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平成25年12月6日 石巻市議会議長 阿 部 欽一郎 殿 保健福祉委員会

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平成25年12月6日 石巻市議会議長 阿 部 欽一郎 殿 保健福祉委員会
平成25年12月6日
石巻市議会議長
阿
部
欽一郎
殿
保健福祉委員会
委員長 渡 辺
拓
朗
視察報告書
視察の概要は下記のとおりです。
記
1
2
参加委員
視察日時
委員長
委 員
渡
近
石
阿
辺
藤
森
部
拓
市
政
朗
孝
雄
昭
、
、
、
、
副委員長 堀 川
水 澤 冨士江
森 山 行 輝
阿 部 仁 州
平成25年10月23日から
平成25年10月25日まで
禎
則
3日間
3
視察先及び視察内容
(1)静岡県 掛川市 「地域健康医療支援センター ふくしあ」について
(2)愛知県 豊川市 「豊川市民病院」について
①病院の主な施設・設備等について
②病院の経営状況について
(全部適用への移行の経緯と移行後の状況、課題について)
4
視察目的
(1)静岡県 掛川市
高齢化が進展し、認知症高齢者や一人暮らし高齢者が増加するなか、24時間
365日を通じて、支援や介護を必要とする高齢者が住み慣れた地域で尊厳ある
生活を可能な限り継続できる体制の整備が必要とされている。これが「地域包括
ケアシステム」である。
「地域包括ケアシステム」の実現には「医療との連携」、
「介護サービスの充実強
化」、「予防の推進」、「多様な生活支援サービスの確保や権利擁護」、「高齢者住ま
いの整備」を踏まえて、地域特性や住民特性等の実情に応じた包括的かつ継続的
な内容であり、
「自助・互助・共助・公助」の適切なコーディネート、資源やサー
ビス等の開発によることが必須である。
本市では、東日本大震災で被災し仮設住宅で暮らす人たちの健康を守るために、
開成・南境地区を中心とする「包括ケアセンター」を設置し、保健師、社会福祉
士らが中心となり、仮設住宅を担当する訪問支援員や地域福祉コーディネーター、
地域包括支援センターなどと連携を強化し、円滑な被災者支援を進め、必要に応
じて地域ケア会議を開き、地域課題の共有・解決に取り組みながら、高齢者らの
健康・福祉課題を総括する機関となって、医療、介護、福祉などのサービスを一
体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を目指している。
このことから、医療、保健、福祉、介護の在宅支援の地域拠点として、総合的
な相談や支援を行っている先進地を視察し、本市の「包括ケアセンター」の本格
稼働に向けて参考とするために 視察を実施。
-1-
(2)愛知県 豊川市
地方自治体の財政事情が悪化するにつれて、公立病院の赤字経営が問題視され
るようになり、これまでのような多額の税金投入を看過できない環境となってい
る。総務省においても民間病院との役割分担を明確化、公立病院でしか果たせな
い医療の提供を求めており、これを経営改革プラン策定義務付けという形となっ
ている。この内容は経営的に困難な病院には統合や再編、民営化を促すような厳
しいものである。現在、経営状況が良好であったとしても、公立病院が将来的に
も存続可能なように経営基盤強化を図るべきであり、その手法として経営形態の
見直しを検討するよう病院改革プランの柱として指示もされている。
この経営形態の見直し策として、多くの一部適用の公立病院が導入、検討をは
じめている「地方公営企業法の全部適用」がある。これは職員の公務員としての
身分や公立病院としての役割を確保しつつ、経営効率性を向上するために企業性
も発揮できる最も緩やかな手法である。
全部適用と一部適用には2点の大きな違いがあると言われている。1点目は
「事業管理者」を置くことができること。一般的には医療に関する知識が乏しい
首長から、経営・医療現場にも精通した事業管理者に、責任と同 時に権限を与え
ることで、現場の実情を反映した効率性の高い経営が可能となると言われている。
2点目は、職員の給料額の決定方法である。一部適用では人事院勧告を基礎に
して条例で決定しているので、営業結果が悪くても給与は変わらないという安心
感はあるが、半面、頑張ってもその結果が給与に反映されにくく、経営意識が醸
成されにくい環境となっていると言える。
一部適用よりも、全部適用がより企業性を発揮できる制度と言えるが、例えば
地方公共団体の水道事業が全部適用のメリットを活かしているかといえば、一部
適用と同等な運営を行っているケースが多いと考える。(管理者は市長、給与も
市職員と同等)
このことから、石巻市立病院の本格稼働に向けて、最新鋭の医療設備、更に経
営状況の改善も視野に地方公営企業法全部適用について事業推進の 参考とするた
めに 視察を実施。
掛
川 市
○視察概要
掛川市は、
「健康医療」、
「環境」、
「市民活動」日本一の実現を重点施策に掲げ、各種
