小高い丘のふところの緑豊
イムローン問題に端を発した世界経済危機で、証券・金融業界
益を大きく伸ばしているインドとはいったいどのような国なのか、
カで、S.B. P a r a b部長の説明の後、
ターボディーゼルトラックの組
08.10.6 インド真空協会
(IVS)
訪問
(左から3人目がIVS会長のDr. K.C. Mittal氏)
があるようです。小林雅人副社長は米国ご出張のため訪問した時
08.10.6
インド真空協会
(IVS)
の会誌と
真空技術冊子
にお会いできませんでしたが、
メディアディスクと太陽電池事業につ
いてMoser Baer Photo Voltaic社の社長兼CTOであるDr. G.
Rajeswaran氏、
Dr. PC Achar氏から説明を受け、
ディスクの工場
と結晶系太陽電池の生産工程をクリンウェアに着替えて中に入れ
ていただき見学しました。
なかなかこのような機会は得がたく、参加
上の写真は訪問時に頂戴したI V Sが出している会誌と冊子で
者は大いに感謝しました。説明と見学で2時間20分の滞在でした。
す。相互紹介の後、IVSで用意して下さった昼食をご馳走になり、
2時間余滞在してIVSを辞しました。
真空ジャーナル 2008年11月 121号/URL
http://www.jvia.gr.jp 39
08.10.10
Moser Baer India Ltd.社訪問
08.10.8 Hind High Vacuum社のMr. Sakhamuri氏、Mr. NJ Babu氏と参加者
08.10.8 Unique Vacuum Solutions社のMr. NN Utpath社長
Pvt. Ltd.社は工場が休みのため工場見学が叶いませんでした。
24%の伸びとのことでした。Sakhamuri氏は今年3回来日したそうで
両社の人にホテルに来ていただき話しを聞きました。
す。先方も残念がっていましたが、今回是非訪れてみたかった会社
Unique Vacuum Solutions社はMr. NN Utpath氏がこの後に
でした。
お会いしたHind High Vacuum社を1999年に退職し自ら興した真
空サービス会社で、従業員は7名のベンチャー企業です。バンガロー
4)
は、10月6日午後、ムンバイでJETROの
ル地区で真空に携わる会社は、規模が大きい社4〜5社を含めて
前川直之所長、海外投資アドバイザー
12社ほどとのことでした。
の西橋時男氏にお会いしました。西橋氏
より、
「マハラシュトラ州工業団地訪問情
08.10.10 Moser Baer Photo Voltaic Ltd.
社長兼CTO Dr. G. Rajeswaran氏
次にお会いしたのは、Hind High Vacuum Company Pvt.Ltd.
報」
を中心にインドの貴重な情報をお聞
社の代表取締役Mr. P Sakhamuri氏とCOOのMr. NJ Babu氏
きすることができました。
でした。
この会社は幅広く真空機器、装置を手がけていて、太陽電
池も手がけています。原子力事業も手がけているようで日本との付
き合いはあまり深くないとのことでした。海外からの技術導入が難し
かったので、
自国で独自に事業展開をしてきたが、最近は年23〜
08.10.6 レストラン
「JOSS」の会議室
でJETROの西橋氏、
前川所長と
08.10.6 インドを熱く語る西橋氏
08.10.10 Moser Baer India Ltd.社訪問
なお、10月7日と8日は事務局の事前調査不足のためヒンドゥー教
の正月にあたる休日であることを知らず、
バンガロールで訪問する予
定だったUnique Vacuum Solutions社とHind High Vacuum Co.
40 真空ジャーナル 2008年11月 121号/URL http://www.jvia.gr.jp
08.10.8 Hind High Vacuum社のプレゼンテーションに耳を傾ける
参加者 左がManaging DirectorのMr. Sakhamuri氏、
その隣がCOOのMr. NJ Babu氏
08.10.6 西橋氏の話しを聞く参加者
真空ジャーナル 2008年11月 121号/URL
http://www.jvia.gr.jp 41
以上につきましては改めて報告書の冊子を作成して出来次第
おいしかったです。
会員の皆様にお送りします。今回お会いした多くの方々の名前など
次はタバコです。
インドでは到着日直前の10月2
も記し、JETROムンバイとインド商工会議所から頂戴した資料も収
日にインド全国の公共の建物内での喫煙を禁止
めておきます。今回、各訪問先で通訳をお願いしましたが、特にバン
する法律が施行されたようです。空港やホテルや
ガロールのRV Rao氏
(経済学者)
とデリーでのPrem Motwani先
レストラン、
オフィス、学校に加え、
バス停なども禁煙
生(ネール大学日本語科教授で日本語の達人といわれ、
日本の近
となり、違反すると200ルピーの罰金が科せられ
代史がご専門で今年“早分かりインドビジネス”
などを出版されてい
るとのことです。街中でほとんどタバコを吸う人は
る)
からは、通訳を超えてインド事情をきめ細かくお話ししていただき