取り組みを行っている。その中で、住民の意識調査において、今後の生活で6割超が
在宅での医療及び介護を希望されていたことから、住民の願いでもある「住み慣れた
地域で安心して最後まで暮らせるよう支援する」ことをコンセプトにしている。
在宅医療や在宅介護への体制整備では、
「医療機関や施設から在宅へ」といった医療
や介護の場所の変化により、医療と介護の連続性が失われないよう、地域での総合的
なマネージメントを考えていく必要性がある。
住民にとって、医療、保健、福祉、介護は同じく生活を支えるセーフティネットで
あり、切れ目のない連携体制を整備することが大切で、地域医療連携体制整備を市立
病院だけに限るのではなく、行政の責任として関わりを持ちながら活動していくため
に平成 21 年に地域医療体制整備検討プロジェクトを発足し、活動計画を下記のとお
りとした。
-2-
・住民の住み慣れた地域で生活したいという思いに応えたい。
・新病院を中心とした医療体制の構築を行い、病院から円滑に在宅へ繋げ、地域生活の
支援を行いたい。
・地域住民のネットワーク活用、見守りにより、健康問 題だけではなく、生活に関して
も問題が重症化する前に早期発見で総合支援に繋げたい。
・行政のみの活動ではなく、住民との協働、生涯学習の風土に根ざした住民の意識への
訴えかけをしたい。
・地域で生活するためには、本人はもとより家族への支援が非常に重要だと考えた。
・医師不足、看護師不足に対して、医療者に選ばれるような住民性を持つ地域 (医師、
看護師等が勤務したくなるまちづくり)となることを目標とした。
・2025 年の高齢化社会に対応するには、今から地域の体制を整えないと間に合わない。
以上の観点から、地域医療を支 える取り組みの一つとして、「地域健康医療支援セン
ターふくしあ」を創設、住民の生活を支えていくために概ね 30 分以内で駆け付けられ
る圏域にある現有施設を利用し、市内に5箇所を整備する。
「ふくしあ」は在宅支援の地域拠点として、専門職を配置し、次の方法により、相談対
応、支援を行っている。
①医療、保健、福祉、介護に関する受付や、相談対応、情報提供できる在宅支援窓
口を地域に開設する。
②地域包括支援センターが様々な相談に応じ、高齢者やその家族を支援する。
③各ケース情報を多職種間で共有し、総合的な在宅援助を行う。
④医師会のチームを核として訪問診療や往診をすることで、地域在宅医療を推進す
る。
⑤医師、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所の連携により、主治医の指示
が受けやすくなるなど、利用者にとっての総合的なマネージメントを迅速に行い、
地域包括ケアを目指す。
⑥保健師による予防活動を重視した健康づくりに力を入れる。
⑦社会福祉協議会によるコミュニティソーシャルワーカーの配置により、地区福祉
協議会を支援するとともに地域福祉の充実を図る。
⑧自殺予防対策委員会や関連機関と連携して、相談体制の強化に取り組むこと。
○所
感
「ふくしあ」では、行政、地域包括支援センター、社会福祉協議会、訪問看護ステ
ーションの多職種連携を円滑に進めるために、執務室をワンフロア化し、迅速な対
応 や 連携 に 心 が けて い る 点や 家 庭 訪 問 によ る 出 張サ ー ビ ス に も重 点 的 に取 り 組 ん
でいる点については、事業推進の参考にすべき点である。
庁舎内では、
「ふくしあ」に関連する4課(地域医療推進課、保健予防課、福祉課、
高齢者支援課)において各課との連携により、制度の隙間を埋める役割を「ふくし
あ」が担っている。また、予防的視点を重視した支援として、金銭、家族、健康、
就労、住居問題など、時間の経過と共に対応困難になることから地域や関係機関と
連携し、早期な情報収集と専門職連携による総合支援で対応していくことは、利用
する住民にとっても心強く感じられる。
官民協働による地域力向上の観点では、各地域において根付いていた生涯学習活
動を利用し、そのまま 34 箇所の地区福祉協議会に切り替えることで、事業を円滑
に推進させた方法は、非常に効果的であり、地域への事業の浸透率も高いと判断す
る。
-3-
豊 川 市
○視察概要
①病院の主な施設・設備等について
別紙パンフレットのとおり。平成25年5月に新病院が開院する。敷地面積
41,875.94 ㎡、延床面積 65,060.01 ㎡(立体駐車場含む)、建築費総額 12,649,455,000
円、病床数 554 床、駐車台数合計 1,208 台である。説明後に病棟を除く院内1、2階
を案内された。
②病院の経営状況について(全部適用への移行の経緯と移行後の状況、課題について)
別紙「豊川市民病院改革プラン抜粋」、「経営状況」により説明を受ける。
これまで、地方公営企業法の財務規定のみが適用される「一部適用」で、地域の中
核病院としての役割を果たすとともに、経営的にも平成6年度から黒字経営を続けて
きた。
その後、総務省「公立病院改革ガイドライン」
(平成19年)により、経営形態の見