見かけませんでした。施行日が10月2日になったの
ました。
は、酒もたばこもやらなかったインド建国の父マハトマ・ガンジーの生
誕日に因んだということでした。
インドでは3都市間の飛行機移動以外はバスを多く使いました。
日本と同じ左側通行とはいえ交通事情は街中どこもかしこも渋滞
で、車と自転車、人と牛が渾然と道にあふれ、時とすると道の脇を
/08.10.10 インドエンジニアリング輸出振興委員会
(EEPC)
訪問
逆走する車があります。
インドは車優先社会です。
やたらに鳴らす警
10月10日には午前のMoser Baer社訪問からデリー市内に戻り、
通訳RV Rao氏
(バンガロール)
エンジニアリング輸出振興委員会
(EEPC)
を訪問しました。同委員
会会長のMr. RP Jhalani氏の説明とMr. A Singh氏からプレゼン
テーションがありました。
ここでは、国連アジア・ 太平洋経済社会委
員会のDr.S Krishnan氏も同席し、
交流の拡大に熱いメッセージ
が述べられました。
引続いてインド商工会議所
(FICCI)
を訪問し、専務理事東アジ
ア局長のMr. A Shunglu氏からインド経済の概況をお聞きし質疑
の説明に、参加者一同興味深く傾聴し良く理解できました。会議室
者の名札が用意されていました。
08.10.10 インド商工会議所
(FICCI)
専務理事東アジア局長Mr. A Shunglu氏と小俣団長
42 真空ジャーナル 2008年11月 121号/URL http://www.jvia.gr.jp
笛の喧騒の中に1週間いると、何となくそんなものかと慣れてしまう
自分が不思議でした。
そんな交通事情ですが車のスピードが上がら
ないためか、
滞在中大事故には遭遇しませんでした。
以上の行程の最後、帰国する日に世界遺産であるタージマハル
たった1週間のインド滞在では、
この国が
“また訪れたい”国か、
は
を見学しました。
その素晴らしさに感動し、長い歴史を持つインドの
たまた、
“もう良い”
という国なのか私には答えは未だ出ていません。
文化の一端を垣間見ました。
宗教、
カースト制、英語を話す人と話さない人の差、富の差、、、等な
インドでの食事とタバコとお酒のこと、
ど分からないことだらけです。
まず食事ですが、
ビュッフェ形式の朝食に始まり何種類ものカ
を行いました。Mr. A Shunglu氏のインド経済を中国と比較しながら
の入口には小泉元総理の写真が掲げられていて、会議室も参加
小俣団長と
通訳のDr. Prem Motwani
(デリー)
08.10.10 インド商工会議所
(FICCI)
で
インド経済情勢を聞く
08.10.10 インド商工会議所
(FICCI)
後ろの写真は小泉元総理
レーが食べられるのはカレー好きの私には大満足でした。
ただし、
イン
最後になりましたが、団長の
(株)昭和真空 小俣邦正社長はじ
ド料理は多数の香辛料を使う薬膳料理だと思っていたら、油も多
め参加者のご協力また、企画段階から力添えいただきました理事
用することと砂糖の摂取量がとても多いとのことで、
メタボと糖尿病
会、委員長会議、企画委員会のメンバ各位に厚くお礼申し上げま
の罹患者が多いようです。
す。
また、細部にわたり行き届いた気配りしていただいた添乗の毛
確かに華やかな生地のサリーを身に着けた女性の豊満な腹部
受さんと滞在中通しで案内して下さったイ
ドリス氏のおかげで出発
にそれを感じました。
前の不安は微塵もなく充実した視察ツアーを終えることができまし
お腹をこわすことを心配しましたが、皆さん抗生物質などを準備さ
た。全体を取りまとめて下さいましたJTB法人東京ならびに現地の
れ、私も1回は服用しましたが重症にはならずにすみました。室内や
TCI社の皆様方にも深くお礼申し上げます。
おかげをもちまして、10
バス車内のエアコンがきいていたため体調をくずした人もいましたが
月12日
(日)
朝、全行程期間中大きなトラブルなどなく参加者全員無
すぐに回復し安心しました。
事に成田空港に帰着し、
今年度の海外企業視察研修
(秋季)
を終
お酒については、
これがインドのお酒というところまでたどりつきま
了することができました。
せんでしたが、特にムンバイとデリーが暑かったので昼食時にもビー
今年は参加者が少なく催行が危ぶまれました。来年はまた視点
ルという声が多く上がり、一人200ルピー
(約500円)
を徴収して
を変えた企画をしたいとは思いますが、昨今の危機的な景気大ブ
600m lのキングフィッシャービール飲みました。
この会社は国内線も
レーキのため催行を取りやめざるをえなくなるかもしれません。
飛ばしている航空会社でインド最大手のビール会社、
インドで最も売
会 員 各 位 の 忌 憚 ないご 意 見 などを 事 務 局( ファックス:
れているビールのようです。少し日本のビールよりは軽い感じですが
03-3459-9405、
Eメール:[email protected])
へお寄せ下さい。
真空ジャーナル 2008年11月 121号/URL
http://www.jvia.gr.jp 43
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