直しの選択肢として、地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者
制度及び民間譲渡の4つが挙げられている中 から、豊川市では「地方公営企業法の全
部適用」を平成 21 年4月から導入した。病院運営の責任者として事業管理者(退職
したドクターを採用)が設置され、人事、予算、組織などの広範囲な権限が与えられ
ることから、人員配置、勤務条件の見直しによる医療スタッフの確保、診療報酬改定、
患者ニーズの変化に沿った病院事業内の組織見直しなど、柔軟性や迅速性の向上によ
って、医療現場の実情に即した経営が可能となった。この間、人的投資が功を奏し、
純損益において平成 20 年度 11,328 千円が平成 24 年度には 508,466 千円となってい
る。(増加分には平成 22 年度診療報酬改定の影響も含まれている。)
精神科病棟 106 床は不採算部門であるが地域で歴史的役割があり、引き続き行って
いる。
全部適用後の給与については、職員との約束もあり大きな変化はないが、夜間看護
など手当の面で増額している。
なお、今年から院内に経営企画室を設置し、経営改善の取組みを強化する。
○所 感
①病院の主な施設・設備等について
全体として広々と気持ちがよい。設計会社が石巻赤十字病院と同じ、日建建設であ
るため、似た造りであった。新石巻市立病院と比較すると 28 診療科目、554 床と規
模は違うが、名鉄豊川線八幡駅が隣接、総合受付が 2 階、立体駐車場完備など共通点
もある。駐車場は通路が広々としている。病院の1階にはレストラン、コンビニ(フ
ァミリーマート)、コーヒーショップ(タリーズコーヒー豊川病院店)があり、来院者
も気軽に利用することができ、賑わっていた。
②病院の経営状況について(全部適用への移行の経緯と移行後の状況、課題について)
改革プラン策定にあたり、大改革が必要な状況ではなく、極端な変革よりも穏やか
な改革を行っている。これは、これまで黒字経営に努めてきた職員の思いに応えるも
のであると、担当者は語っていました。地方公共団体全体の一般職同様に定員管理の
対象になると、病院の患者ニーズ、業務量の増減に応じた効果的な人員配置ができな
い硬直的なものになりやすい。その点では全部適用の場合、現場のニーズに近い人員
配置ができるようになるのかと思慮する。
なお、豊川市周辺には多くの医大があり、病院とのつながりも密にしていることか
ら、医師確保に苦労することはなく、非常に恵まれた環境の中で病院経営がなされて
いる。
-4-
≪行政視察に基づく石巻市への政策提言等について≫
(1) 地域包括ケアを成功させるためには下記について考えるべきである。
①異業種間の多職種連携の充実こそが重要
②出張して相談を受けるアウトリーチ体制を重視
③地域力向上に向けて、見守りネットワーク構築や支援員の育成など、地域で支
え合う体制づくりに心がける
④保健師の適正確保と育成
⑤介護士の育成強化(認定介護士の取得)
⑥地域包括ケアシステム導入にあたり、費用対効果の観点から医療費や介護 保険
料のシミュレーションに取り組むべきである
⑦地域包括ケアシステムを円滑に行うために医師会との連携、協力体制の構築
⑧寝たきり状態になることの予防策に加え、寝たきりからの機能回復に向けた方
策についても考慮すべきである
⑨地域包括ケアの推進には、地域における市民による福祉活動が重要な役割であ
ることから、市内を細分化し各地区に協議会等を設置するなど、市民活動の拠
点についても検討すべきである
(2)
(3)
新市立病院が市民にとって親しみやすい施設にして頂きたい。中心市街地活性
化の拠点として、1階部分にコーヒーショップ、コンビニエンスストア及びレス
トラン等を設置し、病院利用者以外にも、広く市民の憩いの場として利用できる
環境としての工夫、活用を。院内助産所「バースセンターおひさま」は、石巻市
でも実現してほしい。
石巻市立病院でも改革プランで全部適用も検討した時期はあったが、平成 22
年不良債務を解消し、赤字からの脱却となっている。その後、病床稼働率 70%以
下が3年間続いた場合は改革をする点は、クリアしていることから一部適用のま
まである。
自治体病院は「公共福祉」の増進を念頭に、その役割・機能を果たすべきもの
と考えるが、近年、全国的に財政悪化が懸念され、経営改善が喫緊の課題となっ
ている。よって、本市においても経営形態の見直しも視野に入れ、現在の一部適
用のままで人員配置や給与等で不都合な点や、全部適用など他の経営形態を採用
した場合のメリット、デメリットなどを議会に説明をお願いしたい。
また、民間が採算面から参入しにくいと思われる「精神医療」について、自治
体病院の立場から新たに診療科目として加えることも検討していただきたい。
7
添付書類
別頁のとおり
8
経
649,290 円(@72,610 円×8 人
費
@68,410 円×1 人)
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